2−2-1 我々の持つ全ての感覚は、脳に伝わって初めて感じることができる
2.損傷された組織から発痛物質 が作られる。
これが近くある感覚神経(痛覚神経)を刺激する。
「痛み」 という感覚は、文字通り"苦痛”
である。しかし、「痛み」 は、 体に異常が
生じたことを知らせるシグナルであり、
我々が生きて行くために不可欠な感覚で
ある。
1.ハチに刺された場合、その毒により
刺された部分の細胞が傷害される。
3.感覚神経情報が、脳の中にある
「痛み」を感じる部分に伝わる。
4.「痛み」を感じる部分が刺激されて
我々は初め痛みを感じる
痛い!!
①.リンゴから発される色・形といった
情報は「光」として、目の中に入り
網膜にある視神経を刺激する。
②.「光の情報」は、いくつかの
神経を介して、「視覚の中枢」
に伝わる。
③.「視覚の中枢」が刺激され、我々は初めて
「見た」ことが認識できる。
我々の持つ、「見る」、「聞く」、「味わう」、
「匂う」という機能は、目、耳、舌および鼻
が働けば感じられるといったものではない。
これらの感覚は、感覚器からの情報が、
神経を介して脳の特定部分に伝わることで、
初めて認識される。
我々の持つ感覚には、
「心地よい感覚(快楽感)」
や
「不快な感覚(嫌悪感)」
といったものもある。
これらの感覚も、神経を介した情報が、脳内にある特定の部位を刺激することで
初めて得られる。
2−2-2 「快感」と「嫌悪感」のバランスが動物の行動を支配する
脳には「快感を感じる部分(報酬系)と「嫌悪感を
感じる部分(嫌悪系)」がある。
動物が生きてゆく上で、有益な行動は
この報酬系を刺激する。
美味しいものを食べた
快感と嫌悪感による行動の支配は、初めて神経を持った生物からの進化の過程で、
代々受け継いだもので、人間の脳の深くに本能として刻まれている
快感を感じる部分
(報酬系)
嫌悪感を感じる部分
(嫌悪系)
快感を感じる刺激
スポーツで良い汗を流した
好きな人が振り向いてくれた
美しい風景に言葉を無くした
感動的な映画に涙した
絶えられない空腹感
嫌悪感を感じる刺激
風邪で熱を出した
暗い夜道で不安だ
試験勉強で睡眠不足だ
満員電車でストレスがたまる
先生に褒められた
「報酬系」が刺激された動物は、快感を
求め、その行動を進んで行うようになる。
「嫌悪系」が刺激された動物は、嫌悪感を
避けるため、それを回避しようと行動する。
動物が生きてゆく上で、不利益な行動は
この嫌悪系を刺激する。
2−2-3 ”Drug”はこの「脳内報酬系」を直接&強く刺激する
美味しいものを食べた
快感を感じる部分
(報酬系)
嫌悪感を感じる部分
(嫌悪系)
快感を感じる刺激
スポーツで良い汗を流した
好きな人が振り向いてくれた
美しい風景に言葉を無くした
感動的な映画に涙した
絶えられない空腹感
嫌悪感を感じる刺激
風邪で熱を出した
暗い夜道で不安だ
試験勉強で睡眠不足だ
満員電車でストレスがたまる
先生に褒められた
①乱用されるDrugは、全て
脳内報酬系に至る神経を刺激する。
この強さは、我々が「快感を感じる刺激」の比にならぬ
ほど強烈である。
③このとき、一方の嫌悪系は、相対的に
弱くなる。つまり、「疲労感」、「ストレス」、
「恐怖感」、「睡眠への欲求」などの感覚は
無くなってしまう。
②Drugにより、脳内報酬系は異常な
活性を起こす。これによりヒトは、強い
快感を感じる。
また、脳のどこかには、「Drug=快感」
という記憶が刻まれる。
Drug
④「嫌悪感を感じなくなる」ことは、その原因
が回避できたことを意味しない。
我々の体は、嫌悪系に届くように
危険信号を送り続けているのである。
2−2-4 Drug乱用により起こる脳機能の変化 その1
では、Drugが体内から無くなった時に、いったいこの「快感vs嫌悪感」のバランスは
どうなるのだろうか?
快感を感じる部分
(報酬系)
嫌悪感を感じる部分
(嫌悪系)
絶えられない空腹感
嫌悪感を感じる刺激
風邪で熱を出した
暗い夜道で不安だ
試験勉強で睡眠不足だ 満員電車でストレスがたまる
②こうなると、我々の体は、より嫌悪系への伝達を
強くして、報酬系とのバランスを保とうとする。
Drug
①「嫌悪感を感じなくなる」ことは、その原因
が回避できたことを意味しない。
我々の体は、嫌悪系に届くように
危険信号を送り続けているのである。
③嫌悪系がこれまで以上に活性化して、
報酬系とのバランスが保たれた。
しかし、このバランスはDrugが報酬系を
活性化している上での釣り合いである・・・・・
2−2-5 Drug乱用により起こる脳機能の変化 その2
④この耐え難い嫌悪感を取り除けるものは
Drugしか無くなってしまう。
求めるものはDrugのみ・・・・・・
快感を感じる部分
(報酬系)
嫌悪感を感じる部分
(嫌悪系)
絶えられない空腹感
嫌悪感を感じる刺激
風邪で熱を出した
暗い夜道で不安だ
試験勉強で睡眠不足だ
満員電車でストレスがたまる
②Drugが体の中から消えると、
報酬系の活動は元に戻る。
③すると残されたのは、異常に感受性が
高まった嫌悪系蚤となる。
こうなると、通常は気にならないような
不快な刺激が、耐え難いものとなる。
①Drugを乱用している間は、報酬系と
嫌悪系のバランスが取れ、一見の平静が
保たれている。
これが乱用される薬物に共通する
「依存性」
と言う性質である。
2−3-1”Drug”はヒトをサルにする その1・・
「情動の喪失」
快感と嫌悪感による行動の支配は、初めて神経を持った生物からの進化の過程で、
代々受け継いだもので、人間の脳の深くに本能として刻まれている
快感を感じる部分
(報酬系)
嫌悪感を感じる部分
(嫌悪系)
②本来、この報酬系を活性化する
「動物が生るために有益な行動」による
刺激は弱い。
そのためDrugに慣れた神経では、
この情報を報酬系へ伝えられない。
①Drugにより、強い刺激ばかり受けている
脳内報酬系へ至る神経は、やがて強い
刺激ばかりに慣らされ、弱い刺激に対して
反応しなくなる。
Drug
③ ヒトは動物と違い「感動」や「情動」
といった”心の動き”でこの報酬系が
活性化する高度な機能を持つ。
しかし、Drugを使うと
「ヒトのヒトたる所以」であるこの
高次機能が働かない。
美味しいものを食べた
快感を感じる刺激
スポーツで良い汗を流した
好きな人が振り向いてくれた
美しい風景に言葉を無くした
感動的な映画に涙した
先生に褒められた
つまり、Drugはヒトが400万年間で培ってきた、
”人間性”という心の働きを壊してしまう。
→ → →
サルへと退化
2−3-2”Drug”はヒトをサルにする その2・・
「脳細胞の脱落」
①脳はよくコンピューターに例えられる。
素子である神経細胞間の情報の伝達は、
通常は微弱なシグナル(命令物質&電流)で
行われる。
③Drugに由来する命令が続いた神経細胞は、
過労のため死に至る。
この神経細胞の死は、脳の多くの部分で起こる。
美味しいものを食べたスポーツで良い汗を流した
好きな人が振り向いてくれた
美しい風景に言葉を無くした
感動的な映画に涙した
先生に褒められた
つまり、Drugはヒトが400万年間で発達させてきた
人間の脳を、サル並みの「大きさ・働き」に変える。
→ → →
サルへと退化
Drug
②Drug、特に覚せい剤など
”興奮性”の薬物は、命令物質
の働きを強烈に高める。
過剰な命令を受けた神経細胞は、
オーバーワーク気味になる。
④神経細胞は、生後には分裂しない。
神経細胞が死ぬことは、修復しようの無い
脳機能の低下をもたらす。
覚せい剤などによる「精神疾患」、「記憶障害」
はこのようにして起こる。
2−3-3”Drug”はヒトをサルにする その3・・
「理性による制御の欠如」
①脳はよくコンピューターに例えられる。
素子である神経細胞間の情報の伝達は、
通常は微弱なシグナル(命令物質&電流)で
行われる。
美味しいものを食べたスポーツで良い汗を流した
好きな人が振り向いてくれた
美しい風景に言葉を無くした
感動的な映画に涙した
先生に褒められた
つまり、Drugはヒトが400万年間で獲得した
”理性による本能の制御”を無効にする。
→ → →
サルへと退化
③薬物中毒者に見られる「衝動性」や「攻撃性」は、本能のまま動かされていることの現れである。
よく「Drugが止められないのは、意思が弱いからだ」 と言われるが、これは正しくない。
意思の強いヒトでも、一旦はまったDrugから逃れるのは難しい。本能的な要求は、「理性」や「意思」
よりも深い所から生じるためである。
④神経細胞は、生後には分裂しない。
神経細胞が死ぬことは、修復しようの無い
脳機能の低下をもたらす。
覚せい剤などによる「精神疾患」、「記憶障害」
はこのようにして起こる。
①ヒトは動物と異なり、"本能の求めるまま"に行動することは少ない。
これは進化の過程で本能という”怪物”をコントロールする「理性」
を脳の中に獲得したからである。
Drug
快感を感じる部分
(報酬系) 嫌悪感を感じる部分
(嫌悪系)
本能的な行動を
コントロールする仕組み
(理性)
②Drugは、”本能”という太古から脳に棲む怪物たちを
増大させる。増大した怪物を、「理性」はコントロールす
ることができない。
2−3-4”Drug”はヒトをサルにする
何故、サルにこだわるのか?
20年以上前のことであるが、薬物依存性の大きさを
を測る実験が、サルを使って行われた。
薬物を静脈へ注入するためのカテーテルを留置された
サルを実験箱の中に入れる。箱の壁にはレバーがあり、
これを引くことで、微量の薬物がサルに注射される仕組
みとなっている。この仕組みをサルに覚えさせ、実験が
始まる。
結果:
一回だけサルに薬物を”覚えさせ”、その後何回レバーを
引くかを数えたところ、
アンフェタミン(覚せい剤)では、1600回
コカイン・モルヒネ(麻薬)では、18000回
もレバーを引き続けたサルもいた。
②Drugは、”本能”という太古から脳に棲む怪物たちを
増大させる。増大した怪物を、「理性」はコントロールす
ることができない。
Drug中毒になったサルの話