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特集「人工知能技術の医療応用」にあたって

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Academic year: 2021

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人 工 知 能  35 巻 4 号(2020 年 7 月)

医療・ヘルスケア分野は,人工知能技術の応用分野と して,古くからさまざまな研究・開発が行われている. 近年では,2017 年に Healthcare IT に関する Journal (Journal of Healthcare Informatics Research:JHIR)

が発刊され,IEEE EMBS,CS がそれぞれ Healthcare ITに関する国際会議を開催するといった動きが見られ る.このような世界的動向も踏まえ,本学会では日本の Healthcare ITの在り方を人工知能の立場から議論する ことを目的に,医用人工知能研究会(SIG-AIMED)が 第 2 種研究会として 2015 年に設立された.この研究会 では,同時期に医療情報学会にて設立された課題研究会 「医用知能情報学研究会」(2019 年度より「医用人工知 能研究会」に改称)と連携し,合同研究会の開催,本学 会全国大会および医療情報学連合大会でのオーガナイズ ドセッションや企画セッションの開催などの活動を行っ た.本特集では,これらの活動の流れを受け,医療分野 における人工知能技術の応用事例を,さまざまな人工知 能の要素技術,適用領域から紹介する. 今井氏による「医用自然言語処理分野における人工知 能技術応用」では,日々膨大な診療情報が蓄積される医 療現場における医用テキストデータを対象とした自然言 語処理技術について,2010 年代以降進展が著しい深層 学習技術の医用自然言語処理応用の動向に焦点を当てて 解説している. 藤原氏らによる「オントロジーを用いた希少・遺伝性 疾患診断支援」では,希少・遺伝性疾患に関わる医療オ ントロジーを介した知識基盤および診断支援システムの 世界的な動向を紹介している.また,オントロジーを用 いた診断支援システムの実例として,症状から診断候補 として可能性の高い希少・遺伝性疾患をランキング提示 する医療関係者向けの検索システム PubCaseFinder お よび,そのようなシステムの実現に必要となる難病オン トロジー(NANDO:Nanbyo Disease Ontology)につ いて紹介している. 森氏による「看護プロフェッショナルと協働する AI」 では,専門性の高い看護のプロフェッショナルである看 護師について,その仕組みや現状,工学・情報科学と看 護学の越境である新しい看護理工学という分野の創成を 解説した後,その多様な業務を支援する人工知能技術を 紹介している.具体的には,看護ケアにおける画像認識, みまもりと行動モデリング,看護ビッグデータ解析とい う三つの大きな領域における AI 技術の展開事例を紹介 している. 福井氏らによる「機械学習による睡眠評価と睡眠改善 に向けて」では機械学習の応用事例として,ビッグデー タを活用した睡眠評価に関する研究の動向を解説してい る.睡眠領域においては,睡眠ステージのスコアリング, 睡眠時無呼吸症候群などの検知,睡眠の質推定,睡眠個 性の分析など,さまざまな目的で機械学習を用いた評価 手法についての動向を示すとともに,公開データベース に関する情報や主観的な睡眠評価指標についても紹介し ている. 升本氏による「眼科領域における人工知能を用いた臨 床応用研究」では,眼科領域における臨床応用研究を例 として,どのような人工知能技術が日本の医療現場で求 められているかを述べている.具体的には,医療 AI に 対するニーズを 1)安全管理系 AI,2)フォローアップ 系 AI,3)標準化系 AI,4)治療補助系 AI の四つに大 別して開発事例とともに紹介している.また,医療デー タのプライバシーを保護するために,データは各施設内 に留め,各施設で構築した学習モデルのみを共有する分 散協調学習(Federated Learning)の事例についても紹 介している. 小林氏による「医用画像診断における深層学習モデル の開発─実臨床応用を志向した深層学習モデルの開発に おける課題と解決─」では,臨床現場における診断や治 療方針の決定などにおいて重要な役割を果たす医用画像 を対象とした,深層学習の活用について解説している. 医用画像研究の文脈のもとで深層学習について概観した 後,教師あり学習・教師なし学習の両アプローチにおけ る適用事例を紹介している.さらに,深層学習技術を医 療現場に実装するにあたっての実践的な課題について, モデルがもつべき特性に焦点を当てて述べている. これらの解説で示されているように,人工知能技術の 医療応用は,さまざまな領域において盛んに進められて おり,そこでは幅広い要素技術に加えて,臨床現場に適 用するための検討すべき課題も多くあることがわかる. その課題を解決し,これらの応用事例を医療現場への実 利用につなげていくためには,人工知能と医療分野の研 究者・技術者の密接な協力が不可欠となる.本特集が両 者の協力により新たな課題に取り組むきっかけの一つと なれば幸いである.

特集「人工知能技術の医療応用」にあたって

古崎 晃司

(大阪電気通信大学)

津本 周作

(島根大学)

参照

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