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教育委員会の政策過程と分析枠組(その二) : 政策実施過程(教育長・事務局の職務遂行)の分析枠組

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(1),蝣->?. 教育委員会の政策過程の分析枠組(その二) -政策実施過程(教育長・事務局の職務遂行)の分析枠組加治佐哲也* (平成9年9月19 Ei受理) 教育委員会の政策過程は、政策決定過程、政策実施過. て二種類のものが導き出されてくる。一つは、管轄する. 程、および政策結果の各段階から構成される。本研究は、. 教育機関(学校、社会教育機関)の管理運営にかかわる. わが国の教育委員会を対象とした実証研究において、 ①. 一連の事項であり、地数行法23条に、学校の設置・廃. 教育委員会の政策決定過程と政策実施過程の動態と規定 要因の分析、 ②教育委員会の政策過程の段階問の関連性・. 止・整備、教職員研修、学校の組織編制、教育課程、教. 連動性の分析の二つが要請されていると考えて、これら. 材の取り扱い、社会教育機関の設置、青少年教育・成人 教育・婦人教育などが列挙されている。これらは、教育. 分析の基盤となって分析の内容・方向と分析結果の解釈. 委員会一教育機関の関係の側面の職務ということができる。. を導く分析枠組を構築しようとするものである。すでに. もう一つは、これは都道府県教育委員会のみの職務で. (その-)において、教育委員会の政策過程の概念枠組 と全体の分析枠組、および①の分析の一つである政策決. あるが、都道府県教委が、市町村教育委員会の組織・運. 定過程の動態と規定要因の分析枠組は提示した(it1)。本. 営の充実や機能の向上を目的として「印丁村教委に対して 指導・助言・援助を行うことである(地数行法48条)0. 稿では(その二)として、 (おのもう一つの分析である政. この職務は、都道府県教委-市町村教委の関係の側面の. 策実施過程の動態と規定要因の分析枠組の構築を行う。. 職務ということができる。本研究は、この両側面が教育. なお、 ②の政策段階間の関連性の分析枠組の構築は紙幅 の関係上、別の機会に試みることにする。. 委員会の主要職務であるとみなして、両側面の職務を分 析対象として取り上げる(注3)。 ただし、前者の教委一教育機関の関係の側面の職務は、. Ⅳ教育委員会の政策実施過程(教育長・事務局 の職務遂行)の分析枠組 1.教育委員会(教育長・事務局)の職務領域の 選定. 上記例示にも明らかなように多種多様なものによって構 成されているので、その中からさらに選定する必要がで てくる。教育委員会の管理する教育機関は公立の学校と 社会教育機関である。ある県の市町村教委の職務遂行の 実態を分析した先行研究は、教育委員会の学校を対象と. 地方教育行政機関としての教育委員会の職務の範囲と. した職務と社会教育機関を対象とした職務の遂行状況は. 種類は、地教行法と地方自治法の職務規定の各条項と別 表を-目すればわかるように、広範且つ多様である。ま. はっきり異なっていることを明らかにしているので脚)、 本来なら両方から職務を選ぶべきであるが、本研究は、. た、国が法令に定めている地方の教育機関の設置基準や. 学校の管理運営にかかわる職務の方に焦点をあてること. 運営基準、地方公共団体の条例の規定、さらには教育委. にする。. 員会規則の規定そのものも、あるいは財源の規模や出所. そしてその中から選定されたのは結局、きわめて教育. も、職務領域によって千差万別である。したがって、実. 専門的な事項(いわゆる内的事項)である「教育課程」. 際の教育委員会(教育長・事務局)の職務遂行もその態. と、社会的要請として教育委員会や学校が取り組むこと. 様は職務の領域や種類の違いによって自ずと異なってい. が求められている新たな職務である「生涯学習」 (学校 における、あるいは学校の実施する生涯学習に関する教. ると判断するのが自然であるし、先行の調査研究によれ ば事実異なっているようである(拝2)。とすれば、職務遂. 育委員会の職務活動であって、社会教育機関などにおけ. 行の状態を包括的に捉えることや一般化して捉えること. る地域住民などを対象とした生涯学習に関する教委のそ. も、あるいはある特定領域の職務で職務遂行全体を代表. れは含まれない。)の二つの職務領域である。次のよう. させるようなことも、困難でありまた妥当な方法とはい. な理由による。. えない。先行研究も職務領域別に調べている。そこで、. ,1、教育課ft. 教育委員会の職務遂行の実態を明らかにしようとする場. ・教育課程が学校教育の成否を左右する最も重要な条件. 合、職務領域を選定し、選定された職務領域それぞれに ついて分析していかざるをえない。. の一つであることは改めていうまでもない齢,。したがっ て、学校教育の目標達攻のための条件整備を職責とする. 教育委員会の職務は確かに広範多様であるが、関係法. 教育委員会にとっても、学校の教育課程はその最も重要 な職務領域の一つであることになる。ほぼすべての学校. 令に規定された職務を分類してみると、寸二たる職務とし *兵時教育大学第1部(教育経営講庵).

(2) 60. 管理規則に教育課程についての規定が多く設けられてい. この職務遂行の全容を余すところなく把握できると想定. るのは、このことを示している。この意味で、教育課程. してこの二次元を設定したわけではない。たとえば「方. に関する職務遂行は、教育委員会の職務遂行を象徴的に. 法」などこれら以外の次元も考え得るが、質問紙調査の. 示すものの一つであるといえる。. 質問項目の構成・考案の鯖難性等の事情からこの両次元. ・教育課程に関しては、他の領域に比して、学校管理規 則に遂行事項や遂行の方法・手続きが比較的多く明示さ. に限ることにした。むろん、この両次元がこの職務遂行の 分析の視座として不可欠なものであることはいうまでもな. れており、その職務遂行の態様を捉えるための指標・変. い。両次元の意味と具体的中身について少し説明を加える。. 数を作成しやすい。. ①指導・助言・援助の内容. ②生涯学習. 内容次元は、都道府県教委の市町村教委に対する指導・. ・教育課程は教育委員会にとって、いわば「当然の業務」、. 助言・援助の中身、つまり指導等として都道府県教委は. 「慣れ親しんだ仕事」であるのに対し、生涯学習は新し. 何を行っているのかを示すものである。地教行法48条. い職務領域であるといえる。したがって、教育課程によっ ては「ルー-ティン化」した教育委員会の職務遂行がみら. の指導・助言・援助の例示規定からも予想されるように、 それは広範多様であろう。ここではそのなかから、人的. れるのに対し、生涯学習では新しい態様の職務遂行が見. 側面の指導・助言、つまり教育委員会制度のキーパーソ. 出されると期待されること。. ンとして位置づけられる教育委員、教育長、指導主事、. ・新しい職務であるだけに、教育委員会の職務遂行の程. 社会教育主事にかかわる指導・助言を中心に問うことに. 度・態様がより多様であり、また教育委員会問でのその. した。人的能力の向上は教委制度の組織的充実と適正な. 差異が、学校における生涯学習への取り組みや成否によ. 運営の基本要件と考えられるからである。教育委員・教. り影響力をもちやすいと予想されること。. 育長の選任に関する指導・助言、教育委員・教育長の研. ・学校教育法施行規則の関係規定や学習指導要領など、 教育課程に関しては国の基準が少なくないが、生涯学習. 修など7項目を設定した。 ②指導・助言・援助の経路. については(後述のように本研究の貝体的分析対象は学. 市町村立の学校や社会教育機関の条件整備を行う責任. 校教育への地域人材活用など学校における生涯学習活動. は本来、それを設置した市町村の教育委員会にあるので. であるが、これらについても)国の基準はほとんどない. あって、地教行法48条の規定する指導・助言・援助は、. という点からも、教委の職務遂行はより多様であり、学. 都道府県教委から市町村(教育委員会はその機関の一つ). 校に対してより影響力を発揮しやすいと考えられること。 以上のような理由から、 (丑都道府県教育委員会の市町. へのそれであり、市町村教委の管轄する学校等に対する ものは含まれないと解されている(注6)。ところが、現実. 村教育委員会に対する指導・助言・援助、 ②教育課程、 ③生涯学習、の三職務領域が分析対象として設定された。. には都道府県教委から市町村立学校-の「直接指導」も 含めて、いくつかの経路が用いられていると見聞からも. これら三職務の分析から見出される教育委員会の職務遂. 想定せざるをえない。経路次元は、設定された数種類の. 行の態様・特色は、教育課程と生涯学習は学校関係職務. 経路の使用頻度から、都道府県教委の「直接指導度」な. を対照的に代表する可能性があるとは思われるが、あく. いし「市町村教委尊重度」を測る次元である。都道府県. までこれらの職務それぞれの遂行の態様・特色を示して. 教委が市町村教委管轄の教育機関(学校、社会教育機関). いるものであって、他の職務領域にそのまま適用できる. の教育を充実・改善することを目的とした指導等を行う. ものではないこと、したがって本研究の分析によっては 教育委員会の職務遂行の現実の一部が明らかにされるに. 際の経路として、 「都道府県教委の教育事務所経由」、. すぎないことを、繰り返し述べておきたい。. た。教育事務所は都道府県教委の機関であるので教育事. 「市町村教委と共同」、 「市町村教委経由」などを設定し 務所経由は直接指導と同じことであり、市町村教委経由. 2.都道府県教育委員会の市町村教育委員会に対 する指導・助言・援助を表す変数 地教行法48条は、都道府県教育委員会がその職務と して、市町村の教育に関する事務の適正な処理を図るた め、市町村教育委員会に対して指導・助言・援助を行う べきことを規定している。本研究では、都道府県教委の この職務の遂行態様を二っの次元で捉えることにする。 すなわち、指導・助言・援助の「内容」と「経路」であ り、この職務遂行をその内容次元と経路次元について分 析してゆくわけである。これら二次元で都道府県教委の. は、都道府県教委は市町村教委に対して指導を行い、学 校等には市町村教委のみが直接指導するというものであ るので(したがって、経由は地教行法48条の指導・助 言に含まれると考えられる)、教育事務所-共同-経由 の順で市町村教委等重度は高い(直接指導度は低い)と みなされる。. 3.教育委員会の教育課程に関する職務遂行(敬 育課程行政)を表す変数 学校の教育課程は学習指導要領総則にも明示されてい.

(3) 教育委員会の政策過程の分析枠組(その二). 61. るように、法令と学習指導要領に従い、地域や学校の実. 指導・助言活動を行っているとする教育長の回答内容か. 態、生徒の特性等を考慮して、各学校において編成され る。そして、当該教育委員会に届け出て受理された、も. ら、その態様に二つのパタンを見出すことができた。す なわち、管轄する全学校に共通する一般的な指導・助言. しくは承認を受けた教育課程は学校で具体的に実施され、. のみを行うパタンと、これに加えて、個々の学校の状態. 一定期間後その結果が評価される。このような学校にお. に応じた個別の具体的で詳細な指導・助言も行うパタン. ける教育課程の編成、実施、評価にかかわって、教育委. である(柱9)。そこで、教委の指導・助言の実施程度の指 標として、この二つのパタンで表された指導・助言の態. 員会の職務活動(教育課程行政)は展開されるわけであ る。教育委員会発行の『教育要覧』等をみると、それは、 学習指導・生徒指導のための指導書・手引き書の作成・. 様を採用することにした。. 配布、同和教育等の教育資料の編集・刊行、教材の開発、. 言にはさまざまな手段や方法が使用されている。学校の 行う教育課程の編成・実施・評価活動を助成するための. 実験校・研究校の指定・指導、その成果のまとめと流布、. 上記のように教育委員会の教育課程に関する指導・助. 新指導要領の説明会・講習会の開催、学習指導・生徒指 導の方法の指導・助言など、さまざまの事業・活動から. 指導書や手引き書を作成することもその一つである。指. 構成されているようである。もちろん、教育委員会によっ. 基準、方針や手順、編成・実施・評価等に際しての留意. て、実施している事業・活動の種類は千差万別であり、. 事項などが記載されている。このような指導書・手引き 書は学校に配布されてその利用に供されたり、教委の指. 実施の程度も異なるであろう。 したがって、教育課程に関する教育委員会の職務活動. 導書・手引き書にはその教委の教育課程の編成・評価の. 導・助言の際の資料として活用されているであろう。し. を余すところなく捉えることは至難といわざるをえない。. たがって、指導書・手引き書を用意している教委の教育. そこで、本研究は、教育委員会の教育課程行政の構成要. 課程行政と、用意していない教委の教育課程行政にはそ. 素として主要な(ないし不可欠の)職務活動を選定する. の態様と程度において大きな違いがあるということがで. という視点(方法)をとることにした。先行研究(注7)、 学校管理規則の関係規定、教育委員会の教育要覧、広報. きよう。いくつかの先行の実証研究も教委の教育課程行 政の重要な構成要素の一つとして、指導書・手引き書を. 誌(紙)から総合的に判断して、少なくとも次の三事項. 取り上げている(荏10)このように考えて、指導書・手. はこうした活動に該当すると思われる。それは、 (彰教育. 引き書の作成の有無も、教育委員会の教育課程について. 課程に関する指導・助言活動、 (塾教育課程の届出・承認. の職務遂行の実際を表している指標の一つとすることに する。. に関する対応、 ③教育課程の実施状況・結果の調査・報 告、である。繰り返すまでもなく、これらによって教委 の教育課程行政の実際が「完全に」把握できるとはいわ. また、指導書・手引き書を作成するには、相当の人的、 物的、専門的資源を動員・投入することが必要であり、. ないが、そのおおよその姿を示す指標、あるいは職務遂. このことは作成している教委の教育課程行政と作成して. 行の程度を判断する目安にはなりうると考える。三事項. いない教委の教育課程行政の意欲や潜在能力、あるいは. の選定理由と具体的内容は以下のとおりである。. 両方にかなりの差違があることを示しているということ もできる。. (1)指導・助言活動 ここで調べるのは、指導・助言活動の有無と、・その態. (2)届出・承認に関する対応 ほぼすべての教育委員会の学校管理規則に教育課程の. 様および手段である。 教育委員会の主催する研修会や講習会、学校訪問など. 届出・承認規定が設けられている。この規定は、教育委. が学校への指導・助言活動の主たる場ないし機会となっ. 員会が管轄する学校の教育課程を掌握するとともに、指. ていようが、これらを通じて教育委員会は実際に教育課. 導・助言を行う機会とすることを意図したものというこ. 程に関する指導・助言を行っているのか。一般には、あ. とができる。したがって、教育課程の届出・承認の手続. らゆる教育委員会がその方法・手段、程度は多様である. きを活用して、教育課程を掌握し、それに関する指導・ 助言を行うことは「法定の職務」とみなすことができよ. にしても、何らかの指導・助言を行っていると思われて いるであろうが、必ずしもそうとはいえない。というの. う。法定職務は教委にその遂行を義務づけているという. は、筆者が以前に実施したある県の市町村教委のインタ. べきであるので、それは教委の教育課程行政の様相や程. ビュー調査では、学校(校長)に完全に任せて、教育課. 度を判断するバロメ-クーとなりうる。このように考え. 程に関する指導・助言を事実上何も行っていないと答え. て、届出・承認に関する教委の対応を、具体的には教育. る教育長が決して少なくなかったからである(半数近い. 課程の掌握と指導・助言を、教委の教育課程行政の様相 を示す指標の一つとすることにした。. 9教委)(拝8)。したがって、まずは指導・助言の実施の 有無を確認する必要がある。 同調査は自由回答方式のインタビュ-調査であったが、. 学校管理規則のこの部分の規定を内容分析してみると、 各学校の作成した教育課程を毎年度教育委Li会に届け114.

(4) 62. させるという「届出規定」が約6割(59.7%)で圧倒. いえよう(酎3)O. 的に多く(同じことを意味するとみなされる「報告」や 「提出」の表蜀を用いている規定を加えると8割近い)、. (3)実施状況・結果の調査・報告. 提出させてそれを教育委員会が認めるという「承認規定」 は五分の-程度(20.7%)に留まっている(注11)。多く. 校での実施後の状況や実施結果を把握し、それを次の教 育課程の編成・実施の指導に生かしていくことも、これ. 編成された教育課程の掌握のみでなく、教育課程の学. の教委が届出でよいとしているが、これは教育課程編成. は教育課程評価にかかわる活動であるという点から、教. における学校の自主性を尊重していることの現れであろ. 育委員会の教育課程行政を構成する重要な要素の一つと. うか。しかし、届出は単に提出すればそれで完了という ことではなくて受理されることが必要であり、その場合、. いえる。ところが、前記の先行調査によれば、教育課程 の実施状況・結果を把握している(しようとしている). 受理は実質的には承認と同じことを意味する。逆に、承. 市町村教育委員会は必ずしも多くない(注14)。そこで先. 認も何らの審査もなく承認されれば、届出と変わりはな. ず、この活動の有無、具体的には教育課程の実施状況・. い。このように考えると、届出、承認の規定の別で、教. 結果の調査を行っているか否か、あるいは学校に教育課. 育課程掌握や指導・助言という教委の職務活動の様相や. 程の実施状況・結果を報告させているか否か(往15)を碓. 程度を推し量ることは妥当な方法とは必ずしもいえない。. 認する。そして、把握活動の様相・程度を示す指標とし. これに代えて次の二つで、この職務活動の様相・程度を. て、調査・報告の頻度とその事項の種類・数を取り上げ. 表すことにした。. る。調査・報告の頻度は(2)の受理・承認の判断に費や. 一つは、学校が届け出る教育課程に、あるいは承認を. す時間、そして調査・報告事項の種類・数は(2)の教育. 受けるために提出する教育課程に記載されていなければ ならない事項の種類・内容と数である。この種類と数が. 課程の提出事項の種頬・数と同じことを意味する。さら には、調査・報告されたことがその後の教育課程の編成. 多いほど、またその内容が形式的事項にとどまらず、実. 等の指導・助言の資料として活用されることが、この調. 質的事項までも求められておれば、教委はより詳細に学. 査・報告活動の主要目的と考えられるので、調査・報告. 校の教育課程を掌握し、より丁寧に(厳格に)指導・助. 結果をもとにした指導・助言活動の有無を聞く。. 言しようとしているとみなすことができる。したがって、. 以上を、学校における教育課程の編成・実施・評価の. 提出させている事項の種類・内容と数は、この職務活動 の度合の一面を表しているということができよう。. サイクルに即して位置づけると、 (彰は全般における指導・ 助言活動の様相を問うている。 ②と③はその中のとくに. 多くの学校管理規則は、提出事項の種類と数について. ポイントとなる二つの局面に焦点を当てている。すなわ. の規定も設けている。この規定も二つに大別できる。一. ち、 ②は編成された教育課程のチェック活動であり、 ③. つは時間数、教育課程の概要などいわゆる形式的事項の. は受理・承認された教育課程の実施後の把握活動である。. みで足りるとするもので、もう一つはこれに加えて、各 学校の当該年度の教育目標、指導の重点などいわば実質 的内容も要求する規定である。前者が約2割(23%)、 後者が4割程度(39.5%)で、実質的内容までも提出. 4.教育委員会の生涯学習に関する職務遂行(生 涯学習行政)を表す変数. させる旨の規定を設けている教委の方が多い。これに関. 周知のように、臨時教育審議会等が提言して以来(注16)、 生涯学習社会の構築、あるいは生涯学習体系-の移行が. する規定そのものを設けていない教育委員会も2割程度. わが国の教育(制度)改革の基本方向とされている。い. (22.2%)あり、決して少なくない(柱12)。このように、. うまでもなく、学校も生涯学習社会の一翼を担わなけれ. 多くの管理規則に、届け出る、または承認を受けるべき. ばならないが、生涯学習-の学校の対応のあり方を端的. 教育課程の内容が規定されている、あるいは規定されて いないのであるが、もちろん、実際に提出させている事. に、あるいは象徴的に表しているのが、最近ひんばんに 使われるようになった「開かれた学校」という用語であ. 項の種類や数がこうした規定と同じであるとは限らない。. ろう。すなわち、生涯学習社会構築に向けての学校にか. もう一つは、届け出られた教育課程を受理するか否か. かわる基本的改革目標は学校を「開かれた学校」にする. を、あるいは承認するか否かを判断・決定するのに費や. ことであり、したがって、これは学校の条件整備機関と. している時間である。提出されたものを差し戻して再提. しての教育委員会の生涯学習行政を方向づけることにも re*. 出させるなどして受理ないし承認までにかなりの時間を かけている場合は、より多く指導を行っている、同時に. 「開かれた学校」とは、学校がひとり聖域として学校. 詳細までも掌握しようとしているとみなすことができる。 逆に、ほとんど時間がかけられていない場合は、この手. 外部の世界から隔絶・超然として存在するのではなく、 外部社会に開かれており、それらと交流することで己の. 続きは、事実上指導の機会、および詳細に及ぶ掌握の機. 教育力を豊かなものにする一方では、地域の教育センター. 会としては機能しておらず、形式化・形骸化していると. として、地域住民の生涯学習を補完する役割を果たす学.

(5) 教育委員会の政策過程の分析枠組(その二). 63. 校というぐらいの意味で捉えられよう。学校が外部に開. であり、ひいては教師の専門性そのものに再考を迫るも. かれるというときの外部とは、国際社会までもそれに含. のでもある。また、地域人材活用の拡充は子どもの成長・. める考え方もあるが、一般的には、地域社会・地域住民. 発達にも直接の影響を与えずにはいないであろう。. を指して使われている。 地域に開かれた学校には、当然のことながら二つの方. 一方、教師が公開講座や地域の教育事業に参加するこ とによって、その本来の職務である学校教育以外を担当. 向を考えることができる.一つは、学校から地域への方. することになれば、当然、手当や補償などの勤務条件の. 向であり、学校の保有するさまざまな物的・人的な教育. みでなく、公開講座や地域の教育活動を行うことも教師. 資源を地域住民に開放・提供することである。たとえば、 これはかなり以前から行われており、公立小・中学校で. の本務に含まれるのか、つまりは教師の本来の職務とは 何であるのか、あるいは、教師の専門性は学校教育に関. はほぼすべての学校で実施されている運動場、体育館、. する資質・能力に限られないのか、つまりは教師の本来. 空き教室などの学校施設の開放がある。最近では、地域. の専門性とは何であるのかが問われ、ひいていは専門性 の証である免許状そのものの改変にもつながると思われ. 住民と学校教育が共同利用することを目的とした、した. る。結局、このように人的機能の側面における開かれた. がって、学校のみが使っていた従来の施設と比べて質的 にかなりグレードアップした広い体育館、温水プール、. 学校は、従来の学校教育にその本質にかかわる-大変革. 音楽ホール、蔵書数の多い図書館などの、いわゆる複合. を迫っていると考えることができるのである。. 化した施設も増えている(注17)また、学校の人的資源. とすれば、学校教育の条件整備機関としての教育委員. の開放の面では、大学・高校を中心に行われている公開 講座(「開放講座」と呼ばれることが多い)、さらには、. 会にとっても、学校施設の開放など物的側面よりも人的 側面にかかわる職務活動がより重要な意味をもつことに. 地域で行われる社会教育の講座やスポーツ講習会などへ 学校教師が講師・指導者として派遣されたり出張したり. なる。このように考えて、教育委員会の生涯学習行政も 学校の行う人的側面の生涯学習活動に関する指導・助言・. することなどである。. 援助を取り上げることにする。. もう一つは地域から学校-の方向のものであるが、こ. 開かれた学校にかかわる人的側面の生涯学習活動とし. れは具体的には地域にある博物館や郷土資料館などの社 会教育施設を学校教育が活用すること、地域の資源を学. て、上記のように、地域-学校の方向のものとして、学 校教育への地域人材の活用、学校-一地域の方向のものと. 校教育の教材として活用すること、さらには最近盛んに. して、学校の行う公開講座と、地域で行われる生涯学習・. なってきている、何らかの専門性や特殊技能を有する地 域のさまざまな人々を学校教育に活用することなどであ. 社会教育の事業への学校教師の活用の三種類が考えられ るが、後述するように、本研究は政策結果の指標、つま. る。. り教育委員会の職務遂行による教育現場の変容・改善の. このように、開かれた学校の具体的展開として、二方. 指標を学校のそれに求めるので、これらのうち「学校に. 向それぞれにおいてさまざまの事業・活動が実施されて. おける」生涯学習活動を取り上げ、分析することにする。. いる、またその拡充が期待されているのであるが、本研. すなわち、 (》地域人材活用と(参公開講座であるoこれら. 究ではこのうちの「人的機能」の側面に焦点を当て、分 析対象を人的側面の事業・活動に限定することにする。. 二つの活動の本研究における意味を改めて定義すると、 次のようになる。. すなわち、学校から地域の方向では、学校の公開講座と 地域の教育事業への教師の出張であり、地域から学校の. ①地域人材の活用--教師以外の人々を、学校の教育 活動に指導者ないしその補助者として活用すること。そ. 方向のものでは、地域人材の学校教育-の活用である。. の人の居住地や専門的な知識・技術の中身は問わない。. こうした人的機能の二つの側面に限定するのは、それが. したがって特別非常勤講師も含まれる。. 学校教育の根幹にかかわる大きな変革をもたらす可能性 をはらんでいると考えられるからである。確かに学校施. ②公開講座--学校が主催して、主として学校におい て、学校の教師が中心になって、地域の人々などを対象. 設の開放など物的側面のものも教師や子どもに多大の影. に学習を提供する事業。学校が学習を提供する事業であっ. 響を与えはしているが、人的側面のものは、この比では. て、単なる学校施設の開放は含まれない。. ないと考えられる。たとえば、地域人材の活用が盛んに なれば、地域人材を今までのように単なる「生きた教材」. 教育委員会の指導・助言・援助活動もこれら二種類の 活動についてみてゆくことにする。それぞれについての. と見なすわけにはいかず、 「免許をもたない教師」とし ての位置づけが必要になる場合も考えられる。制度化さ. 教委の活動の種類や程度はさまざまであろうが、新しい 領域であるのでそれほど一般に知られていないのはむろ. れ、とくに中・高校で導入が進んでいる特別非常勤講師. んのこと、すでに述べたように、その実状を明らかにし. はその典型例であろう。とすれば、これは従来の教師の. た調査研究もみあたらない。つまり、教育委員会のこれ. 教授方法や評価の方法を大きく変える可能性をもつもの. ら二活動に関する職務活動の内容はほとんどわかってい.

(6) 64. ない。したがって、これらに関する教育委員会の職務遂. 学校の教育活動中の事故によって地域人材が被った損. 行を構造化できる段階にはない。ただしかし、人材活用. 害に関して、それを補償する制度を教育委員会は設けて. や公開講座のいわゆる先進的事例やそれらの実施要項等. いるか、ということである。職務遂行中に損害を被った. は公刊物等で紹介されている(注18)そこで、本研究は、 これらの紹介事例から、人材活用と公開講座に関して教. 場合、一般の教師と同じように、労働者災害補償保険が. 育委員会の行っている職務活動の種類や内容を見出すこ とにした。いくつかが抽出されたが、二活動いずれにお. た事例がまだないであろうから、不確定であろう。それ. いても、それらは、生涯学習事業の財源措置や指導者・. 険等を活用して一定の措置を講じておくことが求められ. 講師の勤務条件、事故補償などのいわば「外的条件整備」. る。これも人材活用に際しての不可欠の条件整備の一つ. 地域人材にも適用されるかについては、おそらくそうし だけに、人材への補償を確実にしておくために、民間保. と、生涯学習の内容・方法や指導者・講師の質にかかわ. というべきである。. るいわば「内的条件整備」の二つの次元に整理すること. ②内的条件整備. ができた。以下は二職務活動それぞれを構成する具体的 活動を列挙したものである。いうまでもなく、これらは. ・手引き・資料の作成 学校が地域人材を活用するに際して、たとえばそれに. 二職務活動それぞれの全容を示すものではないが、かな. ついての研修の資料として、あるいは教育委員会がそれ. り多くの資料にあたったので、現段階における教委の職. に関して指導する際に用いられるものであり、通例、地. 務活動の主要な、ないし代表的な活動は含まれていると はいってよいであろう。. 域人材活用の意義、活用事例や、教育課程編成、校務分. (1)学校教育への地域人材活用に関する教育委員会の指. 委の職務遂行に占めるこれの比重の大きさは教育課程行. 導・助言・援助活動 ①外的条件整備 ・地域人材の募集. 掌づくりなどに際しての留意点等が記載されている。教 政の場合と同じと考えられる。 ・研修の実施 地域人材の活用にかかわって、学校の校長や教師を対. 各学校に配置する人材を集めるための基本的業務であ. 象として行われる研修である。人材を活用する際の学校. る。学校毎に行っている場合も少なくないであろう。む. の組織体制、教師集団の態勢、さらには人材を活用した. ろん、人材を集める方法・手段は他にもありうるが、募 隻(公募)はより広く人材をオープンに募る方法である. 授業実践法などが主要なテーマとなると思われる。 ・研究校設置. ことから、特定情報に頼った集め方などよりは、有能・. 人材活用の研究校は、上記の学校の組織体制、教師集. 適切な人材を獲得できる可能性が高い。この意味で、教. 団の態勢、人材を活用した授業実践法や教育課程編成な. 委がこれを行っているか否かはその職務活動の質を判定. どのモデルを開発することを目的としたものであろう。. する目安の一つになると考えられる。. ・地域人材の選考 人材を無条件に採用するのではなく、人材の質を確保. ・特別の予算措置 教育委員会は地域人材を活用している学校に対して予 算を特別に配分しているか、ということである。地域人. するために選考を行っているかということである。その. 材活用を促進する最も基本的な条件の一つといえる。予. とりわけ後者と思われる。選考が学校に任されている場. 算措置がなければ、学校は人材活用に要する費用を自力. 合もあろう。. で調達するか、所定配分朝からその一部を充当するかし. ・学校による地域人材評価の報告. なければならないことになる。 ・謝礼(手当)に関する指導. 基準は、人材の専門性や子どもの指導者としての適性、. 地域人材活用後の人材についての評価結果の報告を教 委が学校に求めているか、ということである。この活動. 地域人材への謝礼(手当)の額を定めるなどの学校へ. は、人材の学校教育に占める役割の大きさを認識して、. の指導である。これがあれば、より確実に一定額が人材 に支払われることになる。人材には必ず労働報酬として. 以後の人材の選考と人材を活用した授業の改善を図ろう とする教委の姿勢を示すものといえる。. 手当てを支給しなくてはならないということではなく、 つまり本人が承知すればボランティアとして活用しても. (2)学校の公開講座に関する教育委員会の指導・助言・ 援助活動. よいのかもしれないが、いずれにしろ、人材へ一定街の. ①外的条件整備. 報酬が確実に支給されること(いわば報酬の制度化)が. ・特別の予算措置. 人材活用を促進する重要な条件の一つであることは間違. 公開講座を実施している学校に対して、教育委員会は. いない。この指導は、上記の特別の予算配分と連動する. そのための予算を特別に配分しているかということであ. 場合が多いであろう。. る。いうまでもなく、公開講座の開設・拡充の基本条件. ・事故の補償措置. の一つである。.

(7) 教育委員会の政策過程の分析枠組(その二). ・謝礼(手当)に関する指導 公開講座担当教師への謝礼(手当)の額を定めるなど. 65. 教育長は法制上事務局の統括者であり政策実施の責任. の学校への指導である。これがあればより確実に一定額. 者であるので、教育委員会の職務遂行(政策実施)のキー パーソンであることはいうまでもない。とすれば、彼が. が担当教師に支払われることになる。担当教師に本給以. どのような人物であるかによって、教委の職務遂行の様. 外に公開講座の労働報酬として手当てを支給することに. 相もかなり違ったものになると予想される。教育長のど. は異論もあるかもしれないが、いずれにしろ、人材活用 の場合と同じく、担当教師へ一定額の報酬が確実に支給. のような特性が職務遂行に影響を与えているのか。この 特性を析出することは、教委の職務遂行度を高めている. されること(いわば公開講座の報酬の制度化)が公開講. 教育長特性を明らかにすることであり、明らかになった. 座を促進する重要な条件の一つであることは間違いない。 この指導は、上記の特別の予算配分と連動する場合が多. 教育長特性は教育長の人選基準や選出方法を検討する際 の有用な実証的データとなろう。ここで取り上げる教育. いであろう。. 長特性は、その属性と専門性である。. ・勤務上の扱い 教育委員会は、教師が公開講座を担当する時間を勤務 上どのように扱っているのか、ということである。正規. ところで、教育委員会事務局には学校教育の専門職と して指導主事が配置されることになっているが、現実に は一人も置かれていない教委も少なくない(注19)。配置. の勤務扱いに近いほど、公開講座を引き受けようという. されているところでは当然、教育課程や学校における生. 教師の意欲は高くなるであろう。この意味で、勤務上の. 涯学習など学校教育の専門的事項の職務は教育長と指導. 扱いも公開講座の促進を左右する条件の一つといえる。. 主事が中心になって担うことになるが、末配置のところ. 公開講座は勤務時間内に行われる場合と勤務時間外に行. では学校教育の専門職と位置づけられるのは教育長しか. われる場合があるので、二つの場合それぞれについて、 正規の勤務扱い、職務専念義務免除の扱い、年休扱い、. いないことになり、専門的職務には、それを行おうとす れば教育長自らが専らあたらざるをえないようである. 校長に委任、特に定めていない、のいずれであるかを聞 いた。. (注20)。専門的職務の担い手が異なるのであるから、教育. (参内的条件整備 ・手引き・資料の作成. とになる。すなわち、配置教委では教育長と指導主事を 中心とする事務局職員の職務遂行に対する影響力として、. ・研修の実施. 一方、未配置教委では教育長自身の職務遂行に対する影. ・研究校設置. 響力として作用する。このようにその影響対象が違うと. 5.教育課程および生涯学習に関する職務遂行の 要因分析のための説明変数の設定 上記の、教育課程に関する職務遂行(教育課程行政) と学校における生涯学習に関する職務遂行(生涯学習行. 長特性の影響対象も配置教委と未配置教委では異なるこ. 影響の与え方も異なると予想されるので、教育長特性の 職務遂行度に対する規定力は両方の場合で調べることが 必要となる。そこで、教育長特性との関連性分析は、指 導主事設置と未設置に分けて行うことにする。 ・属性(年齢、在任期間、キャリア). 政)を表す変数をもとに、それぞれについて教育委員会 (教育長・事務局)の職務遂行度(連続量)を作成し. 属性は外部からの判別が容易であるだけに、ある人物 の行動スタイルやその人物が影響力を有する組織の運営. (作成方法の詳細は後述)、職務遂行度に違いをもたらし ている要因の析出を行う。むろんこの場合も、さまざま. スタイルの要因として引き合いに出されることが少なく ない。教育長の属性についてもそうしたことがいえよう。. な要因が絡んでいるであろうが、この分析は職務遂行度. ここでは教育長の属性として具体的には、年齢、在任期. のすべての要因およびその相互関係の解明を意図してい. 間、キャリア(前職)を取り上げる(生涯学習行政では. るのではない。既述のように、本研究の要因分析は、政. 前職のみ)。一般にいわれるように、教育長の年齢の若. 策決定過程パタンの要因分析がそうであったように、教. い方が事務局に活気がでて、仕事もよく行うようになる. 育委員会の政策過程の(この分析では政策実施過程の) 改革・改善の方策を案出したり、既提示のそれを(再). のか。在任期間の長い方が同じ方針での事務局運営が継. 検討することに資するデータを得るというきわめて実践. 続するので、仕事もよく行われるのか。市町村教育長の 大部分は教職(ほとんど校長経験者)か一般行政職幹部. 的関心から行われるものである。方策の案出・検討に貢. (-部長、 --1課長、 I一一室長など)のいずれかの出身であ. 献する変数を選定するという観点から、次のような変数. るが(注21)、このキャリアの違いが教委の職務遂行度に. (群)を設定した。これらを説明変数、職務遂行度を被. も違いをもたらしているのか(注22)。本研究の選定した. 説明変数(目的変数)としてその関連性ないし関連度を. 職務は学校に関するもの(教育課程、生涯学習)である. 測定し、統計的有意性を検定する。. ので、違いの現れる可能性は高いと考えられる。. (1)教育長特性. これら特性が職務遂行度の要因であるのなら、職務遂.

(8) 66. 行度を高める方策を考案することは、その方策の実現可. の向上にも寄与しているのであろうか。この部署は地域. 能性は別にして、必ずしも難しいことではない。臨教審 等によって、一定期間その職にあって計画的、継続的に. 住民を対象とする生涯学習行政(従前の社会教育行政). 職務に専念できるように教育長に任期制を導入すること. うであろうか。学校を対象とした生涯学習行政推進にも. が提言されたが(注23)、在任期間との関連性の分析結果. こうした組織体制整備は有効に機能しているかを検証し. は、この提言の根拠を確かめる一つのデータとなる点で. ようというわけである。機能していないのであれば、そ. も有用であろう。. のための体制整備を改めて検討する必要がでてくる。. ・専門性. (3)都道府県教育委員会の指導経路特性(教育課程行政 sra;. 教育長がいかなる専門性を有する人物であるかも、彼. のみを専ら行っていると考えられないこともないが、ど. 自身と彼の統括する事務局の職務遂行の態様に少なから. 都道府県教委の市町村教委に対する指導・助言・援助. ぬ違いを生んでいるであろう。先行研究でも、教育長の. の経路の変数説明のところでも述べたが、法制上は、市. 高い専門性が職務遂行度を高めている可能性が示唆され ていた(注24)ここでは専門性の内容として具体的には、. 町村立学校の条件整備を行う責任は本来、それを設置し た市町村の教育委員会にあり、地教行法48条の指導・. 学校教育に関する専門的知識、教育行政に関する専門的. 助言・援助規定は、都道府県教委から市町村(教育委員. 知識、行政事務の処理能力を取り上げる。こうした特性. 会はその機関の一つ)へのそれであり、市町村教委の管. は、むろん前出の経歴と直結しているとみることができ. 轄する学校等に対するものは含まれないと解される。し. よう。すなわち、校長職出身者は学校教育の専門性、一. かし実際には、都道府県教委はいくつかの経路を用いて. 般行政職出身者は行政事務の処理能力が高い。. 市町村立学校に対して指導を行っていることは経験的に. (2)教育委員会事務局特性. 否定できない。ここで問題にしたいのは指導の経路であ り、指導がどのような経路を通じて行われるかは、先行. 教育委員会の職務事項を直接かっ具体的に処理してゆ くのは事務局である。したがって当然、事務局にかかわ. 研究も示唆しているように(注27)、市町村教委のその管. る特性もその職務遂行の態様を左右する重要要因と想定. 轄する学校に対する職務遂行の態様を大きく左右してい. できる。ここで取り上げる事務局特性は、その規模と組. ると考えられる。都道府県教委から市町村立学校へのい. 織体制である。 ・常勤の職員数. わゆる「直接指導」が多ければ、市町村教委は指導の必. 事務局規模は常勤の職員数(注25)で表すが、本研究の. 要性をそれほど感じず、自ら行うことは少なくなるかも しれない。一方、それが市町村教委を経由するものであっ. データでも、先行研究がいうように市町村教委の事務局. たり、市町村教委と共同で行われるものであれば、それ. 規模と職務遂行度は比例的に関連しているかを確認する. に触発されて市町村教委はより職務を行うようになるか. ために行う。事務局職員数は教育委員会の設置単位の人. もしれない。いずれにしろ、都道府県教委の指導経路と. 口規模にはぼ完全に連動するので、職員数と職務遂行度. 市町村教委の職務遂行度との関連性分析は、市町村教委. の関連性分析は設置規模と職務遂行度の関連性を明らか にすることにもなる。ただ、本研究は教委の職務領域と. の職務遂行度の向上つまり市町村教委の活性化という観 点から都道府県教委の指導・助言のあり方を考える際の. して生涯学習行政も取り上げるが、これは新しい職務領. 実証的データとなろう。. 域であるだけに必ずしも規模とは関係がないことも考え られる。. ・指導主事配置の有無・数 事務局は単に職員数を揃えるだけでなく専門性も備え ている必要があるが、指導主事の有無・数を学校教育に 関する専門的指導体制整備の指標の一つとみなして、職 務遂行度との関連性を分析する。指導主事が設置されて おれば、そしてその数の多いほど職務遂行度は高くなけ ればならないが、果たしてそうか。 ・生涯学習関係事務の専門部署の有無(生涯学習行政の m 生涯学習関係の事務を専門に扱う部署を設置する市町 村教育委員会が増えてきている(柱26)。こうした組織体 制整備は生涯学習行政の推進を目的とするものであるが、 それは学校における生涯学習に関する教委の職務遂行力. 荏. (注1)加治佐哲也(1997) 「教育委員会の政策過程の 分析枠組(その-)」 『兵庫教育大学研究紀要』 第17巻。 (注2)次の調査研究は、教育委員会の職務を、学校教 育関係(学校設置、教員研修、教育課程、教材 の取扱の四領域)、社会教育関係(社教機関設 置、職員研修、青少年教育、社会体育の四領域)、 教育委員会関係(職員研修、広報の二領域)の 三分野に分けて、それぞれにおける遂行実態を 調査分析し、職務遂行の度合や独自性が職務の 分野と領域で異なっていること発見している。 加治佐(1987) 「市町村教育委員会に関する実.

(9) 教育委員会の政策過程の分析枠組(その二). 証的研究- 『地方分権』理念の現実」 『日本教 育行政学会年報』第13号。 また、次の調査研究もこのことを明示してい. 67. (注17)演口実(1992) 「学校施設の複合化に関する調 査研究-共同利用施設の実状-」兵庫教育大学 学校経営研究全編『現代学校経営研究』第5号。. る。永岡順・佐藤武彦(1962) 「地方教育委員 会教育長の職務遂行の実態-学校管理を中心と. (注18) 『学校経営』 (第一法規)、 『社会教育』 (全国社. して-」 『国立教育研究所紀要』第33集、 p.10。 (注3)その他のものとして、広報、文化財保護、ユネ スコ、宗教などに関する職務がある。. 習全集1 ・生涯学習の基盤整備』ぎょうせい、 岸本達三(1994) 「公立小中学校における『学. (注4)加治佐(1987)。. 校経営研究全編『現代学校経営研究』第7号、. (注5)たとえば、次の論考は、昭和30年代半ば以降、. 兵庫県など各府県・市町村の教育委員会の広報 誌・予算説明書、など。. 会教育連合会)、岡本包治(1993) 『現代生涯学. 校開放講座』に関する一考察」兵庫教育大学学. 学校経営の中核は「教育課程の管理」にあると の認識が指導行政上も、学校経営上も自覚化さ. (注19)市町村教委における指導主事の平均配置率は3. れてきた、としている。中留武昭(1987) 「教. 割程度であるが、これも教委問の差が大きい。. 頭の職務・権限の確立と今日的課題」 []本教育. すなわち、人口10万人以上の都市教委ではほ. 経営学会編『講座日本の教育経営第6巻・教育. ぼ100%配置されているが、 3万人未満では30 %を下回っており、 8千人未満では1割程度の. 経営と指導者の役割』ぎょうせい。 (注6)木田宏(1983) 「教育委員会の今日的課題」 『日. 配置率にすぎない。しかも、 3万人未満では配. 本教育行政学会年報』第9号、 pp. 12-14。 (注7)とくに教育委員会の教育課程に関する職務遂行. 置されていても、一人である(文部省(1994). をプロセスとして把握する志向を示した次のも のを参考にし、プロセスの要素としてさらにい. 『地方教育行政調査報告書(平成5年5月1日 現在)』)。人口3万未満の市町村教委が大多数 であり、したがって市町村教委では指導主事の. くつかを加えた。加治佐哲也(1992) 「市町村 教育委員会の教育課程行政-その実状と規定要. (注20)加治佐(1992)。また、全国都市教育長協議会. 因-」兵庫教育大学学校経営研究全編『現代学. の「地方分権推進委員会に対する要望書」 (辛. 校経営研究』第5号。. 成8年6月11日)は、 「小規模市町村の場合、 教育長は学校に対して直接指導を行うようなこ. (注8)加治佐(1992)、 pp.2-4。 (注9)加治佐(1992)、同。 (注10)金子照基他(1983) 「新学習指導要領に対する. 置かれていないことが決して珍しくない。. とも多い」と述べて、教育長の役割の重要性を 強調している。. 教育委員会の対応の実態とその類型化一都道府. (注21)堀和郎・加治佐(1988) 『市町村教育委員会に. 県と市町村の教育委員会の対応パターンの特色 とその連関を中心に-」 『日本教育行政学会年. 関する調査研究- 『教育行政の住民統制』の理 念と現実-』昭和61 - 62年度文部省科学研究. 報』第9号。小松茂久(1995) 「生活科の導入 と学校組織特性」金子編著『学習指導要領の定. 費報告書(1986年実施) pp.7-13 25-29。 (注22)実際に東京都のある市の教育長の職務行動を参. 着過程一指導行政と学校経営の連関分析』風間. 与観察した次の研究では、たとえば教育長の学. 書房。. 校訪問において校長出身教育長は障害児の学校. (荏ll)加治佐(1995) 『学校と教育委員会の連携に関 する実証的研究一学校管理規則の運用実態の分. 教育における扱いなど細部にまで気がつき、そ れへの対応を事務局に指示するが、一般行政出. 析-』科研費報告書(研究代表・清水俊彦)、. 身教育長であればそうしたことはまずあり得な. pp.3-4o. いことが、具体的に報告されている。近藤剛(1. (注12)加治佐(1995)、 p.4。. 997) 「教育委員会のエスノグラフイー」兵庫教. (注13)提出前に行われるいわゆる事前指導は、 ①の指 導・助言活動に含まれる。. 育大学学校経営研究全編『現代学校経営研究』. (注14)加治佐(1987)、 p. 226。加治佐(1992)、pp.3-4。 (注15) 26.7!の市町村教委が、その学校管理規則に. (注23)臨時教育審議会『第二次答申』 (1986年4月). 教育課程の実施状況もしくは実施結果を学校か ら教委に報告させる旨の規定を設けている。加 治佐(1995)、 p.4。 (注16)臨時教育審議会『第一次答申』 (1985年6月)0. 第10号。 Ui'。. (注24)加治佐(1992)。 (注25)市町村教委の事務局職員の平均数は17.5人 (平成5年度)であるが、教委間の差がきわめ て大きく、人口30万人以上の大都市教委では.

(10) 68. 100人を超えるのに対し、 8割近くを占める3 万未満の教委では平均数を下回り、 1万5千人 未満では10人を切っている(文部省(1994))。 したがって、わが国の大多数の市町村教委の事 務局は規模が小さい。 (往26)本調査のデータでは、すでに74.1% (217教委) の市町村教委が設けている。ただし、本調査の 対象は生涯学習宣言都市ないしモデル市町村で あり、この設置率は全国平均より高いと考える べきであろう。. (注27)加治佐(1992)。.

(11) 教育委員会の政策過程の分析枠組(その二). 69. Constructing an Analytical Framework for Investigating the Policy Process Associated with the Board of Education, Part 2: Policy Implementation Process. Kajisa, Tetsuya. My study aims at constructing a framework for analyzing a policy process (which constitutes policy making, policy implementation and policy outcome) associated with the board of education in Japan. It is essential to investigate (1) the dynamics of these two policy making and implementation processes, (2) the factors which account for these dynamics, and (3) the patterns of. relationships that can be found among the three steps of policy making言mplementation and outcome, m an attempt to develop reformed plans concerned with the board of education system. Thus, an analytical framework is proposed to accomplish the three objectives mentioned above. The theoretical framework which 1 chose to get access to the phenomena of policy proc〟. esses associated with the board of education is based on the "political system theory" claimed by. D. Easton. According to this theory, policy decision making followed by the board of education means authoritative allocation of values" related to public education and/ or educational administration, which is therefore characterized as the "political process". Policy output decisions made by the board of education is then implemented by superintendents as well as department-ofeducation staffs. This implementation process as feedback is characterized as the " administrative process. A certain period of such implementation produces policy products or outcomes(e.g., school-curriculum improvements, students'achievement advancements) , which in turn automatically create new demands and stresses, which further initiate newer policy processes. The theoretical framework and the policy decision-making framework already have been explained and constructed in Part 1. Subsequently, in this paper (Part 2) I attempt to construct a framework for analyzing a policy implementation process. Three of advising from prefectural board to municipal board, school curriculum, and life-long learning were selected from among many admmistarative areas of the school board. For example, the variables associated with curncular administration by the municipal boards include adivising school teachers, assessing curriculum applications sent in by principals, and inspecting curricular implementation at individual schools. The factors attributable to the actual situations of curricular administration are assumed to consist of the foflowing: (1) The characteristics of superintendents (their age, the term of office, career, and expertise), (2) the characteristics of cental offices (the number of full-time oficers and supervisors), and the kinds of routes by which the prefectural boards of. education give advice and support to schools under municipal boardsつuridiction. A framework to account for the patterns of interrelationships among the three phases constituting the whole policy process will be explored as a follow-up..

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