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時間を基準とした原価配賦に関する一考察

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Academic year: 2021

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(1)時間を基準とした原価配賦に関する一考察 高 橋 賢. 1.はじめに. 以降盛 ん に 議論 さ れ た ABC(Activity-Based Costing)における付加価値活動と非付加価値. タイムベース競争(time-based competition). 活動 の 分析 で も,非付加価値活動 で 消費 さ れ. という言葉に象徴されるように,近年,企業の. た時間の再配分が問題にされている.(水島,. 競争優位の源泉の一つとして,時間というもの. 2008.). が重視されるようになってきた.競争の舞台の. 時間 を 技法 の 名前 に 冠 し た も の と し て は,. グローバル化,そして生産・販売を支えるイン. Preiss and Ray( 2000)の Time Based Costing. フラ (コンピュータに統合された生産システム,. がある.これは,TOC あるいはスループット. IT,輸送網など)の発達により,コストや品. 会計で取り上げられる制約に焦点を当てた利益. 質といったものだけを重視していても競争には. 最大化問題であって,Costing そのものに時間. 勝てない.企業にとって,それらの要素は必. を取り入れようとするものではない.. 須のものであるが,これに加えて開発サイクル. 本論文では,原価計算(原価配賦)そのもの. の短縮,柔軟な生産,クイック・レスポンスと. に対して,時間を尺度にした計算方法である. いう要素が必要とされてきている. (Kasarda,. Time-Driven Activity-Based Costing: TDABC. 1999, p. 25.). と,Time-Based Accounting: TBA を 取 り 上. Drucker は,1990 年に著した論文で, 「1999. げ,それぞれの狙いと原価計算の理論的側面か. 年の工場はいかにして構築され管理されなけれ. らの比較・検討を試みる2).. ばならないのかを示す 4 つのコンセプト」とい うものを示している. (Drucker, 1990.)そこで. 2.TDABC. 提示されているものの一つに,原価計算に対す. 2. 1 ABC の問題点と TDABC の提唱. る変革がある.原価計算における新しい測定尺. TDABC( Time-Driven Activity-Based. 度は時間でなければならないと指摘している.. Costing)は,Kaplan and Anderson に よって. もはや,原価の変動性や管理可能性を説明でき る尺度は時間しかない,とも指摘しているので ある. (Ibid., p. 98.) 管理会計の文脈でも,非財務尺度,特に時間の 重要性についての議論は数多く行われてきた1). た と え ば,Kaplam and Cooper(1998)で は, プロセスの改善におけるスピード:サイクル・ タイムの重要性が指摘されている.1990 年代. . 1)こ れ に つ い て は,水島(2011)で 詳細 に 検 討されている. 2)なお,本稿 の 着想段階 で,TBA の 提唱者 で ある Robert Hutchinson 氏(Assintant Professor at University of Detroit Mercy)から有用な示唆を得 た.記して謝意を表したい.ただし,本稿における 議論については,すべて筆者の責任の下に行ってい ることはいうまでもない..

(2) . 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). (312). 表 1 ABC の論文数の推移 年. 1988. 1989. 1990. 1991. 1992. 1993. 1994. 1995. 1996. 1997. 1998. 1999. 2000. 2001. 2002. 2003. 2004. 本数. 3. 6. 27. 62. 96. 146. 149. 152. 130. 146. 126. 102. 71. 72. 74. 62. 53. (出所:Gosselin(2007),p. 664.) 2004 年より提唱されているものである.. 英国で行われた Innes, Mitchell and Sinclair. ABC は,当初,正確 な 製品単位原価計算 を. (2000)の 調査 で は,1994 年 と 1999 年 の 結果. 企図して提唱された.その基本構造は,資源か. を比較している.その調査では,現在採用して. らそれを利用・消費する活動へ資源ドライバー. いると答えた企業は,21% から 17.5% に減少. を介して原価を集計し,その原価を活動の利. している.また,採用を検討していると答えた. 用・消費に応じて活動ドライバーによって製品. 企業については,29.6% から 20.3% とやはり. に割り当てる,という構造である.. 減少し,ABC をまったく考えていないと答え. ABC は日米欧の学界で熱狂的に受け入れら. た企業は 36.1% から 46.9% と増加している.. れ,1990 年代半ばをピークに,大いに議論を. わが国では,学界での盛り上がりとは対照的. 呼んだ.たとえば,Gosselin(2007)は,ABC. に,実務での反応は醒めたものであった.た. をキーワードとして検索した場合の欧米におけ. とえば日本会計研究学会特別委員会(2000)が. る各年の論文数の推移を集計している3).表 1. 1998 年に行った調査によれば,ABC を採用し. の通りである.. ている企業は 330 社中 22 社,6.7% であった.. 学界では熱狂的に受け入れられた ABC であ. 採用していた企業においても,ABC をやめて. るが,実務での適用状況ははかばかしいとはい. しまった例が,伊藤(2007)で示されている.. え な かった.Smith(2005)は,ABC に お い. ABC を 実際 に 導入・運用 し よ う と す る と,. てもコストプールやドライバーの選択におい. 様々な問題点が明らかになったということは,. て恣意性 を 排除 できないこと,また,データ. 当初 ABC を推進していた Kaplan からも示さ. 収集の困難性が存在するなどの問題点を指摘. れている.彼は Anderson との共著の中で,次. している.また,Smith(2005)は,Ness and. のように指摘している.必要なデータの収集. Cucuzza(1995)の 見積 で は,ABC を 採用 し. には非常に時間とコストがかかること,デー. 続けている企業が米国では 10% 以下であるこ. タが主観的になりやすいこと,システムの運用. とを示し,この結果から,ABC の導入による. には多額のコストがかかること,モデルが硬直. 便益がそのコストを上回っていないというこ. 的になりやすいこと,未利用のキャパシティを. とと,採用した側にそういう自覚があるとい. 測定しづらいこと,などである.(Kaplan and. うことが裏付けられているのだ,と指摘する.. Anderson, 2007, p. 7.). (Smith, 2005, pp. 114─115.) . 3)書評や編集後記のようなものは除いてある. 同様に,活動基準原価計算をキーワードにして CiNii による検索を行い,わが国における論文数の推移 を調査したところ,次のようになった. 年. 1990. 1991. 1992. 1993. 1994. 1995. 1996. 1997. 1998. 1999. 2000. 2001. 2002. 2003. 2004. 本数. 3. 2. 17. 13. 7. 20. 22. 51. 56. 44. 51. 44. 59. 38. 24.

(3) 時間を基準とした原価配賦に関する一考察(高橋). (313). . こ れ ら の 問題点 を 克服 す る た め に,Kaplan. 客の問い合わせへの対応,与信審査という三. and Anderson は,TDABC を提唱したのである.. つの活動が行われている.4 半期でこの部門で. Kaplan and Anderson は,従来の ABC の問. 発生するコストは 567,000 ドルであると見積も. 題は,資源の原価を資源ドライバーを通じて活. られる.28 人の従業員が働いており,四半期. 動に割り当てるプロセスに起因すると考えた.. で の 勤務時間 の の べ 合計 は 756,000 分(7.5 時. また,彼らは,資源の利用を測る尺度は,時間. 間× 60 分× 20 日× 3 × 28 人)で あ る.こ れ. という変数にほぼ集約できると考えた.そこで. が い わ ゆ る 理論的生産能力(theoretical)で. 彼らは,資源ドライバーによる活動への資源コ. あ り,そ の う ち の 実際的生産能力(practical. ストの割当をやめ,時間という尺度を使って資. capacity)である実働時間は 630,000 分である.. 源コスト活動別に割り当てることにした.. 活動別の原価の集計は,2 つのステップを踏. 従来の ABC でも,時間という尺度は考慮に入. む.まず,コスト・ドライバー・レートを算定. れられていた.たとえば,Kaplan and Atkinson. する.これは,キャパシティ単位あたり時間の. (1998)で は,ア ク ティビ ティ・コ ス ト・ド ラ. 原価の見積と,活動単位あたり時間の見積から. イ バーと し て,取引 ド ラ イ バー(transaction. 算定される.この二つの見積からコスト・ドラ. drivers) ,時間 ド ラ イ バー(duration drivers) ,. イバー・レートを算定するところに,TDABC. 強度ドライバー(intensity drivers)があげられ. の容易さと柔軟性があるという.そして,この. ている.このうち,時間ドライバーは,取引ド. コスト・ドライバー・レートに各活動の活動量. ライバーだけでは捕捉できない活動の差異を捉. (利用時間)を乗じることで,活動に対して原. えるために,時間をドライバーとするものであ. 価を集計することになる.. る.これは取引ドライバーよりも正確ではある. この部門のキャパシティの 1 分あたりのコス. が,利用するのには費用がかかると指摘してい. ト は 0.9 ド ル(=567,000 ド ル ÷ 630,000 分)で. る. (Kaplan and Atkinson, 1998, pp. 108─109.). ある.活動一単位あたりの原価をコスト・ドラ. TDABC では,まず資源コストと総利用可能. イバー・レートと呼んでいる.たとえば顧客. 時間から,キャパシティの時間当たりコストを. 注文処理の場合は,活動 1 単位あたりの標準時. 算定 す る.次 に,活動一単位当 た り の 標準時. 間が 8 分である.コスト・ドライバー・レート. 間を測定し,それに先の時間当たりコストを. は,0.9 ドル/分× 8 分= 7.2 ドルとなる.この. 乗じて活動一単位あたりの原価=コスト・ドラ. コスト・ドライバー・レートに活動量を乗じる. イバー・レートを計算する.このコスト・ドラ. と,活動別 の 原価 が 計算 さ れ る.Kaplan and. イバー・レートに活動量を乗じることで,活動. Anderson によって示された計算結果は,表 2. 別のコストが計算される.資源コストの総額か. の通りである.. ら活動別に集計されたコストの合計を控除する. このような計算によって,従来の ABC では. と,未利用キャパシティのコストが計算され. とらえることが難しかった未利用キャパシティ. る.Kaplan and Anderson は,この未利用キャ. のコストが容易に把握できるようになるという.. パシティ・コストの測定が TDABC の大きな 特徴であるとしている.. 2. 3 時間方程式 資源利用の尺度を時間に一本化しているが,. 2. 2 TDABC の構造. 時間方程式と呼ぶ公式によって,プロセスの複. TDABC の 構造 を 知 る た め に,Kaplan and. 雑性は十分描写できるという. 時間方程式は,. Anderson が示している例を取り上げる.. 業務プロセスの所要時間を見積もるための公. 顧客 サービ ス 部門 で は,顧客注文処理,顧. 式であり,TDABC の中核をなすものである..

(4) . 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). (314). 表 2 TDABC の原価報告書 活 動 顧客注文処理. 活動量. 単位あたり時間(分) 総利用時間(分) コストドライバーレート. 原価割当額の総額. 51,000. 8. 408,000. $7.20. 問い合わせへの対応. 1,150. 44. 50,600. $39.60. $45,540. 与信審査. 2,700. 50. 135,000. $45.00. $121,500. 総利用量 未利用キャパシティ 総提供量. $367,200. 593,600. $534,240. 36,400. $32,760. 630,000. $567,000. (出所:Kaplan and Anderson(2007),p. 13.) 次のように表される. (Kaplan and Anderson,. キャパシティに関する予算の編成が可能とな. 2007, op. cit., p. 31.). り,資源必要量を予測できる. ⑦会社全体に適用可能なソフトウェアおよび. 業務プロセス時間=個々のアクティビティ時間 の合計 =(β0 +β1 X1 +β2 X2 ・・・+βi Xi) β0:基本アクティビティを遂行するための 標準時間 βi:追加的アクティビティに要する時間の 推定値 Xi:追加的アクティビティの量. データベース技術を通じて全社モデルを容易 に設計できる. ⑧モデルに対して,迅速でコストがかからな いメンテナンスが可能になる. ⑨利用者が問題の根本的な原因を識別するた めに,有用できめ細かい情報を提供すること ができる. ⑩顧客,製品,流通チャネル,セグメント, および業務プロセスなどが複雑な業態や企業. 2. 4 TDABC のメリット. や,多数の従業員が存在し多額の資本支出を. Kaplan and Anderson( 2007) に よ れ ば,. 行っている業態や企業にも使用することがで. TDABC の メ リット は 以下 の 通 り で あ る.. きる.. (Ibid., p. 18.) ①容易かつ迅速に精緻なモデルを設計するこ. 2. 5 未利用キャパシティの測定. とができる.. 前 述 の よ う に,Kaplan and Anderson は,. ② ERP と顧客間連経営管理システムからす. 従来の ABC では未利用キャパシティの測定が. ぐに入手データとうまく統合することができ. 十分にできないという点を問題にしている.そ. る.. し て,未利用 キャパ シ ティの 測定 に TDABC. ③コストを,それぞれの注文,プロセス,仕. が有用であることを強調している.. 入れ先,顧客に関連する個別の性質を反映し. 未利用 キャパ シ ティの 測定 と い う 発想 は,. たドライバーを用いることにより,取引や注. Kaplan が ABC を 提唱 し て い る 時 か ら 持って. 文に割り当てる.. いたものである.. ④直近の営業の経済性をとらえるために,毎. Cooper and Kaplan(1992)で は,活動 を 介. 月計算し直すことができる.. してキャパシティの消費部分と未利用部分とを. ⑤業務プロセスの効率性とキャパシティの利. 認識しようとしている.それは,次の等式で表. 用度を可視化できる.. される.(Cooper and Kaplan, 1992, p. 3.). ⑥注文の量と複雑性の予測に基づいた資源.

(5) 時間を基準とした原価配賦に関する一考察(高橋). 利用可能な活動(Activity Availability) =利用した活動(Activity Usage) +未利用キャパシティ(Unused Capacity). (315). . 3.Time-Based Accounting 3. 1 サイクル・タイムによる製造間接費の配賦 TDABC がそれまでの ABC の構造を大幅に. これを原価で表すと,. 改変 し,時間 を 尺度 の 中心 と し た 計算構造 に. 提供された活動の原価(Cost of Activity Supplied). 転換した一方,さらに大胆に時間のみで製造. =利用した活動の原価(Cost of Activity Used). 間接費を配賦しようとする試みもある.それ. +未利用 の 活動 の 原価(Cost of Unused. が,サ イ ク ル・タ イ ム を 基準 に 製造間接費 を. Activity). 配賦 し よ う と い う Hutchinson の Time-Based Accounting: TBA である.. この利用度は,実際的生産能力を基礎として 測定する.この未利用キャパシティは,伝統的. 3. 2 戦略と原価計算のリンケージ. な標準原価計算における操業度差異と次の三つ. Hutchinson(2007)は,現行 の 管理会計 シ. の点で異なるという.まず,伝統的な操業度差. ステムが,戦略,業務改善,競争圧力などの相. 異は,財務的な数字で集計された結果にすぎず,. 違を反映していないとし,新しい計算体系の提. 提供された資源の数量がわからない.また,通. 唱を試みる.そこでは,原価計算を捨ててしま. 常標準原価計算では配賦率の分母に予算操業度. うのではなく,戦略の成功の尺度と製品原価を. を使っている.そして,伝統的な原価計算にお. 直に結びつけるような原価計算が必要であると. ける製造間接費の配賦手続きは,棚卸資産評価. している.(Hutchinson, 2007, p. 32.). 目的以外の経営目的には有益な情報が得られな. TOC の論者が,「原価計算は生産性向上の第. いとする. (Ibid., p. 3.). 一の敵である」としているのにもかかわらず,. 未利用 キャパ シ ティの測定 と 管理に つい て. 依然として原価を主要な意思決定の基準として. は,Kaplan and Cooper(1998)でも採り上げ. いるという実態であることを指摘する.そこで,. られている問題である.そこでは,先の 1992. 「今日の管理会計担当者の現実的なチャレンジ. 年の論文と同じく,ABC を基礎にして未利用. は,製造戦略を製品原価に結びつけることであ. キャパシティの測定を行うことを主張してい. る」というのである.(Ibid., p. 33.). る.ただし,この 1998 年の著書の時点で,彼. Johnson and Kaplan の Relevance Lost を 機. らはキャパシティの測定の難しさについて言及. に,管理会計の見直しの気運が高まった.その. するようになっている.. 一つが ABC の議論である.Hutchinson は基本. 未利用キャパシティの測定と管理に焦点を当. 的に ABC と伝統的原価計算との間には決定的. てたとき,従来の ABC では複雑すぎてそれが. な違いはないと考えている.ABC は理論的に. 実行できないという問題に突き当たった.そこ. はより正確な製品原価の計算ができるとされて. で,Kaplan は資源利用の測定尺度を時間とい. いるが,実際の導入では非常に問題があるとい. う尺度に一元化することにより,測定と管理を. うことを指摘している.それは単にシステムの. 容易に行うことができるように工夫したものと. 開発と運用が難しい,という問題だけではない.. 考えられる.. Hutchinson は,ABC も伝統的原価計算と同じ. TDABC によって未利用キャパシティを測定. く戦略を製品原価に結びつけることができてい. することで,需要予測やキャパシティ供給量に. な い と 指摘 す る.ABC に も,Relevance Lost. ついての意思決定に役立てようと考えている.. の「デジャヴ」があるというのである.(Ibid.,. (Kaplan and Anderson, 2007, op. cit., p. 61.). pp. 37─38.).

(6) . 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). (316). 製造サイクルタイム. 注文受入時間 注文待ち時間. 注文配送時間. 顧客 の注文. 顧客 の受取. 顧客応答時間 (出所:Hilton et al.(2006),p. 262.). 図 1 顧客応答時間の内訳. 3. 3 企業の戦略と時間. 戦略上重要なのであろうか.. グローバルな市場環境下で競争優位を築くに. Hilton et al.(2006)は,成功している組織で. は,顧客の需要に対して迅速に対応すること. は,競争市場においては,新製品と新サービス. が必要であるとする.今日の,グローバルレ. の開発時間,顧客応答時間,サイクル・タイム. ベルでの熾烈な競争下では,多くの製造業者が. という三つの次元の「時間」を継続的に短縮す. time-based manufacturing(TBM)と い う 新. ることが必要とされているという. (Hilton et al.,. しい戦略をとってきたという. (Ibid., p. 31.). 2006, p. 261.)顧客応答時間の内訳は,図 1 の通. 企業は,スピードと品質が,市場における製. りである.. 品の特別価額を実現するだけではなく,長期に. 応答時間の改善には,作業プロセスの単純化. わたって発生する増分原価を減少させ,より大. と短縮化が要求されるとともに,品質の改善を. きな収益に導いてくれるのだということを自覚. 常に行う必要がある.悪品質は,検査や再作業. している. (Ibid., p. 33.). などを必要とするため,時間を無駄に使ってし. 日本企業 に お い て は,リーン・マ ネ ジ メ ン. まう原因となるからである.悪品質を取り除く. トの一環として JIT や TQM が行われている.. ことは,プロセス・タイムを劇的に短くするこ. JIT や TQM は,TBM の 起 源 で あ り, 時 間. とにつながるという.(Ibid., p. 261.). を 重視 す る 競争者 は JIT や TQM の イ ノ ベー. 顧客応答時間とは,顧客から製品やサービス. ターであったとする.そして,TBM は,多少. の注文を受け,それを顧客に届けるまでに時間. の誇張はあるにしても,JIT や TQM の自然な. である.顧客応答時間を短縮するには,図 1 に. 発展形であるとしている. (Ibid.). あるそれぞれの要素を短縮する必要がある.. TBM において究極の業績評価尺度はサイク. そのなかでも劇的な効果があるのが,製造サ. ル・タイムである.これは,原料を投入してか. イクル・タイムの短縮であるという.サイク. ら完成品在庫となるまでの時間である.TBM. ル・タイムとは,製造プロセスのスタートから. では,サイクル・タイム,在庫回転率,オンタ. 完了までに把握される時間であり,誤りを正す. イム配送,新製品導入時間,納期などのような. すべての時間が含まれている.製造サイクル・. 時間の尺度が強調される. 管理会計システムは,. タイムは,非付加価値活動や悪品質に関連する. サイクル・タイムを強調し損ねているというの. 活動を除くことで,大きく改善される.(Ibid.,. である. (Ibid., p. 34.). p. 262.) このように,サイクル・タイムの短縮は,競. 3. 4 サイクル・タイム短縮の重要性. 争における重要な要素である顧客応答時間を短. サイクル・タイムの短縮はどのような意味で. 縮することに大きく貢献する.その短縮のプロ.

(7) 時間を基準とした原価配賦に関する一考察(高橋). (317). . 表 3 製品の属性 製 品 A. B. C. 生産量. 大. 中. 小. 需要の幅. 小. 中. 大. 間接活動の利用 使用部品の主なタイプ 伝統的原価計算の元での粗利益. 小. 中. 大. 標準. 混合. 特殊. 小. 中. 大. (出所:Hutchinson(2007),p. 38.). セスでは,必然的に品質の向上を図ることが必. Hutchinson は,TBA は 会計 シ ス テ ム に 劇. 要になるが,これがさらなる競争優位の源泉に. 的な変化を加えなくてもよいということから,. つながるのである.. ABC よりも導入が容易であると指摘している. (Ibid., p. 41.). 3. 5 TBA の計算構造. ま た,TBA は 現行 の 米国 の GAAP を 侵害. Hutchinson の 唱 え る TBA の 計算構造 は 非. するものではないということも指摘している.. 常にシンプルである.各製品の平均サイクル・. (Ibid., p. 38.). タイムを測定し,それに予算生産量を乗じるこ とで,総サイクル・タイムを算定する.製造間. 3. 6 TBA の狙い. 接費総額を総サイクル・タイムで除してサイ. TBA の狙いは,継続的にサイクル・タイム. クル・タイム当たりの配賦率を設定し,それに. の短縮と原価の削減へと経営管理者の目を向け. よって製品に製造間接費を配賦する,というも. させることにあるという.サイクル・タイムの. の で あ る.Hutchinson は,キャラ ク ターの 異. 短縮自体は,顧客応答時間の向上につながり,. なる 3 種類の製品について,直接労務費を基準. 収益機会を増やすという結果につながる.. とした伝統的な原価計算と TBA による計算方. 動機付けを目的とした原価配賦は従来から行. 法を計算例によって示している.製品の属性と. われている.たとえば,Hiromoto(1988)によっ. 計算結果は,表 3,表 4,表 5 の通りである.. て示された,日立の VCR 工場でのケースがあ. 製品の属性上,間接活動の利用度や特殊部品. げられる.この工場では,自動化が進んでいる. の利用度が高い製品(設例では製品 C)につい. にもかかわらず,直接作業時間を配賦基準とし. て,直感的には原価が高くなるものと思われる. て製造間接費を配賦していた.これはプロセス. が,直接労務費基準の計算ではそれが反映され. の実態を反映した計算結果とはならない.しか. ず,粗利益率が大きくなる.しかし,TBA で. しながら,このような配賦計算によって,より. は製品 C ではサイクル・タイムが大きいため,. 工場の自動化を進めたいという経営者の意図を. 粗利益率が小さくなる.間接活動の利用度や特. 反映させる行動を組織全体にとらせることに. 殊部品の利用度を間接費配賦に反映させようと. なった.(Hiromoto, 1988, p. 23.). いうのは,従来の ABC でも行われていた.こ. このケースと同様に,TBA の場合は,配賦. の TBA の設例では,それらの複雑性がサイク. という行為を媒介としてサイクル・タイムの短. ル・タイムの長さに反映されるということを暗. 縮へ動機づけするものである.. に示している..

(8) . (318). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). 表 4 伝統的原価計算の計算例 製品A. 製品B. 製品C. 全製品. 標準製造量. 1,400. 300. 100. 1,800. 直接労務費. 15. 30. 60. 20. 21,000. 9,000. 8,000. 36,000. 直接労務費合計 製造間接費総額. $75,000. 製造間接費配賦率. 2.08 製品A. 製品B. 製品C. 直接材料費. $20. $40. $80. 直接労務費. 15. 30. 60. 製造間接費配賦額. 31. 63. 125. 単位あたり製造原価. $66. $133. $265. 販売単価. $80. $200. $480. 14. 68. 215. 17.2%. 33.8%. 44.8%. 売上総利益 売上高総利益率. (出所:Hutchinson(2007),p. 39.) 表 5 TBA の計算例. 標準製造量 平均サイクル・タイム(分) 総サイクル・タイム. 製品A. 製品B. 製品C. 全製品. 1,400. 300. 100. 1,800. 20. 80. 240. 42. 28,000. 24,000. 24,000. 76,000. 製造間接費総額. 75,000. 製造間接費/ 1 サイクル・タイム. 0.99 製品A. 製品B. 製品C. 直接材料費. $20. $40. $80. 直接労務費. 15. 30. 60. 製造間接費配賦額. 20. 79. 237. 単位あたり製造原価. $55. $149. $377. 販売単価. $80. $200. $480. 25. 51. 103. 31.6%. 25.5%. 21.5%. 売上総利益 売上高総利益率. (出所:Hutchinson(2007),p. 40.) 4.原価計算の原理から見た TDABC と TBA. 4. 1 キャパシティ主導型 ABC としての TDABC ⑴ 資源の利用と消費. 時間を原価配賦の中心尺度におくという点で. 廣本(1997)によれば,資源の投入と利用は. は TDABC と TBA は共通しているが,その計. 区別しなければならないという.資源の「投入」. 算構造と原理については相違点がある.. と「利用」は区別される.資源の「消費」とは, 資源の「利用」ではなく,「投入」と意味して.

(9) 時間を基準とした原価配賦に関する一考察(高橋). (319). .     . 時間.  . 実際的生産能力. 理論的生産能力. . 未利用キャパシティ. 利用キャパシティ.   (筆者作成). . 図 2 TDABC のキャパシティ・モデル. いるのだという. (廣本,1997,45 ページ. ). る際に,その尺度を時間一本にすることで,未. 材料の場合は,投入と利用は同じであると考. 利用資源の測定を容易にしようとしたのであ. えられる.購入量と投入量が一致しない場合に. る.TDABC におけるキャパシティ・モデルは,. は,その差は在庫で調整される.労働力は,弾. 図2 の通りである.. 力的な資源投入が可能な資源である.ただし,. TDABC はキャパシティの捕捉,未利用キャ. 材料と違い,労働力は在庫ができない.購入し. パシティの認識に力点を置いている.いわば,. た労働力は,実質的には投入されるが,それは. キャパシティ主導型の計算システムである.そ. 「目的意識に基づいた投入」ではなく,利用さ. れは,Kaplan and Anderson(2007)の次の指. れなくても期間内に「消費」される. (前掲書,. 摘から明らかである.. 46 ページ. ). 「もしより正確に言うとすると,われわれは. 「消費の本質は,利用ではなく,投入である. 」. TDABC と い う よ り も,キャパ シ ティ主導型. 資源の消費は投入によって認識され,資源の消. ABC(Capacity-Driven ABC)というフレーズ. 費額(原価発生額)は,その投入額に基づいて. を使うべきであったろう.しかし,より容易な. 測定される. 機械の場合は, 特定の一時点をとっ. フレーズを使ったが,それはこのアプローチの. て消費と見なすのは不合理であり,その消費額. 元では,資源原価の大多数の部分が時間で表さ. は,投入期間にわたって消費される. (前掲書,. れるのである. 」 (Kaplan and Anderson, op. cit.,. 46─47 ページ. ). p. 59.). 以上から,労働力と機械については,投入・. キャパシティ全体の見積は,先にあげた計算. 消費と利用の間に差が生じることになる.その. 例にもあったように,提供可能な時間に基づい. 差は,不働能力・未利用キャパシティとして認. て行われる.つまり,供給サイドから見たキャ. 識される.. パシティである.. ⑵ 資源利用モデルとしての TDABC TDABC は,資源利用モデルである.そして,. 4. 2 需要主導型モデルとしての TBA. キャパシティ型の計算モデルである.もともと. TBA の 場合 は,資源 の「利用」と「消費」. 従 来 の ABC も Cooper and Kaplan( 1992) に. の区別をしない.そもそも,キャパシティとい. よって資源利用モデルとして位置づけられてい. う概念を用いない.TDABC では資源を利用し. た.TDABC では資源の原価を活動に割り当て. た時間と未利用の時間を区別することを強調し.

(10) 10. (320). 横浜国際社会科学研究 第 16 巻第 3 号(2011 年 9 月). ているが,TBA ではこのような区別は行わな. 映させた配賦計算が結果的に行われることにな. い.時間として用いる尺度は,サイクル・タイ. る.したがって,TBA は,単に動機付けのた. ムである.. めだけに単純化されている方法ではなく,ある. 前述 の よ う に,Hutchinson は TBM と リー. 程度資源の利用ないしは消費を反映した計算方. ン・マネジメントの結びつきに言及している.. 法であるということができる.原価計算とし. Hutchinson and Liao(2009)で は,ABC を 含. てある種の合理性は持っているものと考えられ. む 従前 の 原価計算 を Capacity Accounting と. る.. 称し,リーン・マネジメントにおける会計と 対比している. この分類から見ると TDABC. 5.むすび. は Capacity Accounting の 範 疇 に 入 っ て い. 本稿では,ともに時間を中心的な尺度とし. る. リーン・ マ ネ ジ メ ン ト で は,Capacity. て 配賦計算 を 行 う TDABC と TBA に つ い て. Accounting と は 違 い, (作 り 手側 か ら 見 た). 検討 を 行った.両者 と も 時間 に よって 資源 の. キャパシティの利用度に注意を払わない.むし. 利用・消費が説明できるということを明示的・. ろ,キャパシティの利用度に注視すると, 「作. 暗示的に示しているという点で共通している.. りすぎ」を誘発する.現金に結びつく利益を生. TDABC では時間方程式によって明示的に示し. まず,資金を拘束してしまう仕掛品の山を築い. ており,TBA ではプロセスの複雑性がある程. てしまうことになる.アイドルになっている部. 度サイクル・タイムの長さに反映されるという. 分は新たなコストを発生させるわけではないの. ことによって暗に示している.両者の根本的な. で,放っておいてもいいのである.需要に対す. 違いは,TDABC はキャパシティ主導型のモデ. るバッファーは在庫でとるのではなく,キャパ. ルであるのに対し,TBA が需要主導型のモデ. シティでとっておくことになる.需要に柔軟. ルであるという点である.. に対応するためである. (Hutchinson and Liao,. TDABC においては,キャパシティ全体を時. 2009, p. 30.). 間で測定し,未利用キャパシティを把握する.. 総サイクル・タイムの計算の基礎になるの. 未利用キャパシティの情報を,需要予測やキャ. は,各製品の予算生産量である.この場合,い. パシティ・サイズの意思決定に用いようとする. くつ作れるか,という供給サイドからの視点で. のである.. は見ない.需要サイドからの視点で生産量を見. TBA の考え方の底辺には,キャパシティは. 積もる.供給サイドからのキャパシティの見積. 所与であり,未利用キャパシティを測定したと. は,TBM と TBA にとってはむしろ邪魔な発. ころでそれは埋没したものであるという考え方. 想である.この点から考えると,TBA はいわ. があると思われる.未利用キャパシティに目を. ば需要主導型モデルであるといえる.. 向けることでムダな作りすぎを誘発するより. もし固定費が時間の経過とともに発生する原. は,製造間接費を一種の tax として配賦するこ. 価であるとすれば,経過した時間(消費した時. とで,サイクル・タイムの削減に目を向けさせ. 間)によって固定費を製品に割り当てるという. ることの方が重要であると考えている.. TBA の計算構造は,一定の合理性を持ってい. どちらが優れた方法かは,一概に決められる. る.また,前述の計算例にもあったように,サ. ものではない.企業の目的,情報インフラの程. イクル・タイムの長さが,資源への要求の複雑. 度,コスト・マネジメントに対する原価計算へ. 性を反映していることを暗に前提にしていると. の依存度によってどちらがよりフィットするの. すると,TBA では生産プロセスの複雑性を反. かは変わってくるからである..

(11) 時間を基準とした原価配賦に関する一考察(高橋). (本稿は,日本学術振興会科学研究費 基盤研究(C) 21530455 の研究成果の一部である.) 参考文献 Drucker, P. F., “The Emerging Theory of Manufacturing,” Harvard Business Review, May─June, 1990, pp. 94─102. Gosselin, M., “A Review of Activity-Based Costing: Technique, Implementation, and Consequences,” in C. S. Chapman, A. G. Hopwood and M. D. Shiels ed., Handbook of Management Accounting Research Vol. 1 (Amsterdam: Elsevier, 2007),pp. 641─671. Cooper, R. and R. S. Kaplan, “Activity-Based Systems: Measuring the Costs of Resource Usage,” Accounting Horizons, Sept. 1992, pp. 1─ 13. Fekrat, M. A., “The Conceptual Foundations of Absorption Costing,” The Accounting Review, April, 1972, pp. 351─5. Hilton, R. W., M. W. Maher and F. H. Selto, Cost Management: Strategies for Business Decisions (N. Y. : McGra-Hill Irwin, 3rd ed., 2006). Hiromoto, T., “Another Hidden Edge ─ Japanese Management Accounting, ” Harvaed Business Review, July─August, 1988, pp. 22─26. H u t c h i n s o n , R . , “L i n k i n g M a n u f a c t u r i n g Strategy to Product Cost: Toward TimeBased Accounting,” Management Accounting Quarterly, Fall, 2007, pp. 31─42. Hutchinson, R. and K. Liao, “Zen Accounting: How Japanese Management Accounting Practice Supports Lean Management,” Management Accounting Quarterly, Fall, 2009, pp. 27─35. Innes, J., F. Mitchell and D. Sinclair, “ActivityB a s e d C o s t i n g i n t h e U . K . ’s L a r g e s t Companies: A Comparison of 1994 and 1999 Survey Results,” Management Accounting Research, Sept. 2000, pp. 349─362. Kaplan, R. S. and S. R. Anderson, Time-Driven Activity-Based Costing: A Simpler and More Powerful Path to Higher Profits (Boston: Hardvard Business School Press, 2007) . (前 田貞芳,久保田敬一,海老原崇訳『戦略的収 益費用マネジメント─新時間主導型 ABC の. (321). 11. 有効利用』マグロウヒル・エデュケーション, 2008 年. ) Kaplan, R. S. and A. A. Atkinson, Advanced Management Accounting(N. J. : Prentice-Hall, 3rd ed., 1998) . Kaplan, R. S. and R. Cooper, Cost and Effect: Using Integrated Cost Systems to Drive Profitability and Performance(Boston: Harvard Business School Press, 1998). Kramer, P., “Selling Overhead to Inventory,” NACA Bulletin, Jan., 1947, pp. 587─603 Kasarda, J. D., “Time-Based Competition and Industrial Location in the Fast Century,” Real Estate Issues, Winter, 1999, pp. 24─29. Preiss, K. and M. Ray, “Time-Based Costing: Prat1 Costing for a Dynamic Business Enviroment,” The Journal of Corporate Accounting and Finace, May/June, 2000, pp. 65─74. Preiss, K. and M. Ray, “Time-Based Costing: Prat2 Scope and Application,” The Journal of Corporate Accounting and Finace, Sept./Oct., 2000, pp. 47─56. S m i t h , M . , P e r f o r m a n c e M e a s u re m e n t a n d Management(London: Sage Publications, 2005) . 河田信『プロダクト管理会計』中央経済社,1996 年. 河田信編『トヨタ 原点回帰の管理会計』中央経 済社,2009 年. 高 橋 賢『直 接 原 価 計 算 論 発 達 史』中 央 経 済 社, 2008 年. 高橋賢「 TDABC の本質とその課題」 『産業経理』 2010 年 7 月,128─136 ページ. 廣本敏郎『原価計算論』中央経済社,1997 年. 水島多美也「アクティビティ会計における時間の 研究─可能性 と 限界─」 『中村学園大学・中 村学園短期大学部紀要』2008 年 3 月,165─ 171 ページ. 水島多美也「管理会計研究における時間研究の位 置づけ:先行研究の整理と発展」 『商学論叢』 2011 年 3 月,259─281 ページ. [た か は し ま さ る 横浜国立大学大学院国際社 会科学研究科教授].

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表 2 TDABC の原価報告書 活 動 活動量 単位あたり時間(分) 総利用時間(分) コストドライバーレート 原価割当額の総額 顧客注文処理 51,000 8 408,000 $7.20 $367,200 問い合わせへの対応 1,150 44 50,600 $39.60 $45,540 与信審査 2,700 50 135,000 $45.00 $121,500 総利用量 593,600 $534,240 未利用キャパシティ 36,400 $32,760 総提供量 630,000 $567,000

参照

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