学生とともに「働くこと」を学ぶ(教養科目「現代社会と教育」における試み)その1 -大学生のアルバイト経験に関する調査と大学教育・学生支援の課題-
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(2) 釧路論集 -北海道教育大学釧路校研究紀要-第45号(平成25年度) Kushiro Ronshu, - Journal of Hokkaido University of Education at Kushiro - No.45(2013):75-84. 学生とともに「働くこと」を学ぶ(教養科目「現代社会と教育」における試み)その1 ―大学生のアルバイト経験に関する調査と大学教育・学生支援の課題― 木戸口 正 宏 北海道教育大学釧路校学校教育学研究室. Learning to Labour with Students Working on Part-time Jobs : Part 1 Masahiro KIDOGUCHI Department of School Education, Kushiro Campus, Hokkaido University of Education. 要 旨 本稿の目的は、北海道教育大学釧路校に在籍する大学生のアルバイトの状況について、アンケート調査および学生への 聞き取りによってその一端を明らかにすることである。 家計からの学生への支援が全般的に減少している状況のもと、多くの学生は入学後からアルバイトに従事している。ど の程度の学生がアルバイトに従事しているのか、どんな業種のアルバイトに従事しているのか、週の労働時間・日数はど の程度か、それらは学生生活にどのような影響・困難があるのか、それらの影響・困難を学生はどのように乗り越えてい るのか(いないのか)等、学生のアルバイトへの就業状況を概括することが、本稿の第一の課題である。 また現代の日本社会において、学生のアルバイトは単なる補助的労働力にとどまらず、サービス産業の一翼を担う重要 な「基幹的労働力」となっている一方で、その置かれている状況は決して恵まれたものとはいえない。多くの学生は、違 法・不当な労働条件に直面しながらも、それをやむを得ないものとして受け止めている。あるいは、それが不当であると 気づきながら、「就職したらもっと厳しい事態に遭遇するのだから、理不尽はバイト時代に早めに慣れて免疫をつけてお くことが望ましい」と、何とかそれが自分にとって意味のある体験であったと捉えようとしている。 このような学生アルバイトの当事者の声に耳を傾けつつ、この地域の、ひいては現代の日本社会における、若者の労働 実態の一端を明らかにすることも、本稿のもう一つの課題である。 最終的には、上記二つの視点からの分析を踏まえ、今後どのような支援が求められるのか、導入教育を含めた大学の教 育課程、学生支援・学生相談への示唆、および我々の社会における「社会資源の再配分」という視点からの問題提起を試 みている。. 年度調査以降、年間117万円程度で推移しており、「学生生. 1、本稿の課題意識. 活費」の減少は、ほぼ「生活費」の減少と直結している。 本稿の目的は、北海道教育大学釧路校に在籍する大学生. 事実、平成14年度調査時と比較した場合、 「生活費」は、. のアルバイトの状況について、その一端を明らかにするこ. 85.7万円から66.1万円と20万円弱減少している。. とである。. これらの支出を、学生は「家庭からの給付」 「奨学金」. その第一の課題は、どの程度の学生がアルバイトに従事. 「アルバイト(等勤労収入)」でまかなっているのだが、 「家. しているのか、どんな業種のアルバイトに従事しているの. 庭からの給付」の減少は著しく、平成20年度調査と最新の. か、週の労働時間・日数はどの程度か、それらは学生生活. 平成22年度調査の間でも、約20万円の減少(219.9→198.9. にどのような影響・困難があるのか、それらの影響・困難. 万円)となっている。アルバイト収入も、35.8万円から. を学生はどのように乗り越えているのか (いないのか)等、. 30.7万円に減少しているが、学生の収入に占める割合は、. 学生のアルバイトへの就業状況を概括することにある。. 16.3%から15.4%と微減にとどまっており、引き続き大き. 現在の大学生にとって、 アルバイトは身近な存在である。. な収入源となっていることが分かる。このような状況で、. 日本学生支援機構(2012)によれば、 大学学部(昼間部). 大学入学直後からアルバイトに従事する学生は多い。. に所属する学生の生活費は、平成12年度調査をピークに5. もちろん大学生がアルバイトをする動機は、実際には. 期連続しての減少となっている。 「学生生活費」は「学費」. 様々である。「友達と遊ぶお金がほしいから」「社会勉強」. と「生活費」に大別されるが、この間「学費」は、平成14. あるいは「友達に誘われて」という「軽い」ものから、 「学. - 75 -.
(3) 木戸口 正 宏 費・生活費を負担するため」 「部活・サークル活動や、そ. ら、論考を進めていく。. の他大学生活に必要なお金を稼ぐため」といったより切実. また釧路市における若者のアルバイト実態については中. な動機もあるだろう。そこには、それぞれの学生が抱えて. 囿(2012)による高校生アルバイトの調査報告がある。本. いる家計の事情や就学継続にかかわる様々な条件が反映し. 稿ではこれらも適宜比較・参照していきたい。. ているが(例えば、きょうだいのいる学生の場合、自分自 身の学費や生活費の負担を引き受けることで、家計の負担. 2、調査対象者および調査の概要について. を減らし、間接的にきょうだいの進学費用を支援している というケースもあるだろう) 、その中で、少なくない学生. 1)調査の実施時期・調査対象者. が、アルバイトへの就業状況によって、大学生活に無視で. 本稿で分析の対象とするのは、筆者が、担当講義内で実. きない影響を受けている。. 施したアンケート調査、および別の機会に行ったアルバイ. 学生のアルバイト実態について調べることは、学生の就. ト体験に関する簡単な聞き取り記録である。. 学条件をめぐる課題や困難を明らかにするものにとどまら. アンケート調査に協力してくれたのは、釧路校の教養科. ない。. 目「現代社会と教育」 (月曜1限・後期)を履修している. 乾(2012)が指摘するように、学生のアルバイトは、彼. 学生である。履修者の大多数は、1年生であるので、回答. らの多くが働く、ファーストフード・ファミリーレストラ. 者もほとんどが1年生となっている。そのため、2~4年. ン・居酒屋等の飲食店、コンビニエンスストア、学習塾な. 生や大学院生も含めた、釧路校の学生全体のアルバイト状. どの領域において、 「若者たちの労働なしには、一日たり. 況については、十分に把握できないという制約があるが、. ともやっていけ」ない「基幹的労働力」となっている。. 大学一年目の生活の半分を終え、ある程度アルバイトに関. そのような欠かすことのできない存在である一方、同じ. する状況が落ち着いてきている時期の調査であり、入学初. く乾(前掲)が「残念ながら、働いた分きちんと給料が支. 年度の学生のアルバイト動向については、ある程度把握で. 払われていないとか、募集時に示されていた条件が守られ. きているのではないかと思われる。. ていないとか、休憩時間も十分に与えられないまま長時間 働かされることがあるとか、労働基準法などの守られてい. 2)調査の形式について. ない職場は、 かなりたくさんあります」 と指摘するように、. 調査は、この「現代社会と教育」(2012年度)の講義時. 大学生や高校生など学生アルバイトの就業条件はけっして. 間中にアンケート用紙を配布し、時間内に回答してもらう. よいとはいえない。 むしろ後述するように、 多くの学生は、. 形で実施した。当該年度の調査対象者(履修者数)と、回. 違法・不当な労働条件に直面しながらも、それをやむを得. 答者数は図表1の通りである。上記事由から、回答者の大. ないものとして受け止めている。あるいは、それが不当で. 多数が1年生である。1学年200人前後なので、約3分の. あると気づきながら、 「就職したらもっと厳しい事態に遭. 2の1年生に回答してもらったことになる。. 遇するのだから、理不尽はバイト時代に早めに慣れて免疫. なお、アンケートについては、2009年度の「現代社会と. をつけておくことが望ましい」 (川村2012)と、何とかそ. 教育」においても同様のものを実施している(図表1) 。. れが自分にとって意味のある体験であったと捉えようとし. これらのデータも適宜参照しながら、この3年間の変化や. (1). ている. 共通する傾向等を明らかにしたい(2)。. 。. その意味では、乾(前掲)が「高校生や大学生のアルバ イトには、若者が「働く」ということを考える上で、とて も重要なことがたくさん含まれています」と指摘するよう に、本稿が扱う、釧路校の学生のアルバイトの状況は、こ の地域の、ひいては現代の日本社会の、若者の労働実態の 一端を明らかにする一助ともなるだろう。これが本稿の第 二の課題である。 なお、大学生のアルバイトの実態については、川村ゼミ (2011、2012)や、乾(前掲)など、先行するいくつかの. アルバイト体験に関する簡単な聞き取りは、2009年10月. 調査研究がある。それぞれの調査研究が対象としている. に行われた学習会(北海道教育大学釧路校教職員組合主. フィールドは、大都市圏の公立総合大学(乾前掲) 、北海. 催。筆者はここで2009年度に行った調査の概要を報告し. 道の中心都市の私立の総合大学(川村ゼミ前掲)であり、. た)に参加した学生たちのアルバイト体験に関する発言を. 学生が従事している(選択しうる)職種や労働条件等につ. 採録したものである。当日は、1~4年生の11名の学生が. いては、本稿が調査対象とする北海道教育大学釧路校―北. 参加しており、彼ら/彼女らの発言からは、上級生も含め. 海道の地方中核都市に位置する単科大学(教員養成)―と. た、釧路校の学生アルバイトの状況の一端がうかがえる。. は若干異なる可能性がある。したがって、本稿は、これら. 以下、本稿の前半部分では、アンケート調査の結果概要. 先行研究の知見を参考にしつつ、適宜比較検討を行いなが. の整理を、後半部分では、調査結果から読み取れる知見の. - 76 -.
(4) 学生とともに「働くこと」を学ぶ(教養科目「現代社会と教育」における試み)その1 整理、および学生への聞き取りから見えてくる、アルバイ. (38.0%)に20ポイント以上の差がある。この2時点の調. トにかかわる具体的な課題・困難についての分析を行いた. 査だけで長期の傾向を推し量ることは妥当ではないが、こ. い。なお、聞き取りの引用・紹介に際しては、個人や勤務. の数年の間に、学生のアルバイトへの要求が強まっている. 先が特定されないよう、発言趣旨に影響のない範囲で内容. 可能性はあるだろう(詳細は次節)。. に編集を加えていることを、あらかじめお断りしておきた 2)アルバイトをしていない理由について. い。. 次に、調査時点でアルバイトをしていない学生にその理 由をたずねた。一番多い回答は男女とも「いまは学業・部. 3、調査結果について. 活を優先したい」であった。その一方で、男女とも3割程 1)現在の就業状況について. 度の学生が「とくに理由はない」と回答している(図表3) 。. アンケートでは一番最初に「あなたはいまアルバイトを. 顕著な変化は、 「アルバイトをする必要がない」と答え. していますか」と学生たちに聞いている。この問いに対し. た学生の激減(2009年調査では男子学生の14.3%、女子の. て、男子学生の52.9%、女子学生の63.2%が「はい」と回答. 11.4%)である。また2009年調査では回答のなかった「以. している(図表2)。性別未回答の回答を含め、平均して. 前やっていたアルバイトを辞めた」という理由も、1割程. 6割弱の学生が、アルバイトに従事していることになる。. 度ではあるが見られるようになっている。. ちなみに2009年度の調査(以下「2009年調査」とする。. 「その他」と回答した学生の自由記述欄でも、数は少な. 図表は原則として省略)と比較すると、女子学生の就業. いが「後期から始めようと思っていた」 「いま探している」. 率には大きな変化はないが(62.4%) 、男子学生の就業率. 等、近々アルバイトを始めたい/探したいという回答が目 立った。このような回答は2009年調査でも見られたが、一 方で2009年調査の自由記述欄に見られた、部活動や寮の自 治活動、勉強や研究室活動との両立の難しさなど、学業・ 課外活動の多忙さを理由とした回答は、2012年度の調査で は見られなかった(3)。 このような回答傾向からも、先に触れた学生の「アルバ イトへの要求」の強まりを読み取ることができるように思 われる(冒頭で述べたように、学生の世帯収入全体が減少 しているという全国的な傾向が、釧路校の学生にも反映し ている可能性は当然ある)。. 3)今後のアルバイトの見通しについて 同じく現時点でアルバイトをしていないと回答した学生 のうち、男子学生の87.1%、女子学生の95.2%が「いずれア ルバイトを経験してみたい」と回答している(図表4) 。 この傾向は2009年調査と大きな差はない。 「とくにアルバ イトをしてみたいと思わない」という回答は、いずれの年 度も女子学生よりも男子学生の方が多い(男子学生10~ 12%、女子学生3~5%程度)。. - 77 -.
(5) 木戸口 正 宏. 4)どんなアルバイトをしているのか. 5)アルバイトの時間と日数について. 続いて、調査時点でアルバイトをしている学生が、どの. アルバイトに従事する日数は、男女とも週に2日程度が. ような職種に従事しているのかを見ていく(図表5)。. 最も多く、次いで週に3日程度という回答が続く。一方で. 男女とも一番多い回答は 「居酒屋・飲食店などでの接客」. 3割近い男子学生が週に4日以上の勤務を経験しており. である(男子学生62.2%、女子学生72.2%) 。次いで「塾講. (女子学生は1割程度) 、ごく少数であるが週6日、週7. 師・家庭教師など」 「コンビニエンスストアなどでの販売・. 日という回答もあった(図表6) 。回答者の平均勤務日数. 接客」 「書籍・CDなどの接客・販売」と続く。この傾向は、. は、男子学生が週に3.0日、女子学生が週に2.3日、全体で. 2009年調査と大きな違いはない。また、 自由記述欄では「ホ. は週に2.7日であった。. テルのフロント」「試飲・試食販売」 「カードの勧誘」 「酒. 労働時間で見ると、男子学生は、週5~9時間と週15. 屋での配達」 「パンの製造・販売」などの回答が見られた。. ~ 19時間の二つの回答が多い。しかし、回答者の4人に 1人が、週20時間以上の勤務を経験しており、30時間以上. - 78 -.
(6) 学生とともに「働くこと」を学ぶ(教養科目「現代社会と教育」における試み)その1 勤務していると回答した学生もいた(図表7) 。これに対. 公的な活動はもちろんのこと(これとて経済的な負担が必. し、女子学生は週5~9時間に回答が集中しており、男子. 要なものは少なくない) 、インフォーマルな交流行事(コ. 学生に比べると週あたりの労働時間は短い傾向にある(平. ンパ・カラオケなど種々の「イベント」)への参加(その. 均の週労働時間は、男子学生が14.3時間、女子学生が9.7. ような形式での交流への参加を少なくとも表面上は厭わな. 時間、回答者全体で12.4時間であった) 。. い感覚の共有)等も、研究室等での関係形成を左右する重. 2009年調査と比較すると、男子学生は労働日数・労働時. 要な要素となる(テス2010等を参照のこと)。. 間とも大きな変化はないが(2009年調査では、週3.0日/. あるいは(「その他の回答」として挙げられた)「部活の. 13.7時間)、女子学生は労働日数・時間とも若干減少して. 遠征費用・用具代」と一口に言っても、その金額が年間で. いる(同、週2.7日/ 11.2時間) 。. 20~30万円にのぼるケースもあり、家庭からの給付のみ で、それらをまかなうことは現実的には困難だろう。. 6)アルバイトに従事する理由について. 2009年調査と比較した場合、男子学生は、経済的理由に. 学生にアルバイトをしている理由を尋ねたところ、男女. あたる選択肢を回答している割合が全般的に増加している. とも一番多い回答は「生活費を稼ぐ必要がある」であった. が、女子学生は「授業料や大学生活に必要なお金を稼ぐ」. (図表8) 。また「友人との交際や研究室活動等でお金が. のみその割合が減少している。それが今回たまたまのこと. 必要」との回答も男女に共通して多く見られた。. なのか、授業料等大学生活にかかわる費用については、相. それ以外の理由は、男女で若干回答の差が見られた。た. 対的に家族からの支援が得られている学生が多いのか、こ. とえば「授業料や大学生活に必要なお金を稼ぐ」は、男子. のデータからは判然としないが、前節で見た、労働日数・. 学生の5割近くが選択しているが、女子学生は1割強にと. 時間の減少等などとも関連があるのかもしれない。. どまっている。逆に「社会勉強のため」 「友人に誘われた」 という回答は、女子学生の方が圧倒的に多い。. 7)アルバイトをしていて困ったこと・悩みごとについ. もっとも「授業料や大学生活に必要なお金を稼ぐ」以外. て. の目的のアルバイトは、不要不急のものであると決めつけ. 男女問わず多くの学生が「居酒屋・飲食店などでの接客」. るのは速断であろう。 「友人との交際」 や 「研究室活動」は、. や「コンビニエンスストアなどでの販売・接客」に従事し. 多くの学生が大学生活に期待する重要な活動領域である。. ていることもあり、「仕事が深夜・早朝にわたり、翌日の. 加えて、これらの活動にアクセスできるかどうかは、大学. 講義に影響」という回答がやはり多い(図表9) 。深刻な. 生活を乗り切るために必要な居場所や関係・ネットワーク. のは、このような状況で、男子学生の1割、女子学生の3. を獲得・維持できるかを左右する重大な事柄でもある(乾. 割弱、全体で2割の学生が「仕事が不規則・多忙なため、. 2010等) 。. 健康を害している」と回答していることだ。また1割の学. 多くの調査研究が指摘するように、友人関係を含めた学. 生は「働く時間・日数が多く、学業との両立が難しい」と. 内のインフォーマルなネットワークの多くは、消費文化の. 回答している。. 影響の下にあり、そこで共有されている様々な文化・アイ. 職場の労働環境にかかわる困りごととしては、男子学生. テムを所有・購入・消費できるかどうかは、友人関係の維持・. の「最初に契約した労働条件と異なる条件で働かされてい. (4). 形成を直接左右する事柄となっている(中西2001等) 。. る」(27.0%)、女子学生の「何かあるとすぐに叱責され、. - 79 -.
(7) 木戸口 正 宏. ストレスを感じている」 (33.3%)という回答が突出してい. ちろんそのような実態がなかったというわけではない)、. る。また、男女に共通する悩みとして「休みが欲しいとき. 雇用・労働条件に関する適切ではない告知、ないしは不利. に休みがとれない」 (全体で16.0%) という回答が多かった。. 益な変更が、ここ数年でさらに広がっているのではないか. 回答数としては多くはないが「やめたいのにやめさせても. と懸念される。. らえない」「いじめ・セクハラを受けている」という選択 肢を回答している学生もいることに、注意を向ける必要が. 8)困りごとや悩みごとを誰に相談するかについて. ある。「特に困ったこと・悩みはない」と回答したのは全. 「困ったときに誰に相談するか」という質問に対する回. 体の3割程度であった。. 答は、男女とも「部活・研究室の友人」が一番多かった(図. 2009年調査と比較すると、全般的に学業や学生生活への. 表10)。以降、「部活・研究室の先輩・後輩」「同じ職場で. 影響を指摘する回答が増えている。特に女子学生で、健康. 働くアルバイトの人たち」と続く。また「家族(親・兄弟. 面での影響を指摘する回答が増えており、労働日数・時間. 姉妹) 」という回答も多かったが、これについては、男子. は短いながらも、労働環境がけっしてよくない状況にある. 学生と女子学生で割合に大きな違いがあった(2009年調査. ことがうかがわれる。. でもこの傾向があったが、2012年調査ではその差がより広. また「最初に契約した労働条件と異なる条件で働かされ. がっている)。. ている」は、 2009年調査ではほとんど選択されておらず(も. 逆に(この結果はある程度予想されたことであるが) 「大. - 80 -.
(8) 学生とともに「働くこと」を学ぶ(教養科目「現代社会と教育」における試み)その1 学の教員・職員」「行政の窓口・労働組合」に相談すると. 康を害する」など「学業との両立が難しい」水準になって. 答えた学生はいなかった。また「同じ職場で働く正社員の. いることは、学生個人の責任として放置するわけにはいか. 人たち」に相談すると回答した学生は、男女とも1割前後. ないだろう。. であった。. この点では、初年次における講義・実習等の時間数の多. また少数ではあるが「相談できる相手がいない」との回. さが、このような負荷の間接的な背景となっていることは. 答もあり、職場で悩みを抱えながらも、それを周りに話し. 確かである。今回の調査対象となった1年生は、釧路校の. たり、具体的なサポートを受けられない状況にある学生が. 履修モデルによると、月・火・水は、教養科目を含む必修. いることも浮き彫りになった。. 科目だけで、1~4限(9:00 ~ 16:10)まで講義があ る。これに加えて副免許科目を履修すれば、それ以降の時 間帯、あるいは木曜日の日中も埋まってしまう。さらに金. 4、考察. 曜日は「教育フィールド研究」で、早朝から夕方まで学校 ここまで、アンケート調査の結果をもとに、釧路校の学. 現場で活動を行っている。いきおい部活動など課外活動を. 生(1年生)のアルバイト状況を見てきた。以下では、こ. 行う時間や、アルバイトを行う時間は、夕方から深夜にか. こからどのような知見が引き出せるのか、いくつかの論点. けての時間帯にならざるを得ない(もちろん講義・実習等. にそくして整理していきたい。なおここからは、先に述べ. の時間数は、大学として必要と思われる内容を提供してい. たように、2009年度に筆者が聞き取った、学生たちのアル. るものである以上、単純にそれを減らすことが解決策でな. バイト体験談も適宜参照しながら議論を進めていく。. い―教育活動の整備・精選という改善方向は当然ありうる が―ことは確かだが)。. 1)アルバイトの職種について. 大学の教育研究活動には、講義・実習などのフォーマル. 川村ゼミ(2011)によると、全国の15~24歳で働いてい. なものに加えて、研究室や寮、サークル単位で行うイン. る人(約497万人)のうち、 「在学中」のものは約118万人、. フォーマルな活動やフィールド調査など様々なものが存在. その大多数(約111万人)が、 「パート・アルバイト」とし. する。加えて、現在の学生には、学校での行事支援や学習. て働いているという (総務省 「労働力調査 (2010) 」 による)。. 支援などボランタリーな活動への参加、自主的な学習・研. その主な業種は「宿泊業、飲食サービス業」 (約48万人)、. 究活動やその他の社会的な活動への参加なども期待されて. 「卸売業、小売業」 (約38万人) 、 「教育、学習支援業」(約. いる。. 10万人) 「生活関連サービス、 、 娯楽業」 (約7万人)であり、. これらの活動は、教員採用試験や就職活動等でも重要な. いわゆる「サービス業」に分類される業種でほとんど占め. 評価項目であることが多いが、こういった活動への参加意. られている(同前)。釧路校の1年生が従事しているアル. 欲や条件が、過重なアルバイトの負担によって左右されて. バイトも、ほとんどがこの業種の中に入っているが、全国. いる状況は、やはり見過ごすことができない問題だろう(5)。. 平均と比べて「宿泊業、飲食サービス業」の割合が突出し. 学生への聞き取りなどでも、アルバイトと研究室活動、寮. ていることが特徴的である。. 自治活動との両立で苦労しているという話や、日常的な活. その大きな理由は、学生が徒歩で通える圏内に「末広」. 動になかなか参加できない中で、研究室内の人間関係に苦. と呼ばれる飲み屋街・歓楽街が存在しており、ここで多く. 慮しているという声が聞かれた。. の学生が働いていることにある。 中囿(2012)は、釧路市内の高校での調査に基づき、高. 3)困りごとや悩みごとへの対処の難しさ. 校生のアルバイト実態について報告しているが、この調査. ここまで見てきたような状況を、学生たちはどのように. によると、ファストフード等の飲食店でアルバイトに従. 乗り越えようとしているのだろうか。アンケート調査から. 事しているものが、女子47.7%、男子60.0%、次いでコ. 見えてくるのは、大学の友人や先輩・後輩、家族、あるい. ンビニエンスストアでのアルバイト(女子27.2%、男子. はアルバイト同士で相談はするが、職場の正社員や雇用主. 13.3%)となっている。この数値と比較した場合、原則と. などにはなかなか相談ができない(したがって事態がなか. して深夜労働が禁止されている年齢層である高校生が勤務. なか改善されない)という状況であった。. することのできない、深夜・早朝の時間帯(および、それ. なぜこのような状況が起きているのだろうか。. が中心的な勤務時間帯であるような飲食店での仕事)を、. 第一に、学生が働いている職場で、想像以上に違法な実. 大学生のアルバイトが主に担っていることが分かる。. 態が横行しているという問題である。 「アルバイトをしていて困ったこと・悩みごとについて」. 2)アルバイトが学生生活に与える負荷について. で特に男子学生に回答の多かった「最初に契約した労働条. このように深夜・早朝の時間帯が主な就労時間であるこ. 件と異なる条件で働かされている」というのは、事実であ. とは、ここまで見てきたように、学生生活にさまざまな影. れば明らかに違法行為であるが、2012年調査では、全体で. 響を及ぼしている。本来学生生活を維持・充実させるため. も6人に1人がそのような経験をしたと回答していた。. のアルバイトが「翌日の講義に影響する」 、 結果として「健. 2009年度に実施した聞き取りでも「研修を6時間×6日. - 81 -.
(9) 木戸口 正 宏 受けた上で採用の可否を決めるのだが、その分の給料が出. 士の間にも存在する。それらは特に「アルバイトのほとん. ない。採用にならなかった場合も、その分のお金が出ると. どが教育大生」というような職場で働く学生から指摘され. きと出ないときがある」など、本来給与が支払われるはず. ていた。. の研修期間に無給で働かされているというケースがあっ. もちろんこのような関係は、何か困ったことや悩みを相. た。. 談したり、共有したりする場合には、プラスに働くことも. その他にも「深夜22:00を過ぎても時給が上がらない」. ある。 「困ったときに誰に相談するか」との問いに4割近. 「仕事入りの時間に1分でも遅れたら、その1時間の時給. くの学生が「同じ職場で働くアルバイトの人たち」と回答. (6) は払わない」 「5時間で3500円支払うという条件のはず. しているのは、こういった関係性が背景にあるからとも考. が4時間で帰された」 「週払いで給料を受け取ることにし. えられる。. たら、「手数料」として時給が20円分少なく計算されてい. しかし、お互いに事情がよく分かり、アルバイトの交替. た」 「働いていたお店が急に閉店して給料が未払いのまま. などで融通が利く反面、学内での人間関係(寮や研究室、. になっている」(いずれも2009年度の聞き取りより)等、. 部活の先輩・後輩)が、そのまま職場に入ってくるので、. 違法な状況に直面しているという声は多く聞かれた。. 要望や意見などが言いにくいという指摘があった(「社員. 第二に、職場における「人間関係」の問題である。. さんにいわれるより先輩の学生アルバイトにいわれる方が. ある学生のアルバイト体験を紹介しよう。. 怖い」 ) 。特に職場によっては、学生にシフトの管理など を任せるケースもあり、そのような職場関係の中で、長期. 1年生のころは、居酒屋のアルバイトがきつかった。. 休暇や教育実習期間など、学生のシフト調整が難しい時期. 月に10日ほど入るのがノルマになっていた。また、授業. に、仕事を集中して引き受けざるを得なかったというケー. が終わったらすぐに来い、16:30には店に入れといわれ. スもあった。人手が足りないときや、自分が退職する際に、. ていた。マスターはすぐ怒る人。自分は不器用なので皿. 新たに学生をリクルートする役割まで担わせている職場も. を割ったり、注文を聞き間違えたりすることがあった。. あり、それらを少なからず負担に感じているという学生も. 何かあるとすぐに叱責されるようになった。信用されて. いた。. いない感じがした。テスト前も休みが取れず、12時過ぎ て帰宅することも。それから勉強をしていた。9ヶ月く. 5、終わりに―どのような支援が必要か. らいでつらくてやめてしまった。 ここまで、アンケート調査および学生への聞き取りから 仕事内容についての説明や研修は一切なかった。マ. 浮かび上がる、学生のアルバイト実態と、そこから導き出. ネージャーにいじめられていた期間もあった。いまはそ. せる知見を概括してきた。最後に、ここまでの議論を踏ま. れに耐え抜いたからか 「気に入られている」 みたいだが。. え、今後どのような支援が求められるのか、簡単にまとめ たい。. この聞き取りのように、 飲食店の「マスター」や「マネー. まず大学としてできることは何か。授業料減免枠の拡大. ジャー」など、雇用主や職場を統括する立場の社員などか. や、経済的事由による授業料の徴収猶予、学費未納者に対. ら、叱責や「いじめ」を受けているという声は少なくなかっ. する柔軟な対応など、学生の経済負担を軽減するための. た。2012年調査で女子学生に多かった「何かあるとすぐに. 様々な措置がまず検討される必要があるだろう。学生の課. 叱責され、ストレスを感じている」 (全体では2割強が回. 外活動や自主的な研究活動に対する支援を充実することも. 答)という回答からも、こういったケースが現在も引き続. 有用であろう。. き存在していることがうかがえる。. それと同時に、大学として、アルバイトを希望する(あ. また職場の正社員や雇い主からの叱責に加えて、酔客へ. るいは現に働いている)学生への講習や情報提供などを積. の対応などが大変であるとの証言もあった。コンビニエン. 極的に行うことを提案したい。. スストアなどでは、深夜に、仕事の疲労で不機嫌になって. 特に1年生は、大学に入って初めてアルバイトを経験す. いる客への応対がしんどい、万引き・窃盗への対処等、危. る学生も少なくない。必要最低限の労働法・働く人の権利. 険をともなう対応を経験しているというケースもあった。. に関する学習機会の提供、過去の事例にそくしたケースス. このような状況で、次にアルバイトをするなら、職場の. タディや、困ったことがあったときの相談窓口の紹介(行. 都合ですぐに呼び出されたりしないところ、新人いじめな. 政や法テラスなど公的な相談機関や、地域ユニオンなどの. どがなく「人間関係がよいところ」がよいと述べている学. 労働組合など)など、新入生ガイダンスや「導入教育」の. 生もいる。その一方で、職場の人間関係の良さや、雇用主. 一環として位置づけていくことが必要だろう(7)。. の「面倒見のよさ」が、深夜割増が支払われない等、様々. また、少なくない学生が「教育大生ばかり」の職場で働. な労働条件上の問題に「目をつぶる」ための要素となって. くことを考えるなら、上級生にもこのような学習機会を提. いるケースもあった。. 供することは重要だろう。そのような活動を通して、 「ア. このような「人間関係」上の問題は、アルバイト学生同. ルバイトをうまく回していく」あるいは「職場の不満や問. - 82 -.
(10) 学生とともに「働くこと」を学ぶ(教養科目「現代社会と教育」における試み)その1 題を表面化させない」ための関係よりも、 「職場の不満や. 学生も少なからずいるだろう。そのような中で、自分が持っ. 問題を共有できる関係」 「これらの問題を率直に話し合い、. ている能力や意欲を積極的に発揮したいという学生の意欲. 職場の正社員や雇用主に声として伝える拠点となる関係」. を止めることはできない。. を、学生が作っていくことを間接的に励ましていくことも. しかし雇用する側が、そのような学生アルバイトの「善. できるのではないだろうか。. 意」を、雇用する際の当然の前提として学生に求め、それ. さらに学生からアルバイトなどにかかわる相談を受ける. を「かすめとろう」(中囿前掲)とすることは、やはりまっ. 可能性があることを考えれば、教職員もまた、定期的にこ. とうなことではないだろう。少なくとも「社会人」として. のような学習機会を持つことが求められる。. の責任や倫理を求めるのであれば、それにふさわしい処遇. もちろん、教職員がどこまでこれらの相談に「当事者」. (賃金・雇用保険や健康保険・年金といったセーフティネッ. としてかかわるのかについては、それぞれの大学の学生支. トへの加入・適切な職業訓練やOJTの機会の提供、あるい. 援・相談体制に応じて、 慎重に議論されなければならない。. は職場の労働環境改善に向けて意見を表明・反映する場や. 我々ができることは、現実的には、相談窓口に関する情報. 機会の提供等々)を、雇用する側は保障しなければならな. 提供や、実際にそれらの機関や組織に学生を「つなぐ」こ. い。そうでなければ、学生が学業との両立を可能にするの. とぐらいであるかもしれない。しかし、大学の教職員(あ. に必要な労働条件を実現するように努力することが、最低. るいは行政の窓口・労働組合)が、アルバイト学生の相談. 限の倫理なのでないだろうか(もちろんそのような雇用主. 相手として、ほとんど意識されていない現状を鑑みれば、. も少なからずいると思われるが)。. その「わずかなこと」を大学が実践することの意味は、けっ. もとよりこのような努力は、個々の雇用主の責任にとど. して小さくはないだろう。. まるものではない。. その上で付け加えるならば、相談に来た学生に対して、. 中囿(前掲)は、釧路市における高校生のアルバイト実. 「辞めること」はけっして悪いことではない、というメッ. 態を踏まえ、次のように述べている。. セージを伝えることは、重要であるように思われる。. 「・・・アルバイトを「学校教育の一環として位置づける」. 職場の労働条件が改善できる見通しや条件があれば、あ. 以前に、ディーセントな労働環境をまずもって回復しなけ. るいは職場に感じている不満や問題が、他のアルバイト仲. ればならない・・・今のように余裕のある家庭の子どもには. 間や同僚に共有されており、なんとかしんどさを回避でき. 勉強や部活をさせて、そうでない家庭の子どもには働かせ. ているのであれば、「もう少しがんばって続けてみよう/. るのか?そうではなく全ての子どもに余裕のある高校時代. 続けてみては」という選択やアドバイスは、それなりの意. を保障するのか?我々の社会資源の再配分をどう行うの. 味があるだろう。. か、改めて考える必要がある」. しかしそれらがすぐには得られない状況で、いたずらに. 例えば、冒頭で紹介した日本学生支援機構(2012)によ. その職場にとどまること (あるいはそれを励ますこと)は、. る学生生活調査では、学生の収入状況が悪化する中で、唯. その学生の心身に少なくないダメージを与えかねない。自. 一金額・割合が増えているのが「奨学金」であることが指. 分が辞めた後の人員を補充する必要もないし、 「職場に迷. 摘されている(33.7万円(15.3%)→40.3万円(20.3%) ) 。. 惑をかける」と思い詰める必要もない。そのことは一般的. 現在、日本学生支援機構が大学生に貸与している奨学金. な「職業意識」論とは別に、学生に、自分自身の身を守る. の大部分が、有利子のいわゆる「第二種奨学金」であり、. 術として、きちんと伝えていくことが重要である。. 卒業後の返還負担の大きさが社会問題となったことは記憶. 従来、こういった事柄は「こらえ性がなく、すぐ辞めて. に新しい(8)。. しまう」といった学生個人の意識・意欲の問題として捉え. 減免制度の拡充など、授業料負担の軽減や、奨学金の原. られがちであった。そのため「社会人として無責任」 「働. 則無利子化などは喫緊の課題であるが、将来的には「高等. くことに対する意識が低い」等、辞めた学生に対する批判. 教育費の無償化」ないしは奨学金の給付化、さらには生活. 的な意見も多く、学生自身もまた、そのような否定的な評. 費・住居費支給も含めた総合的な学生(も含めた一定年齢. 価を内面化し、自罰的になりがちであった(乾2010)。. 以上の若者)支援の仕組みが作られる必要があるだろう。. しかし「「学生バイト」という響きから感じる「軽さ」. こういった施策が「遠い将来の目標」ではなく「我々の社. とは裏腹に、彼らの仕事の拘束力や責任は重い。店長職や. 会資源の再配分」の問題として、具体的に議論・検討され. 時間帯責任者をさほど高くもない賃金で担うものもいる」. る時期がいよいよ来ているのではないだろうか。. (川村前掲)という状況の中で、 「自分が行かないと職場 が回らないから」「バイトに穴を開けられないから」と、. 註. 講義や研究室の活動を休んでまで、職場の求めに応じて出. ⑴川村(2012)は、その末尾で「「学生バイト」という領域で、. 勤する等、 「過剰適応」 (中囿前掲)している学生も少なく. こうしてものいえぬ/いわぬ労働者がつくりあげられて. ない。. いる」と述べ、そのことへの危機感を表明している。. もちろん職場の中で当てにされ、また実際に働きがいや. ⑵また、このアンケート調査とあわせて、講義の学期末課. 仕事の楽しさ・おもしろさを感じ、生き生きと働いている. 題として、レポートを課した。ここでは、受講学生に、. - 83 -.
(11) 木戸口 正 宏 自身のアルバイト体験を具体的に報告してもらった(ア. 川村雅則(2012) 「『学生アルバイト白書』を作成して」 『月 間労働組合』570号、労働大学出版センター. ルバイト体験のない学生には、知人・友人のアルバイト 体験の聞き取りをお願いした) 。これらのレポートに基. 川 村 雅 則 ゼ ミ ナ ー ル(2012)「 北 海 学 園 大 学 学 生 ア. づく、学生のアルバイト経験の詳細な分析については、. ル バ イ ト 白 書2012」http://www.econ.hokkai-s-u.. 他稿を予定している。. ac.jp/~masanori/12.10labour. ⑶2009年調査では、少数ではあるが「アルバイトをしてい. 川村雅則ゼミナールⅠ(2011)「 北 海 学 園 大 学 学 生 ア. ない理由」として「他者と関わりを持つことが怖い」と. ル バ イ ト 白 書2011」http://www.econ.hokkai-s-u.. いう回答もあった。これについてはまた独自の分析が必. ac.jp/~masanori/11.12labour 中囿桐代(2012) 「高校生アルバイトの労働実態と学校生. 要であろう。 ⑷多くの学生がスマートフォンを所持し、そこでのみ使用. 活―「子ども」ではいられない高校生たち―」北海道教 育学会編『教育学の研究と実践』第7号. 可能なアプリケーションを通じて、コミュニケーション をしている中で、一人だけ旧来の携帯(ガラケー)を所. 中西新太郎(2001) 『思春期の危機を生きる子どもたち』 はるか書房. 持している、あるいは携帯をそもそも所持していない、. 日本学生支援機構(2012) 「平成22年度学生生活調査結果. という事態を想定してほしい。 ⑸中囿(2012)は、高校生のアルバイトへの就業状況を踏. に つ い て 」http://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_ chosa/10.html. まえた上で、次のように指摘している。 「アルバイトをしている学生も、していない学生も当た. リッジ,テス(2010)中村好孝・松田洋介・渡辺雅男訳『子. り前であるが同じ土俵で入試や就職試験を受けなければ ならないということである。その際先に述べた勉強時間 の確保や部活動の体験の有無が大人たちからどのように 評価されるのか、アルバイトをしている高校生がマイナ スイメージを纏わされてしまわないか…「バイト<部 活」という評価軸が「大人」の側にでき上がっているの ならば、アルバイトをしている学生が学力以上に不利な 立場に立たされる可能性がある」 これは高校生の進路活動を念頭に置いたものであるが、 大学生に対しても当てはまる部分は多いだろう。 ⑹悪質なケースでは「タイムカードの時間が15分進められ ていて、時間通りに入っても常に「遅刻」扱いになって いることが後で分かった」というケースもあった。 ⑺もちろん大学での教育以前に、高校までの段階で、どの 程度こういった事柄について学習する機会があるのか、 ということは重要な検討課題である。中囿(2012)が次 のように指摘していることは、大学生の現状を考える上 でも重要だ。 「加えて学校では労働者の権利に関することを学ぶ機 会もなく、無知なまま働かされている。最低賃金はかろ うじて知っていても労働基準法の内容や労働組合に加入 して団交できることも知らない…例え高校生は職場で 困ったことがあっても学校の教師には相談できない」 ⑻「 奨 学 金、 返 済 困 難を支援 弁護士らが全国 組 織 」 MSN産 経 ニ ュ ー ス2013. 4 .22付 記 事http://sankei. jp.msn.com/life/news/130422/trd13042207410003-n1. htm等を参照。 引用・参考文献 乾彰夫(2012) 『若者が働きはじめるとき 仕事、仲間、 そして社会』日本図書センター 同(2010) 『 “学校から仕事へ”の変容と若者たち―個人化・ アイデンティティ・コミュニティ』青木書店. - 84 -. どもの貧困と社会的排除』桜井書店.
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