児童生徒における論理的思考能力の発達について
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(2) . VO I .22 No .2. lof Hokka ido Un i i i i Journa ty of Educa t ver s on (Sect oh IC). Jant 1 ary ,1972. 児童生徒における論理的思考能力の発達について 佐々木幸一 ◎ 西 田. 勉* @ 谷 口. *◎ 平井敏夫* * 孝*. 北海道教育大学旭川分校数学教室. T k hi TAN工GUCH1 Ko i chi SABAK工 , , Tsutomu N[SH.DA, a as. Toshio 日鵬もAI ; A Study on Development of LogicaI Thinking Abi l i ldren ty of Chi. l.. 研 究 の 目 的. 算数数学科の学習において論理的な考え方 が 基本的な重要性をもつこと及 び算数数学科の目標の 中で児童の論理的な思考力の育成ということが強く期待されることは, 緑表紙の教科書以来, 時期 による消長の波はあるにしても, またこのことの文章表現上の強弱はあるに しても, この教科にお. いて一貫 して注目されてきたことである。 小学校においては現在形式的な意味での論理を指導する ことはないが, ある原因となる事柄から, 具体的操作等を通 して親 しみのある論理によってある結. 果が導かれるような場合, たとえば四つ折りにした紙に一度鉄を入れて得られる四角形としてひ し 形を規定 した場合に四辺相等や対角相等の理由の説明を試みるな ど, 機会を捉えて論理的な思考の 経験をさせ, このような力の育成をはかろうと している。 中学校では46年現在まで, 「確かな根拠 から筋道を立てて考えていく 能力や態度を養う」 として, 主に図形の論証などを通して論 理的思考 力の伸張をはかってきたが, 47年より施行される教育内容の改定に伴い, 集合の考えとも関連させ つつかなり形式的な形で一般的な論理の運用 がで きるように指導することになる. ここで注目を要. することは, 小学校算数の段階で筋道の立った考え方 ができるということは, 幼児期より各種の因 果関係をもつ現象を観察 したり経験Lたりして, どちらかといえば自然に発達 してきた論理の感覚 に頼 っているのであること, 及び中学校数学で形式化された論理の意味を理解しこれを有効に利用. できるためにはその基盤となる豊富な具体的な推論の経験が必要とされることであろう。 ところで. 論理そのものは一つの形式であって, これ が適用せられるべき実体とは本来別のものである が, 幼 児期以来経験 してきた論理的事象はすべて 実体と深く関係 しているために, 低学年の児童ほど実体. の性質の助けを借りて論理を操 ってい るのである. 従 って論理を適用する実体が事実や直観を否定 する性質を有 している場合には, 子どもの思考は甚だしく混乱 して不安定な様相を呈する. 著者等. は, 算数数学科における論理的思考力育成の主な条件の一つである児童生徒の論理的思考力の自然 発生的な様相について縦断的観点か ら考察することを第一の目標と した。 このため調査問題を作成. するにあたっては, 可能な限り論理の立場か ら見て基本的且つ単一である内容を選び, しかも通常. の算数数学科の成績と して学力化されていない形でこれを提示することに努めた。 従 って児童生徒 にと って調査問題は殆 ど未経験の内容のものであり, 既往の算数数学の学習経験は一応直接の役に は立たない筈である が, この条件を超えてやはり調査の結果が学年段階と強い関係を持ち, さらに *北海道教育大学附属旭川中学校. * *北海道教育大学附属旭川小学校 -2 38-.
(3) . 北海道教育大学紀要(第一部C). 第 22 巻 第 2 号. 昭和4 7年1月. 同学年内においても通常の算数数学の学力と一定の関係を持つであろうことが予想される。. 本研究の第二の観点は水平的なものである。 一体, 児童生徒の論理的思考力なるものには どのよ うな性質のものが含まれ, それぞれは各年令の児童生徒の論理の中でどのような能力水 準 に 位 置 し, 算数数学の学習においてどのように働くのであるか。 論理的思考能力を適切に分類すること自. 体大きな問題であるが, この調査研究においては一応次のように考えた。 1 ( ) 概念の成立に関するもの. i i i i i (i) 概念抽出 ( ( ) 新記号の意味の理解 ) 規約, 記号の意味変更の受容 ) 2 推論に関するもの ( { 事実または直観に即するもの, これに反するものを含む) i i (i) 命題論理 ( ) 述語論理 ) 思考形式に関するもの ( 3 i i (i) 演輝 ( ) 帰納. i i i ( ) 類比. 分類の各項目で示される能力の評価は勿論提示される問題によ って変動することが予想され, 少数 の問題で断定することには危険が伴うが, 本研究ではこの点にも留意した上で結局次節に示す調査 問題を用いることと した。 最善を尽 した が, 項目に示される能力の最適な評価方法とはいえないの で, 結果はこの方法により測定され得る能力についての情報と考えなければならない. 上に分類 した論理的思考能力の構成要素たる各能力が, 算数数学のどの領域特性, どの学力特性. と結びつくかは興味のある問題であり, 今後の教育内容構成にも関連 して, 論理的思考能力のうち 伸長を促進Lまたは 欠陥を補わなけれを ならない部分を定める手がかりになるものと考えるのであ る が, こ の 点 に つ い て は 触 れ る こ と が で き な か っ た。 今 後 の 問 題 と して 残 る こ と に な る. 2 . 研 究 の 方 法 以下に述べる調査問題を用いてペーパーテ ストを行ない, その結果より論理的思考能力の学年進 行に伴う発達の特徴を総合的にまた領域別にとらえ, 併せて調査問題の妥当性について若干の考察 を試み, さらに調査の結果と知能指数, 学力との相関の特徴を考察した。 2, 1. 調 査 の 方 法. 昭和46年6月下旬, 北海道教育大学附属旭川小学校4年 (72 78 ) ) ) , 同附属 , 5年 ( , 6年 (73. 中学校1年 (94) 1名を対象として共通な調査問題 ) , 2年 (90 , 3年 (84) (括弧内は人数) 計49. に よ る テ ス トを 行 な っ た。 テ ス ト は 2 回 に 分 け, 時 間 の 制 限を 設 けな か っ た が, 各 回 各 学年 と も45. 分以内で終了 している。 小学校4年に対 しては問題の一 部 (問題⑲) に計算法上の未習事項を含む のでこれを削除する旨を指示 した。 2. 2. 調. 問1. 査. 問. 題. い ろ い ろな 形 を な か ま に わ け ま した。. 0. ▽ 《ク1. -2 3 9-.
(4) . . 噌. ⑩. January ,1972. i i ion (Sec七 i do Univer lo on I C) f Hokka ty of Educat Journa s. Vd.22 N0 ・2. はどのなかま 〔何番のところ) にぃれたらょぃで しょぅ・. 1 の な か ま に い れ て よ い の は, 次 の 4 つ の う ち の どれ で し ょ う. ○ を つ け な さい.. ⑪. ぐ ) 問2. ( ). ( ). ( ). ま さ お 君 は, ひ き ざ ん を す る の に, 次 の よ う な 同 じま ち が い 方 を しま した. -. 35 ・ 9. 一. 36. 27 4. 4 17. 96. - 2 26. 288. 291. も しも 同 じま ち がい を す る と, ま さ お 君 は, 次 の ひ き ざ ん の 答 を ど の よ う に 書 く で し ょ う.. 18 4 -. 65. 間3 右の図にある箱と袋の中に数字を書し たカートが. . ⑱. カ ー ドが 5 で あ る」 人を A グル ー プ, そ う で な い 人 を B グ ル ー プ に しま す.. 次の中でAグルー プに はいる 人に○をつけなさい. ( (. ) 箱 か ら3, 袋か ら4をひいた人 ) 箱 か ら5, 袋 か ら3 を ひ い た 人. (. ) 箱 か ら5, 袋 か ら5 を ひ い た 人. (. ) 箱 か ら7, 袋か ら4をひいた人. (. ) 箱 か ら3, 袋か ら5をひいた 人. は も濯 ◎ 下 真 に 電 美嚢奄 美 三 室 え 盗 萎 為 鑓至 る. い の に × を つ け な さ い.. ⑩. 」 「① の 袋 の 中 に は 白 い た ま が あ り ま す か ?」 … … … 「い い え‐ ①の袋 のた まは. ⑰. (. ) 白だけ. (. ) 黒だけ. (. ) 白と黒. (. ) 白と黒. 「②の袋の中のたまは全部黒ですか?」 ……… 「いいえ」. ②の袋 のた まは. (. ) 白だけ. (. ) 黒だけ. 組 の 人 が み な A, B, C の 本 の う ち どれ か を 読 む こ と に 約 束 しま が した , 調 べ て み る と, ま だ 約 束 が 実 行 さ れ て い ま せ ん で した. こ の こ と か らわ か る の は, 次 の 4 つ の う ち どオすぐす か. ○ を つ け な さ い. 問5. (. ) だ れ か が, どれ か の 本 を 読 ん で い な い. (. ) だ れ か が, どの 本 も 読 ん で い な い. (. ) どの 人 も, どの 本 も 読 ん でい な い. (. ) どの 人 も, どれ か の 本 を 読 ん で い な い -24 0-. 醇 ABC.
(5) . 第 22 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要(第一部C). 昭和47年1月. ・ ′ ● 、 く ● . ●. 、. . ●. 箱 の 中 に い ろい ろ な 形 の 四 角 形 の 紙 が は い っ て い ま す。 そ して, 「ひ し形 の 紙. 問6. は み ん な 赤い」 と い う こ と が わ か っ て い ま す.. い ま 箱 の 中 か ら1 枚 の紙 を と り 出 しま した。 次 の せ つ め い の しか た の 中 で, 正 しい と 思 うも の に ○ を つ け な さ い。 (. ) 赤 い 色 を して い る の で, そ れ は ひ し形 で す. ( (. ) ひ し形 で な い の で, 赤 い 色 を して い ま せ ん ) 赤 い 色 を して い ない の で, ひ し形 で は あ りま せ ん. (. ) ひ し形 な の で, 赤い 色 を して い ま す. 問7. 「美 しい花は暖かいときに咲く」 とします。 この約束だけをもとにして次のよ. う に 考 え る こ と ば 正 しい で しょ う か. 正 しい と 思 うも の に ○ を つ け な さ い. (. ) チ ュ ー リ ッ プ は 暖 か い と き に 咲く の で 美 しい 花 で す. (. ) きく の 花 は 美 しい の で, 暖 かい と き に 咲 きま す. (. ) い ね の 花 は 美 しく な い の で, 暖 か い と きに は 咲 きま せ ん. (. ) こ -の 花 は 真 冬 の 寒 い と きに 咲い た の で 美 しく な い 花 で す. 問8. 正 しい か け ざ ん に な る よ う に □ の 中 に 数 字 を い れ な さ い。 ×. □ 0□ □6. □□□ 4 □□□6 □□ 6 1 4 問9. ⑮. 2 つ の 数 を A と B の しる しで あ ら わ し,. A o B は次のような数をあらわ. すと, 約束 します。 ① ②. AとBがち がう数のときは, 大きい方をAo Bと しま す。 AとBが同じ数のときは, その同じ数をAo Bと しま す.. □の中に答を書きなさい。 506=口. ⑩. . . モ ● ・ 、 { . 、 ● ′ ● ・ 〉 ● . ・. 505=□. 1 0 0 =□. - --;1 上の H; 1 の約束の②をそのままに して, ①のところを反対に した計算を ◎ で. あらわ します。 □の中に答を書きなさい。 3◎2=□. 0 0 3=□. 0◎ 0 = 口. ◎ {0, 1, 2, 3, 4, 5} の 中 で 次 の 園 に あ て は ま る の は どれ で す か. 全 部 書 き な さ い。 も しな い と き は, ない と 書 き な さ い。 (o と ◎ は上の⑩と⑰でした計算です). 圃o2 =4 圏◎ 3 =1 圃o3 =2 圏◎ 2 = 2. -241-. ● ′ 、 ノ . ● ● ● ● > ●.
(6) . VO I .22 No .2. ido Univer i lo f Hokka i i journa t t s on 工C) on (Sec y of Educat. 問10. 2 △3 =5. 3 △5=8. 7 ▲6 =1. 10▲ 2 = 8. 5 □ 3 =15 12園 6 = 2 上 の 4 つ の しる し. Janua ly,1972. 4 口2 = 8 16圏 2 = 8. は どん な 計 算 を あ ら わ して い る で しょ う.. △, A, □, 囲. その計算の しかた で, 下の式の答をもとめなさい.. ⑮. 4△3=. ◎. 5ムーニ. 8圏2=. 3□3=. 次の式で正 しいものに○をつけなさい. (. ) 2 △3=3 △2. (. ) 2A3= 3 ▲2. (. ) 2 □3=3 □2. (. ) 2圏3= 3 図2. (. ) (2 △ 3) 口 4 = (2 ロ 4). (. ) (2 ロ 3) △ 4 = (2 △ 4) 口 (3 △ 4). 問11. △ (3 □ 4). た し ざ ん と か け ざん の ま じ っ た 計 算 を す る と き に は, か け ざ ん を 先 に し, (. のあるときだけた しざんを先に します.. ). ) の あ る と き だ け か け ざ ん を 先 に しま した.. と こ ろ が A 君 は, た しざ ん を 先 に, (. A君のやりかたでは, 次の式の答はいくらになりますか. ⑩ 3 × 5+2= ⑰ (7 × 5 十 3) × 2 十 4 = 問12 考 え が よ く に て い る 例. ⑩ A君は前から5番目でうしろから6番目です.全部で何人いるかは,5十6 - 1 の式で計算できます. ⑰. 長 さ が 8cmと1ocmの 2 本 の テ ー プ を つ な ぐの に, の り しろ を 2cmに す る と, つ. な い で で き る テ ー プ の 長 さ は, (8 十10一 2) cm に な り ま す. ⑩ と ⑩ の も ん だい は, 人 と テ ー プ の こ と で す が, 考え か た は よく に て い る と い え ま す. 次 の こ と が ら で 考 え か た が よ く に て い る の は どれ と どれ です か. ① =5. ②. 1 十 2 = 3, 2 十 1 = 3. だか ら. 1十2=2十1. 2 十 3 = 3 + 2しでず. 同 じよ う に して. で す. 2 十 3 = 5, 3 十 2. 499十 5 = 5 十499 と な り ま す. が ピク す ニ ッ ク に い き ま . ピ ク ニ ッ ク は 楽 しい で す。 あ す 天 あ す 天 気 よ け れ ば,. で. 気がよければ楽 しいです. ③. 9 で わ り 切 れ る 数 は, 3 で も わ り 切 れ ま す。 27は9 で わ り 切 れ る か ら, 3 で も わ. り切れます. ④ 三角形には頂点が3つ, 四角形には頂点が4つあります. 同じように八角形には 頂点 が8つあります.. A君はB君より背が高く, B君はC君より背が高いです. だからA君はC君より 背が高いです. ⑥ 年賀は がきの番号の最後の2つの数字が69のとき, 5等です。 ぼくのはがきの番 ⑤. 号 は 367869 で す. だ か ら 5等です.. 答1 と 1 と 1 と. l -242-.
(7) . 第 22 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要(第一部C) 1 十 2 十 3 十 4 十 5 十 6 +7 十 8. 問13. を 計 算 す る の に, 1 十 8, 2 + 7, 3 十. 6, 4 + 5 とし・う こ と を 考え て で きま す ね. こ の よ う な 考え か た で 50×25×20×5×4×2 り ま す か.. 昭和4 7年1月. トーゴ はどうな を 計 算 す る と 下 の-. □×[i ×□ 3 , 調査の結果と 考察. 3 . 1 全般的傾向について 各小間 ごとの正 答率及 び関連する数個の小間に対する共通の正答率を百分率で表わ したのが 第1 表である. また20個の小間を全学年の正答率に従 って配列 し, 6 個学年の代表と して小4, 小6, 中2を取り上げてその正答状況を示したものが第1図である。 この場合, グラフを省いた中1及び 中3は極く特別な事例である小間⑧を除いて中2の傾向によく近接 し, 小5も概ね小4と小6との 第1表 小 学 年 間 問 人 数 ①. ⑮. ② 1. ⑮. 〔%) 小 4 72. 82. ④. 3. 43. ⑯ ⑰. ⑥. 1. 64 29. 5. 中. 73 4. 1. 中. 94. 55. * 1 1 15. 55 26. 2. 中. 90 21. 3. 84. 76. 一 2 9. 32. 73. 82. 87. 94. 88. 33. 48. 78. 81. 83. 59 21. 6. 小. 78. I. 2. 5. 37. 54. ③ ⑥. 小. ー. 32. 27. 67. 一 2 6 38. 89 70. 65. 88. 一 5 6 57. ⑦. 5. 21. 21. 36. 32. 28. 33. ⑧. 6. 6. 8. 11. 25. 28. 60. ⑨. 7. 6. 5. 11. 10. 19. 26. ⑩. 8. 55. 64. 85. 92. 94. ⑪. ⑫. -. ⑩ 9 ⑭ ⑮ ⑯ 10 ⑰ ⑱ 11. ⑮. 56. ⑭. 60. 1 裏ず ⑨ l o ⑮ ⑭ ⑯ ⑫. 90 29 64 1. O. 呈 宣 言 三 三 喜 … 昌 多 4. キ ト %. 29. 55. 53. 74 1. 一 5. 5. 7. 18. ヨー 8 97 85 89. 11. ・ ・ 千 ず 1 1 4 7 =1. 84. - 6 7. 97 90 86 15. 87. 15. 100 92 97 7. ⑩. 12. 6. 6. 7. 10. 20. ⑳. 13. 42. 72. 86. 96. 99. -2 43-. 92. 7. 99 90 98 91. 99.
(8) . . i ion 工 C) ido Uni i lof Hokka ty of Educat on (Sect Journa ver s. Vo l .2 .22 No. january ,1972. 第1図 小 間 別 正 答 率. 、. \. t 、 、 、. へ / 〉 ←\ ▼. -- --. へ \ ′\ /、 \ 、 ” - . . . 小. 一 一. 小? . \ , .\ 、 --. 、V 《. 、 ′ ÷ 、 ・ ′ \ 、. ′ -〆′ \ \÷- 、 、 \ . ⑰. ③ ⑳. ⑥. ⑲ ⑬. ④. ①. ⑥. ⑪. ⑫ ⑲ ⑦. ⑧ ②. ⑬. ⑨. ⑬. ⑭. 間またはこれに近接 した位置にあること が見られた. また一般に中学校は小学校よりも目立って上 位に位 し, かつ中学校の3個 学年間の幅は小学校のそれよりもせまい。 ただし小間⑪, ⑫, ⑬, に ついてのみは甚だ しい逆転の現象 が見られる が, これ等の小間については後にやや詳 しく触れる. 配 して, 各学年の児童生徒の得 点状況と平均(m) 各小間 の完全正答にそれぞれ1点を. , 標準偏差. (ぴ) を第2図及び第2表に示 した. 第2表において*は, その左欄及び上欄に位置する2学年間 に, 有意水準1%の有意差 が認められることを示す. 以上の結果に基づ き, 本調査によって測定 し得た児童生徒の論理的思考能力の一般的 発達につい. て 次 の よ う に 結 論 す る こ と が で き よ う.. 1 ( ) 小4から中3に至る学年進行に伴 って児童生徒の論理的思考能力は連続的に発達する.. 2 ) 中学校の各学年は相互にかなり近接 した傾向を示すが, 小学校の学年相互間にはかなりの差 ( が見られる場合がある. 全体の正答率が60%を超える問題にこの傾向が強い. 第2図 学 年 別 得 点 分 布 人. -- 小 4. 30. 0. . ー--. 小 6. / ′ /. 20. 10. . 、 ---- 中 3 \. ′. ′ ′ ノ ′. 、. さ ぶ す 、. 、き\ミ ミ \、. /グ / ソ. %/ 」 -4 6 - 2. . 8. 10 一244一. 12. き \ミミ ミ 、 、 14. 16. 18. 20.
(9) . 昭和4 7年1月. 北海道教育大学紀要(第一部C). 第 22 巻 第 2 号 第2 表. 3. 2. 中. m. d. 小 4. 7,13. 2,47. *. *. 小 5. 7.63. 3,06. *. *. 小 6. 9 ,73. 2,58. *. *. 中 1. 10,03. 3.86. *. *. 中. 2. 11,38. 2.90. 中. 3. 11,81. 2 ,70. 中. 中. } 中学校の3個学年と小学校4年及び5年とは明らかに異種の集団を形成するが, 小学校6 年 3 ‘ は両者の境界にあ って, 問題の領域あるいはその難易によって何れか一方の集団に属する. これに よ って, 意識的な論理の指導 が行なわれない場合, 論理的思考能力の発達の転機は小学校6年にあ. ると推定される。 樽 現在のように論理が主として図形領域の論証を通 して扱われる場合, 中学校3年までに論 理 的内容の各領域の 思考能力が均整をも って発達するとはいえない。. 3 , 2 論理の領域と発達について 3 , , 問10(小間⑮⑯) , 間9(小間⑪ ⑫⑬⑭) . 1 概念の成立に関するもの--問1(小間①②) ,2. 1(小間⑰⑬) 問1. 問1は3個の観点によって予め分類された図形の集合への, 要素の帰属関係を用いて, 規定され ている概念を発見する能力を見ようと したものである.小間①, ②とも概ね似た結果を得ているが, 前 者 で は ク ラ ス 2 または3を選んだ者 が多く,後者では第2の選 択肢を選んだ者およそ 200 に 対 し,. 正答も含めて他の選択肢を選んだ者それぞれ150であった. これ等の結果から, 3個の分類 の観点 を発見しこれを同時に考慮して分類を進めることは一般に困難であり, 1つまたは2つの観点 (特. に総合的形状) のみに頼る場合が多いこと が知られる. (第3図) 0の⑩とは, 新 しい記号の意味を理解しそれを用いて演算を行なう能力を見よ 問 9 の⑮, ⑰と問1 うとするものである。 新しい記号の意味を提示するには, 文章によ って述べる場合と演算の実 例か. ら帰納することを求める場合, 及び両法を併用する 場合が考えられるが, 問9では第 一の方法を用 い, 問10では第二の方法を用いている. 第4図の⑪⑫に見られるように, 問9の場合の正答率は低 率であ ってしかも学年進行に対 して逆転の傾向を示しているが, 第5図の⑮に見られるように問10 の場合の正答率は極めて高く変化も順調であ って両者は著しい対照をなす。 問10における 4種の演. 10. 100. 100. 50. 50. llq媛 『 r 一3 小4 小5 小6 q. 第5 図. 第4図. 第3図. 0. 50. F1『 F2 r P3 小4 小5 小6q. -2 45-. 〇. 小4 小5 小6 中. 中2 中3.
(10) . VO I .22 No .2. l of Hokka ido Un iver i i i Journa ty of Educa t s t on (Sec on I C). January ,1972. 算の内容が通常の加減乗除と一致 しているのに対 して, 問9の2種の演算は ma× と min を と る と い う, 内 容 は や さ しい と して も 演 算 と して は 多 分 取 り 上 げ た こ と の な い も の で あ っ た こ と が 問9. と問10の結果に差を生じた原因の一つと推測される が, なお演算の意味を文章から読みとることに. も障碍があったと考えられる。 生徒が上に挙げた提示の二つの方法の何れに反応 し易いかは勿論演. 算の意味の難易にも深く関係するものであり, これ等の要因の分析は本間によ っては行ない得なか っ た。 ま た 問 9 の逆転現象を思考の柔軟性に帰すべきか, 測定の誤差によるとすべきかは, ここで. は判断 し難い。 問9⑩においては演算を加法と して, ⑰においては演算を加法, 減法, 両数の差を とることな どと して扱 ったものが目立ち しかもそれが中学校に多いことは, 数学的文章を読解する 能力がそれを注意深く読む習慣をも含めて予想以上に達成され難いものであることを示す。 問9③ の前半の結果は第4図の⑩で示されるが, 内容が簡単であるだけに⑩及び⑰の結果に添うことは自. 然であろう. ⑨の後半において小6がやや高率の結果を得ていることは, ⑩⑰に成功したことと集 合についての学習経験との結びつきの結果であり, 中1と中2のそれは移行措置による集合・方程. 式不等式の解集合の学習経験によるものと見られる. 問10⑩では演算の意味に注意 しつつ計算法則 の成立・ 不成立を判断することを求めたが, 式が具体的であ ったために計算 して確かめた生徒も多 かったと思われる. 第一の分配法則の式を選択 しない誤りが学年の順に6 4 ‐一40-10 - -0-0%, 形. 式の対称性にひかれて減法, 除法の可換性を表わす式を選択 した生徒がそれぞれ21 ‐ 一12 --0--0- 0-0%, 18 ‐ 一13-0-0--0--0%であって, 小4・小5の水準では一般的な演算の法則につい ての意識は未だ低いと考え られる.. 問11は加法と乗法とを含む式において乗法先行の規約を変更し, 加法先行の計算をすることを通. して, 一旦成立 した概念に対する思考の柔軟性を見ようとするものであるが, この問題には成立し ている概念についての既往の経験の量が関係すると思われるので断定的な結果は期待できない。 そ れにもかかわらず第6図に見られるようにこの種の柔軟性は学年とともに伸長するこ と が 示 さ れ た. ただ計算が単純である場合と複雑である場合と では結果に極端な 差 が見 られ, 訓練による定着を超えて概念の変更が行なわれることは や は り 容 易 で な い こ と が 認 め ら れ る.. (7 × 5 十 3) × 2 + 4. に. 第6 図. . 対する誤答の主なものは, ①7 × 5 =35, 35十 3 =38, 2 十 4 = 6, 38× 6 =2 28と した者22%, ② 全く乗法先行で計算 し答数80と した者. 18%, ③ 7 × 5 =35, 3 × 2 = 6, 35十 6 + 4 =45と した 者 9 % な ど. ⑰. 100. / / / 50. で あ る. 3 .2 . 2 推 論 に 関 す る も の --.問 3(小 間 ④), 問 5(リ、間 ⑦), 間 6(小 間 ⑧), 間 7(小 間 ⑨). 問 4(小 間 ⑤ ⑥),. ◎ 0. 問3は命題論理において, 2つの命題の真偽からその離接の真偽を 判断することを求めたものである. 誤りの選択肢である第4選択肢を. 選択 した者は極く少数であるのに対 し, 第2選択肢を選択 した者はや. や多く命題の順序に注意 が 不足であったと見られるが, 問題はむ しろ. -2 46-. 小4 小5 小6 中・ 中2 中3. 第7 図 1 0 0. --- - -◎ -// \/.
(11) . 第 22 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要(第一部C). 昭和47年1月. を正当に選択 していることである。 通常, 比較的簡単な問題場面で同種の判断を求めた場合 には , 上と全く逆の結果が得られることが屡く 報告されているが 1 ,) 問題を構成する要素が多く複 雑に関. 連する場合には, 必ずしも単純な場面におけると同じ判断がなされない 問3の場合に小学校の水 。 準では, 離接をむ しろ合接と捉えている児童が多いと判断されるのであって 通常簡単な場面に関 , して 見 ら れ る,p , q が共に真であるとき p〉q を偽と判断する傾向のさらに前の段階にあるといえ る。 離接の指導に際してこれが包含的離接であることを強調 してもそれのみでこの論理の正 しい運 用が期待で きないことが知られる。 第二に注目される点は 中学校の段階で以上の欠陥が一挙に解 , 決きれていること である。 第5選択肢の選択がほぼ100%に近いことは小学校と見かけ上同 様であ るが, 第1, 第3選択肢の選択が飛躍的に上昇していることと関連して考えれば その意味がかな , り異なることがわかる。 即ち中学校の段階に至っ て始めて離接の意味が正 しく理解されたと考えら れ る の で あ る。. 問4は存在 命題, 全称命題について, それぞれの否定が意味する内容の理解を見ようとするもの である。 ⑮において 「黒だけ」 を, ⑰において 「白と黒」 を誤り選択 した数は少数であ り学年進 行. とともに急速に減少するが, ⑩において 「白だけ」 を誤り選択 した生徒は各学年ともほぼ30 %~50 %であって, 減少の傾向はない。 即ち 「全部黒」 ではないと表現されるのは 白も黒も (実際 に) , 含 ま れ て い る 場 合 に 限 る と 考え る 生 徒 が 多 い の で あ. っ て, 日 常 語 と して は こ の 意 味 で用 い ら れ る こ と が 多 い と い う事 情 に 関 わ っ て い る こ と が 推 測 さ れ る 。. 問5は存在命題, 全称命題の組み合わせとして表わされる命題について その否定が意 味する内 , 容の理解を見ようとするも のである。 選択率は選択 肢の順に33% 54%(正答) 33% 2 , , , 4%であ って正 答の選択率が誤答のそれに近く, かつ学年進行に伴 う伸びは僅かである。 この種 の判断は生 徒にと って, 経験に頼り直観的にこれを行なわなければならないものであるが 単純な存在命題や , 全称命題 についての学習 経験がない上に 本題のような複合された命題を含む場面 の経験は稀であ , る た め 全 般 に低 水準 に止 ま っ て い る と 見 られ る 第 8 図 は 問 4 。 ,. 5の完全正答率を示 したものであ り 単一の全称及び存在命題の , 否 定 に 限 っ て, そ の 意 味 把 握 の 能 力 は 小 学 校 ・ 中 学 校 間 に か な り. 第8 図. . %. 100. の差が見られる。. ′. 問 6 は, 「ひ し形 な ら ば 赤 い」 と い う 命 題 が 真 で あ る こ と を 仮. 定 して, そ の 逆, 裏, 対 偶 命 題 の 真 偽 の 判 断 を 求 め る も の で あ. る. この場合 に仮定 した命題は事実あるいは常識に反するもので はないが, 事実 o 常識に沿ったものでもないので 生徒は仮定を , 念頭におきつつ形式的な思考を行なわなければならず 直接的な , 経験が 役立つことは殆 どない。 ただ調査の時点で中3の生徒は既. 50. ⑥. ⑦ {\ ′ \// ;;/ o. 小4 小5 小6 中, 中2 中3. に仮定。結論の意味や, 定理の逆が必ずしも真でないことを学習. しており, 図形に関する論証の経験も積んでいるので この問題 , では学習の効果がかなり現われていると見られる 第9図⑧にょ 。. . ⑥. 第9図 1 0 0. 50. 膚 毅評. F. \\ , メ, , , 欄 , \ ず 、一 ,逆(誤) 、 ・ 、 \-- .裏(誤). コ3 小 6 中1 中2 中 、 、4 、5 ノ 小 、小. -247一.
(12) . VO I .2 .22 No. January ,1972. i i i i t on IC) ido Un on (Sect t lof Hokka vers Journa y of Educa. 校の低水準の延長上にあり, 図形の論証 の中における 逆の直接の指導 を経て始めて80%台の正答率 を得るに至る. 即ち逆に関する論理的判断は, 思考能力の自然的発達に期待することができないと いえよう. なお仮定 した命題を直接に適用する型の論理が中2まで必ず しも十分に運用できない こ と に 注 目 さ れ る が, 原 因 に つ い て は 不 明 で あ る.. 問7は前間6と同 じ内容の判断を求 めるものであるが, 仮定 する命題が一見常識に添うにもかか わ らず事実と一致 しない ものであって, 形式的に論理を運用する 第 lo 図 必要がある. 前間6と比較すると全般に判断の水準がやや下まわ るほかは傾向は概ね前間と共通であり, 特に逆の判断が裏の判断 生 ょり困難であることに再 び注目される. 仮定 した命題の上述の1 格は, 各選択肢における判断の水準 が低率となった原因をなすと 推測されるのみならず’ 中1におい て逆の判断や仮定 した命題の. 直接の適用についての判断に誤りが多いことなどに影響を与えて. 0 0 1 ノ溝旅 評. な場面につい ては比較的高学年に 強く現われるように 思われる,. ;〆 ゞ\対恩. ). 二三. いる. 中1におけるこれ等の例は, 常識 が論理的判断に障碍を与 え て い る も の と 見 られ る が, こ の 種 の 傾 向 は, 本 間 の よ う に 複 雑. く:\ へま . ~/ \. 0 5. o. d 、4 小5 小6 中, 中2 中3. 中 3 に お い て 対 偶 に 対 す る 判 断 が 低 率 と な っ て い る こと の原 因 は 不 明 で あ る。. 思考形式に関するもの 一 問2(小間③) ’ 間8(小間 ⑲) , 問13(小間⑳) , 問12(小間⑩) 問2は減法計算における同一の型の誤 例3個からその誤 りの類 3・ 2・ 3. 型 を 抽 出 す る も の で あ っ て, 帰 納 的 思 考 の 発現 を 期 待 し て い る。. また問8は所謂虫喰い 算であり, 空所を埋めていく各段階におい て明確な根拠をも って可能な数の範囲を定めていくところに演輝 的思考が働くであろうと考えた。 勿論試 行錯誤的に解を求めるこ. 鞠3. も. 第 11 図. 0 0 1. ″A ブ \/ラ. 50. 0. 小4 小5 小6 中, 中2 中3. とも可能であろう が, 空所の個数 を多くすることによってこの可 能性をかな りの程度排除できたと考える. 間2, 間8とも数計算についての理解・ 技能を前提と し ているので, 純粋な 帰納, 演輝の思考能力を分離抽出することはできていない が, そのような意味 での測定の精度を高めることは今後の問題に残ると して, この調査問題で測定できる限りでの両思 考能力を第11図で見ると, 帰納的 思考能力に関 しては一般に高水準であるが学年の進行に応ずる帰 とみ 納的 思考の伸長の傾向につい ては判断 しかねる (小4と中3を特異とみるか小5と中2を特異 が示されるとと るかによって異なる) のに対 し, 演輝的思考能力に関 しては明白に一様な上昇傾向 も に, 小 学 校 水 準 と 中 学 校 水 準 と の 間 に は か な り 明 瞭 な 差 が認 め. られる.. 自然的発達に任せた場合に較 べて促進による効果の期待. できる瞬形式の一つは 繋 あるか えよう. 問12は, 比較的明らかな類比の例を与えた後, 6個の陳 述の中. か ら類 比 な も の の 組 を 選 び 出 す こ と を 求 め る も の で, こ れ に よ っ. て類比の意味の理解と類比状況の判断力とを見ようとした. 類比 は比較的暖味な基 礎の上に立つ概念であって, 本間に お い て も 「に て い る」 こ と の 意 味 内 容 を 例 か ら 発 見 せ ね ば な ら ず, しか も. 選択の対象 である陳 述における類比の程度は例のそれより低い.. この種 の 型式 の 問 題 に遭 遇す る こ とが 極め て稀 であ る こ とと相 僕 - 248一-. 第12図 ……は問12において1. 組以上正解したものの百分率. 0 1 ;. ; .. ; /⑩ / /. 0 小4 小5 小6 中. 中2 中3.
(13) . 第 22 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要(第一部C). 昭和4 7年1月. ってかなり判断が 困難であったことが認められる。 第12図によ って完全正 答率 (曲線⑲) 及び1組 以上の正しい対を発見 した者の率 (曲線⑩′ ) を見ると, 正しい判断は学年進行ととも に増加し, 特 に完全正答率 は単調に上昇 して中学段階では上昇の傾向が強まることがわかる. 直観の要素を多分 に含むことでは帰納の場合と同様でありながら, 生徒の反応に帰納の場合と異なる傾向が見られる. のは, 類比が生徒にとって難度の高い思考形式であることを示すと考えられるのである が, 一面部 分的に正答をした者の数から推 して 小4-小6においても類比的思考能力の素地はかなりの程度認 め られ る とい え る。. 問13では, 加法計算の簡便化の工夫がなされている例を目的についての説明なしに提示 し, 生徒 が例に含まれる意図を洞察 して, 類比的思考により与えられた乗法計算を簡便化することを期待 し た。 例と課題との類 比が具 体的なものであるので, 第12図⑳に見られるように正答は概 して高率で あるが, やはり前間におけると同様に単調な上昇と中学校段階に おける優位が特徴的である なお . 小学校段階で急激な上昇傾向が見られるのは比較的容易な類比的思考問題の特徴と思われる が こ , の場合でも小4・小5では高い正答率を得てい ないことに注目 しなければならない.. 3 . 3 論理的思考能力と数学学力及び知能との関係 通常算数 o 数学の学力として数値的に表わされる能力の中には種 々の特性を持つものがあっ て , それ等の中には論理的な思考が主な働 きをするもの, 然らざるもの, その中間に位するもの等があ る. 小学校の段階では内容の取 り扱いにおいて形式的な論理を用いないが, 内容自体は論理的な構 造を持つものを多く含むから, 本調査で高水準の成績を得た児童は通常の意味の学力においても同 様の傾向を示すであろう。 また中学校段階では直観による結論で満足する内容が次第に減 ずるとと もに, 形式的な論理をも学習することになるので, 論理的思考能力の有無は学力とやはり深く関連 することが予想される. この観点から本調査による論理的思考能力の得点と通常の算数・数 学の学. 力検査における得点との相関関係について考察したが, この場合に使用 し得た学力検査の問題は各 学年相応のも のであ って同一でない ために, 問題の特性の差によ って学年間の比較の精度が低 くな ったのは止むを得ないことであった。 両者間の相関係数は第3表の左欄に示されている。 次に本調 査による得点と知能指数との相関を調べたが, 知能検査で 第3 表. 嬉 響警醒 1 犀 I 頻 繁 薯 議 川 題 墨 E 署 はその測定の目的に添って 広い範囲の知的能力を 多くのヵ. 1学 か 論理ー知能~論理. は第3表右欄に示されている. 学力と論理的思考能力との相関は予想を下ま わって相関 係数 0,3~ 0 ,6 の範囲に止まること, 及び知能指数によって表わされる知能と論理的思考能力と の相関は極め て低いことが示されたほか, 一般に学力の方が知能に較べて論理的思考能力により深く関連するこ とが認められたが, 両相関において学年による明らかな変移は見られなかった.. 3 . 4 調査問題 の評価 調査に用いた各間が, それぞれねらいとする論理の領域における能力の測定に対 し妥当なもので. あるか否かは, 初めに述べたように問題の残るところであるが, ここでは調査問題が生徒に対 し全 体 と して均 整 の と れ た も の で あ っ た か どう か を, ス ケ ー ロ グラ ム を用 い て 検 討 す る 6 個学年の代 . 表として小4, 小6, 中 2 の ス ケ ー ロ グラ ム を第 4表 に 示 した. こ の 表 に おい て, A 欄 は 小 間 を 正 一2 4 9-.
(14) . VO I .22 No .2. i i ido Un i lof Hokka t i t ty of Educa Journa on I C) s on (Sec ver. January ,1972. 第4表 ずi Sβ宰ま ‘タ ガ2 &ヌ j逮 6之 /』 0/ L ろ′ クネ p言 フ i 序! rノ グ′ ザ厚之 饗 /多 ぎ タ ず β ケ 『 9/ デ斗 /! ○之′之之Z 多賭之 之′ ‐○ ○ O○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ OO ○ ○ O ○ ○ O O ○ ○ O O O ○ O ○ O ○ O ○ O ○ O / 6 J ○ ○ ○ O ○ ○ ○ ○ O ○ ○ O ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ O ○ ○ ○ ○ O O O ○ ○ ○ ○○ O ○○ OO O ○O ○O ○O O O ずO○○O○ ○ ○ ○O ○ ○ ○ ○ O O ○○ ○ ○ ○○ ○ ′ 7○ ○ O ○ ○ O ○ ○ ○ ○ ○ O ○ O ○ O ○ O ○ O ○O ○ OO○ ○ O O○ OO O○○ ○ ○ ○ ′ Z○ ○ ○ O ○ O ○ ○ ○ O O ″O○ ○ ○ O ○ ○○ O ○ ○ ○ O O ○ O O ○ ○ O ○ O ○ O O ○ O ○ ○ ○ ○ ○○ O ○ O ○ /O○ O ○ ○ ○O O ○ ○ O ○ ○ O○ O ○O O ○○ ○ / 3○ ○ ○ ○ O ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ O ○ ○ O ○ O O O O ○ ○OO ○ ○ 卒○○ ○ ○ ○O ○ O ○○ ○ O ○ O ○ OO○ O○ ○O ○ ○ O ○ O ○O O○O O○ O ○ ○ 之 ○○ O 6O O ○ ○ ○ ○ ○ ○ O .○ OO ○ ○○○ ○ O β○ ○ ○ ○ O ○ / O ○ ○O ○ 雲○ ○ ク○ ○ ○ ○○ ク○ ○ ○ / ○ 『 O ○ ○ ○ O ○ ? ?○ ○ O / O Z 』 ○ ′ . 序 ゆラ え常 食ゴ ム3 6的 期之デダ β #′ /ふ タま 7i 採 /之 ぎ 皐 矛 ろ ウ β 9′0″′み/i′ 仏′ ′ 6 “/ 3砕之 之 ?之 ′濯2 リ6 O之. 小○ ○ ○ O ○ ○ ○ O ○ ○ ○ ○ ○ ○ O ○ ○ O つ O O O ○ ○ O ○ ○ ○ ○ ○ ○ O ○ O ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○O ○ ○ ○ O ○ ′ 7O ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ O Q ○ ○ O O O O O O O O ○ ○○ ○O O ○ O ○ O O ○ O ○ ・ 之 ○○ ○ ○ ○ ○ ○ O ○ ○ O O ○ ○ ○ ○ ○ ○ O ○ ○ O ○O○ △○ ○ O O O O O O O ○ O O ○ O O ○ ○ O O O ○ ○ ○ ○ O ○ ○ ′ ○ ○ O ○ ○ O ○ O O ○ ○ α ○ ○ ○ O ○ ○ つ ○O ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ O ○ ○ OO O O O ○O ○ ○ O ○○ ○ OO ○ ○ ○○ ○ O ○ ○○ ○ ず ○ ○ O O ○○ ○ ○O○ ○ ○○ OO O ○ 0 ′ ◇○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ O ○ ○ O ○ O ○ ○ コO ○ ○ O ○ O○ O ○○ ○ O O O○ ○ O ○○○○ O○ ′○○○ ○ ○○○○ O O ○ ○OO○○ ′ ′O ○ ○ O ○ O ○ ○ ○○ ○ O O ○ O O ○ O ○ ○ O O○ O ○ O ○○ ○○ ○ ′ ZO ○ ○ ○ ○ ○ ○ O ○ O O ○ ○ O ○ ○ O O ○ ○ OO ○ OO○ ○ O β ○ ○ ○ ○ O ○ O O ○ O ○ O ○ O○ O ○ ○l 掌○ ○ ○ O ○ ○ O ○ ○ ○ ○ O ○ ○ ○ O ○ ○ ○ O ○ O ○ O ○ ○ ○ ▼ ○ ○ O ○○ ○ ○O O O ○ ○O ○ 6○ O O O ○ ○ . ○ O ○O ○ ○ ○ O ○ ?O ○ フ○ ○ O○O O○ ○○ l ′ 女○ O ○ O O○ ○ ○ ○ OO ○ ≧O ○ ○ ○ ○○ ○ β ○ ○ ○ ○ ○ . 9 O ー ○○ ○ ○ 俗 ○ ′ 9 ○ ○ O○ ‘3クゴ 33 Zよ /叙 狩 梓 婚 “ // △/ 〇≧ o“J β “ 灼夕 ず″之 r必Z タi タi小ぎ 2だ′ タ′ / ク′ / 鉄潟之タZ 7冴之 ○′ / 3 女 ず ろ ク 『 ラ/ / ○ O ○ ○ ○ ○ O ○ ○ ○ ○ ○ O O ○ ○ ○ ○ O ○ ○ ○ O つ○ O O ○ O O O O ○ O O O ○ ○ ○ ○ ○ ○ O O ○ O つO O O ○ O ○ O O ○ ○ ○ O ○ O ○ OO 「 O ○ ○ O ○ ○ ○ ○ O ○ O ○( ○ O ○ O ○ O Oし 之 ○○ O O ○ O ○ ○し ′ 7O O ○ ○ ○ O ○ ○ O ○ ○ ○ O O ○ O O O ○ ○ ○ ○ ○ O ○ ○ O O L O O O ○ ○ ○ O ○ ○ O ○ ○ ○ ○ O )○ O ○○ ○ O O○ O O ○ OO ○ J ○○ O O ○○ ○ ○O ○ ○c○O ○O O ○ C ○○ O O O OO O O O t )O ○ O ○ O O O O ○ ○ ○ ○ ○ O O O O ○ ○ コ ○ ○ ○○ ○ O O ○ ○ ○ O ○ O ○○ O O( ′ ◇○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ )L ( )U O ○ O O O ○ O O O OO O ′ 6 O ○ O ○ ○ ○ O ○ コ O ○ ○ ○ コ O O ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ O O O O O( 「 O ○ O ○ O O( )○ ○ ○ O ○ O ○ ○ O ○○ ○ O ○ ○ O ○ O O OL O ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ O ○ O ○ ○O し 、L O O ○L 「○ ○ O O ○○○ O ○○○ O ○ O O O O○ O○L OC タ〇O ○○ O ○ ○ O○ ○ ○O ○ O Y 「( 、○ )L つ ○ ○ O○ ○ ○ OO ○ O O ○O ○ OC O ○ ○ ○ O ○O ○ ○ ○ O ○ O O L / O○ ○○○ )○ ○ ○ O O O O OL OO ○ O ○○○ O○ ○ ○ ○ ○O O ○ O O OO O ○ ‘ ○・ 「 ○O O O O O O O○○ ○ ○ ○ ○ ′ /O O O ○ O ○ ○ O ○ O ○ ○ ○ O ○ Q ○ ○ O L O )O ○ O ○ O O O ○ O O O ○ ○ O L つ ○ 「 U ○ ○ ○ O○ ○ C O ○○ ○ ′ 之コ○し O○ O ○O O ○ 雲 「 O ○ C ○ Q○ ○ O O ○ O O ○ O O O お CO ○ ○ ○O ‘ ) 〇1 つ○ O l O O 「O○ ○ O○ コ○ O ○ ○ O ○ O し OO O . 之・ O ◇O○ ○ 「 ○○ ○ O O l 〇 ○ ○O 8L O○ ○ O Ol a O O ○ ○ O○ ○O ケO ○ O ○ O O 〇 O ○ O O O ○ O○ O ○ O O “ O UO ○O コ ○○ ○ O O O ? ○し〇 O ○ J ○ l O O )○ ○ O O ○O ′ 亭○( 「 O O ′ βO O O. -250-.
(15) . 第 22 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要(第一部C). 昭和47年1月. 卸 免傘 3 鋒 婚参 ′榎卒 参轡 帥 お鎧 ぎ夢 す守 ら欝掌 謬写 多ザケ論 多余 参ぶ 鱒み % 勿? i多事貧 ”6 り6 0” ょ 之6 タ邑 2 暢 瀞 ○ ○ O O ○ ○ O○ ○ O ○ O ○ O O O ○ O O O ○ ○ ○ ○ O O O O ○ 穿○ 仏り r ○ O ○ O○ O O ○O ○○O O O O O O ○ ○ ○O ○ Oク ぞβ△ 、 O○ OO ○ O○ O○O ○ ○O○ O O ○ O O 象仏Z × O○ ○ OO ○ OO ○○ O O ○ ○○○ O ク J9 X 、 O O ○ ○l O Q ○ OO ○ O ○O ○ 0 之仔 △ , O O ○ OO O O ○ O O -△ ○ 8 仏2 O O O OO ○ ○ O O ○○ ○ ー ○ O 守 ろX ぬ 、 「 O○ ○○ ○O O OO ○ ○ ザ′ △ ク 、 OO O O ○ ○ △ 2 Z 0 、 「 O ○ ○O O○ ○ ○ ○リザ名 × ○ O O○ O ○ OO O 仏す ぎ△ ○ OOO O 0 ザ‘ メ 、 O O ○ O ○ ゆきノ △ O βろ O 、 40β ○ ○ ク 、/′ O O i○ P o 、 女DJ ○ ’ 4ぜ ○ ク 、 り ○ ←介 き吟ぶ 鋤 桝争 占“ 好 卵 あ今 之勿~ 寺 縁令 ヰ4 博紗 各 鋳ゲ 2余 /爺 26 夕6 /‘ ぎ多 か6 3 G P 象於 ”6 7‘ 9ク リク 定7 rダ , O ○ ○ ○ O O ○ O Q ○ ○ ○ ○ O O O O O ○ O ○ O ○ O O O Q O O O ○ O O のクj O 、 ○ OO ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ O O O ○ O O O O O O O O O O O O O ○ ○ O OP 、β Q O OO O 6 ○○ O ○○O○ O ○ OO O ○O O O ○ OQ ○ O O O夕 9○ ,/ ○○ O ○ O ○ ○ O ○ O O ○ O O O O O O O Q ○O ○ ○ ○ O ○ O OO O ≧≧ △ ク 、 ○ O ○ Q O O O O ○ O O O O O O O ○ ○ ○劃 O ○ &/ふ O O○ ○O O ○ ○ O O ○ O ○ OO ○ O O O○ ○ O 凄グ 4 O の 、 」 ○O ○ ○ O ○O O○O O ○ O O O 仏之グ △ ○ OO ○ OO ○ O O○O OO O 女まず X ○ ○○ ○ OO ○ 女ザ O OOO ○ OO ク ′タ O 、 ○ O O O O O○ O 3 △ OO 女ぼ ○ O○ ○ O○ O ク /タ O 、 O O ○O ○ ○ OO O げβ X ク 、 O ○O ○ ○○ ○ O O O OP 多弁 X , O ′タ O ク 、 O ○ O 4Z2 △ ○ り 、ザ O ○ ○ 4 6O / 、 O ′〆 O ク 、 /O β ′ ・ ぜ卦 呂坪E 船タ コ締ヂ 企6 9』全 /t タ論 /‘ ぎ多参β #ま ◎β ≧g ゆ6 56 りザ メ食 事 “ 聾〔時%ケ ぎβ 必厚 7銅 “鈍 タ“グ 妙腎 ′夏 卓橡 み彫β 『的 物 C P 1 9ず 途8 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ O つ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○O ○ ○ ○ O ○ ○ O ○ ○ O O O O O ○ ○ O ○ O ○ ○ O O O 0 O ○ ○ ○ O O ○ ○ ○ ○ O ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ O ○ ○ ○ ○ ○O ○ J O OO O O ○ O ○ ○ ○ O O ○ O ○ 短○ぬこ O 」 O ○ O ○○ ○ O ○ ○ ○ ○ ○ O ○ ○ ○ ○ 〇 ○ ○ O ○ ○ O O ○ O ○ O ○ O ○ ○ O ○ ○ ○ O ○ O O O ククタ O , ○ ○ ○ ○ ○ O ○ ○ ○ J C O O O ○ ○ ○ O O O ○ ○ O O ○ O O ○ ○ O O O ○ O O O O O O Oク/ 、/ O ○ ○ ○ ○ O ○ ○ ○ ○ ○ O O ○ ○ O O ○ ○ O( ○ ○O○ )L )O O O ○ O ○ ○ O O ○ ○ O ク ク ラO 、 ○ O ○ ○ ○ ○ O O ○ ○ O コ O ○ O O O O O ○ O ○ ○ ○ ○ OL つO O O ○ ○ O ○ ○ ○ ○ O 409 O ○○ ○ ○ O ○ ○ O ○○ O O ○ ○ ○ ○ ○ ○O ○ ○ O ○ ○ O ○ O O OO ○ O ○ O O 4/ 6○ ○○ O○ ○ ○ ○ ○○ ○ O ○ ○ ○○ O○ O ○ ○ ○O O O ○○ O○ ○夕 O ZO ○ . ○ ○ O ○ ○ ○ O OO ○ O O ○ ○ O ○ ○ ○○ OO O OO ○ OO 久ZZ △ ○ ○ ○ ○ O ○ ○ ○○ O ○ O ○ ○○ ○O O ゴ テ△ ク 、 ○ ○ ○ ○ ク J / β′ 、 ○ O JO O 仏/ O O ○ ク βO 、‘ O ○○ O ○ ○ β△ 公之 ○ ○ O ○ ○ O ○ ○○ O βX 女J O gO ク 、′ ○ O ○ ○ O 公之女 △ ◆ ・ O ′ βO ク , 久クタ O ○ ムリ7 O 」 」. -2 51-.
(16) . Vo l .2 .22 No. i lo ido Uni i f Bducat i f Hokka t journa ty o on (Sec on I C) s ver. January ,1972. 答率の高いものから順にならべ, B欄は生徒を高得点の者から順 にならべたものである. 各欄の○ は正答を, 空欄は誤答または無答であることを示 し, 階段状の理想曲線は小間別のものと して作成 してある. C欄には小間ごとに, 理想曲線より右にある○の数と左にある空欄の数との和と全生徒. 1である小間は, 高得点の者 が正答し低得点の者が誤答また 数との比 (混入率) を示 した. C<0 .2 5である小間はこれと逆 に, 生徒の反応, 理解度が得点の は無答である傾向において強く, C≧0 .3 高低に深い関係をもたないと考えてよい. 前者の場合D欄に○を, 後者の場合×を, また両者の中 間の混入率を持つ小間には△を記入 してある.. D欄が○の小間数は, 小4, 小6, 中2 の順にそれぞれ8, 12, 15で あ り, D 欄 が × の 小 間 数 は 同じく5, 3, 1であ って, これを調査問題が生徒に対 して持つ安定度の指標と見ることができる とすれば, 調査問題は学年進行とともに安定 したものになるとい える. なおこれ等のスケーログラ. ムにおける混入率は, 通常の学力テスト等のそれに較べて, 高いものではない. D欄が×の小間は, 小4では①⑤⑯⑰⑳, 小6では①⑥⑦, 中2では⑧で, 検討を要する問題と いえよう. 問題自身妥当性が低いか, 問題が妥当とすれ ばこの種の問題に対 しては生徒の理解が安 定を欠くことが考え られる. 次に小間別に混入率の学年比較をすると, 学年 が進むにつれて混入率 が低くなる傾向の著しい小間は, ⑳⑰⑤⑯③で, 逆に混入率が高くなる傾向の著 しい小間は⑧②⑲ である. 正答率と混入率との関係を見ると, 小4では小6, 中2に較べて, 正答率の高いものが混 入率も高いという著 しい傾向を示 している. また中2では 一般に正答率の高いものは混入率が低く なっ ているが, 正答率の低い⑧②⑲におい て高い混入率が現われるという特異な現象が見られる.. これを除けば一般に学年が進むにつれて混入率が低下するといえる. スケーロ グラムによる問題分析におい ては, 同得点の者 が多い場合, その順位の定め方によ って 混入率が変わる点に一つの問題がある. ここでは無作為な順位を用いたが, 辞書式配列や平均的配 列などの順序づけも考え られよう。 試みに同資料をさ らに平均的配列によ って分析したところ, 上 述の考察によると同一の結論が得 られたことを付記する。 4 .. 結. 語. 論理的思考に帰納や類比等直観的要素の多い思考まで含め て考えると, 所謂数学的思考の大部分 をおおうものになる。 本研究ではこのよ うな広い観点から児童生徒の論理の自然的発達 を分析して. みた. 研究の目的の項でも触れたように昭和46年6月という時点はこの意味の調査研究の立場から みると 一 つの境界をな している. 即ち小学校 においては新教育課程実施の直後にあたり, 筋道の立 った考え方 が強調されるようにはな ったが, 未だ推論の方法 それ自体にまでは触れられない 段階で. あり, 中学校は旧教育課程最後の年であって, 論理的な内容か らいえば図形についての研究方法と しての論証 が 中心となっていて, 数学的思考の基礎と して一般化され形式化された論理 は 扱 わ れ ず, 47年度から実施される独立 した集合・論 理の領域を含む教育課程との間 には大きな差が存在す る. 一般に, 小4~中3における論 理的思考能力の自然的発達を縦 断的に考察するため の 理 想 的 条件設定は望み得るものではない が, この時期は上の意味 で相対的には適切なものであ ったと考え る.. ) というのが 小学校の児童 に期待される論理的思考は, 児童ながらに筋道の立 った展開ができる2 水準 最大公約数的なものであろう. しかし児童ながらにとは, 児童の論理的思考能力の , 児童の取. り組む問題, 児童のおかれた討論の場など児童に属する多く の要因によって定まる関数と しての意 味に理解すべ きであ っ て, 必ず しも推論手続 き自体の正否の判断などを排除するものではない. 発 見的学習の場面において相反する仮説が対立 した場合など, そのように考えた根拠の説明における -2 52一.
(17) . 第 22 巻 第 2 号. 北海道教育大学紀要(第一部C). 昭和47年1月. 推論の方法の正否の検討が,時として児童の水準に適合した,しかも本格的な論理の学習 を導くこと もあるのであって, 場合によっ ては背理法などが用い られることさえ可能なのである. 本研究の結 果で見れば, 論理の領域によってはその運用が自然に身について, 僅かの示唆でそれが定式化され るものもあれば, かなりの指導を経 て始めて妥当な運用力や正しい判断力が得られるものもある. この差などに留意しつつ児童 生徒の論理能力促進に努める必要があろう.. 1 )論理指導の立場からこの分野に関する能力をその この研究で問題点と して残った主なものは,( 2 1分類された各論 理的思考能力を適切に測定する方法 特性に従 って分類する方法のより深い検討 (. )各論理的思考能力発達の特徴をより深く捉えることな どである。 これ等の問題の (問題)の研究 ( 3 解明を通して 児童生徒のこの面の能力発達を促進する方法にまで進むことが今後の課題であると考 え る. 文 献 1) 横地 清・竹内嗣郎・曽我哲夫 小学生の思考力 江, 三 一 書 房, 1965, 221‐一223, 2 ) 文部省 小学校指導書算数編, 大阪書籍, 1969 , 9,. -25 3-.
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