山村留学修了生の保護者の意識とへき地小規模校の役割
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(2) . 北海道教育大学紀要 (教育科学編) 第4 9巻 第1号. 平成1 0年8月. ‐ l 9 J lofHokka i do Un i iけ o fBd i I t ourna v er s uca悦on(Educa on)Vo .4 . r ,No. Augus t ,1998. 山村留学修了生の保護者の意識とへき地小規模校の役割. 玉. 井. 康. 之・川. 前. あゆみ. 北海道教育大学釧路校 教育社会学研究室. 。Pinions of Parents of ”Former Students who M【oved to Rura1 Schoo 1 s , ’ from Urban Schools I RuraI Schools and M1odern Role of s mal. l. は じめ に. 近年, 過疎や少子化によるへき地小規模校の学校統廃合が全国的に進められているが, 学校の廃校は地域 社会の衰退につながるという危機感を持っているところも多い‐ 学校存続のために山村留学を導入する学校 も増えているが, この山村留学の導入は単なる学校の存続維持にとどまらず, 教育効果や地域振興効果など の 積 極面 があ る こと はすで に 明 らか に した‐. 本稿では, これまで直接山村留学に関わった転出教員・子ども・里親・地域住民の各社会的諸階層による 意識調査結果を踏まえ, さらに, 山村留学に参加した側である山村留学修了生の保護者の立場から見た山村 留学の評価と, 現代におけるへき地小規模校の役割を明らかにする‐ そのため第一に, 保護者が子どもを山村留学に参加させた動機とその成果をとらえる. 第二に, 保護者か ら見た留学前の都市部の学校とへき地小規模校である山村留学校との比較に関する意識をとらえていきたい. 第三に, 保護者自身が山村留学を契機としてどのように意識が変容したのかをとらえていきたい. 何故なら, 子どもだけではなく保護者自身の, 子育ての方法や教育観・学校観などの価値観も変容しているからである. 山村留学による子どもの教育効果は, 一般的には認められているが, 保護者の立場からどのような効果が あ っ た の か を具 体 的 にと らえる こと によ っ て, 子 どもの 意 識 か らだ けで はと らえ られな い側 面 を明 らか に で. きる‐ なぜなら, 留学前の子どもの状態や, 留学後に親元へ戻った子どもの変容を実感できるのも保護者だ か らであ る‐ そ のた め, 保護 者 によ る 山村留 学へ の 参 加動 機や 期 待, その 成果 をと らえる こと は, 今 後の 山. 村留学の在り方やその対応の方向性を検討しうる条件を提供するものである‐ また, 青少年による凶悪事件が社会問題となる中で, 一学級定員の縮小化や教員の配置増など, 青少年育 成上における学校環境改善の具体的な対応策が急務となっている. このような現代社会下において, 従来軽 視されてきた農山村のへき地小規模校の教育効果が見直されつつある‐ 本稿では, 山村留学を通して学校規模や環境を異にする都市部の学校とへき地小規模校の双方を経験した 保護者が, ヘき地小規模校と大規模校をどのように評価しているのかをとらえ, 現代におけるへき地小規模 校の意義を明らかにしたい. これによって, 受け入れ側からではとらえられない山村留学制度の今後の課題 と発展条件, さらには, 日本の教育全般における教育の在り方を見出すことができるからである‐ ここでの事例としては, 別稿で他の各社会的諸階層 (立場) の意識を取り上げた北海道S町の留学修了生 33.
(3) . 玉. 井. 康 之・川. 前 あゆみ. の保護者を対象とした. 分析方法は, 山村留学修了生の保護者の山村留学制度に関する意識をとらえるため に, 統一的な基準によってとらえた統計調査と自由記述により, 広くその意識をとらえた‐ 今回の統計資料 は, 198 9年から1 996年3月までの8年間に北海道S町立U小学校, U中学校の山村留学を修了 した 「留学生 の保護者」37世帯に対して199 6年1 0月に郵送調査で行ったものである. 23世帯から回答があり, 回収率は 1% とな っ てい る. 62 ‐. 2‐ 保護者から見た山村留学制度の参加動機と成果 ( 1 ) 送りだす保護者の特性 山村留学修了生の保護者の特性につ いては, まず, 回答者の年代では, 全体で23人のうち, 「40代」 が10 2 6%が40代以上の回答者となっている‐ 家族 人で最も多く43 1%を占め, 全体の8 5%, 「 50代」 が9人で39 . . ‐ 3 の人数では, 「6人」 が10軒で43 8%と多く, 5人家族以上と答えた家が併せ て91 5%, 「5人」 が8軒で34 ‐ ‐ . 1%, 「4人以上」 が4軒で17 4% %と非常に多いことに特徴がある. 子どもの人数も, 「3人」 が9軒で39 . . と併せると3人以上が5 6 5%と多く, 現代日本の典型的な核家族形態とは異なった多人数の家族形態が多い‐ . 0人のうち, 「中学1年生」 が 次に, 子どもの留学時の学年では, 同世帯から留学 した兄弟も含めて全体で3 0%を占め て 最も多く9人で30 0%を占めている. 次いで, 「中学2年生」 「中学3年生」 が同様に6人で20 . ‐ おり, 回答者の子どもの7 0 0%が, 中学校期の留学である. 小学校期よりも中学校期を山村留学に参加する ‐ 6人で 適当な時期と考えた人が多いことが分かる. これらの子どもの留学年数では, 「1年」 が最も多く1 3% を 占め, 次 い で, 「2 年 ~ 3年 未満」 が6 人 で20 0% を 占め て い て 多 い‐ 初 期 の 頃 は, 短 期 受 け 入 れ 53 ‐ .. 7%存在する‐ 半数以上の子ども や2学期以降の受け入れも行っていたため, 「1年未満」 の子どもも5人16 . が1年間の留学を終えて親元に戻っているが, 2年以上数年間にわたり, 留学生活を送った子どもも全体の 30 0%おり, 山村留学に対する評価や留学期間は多様である. . 以上のように, 保護者の特性から指摘できるのは, 現代の典型的な核家族形態ではないこと, 少子化時代 と言われる中でも留学生の兄弟姉妹関係では, 一人っ子が少なく, 比較的兄弟姉妹の人数が多いことが挙げ 0 0%を占め, 留学年数を 「1年」 で終えた子 どもが半数を占める一方 られる‐ また, 中学校期での留学が7 . 0% い た‐ で, 2 年以 上の 長期 にわ た っ て留 学 生活 を続 けた子 どもが30 ‐. これらの状況を踏まえたうえで, 本節では, 山村留学への参加動機とその成果について保護者の意識から 明 らか に して い きた い‐. 2 { ) 保護者から見た山村留学制度の参加動機と子どもの成果 保護者による山村留学への参加動機を自由記述から見ると (表1) , 自然体験や農業体験 を求めて山村留 学に参加させたという理由が最も多く, 40%以上を占めている. また, 子どもの意志で参加させたという保 護者が4人で17 3%おり, 子 どもの意志を尊重した留学だったことが保護者の意識から分かる. この他には, ‐ アト ピーなどの健康面に関する動機や, 小規模校の少人数教育に期待したという動機も多い. しかし, 近年 増加傾向にあるいじめや不登校などの理由を挙げた保護者は1人しかおらず, 別稿で明らかにした子どもに よる参加動機の意識とは異なっている‐ これらの保護者から見た参加動機には, 自然や体験に期待する人が多いが, 次に, 山村留学に参加させた 5% を 占 め,.「良 か っ た」 が こ との 評 価 を見る と (表 2) . , 最 も多 か っ たの は, 「大 変良 か っ た」 が10人 で43. 2%の保護者が山村留学に参加 したこと 5人で65 5人で21 7%あり, 両者の評価を併せると全体23人のうち1 . ‐ 7%ある. を積極的に評価している. その他 「現在は分からないが, 将来に役に立つと思う」 が5人で21 . 34.
(4) . 山村留学修了生の保護者の意識とへき地小規模校の役割 表1. 留学修了生保護者による山村留学への参加動機. ケ ース. 自. 評価. 由. 記. 述. 意. 見. *自然・体験に関すること 17. I. 9. I. 20. I. 22. I. 3. I. 5. I. 13. 2. 16. 2. 19. 3. 自然に親しんだ素朴さを失わず, 楽しんで毎日が暮らせるようにと思った‐ 搾乳牛に興味を持った. 自然環境の良い所で育って欲しかったため. 親元を離れて生活させたかった。 北海道の光と風を浴びせたかった‐ 依存心が強かったため, 自立が第一だった‐ 子どもに色々体験をさせ, 地域の人達とのつな が り, 生活等地元とは違う多くの事を考えさせ, 感じさせたいと思った. 体験を通して, 人生の基礎作りをさせようと思った‐ 自然に対する感性を高めたいと考えた‐ 都市部の偏差値教育に疑問を持っていた‐ 都会の学校環境よりも, 静かで自然な場所での生活が良いと感じた‐ 子どものもっと違う面を見つけられるかもしれないと思い, 留学を選んだ‐. 北海道には自然がまだ沢山残っているので, できるだけ色々な環境で体験をさせてあげたいと思っていた . *子どもの意志に関すること 21. 6. 1 1. 14. 本人が希望したため‐. 7. I. 子 ど も達 が どう して も 行 っ て み た い と 言 っ た た め‐. 2. 2. 子どもがぜひ行きたいと言ったので。 都会に住んでいると自然に接する機会が少ないため.. 新聞記事を見た本人の希望. *健康に関すること 23. 3. 1 1. I 6. 幼児期からの端息とアトピー性皮膚炎の治療もあり, 現地見学をした上で, 最終的には子 ども 本人の意思で決めた. ア ト ピー が ひ どく, す べ て に お い て や る 気 を なく して い た か ら.. 3. *小規模校の積極面の活用 マンモス校で, 個別の行き届いた対応がほとんど期待できなかった. 大自然の中で, 伸び伸びと自然体験をさせたい。 少人数教育のメリットを最大限に活用したい. 注. 評価欄1~6は、 表2の項目番号に対応している‐ 12. 2. 18. 6. 表2 留学修了生の保護者から見た山村留学の評価に関する意識 項. 目. た 1. 大変良かっ った っ. 3. 現在は分からないが, 将来に役立つ と思う 少 し良く な か っ た 4‐ 少し良くなか. 5. 5. 良く な か っ た 今 は何 と も言 え な い 6‐ 今は何とも言えない. 0. A 合. 比率 比率. 10 43‐ 5% 1 g g ¥ 驚 : 21 5 7% ‐. 1 蚕萎撃 2 良か た ‐. 人数 人数. 計. I 1. 7% 21 7 % ‐ 3% 4 3 ‐%. 2. 0 0% . 7% 8 % .7. 23. 10 o0 o% o ‐0%. この 保護 者 か ら見 た65 2%の積 極 的 な 評 ‐ 価 は, 留 学 修 了 生 よ り も19‐4ポイ ン ト 低 く,. この評価こおける意識の相違を今後とらえ て いく こと が 重 要 であ る. 何故な ら, 後 述 する よう に留 学 中や留 学 直後 の 子 どもの 成 長 に 関 す る 高 い 評 価 が, 留 学 後 の 時 間 が 経 過する に従 ってその効果 は薄れたという 意 識 を 持 つ 保 護 者 が い る か ら で あ る.. ここで, あえて付言すれば, 山村留学で得た体験を子ども自身やその後の生活に活かしていかなければ, 山村留学に参加することの意義が問われるものであり, 山村留学に参加したことだけでのみ子どもは成長す る の で はな い‐ 子 ども が 得 た 山村留 学 の 成 果 をそ の後 の 人生 にお い て後 押 しで き る の は, 保護者なのである .. この基本的な理解を誤ると, 子どもが山村留学で得た貴重な体験や知識を 「生きる力」 として効果的に発揮 す る こと が で き にく く な る の であ る‐. では, 具体的にどのような成果が子どもにあったのかを次に見ると (表3) , 子ども本人の成長に関する ものが11人で47 8%と最も多い. 例えば, 「自立心を養えた」 「協調性を培えた」 「思いやりや人間関係が構 . 築できた」「視野が広まっ た」 など, 精神的な成長を挙げる保護者が多い. また, 参加動機の中で最も多かった体験や自然の効果を挙げる人も7人で全体の3 0 4%おり, その中には ‐. 「乗馬体験が将来の職業目標になった」 ことを山村留学の成果として挙げている‐ さらに, 留学地の地域や 35.
(5) . 玉. 井 康. 之・川. 前. あゆみ. 3%おり, 「都会では経験できない地域の人 地域住民の人々と触れ合えたという成果を挙げる人も4人で17 . 間関係」 や, 「何げない言葉のやり取り」 など, 留学地で生活すること自体が子どもの成果として示されて い る.. このように, 子どもが山村留学で得た成果は, 子ども自身の精神的強さを養い, 都会にはない自然や体験 学習で学び, 地域や地域住民と接する中で社会の人間関係を学んでいたことを示している‐ 次では, さらに山村留学を契機としてどのような具体的な変容が子どもに見られたのかを保護者の意識か らと らえ て いき た い‐. 3 ( ) 保護者から見た山村留学を契機とした子どもの変容 ここでは, 山村留学を契機とした具体的な子どもの変容をさらに具体的に保護者の意識から明らかにする. 1%が学習面で積極的な評価をし, 「行き届いた指導で学習 意 まず, 学習面での変容では (表略) ‐ , 全体の52 欲が向上」 したり, 「自主的に勉強するようになった」「学習習慣が身についた」 としていた‐ さらに, 体験学習によって, 「学習することは机の上だけではないことに気づいた」 り, 「丸暗記の学習傾 向が減少した」 とする保護者もいた. しかし, その反面で複式学級の形態により, 「留学後において子どもが苦労 した」 という意見や, 「留学前 の学校に戻ってから学力差を取り戻すまでに努力を要した」 という意見もある‐ すなわち送り出す側が, 山 村留学においても, 都会と同様の 「学力」 を求めている. これらの点から, 山村留学の趣旨の理解や留学の 目的を正確に持つ ことが重要であり, 山村留学において何を求めるのかということを, 山村留学に送り出す 保護者と受け入れる側の双方において共通理解を図ることが今後の課題になると言えよう. さもなければ, 子どもを山村留学に参加させたことによって, いわゆる 「落ちこぼれた」 という誤った認識を与えかねない か らであ る‐. 次に, 日常生活の変容では (表略) , 大多数の保護者が, 親から離れた生活をしたことによる効果を指摘 していた‐ 例えば, 「自主性・自立性がついた」「自分で意思決定できる」 「里親家庭での協調性が高ま った」 「洗濯・寝具の整理は各自自分でするようになった」 「親を離れて生活できる」 といった生活能力も向上して いる. 「親や家のことを思う気持ちが出てきた」 などの家庭の有難みも理解している. このように 「自立心」 「自主性」「思いやり」「協調性」 など, 子どもが精神的に成長したことを評価している‐ しかし, 「留学後の 時間の経過とともに, 元に戻ってしま った」 と評価する人もおり, 留学後の子どもの成果を最大限活かす動 機づけをすることが重要と言える. このような成果を評価できるのは, 子どもの保護者でしかなく, 山村留 学で培った成果を留学後に継続的に活かせるのも保護者以外にはないからである‐ また, 精神面での変容についても同様に (表略) , 精神的に強くなったことを評価する保護者が多い. 例 えば, 「我慢強くなった」 「留学先での友達づきあいは精神的に深いものとなり, よい意味で親から離れた」 「親や先生への拒絶的な姿勢がなくなった」 「優しさや親切さができた」「自分の考えを持てるようになった」 などである. 一方, 逆効果になったことを挙げる親も少数ではあるが存在している‐ 例えば, 子どもが山村 留学を十分に理解 していなかった留学の場合, 子どもが留学中の精神的な辛さから, 留学後精神的に荒れた ことを挙げている. いずれも, 留学前や留学中における親子の意志疎通や山村留学自体の理解・認識不足が 一 つ の 引 き 金 とな っ て いる. このよ う な 子 どもの 山村 留 学 への 認識 が十 分 で はな い留 学 で は, 留 学 中の 成 果. はもとより留学後の生活においてさえも, さまざまな悪影響をもたらすことになる‐ 7%は 「変化なし」 としていたが, 「健康的にな っ た」 「食 そして, 健康面での変容では (表略) ‐ , 8人34 事 の好 き 嫌 いがなく な っ た」 「体力 が つ い た」 「端息 と ア ト ピー が治 っ た」 「寒 い冬 で も 外 で 遊 ぶ よ う に な っ. 8%の保護者が身体の面で 向上したこと た」「野菜のおいしさを知り, 食べるようになった」 など, 11人47 . 36.
(6) . 山村留学修了生の保護者の意識とへき地小規模校の役割 表3 留学修了生保護者から見た山村留学の成果 ケー ス. 自. 評価. 由. 記. 述. 意. 見. *体験に関すること 17. I. 14. I. 4. I. 16. 2. 2. 2. 8. 3. 21. 6. 自然界全般, 特に動物に深い興味を持った. 親元を離れ, 留学先の方々との出合いや体験をしたことが, これからの人生の中で, 良い体験 を した と 思う-. 受験勉強のための塾通いもなく, 子どもの能力に見合った高校に進学でき, 中3時代をエンジョ イ しながら過ごせたことば, 今日の日本の受験地獄の中で, 特異な経験だと思われ, 大変な成 果と考えられる. 一番難しい年頃に親と離れて, 自然なところで伸び伸び過ごしたのは結果的には良かったと思う‐ 自然の美しさ, 厳しさを体験できたこと. 地域外の友達が出来たり, 自然体験が出来た. 乗馬経験のお陰で馬に強い興味を引かれて, 将来は馬に関わる仕事に就きたいようで, 自分の したい仕事が見つ かって良かった.. *地域に関すること I. 10. 3. 世の中を知り, 故郷の良さを知った事. 全然知らない土地, 人達の中に入って生活できた事‐. 15. 4. 多 く の 人々 を 知 る こ と がで き た‐. 3. 1 ▲. 22. 挨拶を通じ, 地元の方とふれあう機会が多いことによって, 随分学ぶことが多かったと思う.. *友人に関すること 5. I. 9. I. I. I. 7. I. 20. I. 12. 2. 13. 2. 11. 2. 何かと本人にとって不自由・不便・不理解があり, 辛い面もあったかもしれないが, 全てを含 めての 「山村留学」 なので, 人生の基礎作りの1ページだと信じている‐ 本人が自立する良い機会が出来た‐ 体力がついて, 健康面での改善が著しいのが第一. 自立心が養われ, 忍耐力がつ き自分の意志 を明確に持ち, 自己表現力も少しずつ付いてきているように思う. 親を思う気持ちが出来た事‐ 自立心が強くなった事‐ 精神的向上‐ 協調性・協同意識, 人の心を分かろうと努力する事, 独善性が改善された. 心が少し広くなり, 友人やお世話になった人達の気持ちが分かったこと. 下の子どもは, 目立った子どもではなかったが, 何故か友達に好かれるという良い面を発見 で き, 精神的に強くなった. 上の子どもは, 良い人間関係を持つ ことができ, 自分を表現するこ と が 以 前 よ り で き るよ う に な っ た.. 6 19 23. 3 3. 3. 視野が広まった. 新しい友達が出来た. 自分の意見を話すようになり, 人に対しての心づかいなどを覚えた‐ 皆で協力して何かをや り 遂げる充実感を知った‐ やる気があれば, 出来ること‐. 注. 表 目こ同じ. を 挙 げて いる.. このように, 山村留学の参加動機では, 自然体験や農業体験を求めた留学生は全国のどの地域にも多数い る. その一方で, 内面的な課題を持った子どもも多くいるにもかかわらず, それを参加動機に挙げた保護者 が1 人 だ っ た こと も留 意 し て おか な けれ ばな らな い.. さらに付言すれば, この数年の間で山村留学を希望する人の中に, こうした内面的な課題を持っていたこ と を隠 す ケ ース が増 え て いる こと が 受 け入 れ側 か ら指 摘さ れ て いる 内 面 的な 課題 を 持っ ていたこと自体は ‐ , 恥 ずべ き こと で はな い の に, 隠 して いる こ と によ っ て, 留 学 生活 を有 意 義 に する 体験 的な 機 会 が 逆 に子 ど ,. もの負担となる結果を招いている. また, 子どものみならず, 地元の子どもや地域を混乱させる結果にもな る の であ る‐ この よう な 内面 的な 課 題 を 持 っ て い た こと を 隠す こ と は, 子 ども に良い 影響 を 与え る もの で は. ない‐ 一番大切なのは, 過去の状況ではなく山村留学に何を求め, 何を得たいのか, という問題意識・目的 37.
(7) . 玉. 井 康 之・川. 前 あゆみ. 意識を持って参加しているかどうかなのである‐ この留学目的をないがしろにした山村留学では, 子どもに と っ ての教 育効 果 は見 出せ な い し, 地域 にと っ て も不幸 な こ となの で ある‐ 今後 も こう した内面 的な 課 題 を. 持った子どもの留学者の増加が予想されることから, 事前に子どもの状態を保護者が留学先に明確に話すこ とが, 今後の山村留学制度の大きな課題及 び発展条件になると言えよう‐ また, 子どもによる山村留学の評 価 より も, 保護 者 の評 価 が20% ポイ ント近く 低 い こと か ら, 保護 者 がと らえる ユ ー ト ピア 的なイメ ー ジ につ. いても認識を改める必要がある‐ 前述したように, 子どもは山村留学に参加したことによってのみ成長するのではなく, 山村留学で得た知 識や体験を元にしながら, さらにその後の人生に活かしていくのである. 山村留学で得た成果をその後の生 活に活かすためには, 親の援助が必要なのである‐ この点を明確にしておかなければ, 山村留学は単なる子 育て の 外 注 に留 ま る.. 以上のことから, 保護者が持つ べき山村留学に対する意識の改善が二点考えられる‐ 第一に, たとえ内面 的な課題を持った留学であろうとも, これを隠す事なく留学目的を明確にすること, 第二に, 子どもが山村 留学で得た経験を活かせるように, 親としての意識の改善を求めること, が今後の課題及び発展条件となる‐ 第3節. 保護者から見た留学前の学校と留学校の比較意識と発展条件 本節では, 留学修了生の保護者による留学前の学校と留学校の双方の評価を通じて, 両者の積極面と消極 面を明らかにすることが課題である. 学校規模や環境の異なるこれらの学校をとらえることによって, 山村 留学の果たす役割やへき地小規模校の意義をとらえることができる‐ そのため, まず第一に, 「学校」 や 「教師」 に関する評価を, 保護者の意識からとらえたい. なぜなら, 今後の山村留学制度の運営を改善していく上で重要なだけでなく, 大規模校と小規模校を比較する中で, 今 後の日本の教育の在り方をとらえることも可能だからである. 第二には, 保護者から見た 「指導内容」 や 「教育内容」 に関する意識をとらえ, 留学前の学校と留学校を比較したい‐ 第三に, 「学校と地域」 という観 点から保護者の意識をとらえたい. 留学前の学校と留学校の意識の相違の中から, 山村留学制度実施町村に おける学校と地域の連携の積極面が明らかにできる. そして第四に, 保護者から見たへき地小規模校の教育 効果と課題及 び発展条件を明らかにしたい‐ 何故なら, 農山漁村に住んでいる人達からは, 自分たちの学校 の良さや課題を具体的に理解することは難しく, 都市部の人の方が客観的に評価できるからである‐ 以上の4点を明らかにすることで, 改めて, 都市部の大規模校の積極面と消極面, 並びに, ヘき地小規模 校の積極面と消極面を指摘できるからである‐ そして, 大規模校と小規模校の比較から, 山村留学制度に限 らない今後の日本の教育課題及 び発展条件を見出すことができる‐ ) 「学校」・「教師」 に関する意識と発展条件 ( 1 まず, 留学前の学校を留学修了生の保護者の意識から見ると (表4) , 良い面では, 「通学に近い」 ことや, 人数 が 多い 分 「友達 が多く い た」 こと を挙 げて いる人 がそ れ ぞ れ3人 ずつ いる‐ そ の 一 方 で, 悪 い面 を見る. と, 「子どもの人数が多すぎる」 ことを挙げる人が圧倒的に多く, 子ども一人一人に目 が行き届かないこと を指摘している. また, 「教師の資質・姿勢や学校の体質」 を指摘する人もおり, 教師のサラリーマ ン化や 学校の管理主義など, 都市部の学校が抱える教育の歪みが指摘されている‐ 全体として, 留学前の都会の学 校の問題点をあげる人が多い. 他方, 山村留学校を保護者の意識から見ると (表5) , 「教師が意欲的で熱心」 なことや, 少人数教育によ る 「行き届いた教育が期待できた」 とする積極面を挙げている‐ さらに, 留学校の 「学校と地域の協力態勢」 38.
(8) . 山村留学修了生の保護者の意識とへき地小規模校の役割. の良さを挙げる人も多い‐ 子どもの人数が少ないことで 「子ども自身が存在感を感じ」 たり, 「学年を越え た人 間 関係 の 良さ」 を経 験 で き た と する 保 護 者 もいる. そ の 一 方で, 悪 い面 につ い て は, 少人数のため逆に,. 「団体競技が少なく個人競技が多い」 ことや 「友達作りには子どもが少ない」 といっ た小規模校の消極面を 指摘している. 全体としては, 山村留学校の良い点を挙げる人が多い. 以上のように, 留学前の都市部の学校は, 1クラスの人数が多すぎて子ども一人一人に目が行き届かなかっ た り, 教員 がサ ラ リー マ ン化 して いる と いう 点 で, 保護 者 が留 学 校 の 積 極 面 を高く 評 価 して いる こと が分 か. る. 山村留学校にも消極面があるが, それ以上に積極面を高く評価していることが分かる. 保護者の意識か ら1ク ラス の 子 どもの 人 数 が多 い こ と に対 す る消 極 面 が 多く 指 摘さ れて いる こと か ら, 今後 さ らに, 1学 級. の人数を減らしていくことが, 今後の日本の大きな教育課題でもある. さ 日こ , 小規模校でも少人数教育で あるために, 子どもどうしの良い意味での競争心や人間関係作り育成などで, 集合学習・交流学習等の工夫 が 求め られよう.. 2 { )「指導内容」・「教育内容」 に関する意識と発展条件 保護者の意識から, 指導内容や教育内容を見ると (表6) , まず山村留学校の先生の積極面を挙げる人が 全体の30%程いて多い‐ 当然のようであるが, 例えば, 「責任感」「情熱」「意欲的」 などを挙げ, それだけ 留 学前 の 学 校 に は欠 けて いる とと らえ ている. 指 導 内 容 につ いて も留 学校 が, 「子 ども一 人 一人 にあ っ た 指 導」 で あ っ たり, 「先 生 も一 緒 に行動 をする」 と い っ た 意識 を 持 っ て いる‐ 小 規 模な 山村留 学 校 は個 を尊 重 で きる こと を示 し て いる ‐. また, 教育内容の比較では (表7) , 留学校での豊富な体験学習の良さを挙げる人が圧倒的に多く80%程 いる‐ これは, 自然体験や勤労体験, 乗馬体験など, いずれも 「都市部の学校ではできなかった体験」 であ る‐ 山村留学に参加する人の多く は, こうした自然体験や勤労体験を求めており, 「本当に良か っ た」 とい う 意 識 を持 っ て いる こ と が分 か る‐. 以上のように, 山村留学校における教師の姿勢や指導に感銘を受ける保護者や, 留学校で経験したさまざ ま な 体験 学 習 を 非 常 に高く 評 価 し て いる こ と が 明 らか にな っ た こ れ は 留 学前 の都 市部 の 学校 で は ほと ‐ , ,. んど期待できなかったことであり, 都市部では体験学習をする物理的な環境や体験学習の位置づけが低いこ と を 意 味 して いる‐. ( )「学校と地域」 の関係に関する意識と発展条件 3 「学校と地域」 の関係につ いてどのような協力や連携態勢があるのかを, 保護者の意識から留学前の学校 と留学校を比較すると (表略) , ほぼ全員が留学校の方が学校と地域が一体した関係にあ ることを挙げてい る.. 具体的には, 山村留学地では 「地域が学校に協力的だった」「有児家庭以外の地域住 民も学校に関わ っ て いた」「地域で子どもを育てている」「お年寄りとの接点もあった」 「運動会・学芸会など地域の人の協力が すごい」「非行につ いても注意指導するなど町くるみ」「体育祭では地域の人達と子どもたちとの温かみのあ る交流の場だと感じた」 「PTAだけでなく, 学校と地域が一体となっていた」 といった学校と地域の緊密な 関係を留学校で感じている‐ 一方, 留学前の都会の学校では, 「地域として学校に関心を寄せ ることはほと ん どな い」 「学 校 の 役割 は学校 に いる 間 だ け, そ れ も授 業 だ けという 感 じ」 「PTAで は 母 親 の ほん の 一 部 , だ けで動 い てい た」 と と らえ て いる ‐. このような学校と地域の連携の強さや地域住民の学校に対する意識の高さについては留学修了生自身の意 識にも現れていた‐ この学校と地域の緊密な関係は, 留学修了生が留学時に自分の存在を感じることができ 39.
(9) . 玉. 井. 康 之・川 前. あゆみ. 表4 留学前の学校の良い面・悪い面について ケース. 7. 22. い. 悪. 面. 面. 学校というより, 細部に厳しい教師であったし, 生徒も細部にこだわ る傾向があった.. 通 学 に 近 い こ と.. 都市の学校においては, 進学・入試に偏重した授業, 教育方針で子 ど も自身の選択を狭めている‐. 人数が多く, 先生と生徒の間に開きがあった‐ 都会の学校としては, 運動場 一人一人の子どもの細部にまで目が届くということはな か っ た。 中に が広かった‐ 自由な校風で, は, 義務的にしか学級経営をしない先生がいたり, 高学年になると毎 皆平等にというやり方だった. 年, 荒 れる ク ラ ス が あ っ た. 通学が近くてよかった.. 人数が多すぎて個性重視の教育はできない。 子どもによっては学習面で の切瑳琢磨が出来るが, それは協調性を犠牲とする. 大規模校でいじめが流行し, 子どもが非行化していた. 先生方の取り 組みもサラリーマン的で教育にやる気があるのか疑わしかった.. I. I. い. 学校に近いこと.. 学級の人数が少し多す ぎた.. 友達が多くいた.. 担任の指導が随分影響すると思う. 愛情・情熱に欠けていたように思っ. 1 ←. 3. 良. 1 ←. 20. 1 1. I. 1 ←. 14. 1 ←. 9. 1 1. 17. 評価. て い た の で, 留 学 さ せ る き っ か け に な っ た‐ 当 時, 学 校 そ の も の の 施. 設・設備・先生等に多くの不満があった‐. 5. I. 1 3. 2. 16. 2. 12. 2. 11. 2. 6. 3. 19. 3. 2 3. 3. 21. 生徒への統率もとれておらず, 荒んだ中学校だった. 生徒間のつなが りも薄く, 教師の質も低く, レベルの低い中学校だった. マンモス校で, 一人一人に先生の目が行き渡らない‐ 校舎が汚かった.. 1 1. 4. 6. 可もなし, 不可もなし‐ 比較的良い先生ばかりだった. 人数が多い分, 色んな子どもがいるし, 先生方も目が届かないと思う. 施設や盛んな部活の点におい マ ンモス 校 で, 落 ち こ ぼ れ の 放 置, そ の グルー プ 化. ては好点‐ 平和問題・同和問題等にも力を入れていたためか, 小さないじめに関 して先生の反応や対応は良かったのか, と今になって思う. 子 ども達 を型にはめてしまう傾向があり, 伸び伸びとした子 どもに育ちにくい‐. 学校や地域内に友達が多くい た.. 人数が多いので, 学校行事が クラスの人数が多いためおとなしいタイプの子は, 存在感がなか っ た 盛り上がり, 楽しそうだった. と思う. 小規模校と全てが違う. 大規模校のため, 一人一人に目が行き届かない‐ 生徒数が多く, 目が届かなかった.. 環境は良かった.. 注. 表1に同じ。. 表5 留学先のへき地小規模校の良い面・悪い面について ケ ース. 9. 1 1. 良. い. 面. 悪. い. 面. I. 空気もよく, 先生方や生徒も仲が良くて良かった. 親としては, 悪い面は感じなかった.. I. 先生の目が届くという点では, これ程恵まれた学 少人数のため, 部活動の数が少なく, 選ぶことが 校はないと思う‐ 教師に意欲的な方が多く, 活力 出来ない‐ また, 余計友達関係が難しいと いうと がみなぎっていた. 諸設備も水準の高い恵まれた こ ろ もあ っ た‐ ものだった. 自然環境にも恵まれていた.. 1←. 7. 評価. 少人数での機動的に出来る面が本当によいと思う. 特に, 地域が学校を支え, 子ども達を見守ってく れ て い る 点.. 40. 20. I. 特に先生方とのふれあいが精神面で良く伸ばして 卒業式・入学式に日の丸が揚がったり, 君が代が 流れたことは不快. も ら っ た.. 22. I. 最高学年で下級生に慕われた‐. 自由な雰囲気に少 し欠けた..
(10) . 山村留学修了生の保護者の意識とへき地小規模校の役割. ケ ース. 評価. 4. I. 良. い. 面. 教育環境としても整っており, 教師が暖かく厳しく 生徒のレベルを判定しながら, 長所を伸ばす教育に 腐心されており, 教育の原点を観た感じがした.. I. 12. 2. 2. 2. 11. 2. 少人数で, 学年を超えた付き合いが出来た‐. 6. 3. 人数が少ないので, クラス内での子どもの存在感 がある‐ 先生の目が行き届く.. 19. 3. 先輩・後輩等がとても仲が良かっ た‐ 先生とも親 しく話が出来ていた.. 23. 3. ク ラ ス が 少 人 数 の た め, ま とま り が よ か っ た ‐. 10. 3 4. 18. 6. い. 面. ▼. 校舎がきれいで, 先生の影響が大きく, 地域と学 校がまだまだ協力的.. 5. 15. 悪. プライベートな時間が持ちにくい. 能力や性格 の 個の長短への対応が出来ることと, 地区の人々 が 幅がそれ程期待できない‐ 親に悲喜 悩みの報告や 全面的に支援して下さったこと. 相談を率直, 気軽に出来ない‐ 自然に恵まれ, 色んな体験が出来ること‐ 少人数のため, 団体競技が出来なく個人の能力を 競 う こ と が多 い.. 自然がいっ ぱいあり, 良い環境の中で, 勉強が出 来た‐ 個人にあった指導と人間としての個人の尊重‐ 自由が細部まで行き届いた教育が期待できる‐ 競争心が育たない. 友達作りに難あり‐. 注‐ 表1に同じ.. たという感動も与え, 無意識のうちに子どもを育てる環境があったことを示している 地域の人々が 「自分 ‐ を知 っ てく れ て いる」 という 意 識 は, 都 会 で はあり 得な か っ た と みて おり この意 識 を持 つ こ と で 匿名 性 , ,. をなくし, 自制心や人間関係の構築に大きな影響をもたらしている . 地元から見ると, 昔に比べて 「学校と地域の関係が希薄化している」 とは言っても 都市部の人々からは , , 農村にはまだ学校と地域の粋が強いという印象を持つのである ただその反面 「親の力関係が学校内 にも . , 存在している」 という人もおり, 学校と地域が密接であるためにこうした力関係が生じる危険性を持ってい る こと を 指 摘 してい る.. 以上のように, ほぼ全員の保護者の意識から 「学校と地域」 の関係を見ると 留学前の学校にはなかった , 学校と地域の緊密な関係が, 留学校には存在していることが分かった この学校と地域の連携が 子どもに . , 良い影響を与えており, 学校だけではない有児家庭以外を含む一般地域住民の協力による地域教育の重要性 があ らため て 明 らか にな っ た .. ( ) 保護者から見たへき地小規模校の教育効果と発展条件 4 留学修了生の保護者の意識から小規模校の教育効果をとらえると (表8) 大別して三点が挙げられてい , る. 一つは, 全校児童生徒の枠を超えた異年齢の人間関係を形成できること 二つには 先生と子どもの距 , , 離 が近く 先 生 を 身近 に感 じる ことが で きる こと 三 つ に は 少人 数の 中で個 に応 じた 教育 が で きる こと を 積 , ,. 極面としていることである‐ これらの三つの小規模校の積極面は実際に都市部の学校では難しく 大規模校 , と小規模校の両方を知っている保護者の評価として明確に比較されている . その一方では, 少人数教育の消極面も幾つか指摘されている それは一つ には 刺激が少ないことで人格 ‐ , 形成上のんびりとした性格になり, 将来的に都会の複雑な環境に適応できないのではないかという心配であ る. 二 つ に は, 少 人 数 と いう ことで 閉鎖 的 にな っ たり 競 争心 が育 たな い の で はな いか と いう 指 摘 であ る , ‐ 41.
(11) . 玉 井. 康 之・川. 前. あゆみ. 表6 留学修了生保護者による留学前と留学先の学校の先生や指導内容の比較意識 ケ ース. 自. 評価. 由. 記. 述. 意. 見. 1 ←. *先生に関すること 14 留学先の先生が, 「預かっている」 という責任感から決してうやむやにしないという姿勢が伺えた‐ 留学先の学校では, 意欲的な学習, その他の課外活動が行われ, それら学校生活全般を通じて, I 先生が生徒一人一人を良く 見ているという感じを強く 受けた. 1 ←. 20. 1 ←. 5. 1 ←. 3. I. 13. 2. 2. 2. 18. 6. 細かいところまで見て頂ける小規模の学校の方が良いと思う‐ 先生方が子どもに愛情・情熱を持っている と感じた。 少人数のために目が届く. 給食 は自校給 食であり, 満足できていたと思う. 行事については集落住民参加のようで, 子どもにとっ ては 初めての事で楽しかったように思う. 先生のお陰で勉強に対する姿勢が出来た半面, 先生の個人的人格が一方的で, 子 どもの思い通 りにならなかった様子. 留学先の先生方が親切にしてくれたと思う. 人数が少ないので先生方の目が届いていた‐ 人数の大小による目の行き届き方に差異がある‐. 7. 1 1. *指導に関すること 都会では考えられない少人数で, 心のこもった指導が留学先では出来たように思う‐ 留学先では, 十分過ぎる程, 細やかな生徒にあった指導が行われていた‐. 4. I. 12. 2. 6. 3. 子どもが少ないためか, 一人一人に対して十分な教師の指導が受けられる. 都市部においては , 全てではないだろうが, 学力思考の教育のみで, 平均以下の子 どもは放任される状態がある. 留学前は, 生徒は授業を聞くというのが中心だったが, 留学先では, ひとりひとりの 意見を聞. 3. 留学先は, 人数が少ないので, 先生も一人の子どもの性格等をとても深く見てもらえる が, 人 数が多くなれば, 先生も忙しく, そこまで手が届かない. 指導するというより も一緒に何かす. 1 9. く と い う こ と が 中心 だ っ た‐. る と いう 感 じで, そ れ が 子 どもに と っ て はと て も嬉 しか っ たよ う だ.. 8. 3. 21. 6. 少人数なので, 先生方の指導が決め細やかである. 留学前は学習面で, 分かっても分からなくてもどんどん進んでいく感じだった. 留学先では, マ ンツ ーマ ンで と て も 良く して も ら っ た.. 注. 表1に同じ‐ さ らに三つ に は, 少 人数 であ る ため に体験 で きな い こと もあ る と いう 指摘 が ある. こ れ ら3点の指摘は, 確かに一面では否定できないが, これは教師の創意工夫によってある程度は克服さ. れ得ることでもある. 消極面の指摘以上に, 積極面の教育効果が子どもにとって多大な影響を与えているこ とは, 留学修了生の意識からも明らかであった. 保護者においても, 小規模校の消極面 も含めたうえで全体 としては積極的に評価 している. 今後, 小規模校における教育効果をいっそう高めるためには, 保護者が指 摘した消極面を積極面に転化させる創意工夫が重要になると言えよう‐ 以上本節では, 留学修了生の保護者から見た留学前の学校と留学校の意識を比較し, 両者の積極面と消極 面を明らかにしてきた. ここでは, 4つの側面から保護者の意識をとらえ, 小規模校の消極面と大規模校の 積極面を含めても, 小規模校の積極面が子どもに大きな成果をもたらしたことを明らかにした. 小規模校が 持つ少人数教育による人間関係作りの閉鎖性や, 競争心の育成の困難性といった消極面も指摘さ れたが, 小 規模校の教師や学校, さらにそれらを取り巻く 地域社会から受ける影響が, 子どもにとって大きな効果をも たらしたことを, 保護者の意識から明らかにした. 今日における日本の教育の歪みや問題点が多く指摘されているが, このような状況の中でも小規模校の持 つ 積極面は, 今後の日本の教育の在り方に大きな示唆を与えていると言える. 次節では, 保護者から見た留学前の学校と山村留学校の比較から, さらに, 山村留学制度の成果と課題及 び発展条件を明らかにしていきたい. 42.
(12) . 山村留学修了生の保護者の意識とへき地小規模校の役割 表7 ケ ース. 留学修了生保護者による留学前と留学先の学校の教育内容の比較意識 評価. 自. 由. 記. 述. 意. 見. 17. 7. 留学前の学校では決して出来ない自然体験・勤労体験が出来た. 運動会や文化祭では, 一人一 人がしっ かり活躍する場面が多く, 生徒と先生が一体となって地域の人々がこれを懸命に支え ていた。 留学前の学校では見られない光景だった‐ 都会では, 先生も生徒も全ての体験・行事を無難に過ごすように思われるが, 留学先 で は内容. I. が 伴 っ て い る 感 が あ る‐. 1 1. 22. 留学先のほうが, 行事も豊富で生徒の学習成績も良いが, 留学前は, 成績格差があり, 落ちこ ぼれの生徒が多いように感じた‐. 1 1. I. 自然を取り入れた行事も多かったように思われる‐. 11. 14. 11. * 自然に関すること. どうして北海道の学校は, 雪や氷や風をもっと大切にしないのかと思った‐ 自然体験等, 留学前は出来ない経験である‐ 行事は地域参加ということで, 学校や子 どもを通 じ, 地域が見えてくると感じた.. 3. I. 4. I. 5. I. 16. 2. 自然体験などは, 留学前では絶対に出来ないことを色々出来て楽しかったようだ 人数が少な ‐ いので, 協調性が出来たようである‐. 2. 教室だけでしか接することが出来ない先生と, 自然・勤労・地域・学校行事などで共働 共感 , , 人間同士等という感覚を実感できたのではないか‐ 一面, 競争相手が少ないと自分の学習致達 点に不安が出るかもしれない‐. 11. 2. 特にU地区では, 乗馬が大きな魅力だったが, 中学生の場合は, 部活優先で期待は大きく裏切 られた格好となった.. 18. 6. 6. 3. 12. 19. 3. 23. 3. 10. 3. 21. 6. 都会の学校に比べ, 大自然の中で, 日常的に自然体験や勤労体験が出来, 学科以外の種々の体 験は素晴らしい経験をしてきたと考える. 短期間に色々な体験をさせてもらい非常に有意義な1年だった。 都会で体験できない質沢な生 活 だ っ た‐. 留学先は, 学校教育プラス自然体験や情操や友情などの面で粋が強まったのではないか . 留学前ではできなかった自然体験ができ, 受け身ではない授業で楽しく, 身に付くことも多かっ たと思う. 自然体験や勤労体験は, 留学前の学校ではできない. 東 京 で は経 験 で き な いこ と ばかり で, とて も良 い こ と だ っ た と 思 う そ の都 度 感 動 して い た . .. 留学先の学校は, 体験・行事がいっ ぱいある. 乗馬の経験がとても良かった‐. *先生 に関する こと 20. I. 2. 2. 留学先の学校の方が何についても前向きである. 13 2 塾がない分, 留学地では教師が親身になって取り組んでいるように見える . *地域に関すること. 8. 3. 15. 4. 運動会・藁麦作りは近所のおばあちゃんが先生で, 大人と子供が一緒になって色々な事をして い た.. 地域全体で面倒を見てもらった‐ 留学先は, 地域との密接なつながりがある.. 注. 表 1 に 同 じ。. 第4節. 保護者から見た山村留学制度の到達点と発展条件 本節では, 保護者から見た山村留学制度の到達点と今後の課題及び発展条件をとらえることを課題として いる. これによって, 留学修了生が山村留学で得た知識や体験による成果とは違った視点から山村留学制度 の評 価 を と らえ る こ と が でき る か らであ る.. 本節の課題を明らかにするために, まず第一に, 山村留学を契機として保護者自身が学習した成果を明ら 43.
(13) . 玉. 井. 康 之・川. 前. あゆみ. か に して い き た い‐ こ れ によ っ て, 保護 者 が 持 っ て い た教 育観 ・人 生観 が, 山村留 学 を通 じたさ ま ざま な 人. との触れ合いや子 どもの成長を見ながら, 変わっていく様子をとらえることができる‐ そして, 保護者の意 識の変容をとらえることが親の一般的な在り方に大きな示唆を与えることができる‐ そして第二に, 子どもを山村留学に参加させる前後の変化と山村留学の今後の在り方を保護者の意識から 明らかにしていきたい‐ この意識をとらえることで, 今後山村留学制度に参加させる親に対 して, 山村留学 に参加させる側の姿勢や心得などを, 供することができる. まず初め に, 山村留学を契機として保護者自身が学習 した成果を見ると (表9) , 大別して 「自然や労働 の大切さ」 「地域や人々の交流の大切さ」 「親子関係の見直しの機会」 「教師や学校を通 して学校教育を考え 直す機会」 の4つ の成果に分けられる. いずれもへき地小規模校の積極面から保護者自身が学んだことを挙 げている. これらは, 実際に小規模校を経験した者でなければ気づかない事であり, 子どもを山村留学に参 加させた親として大きな学習成果があったと言えよう. しかし一方では, 「留学生の目的意識がなければ, 山村留学が単なる遠隔地留学の意味しか持たない」 と指摘する保護者もおり, 留学生の目的意識の有無が, 山村留学制度の発展条件の重要な課題になるとしている. 次に, 子どもを山村留学に参加させた経験の自己評価を見ると (表略) , 親自身も 「貴重な経験になった」 「山村留学を契機として多くのことを考えさせられた」「里親制度による貴重な体験ができた」 とする意見が ほとんどである. それは, 子育ての在り方に関する幅広い見方を, 山村留学を通じて獲得 したからである‐ 例えば, 「サラリーマン家庭と親の仕事が身近に見える酪農家の家庭の違いを体験したこと」 , 「育児の中で 親が間違っていた部分があったことを山村留学で気づいた」 「親も子も寂 しい思いを乗り越えて成長できた」 「山村留学 は子育ての一ページを飾る大切な出来事」 であるという意見が多い. それは, 「地域の人たちの温 かい受け入れ体制」 を経験してのことである. 長期間, 子どもと離れた親としての子どもに対する愛情や寂 しさを経験し, 都会では得られにくい地域や学校・教師との出会いや交流が, 保護者にとって積極的な意味 を与 え た こ とが 明 らか であ る‐ しか し, そ の 一方 で は, 「山村 留学 に参加 さ せる タイ ミ ン グ が 重 要」 だ と す る 指 摘 が ある.. 0 ) また, 山村留学の今後の在り方を保護者の意識から見ると (表1 , 大別して制度運営 上の課題と, 山村 留学に参加する側の意識の課題の2つ に分けられる‐ まず制度運営上の課題では, 受け入れ形態において 「里親の負担の軽減」 「センター方式における指導員 の負担の軽減」「子どものみの留学にはカウンセラーの設置の必要性」 が挙げられている. また, 「各関係者 の山村留学制度に対する共通認識の確立」「山村留学の参加側の意見を聞く」「山村留学の情報提供」 など, 受け入れ側の連携態勢の確立や, 相互に意見交換をする必要性を挙げている‐ 山村留学に参加する側の課題では, 「留学生がしっかりとした目的意識を持つ」「留学中の実親の成すべき 責任と義務の明確化」 を挙げている. これは, 留学生自身がより良い山村留学にするためには, 目的意識を しっかり と持たなければ積極的な展開は期待できないことを意味している. そして, 子 どもが留学中に実親 と離れて暮らしていても, 実親として定期的に子どもと直接会うことや留学地に預けたままにならないよう に, 親の責任と義務を明確にすることが今後の課題であると言えよう‐ 以上, 本節では, 山村留学修了生の保護者の意識から, 保護者自身が得た成果と今後の山村留学制度の課 題と発展条件を明らかにしてきた‐ 子どもを山村留学に参加させたことで保護者自身が多くのことを学び, 教育観や人生観, 親子の在り方などに変革をもたらしたことが明らかとなった‐ さらに, 都会では得難いさ まざまな体験ができたことを, 多くの保護者が高く評価していることが明らかになった‐ 山村留学が子ども のみならず保護者自身に対しても, 良い成果をもたらしたと言える‐ しかし, これらの保護者の意識から今後の山村留学制度の重要な課題と発展条件も明らかとなった. それ 44.
(14) . 山村留学修了生の保護者の意識とへき地小規模校の役割 表8 ケ ース. 評価 1 1. 17. 留学修了生保護者から見た小規模校のプラス面とマイナス面に関する意識 自. 由 記. 述. 意. 見. 大勢の中で自己主張する必要がなかったためか, 先生とも身近に話せて良かった点もあるが, 現 在 マイ ナ ス と な っ て い る 点 もあ る.. 9. I. 取り立てて考えられる事はない‐. 14. I. プ ラ ス の 面 が 多 く, マイ ナ ス 面 は あま り 感 じな か っ た‐. I. I. おとなしくて引っ込み思案の子どもは, 大勢の中では埋もれてしまいがちだが, 自分の得意な. 7. I. 20. I. 3. I. 4. I. と こ ろ で 力 を 発 揮 す る こ と が 出来 た‐ 社 会 に 出 て, 一 人 で 生 き て 行く と い う こ と に な っ た 時,. 都会の複雑な生活にどう適応していくかが諜題だと思う‐ 人数が少なすぎても問題だが, 多すぎるのも本当に問題だと思う. 出来たら20人位が理想だろ つ.. 年上, 年下に関係なく, 人間関係を作り出せるようになったが, よりのんびりした性格になった‐ 子どもが少ないということで, 年齢差を感じず仲良く過 ごしていたと思う。 別に子 どもが少な い と いう こ とで マイ ナ ス 面 はな か っ た‐. 男女を問わずクラスメート全員と友達になれたこと は, 各々の性格や資質を見極める トレーニ ングが出来たと考えられ, 良く知った上で判断することの大切さを自然に学んだのではないか. マイ ナス 面 は, 刺 激 が少 なく 性 格 的 に ゆ っ たり との ん び り 屋 に な っ て しま っ た こ と‐. 5. I. 13. 2. 16. 2. 小規模校の方が, 一人一人を大切にして教育が出来るので, プラスの面の方が大きい. 教育に おいて競争社会の必要はないと思う. 好みの運動活動が出来なかった‐ 馬場訓練等, 個別指導の必要な面ではプラス. 少人数なので, いじめの問題もなさそうで兄弟のような付き合いが出来るが, 上下関係の区別 が出来ない‐ 多数だと一人だけ目をかけてやることが出来ない.. 12. 2. 個々の能力や体調に応じてもらえることは, 最も人間成長にとってありがたいことであり, ど. 2. 2. 上級生や同級生とも仲良くしてもらったようだ‐. 11. 2. ん な マイ ナ ス 面 よ り も比 較 に な らな い プ ラ ス で あ る .. プラス面では, 伸び伸びとでき, 家族的な雰囲気の中で萎縮することがない. 一人一人 に与え られる時間が多いことや個性を認めてもらえたり, 自分の存在を感じることが出来たの で はな. い か。 能 力 に 関係 なく, 多く の こ と に 参 加 ・ 体 験 で きる. マイ ナ ス 面 は 少 人 数 と いう ことで , ,. 視野が狭くなったり, 体験できないことも多くある. 少人数であるがために, 仲間外れになる 可能性も高い. 6. 3. 先生の目が行き届くが, 生徒のことが先生に分かりすぎて, 本人にとっ てはプラスなのかマイ. 19. 3. 精神面での成長が大きかった. 自分の心の中を素直に話せる友達・先輩との出会い, 色んな性 格の子達と一緒に生活をする大変さ, 楽しさはプラスになったと思う. マイナス面は, 競争心. ナ ス な の か, よく 分 か ら な い‐. 等 は なく な る.. 23. 21 18. 3 6. 6. 全校生と親睦をはかれた‐ 運動会は小規模のため, 保育園から中学校まで一緒に行っ たが, こ れは大規模校では味わえないこと. 沢山の中の一人だったので, いつもボーっとしていたが, 留学先では何でも自分 でや らなけれ ばな らな い.. プラスの面としては, 相互扶助の精神が養われるが, マイナスの面では, 良い意味での競争心 が育たない‐ 友達作りに関しては, ー旦出来てしまうと粋が強まるが, 内気な性格だと 対象 , 数 が 少 なく, 逆 に マイ ナ ス に働 く.. 注. 表1に同じ.. は, 制度運営上に関して, 受け入れ形態における関係者の負担の軽減や, 受け入れ側の連携態勢の確立・相 互の意見交換等である. そして, 山村留学に参加する側の意識に関して, 留学生が目的意識を持つことや , 留学中における実親の責任と義務を明確にすることである. これらの指摘が留学修了生の保護者から見た今 後の山村留学制度の課題である. これらは山村留学の受け入れ側からでは気づかない点や 逆に保護者から , 保護者に言いにくい点も多く, これら双方の課題を改善していくことも, 山村留学の発展条件となる ‐. 45.
(15) . 玉. 井. 康 之・川 前. あゆみ. 第5節. 小括 本稿では, 山村留学修了生の保護者の意識の変化から見た山村留学制度の成果と課題をとらえるとともに, そ の こと を通 じて, ヘ き地 小 規 模校 の 役割 をと らえ た.. 本稿第2節では, まず山村留学修了生の保護者の家族形態は, 現代の典型的な核家族形態ではなく, 比較 的兄弟姉妹が多いことを指摘した. 保 護者 の意 識 と して は, 全 体 と して 山村留 学 を評 価 している が, そ の 中 で特 徴 的な こと は, 一 つ は, 山 村. 2%と留学修了生の意識よりも20%近く低く, なおかつ留学後の時間が経過する 留学に参加させた評価が65 ‐ に従 っ てそ の 効 果 は薄 れた という 意 識 を 持つ 保護 者 が多 い 傾 向 にある こと であ る. この 意識 の背 景 に は, さ. まざまな体験や自然環境の中で暮らしたことを評価 しながらも, いわゆる偏差値の向上も期待したり, 山村 留学に参加 したことだけで子 どもがその後も大きく変わるのではないかといった親の期待の甘さがあること を指 摘 でき る.. 二つ目には, 山村留学に参加させた具体的な成果には, 全体の約半数に上る保護者たちが, 子ども本人の 意識が向上したことを挙げていた‐ 自然体験はもちろんであるが, 地域の人々との日常的な交流の中で学ん だ成果は, 都会では持ち得ていない側面であり, 今後の山村留学やへき地の持つ積極面を示している‐ そして三つ目には, 保護者から見て, 山村留学を積極的に評価 しているが, 保護者も持つべき意識の改善 課題を明らかにした‐ それは, 近年増加傾向にあるい じめや不登校といった内面的な課題を持つ子どもの現 状を隠さずありのままに伝えることであり, その上で自己改革を含めた留学目的を明確にすることである. さらに, 山村留学で得た経験を親として事後に活かす意識を継続的に持つことである. 子どもは不慣れな環 境で留学生活を送りながらも確実に成果を挙げているにもかかわらず, 留学後においてそれを活かしきれて いな い こ と が 明 らか にな っ た か らで あ る. この よう に, 保護 者 か ら見 て も保 護 者 の意 識の改善 が課題であり,. その改善が山村留学の発展条件となる. 次に, 第3節では, 留学前の学校と山村留学校の比較を保護者の意識から明らかに してきた‐ ここでは, 「学校・教師に関する意識」「指導内容・教育内容に関する意識」「学校と地域に関する意識」 において, 留 学前の学校と留学校の積極面と消極面を比較しても, 小規模校の積極面の方が高い評価を得ていることが明 らかになった. 確かに, 大規模校では子どもの人数が多いだけに友達の数が多く競争心が育つ が, 逆にこれ はマイナス面にもなる. 一方, 小規模校は, 教師の熱心さや子 どもに目が行き届く少人数教育, さらに, 学 校と地域の緊密な連携が子どもに与える効果は, 非常に大きいという意識を保護者が持っている‐ さらに, 山村留学校における自然体験や勤労体験がもたらす効果は非常に高く評価されている. 一方大規 模校では, 物理的な環境が整っていなかったり, 学校における体験学習の位置付けの低さにより期待できな い という 意 識 を持 っ てい る こ とが 明 らかと な っ た. ま た, 教 師 に対 す る 意識 に お い て も, 山 村留 学 校 の教 師. の方が責任感があり情熱的・意欲的とする保護者が30%程あり, 留学前の学校の教師の意欲o資質が一面で 低いとみな している‐ 指導内容においても留学校の方が, 教師が個を尊重した教育を実践しているとしてい る‐. 第4節では, 山村留学修了生の保護者自身の意識から山村留学制度の到達点と課題及び発展条件をとらえ, 子どものみならず, 保護者自身も山村留学を通して多く のことを学 び, 教育観や人生観, 親子の在り方など の意識の変革をもたらしたことを明 らかにした‐ さらに, 都市部では得難い貴重な体験をしたことを保護者 は高く 評 価 している‐. 保護者の意識から見た今後の山村留学制度の課題と発展条件として, 関係者の負担の軽減や, 受け入れ側 の連携態勢の確立・相互の意見交換などの制度運営上の改善が指摘された‐ また受け入れ時に, 留学生が目 46. ..
(16) . 山村留学修了生の保護者の意識とへき地小規模校の役割 表9 17. 評価 1 ←. ケ ース. 山村留学を契機とした保護者自身の自己学習に関する意識. 9. I. 14. I. I. I. 4. 1 ←. 22. 1 1. 7. I. 自 由 記. 述. 意. 見. 労働を自然の事として取り入れることの大切さを学んだ. 学校教育を考え直す機会が出来た. 里親の器の大きさに尊敬する. 地域の人達の善意・暖かさに触れ, 感謝の気持ちでいっぱいであるとともに, 地域の方達の暮 らし方の豊かさに心打たれ, 多くの事を学ばせていただいた. 都会しか知らない私たちが, 今では田舎ができた思いだ。 そして, その方達の心の琴線を常に 強く感じている. 学校にしても, 対応は細やかで, 都会では味わえない心を感じた. 未だ日本という枠の内であっ たこと. 雪や氷という自然の教育力のすごさを知った事‐ 子どもを他人に預けることは, 子どもの自立心を養うには最適であると思われる‐ 親にとっ て は, 遠く子どもを思いやり, 一層の愛情が湧いてくると共に, 関係者への感謝の気持ちが不可 欠 で あ り, 一 層 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンを と れる よ う 努 め る よ う に な っ た. 帰 省 後 は 親 子 の 会 話 を. 日常的に良くするよう心がけられるようになった. 13. 2. 過疎地回避のために, あらゆる全ての人が努力している姿に感銘した‐ 自然の厳しさと, 生活 を成立させる生活態度, 尊厳さを感じる.. 12. 2. 自分の子どもだけでなく, 全体の改善に協力する姿勢‐ 個々の長所・欠点・遅れを把握して, それに応じる事こそ教育だと痛感した. マンモス校に通わせていると, 親も全体像にではなく, 個別の事象に一時的に部分的に対応していたのではないかと思う‐. 2. 2. 11. 2. 6. 3. 視野が広まり, 地域の方や他の留学生の保護者の方達と話す事が出来, 自分の教育や しつ けを 考え直す機会が出来た.. i9. 3. 人と人との交流の大切さ. 子どもの様子を他人から聞くことによって違った面を発見できたり, 離れているから冷静に子どもに対して接することが出来たりした‐ 預かった方の大変さがしみ じみ感じる部分もあった.. 15. 4. 家庭での膜教育を自分のそれと比べることが出来た.. 叱る事も含めて, 親の愛情の大切さ. 生活環境や自然環境等で子ども達も随分かわるものだと感心した. 北海道には良いイメ ージし か持っていなかったので, 実際に住んで見て, 封建的な社会であったり, そういう考えの人達 が多いことに驚きを覚えた.. 注‐ 表1に同じ‐. 表lo 留学修了生保護者による山村留学の今後の在り方. 評価. 17. I. 子どもにとって山村留学は, プラス面 ばかりだと思うので, お互いの信頼関係の上に立 っ て , おおらかな心で受け入れたり, 預けたりして欲しいと思う‐. 9. I. 留学時の学年, 並びに畑作・稲作・林業・養鶏・搾乳牛・食用牛飼育・羊飼育等 各学校によ , る特徴をだすべきだと思う.. I. 現在の学校生活 には心身両面で, どうしても適応できない子どもがいる中で 自然が好き で 塾 , や受験と無縁のゆったりとした自然の中での生活を望むものにとっては, 山村留学 は願 っ ても ない場になると思う. 本当に子ども自身が山村の自然を求めて, また目的をもっ て留学を希望 しているのかどうか, 見極めることも大事だと思う.. I. 7. 3. 4. I. 1 1. 22. 1 1. ケー ス. I. 自. 由. 記. 述. 意. 見. 山村留学の本来の在り方, 里親方式がベターという感じがする‐ 本当の学問とは何かを良く考えて作られた新しい学校こそが山村留学の学校となるべきである . 里親制度は大変だろうが, 頑張って続けていただきたいと思う . 海外赴任を含め, 転勤の多いサラリーマンの子弟や山村に興昧を持つ農業や畜産の好き な子ど もを受け入れて過疎対策にすると共に, のんびり型の山村の子どもの思考パター ンに快活な都 会型の刺激を受け入れるようにすれば, 幅の広い, スケールの大きい子どもが育つと思う 受 . 入先の問題もあるため, 全員全寮制を基本として町営にすればいいのではないか ‐ 47.
(17) . 玉 井. ケース. 13. 1←. 5. 評価. 2. 康 之・川. 自. 前. 由 記. あゆみ. 述 意. 見. センターでは, 何らかのトラ ブルが絶えないようだが, むしろ大変なのは指導員の方だと思う. もっと人数を増やし, 地域にとってもプラスになる見方で育てて行って欲しい。 都会の子 ども がこのような体験が出来たらとても幸せだと思う‐ 親だけではなく周りの人達が暖かく見守れる, 子ども自身も自分が気にかけてもらっ ている と いうノ じ ・の安定が必要だと思う. 留学して, 親以外の人達と知り合えることは, とて も価値ある こ と と思 う.. 12. 2. 月に1回以上というような親への義務を与えなければならないと思う‐ 先生, 親, 地域の各々 の役割の過不足を反省・改善できる頭脳を持っていて下さるようにと願う.. 2. 2. 1年間の長期留学ではなく, 短期留学もあると良かった.. 11. 2. 地域や学校, 教育委員会が山村留学に対する態度を明確にすべき‐ U地区において は, 各々の 意識が確立されていない上での多人数受け入れのため, 地域住民にとっても留学生側にとっ て も負担が大きいように思う. 地域の人達も苦労が大きいであろう が, 来る子どもも傷つ いてい るのではないか。 地元生にも大きな負担があるようだ. 毎年, 多くの留学生と関わるこ とによ り, 地元生の素朴さが失われてしまう.. 6. 3. 1 9. 3. 8. 3. 15. 4. 21. 6. ほとんど山村留学の情報がないので, 紹介する機会があるといいし, そのほうが, 色々選べて 不安が少なくて済むと思う.. 18. 6. 単に過疎対策としての山村留学ではなく, 都市文明の陥りやすい病癖に立ち向かう強い勇気を 育む山村留学として, あらゆる子どもの受け入れを地域ぐるみで歓迎して欲しい.. 親子での留学が理想である. 子どものみの留学生にはカウンセリングが必要だと思う. これからも継続して欲しいことと, 内容をもっと充実して欲しい‐ 受け入れ側の都合だけではなく, 参加側の意見も聞いて欲しい. 今後も続けて欲しい.. 注‐ 表1に同じ‐. 的意識を持つ ことや, 実親の責任と義務を明確にすることも指摘された. これらの指摘は, 山村留学を受け 入れる側のみならず, 山村留学に参加する側の双方の, 今後の改善課題を示している. 以上, 本稿では, 山村留学修了生の保護者から見た山村留学制度の成果と課題及び発展条件を明らかにし てきた. 都会の保護者から見た山村留学制度やへき地小規模校に関する意識, および保護者自身の改善課題 は, こ れま で の 山村留 学 の先 行研 究 にお いて 明 らか にさ れて こな か っ た点 であ る‐ 子 どもの 意識 に加 えて,. 子どもを送り出す側の保護者の意識をとらえることで, 子どもや受け入れ側の意識だけではとらえられない 山村留学の現状の成果と課題をさまざまな観点からとらえることができた‐ このように, 保護者から見た都会の学校と小規模校の比較は, 今日の日本の教育に大きな検討課題を与え て いる と 言 える‐. ※本稿は, 川前あゆみが全文執筆し, 玉井康之が校閲したものである.. 48.
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