O-20
【はじめに】 平成30年度診療報酬改定において,回復
期リハビリテーション病棟入院料1については,管理
栄養士(以下 NT)の専任常勤が努力義務となり,NT
との更なる連携が重要視されるようになった.当院で
は,栄養指導が必要な患者に対し,作業療法士(以下
OT)と NT が連携し,指導を行っている.今回,NT
と連携した調理訓練を通して,栄養管理についての意
識が改善し,退院後も食事内容に配慮した生活を送っ
ている事例を経験したため,報告する.なお,本学会
での発表については事例に説明し,同意を得ている.
【事例紹介】 80歳代男性.X 年6月にアテローム性血
栓性脳梗塞を発症し,脳出血後後遺症(構音障害)の
診断を受け,同月当院入院となった.既往にⅡ型糖尿
病,高血圧,高中性脂肪血症があった.6年前に妻を
亡くしてからは独居生活を送っており,発症前まで自
身の経営する居酒屋で調理師をしていた.入院前の食
事は,朝・昼のいずれか一食で菓子パンを食べ,夜は
店に出す料理を味見しながら賄い代わりに食べていた.
【初期評価】 身長:150.7 ㎝,体重:50.5 ㎏, BMI:
22.4. FIM は122/126点で,病棟内 ADL は独歩にて
行い,入浴に介助を要していた.HDS-R は27点.
Br. stage は上肢 V/ 手指 V/ 下肢 VI であり,随意性
は良好.高次脳機能障害は無し.言語機能障害は痙性
構音障害を認めていた.食事箋はエネルギー脂質調整
食1400Kcal であり,食嗜好により軟飯軟菜を摂取し
ていた.
【目標】 自宅で生活し,居酒屋が再開できること.
【経過】 入院より1ヶ月半で独歩での入浴,洗濯は自
立し,服薬も自己管理で行えることを確認した.病棟
内 ADL, IADL は自立し,課題は再発予防のための生
活習慣の見直しであった.事例は運動習慣をつけるこ
とには非常に意欲的で毎日取り組んだ.一方,栄養に
対する問題意識は低かった.そこで OT 目標を「退
院後の毎日の食事内容に配慮できる知識と工夫の習
得」とし,評価及び訓練を行った.店での料理を調
理訓練にて評価したところ,調味料を大量に入れ,濃
い味付けであった.味付けについて OT が指摘したが,
「OT の好みだ」と解釈し,理解は得られなかった.
この結果を踏まえ,NT がパンフレットを渡し,高血
圧患者に適した塩分量や,食材の組み合わせ,計量器
具を使用した調味料の調節などの指導を行った.その
後,①献立の立案 ②調理 ③調理後のフィードバッ
クを行い,調理の工夫の習得を図った.効果判定のた
め,介入前後で食生活に関するアンケートを実施した.
さらに退院後の生活を,退院6週後に電話での聞き取
りで調査した.
【結果】 NT の指導を受けた結果,事例からは「濃い
味の方が美味しいと思うけど,体のために味付けの工
夫が必要と分かった」との発言が聞かれた.アンケー
トでは,介入前は「食事の量を減らせばいい」と回
答していたが,介入後は,積極的な野菜の摂取や,塩
分糖分を控えるなど「食事の内容」を意識する回答
が得られた.電話での聞き取りでは,食事内容や運動
について意識して取り組めているとの回答を得た.一
方で,塩分量の調整はこれまでの味付けとなり,難し
さを感じているとの意見が聞かれた.
【考察】 調理訓練は,遂行機能の評価を行うため,
IADL 訓練の一環として OT が実施する例が多い.今
回,事例は OT の視点からの動作訓練と併せて,NT
が介入したことで,自身の疾患や生活に合わせた栄養
の知識を得たことに加え,実際の調理場面で工夫の仕
方を学ぶことが出来た.その結果,退院後の栄養面を
意識した生活につながった.一方,塩分量に関しては,
意識していても難しさを感じている様子が伺えた.事
例は本人の希望により,介護保険の申請は行わなかっ
た.退院後の行動変容を促すためには,総合事業や介
護保険サービスなど,地域の支援者に繋げることが課
題になると考える.
脳卒中の再発防止を目指し栄養指導を行った一例
∼管理栄養士と連携した調理訓練を通して∼
○伊藤 淳美(OT)
,佐藤 友美(OT)
,亀井 靖子(その他)
,菅 のぞみ(OT)
独立行政法人JCHO 湯布院病院
キーワード:栄養,他職種連携,調理訓練
口述発表
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