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培養ラットメサンギウム細胞の可溶性グアニル酸シクラーゼに対する高糖濃度条件の影響

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Academic year: 2021

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(1)

培養ラットメサンギウム細胞の可溶性グアニル酸シ

クラーゼに対する高糖濃度条件の影響

著者

梶原 信之

発行年

1993-03-23

(2)

氏名・(本籍)

学位の種炉

学位記番号

学位授与の要件 学位授与年月日 学位論文題目 梶 原 信 之(広島県) 博士(医学) 博 士  第128号 学位規則第4条第1項該当 平成5年3月23日 培養ラットメサンギウム細胞の可溶性ゲアニル酸シクラーゼに対する高糖濃度 条件の影響 審 査 委 員 主査 教授 野 崎 光 洋 副査 教授  大久保 岩 男 副査 教授  繁 田 幸 男 論 文 内 容 要 旨 [目 的] 糖尿病状態で、早期より生じる糸球体血行動態の異常は、糖尿病性腎症の発症要因として重視され ている。高血糖によりもたらされる糸球体血管の収縮応答性異常が原因と考えられてはいるが、その 詳細は不明である。そこで、糸球体血管の収縮状態に一役を担っているメサソギウム細胞の可溶性グ アニル酸シクラーゼ(soluble guanylate cyclase)に着目し、その高糖濃度条件下での変化を検討

した。 [方 法] ラット(SD系雄性)単離糸球体を培養して得られたメサソギウム細胞を用い、以下の実験を行っ た。 1.メサソギウム細胞の可溶性グアニル酸シクラーゼ活性を、ニトロプルシド(ナトリウム塩)により 刺激したときの細胞内cyclic GMP量を測定し、高糖渡度条件下で培養した細胞での変化を調べた。 2.メサンギウム細胞から可溶性分画を抽出し、基質としてGTPを添加した後一定時間経過してから のcyclic GMP量から、可溶性グアニル酸シクラーゼ活性を測定し、同様に高糖濃度条件下で培養 した細胞での変化を調べた。 3.内因性刺激物質に対する可溶性グアニル酸シクラーゼの反応を調べるため、Transwell−COL上で 培養した牛大動脈内皮細胞とメサソギウム細胞を、同一緩衝液中に酵置し、プラジキニソ刺激後の メサソギウム細胞内cyclic GMP産生量を測定した。この実験についても、高糖濃度条件下で培養 したメサソギウム細胞での変化を討べた。 [結 果] 1.ニトロプルシド刺激 ニトロプルシド刺激後のメサソギウム細胞内cyclic GMP量は、ニトロプルシド濃度10,4Mでほぼ 最大となり、また、刺激時間は3分から20分で最大となった。ニトロプルシド10 ̄4M、10分の刺激 でメサソギウム細胞内cyclic GMPは8.17pmol/mgproteinから981.6と、約100倍に増加した。 培養液の糖濃度をそれぞれ5.6InM、27.8mMで、5日間培養した細胞で同様の刺激による細胞内 cyclic GMP量を比較したが、有意な差を認めなかった。 2.可溶性分画でのグアニル酸シクラーゼ活性 −71− Ⅶ周明1−−。。封l

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メサソギウム細胞から抽出した可溶性分画車のcyclic GMPは、グアニル酸シクラーゼの基質であ るGTP添加前には測定感度以下であったが、GTP添加により時間経過と共に直線的に増加したた め、GTP振加後10分のcyclic GMP量をグアニル酸シクラーゼ活性とした。ニトロプルシド添加で は活性が38.3pmoIcGMPformed/mgprotein/10min.から74.4と1.94倍に上昇した。培養液の 糖濃度を5.6mM、16.7InM、27.8mMに変えて5日間培養した細胞の可溶性分画をそれぞれ抽出し たが、活性に変化を認めなかった。 3.牛大動脈内皮細胞との共貯置による検討 メサソギウム細胞単独をブラジキニソで刺激しても、内皮細胞との共酵置のみでも、メサソギウム 細胞内cyclic GMP量に大きな変化を認めなかったが、ブラジキニソ10、6M、10分間刺激で、6.24 pmol/mgproteinから348.3と、数十倍のcyclicGMPの増加をみた。またこの増加は、NG−nitro −L−arginine O.1mMの添加で、完全に阻害された。メサソギウム細胞を5.6mM、27.8mMの糖 濃度で5日間培養した細胞でも(内皮細胞はいずれも糖渡度5.6mM)、ブラジキニソ刺激による cyclic GMP産生には有意な変化を認めなかった。 [考 察] 本研究では、まずメサソギウム細胞の弛緩に関与しているとされる細胞内cyclic GMP量を、可 溶性グアニル酸シクラーゼが調節している事を明らかにする事ができた。 内皮由来弛緩因子を介する抵抗血管の血流調節が、腎磯能をも調節している可能性が、各種の報告 から示唆されている。一方、糖尿病の初期においては、糸球体濾過量が増加する事が知られている。 腎糸球体メサソギウム細胞は収縮能を持ち、糸球体濾過量の調節に大きな役割を果たしていると考え られているが、高糖濃度条件下ではその収縮能が障害されている可能性がある。 今回、内皮由来弛緩因子によるメサソギウム細胞の弛緩反応を仲介する可溶性グアニル酸シクラー ゼに着目し、その高糖濃度条件下での活性の変化について調べた。しかし、高糖濃度条件下で培養し た細胞でその活性に変化は認められなかった。したがって、高糖濃度条件下での腎血行動態異常にメ サソギウム細胞の内皮由来弛緩因子に対する反応性の異常が関与する可能性は、否定的であった。 [結 論] 1.メサソギウム細胞の弛緩に関与するcyclic GMPを、可溶性グアニル酸シクラーゼが調節している 事を明らかにした。 2.しかしながら、高糖濃度条件下で培養した細胞で、その活性には変化が認められなかった。 学位論文審査の結果の要旨 糖尿病性腎症においては、糸球体濾過量増大の出現が知られており、高血糖状態での腎糸球体メ サソギウム細胞の収縮弛緩畿能の異常が示唆されている。糸球体メサソギウム細胞を弛緩させる細 胞内情報伝達物質であるcyclic GMPの合成系のうち、可溶性グアニル酸シクラーゼについては、 メサソギウム細胞内での存在とその糖尿病での腎血行動態異常への関与についての知見は少ない。 本論文は、腎糸球体メサソギウム細胞における可溶性グアニル酸シクラーゼ活性の存在と、その活 性に対する高糖濃度条件下での培養の影響について検討したものである。 本論文では、1)培養ラットメサソギウム細胞に、ニトロ化合物刺激を加えることにより細胞内 cyclic GMPが増加すること、2)メサソギウム細胞の可溶性分画中にグアニル酸シクラーゼ活 −72−

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性が存在すること、3)牛大動脈内皮繍胞との共酵置下にプラジキニソ刺激を与えることにより細 胞内cyclic GMPが増加することを確認した。以上の結果は、メサソギウム細胞中の可溶性グアニ ル酸シクラーゼが存在する証拠と考えられた。 さらに、高血糖状態での糸球体濾過量増大の機序解明の基礎検討として、高糖濃度条件下で培養 したメサソギウム細胞の可溶性グアニル酸シクラーゼ活性を、上記の方法で検討した。その結果、 4)高糖濃度条件下で培養したメサソギウム細胞の可溶性グアニル酸シクラーゼ活性は変化してい なかった。したがって、高血糖状態での可溶性グアニル酸シクラーゼによるcyclic GMPの産生量 は、糸球体内皮細胞からの内皮由来弛緩因子の放出量に依存していることが示唆された。 本論文は、糖尿病状態でのメサソギウム細胞の収縮・弛緩機能異常の基礎検討として重要な意味 を持つと考えられ、博士(医学)の学位に値すると評価された。 −73− 確 . 1 1 H − 1

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