• 検索結果がありません。

肝虚血再灌流および肝移植モデルにおけるthrombomodulinとplasminogen activator inhibitor-1の免疫組織化学的検討

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "肝虚血再灌流および肝移植モデルにおけるthrombomodulinとplasminogen activator inhibitor-1の免疫組織化学的検討"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

肝虚血再灌流および肝移植モデルにおける

thrombomodulinとplasminogen activator

inhibitor-1の免疫組織化学的検討

著者

渡邉 英二郎

発行年

1995-03-23

URL

http://hdl.handle.net/10422/2145

(2)

氏 名・(本籍)

学位の種類

学位記番号

学位授与の要件 学位授与年月日 学位論文題目 渡 達 英二郎(東京都) 博士(医学) 博士第200号 学位規則第4条第1項該当 平成7年3月23日 肝虚血再漂流および肝移植モデルにおけるthrombomodulinとplasminogen8Ctiv8 torinhibitor−1の免疫組織化学的検討 審 査 委 員   主査 教授   服 部 陸 別 副査 教授   馬 場 忠 雄 副査 教授   小 玉 正 智

論 文 内 容 要 旨

[目 的] Plasminogen activatorinhibotor−1(PAI−1)は線溶系抑制因子、thrombomodulin(TM)は凝固 系抑制因子であり、いずれも血管内皮細胞によって産生され、血管内皮細胞表面の凝固線溶系を制御し ている。一方肝移植術後の臓器障害の一因として凝固線溶系の異常に起因する徴小循環障害の関与が推 定される。そこで虚血再連流モデルと異系肝移植モデルを用いて、内皮細胞の凝固線溶系の制御に注目 し、肝内のPAI−1とTMの発現を免疫組織化学染色法により検討した。 [方 法] 実験群として、虚血再潜流モデルではC3Hマウスを使用し、70%部分肝虚血を45分間おこなった後再 濯流し1、2、4、8、16、24時間後に肝を摘出した虚血再潜流群、虚血再津流群と同様の血管の露出 操作のみをおこない1、2、4、8、16、24時間後に肝を摘出した対照手術群、開腹直後に肝を摘出し た無処置群の3群を作製した。肝移植モデルではラットを使用しドナー、レシピエントともにPVGラッ トを使用した同系移植群、ドナーにPVG、レシピェントにLEWラットを使用した異系移植群、PVGラッ トで開腹直後に肝を摘出した無処置群の3群を作製した。肝移植術後は免疫抑制剤を使用せず、6、12 日後に肝を採取した。肝は4℃の4%パラホルムアルデヒドで固定し、抗PALl抗体、抗TM抗体を使 用してストレプトアピジンービオチン法とベルオキシダーゼ、AEC発色法によってPAI−1とTMの免疫 組織化学染色をおこなった。 [結 果] 1)虚血再謹流群 PAI−1の染色所見は類洞内皮細胞において無処置群では陰性であったが、虚血再漕流群の阻血部で は再涯流1、2、4時間後に陽性に変化した。虚血再港流群の非阻血部と対照手術群ではともに術後 1から16時間にかけて弱陽性であった。血管の内皮細胞ではPAI−1の染色所見は各群ともに弱陽性で 差はなかった。 TMの染色所見は類洞内皮細胞に無処置群で陽性であったが、虚血再連流群の阻血部では再港流1、 2時間後に陽性所見が減弱していた。非阻血部、対照手術群では類洞内皮細胞に変化がなかった。血 管内皮細胞にはいずれの群でも強陽性であり差はなかった −131−

(3)

2)肝移植群 TMの染色所見は類洞内皮細胞に同系移植群の術後12日に陽性で無処置群と差を認めなかったが、 異系移植群の術後の6日、12日には陰性に変化した。門脈、肝動脈の血管内皮細胞と胆管の基底膜に はすべての群で強い陽性所見を認め、各群間で差はなかった。 [考 察] 肝虚血再連流群では、類洞内皮細胞に再漂流を1∼4時間後にPAI−1の出現、1∼2時間後にTMの 減少が認められたことから、虚血再港流1∼4時間後には類洞内皮細胞の表面では線溶系の抑制、凝固 抑制系の低下がおこり総合的に血栓形成に傾き、微小循環障害の準備状態にあると考えられる。 異系移植群では術後6日目の拒絶が起こっている時期に一致して、類洞内皮細胞のTMの染色が陰性 に変化していたことから、拒絶反応においても類洞内皮細胞の障害がおこり、血栓形成傾向に陥ってい るものと考えられた。 臨床の肝移植では移植された肝に虚血再濯流障害と急性拒絶反応を受けることは避けられず、術後急 性期には類洞内皮細胞に血栓形成傾向が起こっている可能性が考えられる。そのような時期に感染症や ェンドトキシン血症などの何らかの凝固促進因子が加わると広範な類洞内凝固が起こり徴小循環障害か ら次第に広範な肝障害を発症する可能性が高いと思われる。肝移植術後にはPAI−1やTMの血中値と肝 組織中の局在を検索して血栓形成傾向の指標とし、必要に応じて適切な抗凝固療法をおこなえば徴小循 環障害から肝不全の発症を防止できる可能性があるものと推定される。 [結 論] 肝虚血再潅流モデル、異系肝移植モデルにおけるPAI−1、TMの肝組織中の発現状態を免疫組織化学 染色法によって検討したところ、両モデルにおいて肝類洞内皮細胞で血栓形成傾向を示唆する所見が得 られた。

学位論文審査の結果の要旨

広範肝切除術後の肝不全や肝移植術後の無機能肝の発症原因の一つとして、肝徴小循環障害の関与が 考えられている。本研究は、肝類洞内の凝固線溶系制御とその異常を、マウスの70%部分肝虚血再漂流 モデルとラットの同系、および異系肝移植モデルを用い、線溶抑制因子であるplasminogen activator inhibitor−1(PAI−1)と凝固抑制因子であるthrombomodulin(TM)の発現と経時的変化を、免疫組織 化学的手法で検討したものである。その結果、 1)正常肝においては、門脈域の血管(小葉間動・静脈)内皮細胞ではPAI−1が弱陽性、TMは強陽性 で、類洞内皮細胞ではPAI−1が陰性、TMは陽性であり、両内皮細胞ともに抗血栓性状態にあると考 えられた。 2)虚血再漂流後、門脈域の血管内皮細胞には変化がなかったが、類洞内皮細胞では1∼4時間後に PAエー1の発現、1∼2時間後にTMの減少がみられた。これから、類洞では抗血栓性状態が減弱して いると考えられた。 3)肝移植群では、同系移植後には著変がなかったが、異系移植後6日および12日Hの拒絶反応がおこっ ている時期に類洞内皮細胞でTMの陰性化がみられた。 4)拒絶反応がみられる異系移植の肝組織においては、種々の程度の炎症反応と広範囲に及ぶ血管新生 が観察されたが、新生血管内皮細胞でのTM発現は正常肝門脈域血管内皮細胞と同様、強陽性であっ ー132−

(4)

た。3)と4)から、肝移植後の拒絶反応時には類洞内の抗血栓性状態が減弱していると考えられた。 以上の結果から、肝切除術や肝移植術後には類洞内皮細胞の凝寅線溶系に異常がおこり微小循環障害 が惹起される可能性、また、類洞内皮細胞と門脈域血管系内皮細胞との間には凝固線溶系の制御機構に 差異があること、さらに、肝手術後にはPAI−1やTMの変動を指標として抗凝固療法をおこなう必要性 があることなどが示唆され、博士(医学)の学位論文として価値あるものと認められる。 ー133−

参照

関連したドキュメント

日本で生体肝移植初例が施行されたのは1989

2.肝移植後血管合併症の診断と治療 須納瀬 豊,荒川 和久,大和田 進 竹吉 泉,川手 進,浜田 邦弘 堤 裕 ,小林 克巳,東郷 望

RAC 移植群は、 PBMNC 移植群以上の組織炎症 抑制効果が認められた(図7) 。また、従来の培 養 EPC 移植群、 G-CSF 動員 CD34 細胞移植群

X 連鎖高 IgM 症候群では、国内症例 56 例 49 家系を解析できた。非移植例の 27 例は 40 歳での生存率は 28%と不良であるが、移植を行った例 29

[r]

[r]

らましがき

(2)高エネルギー燐酸化合物:肝虚血再潜流時における肝組織中高エネルギー燐酸化合物であるATPは再潅