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総選挙にむけた政治過程における政治的リーダーシップの考察 ―麻生首相と小沢代表にみる政局の主導権争いをめぐる事例研究―

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Academic year: 2021

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(1)

︽ 論    説 ︾  

  *  

        目  次 は じ め に 一    ﹁ 背 水 の 陣 ﹂ の 党 首 対 決 二    両 党 首 の 選 挙 戦 略 三    解 散 ・ 総 選 挙 の 行 方 四    世 論 の 動 向 五    薄 ま る ﹁ 麻 生 色 ﹂ 六    国 民 は 麻 生 政 権 を ど の よ う に 評 価 し て い る の か 七    麻 生 政 権 の 混 乱 八    自 公 政 権 内 部 の き し み 九    小 沢 戦 略 の 三 つ の 不 安 一 〇  視 界 不 良 の ま ま で の 国 会 延 長 へ

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む す び    

    政 治 理 論 は 政 治 的 な 現 実 を い か に 説 明 す る 分 析 道 具 と な る の で あ ろ う か 。 本 論 で は 、 政 治 的 リ ー ダ ー シ ッ プ 論 か ら 、 あ る 事 例 を 検 証 し よ う と す る 試 論 で あ る 。 本 論 は 、 二 〇 〇 八 年 九 月 か ら 年 末 に か け て 解 散 ・ 総 選 挙 の 前 の 与 野 党 の 各 リ ー ダ ー に よ る 政 局 の 主 導 権 を め ぐ る 攻 防 を 通 じ て 、 説 得 、 駆 け 引 き 、 政 策 提 示 、 ア ジ ェ ン ダ ・ セ ッ テ ィ ン グ 、 政 治 環 境 な ど か ら 、 日 本 に お け る 政 治 的 リ ー ダ ー シ ッ プ を 考 察 す る こ と を 目 的 と す る 。   政 治 的 リ ー ダ ー シ ッ プ は 測 定 、 評 価 し が た い 概 念 で あ る 。 そ れ 自 身 の 分 析 よ り も 、 ヒ ー ロ ー や ヒ ロ イ ン の 行 為 の 記 述 で あ る 場 合 が 多 い 。 そ の 困 難 さ の 一 部 に は リ ー ダ ー に 要 求 さ れ る 質 が 定 義 さ れ が た い こ と に あ る か も し れ な い 。 リ ー ダ ー シ ッ プ に あ る 多 く の 特 性 は 、 精 神 力 か ら 知 性 ま で 、 あ る い は 伝 達 能 力 か ら 決 定 能 力 ま で を 本 質 と 受 け 取 ら れ る こ と が あ る 。 こ れ は パ ー ソ ナ リ テ ィ 理 論 の 考 え 方 で あ る 。 確 か に 、 そ れ は リ ー ダ ー シ ッ プ を 説 明 す る 、 あ る 部 分 に な る で あ ろ う 。 も う 少 し 状 況 理 論 的 な 発 想 を 導 き い れ る と 、 リ ー ダ ー と し て の パ ー ソ ナ リ テ ィ の 資 質 が 必 要 と さ れ る 理 由 は 、 リ ー ダ ー シ ッ プ が そ の 環 境 と 切 り 離 せ な い か ら と も 考 え る べ き で あ る 。 リ ー ダ ー の 資 質 は 個 人 が 所 有 す る 意 味 で は 、 確 か に パ ー ソ ナ ル な も の で あ る 。 た だ 、 リ ー ダ ー シ ッ プ に は 環 境 の 果 た す 役 割 が 大 き い こ と は 言 う ま で も な い 。 そ れ は 環 境 の 所 産 の 一 部 を 形 成 す る 。 つ ま り 、 環 境 が リ ー ダ ー シ ッ プ を 条 件 づ け 、 ま た は そ れ を 形 づ く る よ う に 思 わ れ る 。 ︵ 1 ︶   R ・ エ ド ギ ー は 、 政 治 的 リ ー ダ ー シ ッ プ を 分 析 す る 際 に 、 三 つ の 部 分 に 分 け て 考 察 す る 。 第 一 の 部 分 は 政 治 的 ︵ 2 ︶

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リ ー ダ ー の 意 欲 と 様 式 ︵ambition and style ︶ で あ る 。 例 え ば 、 意 欲 は 政 治 的 リ ー ダ ー 自 身 の 野 心 を 含 め た 、 社 会 的 な 目 的 の 焦 点 ・ 範 囲 を 表 し 、 具 体 的 に は 政 策 や 目 標 、 そ れ ら の 実 現 を 指 し て い る 。 様 式 は そ の た め に ど の よ う な 現 実 的 な 措 置 を 採 用 す る か で あ る 。 自 己 主 張 に 徹 す る か 、 そ れ と も 順 応 的 な 方 針 で 臨 む か を 示 し て い る 。 第 二 の 部 分 は 制 度 的 構 造 ︵institutional structure ︶ で あ る 。 例 え ば 、 政 党 内 に お け る リ ー ダ ー と フ ォ ロ ワ ー の 関 係 、 政 党 の 組 織 構 造 、 立 法 府 内 で の 政 党 リ ー ダ ー へ の 支 持 の 性 格 で あ る 。 第 三 の 部 分 は 社 会 の ニ ー ズ ︵needs o f society ︶ で あ る 。 例 え ば 、 政 治 的 リ ー ダ ー を 取 り 巻 く 、 有 権 者 の 態 度 、 国 民 の 要 望 な ど が 考 え ら れ る 。   第 一 の 部 分 は リ ー ダ ー 個 人 の 志 向 に 向 け ら れ 、 第 二 と 第 三 の 各 部 分 は 第 一 の 部 分 を 取 り 囲 む リ ー ダ ー シ ッ プ 環 境 を 表 現 し て い る 。 リ ー ダ ー シ ッ プ 過 程 は 制 度 的 構 造 の 諸 要 素 に 制 約 さ れ 、 ま た 反 対 に 影 響 す る こ と も あ る 。 こ れ ら の 要 素 は 、 政 治 的 リ ー ダ ー の 意 欲 と 様 式 を 決 定 す る し 、 リ ー ダ ー シ ッ プ 過 程 を 通 じ て 社 会 に イ ン パ ク ト を 与 え る こ と も あ る 。   政 治 的 リ ー ダ ー は 様 々 な 意 欲 を 抱 き 、 リ ー ダ ー シ ッ プ 様 式 を 形 成 す る 。 例 え ば 、 池 田 勇 人 は ﹁ 所 得 倍 増 計 画 ﹂ を 標 榜 し 、 ﹁ 忍 耐 と 寛 容 ﹂ を 訴 え た 。 中 曽 根 康 弘 は 財 政 赤 字 削 減 ・ 民 営 化 路 線 を ト ッ プ ダ ウ ン で 推 進 し た 。 リ ー ダ ー の 野 望 は 具 体 的 な 政 策 に 表 現 さ れ て い る 。 そ し て 、 そ の 目 標 を 受 け 入 れ る 根 拠 が あ っ た 。 だ か ら 、 政 治 的 リ ー ダ ー の 動 機 づ け と 行 動 は 、 リ ー ダ ー シ ッ プ 環 境 、 特 に 制 度 的 構 造 に よ っ て 部 分 的 に 構 成 さ れ る こ と に な る 。   社 会 の ニ ー ズ は リ ー ダ ー シ ッ プ 過 程 を 条 件 づ け 、 政 治 的 リ ー ダ ー シ ッ プ の 実 行 に 影 響 を 及 ぼ す 根 拠 と な っ て い る 。 通 常 は 歴 史 的 な 要 素 が 重 要 で あ る が 、 本 論 で は 世 論 調 査 に 注 目 し た い 。 国 民 の 要 望 は 、 世 論 調 査 を 通 じ て そ の 時 々 の 政 治 的 リ ー ダ ー の 方 針 に 反 応 す る 。 い わ ば 、 社 会 の ニ ー ズ は 、 政 治 的 リ ー ダ ー に は 志 向 や 判 断 の 参 照 枠 組 み と な り 、 政 策 形 成 過 程 に 影 響 す る 。

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  で は 、 世 論 は ど の よ う な 影 響 力 を 持 つ の だ ろ う か 。 朝 日 新 聞 社 は 、 二 〇 〇 七 年 六 月 二 四 日 に 世 論 の 影 響 力 に 関 す る 世 論 調 査 結 果 を 掲 載 し て い る 。 世 論 の 持 つ 意 味 は 国 民 の 単 な る 感 想 や 思 い つ き な ど と い っ た 次 元 で は な く 、 有 権 ︵ 3 ︶ 者 は マ ス コ ミ が 提 供 す る 情 報 か ら 判 断 を 下 そ う と す る 姿 勢 が う か が わ れ る 。 こ の 調 査 結 果 か ら 興 味 あ る 項 目 を ピ ッ ク ア ッ プ し て み よ う 。   ﹁ 興 味 を 持 つ 政 治 に 関 す る 世 論 調 査 は ﹂ は 、 政 策 関 連 四 八 % 、 内 閣 支 持 三 七 % 、 政 党 支 持 二 九 % と 続 い て い る 。 ﹁ 内 閣 支 持 の 基 準 は ﹂ で は 、 今 後 も 任 せ た い と い う 期 待 四 六 % 、 仕 事 を よ く や っ て い る か と い う 評 価 四 一 % 、 と 前 者 は 投 票 行 動 分 析 で 使 用 さ れ る 期 待 投 票 で あ り 、 後 者 は 業 績 投 票 で あ る 、 と 読 み 替 え ら れ 、 国 民 の 間 に は 一 定 の 判 断 基 準 が 定 着 し て き た か に 思 わ れ る 。 だ か ら 、 好 き か ど う か と い う 印 象 六 % は 極 め て 低 い の は そ の た め で あ る 。 ﹁ 政 党 支 持 の 基 準 は ﹂ で は 、 政 策 が よ い か 三 四 % 、 政 権 を 任 せ た い か 三 三 % で 大 半 を 占 め る 。   党 首 の 評 価 や 印 象 は 政 党 支 持 に 与 え る 影 響 で は 、 ﹁ 大 い に ﹂ 三 六 % 、 ﹁ あ る 程 度 ﹂ 四 八 % と な っ て い る 。 こ れ は 党 首 ︵ = 政 治 的 リ ー ダ ー ︶ の 重 要 さ を 裏 付 け て い る 。 と り わ け ﹁ 二 大 政 党 ﹂ 時 代 で は 、 党 首 は 首 相 候 補 者 と し て い か に 有 権 者 を 魅 了 す る か と い う 資 質 ・ 能 力 を 求 め ら れ て い る 。 言 い 換 え れ ば 、 有 権 者 の 志 向 を 汲 み 取 る こ と が で き る 政 治 家 が 選 択 さ れ る 、 と 理 解 で き る 。 そ れ は 次 の 質 問 項 目 で 確 認 で き る 。 政 治 家 は ﹁ 世 論 に 迎 合 し て い る か ﹂ に は 三 一 % が ﹁ 迎 合 ﹂ し て い る と 、 世 論 に 受 身 で あ る こ と も 理 解 で き る 。 こ こ で は 、 政 治 的 リ ー ダ ー 自 身 の 判 断 能 力 、 そ れ は 政 策 へ の 適 合 性 や 有 権 者 か ら の 支 持 を 得 ら れ る か と い う 有 権 者 を 惹 き つ け る 具 体 的 な 提 案 や 時 代 の 先 見 性 に 見 ら れ る 。 そ れ だ け で な く 、 自 ら が 置 か れ て い る 政 治 環 境 を い か に 有 利 に 展 開 で き る か と い う ﹁ 統 治 能 力 ﹂ も 重 要 な 判 断 基 準 と な る 。   以 上 か ら 本 論 で は 、 二 大 政 党 党 首 が 現 状 の 政 局 を 認 識 し た う え で 提 示 す る 政 策 を 吟 味 し 、 次 の 総 選 挙 に 向 け て の

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戦 略 を 時 系 列 的 に ど の よ う に 対 応 し 、 あ る い は 対 応 で き な い か を 概 観 し な が ら 、 政 治 的 リ ー ダ ー の 行 動 ・ 発 言 を 観 察 す る 。 有 権 者 が ど の よ う に 判 断 を 下 し て い る か を 世 論 調 査 か ら 、 政 治 的 リ ー ダ ー と 有 権 者 の 政 治 的 リ ー ダ ー シ ッ プ を 考 え る 。 さ ら に 、 各 政 治 リ ー ダ ー は 有 権 者 の 反 応 の 根 拠 と な る 世 論 調 査 結 果 を 重 視 し な が ら 、 再 度 戦 略 を 練 り 直 す 。 そ の 光 景 は 、 自 ら の 正 当 性 を め ぐ る 戦 い と 言 っ て も よ い で あ ろ う 。 政 治 的 リ ー ダ ー は 、 そ の 政 治 環 境 へ の イ ン プ ッ ト 、 ア ウ ト プ ッ ト 、 そ し て フ ィ ー ド バ ッ ク を 繰 り 返 す こ と に よ っ て 、 自 ら の 正 当 性 を ︵ 例 え ば 、 世 論 調 査 、 選 挙 で ︶ 承 認 さ れ る こ と を 追 求 す る 。 そ れ ゆ え 、 政 治 的 リ ー ダ ー と そ れ を 取 り 巻 く 政 治 的 環 境 と の 関 係 を 分 析 す る こ と は 政 治 的 リ ー ダ ー シ ッ プ を 論 じ る 際 に は 不 可 欠 で あ る 。

    二 〇 〇 八 年 九 月 、 自 由 民 主 党 の 議 員 は 、 小 沢 一 郎 民 主 党 に 勝 て る の は 麻 生 太 郎 し か い な い 、 と 彼 を 新 総 裁 に 選 出 し た 。 麻 生 首 相 は ﹁ 次 期 衆 議 院 選 挙 に 小 沢 民 主 党 に 勝 利 し 初 め て 天 命 を 果 た せ る ﹂ と 自 ら の 目 標 を 示 し た 。 次 の 総 ︵ 4 ︶ 選 挙 で 自 民 党 が 敗 北 す れ ば 、 政 権 を 失 う 危 機 意 識 の 現 れ が あ る 。 同 時 に 、 麻 生 首 相 の 登 用 は そ れ ま で の 小 泉 、 安 倍 、 福 田 の 各 首 相 と 比 べ 、 地 方 ・ 農 村 部 を 意 識 し た シ フ ト で あ り 、 あ る 意 味 で は 小 泉 政 治 以 前 の 自 民 党 時 代 の 政 策 に 回 帰 し た と も 考 え ら れ る 。 ︵ 5 ︶   一 方 、 小 沢 一 郎 は 正 式 に 民 主 党 代 表 に 選 出 さ れ 、 次 の 総 選 挙 に 政 治 生 命 を 賭 け る と 明 言 し 、 政 権 交 代 を 実 現 で き な け れ ば 、 当 然 、 代 表 の 地 位 に は 留 ま れ な い 。 二 人 の 党 首 は と も に ﹁ 背 水 の 陣 ﹂ で 臨 む こ と に な る 。   そ の 党 首 対 決 は 総 選 挙 後 の 次 期 首 相 を 選 ぶ 判 断 材 料 に も な る 。 二 人 の 政 権 構 想 を 簡 単 に 確 認 す る と 次 の よ う に 説 明 で き る 。

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  麻 生 首 相 は 、 総 裁 選 に 際 し て 、 ﹁ 強 く て 明 る い 日 本 を つ く る ﹂ を 政 権 構 想 と し て 掲 げ る 。 麻 生 首 相 は 、 日 本 経 済 は 全 治 三 年 と 診 断 し 、 当 面 、 景 気 対 策 が 最 優 先 さ れ 、 年 金 や 医 療 制 度 の 見 直 し で 国 民 の 不 安 を 減 ら し 、 近 い 将 来 、 政 策 減 税 な ど で 経 済 成 長 を 促 す 。 自 民 党 は 政 策 上 の 財 源 を 明 確 に 実 行 に 移 す こ と が で き る が 、 小 沢 代 表 の 政 策 を 財 源 が あ い ま い で あ り 、 単 な る 選 挙 目 当 て の バ ラ ま き だ 、 と 批 判 す る 。   麻 生 首 相 は 経 済 対 策 を 重 視 す る 。 自 民 党 は 政 権 の 座 に 長 く い る か ら こ そ 直 ち に 実 行 で き 、 財 源 も 確 保 で き る 。 つ ま り 、 自 民 党 は 責 任 あ る 政 治 を 実 現 で き る 、 と 主 張 す る 。 だ が 、 そ の 方 針 に は 特 に 新 鮮 味 は な い 。 景 気 対 策 も 中 小 企 業 支 援 も 、 こ れ ま で の 自 民 党 政 治 の 延 長 線 上 の 政 策 で あ る 。 従 来 の 自 民 党 的 な 手 法 だ け で 景 気 回 復 に つ な が る か 、 と い う 国 民 の 危 惧 は 残 る 。 麻 生 首 相 は 総 裁 選 挙 直 前 に 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 を 抜 本 的 に 見 直 す 、 と 再 検 討 を 表 明 す る が 、 し か し ﹁ 付 け 焼 刃 ﹂ 的 な 、 国 民 受 け を 狙 っ た 方 針 転 換 を 国 民 は 本 当 に 受 け 入 れ る か ど う か 疑 問 で あ る 。   小 沢 代 表 は ﹁ 新 し い 国 民 生 活 を つ く る ﹂ を 政 権 構 想 の キ ー ワ ー ド に 掲 げ る 。 小 泉 構 造 改 革 で 打 撃 を 受 け た 国 民 生 活 を 立 て 直 す た め 、 年 金 、 子 育 て 、 雇 用 と い っ た セ ー フ テ ィ ネ ッ ト を 再 構 築 す る 予 定 だ と 述 べ る 。 予 算 の 総 組 み 替 え 、 そ れ に 行 政 機 構 を 大 転 換 し 、 セ ー フ テ ィ ネ ッ ト 費 用 を 捻 出 す る 。 具 体 的 に は 、 特 別 会 計 、 補 助 金 を 原 則 禁 止 、 行 政 の ム ダ 遣 い を 減 ら す こ と で 賄 う 計 画 で あ る 。 自 民 党 は 、 官 僚 に 依 存 し て お り 、 す で に 政 権 担 当 能 力 を 失 っ て い る 。 だ か ら 、 抜 本 的 な 改 革 は で き な い 。 そ れ ゆ え 、 政 権 交 代 を 不 可 避 と す る 。   小 沢 代 表 は 、 ﹁ こ れ ま で の 政 治 ・ 行 政 の 手 法 を 根 本 か ら 変 更 す る ﹂ 、 と 断 言 す る 。 つ ま り 、 予 算 ︵ = 税 金 ︶ の 配 分 法 を 抜 本 的 に 変 更 す れ ば 、 必 要 な 財 源 を 生 み 出 せ る 。 だ か ら 、 統 治 機 構 の 抜 本 的 な 改 革 の 必 要 性 を 力 説 す る 。 そ の 実 現 に は 政 権 交 代 し か な い 。 も っ と も 、 こ の 主 張 は 小 沢 代 表 自 身 が ﹁ 革 命 的 だ ﹂ と 論 じ る だ け で あ っ て 、 民 主 党 支 持 者 か ら も ﹁ そ の よ う な こ と が 本 当 に 可 能 だ ろ う か ﹂ と い う 疑 念 も 現 れ て い る 。 小 沢 代 表 が ま ず 自 党 議 員 を 説 得 で

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き る の か ど う か 。 そ れ は 、 次 の 総 選 挙 で 民 主 党 の 勝 利 へ の 大 き な カ ギ と な る 。   二 人 の リ ー ダ ー と も 小 泉 構 造 改 革 に よ っ て 格 差 が 広 が り 、 と り わ け 地 方 の 国 民 生 活 が 苦 し く な っ て い る と い う 認 識 で は 共 通 す る 。 し か し 、 そ れ へ の 対 処 で は 異 な っ た 方 途 を 模 索 す る 。

    政 権 構 想 を 実 現 す る に は 総 選 挙 で 勝 た な け れ ば な ら な い 。 二 人 の 党 首 の 選 挙 戦 略 は ど の よ う な 内 容 で あ ろ う か 。   当 初 、 麻 生 首 相 は 、 総 裁 選 挙 で 支 持 率 が 上 が っ て い る う ち に 、 早 期 解 散 に 踏 み き り 、 総 選 挙 に 勝 利 す る 予 定 で あ っ た 。 つ ま り 、 麻 生 人 気 を 最 大 限 に 活 か す こ と で あ る 。 確 か に 世 論 調 査 で ﹁ 首 相 に ふ さ わ し い 人 物 は ﹂ と 訊 ね る と 、 麻 生 首 相 が 小 沢 代 表 を 大 き く リ ー ド し て い る 。 し か し 、 ﹁ 自 民 党 が 長 年 、 地 方 や 業 界 団 体 ご と に 築 い て き た 組 織 は 、 小 泉 改 革 で 分 断 さ れ て し ま っ た 。 麻 生 人 気 に 頼 る だ け で は 総 選 挙 で は 勝 て な い ﹂ 、 と 自 覚 す る 自 民 党 議 員 も い る 。 安 倍 元 首 相 、 福 田 前 首 相 と 二 度 連 続 し て 短 期 間 で 政 権 が 変 わ り 、 自 民 党 へ の 信 頼 は 低 下 し て い る 。 麻 生 首 相 は 、 単 に 小 泉 改 革 路 線 の 見 直 し で な く 、 自 民 党 を ど の よ う に 指 導 し た い の か を 語 ら な い か ぎ り 、 国 民 の 信 頼 回 復 は む ず か し い 。 ︵ 6 ︶   一 方 、 小 沢 民 主 党 は 、 自 民 党 と は 別 の 戦 略 上 の 悩 み を 抱 え る 。 小 泉 改 革 の 打 撃 は 地 方 ほ ど 大 き い 。 自 民 党 を 支 持 し た 地 方 の 有 権 者 を 民 主 党 へ の 支 持 に 替 え る 。 つ ま り 、 地 方 か ら 都 市 の 有 権 者 を 獲 得 す る の が 小 沢 戦 略 で あ る 。 こ の 戦 略 は 二 〇 〇 七 年 参 議 院 選 挙 の 大 勝 に つ な が っ た 。 小 沢 代 表 は 、 ﹁ 風 頼 み ﹂ で な く 、 ﹁ 地 に 足 が 着 い た 運 動 ︵ 地 元 回 り ︶ を し な い と 選 挙 に 勝 て な い ﹂ と 論 じ る 。 し か し 党 内 で は 、 地 方 を 重 視 し す ぎ る と 、 都 市 部 の 無 党 派 層 が 民 主 党 か ら 離 反 す る の で は な い か 、 と 懸 念 が つ き ま と う 。 衆 議 院 選 挙 は 都 市 部 に 議 席 上 の 比 重 が あ る 。 若 手 議 員 は 、 小

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沢 代 表 ら 党 幹 部 が テ レ ビ な ど に 出 て イ メ ー ジ ア ッ プ を 図 っ た ほ う が 大 都 市 の 無 党 派 層 か ら の 支 持 を 獲 得 で き 、 総 選 挙 を 有 利 に 演 出 で き る 、 と 異 論 を 唱 え る 。 党 内 の 選 挙 へ の 戦 略 手 法 を め ぐ る 見 解 の 相 違 を ど の よ う に 一 本 化 で き る か も 民 主 党 に は 課 題 で あ る 。   小 選 挙 区 制 で は 、 党 首 や 政 党 へ の イ メ ー ジ が 選 挙 に 大 き く 影 響 す る と 説 明 さ れ る が 、 自 民 党 、 民 主 党 と も に 政 党 の 独 自 性 を ど う 発 揮 す る の か 、 そ れ に 党 首 の イ メ ー ジ を ど う 重 ね る の か 、 と い う 点 で は 、 ま だ 明 確 な 戦 略 を 出 し 切 れ て い る と は 言 え な い 。   二 大 政 党 制 化 が 定 着 す る 傾 向 に あ っ て 、 次 の 衆 議 院 選 挙 は 、 政 権 の 選 択 を 決 め る 。 し か し 現 実 の 政 治 の 世 界 で は 、 ど の タ イ ミ ン グ で の 解 散 ・ 総 選 挙 が い か に 自 党 に 有 利 に な る か の レ ベ ル だ け で 与 野 党 の 駆 け 引 き が 続 く 。

    二 〇 〇 八 年 九 月 の 組 閣 の 際 、 麻 生 首 相 は 総 選 挙 を 意 識 し た 新 閣 僚 を 配 し た 。 こ の 人 事 は 比 較 的 知 名 度 の あ る 人 物 を 配 し た こ と が う か が わ れ る 。 ま ず 、 自 民 党 の 総 裁 選 挙 で の 対 立 候 補 の う ち 、 与 謝 野 馨 、 石 破 茂 、 石 原 伸 晃 を 閣 僚 や 党 要 職 に 配 し 、 さ ら に 財 務 相 の 中 川 昭 一 ら の 盟 友 に 要 職 を 任 せ た 。 ま た 、 舛 添 要 一 厚 生 労 働 相 、 野 田 聖 子 消 費 者 担 当 相 の 再 任 に 加 え て 、 小 渕 優 子 を 少 子 化 担 当 相 に 起 用 し た 。 自 ら の 政 権 運 営 の 要 に な る 官 房 長 官 と 幹 事 長 に は 親 し い 関 係 に あ る 河 村 健 夫 と 細 田 博 之 を そ れ ぞ れ 指 名 し た 。 小 泉 改 革 の 継 承 者 を 起 用 せ ず 、 景 気 対 策 と い う ﹁ 麻 生 色 ﹂ を 前 面 に 出 し た 顔 ぶ れ と な っ た 。   二 〇 〇 八 年 九 月 初 旬 の 時 点 で は 、 麻 生 首 相 に は こ の 布 陣 で 一 気 に 総 選 挙 を お こ な う 目 論 見 が あ っ た 。 与 党 内 に は 代 表 質 問 後 、 で き る だ け 早 く 解 散 す る 冒 頭 解 散 論 が 根 強 く あ っ た 。 九 月 二 四 日 、 二 五 日 の 世 論 調 査 に よ れ ば 、 発 足 ︵ 7 ︶

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時 の 麻 生 内 閣 の 支 持 率 は 四 八 % ︵ 小 泉 七 八 % 、 安 倍 六 三 % 、 福 田 五 三 % ︶ 、 不 支 持 は 三 八 % ︵ 小 泉 八 % 、 安 倍 一 八 % 、 福 田 二 七 % ︶ で あ っ た 。 ま た 、 首 相 に 相 応 し い 人 物 で は 、 麻 生 首 相 五 四 % 、 小 沢 代 表 二 六 % で あ り 、 無 党 派 層 で も 四 四 % 対 二 二 % で 麻 生 首 相 が 支 持 さ れ て い た 。 ︵ 8 ︶   麻 生 首 相 は 、 景 気 対 策 を 最 優 先 す る こ と 、 消 費 税 を 三 年 間 増 税 し な い こ と 、 投 資 減 税 や 法 人 税 の 見 直 し な ど に よ っ て 、 そ の 分 で 企 業 に も っ と 雇 用 ・ 投 資 を 促 し 、 公 共 事 業 で カ ネ を バ ラ ま く 政 策 を 採 用 し な い こ と 、 と い う 三 点 を 政 権 公 約 と し て 掲 げ た 。 た だ し 、 個 人 の 家 計 と 密 接 に つ な が る 社 会 保 障 の 改 革 や 、 農 林 水 産 業 政 策 の 見 直 し 、 そ れ に 金 融 不 安 へ の 対 応 策 を 含 め た 経 済 政 策 の 全 体 像 は 明 ら か し な か っ た 。   ま た 、 麻 生 首 相 は 、 財 源 確 保 に つ い て 、 民 主 党 の 考 え 方 を ﹁ バ ラ ま き だ ﹂ と 批 判 す る が 、 自 ら 提 案 す る 定 額 減 税 の 財 源 を ど の よ う に 捻 出 す る の か 。 道 路 特 定 財 源 の 一 般 財 源 化 す る と 他 の 予 算 に い く ら 財 源 を 回 せ る か な ど の 点 で も 、 何 も 明 確 に し な か っ た 。 一 〇 月 下 旬 、 麻 生 首 相 は ﹁ 一 般 財 源 化 に 伴 い 地 方 に 一 兆 円 配 分 ﹂ と 発 言 し た 。 一 一 月 一 九 日 に は 配 分 方 法 を ﹁ 地 方 交 付 税 で ﹂ と 述 べ た が 、 二 〇 日 に は ﹁ 自 由 に 使 え る な ら ︵ 交 付 税 で な く て も ︶ 構 わ な い ﹂ と 修 正 し た 。 こ れ で は 麻 生 首 相 が 政 権 継 続 を 国 民 に 訴 え て も 、 有 権 者 は 総 選 挙 で は 具 体 的 に 判 断 し よ う が な ︵ 9 ︶ か っ た 。   そ れ に 後 期 高 齢 者 医 療 制 度 の 問 題 も あ っ た 。 麻 生 首 相 が 七 五 歳 を 基 準 と す る 制 度 の 見 直 し を 発 表 し た の は 、 総 裁 選 挙 の 投 票 前 日 で あ っ た 。 事 前 の 党 内 論 議 は ま っ た く 行 わ れ な か っ た 。 総 裁 選 挙 後 、 公 明 党 と の 政 権 合 意 で は 大 筋 で 同 意 さ れ た と は い え 、 そ の 内 容 は す べ て 総 選 挙 に 勝 利 し て か ら 事 後 の 検 討 事 項 と さ れ た 。 こ れ は 泥 縄 式 の 様 相 を 示 し て い る 。 そ れ ま で 、 ﹁ こ の 制 度 が ベ ス ト だ ﹂ 、 と 説 明 さ れ て き た 。 方 針 変 更 な ら 事 前 に 国 民 に き ち ん と 説 明 を し な い と 、 と り わ け 高 齢 者 か ら の 反 発 は 強 ま る 可 能 性 が あ る 。 結 局 、 総 選 挙 で 高 齢 者 に 与 党 に 一 票 入 れ て 欲 し い 思 惑

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だ け が 明 ら か に な っ た 。   と こ ろ が 、 冒 頭 解 散 論 で き な い 事 情 が あ る 。 麻 生 首 相 が 経 済 対 策 を 重 視 す る な ら 、 補 正 予 算 を 成 立 さ せ ず に 解 散 ・ 総 選 挙 に 踏 み 切 っ て よ い の か 、 と い う 雰 囲 気 が あ っ た 。 補 正 予 算 案 は 、 政 府 ・ 与 党 自 ら ﹁ 緊 急 対 策 ﹂ と し て ま と め ら れ た 。 原 油 高 の 衝 撃 を 受 け た 農 業 や 漁 業 の 従 事 者 へ の 支 援 策 が 一 五 〇 〇 億 円 、 中 小 企 業 へ の 支 援 策 が 四 〇 〇 〇 億 円 で あ る 。 こ れ は 、 米 国 発 の 金 融 不 安 を 和 ら げ る た め に も 必 要 な 対 策 だ 、 と 言 わ れ る 。 麻 生 首 相 が 党 首 と し て 選 挙 戦 略 を 補 正 予 算 よ り 優 先 す れ ば 、 首 相 と し て 景 気 対 策 を 最 優 先 す る と す る 発 言 と 矛 盾 す る 。 当 然 、 補 正 予 算 を 待 ち 望 む 人 々 か ら 厳 し く 批 判 さ れ る 。 ど ち ら を 優 先 す る か は 、 麻 生 首 相 に つ き ま と う ジ レ ン マ と な る 。   そ れ に も か か わ ら ず 、 九 月 段 階 で は 、 与 党 内 に は 解 散 ・ 総 選 挙 は 一 刻 も 早 く と い う 声 が 大 勢 を 占 め て い た 。 野 党 側 の 対 応 次 第 で 補 正 予 算 が 成 立 し な い 場 合 で も 、 一 〇 月 上 旬 解 散 、 一 一 月 二 日 の 投 票 を 目 指 す べ き と い う 考 え 方 が あ っ た 。 そ の 狙 い は 、 総 裁 選 挙 効 果 に 加 え て 政 権 発 足 直 後 な ら 、 あ る 程 度 高 い 支 持 が 見 込 め る 、 い わ ゆ る ﹁ ご 祝 儀 相 場 ﹂ と い う 計 算 が あ る 。 と こ ろ が 、 国 会 審 議 に 時 間 を 費 や せ ば 、 予 算 委 員 会 の 質 疑 に お い て 、 野 党 側 か ら コ メ の 不 正 転 売 や 消 さ れ た 年 金 問 題 な ど を 追 及 さ れ 、 そ の 結 果 、 内 閣 支 持 率 が 低 下 す る 可 能 性 が あ る 。 だ か ら 、 早 く 解 散 し た ほ う が よ い 、 と 与 党 側 は 判 断 し て い た 。   し か し 、 そ れ は 党 利 党 略 で は な い か 、 と 批 判 を 受 け る 。 総 選 挙 の ﹁ 洗 礼 ﹂ を 受 け な い 内 閣 が 二 代 続 い た 。 早 期 に 民 意 を 問 う こ と 自 体 は 国 民 に 理 解 さ れ る 。 し か し 、 総 選 挙 を 意 味 あ る も の に す る た め に 、 麻 生 首 相 は き ち ん と 論 戦 を 受 け た う え で 、 解 散 ・ 総 選 挙 に 臨 む 責 任 が あ っ た 。   民 主 党 は 公 約 実 現 の た め に 二 二 兆 円 の 財 源 案 を 示 し た と は い え 、 実 際 に は 、 民 主 党 は 与 党 と の 対 決 姿 勢 に 専 念 し 、 財 源 案 を ま と め る た め の 議 論 を ほ と ん ど 行 っ て い な い 。 ﹁ 選 挙 は 受 け 皿 が 大 き い ほ ど よ い ﹂ と い う 小 沢 代 表 の ﹁ 鶴

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の 一 声 ﹂ で 、 突 然 、 国 民 新 党 と の 合 併 話 が 浮 上 し て す ぐ 失 敗 に 終 わ る と い う 醜 態 も あ っ た 。 政 権 公 約 よ り 選 挙 戦 略 を 優 先 す る の は 、 民 主 党 に 疑 念 を 有 権 者 に 抱 か せ た 。

    二 〇 〇 八 年 一 〇 月 初 旬 の 世 論 調 査 に よ れ ば 、 麻 生 内 閣 支 持 は 四 八 % 、 不 支 持 は 四 〇 % で あ っ た 。 一 〇 月 中 旬 で は 、 支 持 が 四 六 % 、 不 支 持 が 四 四 % と な り 、 支 持 と 不 支 持 の 差 が 二 ポ イ ン ト に ま で 縮 ま っ た 。 支 持 率 は 安 倍 内 閣 や 福 田 内 閣 の 発 足 直 後 の 支 持 率 と 比 べ 高 く な か っ た 。 福 田 内 閣 の 場 合 、 最 初 が 五 八 % で あ っ た の で 、 そ れ よ り 一 〇 ポ イ ン ト の 低 さ か ら ス タ ー ト し 、 さ ら に 今 回 下 が り 気 味 の 数 字 に な っ た 。   麻 生 首 相 は 、 早 い 段 階 で 解 散 ・ 総 選 挙 を 考 え た と は い え 、 米 国 発 の 金 融 危 機 が 次 第 に 深 刻 に な っ た こ と を 受 け て 、 ﹁ 今 、 世 論 の 中 で 解 散 よ り 景 気 対 策 の ほ う が 圧 倒 的 に 支 持 が 高 い ﹂ と 発 言 し 、 ﹁ 追 加 経 済 対 策 の 優 先 ﹂ を 力 説 し な け れ ば な ら な く な る 。 そ の 本 音 に は 内 閣 支 持 率 が 高 く な く 、 直 ち に 解 散 ・ 総 選 挙 し て も 与 党 に 有 利 に 働 か な い 、 と 判 断 し た か ら で あ  。 そ れ に 対 し て 、 野 党 側 は 、 ま ず 衆 議 院 を 解 散 し て 国 民 に 信 を 問 う べ き だ 、 と 攻 勢 を 強 め る 。   で は 、 国 民 は ど の よ う に そ の こ と を 判 断 し て い る の か 。 世 論 調 査 に お い て 、 解 散 ・ 総 選 挙 と 追 加 経 済 対 策 の い ず れ を 優 先 す べ き か ど う か 。   追 加 経 済 対 策 を 優 先 す べ き が 四 七 % と な っ て い る 。 そ れ に 対 し て 、 解 散 ・ 総 選 挙 を 優 ︵  ︶ 10 る 無党派層 野党支持者 与党支持者 全体 14% 48% 9% 21% 衆議院の解散・総選挙 48% 28% 66% 47% 追加経済対策 25% 23% 24% 27% どちらとも言えず 表1.解散と追加経済対策のどちらを優先すべきか?(10月11∼13日NHK調査)

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先 す べ き は 二 一 % で あ る 。 与 党 支 持 者 で は 追 加 経 済 対 策 の 優 先 が 六 六 % で あ り 、 こ れ は 麻 生 首 相 の 姿 勢 を 肯 定 す る 。 し か し 野 党 支 持 者 の 四 八 % が 解 散 ・ 総 選 挙 を 優 先 す る 。 無 党 派 層 で は 、 追 加 経 済 対 策 の 優 先 が 四 八 % 、 と 解 散 ・ 総 選 挙 が 一 四 % と な っ て い る 。 無 党 派 層 は 追 加 経 済 政 策 を 優 先 さ せ て い る 。   一 〇 月 、 自 民 党 ・ 公 明 党 の 与 党 側 は 、 中 小 企 業 へ の 融 資 枠 の 拡 大 な ど を 中 心 と し た 経 済 対 策 を ま と め る こ と に な っ た 。 こ こ で 、 政 府 ・ 与 党 に は 、 追 加 の 経 済 対 策 を 提 示 し た う え で 、 現 在 の 臨 時 国 会 に お い て 衆 議 院 を 解 散 し 、 一 一 月 末 を 投 票 日 と す る 案 が 浮 上 し た 。   で は 、 国 民 は 解 散 ・ 総 選 挙 の 時 期 を ど う 考 え て い る の か 。 ﹁ 今 の 臨 時 国 会 で 行 う べ き ﹂ が 二 四 % 、 ﹁ 年 明 け の 通 常 国 会 冒 頭 で 行 う べ き ﹂ が 一 六 % 、 ﹁ 来 年 度 の 予 算 成 立 後 の 来 春 ご ろ ﹂ が 二 八 % 、 来 年 九 月 の 任 期 満 了 ま で 総 選 挙 を 行 う 必 要 は な い ﹂ が 二 二 % で あ っ た 。 臨 時 国 会 の 時 点 で の 解 散 ・ 総 選 挙 を 求 め る 意 見 は 多 く は な い 。 臨 時 国 会 で 解 散 ・ 総 選 挙 を 行 う こ と は 、 国 民 の 意 思 と 齟 齬 を き た す こ と に な る と い う わ け で あ る 。 与 党 支 持 者 は ﹁ 来 春 ご ろ が 望 ま し い ﹂ が 三 八 % 、 次 が ﹁ 二 〇 〇 九 年 九 月 の 任 期 終 了 ﹂ で あ る 。 解 散 ・ 総 選 挙 を 望 む 人 は 、 野 党 支 持 者 の 五 二 % で あ る 。 支 持 者 の 立 場 が 鮮 明 と な っ て い る 。   麻 生 首 相 は 、 与 党 支 持 者 の 多 く が 来 年 春 ご ろ 以 降 の 解 散 ・ 総 選 挙 を 希 望 す る 現 況 で は 、 野 党 に 解 散 ・ 総 選 挙 を 迫 ら れ て も そ れ に 応 じ ら れ な い 。 も ち ろ ん 、 麻 生 首 相 は 、 与 党 に 少 し で も 有 利 な 解 散 ・ 総 選 挙 の 時 点 を 探 ら な け れ ば な ら な い 。 解 散 時 期 の 判 断 に は 、 内 閣 支 持 率 以 外 に 、 政 党 支 持 率 も 重 要 で あ る 。 一 〇 月 時 点 の 政 党 支 持 率 は 自 民 党 三 四 ・ 一 % 、 民 主 党 二 一 ・ 九 % と な っ て い る 。 自 民 党 が 麻 生 内 閣 発 足 直 後 よ り も 三 ポ イ ン ト 下 が っ た の に 対 し 、 民 主 党 は 横 ば い 状 態 の ま ま で あ る 。   一 方 、 民 主 党 は 、 衆 議 院 選 挙 で 政 権 交 代 を 実 現 す る と 訴 え て い る が 、 さ き に ま と め た 政 権 構 想 を な か な か 国 民 に

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浸 透 さ せ る こ と が で き て い な い 。 小 沢 代 表 は 、 年 金 制 度 の 抜 本 改 革 、 子 供 手 当 の 支 給 な ど を 実 施 し 、 税 金 の 使 い 方 を 全 面 的 に 変 更 す れ ば 、 そ の た め の 財 源 は 確 保 で き る 構 想 を 示 し た が 、 そ れ に 説 得 力 が あ る と 思 う 人 は 三 二 % で あ っ た 。 全 体 の 六 二 % は 説 得 力 が な い と 答 え る 。 与 党 支 持 者 で は 八 二 % 、 無 党 派 層 で も 六 八 % が 説 得 で き て い な い と 答 え る 。 民 主 党 に は 、 そ の 意 図 を 浸 透 さ せ る 課 題 を 抱 え た ま ま で あ る 。 有 権 者 は 小 沢 代 表 の 構 想 に 懐 疑 的 な 姿 勢 で あ る 。

    二 〇 〇 八 年 一 〇 月 中 旬 時 点 に お い て 、 麻 生 首 相 は 、 解 散 の 時 期 を 問 わ れ て 、 解 散 ・ 総 選 挙 よ り 景 気 対 策 だ と 繰 り 返 す 。 一 〇 月 初 旬 の 世 論 調 査 に よ れ ば 、 麻 生 内 閣 の 支 持 率 は 四 六 % 、 発 足 直 後 の 調 査 に 比 べ て 二 週 間 で 二 ポ イ ン ト 下 が っ て 、 支 持 と 不 支 持 の 差 が 六 ポ イ ン ト 縮 ん だ 。 麻 生 首 相 の 周 辺 に は 、 ﹁ 麻 生 色 ﹂ を 浸 透 さ せ れ ば 支 持 率 が 上 が る と い う 期 待 が あ っ た 。 し か し 、 一 〇 月 二 日 の 調 査 で は 、 自 民 党 二 七 ・ 六 % に 対 し 、 民 主 党 二 九 ・ 二 % ︵ 九 月 二 五 日 で は 自 民 党 二 八 ・ 四 % 、 民 主 党 二 七 ・ 六 % ︶ と 両 党 の 接 戦 が 続 い て い  。 自 民 党 内 に は 時 間 の 経 過 で さ ら に 不 利 に な る よ り 、 解 散 ・ 総 選 挙 を 早 く 実 施 す る ほ う が よ い と い う 意 見 も 再 浮 上 し て き た 。   と こ ろ が 、 ﹁ 解 散 ・ 総 選 挙 よ り 景 気 対 策 ﹂ と い う 麻 生 首 相 の 当 初 の ﹁ 公 約 ﹂ が 解 散 ・ 総 選 挙 の 実 行 に は 足 か せ に な っ て い る 。 解 散 ・ 総 選 挙 の タ イ ミ ン グ を 図 る 方 便 も 、 経 済 が 悪 化 す る 中 で そ の ﹁ 公 約 ﹂ が か え っ て 解 散 ・ 総 選 挙 時 期 の 判 断 を 先 延 ば し さ せ る 。 麻 生 首 相 は 、 金 融 危 機 に 対 処 で き る 追 加 経 済 対 策 を ま と め る よ う に 指 示 し た が 、 そ の 実 施 に は 第 二 次 補 正 予 算 案 を 編 成 し 国 会 で 成 立 さ せ な け れ ば な ら な い 。 こ れ を 実 行 し 解 散 な ら 、 年 内 の 総 選 挙 は 無 理 と な る 。 世 論 調 査 で は 、 ﹁ 解 散 ・ 総 選 挙 よ り 経 済 対 策 の 優 先 ﹂ と い う 要 望 が は る か に 多 い 。 ﹁ 解 散 ・ 総 選 挙 ﹂ に ︵  ︶ 11 る

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舵 を 切 る と 、 国 民 に ど の よ う に 説 明 で き る か と い う ジ レ ン マ に 陥 る こ と に な る 。 麻 生 首 相 は 、 自 ら の 判 断 に よ っ て 、 か え っ て 自 縄 自 縛 に な っ て い く 。   麻 生 首 相 の 選 択 肢 は 、 景 気 対 策 の 措 置 を 取 っ た の ち 、 ﹁ 解 散 ・ 総 選 挙 ﹂ を 実 行 す る シ ナ リ オ し か な く な っ て く る 。 そ の 際 、 ﹁ 総 選 挙 に 勝 て る 可 能 性 が ど こ ま で あ る か ﹂ が 決 断 の 基 準 と な る 。 自 民 党 は 、 次 の 総 選 挙 で 敗 北 す れ ば 、 即 、 政 権 を 失 う か ら で あ る 。 麻 生 首 相 は 、 選 挙 の 準 備 状 況 を 再 点 検 し 、 選 挙 実 施 に よ る リ ス ク が あ れ ば 、 臨 時 国 会 冒 頭 の 解 散 を 見 送 っ た よ う に 、 来 年 に ま で 先 延 ば し と い う 可 能 性 も あ る 。 麻 生 首 相 に と っ て の 困 難 さ は 、 選 挙 状 況 と 経 済 情 勢 の 二 つ の 不 利 な 条 件 へ の 対 処 を 同 時 に 解 決 し な け れ ば な ら な い こ と で あ る 。   一 〇 月 三 一 日 、 麻 生 首 相 は 追 加 経 済 対 策 の 実 現 を 最 優 先 し 、 当 面 、 解 散 ・ 総 選 挙 を 行 わ な い 方 針 を 示 し た 。 そ の 本 音 は 内 閣 支 持 率 も 伸 び 悩 ん で い る し 、 経 済 対 策 で 実 績 を 上 げ て ﹁ 麻 生 色 ﹂ を ア ピ ー ル し 、 選 挙 情 勢 を 好 転 さ せ た う え で 解 散 の タ イ ミ ン グ を 探 り た い 。   で は 、 ﹁ 麻 生 色 ﹂ と 何 で あ ろ う か 。 そ れ は 二 つ の 特 徴 が あ る 。 ひ と つ は ﹁ 経 済 に 強 い 麻 生 イ メ ー ジ ﹂ で あ る 。 確 か に 、 麻 生 首 相 自 身 は 経 済 対 策 に は 自 信 が あ る と 述 べ る 。 し か し 、 そ の 具 体 策 を 検 討 す る と 、 二 兆 円 規 模 の 給 付 金 や 高 速 道 路 料 金 の 大 幅 値 下 げ な ど 、 総 選 挙 を 強 く 意 識 し た 点 だ け が 目 だ っ て い る 。 こ れ で は 米 国 発 の 金 融 危 機 へ の 対 応 策 が 十 分 で あ る か ど う か 疑 わ し く な る 。 ま た 、 そ の 効 果 に は 時 間 が か か り 、 し ば ら く は 景 気 の 悪 化 が 続 く と い う 予 測 も あ る 。 経 済 対 策 が 好 結 果 を 出 せ な い と 、 国 民 の 失 望 感 を 強 め 支 持 率 の 低 下 を 招 き か ね な い 。   与 党 内 で は 、 麻 生 人 気 を 当 て 込 ん で ﹁ 選 挙 の 顔 ﹂ と 期 待 す る 向 き が あ る 。 こ れ が も う ひ と つ の ﹁ 麻 生 色 ﹂ で あ る 。 麻 生 首 相 は 、 ﹁ 選 挙 の 顔 ﹂ と し て も 自 信 が あ っ た 、 と 思 わ れ る 。 と こ ろ が 、 与 党 は 選 挙 情 勢 が 好 転 し な い 事 態 を 認 識 し 解 散 に 踏 み 切 れ な い 。 一 〇 月 三 〇 日 の 記 者 会 見 で は 、 麻 生 首 相 は 、 三 年 後 の 消 費 税 引 き 上 げ を 明 言 し 、 責 任 あ

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る 政 治 を 担 え る こ と を ア ピ ー ル し た が 、 い つ 解 散 す る か は 述 べ な か っ た 。 解 散 時 期 の 不 明 が 続 け ば 、 選 挙 準 備 に 余 念 が な い 現 職 議 員 や 立 候 補 者 だ け で な く 、 国 民 か ら も ﹁ 決 断 力 が な い ﹂ と 見 な さ れ る し 、 結 局 、 そ れ は 支 持 率 の 低 下 に 直 結 す る 。   経 済 対 策 で は っ き り し た 効 果 が 出 せ な い と 、 ﹁ 経 済 に 強 い 麻 生 イ メ ー ジ ﹂ の 評 判 は 低 下 す る 。 ま た 、 支 持 率 好 転 を 期 待 し て 解 散 先 送 り を 繰 り 返 す と 、 ﹁ 解 散 を 決 断 で き な い 首 相 ﹂ と 政 治 的 能 力 を 否 定 さ れ か ね な い 。 逆 に ﹁ 追 い 込 ま れ て 最 悪 の 状 況 で 解 散 ﹂ と い う 可 能 性 も ゼ ロ で は な い 。 解 散 先 送 り は 、 そ の よ う な ジ レ ン マ を と も な う こ と に な る 。

    一 一 月 九 日 の 世 論 調 査 で は 、 内 閣 支 持 率 は ど う な っ て い た だ ろ う か 。 一 〇 月 よ り も 幾 分 上 昇 し た 。 麻 生 内 閣 支 持 は 四 九 % 、 不 支 持 四 〇 % で あ っ た 。 内 閣 発 足 時 の 支 持 す る 四 八 % が 、 一 〇 月 は 四 六 % に 下 が っ た が 、 そ れ よ り も 三 ポ イ ン ト 上 が っ た 。 逆 に 支 持 し な い が 一 〇 月 よ り も 四 ポ イ ン ト 下 が っ た 。 年 代 別 に は 四 〇 歳 代 、 五 〇 歳 代 で は 過 去 二 回 、 支 持 し な い が 多 か っ た が 、 今 回 初 め て 支 持 が 不 支 持 を 上 回 っ て い る 点 が 目 立 っ て い る 。   麻 生 内 閣 の 支 持 率 上 昇 の 理 由 は 何 で あ ろ う か 。 麻 生 首 相 は ﹁ 国 民 生 活 の 不 安 に 応 え る の が 優 先 順 位 の 一 番 ﹂ と 、 衆 議 院 解 散 ・ 総 選 挙 を 先 送 り し た 。 こ れ を 国 民 が ど の よ う に 評 価 す る か 、 で あ る 。 全 体 で は 、 ﹁ 評 価 す る ﹂ が 五 二 % で 内 閣 支 持 率 の 四 九 % を 上 回 り 、 ﹁ 評 価 し な い ﹂ が 四 一 % で あ っ た 。 与 党 支 持 者 で は 七 七 % が ﹁ 評 価 す る ﹂ と 国 民 の 過 半 数 は 麻 生 首 相 の 本 音 と は 別 に 景 気 対 策 を 期 待 す る 。   一 〇 月 の 調 査 で は 、 与 党 支 持 者 は ﹁ 解 散 ・ 総 選 挙 よ り も 景 気 対 策 ﹂ を 強 く 求 め て い た 。 麻 生 首 相 は そ の 要 請 を 受

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け て 解 散 を 先 送 り し 、 そ の 点 に つ い て は 与 党 支 持 者 か ら 評 価 さ れ た 。 も っ と も 、 野 党 支 持 者 は 麻 生 首 相 の 解 散 ・ 総 選 挙 の 先 送 り に 反 発 し た 。 国 民 の 支 持 政 党 の あ り 方 が 評 価 を は っ き り 分 け る 傾 向 が あ る 。 た だ 注 意 す べ き 点 に 、 無 党 派 の ﹁ 評 価 し な い ﹂ が 四 九 % も あ る こ と で あ る 。 無 党 派 層 で は 評 価 が 二 分 さ れ た 。 国 民 の 過 半 数 は 、 直 面 す る 政 策 や 判 断 で の 麻 生 首 相 の 姿 勢 を 一 応 は 評 価 し た 、 と 言 え な い こ と は な い 。   で は 、 解 散 ・ 総 選 挙 よ り も 優 先 さ れ た 景 気 対 策 の 内 容 に は 、 ど こ ま で 評 価 さ れ た の で あ ろ う か 。 具 体 例 か ら 考 え て お こ う 。 経 済 対 策 の 柱 に な る 二 兆 円 規 模 の 定 額 給 付 金 に つ い て 、 ﹁ 評 価 す る ﹂ は 三 八 % に 留 ま り 、 ﹁ 評 価 し な い ﹂ は 五 七 % に 上 昇 し た 。 麻 生 内 閣 は 、 生 活 対 策 を 重 視 す る と 主 張 す る が 、 そ の 割 に 国 民 か ら は よ く 評 価 さ れ な い 。 与 党 支 持 者 で は 五 四 % と 半 数 以 上 の 人 が 評 価 す る と 答 え る が 、 野 党 支 持 者 と 無 党 派 層 で は 、 そ れ ぞ れ 七 四 % 、 六 五 % は ﹁ 評 価 し な い ﹂ と 答 え た 。 さ ら に 、 一 一 月 一 九 日 に は 政 府 主 催 の 全 国 知 事 会 議 に お い て 、 定 額 給 付 金 に つ い て の 批 判 や 注 文 が 相 次 い  。   こ の 給 付 金 の 配 分 対 象 者 に 所 得 制 限 を 設 け る か で ど う か で 議 論 が あ っ た 。 そ れ は 、 高 額 所 得 者 に ま ず 配 分 す る か 否 か 、 で あ る 。 麻 生 首 相 は 、 法 律 で 所 得 制 限 を 設 け ず 、 高 額 所 得 者 は 自 主 的 に 辞 退 し て も ら い た い 、 と 考 え た 。 給 付 金 そ の も の が バ ラ ま き と い う 批 判 が あ っ た だ け に 、 そ の 発 想 法 と 政 策 内 容 が 十 分 に 検 討 さ れ な い こ と も 国 民 の 厳 し い 評 価 に な っ た 。   一 方 で 、 麻 生 首 相 は 、 ﹁ 大 胆 な 行 政 改 革 を 行 い 、 経 済 状 況 を 見 た 上 で ﹂ と い う 前 提 条 件 が つ く と は い え 、 ﹁ 三 年 後 に 消 費 税 の 引 き 上 げ を お 願 い し た い ﹂ と 発 言 し た 。 消 費 税 増 税 案 に ︵  ︶ 12 だ 無党派層 野党支持者 与党支持者 全体 48% 27% 77% 52% 評価する 49% 70% 20% 41% 評価しない 表2.景気対策を解散・総選挙より優先することを評価する(11月9日NHK世論調査)

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つ い て は 、 特 に 男 女 別 に 見 る と 、 女 性 は そ の 六 〇 % が 評 価 せ ず 、 男 性 よ り も 消 費 税 の 引 き 上 げ に 反 対 し て い る 。   今 後 も 麻 生 内 閣 の 支 持 率 が 上 向 く か ど う か は わ か ら な い 。 解 散 よ り も 景 気 対 策 と い う 判 断 は 、 与 党 支 持 者 か ら 評 価 さ れ て も 、 景 気 対 策 が い つ 実 行 で き る か が 不 明 で あ る 。 政 府 ・ 与 党 に は 、 景 気 対 策 の 根 拠 と な る 第 二 次 補 正 予 算 に つ い て 、 今 国 会 に 提 出 す る の を 見 送 る 意 見 も 現 れ た の で 、 内 閣 支 持 率 は 流 動 的 に な っ て い る 。   一 一 月 一 〇 日 、 参 議 院 の 外 交 防 衛 委 員 会 で 田 母 神 前 幕 僚 長 に 対 す る 参 考 人 質 疑 が 行 わ れ た 。 一 一 月 の 世 論 調 査 で は 、 政 府 見 解 と 異 な る 論 文 を 発 表 し て ﹁ 更 迭 ﹂ さ れ た 人 物 を 航 空 自 衛 隊 幕 僚 長 に 任 命 し た 政 府 の 判 断 に つ い て ど の よ う に 考 え る か 、 と い う 質 問 項 目 が あ る 。 結 果 は 、 与 党 支 持 者 六 二 % 、 野 党 支 持 者 七 九 % 、 無 党 派 層 六 七 % 、 全 体 の 六 五 % が ﹁ 政 府 の 判 断 に 問 題 が あ る ﹂ と 答 え 、 ﹁ 問 題 は な い ﹂ と い う 人 を 大 き く 上 回 っ た 。 田 母 神 は 安 倍 内 閣 当 時 に 航 空 幕 僚 長 に 起 用 さ れ た と は い え 、 政 府 の 一 員 の 立 場 を 無 視 し て 発 言 す る 人 物 を 幹 部 に す る の は お か し い 、 と い う 意 見 が 多 数 で あ っ た 。   二 〇 〇 八 年 一 〇 月 の 各 政 党 の 支 持 率 は ど う で あ っ た の か 。 自 民 党 三 五 、 〇 % 、 民 主 党 二 一 、 八 % 、 こ れ に 各 政 党 が 続 き 大 き な 変 化 は な か っ た 。 一 一 月 末 ま で の 臨 時 国 会 に お い て 、 麻 生 首 相 が 景 気 対 策 の 実 行 の 道 筋 を 示 す こ と が で き る か ど う か 、 な ど が 支 持 率 を 考 え る う え で は 注 目 点 で あ る 。 衆 議 院 選 挙 に 向 け て 、 与 野 党 双 方 の 一 つ ひ と つ の 判 断 を 国 民 が ど の よ う に 判 断 す る の か 。

    一 一 月 後 半 ま で に 、 麻 生 政 権 の 政 策 は す っ か り 色 あ せ て し ま っ た 。 な ぜ 定 額 給 付 金 を め ぐ る 政 府 ・ 与 党 の 調 整 作 業 は 二 転 三 転 し た の だ ろ う か 。 こ の よ う な 政 策 の 決 め 方 し か で き な い 麻 生 政 権 は 、 今 後 、 政 権 を 運 営 で き る の か ど

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う か 、 と い う 印 象 だ け が 残 さ れ た 。   ま ず 、 給 付 金 は 、 今 年 度 一 回 か ぎ り の 措 置 と し て 、 一 人 一 万 二 〇 〇 〇 円 、 一 八 歳 以 下 の 子 供 と 六 五 歳 以 上 の 高 齢 者 に は 八 〇 〇 〇 円 が 加 算 さ れ る の で 、 夫 婦 と 子 供 二 人 の 世 帯 に は 六 万 四 〇 〇 〇 円 が 支 給 さ れ る 。 財 源 は 特 別 会 計 の 剰 余 金 、 い わ ゆ る ﹁ 埋 蔵 金 ﹂ の 一 部 を 充 当 す る 。 支 給 対 象 者 の 調 整 が 難 航 し た 。 所 得 制 限 を 設 け る か ど う か の 判 断 を そ れ ぞ れ の 市 町 村 の 決 定 に 委 ね て い る 。 所 得 制 限 を 設 け る 場 合 に は 、 所 得 で 一 八 〇 〇 万 円 、 年 収 ベ ー ス に 直 す と サ ラ リ ー マ ン で は 二 〇 七 四 万 円 が 限 度 と な る 。 担 当 大 臣 で あ る 鳩 山 総 務 相 で さ え 、 ﹁ 役 所 窓 口 が 混 乱 す る ﹂ と 心 配 す る 。 二 兆 円 も の 国 費 を 使 う 決 定 を し な が ら 、 最 後 は 自 治 体 に 判 断 を 押 し 付 け る や り 方 は 、 責 任 あ る 政 府 の 政 策 と は 言 え な  。   で は 、 な ぜ こ の よ う な こ と に な っ た の か 。 発 端 は 福 田 政 権 時 に あ る 。 公 明 党 が 自 民 党 に 定 額 減 税 案 を 同 意 さ せ た 。 た だ 、 定 額 減 税 で は 税 金 を 支 払 っ て い な い 人 に は 恩 恵 は な い 。 政 府 は 、 減 税 で は な く 給 付 金 と い う 形 に 切 り 替 え 、 麻 生 首 相 は ﹁ す べ て の 世 帯 に 支 給 す る ﹂ と 明 言 し た 。 も っ と も 、 こ れ は 、 総 選 挙 目 当 て の ﹁ バ ラ ま き ﹂ と 批 判 を 受 け て も 仕 方 が な い 。   そ こ で 高 額 所 得 者 を 外 そ う と い う 意 見 と な っ た が 、 そ の こ と で 問 題 が 生 じ た 。 所 得 制 限 を 設 け る と 、 手 続 き に 時 間 が か か っ て 支 給 開 始 が 遅 れ る 可 能 性 が あ る ば か り か 、 市 町 村 の 事 務 作 業 が 混 乱 す る お そ れ が で て き た 。 そ の た め 、 所 得 制 限 を つ け な い 代 わ り 高 額 所 得 者 に 辞 退 を 求 め る 方 法 が 浮 上 し て き た 。 と こ ろ が ﹁ そ れ で は 制 度 と は い え な い ﹂ と い う 批 判 を 受 け て 、 結 局 、 市 町 村 に 判 断 を 委 ね る こ と に な っ た 。 給 付 対 象 者 は 誰 な の か と い う 基 本 的 な 問 題 す ら 計 画 段 階 か ら 決 め て い な か っ た 、 と い う 対 応 ぶ り が 作 業 を 二 転 三 転 さ せ る 最 大 の 原 因 で あ っ た 。 そ れ は 政 府 へ の 不 信 感 に つ な が る 。 ︵  ︶ 13 い

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  そ の う え 給 付 金 の 評 判 が よ く な い 理 由 は 、 景 気 の 浮 揚 効 果 が あ ま り 期 待 で き な い 点 も あ っ た 。 内 閣 府 は 、 今 回 の 二 兆 円 の 給 付 金 の 効 果 に つ い て 、 国 内 総 生 産 ︵ G D P ︶ を 〇 ・ 一 % 引 き 上 げ る 程 度 の 効 果 し か な い 、 と 認 め て い る 。 か つ て 地 域 振 興 券 を 配 っ た 時 、 大 半 が 日 用 品 の 購 入 に 充 て ら れ 、 新 た な 消 費 に は つ な が ら な か っ た 。   一 一 月 の 世 論 調 査 で は 、 定 額 給 付 金 を ﹁ 評 価 す る ﹂ が 三 八 % 、 ﹁ 評 価 し な い ﹂ が 五 七 % で あ っ た 。 景 気 対 策 の 柱 が 不 人 気 で あ る か ら 、 景 気 浮 揚 効 果 に 疑 問 符 が つ く こ と に な る 。 麻 生 首 相 の 経 済 対 策 を 否 定 す る 側 面 が 出 現 し た 。   混 乱 の 事 情 を 解 明 す る 必 要 が あ る 。 ま ず 、 公 明 党 と 自 民 党 と の 連 立 政 権 内 で の 見 解 の 相 違 が あ る 。 給 付 金 を 公 明 党 支 持 者 の 六 二 % が 評 価 し て い る 。 こ れ に 応 え る こ と が 最 優 先 の 公 明 党 と 、 そ れ を ﹁ バ ラ マ キ ﹂ と 批 判 す る 自 民 党 支 持 者 や 無 党 派 層 に 配 慮 せ ざ る を え な い 自 民 党 、 こ の 双 方 の 立 場 を 配 慮 し た 結 果 、 何 の た め に 実 施 す る か の 理 念 が な い 政 策 に な っ て し ま っ た 。   も う ひ と つ の 事 情 は 解 散 戦 略 が 予 定 通 り に 進 ま な か っ た 点 に あ る 。 与 党 内 で は 、 選 挙 前 は 景 気 対 策 メ ニ ュ ー だ け 示 し 、 具 体 的 方 法 や 財 源 に つ い て は 選 挙 終 了 後 に と い う 暗 黙 の 了 解 が あ っ た 。 そ の 事 情 に は 、 国 会 審 議 で い ろ い ろ 指 摘 を 受 け る と 、 総 選 挙 に 不 利 に 作 用 す る と い う 計 算 が あ る 。   麻 生 政 権 は 四 つ の 事 情 か ら 不 安 定 な 状 態 に あ る 、 と 言 え る 。   ひ と つ は 政 策 面 か ら で あ る 。 与 野 党 間 で 議 論 に な る 政 策 案 が 山 積 し て い る か ら で あ る 。 ま ず 、 定 額 給 付 金 用 の 第 二 次 補 正 予 算 案 と そ の 関 連 法 案 は 、 臨 時 国 会 で 処 理 で き る の か 、 そ れ と も 年 明 け の 通 常 国 会 で 成 立 さ せ る か ど う か 、 明 確 に な っ て い な い 。 麻 生 首 相 は 、 地 方 向 け の 景 気 対 策 と し て 、 一 般 財 源 化 さ れ る 道 路 特 定 財 源 の 中 か ら 、 地 方 交 付 税 と し て 一 兆 円 を 供 出 す る と 約 束 し た が 、 こ れ は 地 方 の 道 路 整 備 事 業 向 け の 七 〇 〇 〇 億 円 の 補 助 金 と は 別 枠 か ど う か を 政 府 ・ 与 党 内 で 見 解 が 分 か れ る 。 と り わ け 自 民 党 内 の 道 路 族 が 交 付 金 で な い と 反 発 し  。 ︵  ︶ 14 た

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  麻 生 首 相 が 消 費 税 を ﹁ 三 年 後 に 上 げ る ﹂ と 発 表 し た 。 ﹁ そ の た め に は ま ず ム ダ 減 ら し か ら だ ﹂ と 、 地 方 出 先 機 関 の 統 廃 合 を 述 べ た 。 こ れ ら の 方 針 に も 与 党 内 か ら 反 対 論 が 現 れ て い る 。 い ず れ も 年 末 の 予 算 編 成 や 税 制 改 革 ま で に 結 論 を 出 さ な け れ ば な ら な い 。 こ の ま ま で は 政 策 ご と の 混 乱 が 予 想 さ れ る 。   二 つ 目 と し て 、 自 民 党 内 の 麻 生 政 権 へ の 異 論 の 噴 出 で あ る 。 こ れ は 政 策 に 対 す る 考 え 方 で 対 立 が 表 面 化 す る 。 麻 生 首 相 が 一 一 月 一 九 日 に 郵 政 株 式 売 却 を 凍 結 す る こ と を 明 言 し た 。 こ れ に 呼 応 す る か の よ う に ﹁ 民 営 化 は 失 敗 ﹂ と の 批 判 が 続 出 し て ﹁ 民 営 化 推 進 派 ﹂ と の 衝 突 の 火 種 を 抱 え 込 む 形 に な っ た 。 そ の こ と は 政 策 上 の 不 一 致 に と ど ま ら ず 、 で は 二 〇 〇 五 年 衆 議 院 選 で の ﹁ 郵 政 民 営 化 の 方 針 ﹂ を 国 民 に 問 う て 信 を 得 た 結 果 は 何 で あ っ た の か 、 と い う 自 民 党 内 に 大 き な 亀 裂 を 生 じ さ せ る こ と と な  。   三 つ 目 の 理 由 は 、 麻 生 首 相 と 与 党 側 ︵ 自 民 党 ・ 公 明 党 ︶ と の 間 に 生 ま れ つ つ あ る 溝 で あ る 。 麻 生 首 相 は 与 党 内 の 早 期 解 散 論 を 打 ち 消 し た 。 し か し 、 内 閣 支 持 率 は 依 然 、 低 く 、 選 挙 の で き る 状 況 も 好 転 の 兆 し も な い 。 与 党 内 に は 、 景 気 対 策 を め ぐ る 混 乱 状 態 は 、 麻 生 首 相 の 独 断 専 行 が 原 因 だ と い う 見 解 も 広 が っ て い る 。 し か し 、 そ の こ と で 与 党 側 は 麻 生 首 相 を 批 判 す れ ば 、 そ れ で は な ぜ 麻 生 政 権 を 成 立 さ せ た の か と い う 矛 盾 や ジ レ ン マ を 抱 え る こ と に な る 。   四 つ 目 の 理 由 は 、 国 民 か ら の 麻 生 首 相 と そ の 政 権 の 支 持 の ジ リ 貧 状 態 に な っ て い る こ と で あ る 。 政 権 発 足 一 ヶ 月 後 麻 生 内 閣 の 支 持 は 四 一 % 、 不 支 持 四 二 % と な っ て 不 支 持 の 拡 大 が 続 い て い る 。 麻 生 首 相 は 、 国 民 的 支 持 を 背 景 に 与 野 党 を 抑 え こ む こ と 、 あ る い は 政 局 の 主 導 権 を と る こ と が で き な く な っ て い る 。 こ の 点 は 総 選 挙 に 重 大 な 影 響 を 及 ぼ す こ と に な る 。 ︵  ︶ 15 る

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    で は 、 麻 生 政 権 を 支 え る 自 民 党 と 公 明 党 の 関 係 は 磐 石 で あ ろ う か 。 特 に 、 公 明 党 が 自 民 党 と の 関 係 を ど の よ う に 考 え て い る か 知 る 必 要 が あ る 。   福 田 政 権 末 期 ご ろ か ら 、 連 立 政 権 を 組 む 自 民 党 と 公 明 党 の 間 で 意 見 の 齟 齬 が 目 立 ち 始 め た 。 公 明 党 が 次 の 総 選 挙 で の 自 ら の 生 き 残 り を 優 先 さ せ た い か ら で あ る 。 八 月 ご ろ か ら 三 つ の 動 き が あ っ た 。   第 一 は 、 イ ン ド 洋 で の 海 上 自 衛 隊 の 国 際 貢 献 で あ る 給 油 活 動 を 継 続 す る 給 油 法 案 の 問 題 で あ る 。 ﹁ 平 和 を 希 求 す る ﹂ 公 明 党 支 持 者 に は 、 自 衛 隊 派 遣 を 積 極 的 に 推 進 す る 自 民 党 に 不 満 が あ る 。 公 明 党 は 自 ら の 総 選 挙 を 考 え れ ば 、 こ の 法 案 に で き れ ば 協 力 し た く な い 。   第 二 は 、 内 閣 支 持 率 の 問 題 で あ っ た 。 こ れ は 自 ら が 描 く 解 散 ・ 総 選 挙 に か か わ る 二 つ の 戦 略 と 関 係 す る 。 ひ と つ の 戦 略 と し て 、 公 明 党 は 、 解 散 ・ 総 選 挙 の 時 期 を 年 内 か 年 明 け 早 々 に 実 施 し た い 。 二 〇 〇 九 年 に 東 京 都 議 会 選 挙 が 予 定 さ れ る 。 公 明 党 は 、 そ れ に 全 力 を あ げ て 取 り 組 む 方 針 だ が 、 そ の た め に は 都 議 会 選 挙 と 、 そ の 前 か 後 か は 別 と し て 、 総 選 挙 の 両 投 票 日 の 間 を 一 定 の 時 間 を 十 分 あ け る 必 要 が あ る 。   第 三 は 、 歳 出 削 減 路 線 か ら の 転 換 で あ る 。 そ れ は 、 ﹁ 負 担 増 と 歳 出 削 減 は も う い い 加 減 に し て 欲 し い ﹂ と 要 望 す る 公 明 党 支 持 者 に 応 え て 、 今 年 度 の 補 正 予 算 や 来 年 度 予 算 に お け る 負 担 減 と 歳 出 増 と い う 政 策 転 換 が 成 立 し そ う で あ る 。 公 明 党 に は 、 そ の 成 果 を ア ピ ー ル し 総 選 挙 を 有 利 に 展 開 し た い 。   公 明 党 の 戦 略 に 自 民 党 内 の 一 部 が 呼 応 す る 動 き が あ る 。 自 民 党 の 古 賀 選 挙 対 策 委 員 長 は 選 挙 日 程 の 点 か ら 、 二 階 総 務 会 長 は 財 政 再 建 の 観 点 の 転 換 か ら 、 公 明 党 の 方 針 に 同 調 す る 。 こ の 二 人 は 、 公 明 党 と 太 い パ イ プ を 持 つ 自 民 党

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政 治 家 だ 、 と 言 わ れ る 。 そ の 背 景 に は 、 選 挙 対 策 に 、 ひ と つ の 小 選 挙 区 で 二 万 か ら 三 万 人 い る と い わ れ る 公 明 党 支 持 者 の 協 力 が な い と 総 選 挙 に 勝 利 で き な い 自 民 党 の ﹁ お 家 の 選 挙 事 情 ﹂ が あ る 。 歳 出 増 に 関 し て は 、 公 明 党 へ の 配 慮 に 加 え 、 小 泉 政 権 時 代 に 崩 壊 し た 地 方 組 織 を 立 て 直 す た め に も 、 自 民 党 は 歳 出 削 減 路 線 か ら の 転 換 を 不 可 欠 と す る 。 こ れ も 結 果 的 に は 総 選 挙 に 影 響 す る 。   公 明 党 内 に は 、 九 年 目 を 迎 え た 自 民 党 と の 連 立 関 係 が 限 界 に 近 づ い て き た 、 と い う 見 解 が あ る 。 小 泉 内 閣 で は 、 負 担 増 と 歳 出 削 減 、 そ れ に 自 衛 隊 の 海 外 派 遣 な ど で 、 公 明 党 執 行 部 は 、 こ の 数 年 間 、 支 持 者 へ の 釈 明 に 追 わ れ て き た 。 連 立 政 権 へ の 支 持 率 が 高 け れ ば 、 公 明 党 に も 連 立 の 一 翼 を 担 う ﹁ う ま み ﹂ が あ る が 、 教 育 基 本 法 改 正 や 防 衛 庁 の 省 昇 格 、 民 主 党 と の 大 連 立 な ど 、 安 倍 政 権 、 福 田 政 権 で は 、 公 明 党 の 基 本 姿 勢 と 一 致 し な い こ と が 多 々 噴 出 し た 。 こ の 事 情 か ら 、 党 内 に は 自 民 党 と の 関 係 そ の も の を 見 直 す 機 運 も 生 ま れ る 。   公 明 党 幹 部 や そ の 支 持 者 は 、 経 済 成 長 が 終 了 し 、 少 子 高 齢 化 が 現 実 化 す る 中 で 、 公 明 党 が 与 党 の 一 員 で あ る こ と だ け で 、 予 算 配 分 に 影 響 力 を 行 使 で き ず 、 反 対 に 予 算 の 削 減 や 新 た な 負 担 に 支 持 者 の 理 解 を 求 め る 苦 痛 だ け も 感 じ て き た 。 表 面 上 、 環 境 相 の 斉 藤 鉄 夫 は ﹁ 公 明 党 は 財 政 再 建 の 方 向 を 保 ち つ つ 、 生 活 者 優 先 の 政 治 へ の 転 換 を ﹂ 、 と 述 べ る 。 ﹁ そ う い う 意 味 で 麻 生 新 総 裁 に 期 待 し た い ﹂ 、 と 要 望 し て い る 。 公 明 党 の 大 田 代 表 は 、 ﹁ 次 の 総 選 挙 ま で は 今 の ま ま ﹂ の 路 線 を 表 明 し て き  。 た だ 、 公 明 党 の 中 堅 幹 部 か ら 、 ﹁ 総 選 挙 後 の 民 主 党 と の 連 携 を 否 定 し な い ﹂ と い う 発 言 も 出 始 め て い る 。   一 九 九 八 年 以 来 、 自 民 党 に よ る 政 権 維 持 は 、 公 明 党 が 支 援 し た か ら で あ る こ と を 忘 れ て は な ら な い 。 自 公 連 立 政 権 の 内 部 で 亀 裂 が 生 じ る か ど う か は 、 現 時 点 で は は っ き り し な い 。 公 明 党 の 協 力 次 第 で 連 立 政 権 枠 組 み に 影 響 す る こ と は 確 実 で あ る 。 今 後 、 公 明 党 は 、 自 民 党 か 民 主 党 を 選 択 す る 立 場 と し て 、 第 三 党 の キ ャ ス テ ィ ン グ ・ ボ ー ト を ︵  ︶ 16 た

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持 つ 立 場 を も っ と 活 用 す る 、 と 考 え ら れ る 。

    で は 、 民 主 党 は 磐 石 で あ る の か 。 次 の 総 選 挙 に 向 け て 民 主 党 が 抱 え る ﹁ 三 つ の 不 安 ﹂ が あ  。   第 一 の 不 安 は 、 政 策 実 行 の た め の ﹁ 財 源 を 担 保 で き る か ど う か の 問 題 ﹂ で あ る 。 小 沢 代 表 は ﹁ 政 権 を 取 っ て 今 の 仕 組 み を 抜 本 的 に 変 更 す れ ば 、 財 源 を 確 保 で き る ﹂ と 、 ﹁ 民 主 党 の 政 策 は バ ラ ま き だ ﹂ と い う 与 党 側 か ら の 批 判 を か わ し て き た 。 ﹁ そ れ で は 国 民 の 理 解 が 得 ら れ な い ﹂ と い う 党 内 か ら の 指 摘 も あ っ て 、 政 権 公 約 で は 具 体 的 な 財 源 案 を 示 す こ と に な っ た 点 で あ る 。   民 主 党 は 次 期 総 選 挙 に 向 け た ﹁ マ ニ フ ェ ス ト ﹂ に お い て 政 策 実 施 の ﹁ 工 程 表 ﹂ を 示 し た う え で 、 一 般 会 計 と 特 別 会 計 を 含 め た 国 の 総 支 出 二 一 二 兆 円 の 約 一 割 に あ た る 二 二 兆 円 を 三 段 階 で 主 要 政 策 の 実 行 財 源 に 組 み 替 え て い く こ と を 発 表 し た 。 そ の 根 拠 と な る 財 源 の 捻 出 に い わ ゆ る ﹁ 埋 蔵 金 ﹂ を 充 て る 予 定 で あ  。 た だ 危 惧 す る べ き は 、 財 源 の 根 拠 と な る 数 字 の 議 論 に 終 始 し て し ま い 本 来 の 目 標 が 見 失 う 恐 れ が あ る 。   第 二 の 不 安 は 、 ﹁ 都 市 住 民 か ら の 支 持 を 確 保 で き る か ﹂ で あ る 。 小 沢 代 表 は 農 家 へ の 所 得 補 償 政 策 な ど を 示 し 、 自 民 党 の 地 方 組 織 を 切 り 崩 す こ と を 目 標 と し て き た 。 二 〇 〇 八 年 の 参 議 院 選 挙 で は 、 そ れ が 民 主 党 に は 有 利 に 働 い た が 、 都 市 部 の 有 権 者 、 特 に 無 党 派 層 に は 、 旧 来 の 自 民 党 と 変 わ ら な い 地 方 重 視 政 策 と し か 映 ら な い 。 民 主 党 が 地 方 に 重 点 を 置 く こ と で 、 都 市 住 民 の 支 持 を 得 ら れ る か と い う 不 安 が あ  。   第 三 の 不 安 は 、 民 主 党 政 権 へ の 期 待 と 小 沢 政 権 へ の 期 待 と の 間 に ギ ャ ッ プ が あ る こ と で あ る 。 世 論 調 査 で は 、 首 相 に は 誰 が よ い の か 質 問 で は 、 小 沢 代 表 は 麻 生 首 相 よ り 低 い 数 字 で あ る 。 確 か に 、 小 沢 代 表 の ﹁ 強 引 さ ﹂ が 民 主 党 ︵  ︶ 17 る ︵  ︶ 18 る ︵  ︶ 19 る

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支 持 を 伸 ば し て き た 反 面 、 そ の 手 法 に 抵 抗 や 限 界 を 感 じ る 人 は 少 な く な い 。 衆 議 院 選 挙 は 、 政 権 を 選 択 す る こ と で あ る の で 、 誰 が 首 相 に な る と い う 選 挙 で も あ る 。 こ の ギ ャ ッ プ も 不 安 材 料 と な  。   と に か く ﹁ 自 民 党 政 権 イ エ ス か ノ ー か ﹂ で 選 挙 に 勝 利 さ え す れ ば と い う 発 想 は 一 時 的 な 姿 だ け で あ る 。 民 主 党 は ﹁ 政 策 論 議 抜 き の 劇 場 型 選 挙 ﹂ と 自 民 党 を 批 判 し て き た 。 二 〇 〇 五 年 の 郵 政 選 挙 の よ う な 雰 囲 気 に 左 右 さ れ る 危 険 性 だ け が あ る 。

    一 一 月 中 旬 、 政 府 ・ 与 党 は 、 給 油 継 続 法 案 な ど 重 要 法 案 を 成 立 さ せ る た め 、 会 期 を 延 長 す る 一 方 、 小 沢 民 主 党 が 要 求 し た 経 済 対 策 の た め の 第 二 次 補 正 予 算 案 の 提 出 を 見 送 る 方 針 を 採 用 し た 。   国 会 審 議 は 、 一 一 月 前 半 ま で は 、 給 油 継 続 法 案 も 金 融 強 化 法 案 も 成 立 に 向 け て 進 む か と 思 わ れ た 。 そ れ を 一 変 さ せ た の は 、 一 一 月 一 七 日 、 小 沢 代 表 が 提 案 し た 党 首 会 談 で あ る 。 小 沢 代 表 は 二 つ の 法 案 の ﹁ 採 決 拒 否 ﹂ を 担 保 に 第 二 次 補 正 予 算 案 を 臨 時 国 会 に 即 座 に 提 出 す る よ う に 要 求 し  。   給 油 継 続 法 案 は 一 〇 月 二 一 日 に 衆 議 院 を 通 過 し た の で 、 参 議 院 で 民 主 党 が 徹 底 抗 戦 し て も 、 政 府 ・ 与 党 が 大 幅 に 会 期 を 延 長 す れ ば 、 二 〇 〇 九 年 二 月 二 〇 日 に は ﹁ 六 〇 日 ル ー ル ﹂ に よ っ て 再 可 決 で 成 立 で き る 。 金 融 機 能 強 化 法 案 は 、 二 〇 〇 九 年 一 月 五 日 以 降 に は 成 立 す る 。   第 二 次 補 正 予 算 案 は 、 そ の 内 容 の 精 査 よ り も 法 案 そ の も の が 提 出 で き る か ど う か が 懸 念 材 料 で あ る 。 党 首 会 談 で 小 沢 代 表 は 、 ﹁ 麻 生 首 相 は 、 解 散 ・ 総 選 挙 よ り 景 気 対 策 を 主 張 し て 、 解 散 を 先 送 り し た の だ か ら 、 一 刻 も 早 く 補 正 予 算 案 を 提 出 す べ き ﹂ と 麻 生 首 相 に 迫 っ た 。 麻 生 首 相 は ﹁ 税 収 が 落 ち 込 ん で そ の 計 算 に 時 間 が か か る ﹂ と 釈 明 し た ︵  ︶ 20 る ︵  ︶ 21 た

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が 、 解 散 ・ 総 選 挙 よ り も 景 気 対 策 優 先 と 弁 明 し な が ら 、 第 二 次 補 正 予 算 案 を 提 出 し な い の は 筋 が 通 ら な い 。 こ れ が 小 沢 代 表 の 攻 め の 論 理 で あ る 。   与 党 側 は 補 正 予 算 案 を 今 の 臨 時 国 会 で な く 、 二 〇 〇 九 年 一 月 の 通 常 国 会 に 提 出 す る 方 針 を 変 え て い な い 。 小 沢 代 表 は ﹁ 審 議 引 き 延 ば し は し な い ﹂ と 約 束 す る が 、 ﹁ ね じ れ 国 会 ﹂ を 経 験 し て い る 自 民 党 幹 部 に は 警 戒 心 を 抱 か せ る 。 た だ 、 国 会 を 延 長 す る と 、 評 判 の 悪 い 定 額 給 付 金 を は じ め 第 二 次 補 正 予 算 案 で の 審 議 に お い て 、 野 党 側 か ら 批 判 さ れ る こ と に な る 。 そ れ で は 政 権 へ の 印 象 を 悪 化 さ せ 、 総 選 挙 が 不 利 に な る 。 む し ろ 、 自 民 党 は 来 年 度 予 算 の 編 成 作 業 を 急 ぐ ほ う が 、 国 民 の 支 持 を 回 復 さ せ る の に 役 立 ち 、 態 勢 を 立 て 直 す 時 間 も で き る 、 と 判 断 す る 。   一 一 月 の 世 論 調 査 で も 、 麻 生 首 相 の ﹁ 解 散 ・ 総 選 挙 先 送 り 、 景 気 対 策 優 先 ﹂ と い う 姿 勢 は 、 回 答 者 の 半 数 以 上 の 人 が 評 価 し て い る 。 民 主 党 支 持 層 で も 、 評 価 す る が 八 〇 % 近 く ま で 上 昇 し て い る 。 こ の よ う な 世 論 を 考 え れ ば 、 解 散 ・ 総 選 挙 を 先 送 り し て き た こ と も 支 持 さ れ る 。 で は 、 な ぜ 会 期 を 延 長 し て 第 二 次 補 正 予 算 案 を 審 議 し な い と い う 指 摘 が な さ れ る 。 ジ レ ン マ は 続  。   た だ 、 解 散 先 送 り 後 の 国 会 審 議 に ど の よ う に 臨 め る か 、 そ れ を い か に 乗 り 切 る の か 、 と い う 政 府 ・ 与 党 の 態 勢 が で き て い な い 。 そ れ は 定 額 給 付 金 を め ぐ る 混 乱 、 そ れ に 追 加 経 済 対 策 を 打 ち 出 し な が ら 、 そ の た め の 補 正 予 算 案 を 提 示 で き な い 事 情 に 見 ら れ る 。   で は 、 小 沢 民 主 党 は 選 挙 戦 略 で は 順 調 に 進 展 し て い る 、 と 言 え る の だ ろ う か 。 福 田 政 権 の 終 了 時 、 小 沢 代 表 は 、 解 散 ・ 総 選 挙 が 早 期 と 考 え 、 立 候 補 者 に 選 挙 準 備 を 急 が せ 、 自 ら も 全 国 を 飛 び 回 っ た 。 世 論 調 査 で は 解 散 ・ 総 選 挙 の 時 期 に つ い て 、 福 田 前 首 相 が 退 陣 表 明 し た 九 月 に は ﹁ 今 の 臨 時 国 会 で 解 散 す べ き ﹂ が 四 〇 % を 超 え て い た が 、 金 融 危 機 後 そ の 数 字 は 減 り 始 め 、 一 一 月 に は 二 〇 % を 下 回 っ た 。 民 主 党 支 持 層 で も 九 月 の 六 〇 % か ら 三 〇 % ま で に 減 っ ︵  ︶ 22 く

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