〈原著論文〉スポーツ選手の性格の二面性について
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(2) 近 畿 大 学 健 康 スポ ー ツ教 育 セ ン ター 紀 要2巻1号(2003・7). も う一 人 の 私 を 感 じる こ とが で き る 」 とい った よ 1.問. 題. うな 言 葉 に な る。 あ る競 技 者 は 、 普段 の 生 活 や 練 習 にお い て 、 口. 言 い 換 え れ ば 、 普 段 そ れ ほ ど意 識 す る こ との な. 数 も少 な く、 お とな し 目立 つ こ と もな い が 、 試 合. い 、 あ る い は 表 出 す る こ との な い対 極 的 な 自分 自. にな る と人 が違 っ た の で は な い か と思 う ほ ど、 自. 身 の 性 格 を 〈ス ポ ー ツを す る 〉 、 〈競 技 を す る 〉. 分 を 攻 撃 的 に表 現 す る 。 ま た 、 あ る競 技 者 の 日常. 中 で 明 確 に 意 識 で き る こ と で き る。 端 的 に 言 うな. の 言 動 は、 自分 勝 手 で お ち ゃ らけ が 多 く、 理 解 に. らば 、 ス ポ ー ツ に か か わ る こ とに よ っ て 、 〈 私 〉. 苦 しむ こ とも多 い が 、練 習 や 試 合 に な る と一 変 し、. が い わ ゆ る 「も う一 人 の 自分 と出会 う 」とい った. ル ー ル を 重 ん じ、他 者 に も遵 守 す る こ とを強 要 し、. こ とか も 知 れ な い 。 もち ろん こ こ で い う 「も う一. ま じめ に、 ま た、 真 剣 に取 り組 む 姿 勢 を み る こ と. 人 の 自分 」 とは 、 表 出 され る も う一 人 の 自分 の性. が で き る。. 格 を意 味 す る。. この こ とは 何 も ス ポー ツ を す る競 技者 に 限 る こ. そ して 「も う一 人 の 自分 」 と は、 普 段 、 意 識 す. とで もな く、 日常 の体 育 ・ス ポー ツ実 技 実 習 の 中. る こ との で き る 自分 に 対 して 対 極 的 な 性 格 だ と考. で も、 多 々 実 感 す る こ とが で き る。 そ こに は 、 普. え られ る 自分 で あ る 。 しか しな が ら、 興 味 深 い こ. 段 の 講 義 や 何 気 な い 言 葉 の や り取 りの 中 で は 、 感. と に、 ほ と ん どの ス ポ ー ツ 選 手 は 、 そ れ ぞ れ の場. じ、 見 る こ との な い 自分 を 赤 裸 々 に表 現 す る 学 生. 面 で の 自分 の性 格 の表 出 に 対 して,違 和 感 を もつ. の 姿 が あ り、 戸 惑 い な が ら も驚 愕 と安 堵 を も っ て. こ と は ほ とん どな い。 そ れ ぞ れ の 場 面 で そ れ ぞ れ. 見守 る こ とが で き る。. の 自分 を う ま く自分 自身 の 中 に 取 り込 み つ つ,「そ. これ らの 多 くの 言 動 は 、 普 段 の 言 動 とは対 極 的. れ も 自分 で あ る」 とい う感 覚 を もっ て い る。. を為 す も の で あ り、気 が か りに な り話 しか け る と、. こ の よ う に ス ポ ー ツ は,競 技 とい う世 界(場). 多 くの 受 講 生 は、 「ス ポ ー ツ を す る と 自 分 が で る. の 中 で 、 選 手 が もつ 性 格 の も うひ とつ の 側 面 を あ. ん で す 」 とか 、 「ス ポ ー ツ を して い る 自分 の 姿 が ほ ん と う の 自分 で す 」、 あ るい は 「先 生 は ほ ん と. らわ に 表 出 させ る 「場 」 で も あ る 。 そ して 、 も う 一 人 の 自分 の 性 格 を 明 確 に意 識 す る こ との で き る. う の私 を知 らな い 」 「ス ポー ツ を して い る とき も、. 「場 」 で も あ る と考 え られ る 。. してい な い とき も私 は 私 で す 」 な ど と語 りか け て. と ころ で ス ポ ー ツ選 手 に 関す る性 格 研 究 は 、「ス. くる。 一 方 、 私 た ち が交 わ す 日常 生 活 の 何 気 な い 会 話. 性 格 特 性 、 また ス ポ ー ツが 性 格 に与 え る 影 響 、 ス. の 中 に も、 「ゴル フ を 一 緒 に す る とそ の 人 が 性 格. ポー ツ種 目で の 性 格 特 性 の 相 違 、 ス ポ ー ツ 適 性 と. が1=よ. して の 性 格 特 性 な どが 論 議 され て き た。 つ ま り、. く分 か る」、 「あ の 人 は 、 車 を 運 転 す る と. ポー ツ マ ン的 性 格 」 に象 徴 され る ス ポ ー ツ 選 手 の. 人 が 変 わ る」、 「スキ ー の 滑 りに 、 本 来 の 性 格 が で. この よ うな 論 議 の 背 景 には 、 あ る人 の性 格 は 、 時. るね 」 等 な ど、 普 段 の接 触 だ け で は 分 か らな い そ. 間 の経 過 を と もな い な が ら、 状 況 や 場 面 の 変 化 を. の 人 の 性 格 や 人 と な りを ス ポ ー ツ 活 動 の 中 で 見 い. 経 て も 同 じ行 動 パ タ ー ン が 見 られ る も の で あ り、. だ す こ とが で き る。 も ち ろ ん この場 合 も、 日常 の. あ る人 の 内部 に あ る行 動 の 因 果 的 影 響 を与 え て い. 行 動 パ ター ンか ら は 、大 き く外 れ た 対 極 的 な 行 動. る実 体 で あ る と い う認 識 で あ る。 い わ ゆ る 、 「性. パ ター ンを 見 い だす こ とが 多 い。. 格 の 一 貫 性(consistencyofpersonality)」. この よ うな 何 気 は な い 日常 の言 動 、 ス ポ ー ツ 場. や 「 実. 在 素 朴 論 」 に基 づ く論 議 が あ る。. 面 で の 言 動 、 そ して 語 られ る 多 くの 言葉 を 要 約 す. しか し、 ス ポー ツ を す る こ とに よ って 「も う一. る と、 「ス ポ ー ツ の 中 で 自分 を だ す こ とが で き る. 人 の 自分 に 出会 う」 とい っ た 心 的 現 実 に関 して は. (で き な い)」、 「普 段 の 自分 と競 技 をや っ て い る 自. 語 られ る こ とが な か っ た。 つ ま り、 実 践 的 、 体 験. 分 は違 う」、 「競 技 の な か で は、 す ご く攻 撃 的 ・情. 的 な 視 点 か ら、 ス ポー ツ選 手 の 「性 格 」 を よ りダ. 熱 的 に な れ る」、 あ る い は 「ス ポ ー ツ して い る と. イ ナ ミ ッ ク に捉 え、 論 議 さ れ る こ とは ほ とん ど な. 一28一.
(3) ス ポー ツ 選 手 の 性 格 の 二 面 性 につ い て. 30%で. か った と言 え る。. あ り、 他 の ほ と ん ど の 学 生 は 同 好. 例 え ば 、 多 くの ス ポー ツ選 手 の性 格 特 性 に 関 す. 会 、 も し くは今 は や って い な い けれ ど、 中学. る 研 究 に お い て 、 外 向的 で あ る け れ ども 、 内 向 的. 校 、 高 等 学 校 で運 動 クラ ブ に所 属 し活 躍 して. で も あ る ス ポ ー ツ 選 手 とい う論 議 は 存 在 しな い 。. い た も の が 多 い。 た だ し、 中 学 、 高 等 学 校 、. 存 在 す る の は 、 あ くま で外 向的 な選 手 は 内 向 的 で. 大 学 にお い て 、運 動 クラ ブ 、 同 好 会 に属 して. は な い 、あ る い は 内 向 的 な 選 手 は 外 向 的 で はな い 、. な い 学 生4名. とい う論 理 の 展 開 で あ る。 しか し、現 実 に は 、 ス ポ ー ツ の 場 の 状 況 に よ っ て、 そ の顕 在 化 の あ り方. 2)丁SPSに. つ いて. ①TSPSは. 、 桑 原(1983)に. よ っ て 開 発 され た. を 見 る と、 外 向 的 で も 内 向的 で も あ る ス ポー ツ 選. も の で あ り、 『「人 格 の 二 面 性 」 を 「質 問 紙. 手 は存 在 す る 。 主 観 的 で は あ るが 、 ス ポー ツ選 手. 法 に よ って 測 定 可 能 な 一従 って 意 識 す る こ と. は対 極 的 な 性 格 を コ ン トロー ル しつ つ 、顕 在 化 し、. の で き る 一人 格 の側 面 」』 と定 義 し、客 観 的 、. ダ イ ナ ミ ッ クに 競 技 を し、 自分 を 確 か め な が ら生. 量 的 処 理 可 能 な質 問紙 と して い る。 この 質 問. き て い る と考 え られ る。. 紙 につ い て 河 合 隼 雄 は 「 従 来 の もの と は異 な. そ こで本 研 究 は 、 ス ポ ー ツ選 手 の 競 技 場 面 に お け る対 極 的 な性 格 の 表 出 を 「性 格 の 二 面 性 」 とい. 自覚 し得 る性 格 と競 技 場 面 で 顕 在 化 され る対 極 的 な性 格 を どの よ うに 感 じ、 意 識 して い る のか 、 あ. り、 各 人 は矛 盾 の共 存 を許 容 す る反 応 を す る こ と が 可 能 な の で あ る 」(桑 原 、1991a)と 述 べ て い る。. 蕪鰹 罐灘. っ た 視 座 か ら論 議 す る。 ス ポ ー ツ7手 が 、 普 段 、. ② 質 問 紙 は 、 単 極 の7段. とは、 行 動 に どの よ うな バ ラ ンス と ダイ ナ ミ ズ ム を 与 え、 コ ン トロ ー ル され 、 統 合 され る のか を討. つ い て言 及 す る こ とは 、 ス ポ ー ツ選 手 の 性 格 が 二. 式 形 定 測. 1 図. 面 的 で あ る と提 案 す る こ とで は な く、 普 段 、 見 過. 團. も ち ろ ん 、 「ス ポ ー ツ選 手 の 性 格 の 二 面 性 」 に. 團. 議 す る。. 階評 定 尺 度 を 対 に して. 組 み 合 わ せ た もの を 用 い て い る 。(図1). る い は この よ うな 「性 格 の 二 面 性 」 を 自覚 す る こ. β. は この集 計 か ら除 外 した。. ご し、 ま た、 あ え て意 識 す る こ との な い 「も う一 人 の 自分 」 を注 視 す る こ とに よ って ス ポ ー ツ選 手. ③ 項 目の 作 成 は 、 以 下 の 点 につ い て考 慮 さ れ て. の 性 格 の あ り方 を よ りダ イ ナ ミ ッ ク に捉 え よ う と. いる。. す る こ とが 目的 で あ る 。. (a)人. の性格 を形 容 す るの に適 当で あ る こ. と。 (b)ど it.方. 法. ち らの 語 も望 ま しい 意 味 を も つ 語 で 、. か つ 望 ま しさの 程 度 が ほ ぼ等 しい こ と。. 1。 調 査 方 法. (c)意 味 の 重 な りが な い こ と。. 調 査 は 、r性 格 の 二 面 性 」 を 測 定 す る た め に 開. (d)対 に した 語 は 対 立 概 念 と して妥 当 で あ る こ と。. 発 さ れ た 桑 原(1983)のTSPS(Two-Sided PersonalityScale)と. スポー ツ選手 の性格 に関す. るア ンケ ー ト調 査 を行 っ た 。 1)対. と ころ で 、TSPSは. 象. 、30項. しい 意 味 を も つ 語(Positive語. 目す べ て が望 ま 、 以 下P語. と略). ①R大 学 ス ポー ツ サ イ エ ンス コー ス 、 ス ポ ー ツ. で構 成 さ れ て お り、 そ の 後 、 性 格 の片 面 しか取 り. 心 理 学 、 受 講 生(以 下 ス ポ ー ツ 選 手 と略)。. だせ な い 、 あ る い は 自己 を 望 ま し くみ せ よ う とす. ② 体 育 会 系 の ク ラ ブ に 入 って い る もの が お よそ. る構 え が 混 入 す る お そ れ が あ る と考 え られ 、望 ま. 一29一.
(4) 近 畿 大 学 健 康 ス ポー ツ教 育 セ ンタ ー 紀 要2巻1号(2003・7). し く な い 意 味 を も つ 語(Negative語. 、 以 下N語. と略)を. 追 加 し 、 詳 細 な 検 討 が 加 え ら れ 、TSP. S-IIと. し て 開 発 さ れ て い る(桑. ま た 、 桑 原(1986)は. 川.結 果 と若 干 の考 察 1。 二 面 性 テ ス ト(TSPS)に. 原1986)。. 、 個 人 の パ ー ソナ リテ ィ. 特 徴 を以 下 の心 理 テ ス トとの 比 較 検 討 を 行 い 、 ス コ ア別 に検 討 を お こな って い る。. 結 果 の 集 計 は、 以 下 の要 領 で お こな っ た 。 1)TSPSの. スコア リング. TSPSの. ス コ ア は、. ① 矢 田 部 一 ギ ル フ ォ ー ド性 格 検 査. ① 和 の ス コ ア(以 下S+). OOMMPI. ② 差 の ス コア(以 下S-) (a)差 の 計 算 は対 ご と にマ イ ナ ス に な らな い. ③CAS…. …不安尺度. ●MAT・. ・ ・ …(MeasurementofAmbiguity. Tolerance)あ. よ うに 大 きい 方 か ら小 さ い方 を 引 く。 (b)共. い まい さに 対す る耐 性 を測 定. (c)共. 使用 度 … …(TheCaliforniapsychological. inventory)の 尺 度15項 ⑥WJ…. 中 の 、flexibilityを. 存 性 項 目は 以 下 の 通 りで あ る。 ・実 際 的:理 論 的 ・自立 的:協 調 的. 測定 す る. ・茶 目 っ気 の あ る:大 人 っ ぽ い. 目. …rigidity‐flexibilityを. ・執 着 す る:臨 機 応 変 の. 測 定 す る も. ・話 し上 手:聞. の. (d)S+とS一. 尚 、 他 に も 、 内 山(1985)が. き上 手. の 組 み 合 わ せ に よ り、A,. B、C、Dの4タ. ⑦ 同 一i生次 元 尺 度. イ プ に 分 類 さ れ る(表. 1参 照)。 た だ し、Aタ. ⑧ 独断主義尺度. が 見 られ る人 を<a>と. との 比 較 分 析 、 若 林(1981、1986)は. 、 自 ら作 成 した 気 質 尺 度. 向 が あ る人 を<aa>と. との 比 較 を 行 って い る。 本 研 究 で は 、"P"の. イ プは、 その傾 向 し、 や や そ の 傾 した 。 他 の タイ プ. も 同様 に処 理 を した。. ⑨VPI(VERAC-PersonalityInventory). 手 の. 存 性 項 目(一 人 の性 格 に共 存 しや す い. 対)は 差 の 計 算 に取 り入 れ な い。. す る も の で あ り 、 小 林(1980)のMAT-50を. ⑤CPI・Fx尺. よ る ア プ ロー チ. す な わ ち、A(a+aa)タ タ イ プ 、C(c+cc)タ. 方が、容 易 にスポー ツ選. イ プ 、B(b+bb). イ プ 、D(d+dd)タ. イ. プ と類 型 化 した。. 「二 面 性 」 を 抽 出 す る こ と が で き る と 考 え 、. ま た 、 ス ポー ツ 選 手 の 心 理 的 混 乱 を 最 小 限 に避 け. 尚、Aタ. る こ と が で き る と考 え た た め に 、 公 表 さ れ て い る. Cタ イ プ 、Dタ イ プ は二 面 性 が 低 い 傾 向 が. TSPSを. あ る。. 3)対. 用 い た 。 項 目 は30項. 目あ る。. イ プ 、Bタ イ プ は二 面 性 が 高 く、. 象人数 表1.TSPSの. TSPS:85名. s+ s_. ア ン ケ ー ト調 査:91名 TSPSと. ア ン ケ ー ト調 査 の 人 数 が 違 う の. は 、 一 週 問 ず ら し て 実 施 し た た め で あ り、T SPSの. 実 施 者85名. 0∼36 (37^-42). X43^-48). は 、 す べ て ア ンケ ー ト. 49^-150. タ イプわ け. 0^-194 (195^-204) A a-f-as D d十dd. (205^-213) 214^-360 B b十bb C c-1-cc. 調 査 を 実 施 した ス ポー ツ選 手 で あ る。 4)実. 施 時 期:平. 成11年11月. そ れ ぞ れ の タ イ プ に つ い て 桑 原(1998)は の よ うに述 べ て い る 。 ・A(a+aa)タ. イ プ. a/8+10∼19昭&S_[0∼36J 一30一. 、次.
(5) ス ポ ー ツ選 手 の性 格 の 二 面 性 に つ い て. aa/8+(195∼2041&S_β7∼42] やや. 「二 面 的 」 な 性 格 。 し か し、 決 し て 分 裂 症. だ とか 二 重 駐格 だ と い う こ と で は な い 。む し ろ 「 バ ラ ン ス の と れ た 」 性 格 と い え る 。 時 に は 「あ い ま い な 」性 格 と 見 ら れ る こ と も あ る 。「 私 は こ う だ!」 と 自 分 を 主 張 し な い 「や さ し さ 」 と 、 主 張 で き な い 「弱 さ 」の 両 方 が あ る と い え る 。 ・B(b+bb)タ. イプ. Z)ノ8+∠2」14∼36ρ1&5_み. ク∼36ヲ. bb∫S+∠205∼213J&S_∠37∼42] 典 型的 な. 「二 面 的 」 タ イ プ 。 「二 面 性 」 を 有 す. る こ と は 、 む し ろ 矛 盾 を 許 容 で き る だ け の 「ゆ 図2-1.TSPSタ. イプ別. と り 」を も っ た 人 とい え る。 常 識 的 な も の の捉 え 方 に と らわ れ ず 、 自由 に 人 や もの を見 る事 が で き. が 認 め られ た。A、Bタ. る。 活 動 的 だ が ひ と りに な る と深 くも の を考 え る. と高 い 比 率 で 出 現 して お り、5人. とか 、 思 い 切 っ た こ と を す る わ り に ど こ か 冷 静 と. が 自分 の 性 格 に 対 し て、 「性 格 の 二 面 性 」 を有 し. い っ た、 矛 盾 す る 二 つ の 特 性 を 持 ち なが ら そ の 間. て い るあ るい は 認 知 して い る こ とが理 解 で き る。. の うち4人 以 上. この こ とが 、 ス ポ ー ツ選 手 は二 重 人 格 で あ る と. でバ ラ ン ス を と って い る タイ プで あ る。 ・C(c+cc)タ. イ プ を合 計 す る と82.9%. イプ. か 、 人 格 が 分 裂 して い る とい っ た こ とを示 唆 す る. c:S+み0∼194&S_149∼15の. も の で は な い。 桑 原(1986a)が. cc!S+[195∼204J&S_∠:43∼481. 得 点 群 の 特 徴 に つ い て、 「こ の 群 は矛 盾 す る特 性. や や こ しい場 面 や不 慣 れ な 場 面 に 出会 っ て も 自. を 共 在 さ せ て い るか ら とい っ て不 安 定 で も、 同 一. 分 のペ ー ス を崩 す こ とな く慎 重 に対 応 してい け る. 性 に 混 乱 を き た して い るわ け で は な く、 む し ろ安. 人 で あ る 。 や た ら 落 ち 込 ん だ り深 く物 事 を 考 え す. 定 して お り、 さ ら に、 思 考 や 感 性 に お い て 柔 軟 さ. ぎ て しま う こ と もな い 。. も よ う して い る よ う で あ る 」 と指 摘 す る よ う に、. ・D(d+dd)タ. む しろ この 高 得 点 群 の 高 い 出現 率 は 、 ス ポ ー ツ 選. イプ. 、 こ の よ うな 高. d!8+X214∼36ρ1&5〒_∠49∼15ρ1. 手 の 性 格 特 性 の あ り方 を 特 徴 づ け る も の で あ り、. dd's+∠205∼213J&S_[434(響. 意 義 深 い 対 極 的 な 性 格 の 共 在 を示 唆 す る もの で あ. 自 分 の 性 格 を 「こ う だ1」. と言 い 切 れ る よ うな. 強 さ を も っ て い る。 自分 自 身 へ の 肯 定 度 も高 く、. 、TSPSの. [B]、[C]、[D]別. アイ デ ン テ ィ テ ィ との 関. れ ば 一 面 的 で あ り、 低 け れ ば 二 面 的 で あ る 、 とい. タ イ プ 別 比 率 を[A]、 に示 し た も の で あ る。 典 型. 的 な 二 面 的 な 性 格 が 想 定 さ れ るBタ. ま た 、 内 山(1985)が. 連 に お い て 「ア イ デ ンテ ィテ ィ の ま とま りが 高 け. そ の こ と が 「活 動 性 」の 原 動 力 に な っ て い る 。 図2-1は. る。. っ た 相 関 関 係 は必 ず し も な い 」 と述 べ る よ う に、 「二 面 性 」 を 感 じ る こ と、 意 識 す る こ とが 、 自己. イ プ が38.8%. で も っ とも高 い比 率 を示 し、 次 に や や 二 面 的 性 格. の ア イ デ ンテ ィテ ィを 脅 か す も の で は な い と思 わ. が 想 定 さ れ るAタ. れる。. イ プ が34,1%で. あ っ た。 自分 の. 性 格 を よ く把 握 し て い る と い うDタ. は12.9%で. い わ ゆ る 、 ス ポ ー ツ 選 手 の 性 格 を一 面 的 に捉 え. イ フ゜ は14.1%. で あ り、 慎 重 で 自分 の ペ ー ス を 崩 さ な いCタ. イ プ. あ っ た 。 こ の 結 果 、ス ポ ー ツ 選 手 に は 、. 二 面 性 が 顕 著 に 認 め ら れ るBタ 面 性 が う か が え るAタ. イ プ、 比 較 的 二. イ プの 出現率 が高 い こと 一31一. る こ とよ り も、 二 面 的 とい う性 格 が、 人 と して の 活 動 に 、 よ り柔 軟 的 で 積 極 的 な 安 定 した こ ころ の ダ イ ナ ミズ ム を 与 え て い る こ とが 考 え られ る。 ま た 、 今 回 使 用 し たTSPSは. 、 桑 原(1986a).
(6) 近 畿 大 学 健 康 ス ポー ツ 教 育 セ ン ター 紀 要2巻1号(2003・7). 問 項 目 に加 え た も の で あ る 。 対 象 者 は 、R大 学 ス ポ ー ツサ イ エ ン ス コ ー ス 、 ス ポ ー ツ心 理 学 受 講 生 91名. で あ る。. 1)設 問:「あ な た は普 段 の生 活 の 中 で 自分(性 格) が ス ポ ー ツす る こ とで 変 わ る と思 い ます か 」. こ の 設 問 に 対 し て 「思 う 」 と 回 答 し た ス ポ ー ツ 選 手 は 、68人(74.7%)で. あ り、 「思 わ な い 」 と 回. 答 し た ス ポ ー ツ 選 手 は10人(11.0%)で 70%以. あった。. 上 の ス ポ ー ツ選 手 が ス ポ ー ツ を す る こ と に. よ って 普 段 の 自分 と ス ポー ツ 活動 の 中 で の 自分 に. 図2-2.TSPSタ が 「"かくれ た 自分"と. イプ別. 対 す る 意 識 の 変 化 、相 違 を 認 め て い る 。(図3-1). で もい うべ き性 格 を 表 出. し うる。"かくれ た 自分"は 多 く無 意 識 的 で あ るが 、 TSPSが. す べ て望 ま しい 意 味 を も つ 語 に よ っ て構. 成 され て い る た め に表 出 が 容 易 に な っ た とも考 え られ る」 と述 べ る よ うに、 望 ま しい意 味 を もつ 語 に よ っ て構 成 さ れ て い た た め に 意 識 して い な い 自分 が 比 較 的表 出 さ れ や す か った と考 え られ る。 そ し て 、 多 くの スポ ー ツ選 手 が 、 「こ のテ ス トは 、尺 度 が 対 にな っ て い る た め に 、 自分 の 二 面 性 に注 目 し や す く、 自分 の 中 に あ る 性 格 の 分 か らな い 部 分 も な ん とな くだ し易 い」と述 べ て い る こと も興 味 深い 。 と こ ろ で、 対 語 の も う一 つ の 利 点 は 、 質 問 の 言 葉 自体 に理 解 を助 け る とい う こ とで あ る。 桑 原 も 「対 に す る こ と は 、 あ る項 目の 意 味 を 対 語 に よ っ て 逆 規 定 させ る とい う側 面 も もっ て い る」 と述 べ. 図3-1.ス. ポ ー ツ す る こ と に よ って 性 格 は変 わ る か. ま た 、 「思 う」 と回答 した ス ポ ー ツ 選 手68人. に対. て い るが 、 ス ポー ツ選 手 に す れ ぼ 難 しい 言 葉 、 分. して 、競 技 ス ポ ー ツを 行 う と き に顕 著 に表 出 さ れ. か りに くい 言 葉 を対 語 に よ っ て そ の 言 葉 の 意 味 を. る い くつ か の性 格 特 性 に 関 し て設 問 を した。 設 定. 探 れ る、 想 像 で き る とい う こ とが しば しば 見 受 け. した性 格 特 性 は 、 ① 積 極 性 ② 協 調 性 ③ 大 胆 さ④ 決. られ た こ と で あ る。. 断 力 ⑤ リー ダ ー シ ップ ⑥ 責 任 感 ⑦ 冷 静 さ⑧ 統 率 力 ⑨ そ の他 で あ る 。. 2.ス. ポ ー ツ選 手 の 性 格 の二 面性 に 関 す る ア ンケ ー ト調 査. この 調 査 は、 ス ポー ツ選 手 の 意 識 を 調 査 す る 目. そ れ ぞ れ の特 性 に 関 して 、 『あ て は ま る』(よ くあ て は ま る+少 す べ て60%以. しあ て は ま る)と. 回答 し た比 率 は 、. 上 で あ った 。具 体 的 な 出 現 比 率 は 、. の 性 格 の 二 面 性 に 関す る項 目を抜 粋 し、 検 討 比 較. 「積 極 性 」(95.6%)が 最 も高 く、 ほ と ん どの ス ポ ー ツ選 手 が ス ポ ー ツ 活 動 の 中 で 積 極 的 な 自分 、性. す る。 各 項 目 は、 ス ポー ツ を して い る 時 と普 段 の. 格 を 明 確 に意 識 して い る と思 わ れ た。 次 に 「 決断. 生 活 で の 性 格 の 違 い は あ る の か無 い の か な どに つ. 力 」(85.3%)、 「協 調 性 」(85.3%)が80%以. い て 、 実 際 に どの よ うな意 識 を も っ て い る か を 質. で あ り、 「大 胆 さ 」(79.4%)、 「責 任 感 」(69.1%)、. 的 で 実 施 され た も の で あ り、今 回 は ス ポ ー ツ 選 手. 一32一. 上.
(7) ス ポ ー ツ選 手 の 性 格 の 二 面 性 につ い て. 「冷 静 さ」(69.1%)、 「統 率 力 」(64.7%)、 「リー ダ ー シ ッ プ」(63 .2%)で あ っ た。(図3-2) 同時 に 求 め た 自 由記 述 で も 、 「ス ポ ー ツ を す る. こ の 設 問 に 対 して 、も っ と も高 率 で あ っ た の が 、 「無 意 識 的 で あ る 」 と 回 答 し た44人(48.4%) で あ っ た。 次 に. 「分 か ら な い 」 と 回 答 し た18人. と普 段 の 自分 よ り生 き生 き とす る」、 「攻 撃 的 に な. (19.8%)、. れ る」 「積 極 的 に 自分 を だ す こ とが で き る」 とい. (18.7%)で. っ た 記 述 が 見 られ た。. 答 し た ス ポ ー ツ 選 手 は11人(12.1%)で. この こ とか ら、 普 段 と は違 う 自分 、 あ る い は 性 格 の変 化 を 、 ス ポ ー ツ場 面 で少 な か らず 多 くの ス. 「分 か れ て い な い 」 と 回 答 し た17人 あ っ た 。r意 識 的 に 分 け て い る 」 と 回 あ っ た。. (図4) 「無 意 識 的 で あ る 」 と い う 言 葉 は た い へ ん 幅 広. ポー ツ選 手 が そ の 変 化 を 意 識 して い る とい う こ と. く捉 え られ る が 、50%近. は た い へ ん 興 味 深 い 。 こ の こ とが 、 ス ポ ー ツ 選 手. 意 識 的 」 と 回 答 し て い る こ と は 興 味 深 く、 戸 惑 い. の性 格 の 二 面 性 を 顕 著 に現 して い る とい う こ とで. も な く も う一 人 の 自分 が 素 直 に 表 出 さ れ た と考 え. は な く、違 った 自分 を 意 識 して い る 、 あ る い は 意. られ る。. くの ス ポ ー ツ 選 手 が 「 無. 識 で き る とい う こ とで あ り、 ス ポー ツ活 動 、競 技 の状 況 、場 面 が 普 段 の 自分 と は違 う自分 自身 を 肯 定 的 、積 極 的 に 受 け 入 れ 、 顕 現 化 し得 る環 境 で も あ る とい う こ と も示 唆 され た。 また、競技 スポー ツ活動 の中 で顕著 に表 出 さ れ る と思 わ れ る 性 格 特 性 を か な り高 い比 率 で認 め て い る こ とは 、 ス ポ ー ツ選 手 の 性 格 の二 面 性 を論 議 す る上 で か な り興 味 深 い 示 唆 を 与 え る も の で あ る。 2)設. 問2:「. あ な た は ス ポ ー ツを して い る時 と. 普 段 の生 活 の 自分(性. 格)と 意 識 的 に分 け てい ま. す か 。 それ とも無 意 識 の うち に 行 って い ます か」. 図3-2.. 図4.性. 格 を意 識 的 に分 け て い る か. スポ ー ツ す る こ とで感 じられ る心理 的特 性 一33一.
(8) 近 畿大 学健 康 ス ポ ー ツ 教 育 セ ン ター 紀 要2巻1号(2003・7). 3)設. 問3:「. (性 格)と. あ な た は ス ポ ー ツ を して い る 自分. 普 段 の 生 活 の 中 で の 自分(性. 格)は. 、. どち らが ほ ん と うの 自分(性 格)だ と思 い ま す か 」. こ の 設 問 に 対 し て は 、50人(54.9%)が ち ら も一 緒 」と 回答 して い る。 次 に. 「分 か ら な い 」 と 回 答 し た ス ポ ー ツ 選 手 が27人 (29.7%)で. あ っ た 。 ま た 、 「な い 」 と 回 答 し た ス. ポ ー ツ 選 手 も12人(13.2%)で. あ っ た 。(図6). 「ど 「普 段 の 生 活. の 中 の 自 分 が ほ ん と う の 自分 」 と 回 答 し て い る ス ポ ー ツ 選 手 が15人(16.5%)、. 「ス ポ ー ツ し て い る. 時 の 自 分 が ほ ん と う の 自分 」 と 回 答 し た ス ポ ー ツ 選 手 が14人(15.4%)で. あ っ た 。(図5). 図6.ま. 5)設. だ、 自分 の 中 に気 づ か な い 性 格 が あ る か. 問5:「"あ. る"と 回 答 した 人 に お たず ね し. ます 。 あ な た は ス ポ ー ツ を す る こ とに よ っ て あ な た 自身 や 周 りの人 が気 づ い て い な い 性 格 を 見 る こ とが で き ます か 」 どち りも 54.9% 図5.ほ. んとうの自分を感 じるの はどちらか. この 設 問 は、 気 づ い て い な い 性 格 が. 「ど ち ら も 一 緒 」 で あ る と い う 認 識 を し て い る. 回 答 し た50人. 「あ る 」 と. の ス ポ ー ツ選 手 に対 し て、 求 め た. ス ポー ツ選 手 が も っ と も高 い 比 率 を 示 した こ とは. も の で あ る 。50人. 中 、28人(54.9%)の. ス ポー ツ. 自 己 に 矛 盾 を 感 じ る こ と が な く、 二 面 的 な 自分 を. 選 手 が 「一 部 だ け 見 え て く る 」 と 回 答 し 、12人. 率 直 に受 け容 れ て い る と考 え られ る。. (23.5%)の. ま た 、 「ど ち ら も 一 緒 」、 「普 段 の 生 活 」、 「ス ポ ー ツ し て い る と き 」 と 回 答 し た79人 中65人. し て い る(図7)。. (82.3%)が. 【設 問1】. の. 「ス ポ ー ツ す る こ と に. よ っ て 性 格 は 変 わ る か 」 と い う 質 問 に 対 し て 「思 う 」と 回答 して い る 。 こ の こ とは 、 ス ポ ー ツ が 多 くの 選 手 に 対 して 、 何 らか の こ こ ろ の ダ イ ナ ミズ ム を 生 じ させ て い る こ とを 示 唆 す る も の で あ る 。. 4)設. 問4:「. あ な た 自身 は 、 ま だ気 づ い て い な. い 性 格 が 自分 の 中 に あ る と考 え ま す か 」. こ の 設 問 に つ い て 、 気 づ い て い な い 性 格 が 「あ る 」 と 回 答 し た ス ポ ー ツ 選 手 が50人(54.9%)、 一34一. ス ポ ー ツ 選 手 が 「見 え て く る 」 と 回 答. 分 からない 見えない2.0%.
(9) ス ポ ー ツ 選 手 の 性 格 の二 面 性 につ い て. こ の こ とか ら、 ス ポー ツを す る こ と に よ っ て 、. す る性 格 特 性 の 共 在 を 認 め る こ とが で き る。 そ し. 多 くの ス ポ ー ツ選 手 は 自分 が気 づ か な い性 格 、 も. て も っ とも 興 味 深 い こ とは 、 この 二 つ の調 査 に ょ. し くは 自分 自身 につ い て、 普 段 あ ま り意 識 す る こ. っ て 、 ス ポ ー ツ 選 手 の 性 格 の 二 面 性 は、 対 極 的 で. との で き な い 「も う一 人 の 自分 」 を気 づ き さ せ て. あ りな が らも 、 そ こに は 連 続 性 が あ り、 対 極 的 な. くれ る こ とが 示 唆 され る。. 性 格 の表 出 に つ い て も、何 ら不 安 を もつ こ とな く、 「そ れ も 自分 で あ る」 とい う認 識 を も っ て い る こ. V.論. 議. と で あ る。 この こ とは 、 「も う一 人 の 自分 」 を 自. 1)対. 極 的な性格特性の連続性. 然 な形 で受 け容 れ て い る こ とで もあ り、 視 点 を変. ス ポ ー ツ 選 手 の 「性 格 の 二 面 性 」 に ふ れ る こ とは 、 精 神 病 理 学 的 に述 べ られ る 「 二 重 人格 」 や 「二 重 身 」 につ い て 論 議 す る こ と で は な い 。 桑 原 (1986a)が. 性 格 の 二 面 性 を 「性 格 内 に 存 在 す る. えれ ば 、 あ る程 度 コ ン トロー ル され た統 合 性 あ る 性 格 を うか が う こ とが で き る 。 つ ま り、前 述 した 内 山(1985)が. アイ デ ン テ ィ. テ ィ との 関連 に お い て 「ア イ デ ンテ ィテ ィ の ま と. 対 極 的 な側 面 」 と呼 ん で い る よ うに 、 そ れ は あ く. ま りが 高 けれ ば一 面 的 で あ り、 低 け れ ば 二 面 的 で. ま で私 た ち の 性 格 が もつ 対 極 的 な側 面 で あ り、 そ. あ る、 とい っ た相 関 関係 は 必 ず し もな い 」 と指 摘. れ は 互 い に 分 離 さ れ た もの で は な く、 常 に連 続 性. し た よ う に 、 「二 面 性 」 を 感 じる こ と、 意 識 す る. を も ちつ つ 、 ま た 、 同 時 に存 在 す る こ とを 明確 に. こ とが 、 自 己 の ア イ デ ン テ ィテ ィを 脅 か す もの で. 意 識 す る こ とが で き るの で あ る。 一 方 、精 神 病 理 学 で論 議 さ れ る 「二 重 人 格 」 は 、. イ デ ンテ ィテ ィ形 成 に大 き な 役 割 を 果 た す こ とが. 二 つ の人 格 の 間 に 連 続 性 が な く、 そ の時 々 に表 出. 示 唆 され る。. はな く、 多 様 な 自分 を受 け 容 れ る こ と も 自己 の ア. さ れ る 言 葉 や 行 動 は 、 同 時 に 存 在 す る こ とな く、 2)私. 極 め て分 離 的 で か つ 一 面 的 で あ る。. の 中 の 「一 の多 」. 本 研 究 に よ っ て、 ス ポ ー ツ 選 手 の 多 くが 、 ス. と こ ろ で 、 「私 」 を ひ とつ の 性 格 に 規 定 す る に. ポ ー ツ場 面 で の 「も う一 人 の 自分 」 を 十 二 分 に意. は 、 あ ま りに も複 雑 で あ る。 そ して 、 多 様 な 存 在. 識 して い る こ とが 確 認 さ れ た 。 桑 原 の 開 発 したT. で もあ る。 ス ポ ー ツ選 手 に 「自分 の 性 格 を 書 きだ. SPSに. して 下 さい 」 とい う課 題 を与 え る とく 個 性 を 生 か. お い て は 、 ス ポ ー ツ 選 手 に は、 二 面 性 が. 顕 著 に認 め られ るBタ. イ プ、比較 的二 面性 が う. す。 協 調 的 。 用 心 深 い 。 頑 固。 自分 の 役 割 は 熱 心. か が え るAタ イ プ の 出 現 率 が 高 い こ とが 認 め られ. に 果 た す 。 落 ち 着 い た場 、 音 楽 を 好 む 。 み ん な が. た 。A、Bタ. 嫌 が る こ とが 好 き。 柔 軟 的 。 社 交 的 な 場 で 人 に な. イ プ を 合 計 す る と82.9%と. た いへ. ん 高 い 比 率 で 出現 して お り、5人 の うち4人 以 上. じめ な い 。場 に な じめ な い 。マ イ ナ ス 思 考 が あ る。. が 自分 の 性 格 に対 して 、 「性 格 の 二 面 性 」 を有 し、. 恥 ず か しが り屋 。 鈍 感 。 怒 るの が下 手 …. 認 知 して い る こ とが理 解 で き る 。. さ ま ざ ま性 格 特 性 を 書 く。 そ して、 そ の ス ポ ー ツ. ま た 、 ア ン ケ ー ト調 査 に お い て 、 「あ な た は 普. 〉と. 選 手 を よ く知 る 友 達 は く に ぎや か 。 社 交 的。 や る. スポーツする こと. こ とはや る。 気 遣 い を して くれ る。 細 か い。 しっ. で 変 わ る と思 い ます か」 とい う設 問 に 対 して 「思. か り して い る。 人 を 信 用 しや す い 。 怒 りを 出 せ な. う 」と 回 答 し た ス ポ ー ツ選 手 は 、74.7%で. い 。優 柔 不 断 。理 解 で き な い と ころ もあ る 等 々 …. 段 の 生 活 の 中で 自分(性 格)が. あ り、. 70%以 上 の ス ポ ー ツ選 手 が ス ポ ー ツ を す る こ とに. 〉 と書 き添 え る。 さ ら に、 「どん な と き に そ の性. よ って 普 段 の 自分 と ス ポー ツ 活動 の 中 で の 自分 に. 格 を 強 く意 識 す る の か 」とい う問 い を加 え る と「家. 対 す る 意 識 の 変 化 、 相 違 を認 め て い る こ とは 興 味. 族 とい る とき 、友 達 と何 か を す る と き、 勉 強 を し. 深 い もの が あ る。. て い る とき、 ス ポー ツ を して い る と き …. 」と. この よ うに 二 つ の 調 査 か ら 、 多 くの ス ポ ー ツ 選. そ の 時 々 の状 況 の 中 で の 自分 を イ メー ジす る こ と. 手 の性 格 の 二 面 性 を 見 て取 れ る こ とが で き 、矛 盾. が で き る。 性 格 は 自 らの 中 に 、 そ の 状 況 の 中 で顕. 一35一.
(10) 近 畿 大 学 健 康 ス ポー ツ教 育 セ ン ター 紀 要2巻1号(2003・7). 現 化 す る。 私 た ち は 、 さ ま ざ ま な 自分 、 あ る い は. 一 貫 性 を もつ も のか とい っ た 視 点 か ら、 そ う した. 相 反 す る二 つ の 自分 が 共 存 して い る こ とを認 め つ. 仮 定 が 厳 し く批 判 され る よ うに な った の も事 実 で. つ 、 互 い が 自分 の 性 格 につ い て 語 りな が ら 、揺 れ. あ る(渡 邉 ・佐 藤 、1994a、1994b)。. 動 く。. 性 格 の 一 貫 性 に つ い て の 論 議 は、 ミ ッ シ ェ ル. テ ィ レル(Tyrrell,1947)は. 「人 格 と は 、 ほ. とん ど言 詮 を絶 す る"一 の 中 の 多"で. あ る」 と述. べ る。(桑 原 、1991a). (Mischel,1968)の"Personalityand assessment"が. 公 判 さ れ て 以 来 、20年. 間 にわ. しか し、 そ の こ と 自体 、 自分 自身 の こ こ ろや 身. た っ て 展 開 され た 。 ミ ッ シ ェル は 、客 観 的 デ ー タ ー を も とに 通 状 況 的 一 貫 性 の存 在 を疑 問 視 し、 性. 体 を 揺 れ 動 か す も の の 、 「異 な も の」 「分 か れ て い. 格 は 内 的 実 体 で は な く状 況 に依 存 し、 個 々 の 行. る もの 」 と して受 け取 る の で は な く、 妙 にそ の こ. 動 は 環 境 の 影 響 を 受 け る と主 張 した。 ミ ッシ ェル. と 自体 を 受 け入 れ て い る 「 私 」の存 在 を 見 つ め る 。. の 状 況 論 へ の 批 判 は 、 「一 貫 性 論 争 」(cosistency. そ して この よ うに 自覚 す る こ との で き る 「私 」は 、. controversy)「. そ の 揺 れ の な か で 、"一 の 中 の 多"あ. situationcotroversy)と. るい は 対 極. す る 性 格 の 二 面 性 を受 け容 れ る。. 人 問 一 状 況 論 争 」(person 呼 ば れ る論 議 を 引 き起 こ. した(堀 毛1989,1996;Krahe、1992)。. この 論 争. 二 人 は 語 り合 う。 二 人 の語 り中 に 「私 は い っ た. が き っ か け で 、 性 格 研 究 は 新 た な ア プ ロー チ が導. い ど こか ら来 て どこへ い くの だ ろ う」 と素 朴 な 疑. 入 され 、性 格 研 究 に 活 力 を もた ら した こ とも認 め. 問 が 舞 い 降 りた か の よ うに 、 こ ころ は 揺 れ る 。. ざ る を得 な い。 そ して 、 古 くて 新 しい 相 互 作 用 論. この よ うに 「私 」を見 つ め る とき 、意 識 す る 「私 」 は 一 つ で な い こ とを 了解 す る。 ま た 、 「私 の性 格 」. (interactionism)が. 注 目され る よ うにな った の. で あ る。 相 互 作 用 論 は 、 エ ン ドラー とマ グ ヌセ ン. を 思 い 浮 か べ る と き、 そ の時 々 の置 か れ た 状 況 の. (Endler&Magnusson,1976a,1976b)に. 中 で の 「私 」 を イ メー ジ し、 そ れ ぞ れ の性 格 を 受. 唱 され 、 人 間行 動 に つ い て 内 的 要 因 と外 的 要 因 の. よ って提. け容 れ る もの と考 え られ る。. 複 合 的 な影 響 を重 視 す る 立 場 で あ り、 以 下 、4点 の 特 質 を 述 べ て い る。. 3)性. 格 の一 貫 性 論 争. ① 現 実 の行 動 が個 人 と個 人 の 出 会 う状 況 との 関. もち ろん、 この よ うな論 議の 展 開は、性 格 の 一 貫 性(consistencyofpersonality)と い う動 か しが た い 前 提 と矛 盾 す る こ と に な る。 こ こ で 言 う 「性 格 の 一貫 性 」 は 、経 時 的安 定 性(temporal. 連 で 多 次 元 的 な相 互 作 用 と関 数 関 係 に あ る。 ② 個 人 は この 相 互 作 用 過 程 に お け る 意 図 的 で 能 動 的 な エ ー ジ ェ ン トとみ な さ れ る 。 ③ 相 互 作 用 を 個 人 の側 か らみ れ ば 、 感 情 的 な 要. stability)に 基 づ く行 動 パ ター ン の 状 況 を 越 え た. 因 も重 要 だ が 、 行 動 の主 た る 決定 因 は 認 知 的. 通 状 況 的 一 貫 性(cross-situationalconsistency). な 要 因 で あ る。. の こ とで あ る。 この性 格 の 一 貫 性 は 、 行 動 の 原 因. ④ 相 互 作 用 を 状 況 の側 か ら みれ ば 、 状 況 が 個 人. 論 的 説 明 や 予 測 に 用 い る 「素 朴 実 在 論 」 と結 び つ. に と って 、 も って い る心 理 学 的 な意 味 が 重 要. く。. である。. 私 た ち は 、他 者 や 自分 の 行 動 パ ター ン に通 状 況. この よ うに 、 一 貫 性 論 争 は、 性 格 関連 行 動 の 通. 的 一 貫 性 を 認 知 して い る 。 つ ま り、 あ る人 の 性 格. 状 況 的 一 貫性 が 少 な か らず 否 定 され る こ とに な っ. を 把 握 す る こ とが で き れ ば 、 性 格 関 連 行 動 を 原 因. た。 渡 邉(1998)は. 論 的 に理 解 す る こ とが で き 、 さ ま ざ まな 状 況 にお. 相 互 作 用 の結 果 と して 生 じ た経 時 的 安 定 性 を も つ. け るそ の人 の行 動 を予 測 す る こ とが 可 能 で あ る と. 行 動 パ ター ンに つ け られ た ラベ ル で あ り、行 動 に. 考 え る。 しか しな が ら、 行動 に 現 れ る 性 格 が 状 況. 因果 的 に先 行 す る 実 体 で は な い 」と述 べ 、ま た 「 性. に 依 存 した経 時 的 安 定 性 だ け を も つ もの か 、 状 況. 格 関連 行 動 の 一 貫 性 は 状 況 の 関 数 で あ り、通 状 況. で は な く、 そ の 人 の 内 的 要 因 に 依 存 した 通 状 況 的. 的 一 貫 性 は実 在 しな い 」 と結 論 づ け、 客 観 的 な性. 一36一. 、 「性 格 とは 生 体 と状 況 と の.
(11) スポー ツ選手 の性格 の二面性について. 格 研 究 は性 格 を 生 み だ す 生 体e状 況 相 互 作 用 の解. 態 度 を 想 定 し、 こ こ ろ は対 極 的 な もの に支 え られ. 明 を 主 な テー マ と して 発 展 す る であ ろ う と示 唆 し. っ っ 、 ダイ ナ ミ ッ ク に そ の全 体 性 、 あ るい は統 合. て い る。. 性 を 保 って い る とい う。. つ ま り、性 格 は 内 的 要 因 と状 況 的 要 因 と の複 雑. た とえ ば 、 私 た ちが 日常 的 に頻 繁 に 使 用 す る性. で ダイ ナ ミ ッ クな 相 互 作 用 に よ って 考 え る とい う. 格 を 示 す 言 葉 と して 「あ の 人 は 外 向 的(内 向 的). 視 座 が 定 着 しつ つ あ る 。 この よ うな 動 向 は 、性 格. で あ る」 とい う表 現 が あ る 。 そ れ はJungが. 研 究 に新 しい息 吹 を もた ら した と思 わ れ るが 、 よ. の な か で 見 い だ した こ こ ろ の エ ネ ル ギ ー の 流 れ で. り性 格 研 究 は複 雑 な もの に な った と言 え る。. あ り、 一 般 的 態 度 とい わ れ る も の で あ る。 外 界 の. しか しな が ら、 性 格 の 一 貫 性 論 争 は 、 「性 格 の 二 面 性 」 とい う視 座 を 導 く もの で あ り、 相 互 状 況. 臨床. 対 象 に 向 か って こ こ ろ のエ ネル ギ ー が 流 れ る外 向. 論 も ま た、 ス ポー ツ 選 手 の 性 格 の 研 究 に新 た な視. タ イ プ 、 自分 の 内界 に 向か っ て こ ころ の エ ネ ル ギ ー が 流 れ る 内 向 タイ プ、 この 両 者 が 常 に 補 償 的 、. 点 を 与 え る も の で は な い か と考 え る。. あ る い は 相 補 的 関 係 にあ る と考 え た の で あ る。 つ ま り、 意 識 の 態 度 が 外 向的 な人 は 、無 意 識 の 態 度. 4)性. は 内 向 的 で あ って 、 外 向 的 態 度 が 極 端 に 強 調 され. 格の二面性. と こ ろ で ス ポ ー ツ選 手 の性 格 に 関 す る 研 究 で 、. る と、 内 向 的 態 度 が 補 償 的 に作 用 す る と考 え た の. この よ うな 視 点 に立 っ た もの は ほ とん どな い と思. で あ る 。 比 喩 的 で あ るが 「光 強 けれ ば 、影 も また. わ れ る。. 濃 い 」 とい う こ とで あ り、 相 対 的 で どち らが 優 位. 「性 格 の 二 面 性 」 に つ い て 、 桑 原(1991a) は 、TSPSを. に 作 用 し て い る か い う こ と で あ る 。Jung(1921). 開 発 す る過 程 で さ ま ざ ま に 論 議. は"言 う ま で も な く正 常 な 外 向 的 態 度 とい う場 合 、. し て い る。 い わ ゆ る 、 共 通 し た 概 念 と し て 、. そ れ は この 型 の 人 間 な らい つ いか な る場 所 に お い. a.二. て も 外 向 的 な 図 式 に 従 って 行 動 す る とい う意 味 で. 元 論(Descartes,1637)、b.ア. ス(ambivalenz一 モ テ と ウ ラ(土 1926:Jung,1921)と. ンヴ ァレン. は な い 。 この 型 の 人 間 に も 内 向性 の メ カ ニ ズ ム の. 両 価 性;Bleuler,1911)、c.オ 居,1976)、d.補. 働 き に よ る と思 わ れ る よ うな 心 理 現 象 が 見 られ る. 償(Adler,1917、. い う事 柄 か ら検 討 して い る. が 、 これ らの 概 念 の み で は. 「 性格 の二面性」を説. 場 合 は枚 挙 に い と まが な い 。 お 断 りす る ま で もな く、 あ る態 度 が 、 外 向 的 と呼 ば れ る の は 、外 向 的 メ カ ニ ズ ム が 優 位 を 占め て い る場 合 だ け で あ る 。". 明 で き な い と して い る 。 ま た 、 性 格 理 論 に お い て 、a.類 (Kretschmer,1921、Jung,1921)b.特. 型 論. と述 べ る。(桑 原 、1991a) 私 た ち の性 格 もま た 、 相 反 す る もの 、対 極 的 な. 性 論(Allport,. 1931;Catell,1950;Guilford,1959;Eysenck,1947). 面 を 内 に 含 む と は い え 、Jungが. を 取 り上 げ 検 討 して い るが 、 類 型 論 につ い て は 、. 普 段 は 、 どち らか の 態 度 が 優 先 され 、 他 方 は そ の. 有 効 性 は 経 験 的 に 認 め られ る も の の 、 主 観 的 で 直. 影 に か くれ て い な が ら も、 自己 コ ン トロー ル し、. 感 的 で あ るが ゆ え に、 統 計 的 、数 量 的 な 方 法 で 捉. 微 妙 なバ ラ ン ス を と って い る と考 え られ る。. え よ う と し た と き 、 単 な る"レ. ッ テ ル 貼 り"に. 終. 始 し て い ま う 危 険 性 が あ る と述 べ て い る 。 ま た 、. 述 べ る よ う に、. つ ま り、 そ の 微 妙 な バ ラ ンス に裏 付 け され な が ら、 ス ポー ツ選 手 も ま た こ こ ろを コ ン トロー ル し. 特 性 論 に つ い て は、 様 々 な特 性 の存 在 を 許 して お. なが ら競 技 を行 うな か で 、 自己 を 統 合 へ と向 か わ. り 、 そ こ に は 、 「性 格 の 二 面 性 」 の 存 在 の 余 地 が. せ て い る と考 え られ る 。. あ る も の の 、 積 極 的 に 取 り上 げ た も の は 少 な い と. スポ ー ツ選手 は一 般的 に は外 向的 であ る とい う。 しか しな が ら、 前 述 した よ う に 「性 格 の二 面. 論 じて い る 。 こ こ ろ の補 償 性 、 あ る. 性 」 とい う視 点 を 取 り入 れ る と き、 ス ポー ツ選 手. い は 相 補 性 とい っ た視 点 は た いへ ん興 味 深 い もの. の こ こ ろ は 、外 向 性 が 優 位 で あ るが 、 一 方 、 内 向. が あ る 。Jungは. 性 も ま た こ ころ の 影 に か くれ て い な が ら、補 償 的 、. しか し な が ら 、Jungの. 、 意 識 の 態 度 に 対 して 無 意 識 の 一37.
(12) 近 畿 大 学 健 康 ス ポー ツ 教 育 セ ン ター 紀 要2巻1号(2003・7). そ して 相 補 的 な 作 用 して い る の で あ る。 この よ う. ず それ 自身 の 中 に 、 自 らを 否 定 す る もの を含. な 関係 の な か で 、 ス ポ ー ツ選 手 の こ ころ は ダ イ ナ. む。. ミ ック な 動 き を 見 て と る こ とが で き る と考 え る 。. ② 自 己 に 内在 す る この 否 定 性 の ゆ え に、 す べ て. つ ま り この よ うな 視 点 を もつ とき 、 ス ポー ツ 選. の 有 限 な も の は必 ず 自分 の な か か ら他 者 を 生. 手 の ここ ろ を 力 動 的 に生 き生 き と捉 え られ る こ と. み だす か 、 自 己 が他 者 に 転 化 す る。 そ れ に よ. が で き る の で は な い だ ろ うか 。. って 自 己 と他 者 との 問 に 対 立 が 生 じ る。. 競 技 ス ポ ー ツ の 現 場 は 、 さ ま ざ ま こ とを示 唆 し. ③ この よ う に生 じた対 立 す る2つ の もの は 互 い. て くれ る。 本 研 究 で 明 らか にな っ た よ うに、 ス ポ ー ツ場 面 で の 対 極 に あ る と思 わ れ る性 格 の顕 現 化. に 他 の 存 在 を 前 提 と しあ い 、 相 補 性 の 関 係 に. は、 自 己 コ ン トロ ー ル や 自己 統 合 の 機 会 を 与 え る. ④ この 対 立 は 必 ず 一 致 に達 す る。 これ は"必 然. と 同時 に、そ の 困 難 性 を も実 感 す る こ とが で き る 。. ある. 的"に 行 わ れ るの で あ っ て 、 は じめ か ら正 と 反 とが 固 定 的 に対 立 してお り、 そ れ が 突 如 と. 5)対. 立の融合、統合. して 、 何 か 神 秘 的 作 用 に よ っ て統 一 さ れ る わ. さて 、 私 た ち は対 極 的 な もの を 持 ち な が ら、 そ の ダイ ナ ミ ッ ク な も の に導 か れ 、 ど こへ 行 くの で あ ろ うか 。私 た ち の 身 心 は バ ラ ン スを と りな が ら、 ひ とつ の 統 合 へ 向か っ て い る の で あ ろ うか 。. け で は な い 。ま た 、この 統 一 は、本 質 的 に は"和 解"で. あ る 。 何 らか の 仕 方 で両 者 が とも に 生. か さ れ る よ うな 和 解 的 統 一 で あ る。 ⑤ しか し この和 解 的 統 一 は け っ して 恒 久 的 、究. ス ポ ー ツ現 場 にい る とき 、選 手 は 対 極 的 もの と. 極 的 な も の で は な く、 あ くま で 暫 定 的 な も. 向 か い 合 い 、 不 安 、 葛 藤 、 時 に は恐 怖 と闘 い な が. の で あ る。 従 っ て そ の 有 限 性 の ため に、 必 然. ら、 自己 を コ ン トロー ル し、 こ こ ろ の バ ラ ン ス を. 的 にそ の な か か らそ れ を 否 定 す る もの が 生 ま. 取 る。 そ して 対 極 的 な も の の融 合 、統 合 、 そ して. れ 、 こ こ に新 しい対 立 が 生起 す る。 この 新 し. ま た対 立 とい った こ とを 繰 り返 し、繰 り返 し行 っ. い 対 立 は ま た前 と同 じよ うに 統 一 され る。 こ. て い る よ うに考 え る。 自他 へ の優 しさ、厳 しさ は、. の よ う に して 、 す べ て の も の は この プ ロセ ス. 対 極 的 で あ り、 対 立 す る もの で あ るが 、 競 技 す る 中で 、 融 合 し、統 合 され つ つ 、 身 心 の ダイ ナ ミ ズ ム を 生 じさす 。. を 繰 り返 しな が ら"発 展"す. る。. 苦 渋 の 勝 利 を 競 技 を 楽 しむ こ とに よ って 得 る こ と、 自己 の 記 録 を 更 新 す る こ とは 、 瞬 時 の 身 心 の. 競 技 ス ポー ツ の 中 で 、 い か な る結 果 を 得 る こ と. 融合 と統 合 を 意 味 す る もの と考 え る。 そ れ は ひ と. が で きた と して も 、 自己 が 上 り詰 め 、 完 結 す る こ. つ の 身 心 の 完 結 性 を 感 じさせ る も の で あ る が 、私. とは な い だ ろ う。 た とえ 、 あ る 目標 が 達 成 され て. た ち は 、 そ こに と ど ま り、 自身 を 硬 直 化 す る も の. も、 そ れ は 完 結 を 意 味 す る も の で は な い 。 競 技 に. で は な い。 長野 オ リ ン ピ ッ クで 金 メ ダル を とっ た. お い て 自己 が 納 得 す る パ フ ォー マ ン ス を 達 成 し、. 清 水 宏 保 選 手 は 、 そ の 結 果 も 自身 に と っ て は ひ と. 満 足 す る い い 試 合 は、身 心 の コ ン トロー ル と融 合 ・. つ の プ ロ セ ス だ と言 う。今 年 も また 、 腰 痛 に悩 み. 統 合 を 感 じ る選 手 は多 い 。 しか し、多 くの 選 手 は 、. な が ら世 界No,1を. この よ うな 身 心 の 融 合 と統 合 を瞬 時 体 感 す る もの. よ う と苦 悩 して い る。 プ ロ 野 球 の イ チ ロー 、 マ ラ. め ざ し、OnlyOneを. 手中し. の 、次 の 瞬 間 に は 、 ま た、 新 たな 出発 点 に立 た さ. ソ ン ラ ンナ ー の高 橋 尚子 等 々 、 真 摯 な ス ポ ー ツへ. れ る の で は な い だ ろ うか 。. の 関 わ りを 見 て 取 る とき 、 あ くま で 彼 らの 競 技 の. こ の よ うな 論 議 は 、 弁 証 法 的 な 考 え に も あ る と 桑 原(1991a)は. 中埜(1973)の. 弁 証 法 を 引 用 し、. 討 議 して い る。 中埜 は 、 弁 証 法 の 考 えの 特 徴 を 以 下 の5つ. に要 約 して い る 。. 結 果 は 究 極 的 な もの で は な く、暫 定 的 な もの で あ り、 ひ とつ の プ ロセ ス に過 ぎ な い。 対 極 的 な もの が 、 新 た な ご こ ろ の ダ イ ナ ミズ ム を 生 み だ し、 新 た な 目標 を 設 定 す る こ とに な る。. ① す べ て の も の は 、 そ れ が 有 限 で あ る 限 り、 必 一38一. それ は身 心 の新 た な さ まざ ま対 立 が 生 じる こ とに.
(13) ス ポー ツ選 手 の 性 格 の 二 面 性 につ い て. よ っ て 、 自己 コ ン トロー ル 、 身 心 の融 合 、統 合 を. 引用 ・参 考 文 献. 絶 え 間 な く繰 り返 す こ とにな る。 ま さ に 、競 技 ス し. ポー ツ に お い て 、 選 手 は こ の プ ロ セ ス を繰 り返 し. Adler,A.1917StudyofOrganInferiority. な が ら、 自己 を よ り深 淵 に、 そ して高 め る。 ス ポ ー ツ選 手 の 性 格 の 二 面 性 につ い て の視 座 は 、 この. andItsPsychicalCompensation.New. よ うな プ ロ セ ス へ の 論 議 で も あ る。. Company.. York:Nervous&MentalDiseasesPublishinn. Adler,A.1926TheNeuroticConstitution.New York:Dodd,Mead&Co.. VL今 後 の課 題. Allport,G.W.1931"Whatisatraitof. 本 研 究 に お い て 、 ス ポ ー ツ選 手 の性 格 の二 面 性 につ い て 、多 くの ス ポー ツ 選 手 が 普 段 と違 う 自分 、 「も う一 人 の 自分 」 を 競 技 ス ポ ー ツ の場 で 意 識 し. personality?"Journalofabnormalandsocial psychology,25,363-372 土 居 健 郎1976オ 一(編)分. て い る こ とが 明 らか にな っ た。 こ の こ とが 、 精 神 病 理 学 的 に論 議 され る 「 二重 人 格 」、 「二 重 身 」 を 意 味 す るの で は な く、 ス ポ ー ツ選 手 の性 格 の 二 面 性 は 、対 極 的 で あ りな が ら も、. モ テ とウ ラ の 精 神 病 理 裂 病 の 精 神 病 理4東. 1-20 Endler,N.S.&Magnusson,D(Eds) 1976aInterractinalpsychologyand. そ こ に は連 続性 が あ り、 矛 盾 す る性 格 特 性 の共 在. personarity.Hemisphere.. を認 め る こ とが で き る。 また 、 対 極 的 な性 格 の表. Endler,N.S.&Magnusson,D1976b. 出 につ い て も 、 何 ら不 安 を もつ こ と な く、 自然 に. Towardaninterationalpsychologyof. 認 知 して い る こ とで あ る。 こ の こ とは 、TSPSに. personality.PsychologyBullentin,83,956‐. お い て 顕 著 に 、 あ る い は比 較 的 「性 格 の 二 面 性 」. 974.. を 表 出 し て い る と 思 わ れ る 得 点 群 が83.9%と. 出. 現 して い る こ と か ら も伺 え る。 つ ま り、 「も う一 人 の 自分 」 を 自然 な 形 で 受 け 容 れ て い る こ とで も あ り、 あ る意 味 で は 、 ひ とつ の コ ン トロー ル され た性 格 を うか が い 知 る こ とが で きた 。 今 後 、TSPSに. Eysenck,H,J.1947Dimensionsofpersonality. Routledege&KeganPaul. Guilford,J,P.1959Personality.NewYork:McG row-Hill.pp.99-102 堀 毛 一 也1989社. お け る他 の 心 理 テ ス トを 含 め た. 大 坊 郁 夫. 会 的 行 動 とパ ー ソ ナ リテ ィ. ・安 藤 清 志. ・池 田 謙 一(編. 個 人 の分 析 と詳 細 な 検 討 が 必 要 で あ る。 ま た、 今. 社 会 心 理 学 パ ー ス ペ ク テ ィ ブ1:個. 回 の 調 査 で は 、 「二 面 性 」 の 抽 出 を しや す くす る. へ. ため に、 項 目す べ て を 望 ま しい 意 味 を もつP語 を. 堀 毛 一 也1996パ. ー ソ ナ リテ ィ研 究 へ の 新 た な. 視 座. えが 混 入 す る。 ② 性 格 の な か の 「望 ま しい 」 とい. テ ィ と対 人 行 動. し くな い 意 味 を もつN語. を 付 加 し検 討 す る こ と も. 著) 人 か ら他 者. 誠 信 書 房. 使 用 したが 、桑 原 が① 望 ま し く見 せ よ う とす る構 う一 面 だ けを 見 て い る 、 と指 摘 す る よ う に、 望 ま. 大 渕 憲 一. ・ 堀 毛 一 也(編)パ. ー ソ ナ リ. 誠 信 書 房. Jung,C.G.1921PsychologisheTypen,14.Auflage 1981GesammelteWerke,Bd.6.Walter-Verlag.. 必 要 で あ る。 一 方 、 実 践 的 に 見 い だ され る 事 例 的 な 研 究 も 、. 河 合 隼 雄1967ユ 河 合 隼 雄1971コ. ンプ レ ッ ク ス. 調 査 研 究 を 補 う も の で あ り、 大 き な 課 題 と して 残. 河 合 隼 雄1983人. 格 論 に お け る対 極 性. された。. 座. ン グ心 理 学 入 門. ・精 神 の 科 学2岩. MAT-50に 検 討 一. 倍 風 館. 岩 波 書 店 岩 波 講. 波 書 店272・307. 小 林 哲 郎1980AmbiguityTolerance質. 一39一. 荻 野 恒. 京 大 学 出 版. 問紙. つ い て 一 日本 で の 信 頼 性 、 妥 当 性 の 日 本 心 理 学 会 第44回. 発 表 論 文 集.
(14) 近 畿 大学 健 康 ス ポ ー ツ 教 育 セ ン ター 紀 要2巻1号(2003・7). 5DL. &A日. Krahe.B1992Personalityandsocial psychology:Towardsasynthesis.Sagre.堀 毛 一 也(編 訳)1996社 会 的 状 況 とパ ー ソ ナ リテ ィ. 北 大路書房. 子1983質. 問紙 法 に よ る性 格 の二. 心 理 学 研 究54(3)、182-188. す る 一 研 究 一SD法 定形式の検討 桑 原 知 子1986a性. ー ソナ リテ ィ評 定 尺 度 の形 式. 日本 教 育 心 理 学 会 第23回 総 会 発 表 論 文 集814 -815. 心 理 学 研 究56(2)、79-85. 教 育心 理学 研 究. 不 安 」 と 「性 格 の 二 面 性 」 と 心 理 臨 床 学 研 究3(2)、83-89. 桑 原 知 子1991a性. 筑波大学卒業論文. の検 討 とパ ー ソ ナ リテ ィの 認 知 次 元 につ い て. 若 林 明 雄1986パ. 格 の二面性 につ いて. 風 間. ー ソ ナ リテ ィの 類 型 論 にお け. る分 裂 性 気 質 型 の検 討 ついて 一. の 関係 に つ い て. 補 性 を 考 慮 した 新 タ イ プ テ. ス ト作 成 の 試 み 表. 日 本 心 理 学 会 第55回. 大 会発. 論文集. 若 林 明 雄1993パ ー ソナ リテ ィ研究 にお け る "人 間 一状 況 論 争"の 動 向 心 理 学 研 究64 296-312.. ル"上. 格 の二面性スケー. 里一郎監修. ッ ク 」 第23章 桑 原 知 子1994も 桑 原 知 子1998a性. 「心 理 ア セ ス メ ン トハ ン ドブ. 西村書店 う一 人 の私. 詫 摩 武 俊(監. 修)「 性 格 心 理 ハ ン ド ブ ッ ク 」1部3章3節. 達哉編集. 格 の二面性 につ いて. 佐藤. 「現 代 の エ ス プ リ」372. Mischel,W.1968Personalityand assessment.JohnWiley&Sons.詫. 摩 武 俊(監. 訳)1992 パ ー ソ ナ リテ ィ の 理 論 一 状 況 主 義 的 ア プ ロ ー 誠 信 書 房. 肇1973弁. 証法. 中央 公 論 社. 日 本 ス ポ ー ツ 心 理 学 会1984ス &A日. ポ ー ツ 心 理 学Q. 本 ス ポ ー ツ心 理 学 会 、 松 田岩 男編. 不. 昧堂出版 日本 ス ポ ー ツ 心 理 学 会1998ス. 行 動 観 察 と予 測 の 問 題 -81 .. 出版 福. 村 出版 桑 原 知 子1998b性. 心 理 評 論36. 226-243 貫性論争 における 性 格 心 理 学 研 究268. 渡 邉 芳 之1998性 格 の 一 貫 性 詫 摩 武 俊(監 修) 「 性 格 心 理 ハ ン ドブ ッ ク」1部3章3節 福村. 創元社. 格 の二 面性. ー ソ ナ リテ ィ の 一. 貫 性 を め ぐる 視 点 と時 間 の 問 題. 渡 邉 芳 之 ・佐 藤 達 哉1994b一. 桑 原 知 子1993TSPS"性. 一 分 離 性 及 び 自閉 性 に. 日本 大 学 心 理 研 究 、 第7号 、1-12. 渡 邉 芳 之 ・佐 藤 達 哉1994aパ. 書房 桑 原 知 子1991b相. 木. 校 生 にお け る人 格 の 二 面 性. との比 較 に よ る 、 新 しい 測. を加 えて. 桑 原 知 子1986b「. レ ンベ ル ガ ー 著. ー ソ ナ リテ ィー 測 定 尺 度 に関. 格 の 二 面 性 測 定 の 試 み 一N. EGATIVE語. の特 質. 若 林 明雄1981パ. 34(1),31-38. チ. Man,PenguinBooks.H.エ. 内 山 田 記 子1985高. 桑 原 知 子1985パ. 仲埜. Tyrrell,G.N.M.1947Personalityof. 1980よ り引 用. Charakter,Springer,. 面性測定の試み. 不昧. 村 敏 ・中 井 久 夫 監 訳r無 意 識 の発 見 』 弘 文 堂. Kretschmer,E.1921Korperbauand. 桑 原(森)知. 本 ス ポー ツ心 理 学 会 、 藤 田厚 編. 堂出版. ポ ー ツ 心 理 学Q 一40一.
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