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可視不可視の境界線 : 光の透過により見える世界 [要旨]

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Academic year: 2021

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氏 名 金 丸 遥 ヨ ミ ガ ナ カ ナ マ ル ハ ルカ 学 位 の 種 類 博 士 ( 美 術 ) 学 位 記 番 号 博 美 第 622号 学 位 授 与 年 月 日 令 和 2年 3月 25日 学 位 論 文 等 題 目 〈 論 文 〉 可 視 不 可 視 の 境界 線 - 光の 透 過 に より 見 え る 世界 - 〈 作 品 〉 「profile」「profile2」「spiral」 〈 演 奏 〉 論 文 等 審 査 委 員 ( 主 査 ) 東 京 藝 術 大 学 教 授 ( 美 術 学 部 ) 橋 本 和 幸 ( 論 文 第 1 副 査) 東 京 藝 術 大 学 教 授 ( 美 術 学 部 ) 藤 崎 圭 一 郎 ( 作 品 第 1 副 査) 東 京 藝 術 大 学 准 教 授 ( 美 術 学 部 ) 鈴 木 太 朗 ( 副 査 ) 東 京 藝 術 大 学 教 授 ( 美 術 学 部 ) 藤 原 信 幸 ( 副 査 ) ( ) ( 副 査 ) ( ) ( 副 査 ) ( ) ( 副 査 ) ( ) ( 副 査 ) ( ) ( 副 査 ) ( ) ( 論 文 内 容 の 要旨 ) 本 論 文 は 、 透明 素 材 の持 つ 一 つ の魅 力 が 可 視不 可 視の 境 界 線 に あ ると 考 え 、筆 者 が 美 術作 家 と し て今 ま で 実 践 し て 来 た 表現 活 動 の記 録 と そ の表 現 活 動 へ行 き 着く ま で の 思 考 、軌 跡 を 示し 、 考 察 した も の で ある 。 筆 者 は 今 ま で作 品 を 発表 す る 場 とし て ギ ャ ラリ ー や百 貨 店 、 イ ベ ント な ど とい っ た 比 較的 短 期 間 の展 示 と 、 マ ン シ ョ ンや 病 院 、企 業 の エ ント ラ ン ス など と いっ た 商 業 施 設 での 長 期 に渡 る 常 設 展示 と を 経 験し て き た 。 そ の 活 動 の中 で 、 作品 を 発 表 する 場 所 や 環境 に よっ て 、 求 め ら れる 要 素 の違 い を 経 験し 、 自 身 で作 っ た 作 品 に は そ れ ぞれ に 適 正が あ る こ とが 明 ら か にな っ た。 求 め ら れ る 環境 に 適 した 素 材 を 模索 し な が ら、 作 品 を 作 り 続 け る 中、 当 初 メイ ン で 使 用し て い た 素材 の 樹脂 か ら ガ ラ ス に変 え 制 作を は じ め るが 、 ガ ラ スも 素 材 と し て 難 し い 側面 を 持 ち合 わ せ て いる 。 筆 者 は、 表 現者 と し て ア ー トと デ ザ イン 、 そ し て工 芸 と い う三 つ の 視 点 を 踏 ま え 自身 の 表 現活 動 を 見 つめ 直 し 、 透明 素 材の 持 つ 可 能 性 を本 論 文 、お よ び 博 士審 査 展 で の作 品 を 通 じ て 示 す 。 第 一 章 で は 、筆 者 が 表現 活 動 を する 上 で の 自分 の 立ち 位 置 に つ い て記 述 し 、今 の 活 動 に至 る ま で のル ー ツ を 紹 介 し て い く。 第 二 章 で は 、筆 者 が 制作 の 中 で 使用 し て い た樹 脂 とガ ラ ス に つ い て考 察 し た。 筆 者 は 人の 目 を 惹 きつ け る 立 体 作 品 の 要 素の 一 つ とし て 、 触 覚に 訴 え る 作品 で ある と 考 え 、 樹 脂と ガ ラ スの 特 性 に つい て 述 べ た。 ま た 、 異 素 材 同 士を 組 み 合わ せ た 作 品や 透 明 素 材の 場 合に お い て の 接 着剤 の 使 用の 有 無 や その 際 の 問 題点 に つ い て も 明 ら か にし た 。 ま た 、 透 明 な素 材 を 使用 し 作 品 を発 表 し て いた デ ザイ ナ ー の 倉 俣 史朗 と 、 同じ く 透 明 素材 を 使 用 し空 間 演 出 を し て い る 吉岡 徳 仁 の作 品 を 手 掛か り に 、 考察 し た。 第 三 章 で は 、筆 者 が 大学 院 よ り 作り 続 け て きた 作 品を 三 つ の 技 法 から 記 録 する 。 一 つ 目に キ ル ン ワー ク に よ る 大 型 鋳 造 作品 に よ るイ ン ス タ レー シ ョ ン 作品 《 dear deer》、 ガ ラス と 膠 によ り 構 成 した 常 設 作 品の 《 scale》、 そ して 、 樹 脂か ら ガ ラ スへ 素 材 を 変え 薄 型鋳 造 を 試 み た 《 ephemeral》。 二 つ 目に バ ー ナ ーワ ー ク と キ ル ン ワ ー クと の 組 み合 わ せ で 作り 出 し た 《 cosmos》、 見 る 角 度 によ り 、 作 品の 表 情 が変 わ る 《 profile》。

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そ し て 、 最 後 にコ ー ル ドワ ー ク に より 、 平 面 での 切 子作 品 に 挑 ん だ 《 dispersion》。 各 技法 か ら 各 作品 の 軌跡 を 示 し 、 そ れ ぞれ の 特 性や 可 能 性 を示 し て い く。

第 四 章 で は 、第 三 章 で記 載 し た 作品 に 基 づ き、 透 明素 材 を 使 用 し た新 た な 展開 と し て 博士 作 品 《 profile》、《 profile2》そ し て 《 spiral》 につ い て紹 介 し て い く 。

以 上 の よ う に本 論 文 は、 筆 者 が 美術 作 家 と して 表 現活 動 を し て い く中 で 、 何故 、 透 明 素材 の 魅 力 が可 視 不 可 視 の 境 界 線 にあ る の かを 明 示 し 、空 間 の 中 で、 可 視不 可 視 の 境 界 線を 演 出 する 独 自 の 方法 を 示 し 、透 明 素 材 の 新 た な 可 能性 を 提 案し て い く 。 ( 論 文 審 査 結 果の 要 旨 ) 本 論 文 は 筆 者 がこ こ 数 年か け て 行 って き た 複 数の 作 品の 制 作 を 丁 寧 に振 り 返 り、 ガ ラ ス やア ク リ ル 樹脂 と い っ た 透 明 性 と不 透 明 性の 両 方 を 表現 で き る 素材 に 向き 合 い な が ら 、そ れ ぞ れの 作 品 で 立て た 問 い を博 士 審 査 展 出 品 作 品 に凝 縮 さ せて 、 可 視 と不 可 視 の あい だ を行 き 来 す る こ とで 生 ま れる 独 自 の 表現 を ガ ラ ス作 品 の 中 に 昇 華 し た 過程 を 論 述し た 、 実 制作 者 で し か書 き 得な い 気 づ き と 問題 解 決 と詳 細 な 工 程が 報 告 さ れた 独 創 性 の 高 い 論 文 とし て 評 価し た 。 キ ャ ス ト ガ ラ ス、 バ ー ナー ワ ー ク など 筆 者 が 試み て きた さ ま ざ ま な 技法 が デ ザイ ン プ ロ セス と と も に詳 細 に 記 さ れ て お り、 筆 者 のコ ン セ プ トと 問 い の 立て 方 と気 づ き と 解 決 法が 整 理 され て 記 述 され て い る 。筆 者 が 振 り 返 る 過 去 作品 は 、 依頼 者 の い るデ ザ イ ン ワー ク が含 ま れ て お り 、筆 者 が それ ぞ れ の 仕事 の 制 約 を逆 に ポ ジ テ ィ ブ に 活 かし て 作 品を 発 想 し 、自 己 の 表 現世 界 を発 展 さ せ て き たこ と が 書か れ て お り、 制 約 を 受け 入 れ て 、 独 自 の 問 いを 立 て 、工 房 に 入 り手 を 動 か しな が ら問 題 解 決 し て いく 様 が 描か れ て い る点 は 、 デ ザイ ン 研 究 論 文 と し て 評価 で き るも の で あ る。 経 年 変 化 の 問 題を 解 決 する た め に 、筆 者 が ア クリ ル 樹脂 か ら ガ ラ ス 素材 を 使 用す る よ う にな る の も 、デ ザ イ ン を 重 ね る 上で の 問 題解 決 と し ての 素 材 選 択で あ った 。 ま た 、《 profile》 とい う 作 品 では 依 頼 者 から 配 ら れ た 枡 を 使 っ てく れ と いう 発 注 か ら、 台 を 使 うこ と で先 端 に 球 形 を つけ た ガ ラス の 見 え 方が 角 度 に よっ て 変 わ る こ と に 気 づき 、 そ こで 制 作 し た小 品 か ら 博士 審 査展 に 出 展 し た 作 品 に 発 展さ せ た 。 本論 文 で は こう し た 筆 者 が ひ と つ の問 い の 解決 が 次 の 問い に つ な がる と いう 作 品 の 進 化 があ っ た こと が 論 述 され 、 ガ ラ ス工 芸 家 の よ う に 工 房 にこ も り 制作 し な が らも つ ね に デザ イ ン思 考 を も っ て 制作 に あ たっ て い た こと を 伝 え てい る 。 よ っ て 本 論 文 はデ ザ イ ン専 攻 の 博 士課 程 学 位 を認 定 する も の と し て ふさ わ し いも の と 考 える 。 ( 作 品 審 査 結 果の 要 旨 ) 2011年 頃 よ り 彼女 の 作 品を 見 て き たが 、 彼 女 は常 に 作品 の 最 終 ア ウ トプ ッ ト を重 視 し 、 作品 を 社 会 に対 し て ア ピ ー ル し てい く 上 で何 が 足 り ない の か を 常に リ サー チ し て き て いた よ う に思 う 。 こ れま で に 様 々な 素 材 を 経 験 し ガ ラ スに 行 き 着い た 経 緯 も、 「 デ ザ イン と して 社 会 に 作 品 が置 か れ るこ と 」 の 意味 を 強 く 思う 気 持 ち の 現 れ な の だと 思 う 。 修 士 修 了 作 品 であ っ た 「 dear deer」 と い う 作品 が ある が 、 彼 女 の 頭の 中 に のみ あ る カ タチ を 、 一 切妥 協 す る こ と な く 研 究を 重 ね 実現 さ せ た 時は 、 驚 き とと も に感 動 を 覚 え た 。あ る 種 、思 い 込 み 、自 己 暗 示 的に も 見 え る 彼 女 の 制 作手 法 は 、最 終 的 に 作品 と し て 実装 し た時 に 全 て “ 真 ”と な り 、作 品 を 通 して 人 々 を 説得 力 あ る デ ザ イ ン の 世界 導 く こと に 成 功 した 。

そ し て 今 回 博 士展 出 展 の作 品 「 profile」 、 「 profile2」 、 「 spiral」 に 繋 が る。 取 手 (東 京 藝 術 大学 取 手 校 舎 ) の ア ト リエ 内 は 、ま さ に 研 究を す る 為 の研 究 室と 化 し て い た 。実 験 途 中の ガ ラ ス の造 形 や そ の造 形 型 が 広 大 に 広 げ られ 、 ア トリ エ は 粉 まみ れ 、 マ スク と ゴー グ ル で 白 い 防護 服 を 着た 彼 女 は 、東 京 藝 術 大学 で 作

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品 に つ い て 研 究し 、 博 士と 呼 ぶ に 相応 し い 容 姿と 感 じた 。 本 研 究 作 品 「 profile」 、「 profile2」 は 、 これ ま で作 品 を 社 会 に 対し て ア ピー ル し て きた 彼 女 が 得た 、 デ ザ イ ン の ひ と つの 答 え なの だ と 思 う。 高 度 な 技術 と 経験 の 上 に 成 立 して い る 作品 だ が 、 鑑賞 者 は 技 術的 な こ と を 気 に す る こと な く 作品 が 起 こ す物 理 的 な 視覚 現 象の 美 し さ や 面 白さ に 驚 き、 そ れ で いて 作 品 の 持つ 不 思 議 な 世 界 に 浸 るこ と が 出来 る 。 デ ザイ ン と し て“ 日 常に 飾 る ” こ と を重 視 し てい る こ と から 、 作 品 を欲 し い 、 と 感 じ さ せる 力 を 持ち 合 わ せ る。 本 研 究 作 品 「 spiral」 につ い て は 、彼 女 の 頭 の中 の みに あ っ た 世 界 がま さ に 現実 に 現 れ た作 品 と 言 える だ ろ う 。 こ の 作 品を 創 る 制作 過 程 を 見る に 、 彼 女の 相 当の 苦 労 を 感 じ る。 最 終 的な カ タ チ を見 据 え 、 こう す れ ば 出 来 る は ず 、と い う 強い 気 持 ち を持 ち 続 け るこ と で博 士 展 に 飛 び 出し て き た本 作 は 、 まさ に 彼 女 のこ れ か ら を 期 待 さ せ る力 を 感 じる 逸 品 で ある 。 本 研 究 作 品 は 、デ ザ イ ン専 攻 の 博 士課 程 学 位 を認 定 する も の と し て ふさ わ し いも の と 考 える 。 彼 女 の作 品 に 対 す る 研 究 を 続け る 心 が、 次 に ど んな デ ザ イ ンの 世 界を 見 せ て く れ るの か 楽 しみ で あ る 。 ( 総 合 審 査 結 果の 要 旨 ) 筆 者 は 2012年 から 当 校 のデ ザ イ ン 修士 課 程 の 空間 ・ 設計 研 究 室 で デ ザイ ン の 基礎 の ひ と つで あ る 立 体造 形 や 空 間 構 成 の 分野 の 研 究を 主 に 研 究を す す め てき た 。当 初 は そ れ ら を研 究 す る上 で あ ら ゆる 素 材 の 研究 か ら 始 め 、 ガ ラ ス や樹 脂 と いっ た 透 明 性と 不 透 明 性の 両 方を 表 現 で き る 素材 に 魅 力を 感 じ 、 その 素 材 を 生か す 独 自 の 表 現 を 探 求し 修 士 修了 作 品 で あっ た 「 dear deer」 と い う 作 品 に昇 華 さ せメ タ フ ァ ーと し て の 意味 や ガラ ス の 魅 力 を ス トレ ー ト かつ パ ワ フ ルに 大 き な ボリ ュ ーム で 表 現 す る こと で 内 外共 に 高 い 評価 を 得 た 。デ ザ イ ン や ア ー ト の 魅力 の ひ とつ は 「 見 えな い も の や何 か を感 覚 的 に 顕 在 化さ せ る 」こ と で あ ろう 。 そ の 一端 を そ こ で つ か み 博 士後 期 課 程で さ ら な る研 究 の 深 化へ と つな が っ た も の であ る 。 その 深 化 の 過程 で 透 明 素材 の 魅 力 は 可 視 と 不 可視 の 境 界線 で は な いか と 見 定 め、 な ぜそ こ に 魅 了 が ある の か 、 空 間 の 中 で可 視 不 可 視の 境 界 線 を 演 出 す る 独自 の 方 法を 見 い だ し、 透 明 素 材の 新 たな 可 能 性 を 探 って き た 過程 は デ ザ イン 研 究 と して 評 価 で き る も の で ある 。 本 研 究 作 品 「 profile」 、「 profile2」 の 手 法は た びた び 発 注 者 か らの 依 頼 で空 間 と 共 に作 品 を 演 出し て き た 筆 者 は デ ザ イン 的 な 思考 法 で 制 約 や 問 題 解 決を 図 りな が ら 進 め て きた こ と で洗 練 し た 表現 か つ わ かり や す い 作 品 と な り 、誰 も が 何を 表 し て いる の か が わか る 作品 と な っ た 。 この 単 純 さが こ の 作 品の 裏 に 潜 む様 々 メ ッ セ ー ジ や 感 情を 観 賞 者に か き た てる こ と と なり 、 奥行 き の 深 い 作 品と な っ た。 一 方 、 本 研 究 作品 「 spiral」 は 素 材の 限 界 に 挑戦 し たこ と で 生 ま れ た偶 然 の 現象 が 魅 力 的な 作 品 で ある 。 一 見 た だ の 大 きな ガ ラ スの 丸 玉 の 塊だ が そ こ に光 を あて る と ま る で 宇宙 の 創 生を 見 る よ うな 現 象 が ガラ ス の 中 で 起 こ っ た 跡が 見 て とれ る 。 そ れは 一 見 す ると 鑑 賞者 が 気 が つ か ない も の であ る が そ れを 認 知 す ると そ の 作 品 の 価 値 が まる で 違 って 見 え る 。そ の 認 知 でき る かで き な い か が 「 -光 の 透 過に よ り 見え る 世 界 -」の 境 界 線 を 象 徴 し て おり 、 こ のこ と が 今 後の 表 現 活 動の さ らな る 深 み の あ る可 能 性 を示 す こ と がで き た の では な い だ ろ う か 。 こ れら の 過 程は 論 文 で 丁寧 に 語 ら れて い る。 デ ザ イ ン 思 考と 芸 術 的思 考 を 用 いバ ラ ン ス よく 研 究 を 進 め 、 芸 術 大学 に ふ さわ し い 独 創性 高 い 3 つの 作 品に ま と め た こ とを 評 価 した 。 よ っ て本 論 文 お よび 本 研 究 作 品 は デ ザ イン 研 究 領域 の 博 士 課程 学 位 を 認定 す るも の と し て ふ さわ し い もの と 考 え る。

参照

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