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減農薬栽培に向けた薬剤耐性ブドウベと病菌のモニタリング 利用統計を見る

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論 文 題 目

減農薬栽培に向けた薬剤耐性ブドウべと病菌のモニタリング

山 梨 大 学 大 学 院

医学工学総合教育部 博士課程学位論文

2015 年 3 月

(2)

- 2 -

目次

ペ ー ジ

1 章 序論

5

2 章 材料および方法

8

1 節 材料 8

2-1-1 試 薬お よび実 験 機器 2-1-2 各 試薬 の調製 方 法

2 節 実験方 法 12

2-2-1 ブ ドウ べと 病菌 からの DNA の抽 出法 2-2-2 ア ガロ ース ゲル からの DNA 抽出 2-2-3 ラ イゲ ーシ ョン 2-2-4 大 腸菌 への 形質 転換 2-2-5 コ ロニ ー PCR 2-2-6 プ ラス ミド 精製 2-2-7 DNA シーケン ス

3 章 ASP-PCR 法による CAA 殺菌剤耐遺伝子

16

の検出

1 節 緒言 16

2 節 材料お よ び方法 17

3-2-1 CAA 殺菌剤感 受性遺 伝子 断片の 作成 3-2-2 CAA 殺菌剤耐 性遺伝 子断 片の作 成 3-2-3 ASP-PCR プライマー の選 抜 3-2-4 リ ボソ ーム RNA プ ライ マー を加 え た multiplex ASP-PCR 法の確立

(3)

- 3 -

3 節 結果お よ び考察 22

3-3-1 CAA 殺菌剤感 受性遺 伝子 断片の 作製 3-3-2 ASP-PCR 法に適した プラ イマー の選 抜 3-3-3 ASP-PCR 法の 感度 検定 3-3-4 multiplex ASP-PCR 法の 確 立

4 章 PCR-RFLP 法による CAA 殺菌剤耐性

32

ブドウべと病菌の検出

1 節 緒言 32

2 節 材料お よ び方法 33

4-2-1 PCR 法 4-2-2 制 限酵 素処 理 4-2-3 生 物検 定法 3-2-4 リ ボソ ーム RNA プ ライ マー を加 え た multiplex ASP-PCR 法の確立

3 節 結果お よ び考察 35

4-3-1 PCR-RFLP 法による CAA 殺菌剤耐 性遺伝 子の 切断 4-3-2 生 物検 定法 によ る CAA 殺菌剤耐性菌 の検出 4-3-3 PCR-RFLP 法を応用 した CAA 殺菌剤耐性 菌の 検出

5 章 山梨県における CAA 殺菌剤耐性ブドウべと

40

および

CAA

殺菌剤耐性遺伝子のモニタリング

1 節 緒言 40

2 節 材料お よ び方法 41

5-2-1 サ ンプ ル採 集 5-2-2 遺 伝子 診断 法に よる CAA 殺菌剤耐性 遺伝子 の検 出

(4)

- 4 - 5-2-3 生 物検 定法 によ る CAA 殺菌剤耐性菌 の検出

3 節 結果および 考察 43

5-3-1 遺 伝子 診断 法に よる CAA 殺菌剤 耐性 遺伝子 の検 出( 2009~2010 年) 5-3-2 遺 伝子 診断 法に よる CAA 殺菌剤 耐性 遺伝子 の検 出( 2010~2012 年) 5-3-3 遺 伝子 診断 法に よる CAA 殺菌剤耐性 遺伝子 の検 出( 2013 年) 5-3-4 生 物検 定法 によ る CAA 殺菌剤耐性菌 の検出

6 章 総合考察

57

参 考 文 献

62

摘 要

70

謝 辞

76

(5)

- 5 -

1 章 序論

ブ ド ウ は 世 界 で 生 産 さ れ て い る 果 物 の 中 で 生 産 量 が 3 位 の果物 であ り、その約 80%が 醸造 に使 用され る (Food and Agriculture Organization of the United Nations 2010)。我 が国 の最大 のブ ドウ生 産地 は山梨 県で あり、収穫 量 は 48,200 t を 誇 っ て い る が 、 主 に 生 産 し て い る 品 種 は “ 甲 斐 路 種 ” や “ デ ラ ウ ェ ア 種 ”、“ ネ オ マ ス カ ッ ト 種 ”と い っ た 生 食 用 の 品 種 で あ る( 農 林 水 産 省 2013)。ただ し、“ カ ベ ル ネ ・ ソ ー ヴ ィ ニ ヨ ン 種 ” や “ メ ル ロ ー 種 ”、“ シ ャ ル ド ネ 種 ” と い っ た 醸 造 用 品 種 の 栽 培 も 盛 ん で あ る た め 、 山 梨 県 は 我 が 国 で も 有 数 の ワ イ ン 醸 造 地 と し て 知 ら れ る 。な か で も 、“ 甲 州 種 ”か ら 造 ら れ る 甲 州 ワ イ ン に よ り 山 梨 県 の 知 名 度 は 年 々 高 ま っ て い る 。 甲 州 種 は 2010 年 に初め てブ ドウ・ ワイ ン国際 機構 に 品種 登録 さ れ た 日 本 の 固 有 品 種 で あ り 、 こ の 登 録 を 期 に 甲 州 ワ イ ン が 欧 州 、 台 湾 、 シ ン ガ ポ ー ル 、 香 港 な ど へ 本 格 的 に 輸 出 さ れ る よ う に な っ た 。 そ の 後 、 海 外 の 国 際 ワ イ ン コ ン ク ー ル「Decanter Asia Wine Awards 2013」や「Decanter World Wine Award 2014」で甲州 ワイ ンが 金賞を 受賞 するな ど 、甲州種 およ び甲州 ワイ ンの認 知度 は 年 々 世 界 に 広 が り つ つ あ る( 朝 日 新 聞 2014、甲州ワ イン EU 輸出 プ ロジェ クト)。 こ の よ う な 背 景 の も と 、 山 梨 県 で は 健 全 で 高 品 質 な 醸 造 用 ブ ド ウ の 生 産 が 求 め ら れ て い る が 、 生 産 者 が 昆 虫 や 糸 状 菌 、 線 虫 、 ウ イ ル ス な ど の 病 害 虫 か ら ブ ド ウ を 守 り 、 品 質 の 高 い 健 全 な ブ ド ウ を 生 産 す る こ と は 容 易 な こ と で は な い 。 日 本 は 雨 が 多 く 多 湿 な 気 候 で あ る た め 、 諸 外 国 の ワ イ ン 名 醸 地 に 比 べ 、 特 に 真 菌 や 卵 菌 に よ る ブ ド ウ へ の 被 害 が 多 い 。 山 梨 県 で 醸 造 用 ブ ド ウ を 栽 培 す る 上 で 注 意 す る べ き 糸 状 菌 病 害 は 、 ブ ド ウ 灰 色 か び (Botorytis cinerea)、 ブ ド ウ 晩 腐 病 (Colletotrichum gloeosporioides)、ブ ド ウ 黒 と う 病(Elsinoë ampelina)、ブ ド ウ べ と 病 菌(Plasmopara viticola)で あ る(Furuya et al. 2010、Jayasankar et al 2000、Mochizuki et al. 2012、Saito et al. 2009)。現在い ずれ の 糸状菌 に対 し て も 化 学 薬 剤 と ボ ル ド ー 液 を 併 用 し た 防 除 体 系 が 組 ま れ て お り 、果 樹 試 験 場 や JA な ど か ら 防 除 暦 が ブ ド ウ 生 産 者 へ 毎 年 配 布 さ れ て い る 。

一 方 、 化 学 薬 剤 に よ る 環 境 や 生 産 者 へ の 影 響 、 消 費 者 の 心 象 を 考 慮 し た 生 産 者 か ら 総 合 的 病 害 虫 管 理 方 式(IPM:Integrated Pest Management)という 考え 方 が 注 目 を 浴 び 始 め て い る ( 山 中 2010)。IPM とは 、「病 害虫 の防 除に関 し、 利用 可 能 な す べ て の 防 除 技 術 を 利 用 し 、 経 済 性 を 考 慮 し つ つ 、 人 や 環 境 へ の リ ス ク を 軽 減 、 も し く は 最 小 限 に 抑 え る た め の 適 切 な 手 段 を 総 合 的 に 講 じ る 」 と い う 概 念 で あ る (Food and Agriculture Organization of the United Nations 1966)。 つ ま り 、 天 敵 や 性 フ ェ ロ モ ン 、 微 生 物 農 薬 を 散 布 す る な ど の 生 物 的 防 除 や 、 太 陽 熱 処 理 、 粘 着 シ ー ト 、 防 虫 ネ ッ ト な ど を 使 用 し た 物 理 的 防 除 、 カ バ ー ク ロ ッ プ な ど

(6)

- 6 - の 対 抗 植 物 を 利 用 し た 栽 培 方 法 や 、 品 種 を 変 え る と い っ た 耕 種 的 防 除 な ど を 組 み 合 わ せ た 防 除 体 系 の 構 築 を 図 り つ つ 、 環 境 の 変 化 に よ っ て 圃 場 内 に お け る 病 害 虫 の 密 度 が 上 が っ て し ま っ た 場 合 に は 化 学 薬 剤 を 補 完 的 に 使 用 す る と い う 考 え 方 で あ る 。IPM では今 まで 基幹防 除と して使 用し てきた 化学 薬剤を あく までも 補完 と し て 使 用 す る こ と に よ り 、 化 学 薬 剤 の 使 用 量 を 無 理 な く 抑 え 、 減 農 薬 栽 培 に ス ム ー ズ に 移 行 す る こ と が で き る 。 山 梨 県 の 醸 造 用 ブ ド ウ 栽 培 に お い て も 、 獣 害 や 鳥 害 除 け の ネ ッ ト や 電 柵 、 袋 掛 け と い っ た 物 理 的 防 除 、 土 壌 病 害 に 強 い 台 木 の 選 抜 や 病 害 に 犯 さ れ な い よ う 剪 定 を 行 う な ど の 耕 種 的 防 除 が 行 わ れ て い る 。 加 え て 、 近 年 で は ブ ド ウ に 発 生 す る 糸 状 菌 病 に 対 す る 微 生 物 農 薬 の 開 発 も 積 極 的 に 行 わ れ て い る (Furuya et al. 2011、 Mochizuki et al. 2012)。

し か し 、 理 想 と は 裏 腹 に 、 我 が 国 で は 未 だ に 化 学 薬 剤 を 主 と し た 防 除 か ら 脱 す る こ と が で き て お ら ず 、 実 際 の 圃 場 で は 化 学 薬 剤 に 耐 性 を 示 す 「 薬 剤 耐 性 菌 」 が 出 現 す る と い う 新 た な 問 題 に 直 面 し て い る 。現 在 の 化 学 薬 剤 は 1970 年代の BHC や DDT に 代表さ れる 有機塩 素系 薬剤に よる 公害問 題の 教訓か ら化 学薬剤 の選 択 性 が 重 視 さ れ 、代 謝 毒 が 主 な 構 成 薬 剤 と な っ て い る( 残 留 農 薬 研 究 所 1972)。代 謝 毒 は 、 例 を 挙 げ る と 、 病 源 菌 の 核 酸 合 成 阻 害 や 呼 吸 阻 害 、 細 胞 壁 合 成 阻 害 と い っ た 作 用 機 構 に よ っ て い く つ か の 系 統 に 分 類 さ れ て お り 、 そ の 多 く は 病 原 菌 の 特 定 の 代 謝 に 関 わ る 酵 素 を ピ ン ポ イ ン ト に 阻 害 す る (Fungicide Resistance Action Committee 2013)。一 方、病 原菌 は度重 なる 化学薬 剤散 布によ る選 択圧に より 自 ら の DNA を変異 させ 、化学 薬剤 の標的 であ る酵素 をコ ードす る塩 基配列 上に 突 然 変 異 を 引 き 起 こ す 。 こ れ に よ り 、 化 学 薬 剤 に よ る 阻 害 効 果 を 回 避 し た 病 原 菌 は 薬 剤 耐 性 菌 と し て 圃 場 に 蔓 延 す る 。 薬 剤 耐 性 菌 が 日 本 で 問 題 視 さ れ る よ う に な っ た の は 、1971 年の ポリ オキシ ン耐 性ナシ 黒斑 病菌に よる 二十世 紀ナ シの被 害と カ ス ガ マ イ シ ン 耐 性 い も ち 病 菌 に よ る イ ネ の 被 害 か ら で あ る 。 ポ リ オ キ シ ン と カ ス ガ マ イ シ ン は 当 時 「 低 公 害 農 薬 」 と 呼 称 さ れ 、 代 謝 毒 を 主 成 分 と し た 化 学 薬 剤 と し て 頻 繁 に 使 用 さ れ て い た 。 こ の 年 以 降 か ら 多 種 多 様 な 病 原 菌 に 薬 剤 耐 性 菌 が 次 々 と 発 見 さ れ る よ う に な り 、 海 外 か ら も 薬 剤 耐 性 菌 の 情 報 が 頻 繁 に 入 っ て く る よ う に な っ た (Ishii et al. 2007、農 業環 境 技術研 究所)。薬 剤耐 性菌が 出現 する 想 定 リ ス ク に よ り 、 化 学 薬 剤 の 開 発 に は 化 学 薬 剤 に 対 す る 病 原 菌 の 感 受 性 試 験 が 必 須 と な り 、 従 来 よ り も 新 規 化 学 薬 剤 の 開 発 が 難 し く な っ て い る 。 加 え て 、 こ れ ま で 使 用 し て き た 化 学 薬 剤 に も 農 薬 取 締 法 に よ り 規 制 が か か り 、 回 数 制 限 や 使 用 禁 止 と な る も の が 続 出 し た( 農 林 水 産 省 )。現 在 、農 薬 登 録 さ れ て い る 化 学 薬 剤 の ラ イ ン ナ ッ プ は 非 常 に 多 く 見 え る が 、 大 半 が 薬 剤 耐 性 菌 に よ り 散 布 制 限 が か か っ て お り 、 実 際 の 圃 場 で 使 用 で き る 防 除 効 果 を 有 し た 化 学 薬 剤 の 駒 不 足 が 続 い て い る の が 現 状 で あ る 。

(7)

- 7 -

我 が 国 の ブ ド ウ 栽 培 も 例 外 で は な く 、 例 え ば quinone outside inhibitor (以 下 QoI) 殺菌 剤に対 し 耐性を 有す る病原 菌が 次々と 報告 されて いる (Ishii et al. 2007、Saito et al. 2009)。特に 2010 年に報 告された QoI 殺 菌剤 耐 性ブド ウべ と 病 菌 に よ る ブ ド ウ へ の 被 害 は 記 憶 に 新 し い 。QoI 殺菌剤 はフ ラン ス で 1997 年に 農 薬 登 録 さ れ た の を 皮 切 り に 世 界 中 で 使 用 さ れ て き た 。 我 が 国 に お い て も フ ラ ン ス と 同 年 に 農 薬 登 録 が 行 わ れ 、 ブ ド ウ 栽 培 で は 主 に ブ ド ウ べ と 病 防 除 に 使 用 さ れ て き た (Furuya et al. 2010)。 しかし 、2010 年の山梨 県内 にお い て は QoI 殺 菌 剤 耐 性 ブ ド ウ べ と 病 菌 が 蔓 延 し た こ と に よ り 、そ の 年 の QoI 殺 菌剤 による 防除 は 全 く 効 果 を 示 さ ず 、 ブ ド ウ べ と 病 に よ る 多 大 な 被 害 が 発 生 し た 。 結 果 と し て 山 梨 県 の ワ イ ン 生 産 量 は 前 年 度 よ り 26%減 産と な ってし まっ た(Furuya et al. 2010、 山 梨 日 日 新 聞 2010)。QoI 殺菌 剤耐 性ブド ウ べと病 菌は 北海道 を除 く全国 に発 生 し て お り 、こ れ 以 降 北 海 道 を 除 い た 日 本 の ブ ド ウ 栽 培 に お い て QoI 殺菌剤 は防 除 暦 か ら 姿 を 消 し つ つ あ る 。そ の た め 、新 た に carboxylic acid amid( 以下 CAA と 略 記 ) 殺 菌 剤 の 使 用 が 推 奨 さ れ て い る が 、 既 に 海 外 で は CAA 殺菌剤耐性 ブド ウ べ と 病 菌 が 出 現 し て い る た め (Gis et al. 2007)、CAA 殺菌剤の 使 用に対 して 何 ら か の 対 策 を 講 じ な け れ ば 、 日 本 国 内 に お い て も CAA 殺菌剤耐性 ブドウ べと 病 菌 が 出 現 す る の は 時 間 の 問 題 だ と 思 わ れ る 。 以 上 、 国 内 外 に お け る ブ ド ウ 栽 培 の 現 状 を 鑑 み る と 、 山 梨 県 内 の 薬 剤 耐 性 菌 の 出 現 頻 度 お よ び 分 布 を 把 握 し 、 そ れ に 対 応 し た 適 切 な 化 学 薬 剤 を 最 低 量 散 布 す る こ と を 的 確 に 指 導 で き る 体 制 が こ れ か ら の ブ ド ウ 栽 培 に は 必 要 で あ る 。 そ の た め に は 第 一 に 薬 剤 耐 性 菌 を 診 断 す る 技 術 開 発 が 必 須 で あ る 。 本 研 究 で は 山 梨 県 の 醸 造 用 ブ ド ウ 栽 培 に お け る 主 要 な 病 害 の な か で も 、 薬 剤 耐 性 獲 得 の リ ス ク が 高 い 病 原 菌 で あ る と Fungicide Resistance Action Committee(FRAC)に 指 摘され たブ ド ウ べ と 病 菌 を 対 象 と し 、 我 が 国 の ブ ド ウ 栽 培 に お い て 基 幹 防 除 剤 と な り つ つ あ る CAA 殺菌剤を標的 薬剤と して 化学薬 剤耐 性診断 技術 の開発 を推 し進め るこ と と し た 。

(8)

- 8 -

2 章 材料および方法

本 章 で は 、 本 研 究 で 使 用 し た 共 通 の 機 材 や 材 料 お よ び 実 験 方 法 に つ い て 説 明 し て い く 。

1 節 材料

2-1-1 試 薬 およ び 実 験機 器 【 試 薬 】

・REDExtract-N-AmpTM Plant PCR Kit: SIGMA ・ 各 種 プ ラ イ マ ー : 株 式 会 社 グ ラ イ ナ ー ジ ャ パ ン ・TaKaRa Ex TaqTM: 宝 酒 造 株 式 会 社

・ 制 限 酵 素 AluⅠ:Fermentas

・6×Loading Buffer:宝酒 造株 式会社 ・100bp+1.5Kb DNA Ladder:Sib Enzyme ・Agarose S: 和光純 薬工業 株式 会社

・Mighty TA-cloning Kit:宝酒 造株 式会 社 ・0.5 M EDTA(pH8.0):和 光純 薬工業 株式 会社

・Tris(酢 酸ナト リウ ム 三水和 物 ) :和 光純 薬 工業株 式会 社

・ エ チ ジ ウ ム ブ ロ マ イ ド ( 臭 化 エ チ ジ ウ ム ): ナ カ ラ イ テ ス ク 株 式 会 社 ・Nucleo Spin Gel and PCR Clean-up:宝 酒造株 式会 社

・ イ ソ プ ロ パ ノ ー ル : 和 光 純 薬 工 業 株 式 会 社 ・BactoTM Tryptone: 三光純 薬株 式会社 ・BactoTM Yeast Extract: 三光 純薬株 式会 社 ・ 塩 化 ナ ト リ ウ ム : ナ カ ラ イ テ ス ク 株 式 会 社 ・ 塩 化 カ リ ウ ム : ナ カ ラ イ テ ス ク 株 式 会 社 ・ 硫 酸 マ グ ネ シ ウ ム 七 水 和 物 : 関 東 化 学 株 式 会 社 ・ 塩 化 マ グ ネ シ ウ ム 六 水 和 物 : 関 東 化 学 株 式 会 社 ・D-グル コー ス: 和光 純薬工 業株 式会社 ・ 水 酸 化 ナ ト リ ウ ム : 和 光 純 薬 工 業 株 式 会 社 ・ ア ン ピ シ リ ン : 和 光 純 薬 工 業 株 式 会 社 ・LB 培地:ナ カラ イ テスク 株式 会社 ・ 寒 天 末 : ナ カ ラ イ テ ス ク 株 式 会 社

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- 9 - ・MultiNA DNA-500 試薬キ ット :島津 バイ オテッ ク ・TE バッファ ー( pH8):ナ カラ イテス ク株 式会社 ・SYBR ®Gold:イ ン ビトロ ジェ ン ・25bpDNA ラダー : インビ トロ ジェン 【 実 験 機 器 】 ・ 生 物 環 境 調 節 装 置 : 日 本 医 科 機 械 製 作 所 ・6 mm パン チ: ダイ ソー ・ 超 小 型 遠 心 分 離 機 チビタ ン:Millipore ・ ピ ペ ッ ト マ ン :Eppendorf/Gilson ・0.5-10 μL ピペ ット チップ : BMBio ・200 μL ピペッ トチ ップ: BMBio ・1 mL ピペッ トチ ッ プ: BMBio ・0.5 mL チュー ブ: BMBio ・0.2 mL PCR シング ルチュ ーブ : BMBio ・PCR 用サーマル サイ クラー : BIO RAD ・ プ ロ ワ イ プ : 大 王 製 紙 ・50 mL テルモ シリ ン ジ: TERUMO ・MN フィル ター: MACHEREY-NAGEL ・1.5 mL チュー ブ: BIO-BIK ・ 電 子 レ ン ジ ・ ボ ル テ ッ ク ス :TAITEC ・i-Mupid ミ ニゲル 泳 動槽: コス モ・バ イオ 株式会 社 ・Epi-Light UV FA 500:TAITEC ・2 ポジシ ョン キャ ッ プ付き チュ ーブ 12 mL:BMBio ・15 mL コニカ ルチ ュ ーブ: Orange Scientific ・ オ ー ト ク レ ー ブ BS-235 型:株 式会 社トミ ー精工 ・ 滅 菌 浅 型 シ ャ ー レ 90φ×15 mm: サン セイ 医療器 材㈱ ・10 mL 容ディ スペ ン サー: greiner bio-one ・ ク リ ー ン ベ ン チ ・DNA/RNA 分析等 マ イクロ チッ プ電気 泳動 装置 MultiNA:島 津バ イオテ ック ・ ガ ラ ス 製 噴 霧 器 : ア ズ ワ ン 株 式 会 社

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- 10 - 2-1-2 各 試 薬 の調 製 方法 ・50×TAE(250 mL ス ケール ) ①200 mL 容の ビーカ ーに Tris(hydroxymethyl)-aminomethane を 60.5g、 酢 酸 を 14.3 mL、0.5 M EDTA(pH8.0)25 mL、蒸留 水を 150 mL い れ、 ス タ ー ラ ー で 溶 け る ま で 良 く 撹 拌 し た 。 ②250 mL ま で 蒸留水 でメ スアッ プし た。 ③使 用す ると きは、 50 倍希釈 し 1×TAE にした。 ・ 電 気 泳 動 用 2.5 %アガロ ース (40 mL ス ケール ) ①100 mL 容の 三角フ ラスコに 1×TAE を 40 mL いれ た。 ②Agarose S を 1.0 g 加え、 煮沸 しない 程度 に電子 レン ジで加 熱し た。 ③ ア ガ ロ ー ス が 溶 け た ら 型 に ゲ ル を 流 し 込 み 、 コ ー ム を 差 し 込 ん で 固 ま る ま で 約 30 分 放置 した。 ・5 N 水酸化 ナト リ ウム (50 mL スケ ール ) ①100 mL 容 の ビーカ ーに 超純水 40 mL を入れた 。 ②ビ ーカ ーに 粒状の 水酸 化ナト リウ ムを 14.6 g 加え スタ ー ラーで 撹拌 し た 。 ③100 mL 容 の メスシ リン ダーで 50 mL にメスア ップ した 。 ・1 M 塩 化マ グネ シウ ム (100 mL ス ケー ル ) ①200 mL 容 の ビーカ ーに 超純水 80 mL を入れた 。 ②ビ ーカ ーに 塩化マ グネ シウム 六水 和物を 20.34 g 加 えス ターラ ーで 撹 拌 し た 。 ③100 mL 容 の メスシ リン ダーで 100 mL にメスア ップ した 。 ④オ ート クレ ーブ滅 菌し た。 ⑤100 mL 容 の メディ ウム 瓶に入 れ 4℃の冷 蔵棚 に保存 した 。 ・1 M 硫酸 マグ ネシ ウム (100 mL スケ ール ) ①200 mL 容 の ビーカ ーに 超純水 80 mL を入れた 。 ②ビ ーカ ーに 硫酸マ グネ シウム 七水 和物を 24.65 g 加 えス ターラ ーで 撹 拌 し た 。 ③100 mL 容 の メスシ リン ダーで 100 mL にメスア ップ した 。 ④オ ート クレ ーブ滅 菌し た。

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- 11 - ⑤100 mL 容の メディ ウム瓶 に入れ 4℃の 冷 蔵棚に 保存 した。 ・2 M D-グル コース (100 mL ス ケール ) ①200 mL 容 の ビーカ ーに 超純水 80 mL を入れた 。 ② ビ ー カ ー に D-グル コ ースを 36.03 g 加 えス ターラ ーで 撹拌し た。 ③100 mL 容 の メスシ リン ダーで 100 mL にメスア ップ した 。 ④ク リー ンベ ンチに て、 50 mL テル モシリ ンジと MN フ ィ ルター でフ ィ ル タ ー 滅 菌 し た 。 ⑤100 mL 容の メディ ウム瓶 に入れ 4℃の 冷 蔵棚に 保存 した ・SOC 培地(100 mL ス ケール ) ①200 mL 容 の ビーカ ーに 蒸留水 80 mL を 入れた 。

② ビ ー カ ー に Tryptone 2.0 g、 Yeast Extract 0.5 g、塩 化ナト リウ ム 0.05 g、塩 化カ リウム 0.019 g を加え スタ ー ラーで 撹拌 した。 ③100 mL 容の メスシ リンダ ーで 100 mL に メスア ップ した。 ④ビ ーカ ーに 戻した 後、5 N の 水酸 化ナト リウ ムを滴 下し ながら スタ ーラ ー で 撹 拌 し 、pH メー ターで pH 7.0 に調 整 した。 ④200 mL 容の 三角フ ラスコ に入 れ、オ ート クレー ブ滅 菌した 。 ⑤ 人 肌 ぐ ら い に 冷 ま し た 後 、 ク リ ー ン ベ ン チ に 移 し 1 M 塩化 マグ ネシウ ム 、1 M 硫酸 マグ ネシ ウムを 1 mL ずつ 加え た。 ⑥2 M D-グル コース を 1 mL 加 え軽く 撹拌 した。 ⑦15 mL コニカ ルチ ュ ーブに 10 mL ず つ分注 し、4℃ の冷 蔵庫 に保 存 し た 。 ・ ア ン ピ シ リ ン 含 有 LB 寒天培地(100 mL スケー ル) ①200 mL 容 の フラス コに 2.0 g の LB 培地を入れ 、寒 天末 を 1.5 g 入 れ た 。 ②蒸 留水を 100 mL 入れ 、オ ート ク レーブ 滅菌 した。 ③滅 菌が 終わ りおお よそ 60℃ ほど ま で冷ま した 後、ク リー ンベン チ内 に て ア ン ピ シ リ ン を 100 μL 入れ た。 ④10 mL 容 ディス ペン サーで 滅菌 浅型シ ャー レに分 注し 、冷え 固ま る ま で ク リ ー ン ベ ン チ 内 に 放 置 し た 。

(12)

- 12 - ・MultiNA 用分離 バッ ファー ①1.5 mL チュ ーブに TE バッフ ァー 99 μL および SYBR ®Gold を 1 μL 加 え た 。 ②ボ ルテ ック スで 10 秒以 上撹 拌し 、希釈 色素 溶液を 作成 した。 ( 冷 暗 所 で3 日間 保存 が可能 )

③MultiNA DNA-500 試薬 キット に含 まれる DNA-500 分離 バッフ ァー を 1980 μL、 希釈 色素 溶 液 20 μL を専 用バ イア ルに加 えた 。 ④ボ ルテ ック スで専 用バ イアル を 10 秒以上撹 拌し 、MultiNA 用分離バッ フ ァ ー と し た 。

2 節 実験方法

2-2-1 ブ ド ウべ と 病菌 DNA の抽 出 方 法 各 圃 場 か ら 分 譲 し て い た だ い た ブ ド ウ べ と 病 羅 病 葉 か ら 6 mm パン チによ って 病 斑 リ ー フ デ ィ ス ク を 作 成 し た 。そ の 後 、REDExtract-N-AmpTM Plant PCR Kit の マ ニ ュ ア ル に 従 い 、 病 斑 リ ー フ デ ィ ス ク か ら ブ ド ウ べ と 病 菌 DNA の抽出 を行 っ た 。 本 研 究 に お い て は 多 検 体 を 研 究 材 料 と す る た め ブ ド ウ べ と 病 菌 の 単 胞 子 分 離 は 行 っ て お ら ず 、1 サンプ ルは 1 病斑 を形 成する ブド ウべと 病菌 を意味 する 。 2-2-2 ア ガ ロ ース ゲ ルか ら の DNA 抽出 電 気 泳 動 に よ り 分 離 さ れ た 目 的 サ イ ズ の バ ン ド(DNA)をア ガロー スゲル から 抽 出 し た 。 火 炎 滅 菌 し た カ ッ タ ー と ピ ン セ ッ ト を 用 い て 、UV 照 射 台の上 でバ ン ド を 切 り だ し た 。 切 り 出 し た バ ン ド を 1.5 mL チューブ に入れ、 Nucleo Spin Gel and PCR Clean-up の マニュ アル に従い アガ ロース ゲル から DNA を抽出 した 。

2-2-3 ラ イ ゲ ーシ ョ ン

ア ガ ロ ー ス ゲ ル か ら 抽 出 し た DNA を Mighty TA-cloning Kit に よ りライ ゲー シ ョ ン し た 。 ラ イ ゲ ー シ ョ ン 反 応 液 の 組 成 を 以 下 に 示 す 。

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- 13 - ラ イ ゲ ー シ ョ ン 反 応 液 の 組 成 :

DNA 溶液 1.5 μL

2×Rapid Ligation Buffer 2.5 μL pGEMⓇ-T Easy Vector 0.5 μL

T4 DNA Ligase 0.5 μL 合 計 5 μL 上 記 の 通 り に 調 製 し た 後 、16℃で 4-16 時間 ライゲ ーシ ョン反 応を 行った 。 2-2-4 大 腸 菌 への 形 質転 換 ラ イ ゲ ー シ ョ ン 産 物 を 大 腸 菌 に 形 質 転 換 し た 。-80℃ で保存 して ある 50 μL の 大 腸 菌 JM109 株 コン ピテン トセ ル溶液 を溶 解した 。ラ イゲー ショ ン反応 液を コ ン ピ テ ン ト セ ル 溶 液 に 全 量 加 え 、30 分間 氷中 に置い た 。40℃で 2 分 間熱処 理を 行 い 、 す ぐ に 氷 中 に 戻 し 2 分間 静置 した 。あら かじ め 37℃ に加 熱し た SOC 培 地を 200 μL 加えた 後、37℃、130 rpm で 1 時間 振盪培 養し た。室 温、 8000 rpm で 3 分 間 遠 心 分 離 し た 後 、 上 清 200 μL を捨 て、 残りの 液を 用いて ピペ ッティ ング に よ り コ ン ピ テ ン ト セ ル を 再 懸 濁 し た 。 そ の 後 、100 μg/ mL アン ピ シリン 含有 LB 寒 天 培 地 に 懸 濁 液 を 全 量 塗 布 し 、37℃で 一晩 培養し た。 2-2-5 コ ロ ニ ーPCR LB 寒 天培 地上 で生 育した 大腸 菌コロ ニー をいく つか マーキ ング した。 PCR 用 チ ュ ー ブ に 滅 菌 水 7.6 μL を入れた。滅菌 した 爪楊枝 でマ ーキン グし たコロ ニー を つ つ き 、 チ ュ ー ブ 内 の 滅 菌 水 中 で よ く 懸 濁 し た 。 サ ー マ ル サ イ ク ラ ー で 95℃、 5 分 間 熱 処 置 し た 後 、す ば や く 氷 中 に 移 し 、10 分間静 置し た。下記 に 示した プラ イ マ ー を 含 め た コ ロ ニ ーPCR 反応液を調整 した 。チュ ーブに PCR 反応 液 2.4 μL を 加 え ( 合 計 10 μL の PCR 反応液)、以 下 の PCR 条 件 に よ り PCR 反 応 を 行 っ た 。 コ ロ ニ ーPCR 用の プ ライ マー M13-BDFw 5’-CAGGGTTTTCCCAGTCACGA-3’ M13-BDRv 5’-CGGATAACAATTTCACACAGG-3’

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- 14 - コ ロ ニ ーPCR 反応液の 組成: 10×buffer 1 μL 2.5mM dNTP Mixture 0.8 μL M13-Fw primer (10 μM) 0.25 μL M13-Rv primer (10 μM) 0.25 μL Taq polymerase 0.1 μL 合 計 2.4 μL PCR 反応条件: 95℃ 15min 95℃ 20sec 54℃ 20sec 72℃ 30sec 72℃ 5min 4℃ ∞ PCR 産物は電気泳 動に より確 認し た。目 的の サイズ(ベク ター 部位 200bp+イ ン サ ー ト 144bp)のバ ンドが 現れ たもの を目 的の DNA を持つ 形質 転換体 と判 断 し た 。 2-2-6 プ ラ ス ミド 精 製 ア ン ピ シ リ ン(100 μg/mL 含 有)の入った LB 培地 3 mL を 12 mL 容チュー ブ に 分 注 し た 。 マ ー キ ン グ し た コ ロ ニ ー を 爪 楊 枝 で つ つ き 、 爪 楊 枝 ご と チ ュ ー ブ に 入 れ 37℃ で一晩 振盪 培 養した 。培 養液を 1.5 mL 容チュー ブに デキ ャンタ し、 室 温 、8000 rpm で 3 分 間遠心 分離 した。 上清 みを捨 てた 後、残 りの 培養液 をチ ュ ー ブ に 加 え 、 同 様 に 遠 心 分 離 を 行 っ た 。 上 清 み を 捨 て た 後 、 沈 殿 し た 大 腸 菌 か ら Nucleo Spin Plasmid Quick Pure のマ ニュ アルに 従い プラス ミド を精製 した 。プ ラ ス ミ ド 溶 液 2 μL を ローデ ィン グバッ ファ ー 1 μL と混 ぜ 、1%ア ガロー スゲ ルに ア プ ラ イ し 、 電 気 泳 動 に よ り プ ラ ス ミ ド 精 製 の 確 認 を 行 っ た 。

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- 15 - 2-2-7 DNA シ ー ケンス 下 記 の 組 成 で DNA サンプ ルを 調整し 、(株 )グ ラ イ ナ ー ジ ャ パ ン に 送 付 し た 。 な お 、プ ラ イ マ ー は コ ロ ニ ーPCR で使用 し た M13-Fw primer を 使用し た。 DNA サンプル の組 成 : 滅 菌 純 水 8 μL M13-Fw primer 2 μL 抽 出 し た プ ラ ス ミ ド 溶 液 4 μL 合 計 14 μL

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3 章 ASP-PCR 法による CAA 殺菌剤耐性遺伝子の検出

1 節 緒言

圃 場 な ど か ら 採 集 し た 病 原 菌 の 化 学 薬 剤 耐 性 診 断 を 行 う 場 合 、 対 象 と す る 化 学 薬 剤 を 含 ん だ 寒 天 培 地 上 で 病 原 菌 を 培 養 し 、病 原 菌 の 成 長 を 観 察 す る こ と に よ り 、 そ の 化 学 薬 剤 に 対 す る 病 原 菌 の 耐 性 度 を 判 断 す る の が 一 般 的 で あ る 。 し か し な が ら 、 ブ ド ウ べ と 病 菌 は ブ ド ウ の 生 き た 細 胞 か ら の 栄 養 供 給 が 必 須 な 絶 対 寄 生 菌 で あ る た め 、寒 天 培 地 上 で の 培 養 は 不 可 能 で あ る( 稲 葉 2002)。こ の ブドウ べと 病 菌 の 不 可 避 な 特 性 の た め 、 ブ ド ウ べ と 病 菌 の 化 学 薬 剤 耐 性 診 断 は 生 き た ブ ド ウ の 葉 上 で 行 わ ざ る を え な い (Sierotzki et al. 2003)。こ の葉 上で の化 学薬剤 耐性 診 断 方 法 は 時 間 と 手 間 、 絶 対 寄 生 菌 を 扱 う 専 門 的 な 技 術 が 必 要 な 割 に 診 断 結 果 の 再 現 性 が 低 い と 言 わ れ て い る (Wong et al. 2000)。ま た、1 回 の調 査 で 100 検体を 超 え る よ う な 多 検 体 を 診 断 す る モ ニ タ リ ン グ に は 不 向 き で あ る 。 一 方 、 現 在 の 化 学 化 学 薬 剤 の 主 成 分 で あ る 代 謝 毒 に 対 し 耐 性 を 示 す 薬 剤 耐 性 菌 で は 、 化 学 薬 剤 が 標 的 と す る 特 定 の 酵 素 を コ ー ド す る 遺 伝 子 に 変 異 が 入 る こ と が 耐 性 獲 得 の 鍵 で あ る 。 そ の た め 、 遺 伝 子 変 異 部 位 を 解 析 す る 化 学 薬 剤 耐 性 診 断 方 法 が い く つ か 開 発 さ れ て い る (Cañas et al. 2006、Saito et al. 2009)。

本 研 究 で 標 的 化 学 薬 剤 と す る CAA 殺菌剤は 、卵菌 に特 異的に 効果 のある 殺菌 剤 で あ り 感 染 後 で も 葉 内 へ 浸 透 し 殺 菌 効 果 を 示 す こ と か ら 、 卵 菌 病 の 治 療 剤 と し て 位 置 づ け ら れ て い る ( 平 田 2009、 Miyake et al. 2005)。卵 菌は ブドウ べと 病 菌 を は じ め と し て ジ ャ ガ イ モ 疫 病 菌 、 ト マ ト 疫 病 菌 、 キ ュ ウ リ べ と 病 菌 、 タ マ ネ ギ べ と 病 菌 な ど が あ り 、 中 で も ブ ド ウ べ と 病 菌 は CAA 殺菌剤に対 し耐性 を獲 得 し や す い と 報 告 さ れ て い る (Fungicide Resistance Action Committee 2013、 尾 崎 2013)。日 本に おい て CAA 殺菌剤に対 す る薬剤 耐性 菌はい ずれ の卵菌 にも 報 告 さ れ て い な い が 、 海 外 の 複 数 の 国 で CAA 殺菌剤 耐性 ブドウ べと 病菌、 CAA 殺 菌 剤 耐 性 ジ ャ ガ イ モ 疫 病 菌 は 既 に 確 認 済 み で あ る 。 FRAC の調査で は、フ ランス 、ド イツ、 イタ リア、 スイ ス、オ ース トリア 、ハ ン ガ リ ー に て CAA 殺菌剤耐 性ブ ドウべ と病 菌の発 生例 が報告 され ている 。 CAA 殺 菌 剤 に は い く つ か の 種 類 が あ り 、日 本 で 農 薬 登 録 さ れ て い る の は ジ メ ト モ ル フ 、 ベ ン チ ア バ リ カ ル ブ イ ソ プ ロ ピ ル お よ び マ ン ジ プ ロ パ ミ ド の 3 剤で ある。ジメ ト モ ル フ は 、1988 年 から フラン スで 農薬登 録が されて おり、日本 では 1997 年に農 薬 登 録 が さ れ 、 ブ ド ウ べ と 病 菌 へ の 使 用 も 同 年 に 認 め ら れ て い る 。 ま た 、 ベ ン チ ア バ リ カ ル ブ イ ソ プ ロ ピ ル 、 マ ン ジ プ ロ パ ミ ド は 1993 年に発 足し た欧州 委員 会 に よ り 、そ れ ぞ れ 2005 年と 2006 年に 農薬 登録が 行わ れ、日本 で の農薬 登録 およ

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び ブ ド ウ べ と 病 へ の 使 用 は 2009 年に許 可さ れてい る ( 独立行 政法 人農林 水産 消 費 セ ン タ ー 、Gis et al. 2007)。これ らの 3 剤 のいず れか に耐性 を示 すブド ウべ と 病 菌 は す べ て の CAA 殺菌剤 に耐 性を示 すこ とから 、 CAA 殺菌剤耐 性は正 の交 叉 耐 性 で あ る (Gis et al. 2007、Young et al. 2005)。

い ず れ の CAA 殺菌剤 も卵菌 の細 胞壁合 成に 関与す るセ ルロー ス合 成酵素 に作 用 し 、酵 素 活 性 を 阻 害 す る 。こ の た め 、CAA 殺菌剤 に晒 された 卵菌 の細胞 壁合 成 は 阻 害 さ れ 、胞 子 嚢 発 芽 ま た 発 芽 管 発 芽 お よ び 菌 糸 伸 長 が 抑 制 さ れ る(Blum et al. 2010)。Blum ら(2010)は、 ブド ウべ と病 菌のセ ルロ ース合 成遺 伝子 PvCesA3 (GenBank アク セッ ション 番号 GQ258975)の 1105 番目 のコド ンが GGC(グ リ シ ン )か ら AGC( セ リン)に変 異する( G1105S 変異 )こ とに よ りブド ウべと 病 菌 は CAA 殺菌剤耐 性を獲 得す ると報 告し た。本 章で は、こ の報 告に基 づき 、

PvCesA3遺 伝 子 を 標 的 と し た Allele specific primer-polymerase chain reaction (ASP-PCR)法 をもと に CAA 殺菌剤耐性遺 伝子の 検出 法を開 発す る。ASP-PCR 法 は 、PCR プライマ ー と鋳型 DNA のミ スマ ッチ数 によ り、PCR プライマ ーが 鋳 型 DNA から乖離 して しまう 性質 を利用 した PCR 法の変種であ る (Akiko et al. 2007)。 一般的 に、 鋳 型 DNA から の PCR プ ライマ ーの 乖離は ミス マッチ 配列 が 連 続 で 2 つ以 上ある と きに起 こり 、この 乖離 部分 で DNA ポ リメ ラ ーゼ は DNA 合 成 を 止 め て し ま う 。こ の DNA ポリメ ラー ゼの特 性を 利用し 、CAA 殺菌剤耐性 獲 得 を 賦 与 す る G1105S 変異を 検出 可能な ASP-PCR 法を開発 した 。

2 節 材料および 方法

3-2-1 CAA 殺 菌 剤感受 性 遺 伝 子 断片 の 作 製 研 究 室 保 存 の ブ ド ウ べ と 病 菌 か ら コ ド ン 1105 番を挟 むよう にPvCesA3遺 伝 子 の 3308-3327 お よび 3451-3432 番目 を増 幅 するプ ライ マーを 作成 した。 以下 に プ ラ イ マ ー の 塩 基 配 列 、PCR 反応液組成 およ び PCR 反応条件を示 す。 P. viticolaの PvCesA3遺 伝 子 か ら 設 計 し た プ ラ イ マ ー PvCesA3 Fw 3308-3327 5’-TTTGGCTTCTTCGTCATGAG-3’ PvCesA3 Rv 3451-3432 5’-CTGCACAAACACGACAATGT-3’

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- 18 - PCR 反応液の組成 : 滅 菌 超 純 水 5.53 μL 10×buffer 1 μL 2.5mM dNTP Mixture 0.35 μL PvCesA3 Fw (10 μM) 1 μL PvCesA3 Rv (10 μM) 1 μL Taq polymerase 0.12 μL DNA テンプレ ート 1 μL 合 計 10 μL PCR 反応条件: 95℃ 3min 95℃ 30sec 54℃ 30sec 72℃ 30sec 72℃ 2min 4℃ ∞ PCR 産物をシーク エン スし、コドン 1105 番目 に変異 が入 ってい ない PCR 産物 を 「CAA 殺菌剤感 受性 遺伝子 断片 」とし た。 3-2-2 CAA 殺 菌 剤耐性 遺 伝 子 断 片の 作 製 CAA 殺菌剤耐性ブ ドウ べと病 菌は 日本で は発 見され てい ないた め 、 DNA の人 工 合 成 法 に よ り 「CAA 殺菌剤 耐性 遺伝子 断片 」を作 製し た。PvCesA3遺 伝 子 の 3291 から 3451 番 目の 遺伝子 断片 ( 160 bp) を人工 合成 する際 に、 1105 番目 の コ ド ン を GGC から AGC に変異させ た。 DNA の人工合成 はラ イフ テクノ ロジ ー ズ ジ ャ パ ン 株 式 会 社 に 委 託 し た 。そ の 際 、合 成 の 関 係 上 で 前 に 26bp、後ろに 45bp の 任 意 の 塩 基 が 付 加 さ れ 、 最 終 的 な 人 口 DNA 断片は 231bp となっ た(図 1)。 35Cycles

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- 19 - 3-2-3 ASP-PCR プ ライ マ ー の 選 抜 ブ ド ウ べ と 病 菌 の PvCesA3遺 伝 子 の 3396-3422 番目 の塩 基配 列 から 6 つ のフ ォ ワ ー ド プ ラ イ マ ー (PvCesA3 Fw2-Fw7) と 3451-3432 番 目の塩 基配列 か ら 1 つ の リ バ ー ス プ ラ イ マ ー (PvCesA3 Rv2) を 設 計 し た 。 こ れ ら の PCR プライマ ー と 人 工 合 成 し た CAA 殺菌剤耐性 遺伝 子断 片を ASP-PCR 法に供 試し、電気泳 動 法 に よ るPCR 増 幅バ ンドの 有無 で本研 究の 目的に 適し たプラ イマ ーを選 抜し た。 以 下 に 使 用 し た プ ラ イ マ ー の 塩 基 配 列 と 、PCR 反応組成 液、PCR 反応条 件を 示 す 。 ASP-PCR 法のための PCR プライマー PvCesA3 Fw2:5’-TGTGTTAAGCTCGTTGCTGG-3’ Fw3:5’-AACTCGTTGCTGGTTGTCTA-3’ Fw4:5’-TGTGTTCAAGTCGTTGCTGG-3’ Fw5:5’-CAACTCGTTGCTGGTTGTCT-3’ Fw6:5’-TGTGTTAAACTCGTTGCTGG-3’ Fw7:5’-TTACGGCAAATGTGTTAAGC-3’ PvCesA3 Rv2:5’-CTGCACAAACACGACAATGT-3’ PCR 反応液の組成 : 滅 菌 超 純 水 5.53 μL 10×buffer 1 μL 2.5mM dNTP Mixture 0.35 μL PvCesA3 Fw2-7 (10 μM) 1 μL PvCesA3 Rv2 (10 μM) 1 μL Taq polymerase 0.12 μL DNA テンプレ ート 1 μL 合 計 10 μL

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- 20 - PCR 反応条件: 95℃ 3min 95℃ 30sec 65℃ 30sec 72℃ 30sec 以 下 ア ニ ー リ ン グ 温 度 を 1℃ 下 げるご とに 2 Cycle ず つ行う (合 計 8Cycles) 95℃ 30sec 60℃ 30sec 72℃ 30sec 72℃ 2min 4℃ ∞

3-2-4 リ ボ ソ ーム RNA プ ラ イマ ー を 加えた multiplex ASP-PCR 法 の 確立

前 項 で 選 抜 し た プ ラ イ マ ー と リ ボ ソ ー ム RNA プ ラ イ マ ー を 加 え て 行 う multiplex ASP-PCR 法 を構築 した。内部 標準 遺伝子 とし て、ブ ドウ べと病 菌の リ ボ ソ ー ム RNA 遺伝 子 ( GenBank アク セッ ション 番号 AY035524)を選 択し た。 リ ボ ソ ー ムRNA 遺伝 子の 278-297 番 目お よ び 543-524 番目 の塩 基 配列よ り PCR プ ラ イ マ ー ( そ れ ぞ れ 、Pv-rDNA226 Fw、Pv-rDNA226 Rv)を 設 計した 。以 下 に PCR プライマーの 塩基配 列、 PCR 反応組 成液お よび PCR 反応条件を 示す 。

P. viticolaの リ ボ ソ ー ム RNA 遺伝子から設 計した multiplex ASP-PCR 法用 プ ラ イ マ ー

Pv-rDNA226 Fw:5’-CCGTGAGGGAAAGATGAAAA -3’

Pv-rDNA226 Rv:5’-AGCGTAAGCCCTACCTCCTC -3’

2Cycles

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- 21 - PCR 反応液の組成 : 滅 菌 超 純 水 11.06 μL 10×buffer 2 μL 2.5mM dNTP Mixture 0.7 μL 選 別 し た プ ラ イ マ ーFw (10 μM) 1 μL PvCesA3 Rv ( 10 μM) 1 μL Pv-rDNA226 Fw (10 μM) 1 μL Pv-rDNA226 Rv (10 μM) 1 μL Taq polymerase 0.24 μL DNA テンプレ ート 2 μL 合 計 20 μL PCR 反応条件: 95℃ 3min 95℃ 30sec 65℃ 30sec 72℃ 30sec 以 下 ア ニ ー リ ン グ 温 度 を 1℃ 下 げるご とに 2 Cycle ず つ行う (合 計 8Cycles) 95℃ 30sec 60℃ 30sec 72℃ 30sec 72℃ 2min 4℃ ∞ 電 気 泳 動 後 、 エ チ ジ ウ ム ブ ロ マ イ ド 染 色 に よ り 、PCR 産物を 染色 し、 PCR 産 物 の 増 幅 の 有 無 に よ り multiplex ASP-PCR の有効性 を確 認した 。 2Cycles 25Cycles

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3 節 結果および 考察

3-3-1 CAA 殺菌 剤 感受 性 遺 伝 子 断片 の 作 製 2009 年度 に採 集し た ブドウ べと 病菌 DNA から表 1 で示 した 10 サンプ ルを 任 意 に 選 択 し 、 コ ド ン 1105 番目 の塩基 配列 を 確認し た。 その結 果、 すべて のサ ン プ ル が G1105S 変異 を 持たな いこ とが示 唆さ れた(図 2)。こ の結果 を受け 、第 3 章 第 2 節の 方法 に従 い 、 長野 09No01 から CAA 殺菌剤感受 性遺 伝 子断片 を作製 し た 。 3-3-2 ASP-PCR 法 に適 し た プ ラ イマ ー の 選抜 コ ド ン1105 番 目を 挟むよ うに PvCesA3遺 伝 子 か ら 作 製 し た 6 つのフ ォワ ード プ ラ イ マ ー お よ び リ バ ー ス プ ラ イ マ ー を 用 い て 、 表 1 で 示した CAA 殺菌剤感受 性 ブ ド ウ べ と 病 菌 DNA あるいは CAA 殺菌剤耐性 遺伝 子断片 をテ ンプレ ート に ASP-PCR 法を実施 し た(図 3)。 予 備 実 験 と し て 、通 常 の PCR 反応条件で ASP-PCR を行った場 合 、ゲル電 気泳 動 に よ る 再 現 性 が 担 保 さ れ な か っ た ( デ ー タ 示 さ ず )。 そ こ で 、PCR 反応条件 を 改 変 す る こ と を 目 的 に Touchdown PCR 法(Darren et al. 2008)を 応用す るこ と と し た 。Touchdown PCR 法は最初に アニー リング 温度 を高め に設 定する こと で、 ア ニ ー リ ン グ の 精 度 を 上 げ る 方 法 で あ り 、ASP-PCR 法の プ ラ イ マ ー が よ り正 確 に CAA 殺菌剤耐性遺 伝子に アニ ーリン グす ると想 定し た。し かし 、アニ ーリ ン グ 温 度 が そ の ま ま 高 い ま ま で あ る と そ の 後 の 増 幅 効 率 が 悪 く な る た め 、65℃か ら 60℃へ アニー リン グ温 度を 1℃ず つ下 げて い く 方法 を取 り入れ た 。 各種条 件で 予 備 実 験 を 実 施 し た 結 果 、ア ニ ー リ ン グ・増 幅 条 件 と し て 1℃ 下げ る ごとに 2 Cycle ず つ PCR を行い、60℃ に到達 後は そのま ま 60℃で残 りの PCR Cycle を行う 方法 を 採 用 す る こ と と し た ( 本 章 3-2-1 を参照)。

図 3 は ASP-PCR 法に適した プラ イマー の選 抜結果 を示 した 。09Oy01 DNA お よ び 09Oi02 DNA は DNA シーケンス 解析( 表 1)により CAA 殺菌 剤感受 性遺 伝 子 を ホ モ で 持 っ て い る こ と が 明 ら か で あ る た め 、フ ォ ワ ー ド プ ラ イ マ ー の 2 つ の ミ ス マ ッ チ 塩 基 が 有 効 に 働 い て い れ ば 、PCR 増幅バ ンド は得ら れな い。逆に 、人 工 合 成 し た CAA 殺菌剤耐性 遺伝 子断片 に対 してバ ンド が確認 され たプラ イマ ー は 本 研 究 が 目 的 と す る ASP-PCR 法に適し て いると 言え る。結 果と して、 これ ら の 条 件 を 満 た し た プ ラ イ マ ー は PvCesA3 Fw7 のみであ った (図 3)。 図 4 に本研 究で構 築し た ASP-PCR 法の概要 を示し た。ブ ドウ べと 病菌に CAA

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殺 菌 剤 耐 性 を 賦 与 す るG1105S を標 的に 鋳型 DNA のミスマ ッチ を 作製し た結 果、

PvCesA3 Fw3/PvCesA3 Rv2 の組 み合 わせに より CAA 殺菌剤感受 性遺伝 子で は PCR 反応が行われ ず 、CAA 殺菌剤耐性遺 伝子 でのみ PCR 産物が増 幅する シス テ ム の 構 築 に 成 功 し た 。本 法 は 罹 病 組 織 か ら DNA さえ抽出で きれ ば 一度の PCR 反 応 で 診 断 結 果 が 得 ら れ る 。 実 際 に は DNA 抽 出から 電気 泳動ま で 3 時間以 内に 完 結 す る こ と が 出 来 る 。 し た が っ て 、 こ れ ま で の 伝 統 的 な 生 物 検 定 に 比 べ 、 格 段 に 化 学 薬 剤 耐 性 診 断 を ス ピ ー ド ア ッ プ で き る 技 術 で あ る 。ま た 、接 種 葉 を 準 備 す る 、 接 種 原 を 調 整 す る な ど の 煩 雑 か つ 熟 練 の 手 技 が 必 要 で な い た め 、 誰 に も が 使 用 で き る 汎 用 的 な 方 法 で あ る と 言 え る 。 3-3-3 ASP-PCR 法 の感 度 検 定

前 項 で 確 立 し た ASP-PCR の感度検定 を実施 した。09No01 DNA か ら作製 した CAA 殺菌剤感受性 遺伝 子断片 およ び 人工 合成 した CAA 殺菌剤耐性 遺伝子 断片 を そ れ ぞ れ 0.415 ng/μL に調製 した 後、複 数の 濃度組 み合 わせで 混合 し ASP-PCR 法 に DNA テンプ レー トとし て供 試した 。な お、DNA テンプレ ート の最終 濃度 は 0.415 ng と した 。

マ イ ク ロ チ ッ プ 電 気 泳 動 装 置 MultiNA によ って PCR 産物のピー クライ ンを 確 認 し た 結 果( 図 5)、本 ASP-PCR 法は約 0.1 ng の CAA 殺菌剤耐性 遺伝子が DNA サ ン プ ル に 存 在 す れ ば 検 出 で き る こ と 、CAA 殺菌剤 感受 性遺伝 子と CAA 殺菌剤 耐 性 遺 伝 子 がDNA サ ンプル 内に 混在し た場 合でも CAA 殺菌剤 耐 性遺伝 子を 十分 検 出 で き る こ と が 示 唆 さ れ た 。 前 項 の 結 果 を 踏 ま え 、本 研 究 で 確 立 し た ASP-PCR 法は感 度が高 く、迅速に CAA 殺 菌 剤 耐 性 遺 伝 子 を 検 出 で き る 技 術 で あ る と 結 論 付 け た 。 た だ し 、 本 ASP-PCR 法 を 行 な う 上 で い く つ か の 問 題 点 が 想 定 さ れ た 。 そ の ひ と つ は 、 人 為 的 ミ ス な ど に よ りPCR 反応事 態 が上手 く起 こらな かっ た場合 であ る。本 ASP-PCR 法は CAA 殺 菌 剤 耐 性 を 賦 与 す る G1105S 変異 を標 的と してい るた め、CAA 殺菌剤感 受性 ブ ド ウ べ と 病 菌 DNA からは PCR 増幅バンド が得ら れな い。し かし ながら 、試薬 の 入 れ 忘 れ な ど の 人 為 的 ミ ス は 実 験 に 付 き 物 で あ る 。PCR 反応自 体が 何らか の人 為 的 ミ ス な ど で 上 手 く 起 こ ら な か っ た 場 合 を 想 定 す る と 、「PCR 増幅 が起こ らな い =CAA 感受性であ る」という 診断 結果の 信憑 性は揺 らい でしま う。そこ で 、次項 で は 人 為 的 ミ ス な ど に よ る 誤 診 を 回 避 す る 方 法 と し て multiplex ASP-PCR 法を 構 築 し た 。

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- 24 - 3-3-4 multiplex ASP-PCR 法 の確 立

リ ボ ソ ー ムRNA プライマ ーを 加えて 実施 した multiplex ASP-PCR 法の結果を 図 6 に示 した。CAA 殺菌剤 感受 性ブド ウべ と病菌 から 抽出し た DNA を DNA テ ン プ レ ー ト と し た 場 合 、リ ボ ソ ー ム RNA の PCR 増幅バンドの みが 増幅し た( 図 6 レーン S)。一 方、CAA 殺菌剤耐性 遺伝子 断片を multiplex ASP-PCR 法に供試 し た 場 合 、 リ ボ ソ ー ム RNA 由来の PCR 増幅産物と CAA 殺菌剤耐 性遺伝 子断 片 由 来 の PCR 増幅バン ドが増 幅し た(図 6 レ ーン R)。し たがっ て、リボソ ーム RNA プ ラ イ マ ー を 組 み 込 ん だ multiplex ASP-PCR 法は実験手 技な どの 人為的 ミス に よ る 誤 診 を 回 避 す る た め に 有 効 で あ る と 結 論 付 け た 。 multiplex ASP-PCR 法 は 数 種 類 の 化 学 薬 剤 耐 性 診 断 を 一 度 に 行 う た め の 手 段 と も な る で あ ろ う 。 例 え ば 、QoI 殺 菌 剤 耐 性 ブ ド ウ べ と 病 菌 の 診 断 法 と し て PCR-RFLP 法が確立さ れてい るが( Furuya et al. 2008)、本 章と同 様のス トラ テ ジ ー でQoI 殺菌剤 耐性 を診断 でき るプラ イマ ーセッ トを 見つけ るこ とが出 来れ ば、 multiplex ASP-PCR 法によ り一 度の PCR 法により CAA 殺菌剤 耐性と QoI 殺菌 剤 耐 性 を 同 時 に 検 出 す る こ と が 可 能 と な る か も し れ な い (Aoki et al. 2011)。同 様 に 、 他 の 化 学 薬 剤 耐 性 に 関 し て も 耐 性 を 診 断 で き る プ ラ イ マ ー セ ッ ト が 作 成 で き れ ば 、multiplex ASP-PCR 法はさらに 複数 の化学 薬剤 に対し 一度 の PCR 法で 耐 性 診 断 が 行 え る 可 能 性 を 秘 め て い る 。

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- 25 - 表 1 PvCesA3遺 伝 子 コ ド ン 1105 番シ ーケ ンス解 析 サンプル名 採 集 場 所 PvCesA3 コ ド ン 1105a 耐 性 判 定 b 09Oy01 岡 山 Gly [GGC] S 09Oy02 岡 山 Gly [GGC] S 09Oy03 岡 山 Gly [GGC] S 09Oy04 岡 山 Gly [GGC] S 09Oi01 大 分 Gly [GGC] S 09Oi02 大 分 Gly [GGC] S 09Sg01 佐 賀 Gly [GGC] S 09Sg02 佐 賀 Gly [GGC] S 09No01 長 野 Gly [GGC] S 09No02 長 野 Gly [GGC] S a:コドン 1105 番 目の アミノ 酸 [塩基 配列 ]を 表す。 b:S は シーケ ンス 解 析結果 で感 受性の 遺伝 子型で あっ たこと を表 す。

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- 26 - 図 1 本研 究で 供試 す る CAA 殺菌剤耐性遺 伝子断 片 A、 T、 G、 C は そ れ ぞ れ ア デ ニ ン 、 チ ミ ン 、 グ ア ニ ン 、 シ ト シ ン を 表 す 。 左 端 の 数 字 は 何 塩 基 目 か を 表 し 、 四 角 で 囲 わ れ た 数 字 は PvCesA3 遺 伝 子 上 で 何 番 目 の 塩 基 か を 表 す 。 赤 文 字 は CAA 殺菌剤 耐性遺 伝子 の塩基 変異 部位を 表す 。 緑 マ ー カ ー は 変 異 部 位 で あ る 1105 番目 のコ ドンを 表し 、赤マ ーカ ーは任 意 に 付 加 さ れ た 配 列 を 表 す 。 CGAATTGGCGGAAGGCCGTCAAGGCCACGTGTCTTGTCCAGAGCTCTTTGGCTTCTTCGT 1 ---+---+---+---+---+---+ GCTTAACCGCCTTCCGGCAGTTCCGGTGCACAGAACAGGTCTCGAGAAACCGAAGAAGCA CATGAGCCAGTTTTACCCCATGGTCAAGATGAGTATCACGGAATACTGTGGCTGGGACCA 61 ---+---+---+---+---+---+ GTACTCGGTCAAAATGGGGTACCAGTTCTACTCATAGTGCCTTATGACACCGACCCTGGT CACGGCTGCTACCTTTACGGCAAATGTGTTCAGCTCGTTGCTGGTTGTCTACATTGTCGT 121 ---+---+---+---+---+---+ GTGCCGACGATGGAAATGCCGTTTACACAAGTCGAGCAACGACCAACAGATGTAACAGCA GTTTGTGCAGGTACCTGGAGCACAAGACTGGCCTCATGGGCCTTCCGCTCACTGC 181 ---+---+---+---+---+--- CAAACACGTCCATGGACCTCGTGTTCTGACCGGAGTACCCGGAAGGCGAGTGACG 3291 3451

(27)

- 27 - 図 2 PvCesA3遺 伝 子 塩 基 配 列 の 比 較 左 端 は サ ン プ ル 名 を 表 し 、 右 端 の 数 字 は 何 塩 基 目 か を 表 す 緑 の マ ー カ ー は 1105 番目の コド ンを表 す 09Sg02 TTTGGCTTCTTCGTCATGAGCCAGTTTTACCCCATGGTCAAGATGAGTATCACGGAATAC 60 09No01 TTTGGCTTCTTCGTCATGAGCCAGTTTTACCCCATGGTCAAGATGAGTATCACGGAATAC 60 09Sg01 TTTGGCTTCTTCGTCATGAGCCAGTTTTACCCCATGGTCAAGATGAGTATCACGGAATAC 60 09Oy03 TTTGGCTTCTTCGTCATGAGCCAGTTTTACCCCATGGTCAAGATGAGTATCACGGAATAC 60 09Oy02 TTTGGCTTCTTCGTCATGAGCCAGTTTTACCCCATGGTCAAGATGAGTATCACGGAATAC 60 09No02 TTTGGCTTCTTCGTCATGAGCCAGTTTTACCCCATGGTCAAGATGAGTATCACGGAATAC 60 09Oi02 TTTGGCTTCTTCGTCATGAGCCAGTTTTACCCCATGGTCAAGATGAGTATCACGGAATAC 60 09Oi01 TTTGGCTTCTTCGTCATGAGCCAGTTTTACCCCATGGTCAAGATGAGTATCACGGAATAC 60 09Oy01 TTTGGCTTCTTCGTCATGAGCCAGTTTTACCCCATGGTCAAGATGAGTATCACGGAATAC 60 09Oy04 TTTGGCTTCTTCGTCATGAGCCAGTATTACCCCATGGTCAAGATGAGTATCACGGAATAC 60 ************************* ********************************** 09Sg02 TGTGGCTGGGACCACACGGCTGCTACCTTTACGGCAAGTGTGTTCGGCTCGTTGCTGGTT 120 09No01 TGTGGCTGGGACCACACGGCTGCTACCTTTACGGCAAGTGTGTTCGGCTCGTTGCTGGTT 120 09Sg01 TGTGGCTGGGACCACACGGCTGCTACCTTTACGGCAAGTGTGTTCGGCTCGTTGCTGGTT 120 09Oy03 TGTGGCTGGGACCACACGGCTGCTACCTTTACGGCAAGTGTGTTCGGCTCGTTGCTGGTT 120 09Oy02 TGTGGCTGGGACCACACGGCTGCTACCTTTACGGCAAGTGTGTTCGGCTCGTTGCTGGTT 120 09No02 TGTGGCTGGGACCACACGGCTGCTACCTTTACGGCAAATGTGTTCGGCTCGTTGCTGGTT 120 09Oi02 TGTGGCTGGGACCACACGGCTGCTACCTTTACGGCAAATGTGTTCGGCTCGTTGCTGGTT 120 09Oi01 TGTGGCTGGGACCACACGGCTGCTACCTTTACGGCAAATGTGTTCGGCTCGTTGCTGGTT 120 09Oy01 TGTGGCTGGGACCACACGGCTGCTACCTTTACGGCAAATGTGTTCGGCTCGTTGCTGGTT 120 09Oy04 TGTGGCTGGGACCACACGGCTGCTACCTTTACGGCAAATGTGTTCGGCTCGTTGCTGGTT 120 ************************************* ********************** 09Sg02 GTCTACATTGTCGTGTTTGTGCAG 144 09No01 GTCTACATTGTCGTGTTTGTGCAG 144 09Sg01 GTCTACATTGTCGTGTTTGTGCAG 144 09Oy03 GTCTACATTGTCGTGTTTGTGCAG 144 09Oy02 GTCTACATTGTCGTGTTTGTGCAG 144 09No02 GTCTACATTGTCGTGTTTGTGCAG 144 09Oi02 GTCTACATTGTCGTGTTTGTGCAG 144 09Oi01 GTCTACATTGTCGTGTTTGTGCAG 144 09Oy01 GTCTACATTGTCGTGTTTGTGCAG 144 09Oy04 GTCTACATTGTCGTGTTTGTGCAG 144 ************************

(28)

- 28 -

図 3 本研 究が 目的 と する ASP-PCR 法に適 したプ ライ マーの 選抜

1:PvCesA3 Fw2/PvCesA3 Rv2 と 09Oy01 DNA(表 1 参照)

2:PvCesA3 Fw2/PvCesA3 Rv2 と 09Oi02 DNA( 表 1 参照)

3:PvCesA3 Fw2/PvCesA3 Rv2と CAA 殺菌剤耐性 遺伝 子断片 4:PvCesA3 Fw3/PvCesA3 Rv2 と 09Oy01 DNA

5:PvCesA3 Fw3/PvCesA3 Rv2と 09Oi02 DNA

6:PvCesA3 Fw3/PvCesA3 Rv2と CAA 殺菌剤耐性 遺伝 子断片 7:PvCesA3 Fw4/PvCesA3 Rv2 と 09Oy01 DNA

8:PvCesA3 Fw4/PvCesA3 Rv2と 09Oi02 DNA

9:PvCesA3 Fw4/PvCesA3 Rv2と CAA 殺菌剤耐性 遺伝 子断片 10:PvCesA3 Fw5/PvCesA3 Rv2 と 09Oy01 DNA

11:PvCesA3 Fw5/PvCesA3 Rv2と 09Oi02 DNA

12:PvCesA3 Fw5/PvCesA3 Rv2と CAA 殺菌剤耐 性遺 伝子断 片 13:PvCesA3 Fw6/PvCesA3 Rv2 と 09Oy01 DNA

14:PvCesA3 Fw6/PvCesA3 Rv2と 09Oi02 DNA

15:PvCesA3 Fw6/PvCesA3 Rv2と CAA 殺菌剤耐 性遺 伝子断 片 16:PvCesA3 Fw7/PvCesA3 Rv2 と 09Oy01 DNA

17:PvCesA3 Fw7/PvCesA3 Rv2と 09Oi02 DNA

(29)

- 29 - 図 4 ASP-PCR 法に よる CAA 殺菌剤耐性 遺伝子 の検 出(概 要) A、 T、 G、 C は そ れ ぞ れ ア デ ニ ン 、 チ ミ ン 、 グ ア ニ ン 、 シ ト シ ン を 表 す 。 数 字 は PvCesA3遺 伝 子 上 で 何 番 目 の 塩 基 か を 表 す 。 赤 文 字 は CAA 殺菌剤 耐性遺 伝子 の塩基 変異 部位を 、青 文字は ミス マッチ 配 列 を 、 緑 文 字 は プ ラ イ マ ー 配 列 を そ れ ぞ れ 表 す 。 PvCesA3:CAA 殺菌剤感受 性遺 伝子 R-PvCesA3:CAA 殺菌剤耐 性遺 伝子 TTACGGCAAATGTGTT

PvCesA3

sense

3396 3415 GC C GA AC AC AT TT GC CG TA A GC ❘❘

×

TGTAACAGCACAAA CACGTC GACGTGTTTGTGCT GTTACA

antisense

3451 3432

R

-

PvCesA3

TTACGGCAAATGTGTTAAGC

sense

3396 3415

antisense

3451 3432 ❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘ ❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘ ❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘ TGTAACAGCACAAA CACGTC GACGTGTTTGTGCT GTTACA ❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘ ❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘ GC T GA AC AC AT TT GC CG TA A ❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘ ❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘ ❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘❘ ❘❘❘

(30)

- 30 - 図 5 ASP-PCR 法の 感度検 定 上 か ら 、 CAA 殺菌剤耐性遺 伝子 断片: CAA 殺菌剤 感受 性遺伝 子断 片= 1:0 (茶) CAA 殺菌剤耐性遺 伝子 断片: CAA 殺菌剤 感受 性遺伝 子断 片= 3:1 (赤) CAA 殺菌剤耐性遺 伝子 断片: CAA 殺菌剤 感受 性遺伝 子断 片= 1:1 (緑) CAA 殺菌剤耐性遺 伝子 断片: CAA 殺菌剤 感受 性遺伝 子断 片= 1:3 (黄) CAA 殺菌剤耐性遺 伝子 断片: CAA 殺菌剤 感受 性遺伝 子断 片= 1:99 (青) 数 字 は 塩 基 対 数 を 表 す 。

50

25

100

(bp)

56

(31)

- 31 - 図 6 multiplex ASP-PCR 法 S:大分 より 採集 したブ ドウべ と病 菌の DNA( サンプ ル名 09Oi01) R:CAA 殺菌剤耐性遺 伝子断 片 rDNA: リ ボ ソ ー ム RNA 遺伝子由来 増幅 断 片 R-PvCesA3:CAA 殺菌剤耐 性遺 伝子由 来増 幅断片

(32)

- 32 -

4 章 PCR-RFLP 法による CAA 殺菌剤耐性ブドウべと病菌

の検出

1 節 緒言

CAA 殺菌剤はセル ロー ス合成 酵素 を阻害 する ことに より 殺菌作 用を 示す 。セ ル ロ ー ス は 、 ウ リ ジ ン 二 リ ン 酸 グ ル コ ー ス (UDP-グ ル コ ー ス ) を 糖 供 与 体 と し て β-1,3- グ ル カ ン 、β-1,6- グ ル カ ン で あ る セ ル ロ ー ス 単 鎖 が 合 成 さ れ 、 こ れ が Cellulose binding elicitor lectin(CBEL)によって 束ね られセ ルロ ース繊 維と な り 、ブ ド ウ べ と 病 菌 を 含 め た 卵 菌 類 の 1 次細 胞壁お よび 2 次細 胞壁 の構造 を形 成 す る 。卵 菌 類 は セ ル ロ ー ス 合 成 酵 素 複 合 体 を 形 成 し 、 最 大 で 4 つ の タンパ ク質 か ら 成 る 。そ の 中 で も CesA3遺 伝 子 は 菌 糸 伸 長 を 形 成 す る 際 に 最 も 強 く 発 現 す る 遺 伝 子 で あ り 、発 現 を 抑 制 す る こ と で 細 胞 壁 へ の D-グルコ ース の取 り 込みが 阻害 さ れ 、 細 胞 壁 内 の セ ル ロ ー ス 量 が 減 少 す る 。 そ の 結 果 、 卵 菌 に お け る 菌 糸 伸 長 の 抑 制 お よ び 付 着 器 生 産 に 重 度 の 障 害 が 起 き る(Blum et al. 2010、Grenville-Briggs et al. 2008、Fugelstad et al. 2009)。ブ ドウ べと病 菌が CAA 殺菌剤に対 する 耐 性 を 獲 得 す る に は 、 ブ ド ウ べ と 病 菌 の PvCesA3 遺 伝 子 が 一 塩 基 置 換 を 起 こ し 、 1105 番目 のコド ンが 変異す る( G1105S 変 異)必 要が ある。また 、この 変異 は劣 性 遺 伝 で あ る た め 、 対 立 遺 伝 子 の 両 方 が 変 異 し た ホ モ 接 合 体 で な け れ ば 、 ブ ド ウ べ と 病 菌 は CAA 殺菌剤耐性 を獲 得しな い ( Gisi et al. 2006)。第 3 章におい て、 ASP-PCR 法の確 立に より CAA 殺菌剤 耐性 遺伝子 を迅 速に検 出す ること が可 能と な っ た 。 し か し 、 本 法 で は CAA 殺菌剤耐性 ホモ接 合体 と感受 性ヘ テロ接 合体 を 区 別 す る こ と は で き な い こ と が 明 ら か に な っ た 。 し た が っ て 、 前 章 で 構 築 し た ASP-PCR 法により CAA 殺菌剤耐性 遺伝 子が 検出さ れた サンプ ル に ついて 、それ が CAA 殺菌剤耐性ブ ドウべ と病 菌であ ると 診断す るた めには 更な る 診断 方法 を 考 案 す る 必 要 が あ る 。 ASP-PCR 法以 外 に も 薬 剤 耐 性 遺伝 子 診 断 法 は い く つ か開 発 さ れ て い る 。 その 中 で も CAA 殺菌剤耐 性菌を 検出 するた めの 候補と して 挙がる のは 、DNA 修復 酵 素 と 蛍 光 色 素 を 利 用 し 、 標 的 の DNA 量を測 定する Invader 法、 複 数のプ ライ マ ー と 鎖 置 換 型 DNA 合成酵素 を使 用し、 65℃ の定温 で標的 DNA を増幅後 、電 気 泳 動 に よ り 増 幅 バ ン ド を 確 認 す る Loop-Mediated Isothermal Amplification (LAMP ) 法 、 PCR 法 を 基 盤 と し 、 複 数 の プ ラ イ マ ー を 使 用 す る Randomly amplification of polymorphic DNA(RAPD)法、ゲ ノム の一部 を whole genomic PCR に よ り 増 幅 し 、 複 雑 度 を 低 く し た ア ン プ リ コ ン DNA を 比 較 す る Representational difference analysis (RDA)法、 そし て、PCR と制限酵 素処

(33)

- 33 -

理 を 利 用 し た Polymerase chain reaction-restriction fragments length polymorphism (PCR-RFLP)法で ある(Lyamichev et al. 1999、Luogen et al. 2005、Paplomatas et al. 2004、Spano et al 1997、Tsugunori et al. 2000)。 Invader 法、LAMP 法 、RDA 法 、RAPD 法は、信 憑性 が高く 反応 も迅速 に行 わ れ る が 、 特 殊 な 酵 素 や 複 数 の プ ラ イ マ ー を 使 用 す る と い う 点 で 欠 点 が あ る 。 す な わ ち 、 こ れ ら の 方 法 は 手 間 と 費 用 が か さ む た め 、 本 研 究 の よ う に 毎 年 多 く の 検 体 を モ ニ タ リ ン グ す る に は 不 向 き で あ る 。 一 方 PCR-RFLP 法は、PCR 法によ り増 幅 さ せ た 任 意 の DNA 断片を 制限 酵素で 消化 した際 、そ の長さ の違 い もし くは 制 限 酵 素 に よ る 消 化 の 有 無 を 判 断 す る こ と で 、塩 基 配 列 の 変 異 を 見 出 す 方 法 で あ る 。 PCR-RFLP 法は元々 PCR 法を基盤 として 感 染症に おけ る 病原 の同 定や遺 伝病 の 診 断 を 迅 速 に 行 う た め に 開 発 さ れ た が 、 信 頼 性 、 簡 便 性 と い う 点 で 植 物 病 原 菌 の 薬 剤 耐 性 を 検 定 す る 方 法 と し て も 近 年 主 流 と な っ て き て い る(Furuya et al. 2009、 Ishii et al. 2001、Ma et al. 2005、 Saito et al. 2008)。

以 上 の こ と か ら 、本 章 で は PCR-RFLP 法を用いて CAA 殺菌剤耐 性ホモ 接合 体 と 感 受 性 ヘ テ ロ 接 合 体 を 正 確 に 区 別 す る 診 断 法 の 確 立 を 試 み る こ と に し た 。

2 節 材料および 方法

4-2-1 PCR 法 ブ ド ウ べ と 病 菌PvCesA3遺 伝 子 の 3308-3327 およ び 3451-3432 番目の 塩基 配 列 よ り 設 計 し た プ ラ イ マ ー と ブ ド ウ べ と 病 罹 病 葉 か ら 抽 出 し たDNA を PCR に供 試 し た 。 以 下 に 使 用 し た プ ラ イ マ ー の 塩 基 配 列 、PCR 反応液 組成 お よび PCR 反 応 条 件 を 示 す 。 P. viticolaの PvCesA3遺 伝 子 か ら 設 計 し た PCR-RFLP 用プライマ ー PvCesA3 Fw 3308-3327 5’-TTTGGCTTCTTCGTCATGAG-3’ PvCesA3 Rv 3451-3432 5’-CTGCACAAACACGACAATGT-3’

(34)

- 34 - PCR 反応液の組成 : 滅 菌 超 純 水 5.53 μL 10×buffer 1 μL 2.5mM dNTP Mixture 0.35 μL PvCesA3 Fw (10 μM) 1 μL PvCesA3 Rv (10 μM) 1 μL Taq polymerase 0.12 μL DNA テンプレ ート 1 μL 合 計 10 μL PCR 反応条件: 95℃ 3min 95℃ 30sec 54℃ 30sec 72℃ 30sec 72℃ 2min 4℃ ∞ 4-2-2 制 限 酵 素処 理 PCR 産物に対 し、 制 限酵素 AluI を 用い て 37℃で 16 時間 の制 限 酵素処 理を行 っ た 。反 応 終 了 後 、2.5%アガ ロー スゲル にア プライ し、電気 泳動を 実施し た。以 下 に 制 限 酵 素 処 理 反 応 液 の 組 成 を 示 す 。 AluI を用いた制 限 酵 素 処 理 反 応 液 の 組 成 : 滅 菌 超 純 水 18 μL 10×Buffer TangoTM 2 μL AluI 2 μL PCR 産物 10 μL 合 計 32 μL 電 気 泳 動 後 、 エ チ ヂ ウ ム ブ ロ マ イ ド 染 色 に よ り 、 制 限 酵 素 に よ る 切 断 の 有 無 を 確 認 し た 。 35Cycles

(35)

- 35 - 4-2-3 生 物 検 定法 甲 州 種 の 若 葉 か ら 6 mm パンチ を用 いて リ ーフデ ィス クを切 り出 し、蒸 留水 を し み こ ま せ た 脱 脂 綿 を 敷 き 詰 め た シ ャ ー レ に 置 い た 。 こ の 際 、 リ ー フ デ ィ ス ク の 裏 側 を 上 に し た 。CAA 殺菌剤 マン ジプロ パミ ドを 0、0.1、1、5、10 あるいは 100 mg/L の濃度 でそれ ぞ れ 10 枚のリ ーフデ ィ スクに 散布 し、 4-5 時 間風乾 した 。そ の 後2009 年度に 採集 したブ ドウ べと病 菌の 胞子を 5000 spores/mL になるよ うに 調 整 し た 。 薬 剤 を 散 布 し た リ ー フ デ ィ ス ク 上 に 胞 子 懸 濁 液 を ピ ペ ッ タ ー に よ り 接 種 し 、19℃で 一晩 暗所 におい た後 、 19℃で 7 日間 12 時 間光 照射 /12 時間暗 黒下 の 条 件 で 培 養 し た (Sierotzki et al. 2003)。 培養期 間終 了後、 リー フディ スク 上 の 病 班 形 成 の 有 無 に よ り CAA 殺菌剤に対す る薬剤 耐性 を評価 した 。各処 理濃 度 に お け る 評 価 結 果 を も と に EC50値 を 常 法 に よ り 算 出 し た 。

4 節 結果および 考察

4-4-1 PCR-RFLP 法に よ る CAA 殺菌 剤 耐性 遺 伝 子 の 切断 本 法 で 使 用 し た 制 限 酵 素 AluI は 塩基 配列 AGCT を認識 し G と C の間を 切断 す る ( 図 7)。 その ため、PvCesA3遺 伝 子 よ り 増 幅 さ れ た PCR 産物 に CAA 耐性に 関 わ る 塩 基 配 列 の 変 異 (GGC  AGC)が 入 ってい た場 合、AluI に より PCR 産 物 は 切 断 さ れ る 。本 章 で は 、第 3 章に てシ ー ケンス 解析 を行っ た ブ ドウべ と病 菌 (CAA 殺菌剤感受 性と 診断 )DNA を PCR-RFLP 法に供試し た 。そ の結果 を図 8 ( レ ー ン 1~10)に 示 したが 、い ずれの ブド ウべと 病菌 DNA 由 来 PCR 産物も AluI で は 切 断 さ れ な か っ た 。 一 方 、 CAA 殺 菌 剤 耐 性 遺 伝 子 断 片 を 鋳 型 と し て PCR-RFLP を行った場 合、AluI によ る切 断が 確認さ れた(図 8 レー ン R)。以上 の 結 果 よ り 、本 研 究 で 構 築 し た PCR-RFLP 法はブ ドウ べと病 菌の CAA 殺菌剤耐 性 遺 伝 子 を 効 率 的 に 検 出 で き る こ と が 示 さ れ た 。 4-4-2 生 物 検 定法 に よる CAA 殺 菌 剤耐 性 菌の 検 出 リ ー フ デ ィ ス ク 法 を 用 い た 生 物 検 定 法 の 結 果 、CAA 殺菌剤に 対する これら ブド ウ べ と 病 菌 の EC50は す べ て 0.1 より 小さ か った 。本 研究で 使用 し たレー バス フロ ア ブ ル の 推 奨 散 布 濃 度 は 100-200 ppm であ る ことか ら、供 試し たブ ドウべ と病 菌 は 再 び CAA 殺菌剤感 受性と 診断 された 。

(36)

- 36 - 4-4-3 PCR-RFLP 法を 応 用 し た CAA 殺 菌剤 耐 性 菌 の 検出 本 PCR-RFLP 法を確 立する 段階 で CAA 殺 菌剤耐 性遺 伝子を 有す るブド ウべ と 病 が 確 認 さ れ て い な か っ た た め 、 人 工 合 成 し た CAA 殺菌剤耐性遺 伝子と 感受 性 ブ ド ウ べ と 病 菌 か ら 調 整 し た CAA 殺菌剤耐 性遺伝 子を 混合し た「 CAA 殺菌剤耐 性 菌 ・ 感 受 性 菌 ゲ ノ ム モ デ ル 」 を 構 築 し た 。

CAA 殺菌剤感受性 菌 ゲノム ホモ 接合体 モデ ル( CAA 殺菌剤耐 性 遺伝子 : CAA 殺 菌 剤 耐 性 遺 伝 子 =2:0) を PCR-RFLP 法に供試 した 結果、 CAA 感受性 ブド ウ べ と 病 菌 DNA と同 様 、AluI による 切断 は認 められ なか った( 図 9 レーン SS)。 一 方 、 感 受 性 菌 ゲ ノ ム ヘ テ ロ 接 合 体 モ デ ル (CAA 殺菌剤耐性 遺伝 子: CAA 殺菌 剤 耐 性 遺 伝 子 =1:1) の場合 、AluI により 切 断された PCR 産物と 切断さ れな い PCR 産物が混在す る結 果とな った (図 9 レー ン SR)。対 して 、CAA 殺菌剤耐性 菌 ゲ ノ ム ホ モ 接 合 体 モ デ ル(CAA 殺菌剤耐 性 遺伝子:CAA 殺菌剤 耐 性遺伝 子= 0: 2)の場 合、 すべ ての PCR 産物が AluI によ って切 断れ た(図 9 レ ーン RR)。以 上 の 結 果 に よ り 、 本 PCR-RFLP 法を駆使す ること によ り、 CAA 殺菌剤耐 性菌 を 診 断 す る こ と が 可 能 で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 PCR-RFLP 法は制限酵 素を必 要と するた め、制限酵 素認 識部位 が 使 えない 塩基 配 列 の 変 異 に は 応 用 が 効 か な い と い う 欠 点 が あ る 。 ま た 、 使 用 す る 制 限 酵 素 に よ っ て は 処 理 時 間 が 長 く な り 、 診 断 結 果 を 得 る ま で の 時 間 が 長 く な る 。 こ れ ら の 欠 点 が あ る た め 、CAA 殺菌剤耐 性ブ ドウべ と病 菌の診 断に 関して も、本 PCR-RFLP 法 は 検 体 数 が 多 い1 次 スクリ ーニ ングに は向 かない 手法 である と言 える。しかし 、 本 法 は 、 特 別 な 技 術 も 必 要 な く 、 診 断 の 精 度 も 極 め て 高 い 方 法 で あ り 時 間 は か か る と 言 っ て も 約 4 時間 で結果 が得 られる ため 、検体 数が 大幅 に減る 2 次スクリ ー ニ ン グ で は 迅 速 に 検 定 が で き る 。し た が っ て 、CAA 殺菌剤耐性 ブド ウべと 病菌 の 検 出 に は 、一 次 ス ク リ ー ニ ン グ と し て ASP-PCR 法を行ない 、CAA 殺菌剤 耐性 遺 伝 子 が 検 出 さ れ た サ ン プ ル に つ い て PCR-RFLP 法およ び生 物検定 法で耐 性菌 か 否 か の 精 密 診 断 を 行 う の が 合 理 的 で あ ろ う 。

(37)

- 37 - 図 7 PCR-RFLP 法による CAA 殺菌耐性遺 伝子の 検出 (概要 ) A、T、G、C は塩 基配 列を N、V、F、 G、 S、L はアミ ノ酸配 列を 表す 数 字 は PvCesA3遺 伝 子 上 の 何 番 目 の 塩 基 か を 表 す 矢 印 は 制 限 酵 素 AluI よる切 断部 位を表 す PvCesA3:CAA 殺菌剤感受 性遺 伝子 R-PvCesA3:CAA 殺菌剤耐 性遺 伝子 四 角 で 囲 っ た 3 つ の塩 基は 1105 番 目の コド ンを示 す。 CAA 殺菌剤耐性遺 伝子 では第 一塩基 G が A に変化 して いる。

antisense

sense

AAT GTG TTC GGC TCG TTG

N V F

S L

AAT GTG TTC

A

GC TCG TTG

N V F S L

sense

antisense

3432

3451

3308

3327

PvCesA3

R-PvCesA3

AluI

G

S

(38)

- 38 - 図 8 PCR-RFLP 法に よる CAA 殺菌剤耐性 遺伝子 の切 断 1:09Oy01 DNA 2:09Oy02 DNA 3:09Oy03 DNA 4:09Oy04 DNA 5:09Oi01 DNA 6:09Oi02 DNA 7:09Sg01 DNA 8:09Sg02 DNA 9:09No01 DNA 10:09No02 DNA R:CAA 殺菌剤耐性遺 伝子断 片 ⊲: 未 切 断 断 片 ◀: 切 断 断 片 左 レ ー ン :DNA サイ ズマー カー

(39)

- 39 - 図 9 PCR-RFLP 法に よる CAA 殺菌剤耐性 菌の検 出 SS:CAA 殺菌剤感受 性菌ゲ ノム ホモ接 合体 モデル SR:CAA 殺菌剤感受 性菌ゲ ノム ヘテロ 接合 体モデ ル RR:CAA 殺菌剤耐性 菌ゲノ ムホ モ接合 体モ デル ⊲: 未 切 断 断 片 ◀: 切 断 断 片 左 レ ー ン :DNA サイ ズマー カー

200

100

SS

SR

RR

(bp)

図 3    本 研 究 が 目 的 と す る ASP-PCR 法 に 適 し た プ ラ イ マ ー の 選 抜
図 11    CAA 殺 菌 剤 耐 性 遺 伝 子 を 有 す る サ ン プ ル 12A57 の ASP-PCR 分 析 結 果

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