論 文
繊維状チタン酸カリウムの結晶構造と
酸による溶解
武藤文夫
(昭和49年8月31日受理)Crystal Structure of Fibrous Potassium Titanate
and Its Dissolution into Acids
FumioMUTO
Ab8tract Fibrous potassium titanate was synthesized by hydro.thermal reaction betweel110 Npotassium hydroxide and titallium dioxide at 460°C. X.ray diffraction results showed that the products were the mixture of K2Ti6013, K2Ti205 alld K2TiO3. The crystal structure of hexa・and di・titanates was determined by Fourier projections using Weissenberg techniques. Hexatitanate forms a lattice of titanium−oxygen octahedra in an open framework, where the interstitial tunnels are occupied by potassiuln ions. The structure of dititanate agreed with that reported by S. Andersson et aL X・ray diagra皿s of hexa.alld di.titanates showed that the舳er axes of both crystals were b・axis. Dissolution of the丘bers into acids was tested. Most potassium ions in the titanates were easily extracted by dilute hydrocloric acid, sulfuric acid, oxalic acid and acetic acid. This means that potassium ions in the titanate crystal go out through the interstitial tunnels in the framework of titanium.oxygen atoms. 1.緒 言 酸化チタンとリチウム以外の金属アルカリを水熱反 応させると,容易に良好な繊維状のチタン酸アルカリ を得ることができる1)∼3)。その組成をR20・(Tio2)n (Rはアルカリ金属)で表した場合,πの異なる数種 の化合物が存在し,その混合物として得られることが 多い。これは細い繊維状であるので外形より各化合物 を識別することができず,化学分析値のみで構成化合 物を決定することは危険である。また,粉末X線回折 図形はきわめて複雑なため,各回折線の帰属を明確に することは困難な状況にある。 一般に,繊維状チタン酸アルカリはTio2含有量が 多く,R20−Tio、系状態図では存在が認められてい ないものや,あるいは高温で分解溶融する組成のもの が多い4)5)。したがって,繊維状チタン酸アルカリを 加熱した場合,R20−Tio2系では知られていない変 化が起ることが期待される。また,組成の異なる多く のチタン酸アルカリが繊維状を呈することや,繊維よ りアルカリが溶出し易い現象は結晶構造上非常に興味 のあることである。 そこで,まず繊維状チタソ酸アルカリの結晶構造を解 析し,その結果を利用して水熱反応生成物をX線的に 明らかにし,さらにその特性の検討を行うこととした。 本報には,チタン酸カリウムについて結晶構造,水 熱反応生成物および酸に対する反応について検討した 結果について報告する。 K、Ti、0、−TiO、系の熱分析およびX線的研究によ れば,K、Ti、05, K、Ti,O,, K2Ti、O、、が存在すること が知られている5)。結晶構造については,Andersson ら6)が成分組成の溶融物からK2Ti、o,の針状晶を作 り,その構造解析を行っている。また,K,Ti、0、3につ・ いては乾式法により合成したNa、Ti、013の構造解析の 際,格子定数の測定結果より異質同像との推定を下し一95一
昭和49年12月 山梨大学工学部研究報告 第25号 たにとどまっている7)。 2.試 料 2.1 試料の水熱合成 銀ライニングを施した内容積約31のオートクレー プにアナターゼ型酸化チタン13gと10N水酸化カリウ ム溶液を充填(充眞率35%)し,よく撹拝後密封して, 70°C/hrで昇温,460°Cで72時間加熱反応させた。 この際,オートクレープを静置する方法(試料A)と 回転撹拝する方法(試料B)との2通りの条件で合成 した。 前者においては,長さ1∼2μの短い繊維が塊状とな ってオートクレープの底にごく少量存在したが,これ は酸化チタンが底に沈積した状態て反応が進行したた めで,この部分以外はA,Bとも良好な繊維状に成長 しており,大部分は長さ約200∼350μで,最長のもの は約850μであった(写真一1参照)。また,X線回折 の結果A,Bいずれにも未反応の酸化チタソは認めら れなかった。 2.2 試料の水洗 合成した繊維状チタン酸アルカリをろ過水洗する際 霧 Sample A 100μ 難, Photo.1 ? 呂
s
z
10 12 14 Time (hr) Fig.1 Removal test of an adheslve potasslum lon on fibres に,かなり水洗を繰り返した後でもなお洗液がアルカ リ性を呈する。付着アルカリだけでなく繊維中よりア ルカリが溶出することが考えられるので,一定の状態 の試料を得るためつぎの実験を行い洗浄条件を定め た。 合成した繊維を吸引ろ過し,手早く多量の冷水で洗 浄し100°Cで乾燥する。この試料1gを50mlの水と ともに蓋付きビンに採り,マグネチックスターラーで 撹拝しながら80°Cの定温湯煎器中に保ち,溶出アル カリ量をN/20HCIで滴定して求める。この実験結果 を図一1に示す。A, B試料とも10時間以後はアルカリ の溶出がきわめてわずかとなっている。そこで,上記 の条件で10時間水洗処理した試料を以後の実験に用い ることとした。 2.3 分析およびX線回析 100°Cで乾燥した試料について,強熱減量を求め, それに約55倍量の硫酸と約15倍量の硫酸アンモニウム を加えて加熱溶解し,希釈後分析を行った。溶液の一 部を採って炎光分析法でカリウムを定量し,残部で重 量分析法により酸化チタンを定量した2)。結果を表一1 に示す。試料A,Bの7zの値に大きな差があり,組成 の異なる化合物が生成していることを示している。A においてはオートクレーブの底に酸化チタンが沈積し た状態でアルカリとの反応が進行し,回転撹拝を行っ たBに比し酸化チタソ含有量の多い組成となったもの と考えられる。 Table l Analytical result Sample B一
100μ Sample Ig. loss T102 K20 K20・(TlO2)n (%) (%) (%) Mlcroscoplc photograph of fibro ls pota− SSIUm tltanateA
B
1.8 0. 7 78.9 18.9 73.8 25.3 n =’4.9 n”・3.4繊維状チタン酸カリウム結晶講造と酸による溶解
灘
鍵織繊蕪
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灘 溺灘繊 類鱗獺i” 糠’櫛欝灘灘難1
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ビ.帥 一』昭和49年12月 山梨大学工学部研究報告 第25号 100°Cで乾燥した試料の粉末X線回折図 (CuKft)を図一2に示す。図から明らかの ように,いずれもきわめて多数のピークか ら成り立っていて,含有化合物を推定する ことは困難である。図中の各ピークに付記 した面指数は後述の構造解析の結果を利用 して決定したものである。なお,K2Tio3 についてはA.S.T.M.カードによった。 A,BいずれもK、Ti,O,,, K、Ti、05およ びK2TiO3混合物であるが,試料がK2Ti6 0、3とK2Ti205のみよりなるものと仮定し て分析値よりおのおのの含有割合を計算す ると,両者の比はおよそAでは7:3,Bで は4:6となる。 3.K2Ti,Oi3およびK2Ti205 の結晶構造 3.1 試料の作成 試料AおよびBは微細結晶で構造解析用 には適さないので,それぞれを白金ルツボ 1こ採り,Aは約1300°C, Bは900∼1100° b a K2Ti,013 K2Ti205 Fig.3 Crystal habit Table 2 Crystallographic data for K2Ti6013 and K2Ti205 Present work Andersson et al. K2Ti6013 K2Ti205 15.60A 11.37A 3.80 3.80 9.13 6.62 99.6 100.1 b K2Ti6013 K2Ti205
:=閲『璽
β0 99.6 100.O Symmetry:monoclinic Systematic absent reflexions Possible space groups Do(9・cm.一”3) Dc(9・cm.−3)Z
Cで10∼15時間加熱し,ルッボ壁に折出した針状結晶 をとり出した。これらをX線的に確認してX線回折お よび分析用の試料とした。なお,Aでは四角柱状の, Bでは六角柱状の針状晶が多く析出し,ほかにルチル も析出していた。 3.2分析および密度の測定 上記3.1で得た試料についての分析結果およびK、0 ・(Tio、)nとしてのTio、理論値はつぎのとおりであ る。 四角柱状晶 六角柱状晶 分析値 Tio、 理論値(7t=6の場合) 分析値 Tio、 理論値(π=2の場合) 83.08% 83.58% 62.22% 62.91% したがって四角柱状晶はK、Ti、0、3であり,六角柱状 晶はK、Ti20、である。その外形を図一3に示す。密度 の測定は水を用い,比重ビンによりi20°Cにおいて測 定した。結果を表一2中に示す。 3.3 X線写真の撮影 3.1で得た試料K2Ti,013(0.3×0.2×0.5mm)お よび1(、Ti、0、(0.3×0.2×1.5mm)1こつき, CuKα 線(1.5418A)によりWeissenbergカメラを用いて X線写真を撮影した。 構造解析にはフイルム6枚を1組とする多重フイル ム法により等角傾斜Weissenberg写真を3主軸のま 3.59 3.51 2 hkl with h十h≒2n C2, Cm, or C2/m, 2.97 3.58 2.95 3.02 3.58 2.99 2 2 2わりと,b軸についてはK2Ti6013では2層線まで
K,Ti,0,では1層線まで撮影した。写真の回折ハン点 の強度は標準尺を用いて目視法により測定した。 反射強度の実測値にLP因子の補正を行って構造因 子の実測倒F。1を得た。結晶のおよその骨格構造を知 ることを目的としていたので,吸収と消衰効果の補正 を行わなかった。 3.4 格子定数,空間群およびZの決定 格子定i数はWeissenberg写真の高次反射から決定 した。消滅則については両試料ともつぎのとおりであ る。(hkl)反射についてはh十kが奇数,(hOl)反 射についてはhが奇数,(OkO)反射については虎が奇 数のものが観測されない。これより可能な空間群は, CI−C2, C§−Cm, C弘一C2/mであるが,後述する 解析結果から両者ともC2/mと決定した。また,単位 格子中の化学単位数Zは,両者とも密度の実測値から 2となった。これら結晶学的データを表一2にまとめて 記す。比較のためAnderssonら6)7)によって得られ た値も併記したがよい一致を示している。 3.5 K,Ti,0、3構造解析* Weissenberg写真より873個の独立な回折ハン点 の反射強度を観測することができ,その反射強度の最 * この解析に必要な計算には,故,小宮山好道教授が作成し たプログラムを用いた。Facom 231を使用した。昭和49年12月 山梨大学工学部研究報告 第25号 大と最小の比は6600:1であった。解析は通常の重原 子法によった。すなわち,上記の反射強度の実測値を 用いて各面のパターソン投影図を合成し,3次元パタ ーソン関数を計算して,Ti−Ti, Ti−Oの原子間ベ クトルを求めた。チタン原子と酸素原子はチタン原子 の周囲に6個の酸素原子が配位する八面体構造をと り,これら八面体が隣り合った八面体と隅,面あるい は稜を共有する幾種類もの三次元的な配列が考えられ る。それ故,パターソソ投影図,三次元パターソン図 およびNa2Ti6013の結晶構造7)より可能な一Ti−0 一の骨格構造を推定し,Ti−0の原子座標値を求め, 構造因子を計算した。ついで電子密度投影図を合成 し,カリウム原子の原子座標値を求めた。以下通常の Fourier法により逐次近似を行なって各原子の位置を 精密化した。 原子構造因子はInternational Tables, Vo1・皿8) に記載されている値を用いた。温度因子は等方性のも のを用い,全原子についてB=0.5A−2とした最終的 な信頼度因子(R=ΣIF。i−IF,1/ΣIF。1)の値は(h kO),(Okl),(hOl)面につき,それぞれ19.8%,23. 2%,18.4%である。 通常の結晶解析と比較して精度は十分とはいえない が骨格構造に誤りはなく,繊維の構造を推定するのに 十分な知見が得られたのでこれ以上の精密化は行わな かった。表一3に最終的に得られた原子座標値を示 a Table 3 Final atomic parameters for K2Ti6013 ・…eg…pC・/m(0・0・0・丁・丁・0)+
Atom
X/a Y/b z/cTi(1) Ti(2) Ti(3)
K
O(1) 0(2) 0(3) 0(4) 0(5) 0(6) 0(7) 0.1172 0.1758 0.2358 0.4681 0 0.2350 0.0732 0.2908 0. 1278 0.3691 0,1721 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0.0892 0.4318 0.7701 0.2499 0 0.2462 0.2900 0.5721 0,6149 0.8811 0.9239 す。また,表一4にこの原子座標値に基づいて計算し た構造因子の実測値F。と計算値F.をまとめて掲げ る。 3.6 K2Ti,Oi3の結晶構造 図一4にこの構造のb面投影図を示す。図において 高さy=Oの位置にあるチタソ原子はそれぞれ周囲の 同じ高さ(y=0)にある4個の酸素原子と高さy=土 1/2にある2個の酸素原子によって囲まれて六配位八 面体を構成し,3個の八面体は高さPt=0の位置にあ る酸素原子が作る3個の稜により結ばれている。これ は,さらに高さy=1/2に位置するチタン原子を中心 ○、、〇ぷ
℃ぐ。
◎
、○
xO
○、、h \○○
O
QJ、
’て)○
。Titananium,00xygen,◎Potassium Thea・・m…b・・k・・1・…a・ea・y−…d・h・1i…a・・−t Fig.4 Structure of K2Ti6013 projected on to(010)一99一
H K L Fo 0 2 4 0 6 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 −1 −2 −3 −−4 −5 −6 −7 −8 −9 −10 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 −1 −2 −3 −4 −5 略 一7 −8 −9 −10 10 9 8 7 6 5 4 3 20 41 80 35 43 350 43 57 153 41 45 82 18 63 420 123 33 90 25 20 230 179 66 375 81 53 54 54 69 203 92 41 50 62 57 71 242 131 151 382 55 71 30 75 70 457 83 132 71 57 62 73 35 48 175 59 61 83 53 47 Fc 25 −69 −70 30 40 −430 12 25 203 7 −30 89 50 63 433 −180 −20 −100 −35 −4 −270 232 87 395 −43 −90 −71 10 4 −199 68 −31 21 78 −26 −26 261 140 99 −402 −69 −81 −65 −70 −90 511 102 97 −35 −13 −7 −106 2 10 −159 −12 4 t’ W8 −29 −39 繊維状チタン酸カリウム結晶構造と酸による溶解 Table 4 K2Ti6013 Comparison between Fo and Fc H K L Fo Fc H K L Fo Fc H K
L
Fo Fc 6 0 8 10 0 12 0 2 1 0 −1 −2 −3 −4 −5 −6 −7 −8 −9 −10 0 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 −1 −2 −3 −4 −5 −6 −7 −8 −9 −10 8 7 6 5 4 3 2 1 0 −1 −2 −3 −4 −5 −6 −7 −8 −9 −10 7 6 5 4 3 2 1 0 449 45 29 259 33 41 98 47 57 226 53 58 53 38 79 113 57 67 98 51 43 121 92 149 78 44 172 49 59 71 72 58 132 45 51 59 71 177 71 88 153 73 54 252 132 79 129 71 63 60 55 43 92 51 57 63 67 65 113 62 471 70 −12 212 2 52 −133 −11 31 244 31 −11 −61 29 85 −118 −50 −53 67 2 38 150 75 161 −71 −41 −197 −11 18 −67 81 39 134 11 12 51 48 −201 −87 −67 −133 −49 −39 245 111 81 −131 −15 −42 −33 −15 −11 88 −11 −11 50 7 9 −121 −17 12 14 16 1 3 一1 0−2 −3 −4 −3 −6 −7 −8 −9 0 4 3 1 0 −1 −2 −3 −4 −5 −6 −7 0 4 3 2 1 0 −1 −2 −3 −4 −5 −6 1 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 −1 −2 −3 −4 −5 −6 −7 −8 −9 −10 1 10 9 8 7 6 5 4 3 61 107 61 63 97 71 63 173 42 42 58 59 66 62 157 63 71 67 57 55 37 129 49 61 55 62 57 79 53 52 88 52 112 69 63 58 79 100 86 190 81 230 22 70 113 49 51 228 65 63 63 62 53 58 112 69 193 79 47 76 19 3 121 7 0 112 61 15 −181 −6 21 −7 28 −53 −23 5 170 52 3 43 31 23 −45 124 7 −7 −17 41 49 −81 −21 −31 89 70 87 −71 −2 7 80 −67 −99 −59 156 56 229 −16 66 120 −53 −1 −205 13 5 2 55 −15 −23 115 9 91 201 −118 −29 100 1 1 1 1 2 1 0 −1 −2 −3 −4 −5 −6 −7 −8 −9 −10 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 −1 −2 −3 −4 −5 −6 −7 −8 −9 −10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 −1 −2 −3 −4 −5 市 一7 −8 −9 −10 8 7 6 5 4 3 79 123 293 275 91 44 49 103 133 75 72 112 71 39 52 71 72 72 211 49 53 48 39 40 41 43 113 272 48 59 66 69 69 131 51 91 69 71 69 63 92 362 93 49 48 49 71 291 86 65 123 68 63 69 103 106 69 71 69 66 一90 −145 −298 267 101 −2 10 82 165 −80 −52 −93 69 15 −17 −69 25 2 197 −1 62 −70 −49 20 −22 −5 −125 293 81 4 −11 49 89 −170 −47 88 25 −39 −87 91 106 365 −130 0 29 −11 −53 −301 113 23 91 4 17 81 123 −118 −49 −34 29 −10 H K L Fo 9 11 13 15 1 2 1 0 −1 −2 −3 −4 −5 −6 −7 −8 −9 −10 1 7 6 5 4 3 2 1 0 −1 −2 −3 −4 −5 −6 −7 −8 −9 1 6 5 4 3 2 1 0 −1 −2 −3 −4 −5 −6 −7 −8 −9 1 4 3 2 1 0 −1 −2 −3 −4 −5 −6 −7 112 171 102 157 156 58 61 67 69 133 141 61 51 131 61 62 155 71 71 67 66 63 273 67 68 113 71 71 121 51 47 51 221 67 69 123 110 71 131 71 68 163 71 63 47 41 43 87 66 100 121 46 71 66 65 87 113 90 Fe 一162 223 121 133 −165 −39 79 −29 −53 −140 162 59 23 140 −20 0 −166 −20 −51 49・ 35 −29 283 41 55 −78 −19 51 −144 −13 15 49. 226 −88 −62 −71 63 −8 −163 104 79 131 −53 −18 13 26 −20 101 51 91 −130 −78 −43 7 0 −90 140 101繊維状チタン酸カリウム結晶構造と酸による溶解 Table 5 1nteratomic distances(A)and Angles(°)for K2Ti6013 (1)−0(1) −0(2) −O(3) −O(6’) −O(7”) Ti(2)−0(2) −O(3) −O(4) −O(4’) −O(5) Ti(3)−O(2’) −O(4) −O(5) −0(6) −0(7) K −0(2) −0(1’”) −O(3,,,) −0(5’) −0(7’) −0(6iv) −0(6”) (A) 1.82 2.09 2.05 1.93 1.84 2.04 1.85 1.98 1.97 1.93 1.96 2.11
L97
2.10 1.83 3.51 3.07 2.46 2.80 3.08 3.45 2.91 0(1)−Ti(1)−0(3) 0(1)−Ti(1)−0(6,) 0(1)−Ti(1)−0(7,’) 0(2)−Ti(1)−O(3) 0(2)−Ti(2)−0(3) 0(2)−Ti(2)−O(4) 0(2)−Ti(2)−0(4’) 0(3)−Ti(2)−0(4’) 0(2,)−Ti(3(−0(4) 0(2’)−Ti(3)−0(5) 0(2’)−Ti(3)−O(6) 0(2’)−Ti(3)−O(7) ’) ”) ’”j iv) (°) 88 98 99 76 81 95 81 100 79 97 80 102 0(2)−Ti(1)−0(6,) 0(2)−Ti(1)−O(7”) 0(3)−Ti(1)−O(6,) 0(6’)−Ti(1)−0(7”) 0(3)−Ti(2)−0(5) 0(4)−Ti(2)−0(4’) 0(4)−Ti(2)−0(5) 0(4,)−Ti(2)−0(5) 0(4)−Ti(3)−0(5) 0(4)−Ti(3)−0(6) 0(5)−Ti(3)−0(7) 0(6)−Ti(3)−0(7) (1/2−x, 1/2−y, 1 − z)(x, ツ,−1十z)
(1/2十x, 1/2十ッ, x) (1−x,1/2一ッ,1−x) (°) 81 97 85 94 102 79 82 99 77 86 94 102 とするまったく同じ構造の3個の八面体に5個の稜で 結合していて,合計6個の八面体が1単位を構成して いる。この単位はc軸方向に平行で,b軸方向に鎖状 的に連なっている。 また,他のまったく同じ単位とa軸方向では0(1), c軸方向では0⑦によって頂点共有され,全体として 図のように配列している。このよ うな一Ti−O一の作る骨格の間に はb軸方向に段階的に隙間が存在 する。この隙間にカリウム原子が 位置する。すなわち,高さy=0 のカリウム原子は高さy=±1/2 に位置する8個の酸素原子が作る 六面体の中央に位置している。表 一5に原子問距離および結合角を まとめて掲げる。 3.7 K、Ti20,の解析および構造 K2Ti205についてはAndersson ら6)によってすでに報告されてい る.その結晶学的データは表一2 に見られるようによく一致してい るが,確認のために反射強度の測 定を行い両者の構造因子F。(hOl) の比較を行った。結果を図一5に 30 20 10 0 30 20 10 0 示すがAnderssonらの結果と非常によい一致を示し ており,同一構造の結晶であることが明らかである。 図一6にK・Ti、0,の結晶構造のb面投影図*を示す。 1個のチタン原子には5個の酸素原子が配位して五配 位三角両錐体を形成している。2個の三角両錐体は1 個の稜〔0(3)(x)y,∋と0(3ノ)(1/2−x,1/2−Pt, ん0 2 4 ん0 0 0」212345678876543210丁2葛1互百苔7百76543210
h4 6 8 kO . 0 02123456776543210i2百Z5676543210r254
………S.Andersson6);一一一Present work Fig.5 0bserved structure factors of K2Ti205 *図一6はAnderssonらのデータから作成したものである。 一 101一昭和49年12月 山梨大学工学部研究報告 第25号
。③。。⑫
0 ●Tltanlum,00xygen,◎Potassium The atoms m broken lmes are at y・=O and ・h・1・n・・a…=e Fig.6 Structure of K2Ti205 ProJected on to(010) 一z)による〕を共有して一組の単位を構成し,この 単位がb軸方向に連なっている。さらに,このジグザ グな鎖と対称心の関係にある同等な鎖は,三角両錐体 の頂点o(1)を共有することによって(Ti、0,)2一を成 分とする(001)面に平行な二次元網状構造を形成して いる。しかし,このような(001)面に平行な網状構造 の間にチタン原子,酸素原子による結合はまったくな い。カリウム原子はこれら(001)面に平行な網状構造 の間に生じる隙間に位置する。すなわち,高さy=1/2 のカリウム原子は,高さy=O,1に位置する6個の 酸素原子と,y=1/2に位置する2個の酸素原子,計8 個の酸素原子により囲まれている。 3.8繊維構造 既述したように,K2Ti6013およびK2Ti205結晶に おいては,いずれも酸素原子が作る八面体あるいは三 角両錐体が稜を共有してb軸方向に連なり,ジグザグ な一Ti−0一の結合が続いている。しかし, a軸方向 および前者のc軸方向では頂点共有の結合が介在して いるのみであり,後者のc軸方向では一Ti−O一の結 合はまったくない。したがって,これらの結晶が繊維 状に成長する場合には,両者ともb軸方向に長く成長 すると考えるのがもっとも妥当である. そこで,水熱合成した両試料について,繊維周期を Weissenbergカメラで測定した。撮影結果を写真一2 に示す。 A繊維およびB繊維の周期はそれぞれ約3.82,3.78 Aであって,K2Ti6013, K2Ti,0,の両結晶のb軸の周 期3.soAとよく一致しており, b軸方向に長く成長し た繊維であることを示している。また,図一2におい て大部分の面指数kが0である事実もこのことを裏付 けている。図一7,8に繊維構造のモデルを示す。 4.酸による溶解 4.1 カリウムイオンの位置する隙間について K2Ti60、,およびK2Ti20、の結晶構造より明らかの ように,カリウムイ:オンはチタン原子と酸素原子から なるジグザグな層と層との間の隙間に存在する。この 隙間はK2Ti、01、においてはc軸方向に, K2Ti、0,に おいてはa,b軸方向に続いている。隙間の状況を図 一9,10に例示する。 両者とも,b軸方向によく成長した細い繊維である ため,b軸に直角な方向の上記の隙間を通じてカリウ ムイオンが容易に溶出すると考えられる。 4.2 実験および結果の考察 Sample A Sample B Photo.2 X.ray dlffractlon pattern of舳rous potasslum titanate.繊維状チタン酸カリウム結晶構造と酸による溶解 b alx(ts・
9b
Fig.7 〔Ti60i3〕ribbons in the structure of K2Ti60i3ck
。」 b Fig.8 〔Ti205〕ril)bons ill the structure of K2Ti205 試料AおよびBのおのおの5gを,250ccの酸ととも に撹絆しながら所定温度に保ち,溶解したK20とTi O、を定量した。酸としては,酸化チタンとの反応性に 差異がある塩酸,硫酸,シュウ酸およびサク酸を用い た。30℃におけるINHC1によるカリウムイオン溶出
の結果を図一11に示す。図より試料Bの方がアルカリ が溶出し易いことが明らかである。K,Ti,05がK2Ti6 013より隙間の多い構造で,試料Bにそれが多く含ま れているからである。図一12,13は50°Cにおける各 種の酸による成分の溶解実験の結果である。 50°Cにおいては,いずれの酸によっても約90%の アルカリが溶出し,しかもその大部分はきわめて短時 間の内に起っている。溶出量はシュウ酸がもっとも大 である。酸化チタンの溶解量はアルカリに比べれば少 量で,サク酸がもっとも少なく,シ=ウ酸が最大であ る。シュウ酸は酸化チタンと加水分解し難い錯体を作 る傾向があるためである。塩酸,硫酸はサク酸より酸 50 Fig.9 Tunnel in the structure of〔Ti6013〕 §309
10 Fig.10 Tunnels in the structure of〔Ti205〕 Sample B Sample A03 15 24 3〔>
Time (hr) Fig.11 Dissolved K20 in IN HCI, at 30°C 一 103 一昭和49年12月 山梨大学工学部研究報告 第25号 15
㊦10
ぎ 5 0 95 90・ ㊦ 鷲 M 85 80 515
Time (hr) 25 0 Fig.12 15ε10
ゼe
5 0 95 90 ㊦鷲85
M
80 ●:HCl O:CH3COOH 口 :H2SO4 △:(COOH)2 5 15 25 Time (hr) Dissolved K20 and TiO20f sample A in IN acid, at 50°C15
Time (hr) 0 5 ●:HCI O:CH3COOH [ユ:H2SO4 △:(COOH)2 15 Time (hr) 25 Fig.13 Dissolved K20 and TiO20f sample B in IN acid, at 50°C Table 6 Dissolved TiO2 in 6N acid(50°C,4hrs) H2SO4−
Sample A B TiO2(%) 4.39 10.42HCl
A B 4.34 8.85 Fig.14 28 32 20(°) 36 X.ray diffraction pattern of sample A and Bafter treatment with 6N acid 化チタンとの反応性が強いのにカリウムイオンの溶出 が少ないのは,溶解した酸化チタンの一部がトンネル 内で加水分解し,繊維の表層よりの溶解が主体となっ ているためと考えられる。 試料A,Bの酸化チタン溶解量は1Nの酸では差は みられないが6Nの場合には表一6のように試料Bの 溶解量は大きい。これは,K2Ti205において,チタン 原子に対する酸素原子配位が五配位というきわめて不 安定なひずみの大きい構造をとっていることによる。 図一14に6N酸処理した繊維のX線回折結果(CuK α)の一部を示す。カリウムイオンが溶出しても繊維 の骨格構造には変化がないことが明らかである。 5,総 括 1.10N水酸化カリウムと酸化チタンを用い,460° Cで水熱反応させ,繊維のチタン酸カリウムを合成し た。生成物は主としてK2Ti6013とK2Ti、05との混合 物であった。 2.WeissenbergカメラによりK2Ti6013およびK, Ti20,の構造解析を行った。また繊維周期の測定によ繊維状チタン酸カリウム結晶構造と酸による溶解 り,繊維はこれら結晶のb軸方向に成長したものであ ることを確認した。 3. カリウムイオンは,ジグザグに続くトンネル状 の隙間に入っているため,低濃度の酸により容易に溶 出することが認められた。 (1961年10月,第6回人工鉱物討論会;1964年4月, 日本化学会第17年会講演) 文 献 ユ) T.E. Gier, P. L. Salzberg,:U. S. P・2833620(1958). 2)武藤文夫,国富稔:工化,65,1775(1962). 3)滝 貞男,田中桂子:工化,66,417(1963). 4) ‘‘Gmelins Handbuch”, Titan,(1951). p.383,394. 5)0.Schmitz−DuMont, H. Reckhard,:Monatsh. Chem.15,194(1962). 6)S.Andersson, A. D. Wadsley,:Acta. Chem. Scand. 15, 663 (1961). 7)S.Andersson, A. ID. Wadsley:Acta. Cryst・15, 194 (1962). 8) International tables for X・Ray Crystallograpy Vol.皿. Physical and[chemical tables. Kynoch Press, Birmingham, England,(1959).