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第二言語文処理における統語構造の影響

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第二言語文処理における統語構造の影響

須田 孝司

(工学部教養教育) 本研究では,習熟度や記憶容量の異なる日本人英語学習者より文法性判断データと読み時間を集め,日本人 英語学習者が埋語と空所の距離の異なる2 種類の強調文をどのように処理するのか検証を行った.実験の結果, 文法性判断では,習熟度と記憶容量に関係なくどのグループの日本人英語学習者も主語強調文(T1)と目的語 強調文(T2)について,正しくその英文の文法性を判断できることがわかった.さらに,全文提示による読み 時間を分析すると,習熟度の高いグループはT2 より T1 の読み時間が短くなり,また習熟度の低いグループよT1 の読み時間が短くなることが明らかになった.これらの結果を元に,本研究では,L2 学習者も習熟度が 高くなると目標言語の統語情報を扱うことができるようになるということを提案する. キーワード:第二言語,文処理,統語構造,習熟度,記憶容量

1.

はじめに

生成文法理論では,人間は生得的に言語を身につける能 力を備えており,母語(L1)習得の場合は,文を作り出す 知識(言語能力)と言語を使用する際に用いられる知識(パ フォーマンス)を自然に身につけることができると考えら れている(cf. Chomsky, 1965).一方,第二言語(L2)の場 合は,たとえ目標言語の言語能力を身につけることができ たとしても,パフォーマンスの面で困難があることがたび たび指摘されている(cf. Sorace, 2005). これまでのL2 習得研究では,言語知識の習得について 数多く研究が行われてきた(cf. Hawkins, 2001; White, 2003) が,特に2000 年以降,学習者のパフォーマンスの側面と して,学習者の文処理過程を対象とした研究が行われるよ うになってきた(cf. Clahsen & Felser, 2006; Dussias & Piñar, 2009).それらの文処理研究では,文解釈の曖昧性,形態 素の影響,埋語(フィラー)と空所(ギャップ)の依存関 係といった異なる言語構造に対する反応の違いや,習熟度 や L1,さらには記憶容量といった学習者の能力の影響が 調査の対象となり,数々の実験が行われている. 本研究では,L2 文処理における統語構造の影響につい て議論する.これまでのL2 文処理研究では,たとえ上級 学習者であったとしても,L2 学習者は母語話者と同じよ うな統語構造を構築することはできないとする立場 (Clahsen & Felser, 2006)と L2 学習者も目標言語の統語情 報を扱うことができるとする立場(Hara, 2010, 2011; Omaki & Ariji, 2005)があり,活発に研究が行われている.そこ で,本研究では,日本人英語学習者の習熟度や記憶容量を 測定した上で,フィラーとギャップ(t)の距離の異なる英 文を日本人英語学習者がどのように理解するのか検証し, L2 文処理における統語構造の影響について議論する. 本稿の構成は以下の通りである.次節では,先行研究と して,関係代名詞の文処理研究を概観し,続く第3 節では 実験方法について説明する.その後,第4 節において実験 結果を示し,第5 節では,本実験のデータを元に,日本人 英語学習者の文処理過程における統語構造の影響につい て議論する.第6 節では,本稿のまとめを述べる.

2. 先行研究

2.1. L1 における関係詞文の処理 これまでのL1 文処理研究では,主格の関係代名詞文と 目的格の関係代名詞文の処理について研究が行われてい る.例えば,King & Just(1991)は,(1)のような関係詞 句が中央に埋め込まれている関係代名詞文を使い,実験を 行っている.

(1)

a. 主格関係代名詞文

The reporteri that ti attacked the senator admitted the error

publicly after the hearing. b. 目的格関係代名詞文

The reporteri that the senator attacked ti admitted the error

publicly after the hearing.

関係代名詞文では,関係詞句内において移動操作が行わ

れており,(2)のように名詞句が関係代名詞(who/whose/

which/ø)となり,補文標識句(CP)の指定部に移動すると 考えられている(cf. Radford, 2004).

(2)

(2)

a. 主格関係代名詞文

The reporteri [CP øi [C that [TP ti attacked the senator] admitted

b. 目的格関係代名詞文

The reporteri [CP øi [C that [TP the senator attacked ti ] admitted

したがって,(1)のような関係代名詞文を理解するため

には,主格関係代名詞文(1a)の先行詞 The reporter は, 関係詞句の主語位置で照合され,また,目的格関係代名詞

文(1b)では,先行詞は関係詞句の目的語位置で照合され

なければならない.

そこで,King & Just は(1)のような関係代名詞文を使 い,移動窓方式により英語話者の読み時間(reading times: RTs)を測った.その結果,英語話者は(1a)の主格関係 代名詞文より(1b)の目的格関係代名詞文の RTs が長くな ることが明らかになった. 関係代名詞のL1 文処理研究は,英語以外の言語を対象 としても行われており,それらの研究では,フィラーであ る先行詞とギャップの距離,つまり統語構造の違いが L1 の文処理に影響を与えていると提案されている(Gennari & MacDonald, 2008; Gordon et al., 2001, 2004; Just & Carpenter, 1992; King & Just, 1991; MacWhinney & Pleh, 1988; Mak et al., 2002, 2006; Miyamoto & Nakamura, 2003; Lin & Bever, 2006; Traxler, at al., 2002; Warren & Gibson, 2002; Waters & Caplan, 1996a, 1996b).

2.2. L2 における関係詞文の処理

L2 文処理研究においても,主格や目的格の関係代名詞 の文処理過程について実験が行われ,フィラーとギャップ の距離の影響が検証されている.例えば,Omaki & Ariji

2005)では,英語の習熟度がかなり高い日本人英語学習

者を対象とし,(3)のような関係代名詞文を使った実験を

行っている. (3)

a. Animate-Inanimate Subject relative

The musiciani [CP øi [C that ti witnessed the accident

angered the policeman a lot]]. b. Animate-Inanimate Object relative

The musiciani [CP øi [C that the accident terrified ti

angered the policeman a lot]].

c. Inanimate-Animate Subject relative

The accidenti [CP øi [C that ti terrified the musician

angered the policeman a lot]]. d. Inanimate-Animate Object relative

The accidenti [CP øi [C that the musician witnessed ti

angered the policeman a lot]].

3a)と(3c)は,主格の関係代名詞文であり,(3a)に は有生名詞が,(3c)には無生名詞がそれぞれ使われてい る.(3b)と(3d)は,目的格の関係代名詞文であり,3b) には有生名詞が,(3d)には無生名詞が使われている. 実験では,日本人英語学習者に英文を読ませ,その英文 の複雑さの度合いを1(理解しやすい)から 5(理解しづ らい)段階のスケールで判断してもらった.実験の結果, 日本人英語学習者は(3b)の先行詞に有生名詞が使われて いる目的格関係代名詞を最も複雑な文であると判断する ことが明らかになった.

この結果について,Omaki & Ariji は,次のように議論し

ている.L2 学習者は,統語知識の 1 つと考えられている

Active Filler Strategy1AFS: Frazier, 1987; Frazier & Flores d’Arcais, 1989; Stowe, 1986)を利用しているため,(3a)や

3c)のようにフィラーの近くにギャップ位置が置かれて いる主格関係代名詞文の方が目的格関係代名詞文より処 理を素早く行うことができる.また,L2 学習者は,有生 名詞は主語,無生名詞は目的語といった語彙情報(Traxler et al., 2002)も利用することができるため,(3d)のような 先行詞に無生名詞が使われている目的格関係代名詞文も 比較的容易に理解できる.つまり,Omaki & Ariji は, L2

学習者は,AFS のような統語情報と名詞句の有生性のよう な語彙情報を使い文処理を行っていると提案している. しかし,この研究はRTs や眼球運動を測定するといった 学習者の即時的な文処理過程を調査したものではなく,こ れまでL2 習得研究で行われてきた文法性判断テストと同 じように,英文理解の困難度を実験参加者の感覚で判断さ せている.したがって,この結果だけでL2 学習者が統語 情報を利用していると主張することには無理があるよう に思われる. そこで,本研究では,日本人英語学習者のRTs を測り, 日本人英語学習者の即時的な文処理過程について検証を 行う.

1 AFS とは,統語構造内にギャップ位置が作り出され,フィラー はギャップを見つけたらすぐに照合されるというものである.

(3)

3. 実験

3.1. 参加者 実験参加者は31 名の大学生(平均年齢 20 歳 2 ヶ月)で ある.英語学習期間は6 年間から 10 年間であり,数名の 海外旅行経験者はいたが,海外留学経験者は1 人もいなか った.実験に先立ち,富山県立大学「人を対象とする実験」 の倫理審査部会規定に従い,実験参加者に実験の概要説明 を行い,その後実験参加への同意書を提出してもらった. 実験は,概要説明や実験終了後の確認を含め約30 分で終 了し,実験終了後に薄謝を渡した. 英語の習熟度は英語検定3級の試験問題(旺文社, 2008) により測り,その結果を元に実験参加者をElementary(E) グループとIntermediate(I)グループに分けた.E グルー プは正答数が23 問以下であり,I グループは正答数が 24 問以下の学習者である.また,記憶容量については,日本 語版のリーディングスパンテスト(Reading Span Test: RST)

(苧阪, 1998, 2002)を使い,実験参加者のワーキングメモ リを測った2. RST は,3 文,4 文,5 文と提示される日本文を実験参 加者に口頭で読ませると同時に,下線の引いてある語句を 覚えてもらうという手法を用いた.あらかじめPowerPoint のスライドに日本文を用意し,実験参加者がスライドの日 本文を読み終えたらすぐに次のスライドを提示するよう, 実験者がスライドの提示スピードを調整した.RST の得点 は,音読している間に並列的に記憶される語句の再生数か ら算出した.RST の結果,実験参加者を 3 点以上の HighH)グループと 2.5 点以下の Low(L)グループに分けた. 習熟度とRST を元に,実験参加者は表 1 のように 4 つ のグループに分けられた. 表 1: 各グループの人数 記憶容量がH で習熟度が E の HE グループは 8 名,記憶容 量がH で習熟度が I の HI グループは 7 名,記憶容量が L で習熟度がE の LE グループは 7 名,記憶容量が L で習熟 度がI の LI グループは 8 名となった.

2 この実験では,実験参加者は,日本文を声に出して読みながら 語句を保持するという二重課題を行う必要があり,ワーキングメ モリが活用される並列的な処理が行われていると考えられる(近 藤ら, 1999). 3.2. 実験文 3.2.1. 単語 単語の難易度が文処理に影響することを避けるため,中 学生用の単語集3より難易度と音素数を考慮して実験に使 用する単語を選んだ.有生名詞には,3 音節からなる 10 種類の固有名詞(Ana・Bill・Bob・Eve・John・Ken・Kim・ Liz・Meg・Tom),無生名詞には 4~5 音節からなる 10 種 類の普通名詞(action・bench・card・cloth・error・event・ matter・movie・river・tower)を使用した.また,動詞には, 7~8 音節からなる 10 種類の動詞(borrow・climb・count・ create・cross・hold・paint・print・start・study)の進行形が 使われた. さらに,実験の途中で単語の意味がわからないため文の RTs が不自然に長くなる可能性を避けるため,あらかじめ 実験参加者に知らない単語がないか確認した上で本実験 を行った. 3.2.2. 文タイプ 本研究では,2 タイプの強調文(各 10 文)を使い,全文 提示によりそのRTs を調査した. 強調文は,元々(4)のような文に(5)のような変化が 加えられたものである.

(4) John was printing the card then.

(5) a. <T1> It was Johni that ti was printing the card then.

b. <T2> It was the cardi that John was printing ti then.

5)は It was that の強調文であり,強調させたい語句

that の前に移動させている.(5a)は主語である有生名

詞句が強調された主語強調文(T1)であり,(5b)は目的

語である無生名詞句が強調された目的語強調文(T2)であ

る.T1 と T2 の統語構造は(6)のようになっている.

(6) a. It wasj [FP Johni [F tj [CP ti [C that [TP ti was printing the

card then]].

b. It wasj [FP the cardi [F tj [CP ti [C that [TP John was printing ti then]].

6)では,強調される要素が,時制辞句(TP)の主語位

3 文理『昇級・昇段式 英単語練習』

WM Span Proficiency Level

Elementary Intermediate

High 8 7

(4)

置や目的語位置からCP を越え,強調句(FP)の指定部に それぞれ移動している(Kiss, 1998, 1999).もし,L2 学習 者の文処理過程において統語構造が影響を与え,日本人英 語学習者が名詞句の移動距離に敏感であるのであれば,名 詞句の移動距離の短いT1の方がT2より正確に早く処理さ れると予測される. 実験では,表2 のような 2 つのパターンを作り,実験参 加者のうち15 名はパターン A から,残りはパターン B か ら読み始めるようにE-PRIME を設定した. 2: 提示文の内容 パターンA と B に含まれる英文の内容は同じであるが, 順序は逆になっている.最終的に,意味の通じる文法的な 文と非文の数が同じになるよう,また強調文と実験とは関 係のない統制文の数が同じになるよう英文を80文作成し, 実験を行った. 3.3. 実験方法 実験では,E-PRIME と SR-Box を使い,図 1 のように全 文提示により実験参加者のRTs を測定した. 1: 提示方法 1: 文提示の方法 まず,最初のブロックには,実験参加者がSR-Box の一 番左側にある○ボタンを押すと実験が始まると書かれて おり,実験参加者は準備ができたら○ボタンを押すよう指 示が与えられた.次のブロックは注視のために置かれてお り,そのブロックは2 秒後に自動的にターゲットブロック に切り替わるよう設定された.実験参加者は,ターゲット ブロックに提示される英文を読み,その文の文法性を早く 正確に判断することが求められた.英文が文法的に正しい と思った場合は,SR-Box の右から二番目のボタンを,正 しくないと思った場合は一番右側のボタンを押すよう指 示が与えられた.実験では,英文が提示されてから実験参 加者がどちらかのボタンを押すまでにかかった時間をRTs として測定した. 本研究では,全文を読んだ時の判断時間を調査対象とし ているため,実験参加者の文法性判断の正答・誤答に関わ らず全ての文のRTs を分析の対象とした.また,データ分 析の際は,各領域のRTs が 1,000 ms 以下,もしくは 15,000 ms 以上のデータはあらかじめ取り除き,残ったデータの 中で平均値から標準偏差±2.5 倍よりも外れた値は,境界 値(M±2.5SD)で置き換え,分析を行った.その結果,T1 では2.7%(7/263),T2 では 3.4%(9/263)のデータが調査 対象から除外された. Pattern A Number 主語強調文(文法的) 5 目的語強調文(文法的) 5 主語強調文(非文) 5 目的語強調文(非文) 5 統制文(文法的) 10 統制文(非文) 10 Total 40 Pattern B Number 統制文(非文) 10 統制文(文法的) 10 目的語強調文(非文) 5 主語強調文(非文) 5 目的語強調文(文法的) 5 主語強調文(文法的) 5 Total 40 これから実験を始めます。 ○を押すとスタートします。 ******

(5)

4.

結果

4.1. 文法性判断の結果 タイプ別の正答率を表3 に示す. 3: タイプ別の正答率 どのグループの学習者もT1 と T2 の英文を 80%以上の 割合で正しく判断しており,英文の文法性の判断について は,習熟度や記憶容量の影響はないように思われる. 正答数について 2×4(グループ×文タイプ)の分散分 析を行うと,グループ間にも文タイプ間にも有意差はなか った(グループ: F(3, 26)= 0.72, p>0.5 ns.; 文タイプ: F(1, 26)= 0.00, p>0.9 ns.).また,交互作用についても有意差は なかった( F(3, 26)= 0.45, p>0.7 ns.). 4.2. 読み時間の結果 次に,それぞれのグループの平均RTs を図 2 に示す. 2: グループごとの平均読み時間(ms.) HI グループの T1 の RTs は 5490ms.であり,T2 の RTs は 5982ms.であった.HE グループの T1 の RTs は 6323ms.で あり,T2 の RTs は 6221ms.であった.LI グループの T1 の RTs は 5392ms.であり,T2 の RTs は 5832ms.であった.LE グループのT1のRTsは6369ms.であり,T2のRTsは6540ms. であった.HI と LI グループは T1 より T2 の RTs が長くな っているようである. このRTs について 2×4(グループ×文タイプ)の分散 分析を行うと,グループ間には項目分析において有意差が あった(F13, 26)= 1.36, p > 0.2 ns., F23, 36)= 6.10, p < 0.01)が,文タイプ間については被験者分析と項目分析の 両分析において有意差はなかった(F11, 26)= 1.60, p > 0.2 ns., F21, 36)= 1.17, p > 0.2 ns.).また,交互作用において も有意差はなかった(F1 3, 26)= 0.49, p > 0.6 ns., F2 3, 36) = 0.35, p > 0.7 ns.). 単純主効果を検証するとT1 の RTs においてグループ間 に差が見られ,Bonferroni 法による下位検定を行うと,習 熟度の高いHI と LI グループは T2 より T1 の RTs が有意に 短く,またHI と LI グループは T1 の RTs が習熟度の低い HE と LE グループより有意に短くなっていることが明ら かになった.

5.

議論

文法性判断の正答率では,日本人英語学習者は英語の習 熟度や記憶容量に関係なく,主語が移動したT1 も目的語 が移動したT2 も正しくその英文の文法性について判断で きた.一方,RTs については,習熟度による差が見られ, 習熟度の高いHI と LI グループが習熟度の低い HE や LE グループよりT1 を早く読んでいることがわかった.さら に,HI と LI グループでは T2 より T1 の RTs が短くなって いることも明らかになった. Marinis et al.(2005)では,たとえ上級学習者であったと しても,L2 学習者は L1 話者のようにギャップ位置を適切 に作り出すことはできないと提案されている(cf. Clahsen & Felser, 2006)が,本研究の結果では,主語が移動した T1 のRTs より,目的語が移動した T2 の RTs の方が長くなっ ており,フィラーとギャップの距離が日本人英語学習者の 文処理に影響を与えていると考えることができる.つまり, L2 学習者も習熟度が高くなると統語構造にギャップ位置 を作り出すことができるようになるだけではなく,統語情 報を扱う AFS に沿った文処理を行うようになることが推 測される.

6.

終わりに

本研究では,初級・中級の日本人英語学習者を対象とし, 習熟度と記憶容量の異なる日本人英語学習者が,統語構造 の異なる英文をどのように処理しているのか検証を行っ た.文法性判断の結果では,習熟度と記憶容量に関係なく どのグループの日本人英語学習者も強調文についてその 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 HI HE LI LE T1 T2 Group T1 T2 Mean HI 81.4 ( 57/70 ) 88.6 ( 62/70 ) 85.0 (119/140) HE 85.0 ( 68/80 ) 87.5 ( 70/80 ) 86.3 (138/160) LI 96.3 ( 77/80 ) 92.5 ( 74/80 ) 94.4 (151/160) LE 87.1 ( 61/70 ) 81.4 ( 57/70 ) 84.3 (118/140) Mean 87.6 (263/300) 87.6 (263/300)

(6)

文の文法性を正しく判断することができた.また,全文提 示により主語が移動した強調文T1 と目的語が移動した強 調文T2 の RTs を測定すると,習熟度の高い HI と LI グル ープの学習者はT2 より T1 を早く読むことがわかり,さらT1 の RTs においては HI と LI グループの学習者は習熟 度の低いHE と LE の学習者より早く処理していることが 明らかになった.したがって,L2 学習者でも目標言語の 習熟度が高くなると統語情報を利用することができるよ うになり,L2 文処理においても統語構造の違いが文処理 過程に影響を与えると考えることができる. 本研究では,記憶容量の影響については明らかにはなら なかった.記憶容量の違いは,文処理過程においてより高 い負荷がかかった時にその影響が現れるため,本実験の刺 激文ではそれほど処理負荷が高くはならなかったと考え られる.より複雑な構造を持った英文やフィラーとギャッ プの距離が長い英文を用い,さらに刺激文の提示方法に変 更を加えることで,より処理負荷が高まると思われる.今 後,記憶容量の影響を議論するためには,処理負荷を高め た実験を行う必要があるであろう. 謝辞 本研究の一部は,富山県立大学特別研究費(奨励研究) (代表: 須田孝司)によって助成を受けたものである. 参考文献

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(8)

The Influence of Syntactic Structure in L2 Sentence Processing

Koji SUDA

Department of Liberal Arts and Sciences, Faculty of Engineering

This study collects grammaticality judgment and reading time data from Japanese learners of English (JLEs) with distinct proficiency levels and working memory capacities, and argues how they comprehend two types of focus sentences in English, where the distance between the filler and its gap is different. The grammaticality judgment data revealed that JLEs correctly judged the grammaticality of both subject focus sentences (T1) and object focus sentences (T2) in English irrespective of their proficiency levels and working memory capacities. However, the reading times of whole English sentences indicated that JLEs with higher proficiency levels read T1 faster than T2, and that they read T1 faster than JLEs with lower proficiency levels. From those results in this study, it will be proposed that L2 learners can make use of syntactic information as they develop their proficiency levels.

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