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国際学会で発表したい人のための必読レポート : オーストラリア国立大学アジア・パシフィック・ウィーク参加者の体験記

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国際学会で発表したい人のための必読レポート :

オーストラリア国立大学アジア・パシフィック・ウ

ィーク参加者の体験記

著者

川端 浩平

雑誌名

社会学批評 : KG/GP sociological review

3

ページ

49-50

発行年

2010-06-16

URL

http://hdl.handle.net/10236/4802

(2)

国際学会で発表したい人のための必読レポート

―― オーストラリア国立大学アジア・パシフィック・ウィーク参加者の体験記 ――

特集趣旨 国際発信能力の涵養――自分の研究を論文や口頭発表によって国外の研究者や専門家などに伝える ことのできる能力を養うことの必要性はますます高まっていると考えられている。本学大学院 GP に おいても重点的にとりくんでいるプログラムの一つである。たしかに国際発信する能力を身につける ことの意義はとても大きい。とりわけ、国外の研究動向を踏まえなければ研究することの意義が薄ま るテーマも少ないし、ドメスティックな言説空間のなかに引きこもることは現実的に困難な時代に なっているという認識は高まっている。しかし、国際発信をするとは具体的にどういうこと?となる とこれが難しい。教育プログラムに反映させるようなユニークな具体案はなかなか出てこない。そこ で、国際発信能力=海外のジャーナルに投稿する、国際学会で発表する、という結果=業績のみに目 が行きがちになる。しかしその結果、翻訳することが難しい研究やそれを取り巻くローカルなコンテ クストは捨象されてしまう。すでにネットワークのある人びとと知識のみが流通し、固定化してしま うような事態が発生する。しかし、実際に重要なのは、業績の発表にあるのではなく知的共有のプロ セスである。つまり、この時代に国際発信することの意義と実際に国際発信だと考えられていること のあいだには、大きなギャップが存在するのである。このギャップゆえに、海外に発信する人としな い人、発信される知識とされない知識が分断されてしまう事態が生じているのではないだろうか。そ してそのことが、国際的な知識の共有・発展にとって大きな弊害となっているとしたらとても残念な ことである。

今回本学の院生・研究員が参加した Asia Pacific Week は、中国研究、日本研究、インドネシア研 究、南アジア研究、東南アジア研究、環太平洋地域研究という、計6つのアジア太平洋地域研究の分 会、およびそれらを横断する共通企画・公開講義から構成されている。このうちわれわれの参加した のは日本研究分会(Japanese Studies Graduate Summer School)、そして共通企画・公開講義であ る。つまり、政治学、経済学、社会学、人類学、歴史学、文学、文化研究など様々な学術的領域を専 攻する院生たちが地域研究としての日本研究という枠組みによって集合したかたちとなった。しかし ながら、それぞれの専攻があるにしろ、学際的なアプローチを試みているにしろ、参加者たちの置か れたローカルな知をめぐるコンテクストは様々である。例えば、関学の院生・研究員の関心は、移 民、エスニシティ、メディア、建築、環境と多岐に渡っているし、研究対象もオタク、日系ペルー 人、伊勢エビ漁、まちづくりと様々である。よって、現在のローカルな研究の文脈を翻訳する必要性 が発生するとともに、その困難に立ち向かうことになる。このことは、知識がいかにローカルな学術 的環境、出版文化、そして言語によって拘束されているのかを明らかにしている。しかしそのような 制約があるなかでも、あるいはあるからこそ、自分たちのローカルな知識や文脈を他者へと開き、共 有していくためのアリーナを構築することが重要なのである。その意味で、国際発信とは、ヨーロッ 【L:】Server/関西学院大学/社会学評論/第3号/〈特集〉特集趣旨:川端 浩平

49 KG!GP 社会学批評 第3号[June 2010]

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パとかアメリカとかに向けて発信するというような狭い視野のことに限定されるものではなく、自分 の狭い世界のなかに滞留するのではなく、外へと知的な関心を向けていく試みなのだと思う。それは 知的好奇心を駆り立てるとても楽しいプロセスだ。 本特集では、これから国際学会やジャーナルなどでの発表を考えている若手研究者が参考にするた めに、参加者によるレポートを掲載する。レポートは①体験記、②発表原稿によって構成されてい る。体験記は、ただ単純な感想にとどまるものではなく、原稿作成・参加・発表・質疑応答に関する 実践的な取り組み、ディシプリンや議論の文脈といった共有している知識の違いから生じる困難への 対処、そこから得られた知見、さらには今後の研究にそれをいかに生かすことができるのかが検討さ れている。いっぽう発表原稿は、参加者の作成した原稿をほぼそのママに掲載しているので、国際発 表の舞台裏での作業を少しでも追体験していただければと思う。 (責任編集:川端浩平) 【L:】Server/関西学院大学/社会学評論/第3号/〈特集〉特集趣旨:川端 浩平

50 特集:国際発信能力の涵養はいかにして可能なのだろうか?

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