Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
Male gender and high trait anxiety are two major
factors for severe dental fear and avoidance
Author(s)
庵原, 義明
Journal
, ():
-URL
http://hdl.handle.net/10130/3433
Right
氏名 庵原 義明 学位 博士(歯学) 学位記番号 第2017号(乙 第764号) 学位授与年月日 平成25年10月16日 学位授与の要件 学位規則第4条第2項 論文審査委員 主査 一戸 達也 教 授 副査 松久保 隆 教 授 副査 櫻井 薫 教 授 副査 山下秀一郎 教 授 副査 福田 謙一 准教授
学位論文名 Male gender and high trait anxiety are two major factors for severe dental fear and avoidance 学位論文内容の要旨 1.研究目的 これまでに歯科治療回避者に関する多くの報告が行われてきた。しかしながら、その多くが疫学研究で、 実際に歯科治療回避者の集団の中から、口腔内診察でさえ抵抗する重度の歯科治療回避者を抽出して、重 度歯科治療回避者の背景を調査した報告はない。本研究の目的は、歯科治療遂行困難度が重度の歯科恐怖 症患者を抽出し、これらの患者の背景について調査することである。 2.研究方法 本研究は、本学倫理委員会の承認(No.300)を得て行われた。2007 年 4 月から 2010 年 3 月までの 3 年間 に、長期に渡って歯科治療を回避している者であると自らが訴えて、当科へ初診来院し、調査に同意が得 られた患者321 名とした。調査は、健康調査票を使用して行い、年齢、性別、「過去の歯科治療中に意識 が朦朧とした体験の有無」「幼少期における強制治療体験記憶の有無」、「歯科以外の恐怖症の有無」「親 兄弟の歯科恐怖症の有無」「精神疾患の有無」、また歯科治療の場面を想像した時に、「薬のにおい」、 「歯の切削音」、「口の中の麻酔の注射」、「歯型を取られること」、「器具が口に入れられること」、 「歯科医師と会話すること」それぞれが恐怖の対象として「あり」か「なし」かを複数回答可として選択 させた。更に、State-Trait Anxiety Inventory (STAI)を用いて特性不安(trait anxiety)と状態不安(state anxiety)の程度を、また Dental Anxiety Scale (DAS)によって歯科に対する不安感の程度を測定した。そし て、「歯科医がデンタルミラーを使用して、口腔内を診察すること」「歯周プローベを使用して、歯周ポ ケット測定時に少々の痛みを自覚すること」に適切に開口し協力できるか否かを基準として、拒否反応を
示した患者を重度群にし、協力できる患者を軽度群とした。患者群間の比較には、年齢は Student t-検定、 他の項目はカイ二乗検定を行い、p 値が 0.05 未満の項目を多変量解析の独立変数の候補とした。選択され た項目を独立変数とし、歯科治療困難の程度(重度群、軽度群)を従属変数としてロジスティック回帰分 析を行った。 3.研究成績および結論 歯科治療困難の程度は、重度群が48 名(15.0%)で、軽度群は 273 名(85.0%) であった。群間の比 較で、p 値が 0.05 未満であった項目は、性別、特性不安の高不安、歯科以外の恐怖症の有無、におい、歯 の切削音、歯型を取られること、器具を口に入れられること、歯科医師と会話することの8 項目であった。 それに年齢が16 歳以上 25 歳以下、年齢が 41 歳以上 50 歳以下、それぞれ「属する」、「属さない」の 2 値 データを加えた10 項目を独立変数とし、歯科治療困難の程度を従属変数としてロジスティック回帰分析を 行 っ た 結 果 、 性 別 と 特 性 不 安 の 高 不 安 に 有 意 な 相 関 が 認 め ら れ た 。 性 別 の 調 整 オ ッ ズ 比 は 3.98(95%CI:1.89-8.38)、特性不安の高不安の調整オッズ比は 2.50(95%CI:1.05-5.98)であった。 重度の歯科治療回避者の背景には、男性であることと高い特性不安を有することがあった。
学力確認の結果の要旨および担当者
報 告 番 号 乙 第764号 氏 名 庵原 義明 学力確認担当者 主 査 一戸 達也 教 授 副 査 松久保 隆 教 授 櫻井 薫 教 授 山下秀一郎 講 師 福田 謙一 准教授 学力確認施行日 平成25年 9月 3日 試 験 科 目 歯科麻酔学 試 験 方 法 口頭試問 試 験 問 題 主題ならびに関連問題 結 果 の 要 旨 本審査委員会は主題ならびに関連問題について最終試験を行った結果、十分な学識を 有することを認め、合格と判定した。 なお、英・独2か国語につき試験を行った結果、合格と認定した。学位論文審査の要旨 本論文は、当科外来に来院した歯科治療回避者の集団の中から、口腔内診察でさえ抵抗する重度の歯科 治療回避者を抽出して、重度歯科治療回避者の背景を調査し、その背景として男性であることと高い特性 不安を有することを明らかにした研究報告である。 本審査委員会では、1) 結論が表題になっているが、これは一般的な記載法か? 2) 年齢分布はどうなっ ているか? 3) 重度と軽度の群分けは、どのように行ったのか? 4) Anxiety が strong という表現は、違和 感を感じるかどうか? 5) この種の研究論文は一般市民を対象としたものが多いので、実際の患者を対象 としている点を、強調するべきではないか? などの質問及び指摘があった。これらの質問に対する回答 として、1) 結論を呈示する方法は麻酔学関係の論文では一般的である。2) 最高と最低年齢を図表に加筆す る。 3) 恐怖による歯科治療回避者は、gagging problem の患者の歯科治療回避と異なり、口腔内への器具 の挿入に対する恐怖よりも痛みに対する恐怖が強いので、痛みを加える診察法を重度と軽度の群分けに使 用した。4) strong という表現を、high に修正する。5) 患者を対象としている点を、本文中に加筆する、 などの説明が行われた。また、論文の記述や英語表現などに対して指摘があり、修正が行われた。 以上より、本研究で得られた結果は、今後の歯学の進歩、発展に寄与すること大であり、学位授与に値 するものと判定した。なお、英・独2 カ国語につき試験を行った結果、合格と認定した。