神戸臨海地区周辺エリアの魅力を軸とした
観光ローカルプラットホーム体制強化のための調査
報告書
平成 26 年3月
神戸臨海地区周辺エリアの魅力を軸とした観光ローカルプラットホーム
体制強化のための調査に関する協議会 委員名簿
松岡 辰弥 旧居留地連絡協議会 都心づくり推進委員長
橘田 好正 神戸ハーバーランド㈱ 企画課長
渡辺 真二 早駒運輸㈱ 代表取締役社長
南部 真知子 ㈱神戸クルーザー 代表取締役社長
内匠 陽子 神戸メリケンパークオリエンタルホテル セールス&マーケティング部マーケティング課長
小野田 金司 神戸夙川学院大学 観光文化学部長
森田 潔 (一社)神戸港振興協会 参与
中西 理香子 神戸市産業振興局 観光コンベンション部観光コンベンション課長
阿野 貴史 近畿地方整備局 地域港湾空港調整官
加藤 栄 神戸運輸監理部 総務企画部次長
今井 芳男 ㈱アートファーマ― 代表取締役
坂野 雅 ㈱ARIGATO-CHAN 代表取締役
池口 和雄 神戸市都市計画総局 計画部まちのデザイン担当部長
目 次 Ⅰ.調査目的及び内容 1. 調査目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2. 調査内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 Ⅱ.みなとまち神戸の観光客の動向等に係る現状把握及び魅力再発掘 1. 調査対象地域・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 2. 既往統計等による把握・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 3. 新聞報道による把握・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 4. ヒアリング調査による把握・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 5. 現状把握のとりまとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 Ⅲ.みなとまち神戸の現状及び魅力を踏まえた課題と解決の方向性 1. 現況及び魅力に係る特性のとりまとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・25 2. みなとまち神戸の現況を踏まえた分析・・・・・・・・・・・・・・・・・26 Ⅳ.コンセプトのさらなる磨き上げとコンテンツの提示 1. 既往成果と現況課題を踏まえた磨き上げ・・・・・・・・・・・・・・・・27 2. 磨き上げ案の作成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 3. コンテンツ案の提示・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 Ⅴ.ローカルプラットホーム構築のための課題の整理 1. ローカルプラットホームの構築イメージ・・・・・・・・・・・・・・・・31 2. プラットホーム構築に向けた課題の整理・・・・・・・・・・・・・・・・32 <資料編> Ⅰ.新聞報道の内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・資料-1 Ⅱ.ヒアリング記録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・資料-12 Ⅲ.インバウンドモニターツアー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・資料-19 Ⅳ.「みなとまち神戸」の魅力創出に向けた検討経緯・・・・・・・・・・・・・資料-52
Ⅰ.調査目的及び内容
1.調査目的 神戸の臨海地域及び三宮・元町等の近隣市街地域(以下「みなとまち神戸」 という。)は、神戸観光の代表的・象徴的なエリアであると同時に、関西を代 表する都市のひとつであり、観光集客に関わる事業者・団体は多く、業種も多 彩な分野に渡っている。 それゆえエリア全体が一体となった観光振興に取り組む場合、参加事業者・ 団体の利害調整に重きが置かれ、結果的に総花的でメリハリのない取組みとな りがちである。 これにより、発信していくべき神戸の魅力の具体的内容の印象がうすくなっ てしまうとともに、その魅力自体の軸もブレてしまうということが課題となっ ている。 現在、民間主体で組織されている「YOKOSO みなとまち神戸コンソーシアム」 (詳細は資料編の 54 ページを参照)において、みなとまち神戸が持つロマンチ ックな魅力を磨き上げ、カップルの集客及びリピーター化を図る目的で「みな とまち神戸ロマンティック事業」が進められている(検討経緯については、資 料編の 52 ページを参照)。 そこで、本調査により、みなとまち神戸のエリア毎の魅力を再発掘するとと もに、取組みのコンセプトのさらなる磨き上げ及び当該コンセプトを軸とした コンテンツ作りを行い、みなとまち神戸における観光推進体制を強化すること で、ブレがなくメリハリのついた取組みを進め、当該体制がみなとまち神戸に おけるローカルプラットホームとして機能するための課題等を整理することに より、最終的にはインバウンドも含めたみなとまち神戸への集客による地域の 活性化等を図る。 2.調査内容 (1)みなとまち神戸の観光客の動向等に係る現状把握及び魅力再発掘 観光統計書や関連調査、文献・書籍等を収集して、みなとまち神戸における 観光客の入り込み状況等を把握・整理するとともに、観光資源の魅力が観光客 にどのようにとらえられているか把握を行う。必要な場合は関係施設等に対し ヒアリングを行い、エリア毎の観光客の入り込み状況等の把握を行う。観光資 源の魅力については、既往調査である「神戸観光魅力度調査」等の調査結果を 用いて把握を行うとともに、必要に応じヒアリング時にインタビュー等の補足 調査を行う。 (2)現状及び魅力再発掘等調査データの収集・整理・分析 (1)で調査を行った結果得られたデータについて、(3)のコンセプトのこの整理・分析にあたっては、ローカルプラットホームに参加する主体間で その課題解決に向けた方針を共有化できるようにする。 なお、国内観光客の評価(認知度、興味度、満足度)については、「神戸観 光魅力度調査」の成果等を活用する。 (3)コンセプトのさらなる磨き上げとコンテンツの提示 (1)及び(2)の結果を踏まえ、「YOKOSOみなとまち神戸コンソーシアム」 において検討されているコンセプトのさらなる磨き上げを行うとともに、新た なコンテンツを提示する。 コンテンツ提示にあたっては、「YOKOSO みなとまち神戸コンソーシアム」 における検討経緯も踏まえるとともに、市民、来訪者(国内外の観光客、市内 の学校に通う学生等)の視点でみなと神戸に存在する数多くの観光資源の魅力 を評価し、その価値のさらなる向上、違う視点での再評価、埋もれた資源の価 値発信等についての検討を加える。 (4)ローカルプラットホーム構築のための課題の整理 (3)で磨き上げたコンセプトを軸とした観光推進体制について、これがみ なとまち神戸におけるローカルプラットホームとして機能するために必要な課 題等について整理する。ローカルプラットホームによる取組みについては、そ の中核となる人材の育成や関係者の連携、インバウンド等新たな視点への対応 体制等、関連調査の成果も踏まえて、その体制強化に向けた具体性のある課題 解決策の提示を行う。 (5)協議会について 本調査を効果的に進めるため、関係者により構成される協議会を設置する。 構成員としては、「YOKOSO みなとまち神戸コンソーシアム」の下に設置されて いる「みなとまち神戸ロマンティック事業WG」(詳細は資料編の 55 ページを 参照)の構成員が、本調査における関係者を網羅していると考えられるため、「み なとまち神戸ロマンティック事業WG」の構成員をもって、協議会の構成員と する。 この協議会を調査完了までに 2 回開催し、各構成員の役割分担を明確にしな がら、本調査の目的を達成するための議論を行い、調査結果に反映させる(開 催実績については、資料編の 53 ページを参照)。
図表Ⅰ‐1 調査フロー Ⅰ 計画準備 Ⅱ みなとまち神戸の観光客動向等に係る 現状把握及び魅力再発掘等調査 Ⅲ 調査データの収集・整理・分析 Ⅳ コンセプト案のさらなる磨き 上げとコンテンツ(案)の提示 Ⅴ ローカルプラットホーム構築 のための課題の整理 <関連調査との連携> ①中核的専門人材養成 調査(着地型観光プレ ーヤー人材育成) ②インバウンドモニタ ーツアー事業(神戸・ ニューツーリズム事 業実行委員会) <現状の適確な把握> <課題解決と新たな視点の付加> <関係者が連携した体制構築> <既往調査成果等の活用> ① 統計書、観光調査等 ② 「神戸観光魅力度調査」 等 観光資源のポテンシ ャルを踏まえた分析 神戸観光のイメージ、可能性に係る 調査成果を活用した分析 プラットホーム の人材育成プロ グラムや外国人 観光客の評価を 踏まえた課題整 理
Ⅱ.みなとまち神戸の観光客の動向等に係る現状把握及び魅力再発掘
観光統計書や関連調査、文献・書籍等を収集して、みなとまち神戸における観 光客の入り込み状況等を把握・整理し、観光資源の魅力が観光客にどのようにと らえられているか把握を行うとともに、既往の統計等だけでは読み取れない点に ついては、調査対象地域内の観光施設等に対しヒアリングを行い、エリア毎の観 光客の入り込み状況等の把握を行った。また、観光資源の魅力については、「神 戸観光魅力度調査」(平成 25 年 3 月、神戸・ニューツーリズム事業実行委員会) の調査結果を用いて把握を行った。 1.調査対象地域 「みなとまち神戸ロマンティック事業」の対象区域(中突堤、メリケンパー ク、ハーバーランドと鉄道各駅との間の市街地)を調査対象地域とした。 <中突堤、メリケンパーク、ハーバーランド、元町商店街、南京町、旧居留地> 調査対象区域 図表Ⅱ-1 調査対象区域 メリケンパーク ハーバーランド 南京町 元町商店街 旧居留地 中突堤2.既往統計等による把握 (1)みなとまち神戸の観光客の動向等に係る現状把握 ①神戸全市での観光入込客動向 神戸市への観光入込客は、阪神・淡路大震災以降は年々増加傾向にあり、 最近では 3,000 万人を超えている。 平成 23 年の減少は東日本大震災の影響等によるが、「KOBE de 清盛 2012」観光キャンペーン開催等で、平成 24 年には集客は回復している。 ②エリア別の観光入込客動向 エリア別の入込客動向によると、神戸港への来訪者は、阪神・淡路大震災 以降平成 21 年までは約 150 万人前後で推移してきた。集計手法が変更された 平成 22 年以降は約 270 万人前後となっている(平成 23 年は震災で一時的に 減少)。 (注)平成 21 年以前、以降のデータの扱いについて 神戸市は、観光施設の利用者やイベントの来場者の合計に基づいて観光入込客数を算出して きたが、平成 22 年分から国(観光庁)が策定した「観光入込客統計に関する共通基準」に準じ て算出している。平成 22 年以降の数値については、エリア間の移動があるため、エリア別の合 計と全市合計は一致しない(カッコ内の数値は全市合計)。 出典:「神戸観光統計データ」(神戸市産業振興局) 図表Ⅱ-2 神戸への観光入込客数
③主要施設における来場者数 平成 21 年は神戸ポートタワーの来場者数が増加している。この年は、神戸スウ ィング・オブ・ライツ、神戸ビエンナーレ 2009(平成 23 年も開催)が開催されて おり、そのイベントの効果によるものと思われる。 市立博物館は、館内で企画・開催される展示内容によって年間の来訪者が増減 する傾向にある。 (単位:万人) H20 H21 H22 H23 H24 神戸ポートタワー 32.4 38.3 33.4 37.2 36.2 神戸海洋博物館 19.9 18.6 19.1 20.0 20.1 神戸市立博物館 48.1 13.7 30.0 26.5 47.8 参考:当該エリアホ テル(4社) - - - - 約 25(1社 は半期) 出典:「神戸観光統計データ」(神戸市産業振興局)、ホテル利用者はヒアリングにて把握し た概数 図表Ⅱ-3 施設別の来場者数 (単位:万人) H20 H21 H22 H23 H24 神戸ルミナリエ 375 365 343 342 340 神戸ビエンナーレ - 16.4(10/3 ~11/23) - 24.2(10/1 ~11/23) - 参考:神戸港起点遊 覧船乗客数 65 56 56 57 57 出典:「神戸ルミナリエ」HP、「神戸ビエンナーレ」HP、「管内発着旅客船輸送実績」(神 戸運輸監理部) 図表Ⅱ-4 行祭事・イベント等の来場者数 ④観光客の行先 神戸市に来訪する観光客が、市内でどのような行動をしているのか、その行先 (立ち寄り先)について、「神戸観光魅力度調査」により把握する。 1)調査概要 この調査は、神戸の代表的な観光スポットと地域資源を活用した「ニューツー リズム」観光コースについて、神戸を観光で訪れたことのあるリピーターと訪れ たことのない新規観光客それぞれの視点から調査することによって、代表的な観 光スポットおよびニューツーリズムの課題とその可能性を明らかにすることを 目的に実施されている。 調査時期:スクリーニング調査 平成 25 年 3 月 1 日(金)~3 月 4 日(月) 本調査 平成 25 年 3 月 4 日(月)~3 月 5 日(火) 調査方法:インターネット調査(Webリサーチ会社の有するモニタパネルを 使用) スクリーニング調査対象者:全国に居住する 20~59 歳の男女 調査数:10,001 人
性・年代(20 代~50 代以上)均等割付にしたがい、 回収 本調査対象者:調査数 800 人 以下の条件該当者をスクリーニング対象者より抽出 ・直近 1 年間に国内旅行をしたことがある ・これまで神戸市に観光旅行経験がある(経験有 400 人、無 400 人) 2)神戸市訪問経験者の行先 神戸に来た人たちがどこを観光しているのか、訪問場所を把握している。 みなとまち神戸の地域では、元町・南京町・ハーバーランドを約半分の人が訪 れている。ショッピングや食事での訪問と思われる。 メリケンパークや旧居留地は全体の約3割に留まっており、元町や南京町・ハ ーバーランドを訪れた人たちが、隣接するこれらの地域へ立ち寄っていないこ と、地域間の移動が少ないことが読み取れる。 神戸港めぐりを利用した人の割合は、上記の観光地に比べ少なく、ハーバーラ ンドやメリケンパークに来ても、港めぐりを利用している傾向にはないと思われ る。 出典:「神戸観光魅力度調査」(平成 25 年 3 月、神戸・ニューツーリズム事業実行委員会) 図表Ⅱ-5 神戸観光で訪問した場所 67% 63% 60% 57% 50% 45% 41% 36% 34% 32% 0% 20% 40% 60% 80% 三宮 北野異人館 元町 南京町 ポートアイランド ハーバーランド 明石海峡大橋 メリケンパーク 神戸の夜景ス ポット 旧居留地 元町 南京町 ハーバーランド メリケンパーク 31% 30% 24% 17% 16% 15% 9% 6% 4% 3% 0% 20% 40% 60% 80% 六甲アイランド 有馬 須磨 栄通り~海岸通り 神戸港めぐり 六甲山ウォーキング 灘の酒蔵 人と未来防災センター 産業観光 (フジッコ、UCC、 その他 神戸港めぐり (フジッコ、UCC、 アシックスなど)
⑤商業地への来訪者の動向 神戸市内の商業地における来訪者の動向について、「商業地等実態調査」 (平成 24 年 3 月、神戸市産業振興局)により把握する。この調査では、平成 23 年 7 月から 8 月にかけて、各商業地の来訪者(買物客及び観光客)のうち 15 歳以上を対象にアンケート調査を行っている。 1)商業地への来訪手段 元町は徒歩・自転車による割合が高く、ハーバーランドは自家用車利用の割 合が高い。 その来訪頻度については、前回調査(平成 15 年 7 月)に比べて、元町・ハ ーバーランドともその割合が高まっている。 出典:「商業地等実態調査」(平成24年3月、神戸市産業振興局) 図表Ⅱ-6 商業地への来街手段・頻度
2)商業地の通行量
商業地の通行量は、都心居住の影響による元町商店街の一部を除いて、南京 町・元町 3 丁目商店街とも漸減傾向にある。
出典:「商業地等実態調査」(平成24年3月、神戸市産業振興局)
3)商業地での滞在特性 商業地のうち、元町商店街の来訪者特性について、「神戸元町商店街の活性 化」調査(平成 22 年 11 月、神戸大学経済学部中川ゼミ)により把握する。こ の調査では、平成 22 年 11 月に、元町商店街において通行量調査及びアンケー ト調査を実施して、結果分析を行っている。 元町商店街への来訪者が帰る時間については、平日と休日で差が見られる。 来訪する時間は、平日と休日でほぼ同じで 9~10 時が多いが、帰る時間は平日 の方が早い傾向が見られ、多くの店が閉店する 19 時にはほとんどの客が帰って いる。 来訪者が元町商店街に留まる時間(滞留時間)は、平日は短い人が多いが、 休日は 5 時間以上滞在している割合が高い。 出典:神戸元町商店街の活性化(平成 22 年 11 月、神戸大学経済学部中川ゼミ) 図表Ⅱ-8 元町商店街での滞在時間
元町への来訪者が元町以外で立ち寄った地域については、三宮地区が多く、 臨海地域のハーバーランドへの立ち寄り割合は低い。 三宮と元町の間の人の流れは多いが、ハーバーランドと元町の間の人の流れ は多くなく、元町商店街西側の人通りの寂しさにつながっているのではないか と思われる。また、隣接している南京町と元町の間の人の流れも多くないこと が分かる。 出典:神戸元町商店街の活性化(平成 22 年 11 月、神戸大学経済学部中川ゼミ) 図表Ⅱ‐9 元町からの立ち寄り先 立ち寄り地域(予定を含む) (人)
⑥外国人入込客の動向 1)神戸市を訪れる外国人旅行者数 神戸市の外国人旅行者数は増加傾向にあり、全体の 7 割程度は、東アジアから の観光客である。 平成 21 年の減少は、世界的な景気後退・円高の継続、新型インフルエンザの 流行等によるものである。 (注1) 平成 22 年までの数値は、全国数値に JNTO の訪日外国人旅行者調査の訪問率を乗じ て推計したもの。 (注2) 平成 23 年以降の数値は、観光庁が統計法第 32 条に基づき、訪日外国人消費動向調 査調査票情報を二次利用して作成した内訳表より、神戸市にて算出した推計値。 出典:神戸市提供資料 図表Ⅱ‐10 神戸への外国人旅行者数 40.34 46.74 54.28 44.13 57.69 29.94 38.45 55.11
2)外航クルーズ客船で訪れる外国人観光客の行動特性 近年外航クルーズ客船の日本への寄港が増加しており、クルーズによるインバ ウンドが果たす役割は今後ますます高まると考えられる。外航クルーズ客船で訪 日する外国人観光客の寄港地での行動特性について、「外航クルーズ旅客の消費 活動が地域・観光振興に及ぼす効果の分析」(平成 22 年、東京電機大学都市・ 交通研究室)により把握する。 a.調査概要 この調査では、コスタ・ クラシカ号(52,926 総ト ン、イタリア船籍)のアジ アツアー(上海⇒長崎⇒東 京⇒神戸⇒那覇⇒キールン ⇒香港)での寄港地である 神戸港でアンケート調査を 実施している。 乗船客は 24 時間船から の出入りは自由である。 b.クルーズ旅客の特性 旅客の中心は高齢層(50~80 歳が全体の約 75%)で、国籍はイタリアが最 も多く、以下、スペイン、フランス、英国とヨーロッパ国籍の旅客が中心であ る。 一人当たりの平均旅行回数は約 7 回、クルーズ客船の経験回数が 6 回未満が 約半分を占めていることから、リピーター率の高い観光形態であるといえる。 出典:外航クルーズ旅客の消費活動が地域・観光振興に及ぼす効果の分析(平成 22 年、東京電機 大学都市・交通研究室) 図表Ⅱ‐12 クルーズ旅客の性別、クルーズ旅客の国籍 図表Ⅱ-11 アンケート調査概要
出典:外航クルーズ旅客の消費活動が地域・観光振興に及ぼす効果の分析(平成 22 年、東京電機 大学都市・交通研究室) 図表Ⅱ-13 クルーズ旅客の年齢構成、クルーズ旅行経験回数 出典:外航クルーズ旅客の消費活動が地域・観光振興に及ぼす効果の分析(平成 22 年、東京電機 大学都市・交通研究室) 図表Ⅱ-14 旅行人数 クルーズ旅客の行動特性について、訪問地は神戸・大阪・京都で全体の 88% を占め、神戸だけでは全体の約 1/3 の割合となっている。 訪問地別の滞在時間は、神戸・大阪の 6 時間以上は 15~20%であるが、京都 は約 70%と、神戸・大阪と比べて長い。 オプショナルツアーへの参加目的は、「歴史的な建物の見学」が約 4 割、「買 物」が約 2 割で、この二つで全体の約 6 割を占めている。「景色鑑賞」や「博物 館見学」も約 3 割を占めている。 神戸に寄港した旅客は、京都・大阪や奈良など、神戸だけでなく様々な地域を 訪れている。神戸は、京都や大阪の玄関口としての役割も果たしていると思われ る。
出典:外航クルーズ旅客の消費活動が地域・観光振興に及ぼす効果の分析(平成 22 年、東京電機 大学都市・交通研究室) 図表Ⅱ‐15 訪問地の割合、訪問地別滞在時間 出典:外航クルーズ旅客の消費活動が地域・観光振興に及ぼす効果の分析(平成 22 年、東京電機 大学都市・交通研究室) 図表Ⅱ-16 オプショナルツアーの参加目的 出典:外航クルーズ旅客の消費活動が地域・観光振興に及ぼす効果の分析(平成 22 年、東京電
(2)みなとまち神戸の魅力 ①国内観光客の評価 神戸を訪れる国内観光客が神戸の観光地をどのように評価しているのか、既 往関連調査の結果からとりまとめる。 1)観光資源の特性と可能性 神戸の観光が目指すべき姿としてまとめられた「神戸観光プラン」(平成 23 年 9 月改訂、神戸市)では、計画期間を平成 23~27 年度として、神戸の 観光地を空間軸(立地特性)と時間軸(歴史性、未来性)で評価し、その魅 力活用に向けた可能性検討を行っている。 神戸臨海地区については、「美しい景観を有する港」と「南京町・旧居留 地などの賑わいのある都心」が取り上げられている。 出典:「神戸観光プラン」(平成 23 年 9 月改訂、神戸市) 図表Ⅱ-18 神戸市の観光資源の特性
また、「神戸観光プラン」では、神戸の魅力とその磨き上げの必要性につい て、次のように述べられている。 海・まち・山・温泉とあらゆる楽しみが体験できることが神戸の魅力である。 しかし、一方でこれらの資源の「神戸ならでは」という魅力要素の発信が十 分にできているとはいえず、「神戸でなければ体験できない観光」が浸透して いるとはいえない。 そこで、豊富な観光資源の魅力の「神戸らしさ」を掘り下げ、磨いていくと ともに、それを観光に関わる市民、事業者、行政が共有していく必要がある。 こうした取り組みを進めた上で、豊富な観光資源のネットワーク化を推進する とともに、新しい観光資源を創り出し、効果的に発信していく必要がある。 また、(中略)神戸の持つ資源・魅力を、デザインの視点で磨きをかけるこ とにより、神戸のまちのブランド力を高めるとともに、世界に発信し、交流人 口の増加につなげていくことが重要である。 これらのことから、みなとまち神戸のそれぞれの観光資源の魅力を磨き上げる だけでなく、街なかの歴史性を有する「南京町」「旧居留地」と、海の魅力を有す る「みなと」が連携して未来に向けて展開する方向性が考えられる。 そのためには、「海」と「まち」を結ぶ動線などの一体性や連携軸の強化(図表 Ⅱ-19の )が必要と考えられる。 出典:「神戸観光プラン」(平成 23 年 9 月改訂、神戸市)
2)神戸の観光魅力度 観光地の魅力度については、「神戸観光魅力度調査」において、アンケート 調査による分析が行われている。 「異国情緒」「都会的」「おしゃれ」が神戸の三大イメージであるが、「ロ マンチック」も三大イメージに次ぐ重要なキーワードと思われる。 典型的なイメージをキーワードにするのではなく、「ロマンチック」というキ ーワードでみなとまち神戸の観光を考え、その魅力を具体化するコンテンツを 見出すことで神戸のイメージをさらに高めることが可能と考えられる。 出典:「神戸観光魅力度調査」(平成 25 年 3 月、神戸・ニューツーリズム事業実行委員会) 図表Ⅱ-20 神戸のイメージ
また、この調査では「神戸市訪問経験あり」の人について、神戸の代表的な観 光スポットと思われる 9 つについて、認知度と興味度を把握している。 神戸の代表的な観光スポットである「南京町」は特に認知度が高く、70%とな っている。 みなとまち神戸の「ハーバーランド」も高い数値を示しているが、これらに比 べ認知度・興味度が低い「旧居留地」「神戸港めぐり」については、ポテンシャル を持っているが認知されていないという部分もあると思われるため、それぞれの 魅力を伝える取組みが必要と考えられる。
②外国人から見た神戸の魅力等について 外国人から見た神戸の魅力や、その活用に向けて足りないところなどの課題に ついて、神戸・ニューツーリズム事業実行委員会(詳細は資料編の 55 ページを参 照)が平成 26 年 1 月及び 2 月に実施したインバウンドモニターツアー(詳細は資 料編の 19 ページを参照)の参加者にアンケート調査を実施することにより把握を 行った。 このツアーでは、鉄道駅から神戸港に向かって街歩きをしながら商店街などの 街並みや店の魅力を観察してもらい、港からは観光船に乗船して港めぐりの感想 をアンケートで回答してもらった。その他、外国人からみた神戸の魅力等につい ても尋ねた。 今回の参加者は関西に数年間在住している外国人が多く、神戸の港エリアに対 する知名度は高かったものの、エリア全てを認知しているとは言えなかった(例: メリケンパークがまだ知られていない等)。ただし、街並みや観光船での港めぐり などの評価は高く、これらを外国人向けにもおすすめのコース設定も含めてさら に情報発信していけば集客にもつながると思われる。 回答結果から把握できたことの概要を以下にとりまとめる。 〇神戸市の観光地で知っているのはハーバーランドと南京町という意見が多く、 神戸を代表する観光地と、最近整備された集客施設のイメージが強いと思われ る。 〇観光地での行動は、友達や恋人、家族などのカップルと一緒に、という意見が 多く、本調査が目指す方向性に合った意見と思われる。 〇観光地の魅力については、おしゃれという意見が多く、神戸市のイメージによ るものと思われる。 〇観光地に足りないのは休憩施設と観光地に関する情報という指摘が見られた。 〇今回のツアーは鉄道駅から歩いて港に向かったが、その街歩きについては、歩 きやすいが退屈という指摘が見られた。 〇クルージングに関しては、船上からの景色が素晴らしく、サービスにも満足し ていたが、英語表記の希望が寄せられた。 〇観光地のおすすめのコースを教えてほしい、という意見も寄せられた。
3.新聞報道による把握 新聞記事のデータベースを用いて、過去 20 年程度の記事の中から、今回の対 象地域の来訪者等に関する報道を抽出した。 検索の対象は、全国紙及び神戸新聞とした。「神戸市」「観光」「臨海地域」 「神戸港」といった関連するキーワードを用いて検索を行った。 抽出した記事(個別記事の報道内容は資料編の1ページ以降を参照)の内容 から、下記のような特性が読み取れた。 〇旧居留地が観光客で賑わうようになったのは 1980 年代。・・・落ち着いた街並 みとミナト神戸のファッション性。ビルオーナーと買物客誘致を目指す百貨店 が協力して生き残りを図り、旧居留地の特性を生かした街づくりが動き出すこ とになった。(H11.6.2 朝日) 〇旧居留地連絡協議会の試算では、地域内の昼間人口は就業者約 2.5 万人、来訪 者約 1 万人。(H13.1.17 神戸) 〇神戸・南京町の商店主らが大規模なアンケートに乗り出している。学生も協力 しての街頭調査を実施。観光客や住民の声を活かし、新たな観光客の取り込み につなげたい考えだ。南京町は、平日で一日約 1 万人、日曜日は 3~4 万人が 訪れる神戸有数の観光名所。(H17.11.19 神戸) 〇神戸港周遊船「コンチェルト」乗客 300 万人を達成。(H22.6.27 神戸) 〇大型客船、誘致効果は?「中国人特需」は限定的、ボイジャーの乗客で大丸神 戸店で買い物したのは 1500 人の入店客の約 1 割。(H24.8.4 日経) 〇アンパンマンこどもミュージアムの入館者数は初年度で年間 60 万人を想定。 (H24.8.20 毎日) 〇umie 開業、運営主体のイオンモールは年間 1500 万人の来客を見込む。 (H25.4.18 朝日) 〇umie 初日 7 万 7 千人、南京町商店街振興組合理事長は、「ハーバーランドの活 性化で神戸全体のブランド力が高まる。umie で買い物をした後、南京町でお いしい中華料理を食べてもらえれば」。(H25.4.19 読売) 〇神戸港の遊覧船ファンタジー号、客室改装しカフェに、限定の足湯は有馬温泉 観光協会との企画。(H25.7.30 神戸)
4.ヒアリング調査による把握 統計書、関連調査、新聞報道等で把握された観光動向の内容を踏まえ、地域事 業者等の関係者が、この動向に対しどのような印象・問題意識等を持っているか について伺うとともに、この動向から把握できなかったことについて伺うことを 目的としてヒアリング調査を実施した。 調査は対象地域内の主要集客施設をヒアリング対象とし、事前に依頼書を配布 して協力を依頼した上で、平成 26 年 2 月中旬に集中的にヒアリングを実施した。 ヒアリングで明らかになった点を下記に示す(対象施設と個別ヒアリング記録は 資料編の 12 ページ以降を参照)。 <面(エリア)的な動き> 〇神戸港エリアは、ハーバーランドエリアとメリケンパークエリアで面的な人の 繋がり(東西の人の動き)は見られない。umie やアンパンマンこどもミュージ アムの集客効果はポートタワーに波及していない。 〇国道 2 号で、神戸港エリアと旧居留地・南京町・元町商店街エリアの人の動き (南北の人の動き)はつながりが断たれている(港に来た人が山側の観光地に は移動しない)。 <点(施設・拠点)的な動き>
〇umie の NORTH MALL・SOUTH MALL と MOSAIC では来客の特性(目的や滞在時間等) が異なる。NORTH MALL・SOUTH MALL は近傍住民が中心で、MOSAIC への立ち寄 りは少ない一方、MOSAIC は観光客が中心である。 〇umie とアンパンマンこどもミュージアムは、既に開業当時の目標(年間各々 1,500 万人と 60 万人)を達成している。 〇ハーバーランド全体の来訪者は、駐車場利用等から推計すると、休日で約 10 万人である。 〇ポートタワーの来訪者は年間約 30~40 万人である。カワサキワールドができ たことでメリケンパークへの来訪が年間約 10~20 万人増加している。 〇南京町の来訪者は、平日で1日 1 万人、休日で1日2万人である。ただし、夕 方以降の賑わいがない。 〇旧居留地の来訪者は休日で1日約 2 万人である。ただし、夜の人通りは少ない。 神戸市立博物館は展示内容で来場者数が増減する。 <観光客の評価> 〇みなと(海)に来て、山が間近に見えることに感動するホテルの宿泊客が多い。
5.現状把握のとりまとめ 1.~4.で把握できたみなとまち神戸の現状について、地域や施設の集客 力及び地域や施設に対する評価という観点で、それぞれの情報ソースごとにと りまとめる。 (1)地域や施設の集客力について ① 統計データ 〇神戸港への観光入込客は年々増加傾向にあり、平成 24 年の統計では年間 280 万人と、集客力のあるエリアである。 〇個別の施設もイベント等で増減はあるところもあるが、集客力は有している。 ② 関連調査 〇元町・南京町・ハーバーランドに比べ、メリケンパークや旧居留地は来訪者 が少ない。 〇南京町などの観光地は人気はあるものの、賑わいは減少傾向にある。 港と市街地両方への立ち寄りは少なく、みなとまち神戸全体での回遊も見ら れない。 〇外国人の来訪者は増加傾向にある。 〇外航クルーズ船で神戸に寄港する観光客が神戸に滞在する時間は、京都に比 べ短い傾向にある。 ③ 新聞報道 〇魅力あるみなとまち神戸の観光地に毎年多くの観光客が訪れている、特に新 しいハーバーランドの商業施設は好調で、神戸全体のブランド力が高まると している。 〇神戸港の遊覧船も独自の企画等で集客を図っている。 ④ ヒアリング 〇新聞報道にあるような集客はあるものの、地域間の連携(港と市街地、港 の東西や南北)不足や、夜間の賑わいが少ない、といった問題意識がある。 (2) 地域や施設に対する評価について ① 関連調査 〇観光客は、みなとまち神戸について「神戸らしい雰囲気」と「景色の良さ」 を高く評価している。 〇神戸の魅力は、「海」「まち」「山」とあらゆる楽しみが体験できることにある。 ただし、この良さが発信できていない。 〇豊富な資源の磨き上げとネットワーク化が必要である。 ② インバウンドモニターツアー
〇港のクルージングは、多くの人に高い評価が得られた。 〇夜景スポットに行きたいという意見が多い。
③ ヒアリング
Ⅲ.みなとまち神戸の現状及び魅力を踏まえた課題と解決の方向性
Ⅱ.で把握・調査を行った結果得られた、みなとまち神戸の現状及び魅力に係る データについて、その課題と解決の方向性についてとりまとめるとともに、Ⅳ. におけるコンセプトのさらなる磨き上げに向けた整理・分析を行う。 1.現況及び魅力に係る特性のとりまとめ Ⅱ.までの分析結果をとりまとめると、以下のような課題にまとめられる。 (1)夕方以降の賑わいがない みなとまち神戸及びエリア内の個別施設には多くの観光客が来訪しているが、 昼間の賑わいが夜間まで続いていないようである。 神戸の魅力のひとつとして挙げられていた「ロマンチック」というキーワード を考えても、夕方から夜にかけての時間帯に行きたいと思わせることは重要な要 素であり、昼間の集客を夕方以降まで維持するための仕掛けについての検討が必 要である。 (2)点から面への展開(特に港の東西軸)がない エリア内にある施設に来訪した人たちが、他の周辺施設やエリアにも立ち寄る ということが少ないという傾向があり、特に港エリアに関しては、中突堤を挟ん だ東西の人つながり、街側への南北の人のつなりが見られない。 1つの限られたエリアや施設に来ている多くの来訪者が隣接するエリアや施 設に流れるようにすることにより、相乗的により広域のエリアの活性化を図るこ とができることから、まずは港において、中心的な役割を担う港の東西軸の強化 に向けた検討が必要である。 (3)地域を回遊する行動が見られない みなとまち神戸にはさまざまな魅力を持つ観光資源やエリアが比較的コンパ クトな範囲に多く存在しているが、これらの観光資源やエリアを回遊するという 動きは少ないようである。 高いポテンシャルを有する観光資源やエリアの価値を発信するだけではなく、 それらの観光資源やエリアを有機的にネットワーク化して、総合的にみなとまち 神戸地域尾魅力を高めることが重要である。 このためには、(2)で述べたまずは港の東西軸の強化を図った上で、そこ から南北、さらにはそれらの軸から周辺への展開を図っていくことが必要であ る。2.みなとまち神戸の現況を踏まえた分析 これまでの分析を踏まえ、みなとまち神戸の活性化に向けた具体的な課題とそ の解決の方向性を以下にとりまとめる。 (1)港エリアの東西軸強化 集客が港の東西で分断されている。特に、ハーバーランドの新しい施設への集 客が地域全体の活性化につながっていない。メリケンパークとハーバーランドの 間の人の動きをつないで回遊させる仕掛けが必要である。 (2)港エリアと市街地エリアとの南北軸強化 港から旧居留地、港から南京町・元町商店街へ移動する観光客が少ない。ハー バーランドと南京町といった南北の集客力を持つエリアどうしの連携による相乗 的な魅力アップのための仕掛けや工夫が必要である。 (3)新しい集客施設から港エリアへの誘導 アンパンマンこどもミュージアム、umie に来訪する人たちが、メリケンパーク や市街地方面に移動していない。これらの集客施設から東西・南北の連携軸への 人の動きを誘導する仕掛けが必要である。 (4)間近に山が見える景観の活用 港から間近に山が見えることがホテルの宿泊者などに評価されていることを踏 まえ、神戸の街並みと調和する六甲山系の眺望を活かす仕掛けが必要である。 (5)駅からの誘導策 三宮、元町、神戸各駅から港エリアまでのアプローチは歩きやすく街並みがき れいであると評価されているが、一方で退屈するとの指摘もあるので、歩いて退 屈しない仕掛けが必要である。 図表Ⅲ-1 課題図
Ⅳ.コンセプトのさらなる磨き上げとコンテンツの提示
Ⅱ.及びⅢ.の成果を踏まえ、現在「YOKOSO みなとまち神戸コンソーシアム」 において検討されている「みなとまち神戸ロマンティック事業」のコンセプトに ついて、さらなる磨き上げを行うとともに新たなコンテンツを提示する。 1.既往成果と現況課題を踏まえた磨き上げ 「YOKOSO みなとまち神戸コンソーシアム」では、「みなとまち神戸ロマンティ ック事業」について、平成 24 年度から検討を重ね、下記のコンセプトをとりま とめている。このコンセプトにはみなとまち神戸関係者の思いが集約されている ので、このコンセプトをベースにして磨き上げを行う。 <既往コンセプト>コピー:KOBE , All for Two. ~神戸のすべては二人のために~ 趣 旨: ◎カップルが思い出づくりを行う環境としてうってつけな「みなとまち神戸の夕・ 夜の魅力」を強力にPR。(夕・夜に繋げる上で有効な昼間コンテンツも盛り込 む) ◎2人の思い出づくりを応援する様々な事業者のグッズ・サービス等の能動的なコ ンテンツ、そして2人が恋愛気分に浸れる雰囲気を醸し出す夜景スポットや名所 等の環境面に関わるコンテンツ。それぞれの方向から「二人のためのみなとまち 神戸」を企画・発信。 ◎神戸ならではの、山海と隣接した都市環境、夕・夜と表情を変える都市景観、異 国文化の取り込みといった性質を活かしたコンテンツを総動員し、神戸流のデー トや仕掛けで2人の世界の演出を提案。 事業対象エリア: 従来の「中突堤、メリケンパーク、ハーバーランド及び臨海地域と鉄道各駅の 間の市街地」に「新港突堤地区、ポートアイランド地区、北野地区」を加える。
(1)現況把握を踏まえた磨き上げのポイント 市街地で夕方以降観光客が減少する、港の東西集客拠点の賑わいが東西・南北 で分断されている、という課題を解決するための仕掛けを付加して磨き上げ案を 作成する。具体的には以下の通りである。 ① 夕方以降の賑わいを創出するために、旧居留地のお洒落で落ち着いた雰囲気、 南京町の異国情緒あふれる賑わい、港町の歴史を語り継ぐ元町商店街の雰囲 気の活用が必要である。 ② 点の賑わいを線、面に展開するためには、中突堤を拠点に、東西、南北の軸 を強化することが必要である。 ③ 港から山側の景観を活用したり、埋もれた眺望ポイントに価値を付加するこ とも必要である。 ④ 外国人にとっても魅力的な観光資源の価値向上・PRが必要である。特に、 退屈しないコース設定やその内容のPRが必要である。 (2)カップルの具体的な行動想定と、その行動を演出するコンテンツの提案 上記課題を解決するために、みなとまち神戸を訪れてもらいたいカップルにつ いて、恋人、夫婦、友人、外国人のようにカテゴリー分けをし、それぞれのカテ ゴリーのカップルの行動を物語風に想定(下記に例示)し、その行動内容に応え るコンテンツ(太字で例示)を検討する。 例:海辺の公園を散策(公園のライトアップ)したあと港をクルージング、船上 から見た街並みと山並みに感動し(カップル向けの船上イベント) 、港町の 歴史を語り継ぐ街並みをぶらぶらし(港から市街地までの退屈しない街並み) 歴史ある商店街で買い物を満喫(カップル向けの商品企画)、夜は異国情緒あ ふれる中華街で本格的な中華を堪能(カップル向けのコース提供) (3)物語性を付加することの意義 磨き上げとしてコンセプトに物語性を付加することの意義は、下記の 2 点であ る。 ① 来訪者の行動(地域内の回遊や立ち寄り行動)を物語にすることで、その活 動を支える機能や施設、現況に不足する課題や問題点などを明確にすること ができる。 ② 一日の時間の流れや四季の違い、ある特定日(記念日・誕生日やバレンタイ ンディなど)を想定することで、おもてなしの仕掛け(事業者の企画)も検 討することが可能になる。
2.磨き上げ案の作成 1.での検討を踏まえ、磨き上げ案を作成する。 ただし、この物語は例示であり、今後観光ローカルプラットホームに参加する 事業者等が議論・アイデア提案することで、様々なバリエーション(季節版、特 定日版、日帰り版・宿泊滞在型版 等々)の物語を展開することが可能と思われ る。
KOBE , All for Two. ~神戸のすべては二人のために~
二
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人
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物
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語
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り
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継
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み
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な
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ま
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は
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◎恋人
ハーバーランド訪れた二人は、クルージングで海からみなとまち神 戸の景観に感動、市街地に向かって途中の古い商店街で雑貨を買 物、南京町では異国の文化と食事に大満足◎夫婦
思い出のメリケンパークとポートタワーを散策、歴史を語り継ぐ旧 居留地と博物館でゆったりとした時間を過ごし、夜はハーバーラン ドのレストランで食事◎友人
神戸市内の学校に通う二人はハーバーランドで買い物と映画鑑賞 を楽しみ、港を散策してレストランで食事したあと六甲山の山上で 夜景に感動◎外国人
港の歴史に興味があって外国から訪れた二人は、旧居留地周辺を街 歩きして古い建物を写真撮影、元町商店街ではガイドの案内で神戸 の歴史や文化を実感、お土産を買物3.コンテンツ案の提示 2.で磨き上げたコンセプトのもと、みなとまち神戸の活性化を具体化するコ ンテンツについては、「みなとまち神戸ロマンティック事業WG作業部会」の既往 コンテンツリストに最新の情報を反映させつつ、下記のイメージで抽出、組合せ、 新規作成等の検討を行い、その具体化に向けた検討を進めることが必要である。 例えば、下記のように、様々なカップルの行動を支えるコンテンツをまず作り上 げ、コンテンツリストを参照してそのコンテンツが既に実施されている場合は内 容を確認して足りない部分などを改良し、コンテンツリストにない場合は新規に 作り上げたり、既往コンテンツの組み合わせで対応可能な場合はその事業者間で 協議を行い事業化することが考えられる。 図表Ⅳ-1 コンテンツの作成イメージ
KOBE , All for Two. ~神戸のすべては二人のために~
二人の物語を語り継ぐみなとまち神戸 ◎恋人 ハーバーランド訪れた二人は、クルージングで海からみなとまち神戸の景 観に感動、市街地に向かって途中の古い商店街で雑貨を買物、南京町では 異国の文化と食事に大満足 ◎夫婦 思い出のメリケンパークとポートタワーを散策、歴史を語り継ぐ旧居留地 と博物館でゆったりとした時間を過ごし、夜はハーバーランドのレストラ ンで食事 ◎友人 神戸市内の学校に通う二人はハーバーランドで買い物と映画鑑賞を楽し み、港を散策してレストランで食事したあと六甲山の山上で夜景に感動 ◎外国人 港の歴史に興味があって外国から訪れた二人は、旧居留地周辺を街歩きし て古い建物を写真撮影、元町商店街ではガイドの案内で神戸の歴史や文化 を実感、お土産を買物 上記の物語を演出するコンテンツ例 ◎恋人 カップル向けクルージングプラン(船上ウェディング体験プラン等) バレンタインディ、ホワイトディの街中イベント ◎夫婦 夫婦の記念日食事プラン 公園内の思い出銘板(広場などにはめ込み) 夕方以降の公園散策を楽しくするライトアップ ◎友人 港のビュースポットを設置 神戸港を拠点とした夜景ツアーの企画(臨海部や六甲山を回遊) ◎外国人 タウンガイドに代わる案内ツール(スマートフォン用アプリ等) 街歩きと写真撮影、写生大会
既往コンテンツリストの更新
Ⅴ.ローカルプラットホーム構築のための課題の整理
Ⅳ.で磨き上げたコンセプトを軸とした観光推進体制について、これがみなと まち神戸におけるローカルプラットホームとして機能するために必要な課題等に ついて整理する。 1.ローカルプラットホームの構築イメージ 磨き上げたコンセプト案を軸とした観光推進体制については、下図のイメージ でコンテンツに関係する機関や事業者等が集い、事業化に向けた行動計画を作成 するとともに、その実施に向けた協議と実施後の効果把握、その検証を踏まえた 計画の見直し等を効果的に推進することが必要である。 まずは、関係者が集うプラットホームを立ち上げ、その場で事業化するコンテ ンツの目的や効果、事業期間等を主体となるメンバー間で協議・確定する。その 内容を行動計画としてとりまとめ、具体的な事業化を進める。事業開始後はその 事業効果を検証し、行動計画と照らし合わせて必要な場合は事業計画の見直しを 行うことが必要である。 Ⅲ.で明らかになった課題のうち、まずは地域の中心的な役割をになう中突堤 を中心とした地域の東西軸強化に向けた活動を開始し、その成果をもとに他の課 題解決に向けた活動にも取り組んでいくことが必要である。 コンテン ツリスト (データ ベース) コンテンツ リストから の抽出と組 み合わせ、 事業期間、 区域と効果 の想定 まずは、メ リケンパー クとハーバ ーランドを 結ぶ東西軸 の強化に向 けたコンテ ンツを検討 コンテン ツの具体 化に向け た行動計 画作成 行動計画 を踏まえ たコンテ KOBE , All for Two. ~神戸のすべては二人のために~二
2.プラットホーム構築に向けた課題の整理 今後、この観光ローカルプラットホームは、具体的な行動計画策定に向けた 議論、その行動の開始と運営、その効果を踏まえた行動計画見直し等のフィー ドバック、という一連の活動が開始される中で、みなとまち神戸活性化の中核 的な役割を担うことになる。 そこで、このローカルプラットホームを中核とした活動のステージごとに、 今後想定される課題と対応策の例を整理する。 活動ステージは、準備段階から、行動計画の策定と実施・運営、実施後の効 果の把握と検証という 4 段階が考えられる。その段階ごとに想定される課題と、 必要な対応策を例示した。この整理をもとに、具体の事業内容に照らし合わせ て、個別の事業内容も踏まえた対応を考えていく必要がある。 活動ステージ 想定される課題 対応策(例) 準備段階 地域に根差した組織形態の構 築 コンテンツの立ち上げ、運 営と支援に係る様々な関 係者の参加と協力 地域の連帯感を醸成する組織 形態の構築 地域の課題解決(東西軸の 連携・強化等)に係る様々 な関係者の参加と協力 行動計画の策定時 コンテンツの目的を踏まえた、 事業期間・事業区域と期待され る効果の明確化 関与する事業者間の連携 や問題意識の共有化 既存コンテンツの活用・改良・ 組合せに関する関係者間の調 整 コンセプトが目指す地域 像と活動イメージの共有 化 計画の実施・運営時 行動開始後の事業運営に係る リスク リスク要因の事前把握と その対応策の検討 効果の把握と計画の 見直し時 コンテンツの事業化による効 果の定量的な把握 効果の指標抽出と数値化 の手法(モニタリング)検 討 統計書等の数値等を用い た評価手法の検討 事前想定した効果目標が達成 されない 効果の達成状況を踏まえ た行動計画見直し方針の 事前設定と、事業開始後の 定期的なモニタリング 図表Ⅴ-2 プラットホーム構築に向けた課題と対応策