教育保育研究紀要 第6号 (2020)
幼児期の終わりまでに育ってほしい
1
0の姿
『豊かな感性と表現』をとらえた実践研究
A
幼稚園
5
歳児「心を動かし楽しく表現する幼児の育成」を通して一一一
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Garden
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-塚 本 敏 浩
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Tsukamoto
贋 田 邦 子
※
Kuniko H
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I.はじめに
平成3
0
年4
月に施行された幼稚園教育要領ヘ 保 育所保育指針ヘ 幼保連携型認定こども園教育 ・保育 要領3)では,1
幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」 として1
0
の姿を挙げ,幼児期の教育と小学校教育の 円滑な接続の重要性についてふれている。また,各幼 稚園,保育所,認定こども園においては,幼児の発達 等の状況を踏まえて,幼児期の終わりまでに育ってほ しい幼児の具体的な姿をイメージしつつ, 豊かな教育 活動が展開されること4)が求められている。 このような背景には,これまでの5
領域(健康・人 間関係・環境・言葉・表現)によってとらえてきた幼 児の姿をさらに具体的な姿として見取り,その後小学 校,中学校,高等学校へと続く子どもの成長を連続的 にとらえるための一助とすることが期待されていると いえよう。さらに, この1
0
の委は就学へのスムーズ な移行を目指すものとして,幼児教育に携わる全ての 教育者・保育者が共有すべき内容として確立されなけ ればならなL、。 幼児教育の現場に目を向けると,幼児は,1
日頃の ※名古屋市立第一幼稚園 遊び」や 「環境」を通して活動し,一人ひとりの個々 の発達の特性に応じて成長することは言うまでもなく, その成長の過程において,領域や姿が個別に取り出さ れて指導されるものではないの,ことは周知の事実で あろう。 その一方で,小学校以降の教育は,各教科等の目標 や内容を, 資質・能力の観点から整理して示し,各教 科等の指導のねらいを明確にしながら教育活動をおこ なっている九 以上のように,各指導の特性を比較しでも,幼児教 育における領域や姿の位置付けやねらいと,小学校教 育における各教科の目標や内容との聞には,幼小指導 者聞に指導観の違いが生じることは否めず,このこと は,1
幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続」を達 成するための切実な課題であると考える。 造形・図画工作教育においても,それらの問題は例 外ではなく, 具体的には,幼児教育において,造形活 動が単体で 「表現」領域や1
0
の姿の「豊かな感性と 表現」から個別に取り出されて指導されることは,本 来あり得ないことであり,このことが,より小学校図 画工作科の指導への接続を困難にしている遠因とも考幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿 『豊かな感性と表現』をとらえた実践研究 えられる。 しかし,そのために,筆者は安直に,造形活動その ものが領域や10の姿から個別に取り出されて指導さ れ る べ き だ , と 考 え る の で は な し 身 近 な ア プ ロ ー チ として,まずは幼児教育の現場で,子どもの 「表 現
J
活動から,造形に特化した内容に着目し,指導的内容 として小学校図画工作科に繋がる要素を整理し,その 都 度 の 指 導 に 生 か す 必 要 が あ る と 考 え る。そして, 「表 現」の楽しさを味わわせる経験・体験を重視し, 小学校図画工作科における 「っくりだす喜び」に繋が る指導を実践していくべきだと考える。そういった意 味でも,幼児教育における造形活動の意味は非常に重 要であり,指導者に課された責任は重いと言える。 以上のことを踏まえ,本稿では,幼児教育における 「表 現」活動を,造形活動の視点から捉え,特に,幼 児期の終わりまでに育ってほしい 10の姿の 「豊かな 感性と表現」の幼児の姿に着目し,造形に関わる題材 を通して,1
楽しく表現する幼児の育成」を目指した 実践研究について報告する。I
I
. 研究の実際
本研究にあたり,名古屋市A
園において実践に取り 組むことにした。研究実践の詳細について以下にまと める。1
幼児の実態と研究主題 A園は名古屋市B区の都心にあり,園の周囲には官 公庁,オフィス街も近く,街中にありながら屋上菜園 で季節の野菜を栽培したり,園庭の樹木から果実を季 節ごとに収穫したりするなど,自然と触れ合う活動な ども盛んに行っている。また,雑草園では,幼児がバッ タやコオロギなどの虫を見つけて遊ぶこともできるな ど,自然に恵まれた環境が確保されている。園児は, このような身近な環境に関わる中で,出会った様々な ものに心を動かし,不思議さや面白さなど,感じたこ とを言葉や表情・動きなどでいろいろ表現しようとし ており,遊びの中でイメージを広げ,思いついたこと や考えたことを自分なりに表現しながら実現しようと している。 特に5
歳児になると,このような体験をもとに身近 にある様々な素材の特徴や表現の仕方などに気付き, 感じたことや考えたことを必要な物を選んで表現した り友達と工夫して作ったりするようになる。また,友 達同士で表現する過程を楽しむことで意欲的に表現す るようになっている。 『豊かな感性と表現』 2. +華々な素材の特徴や表現の仕方などに気付く。 3.感じたことや考えたことを自分なりに表現する。 4.友達同士で表現する過程を楽しむ。 5 表現する喜びを味わい、 意欲をもっ。 【図1】幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿 「豊かな感性と表現」の具体的な姿 こういった幼児の姿(以上の下線部)は,幼児期の 終わりまでに育ってほしい10の姿の 「豊かな感性と 表 現」に示されている姿(【図1
】参照)と合致して おり,本研究において,幼稚園生活の中で「豊かな感 性と表現」につながる経験をさらに重ねていくことで, 「心を動かし楽しく表現する幼児を育成する」ことに 繋がるのではなし、かと考えた。 そこで,本実践の研究主題を「心を動かし楽しく表 現 す る 幼 児 の 育 成 -~豊かな感性と表現』 の姿をとら えながら-
J
とし,幼児期の終わりまでに育ってほし い10の姿の 「豊かな感性と表現jに関わる5歳児を 実践対象とし,研究を進めることにした。2
.
実践の時期と対象 ① 2019年 5月-11月 ② 名古屋市A
園5
歳 児2
クラス(男児2
4
名・女 児2
6
名)3
.
研究の方法 ① 「豊かな感性と表現」につながる経験を重ねる ことで「心を動かし楽しく表現する幼児」を育成 することができるだろう,という仮説のもと,5
歳児の活動に焦点を当て実践を行う。 ② 活動の中での幼児の姿を見取り,1
豊 か な 感 性 と表現」の具体的な5
歳児の姿のどの部分に当て はまるのかを検証する。 ③ 「心を動かし楽しく表現する幼児」 につながっ た要因を分析・考察する。 ④ ③の結果を基に,次活動の教師の手立てを工夫 する。(フィー卜、パック)教 育 保 育 研 究 紀 要 第6号 (2020)
4
.
研究構想(【図2
】参照) ~,~\動かし楽しく表現する幼児』 を育成することができるであろう 研究の方法①
研究仮説に基づき、5
歳児の活動に焦点を当て、実践を行う。フ ②
活動の中での幼児の姿を見取り、「│豊かな感性と表現Jの具倒7
闘な5
歳児の姿岡、どの部分に当てはまるのかを検証する。 ドパ @
~,~\を動かし楽しく表現する幼児』につながった要因を分析考Z
察する。④
G
の結果を基!こ、次活動の保育者の手立てを工夫する。 「豊かな感性と表現」の具体的な5
歳児の姿 I.,山動かす出来事などに触れ
、
感性を働かせる。
2
.
様々な素材の特徴や表現の仕方などに気甘く
。
3
.
感じた
ことや考えたことを自分なりに表現する
04
.
友達同士で表現する過程を楽しむ
。
5
.
表現する喜びを昧わい、意欲をもっ
。
【図2】研究構想図5
.
実践題材について れるようにしたいんだ」と答えるA
児。(【図3
】参照) (1)実践11
恐竜になって遊ぼう!J
5
歳児5
月中旬 そこで,教師もA
児の話を聞きながら,A
児のイメー-6
月下旬5
歳児クラスの生活が始まって聞もない頃,恐竜が 大好きなA
児が図鑑を囲んで話したり,ブロックで恐 竜を作ったりしていた。 毎日のように恐竜の図鑑を見て過ごすことが続いた ある日,A
児に教師が100
ってどんな恐竜なの?
J
と聞くと「頭にこぶがあって・・・」と身振り手振り で説明をし始めた。「へえ,かっこいいこぶがついて るんだね」と教師が言うと 「そうだ!恐竜を作ろう」 と恐竜を作り始めた。しかし,なかなか進まなL、。教 師が「どんな感じにしたいの?
J
と聞くと 「頭にかぶ 【図 3】幼児の活動の様子幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿 『豊かな感性と表現』をとらえた実践研究 ジに合った形を一緒に考え作ることにした。頭が出来 上がると,空き箱コーナーから切り込みの入った箱を 見つけ,背中を作り始めた。同じ場にいた他の幼児も 「恐 竜 な ら 鋭 い 爪 も 必 要 だ よ !jと手や足につける爪 も作り始めた。背中の骨板を作りたい
B
児は.I
硬い のがいいんだけど」と教師に言いに来た。そこで,教 師が段ボールを用意すると.I
これがいい」と段ボー ルで骨板を作り始めた。骨板ができたB
児は,教師に 「こんな感じにしたいの」と見せにきたので.I
なるほ ど, どうしたらいいかなあ。」 と教師も一緒に考え, 牛乳パックのベルトを腰につけて固定する方法を提案 し,試すことにした(【図4
】参照)。恐竜が出来上が ると「恐竜ランドを作ろう」と張り切って遊戯室へ行 き,大積み木で自分たちが入って遊べる恐竜ランドを 作って遊ぶことを楽しんだ。 実 践1
では.I
豊 か な 感 性 と 表 現」の具体的な5
歳 児の姿として.I
思いついたことやイメージしたこと を先生や友達に伝える。j.I~ 、ろいろな素材や材料に 触れ,性質を知ったり作る楽しさを味わったりする。j. 「先生や友達の力を借りながら, したいことが形にな る喜びを感じる。」 姿 が 挙 げ ら れ た (【図5】参照)。 図中の [姿O
数 字]の表記は,前述の研究主題で示 した 「豊かな感性と表現」の 具 体 的 な 姿 (【図1
】)の 1~5 との関連を示している(以下,姿-0とする)。 また.I
心 を 動 か し 楽 し く 表 現 す る 幼 児」につなが る要因分析を基にした次活動の手立ての工夫として, 「幼児に実際に触れることができる環境を用意する。j. 「教師が幼児の興味関心をとらえ,イメージを広げさ せる。j.I
幼 児 の 思 い や イ メ ー ジ か ら , ふ さ わ し い 材 料や素材を用意する。j.I
幼 児 だ け で は 出 て こ な い 作 り 方 を 提 案 し た り , 難 し い 所 を 手 伝 っ た り し て " 自 【図4】幼児の活動の様子 『豊かな感性と表現』の具体的な5歳児の姿 0 思いついたことやイメージしたことを先生や友達に伝え る。『豊かな感性と表現」の具体的な姿 -3 fu下 『 率 一 口 止 す る 】 0いろいろな素材や材料に触れ、性貨を知ったり作る楽し さを味わったりする。姿-2 0先生や友達の力を借りながら、したいことが形になる喜 びを感じる。姿-5 【図5
】 『心を動かし楽しく表現する幼児』につながる 要因分析を基にした次活動の手立ての工夫 0 幼児に実際に触れることができる環境を用意する。 0教師が幼児の興味関心をとらえ、イメージを広げさせる。 O幼児の思いやイメージから、ふさわしい材料や素材を用 意する。 0幼児だけでは出てこない作り方を提案したり、難しい所 を手伝ったりして“、自分でできた1"と思える支媛・媛助を ~Tつ。 分 で で き た !"と思える支援・援助を行う。」 ことに 【図6】 着目した(【図6】参照)。その結果,具体的な5歳 児 の姿にどのような変容が表れたか,次実践で報告する。 こで,子どもたちが虫の世界のイメージで,体を動か して遊ぶきっかけになればと考え,運動会で鉄棒や縄(
2
)
実践2
I
むしむしワールドにきてね たのしいよ!j 跳び,キャタピラなどのサーキット競技"むしむしワー 5 歳児 10 月下旬 ~11 月中旬 ルド"を行うことにした。幼児たちはノくッタになった 1学期の終わりに飼育ケースで飼っていたカブトム つもりでジャンプをしたり,夕、ンゴ虫になって友達と シが何匹も土から出てきた。カブトムシが麹を広げる キャタピラを楽しんだりした。以上のような実態を踏 と,麹の下に透明の麹が見え,それを見た幼児たちが まえ,次のような実践を行うことにした。 「わぁ,きれいjI
透 明 !jとその麹の美しさに驚いて いた。また,夏休みが明けた2
学期には,園庭に飛ん 【実践2
一①】 「虹色クワガタを作ろう」 でくるトンボを捕まえようと追いかけたり,カマキリ カブトムシやトンボの絵を描いたり,空き箱でカブ の餌になる虫を捕まえたりする姿も見られ,次第に虫 トムシやクワガタを作ったりすることを楽しんでいた に対する興味関心はクラスの中に広がっていった。そ 幼児たちに,足や麹の動きが表すことができるよう割教育保育研究紀要 第6号 (2020) ピンを用意した。「カブトムシの麹が動くと透明の麹 があるんだよ。」 と言い,昆虫の細部に関心を向ける 幼児がいた。そこで,麹になりそうなものはなし、かと 考え,使わなくなったクリアファイルを用意した。す ると,
I
これいいね。」 と麹を作り,I
本物みたい。J
「これで飛んでるみたいだね。J
と満足そうに動かして 遊ぶ姿が見られた。その様子を見た他の幼児たちも 「虹色クワガタを作ろう。J
I
ハチも作りたい。J
I
ぼく はイセエビを作る。」 と,オーロラ紙やカラービニル で自分の好きな生き物を作り始めた(【図7
】参照)。 実践2一①では,I
豊かな感性と表現」の具体的な5 歳児の姿として,I
実際に虫に触れ,麹の美しさに感 動し,見たこと,感じたことを割ピンやオーロラ紙な ど様々な素材で表現することを楽しむ。J
I
友達の作っ たものを見て,自分なりに取り入れて作ることを楽し む。」 姿 が 挙 げ ら れ た (【図8
】参照)。この中でも, 特に,下線で表記された,I
実際に虫に触れ,麹の美 しさに感動し,見たこと,感じたことを割ピンやオー ロラ紙など様々な素材で表現すること」は,前実践の 「心を動かし楽しく表現する幼児」につながる要因分 析を基にした次実践の手立てとして,有効に働いたと 考えられる幼児の姿である。本実践では,教師が「幼 児に実際に触れることができる環境を用意する。J
I
幼 児の思いやイメージから,ふさわしい材料や素材を用 意する。」といった手立てを施すことで,このような 姿が見られるようになった成果であると考える。 また,I
心を動かし楽しく表現する幼児」につなが る要因分析を基にした次活動の手立ての工夫として, 「幼児の表現したいものに使えそうな材料をいろいろ 用意する。J
I
友達の存在を感じながら作ることが楽し める雰囲気づくりをする。」 ことに着目 し た (【図9
】 参照)。その結果, 具体的な5
歳児の姿にどのような 変容が表れたか,次実践で報告する。 【図7】幼児の作品例 『豊かな感性と表現』の具体的な5歳児の姿 0実際に虫に触れ、麹の美しきに感動し‘買たこと‘感じた ことを割りピンやオーロラ紙など犠々な素材で表現すること を楽しむ。姿-1・2 0 友達の作ったものを見て、自分なりに取り入れて作るこ とを楽しむ。姿-3 ※産主主鍾~I立、前活動的分析を基にした手立てとして、有効に働いたと考 えらる幼児の葺 【図8】 『心を動かし楽しく表現する幼児]1こつながる 要因分析を基にした次活動の手立ての工夫 0 幼児の表現したいものに使えそうな材料をいろいろ用意 する。 0 友達の存在を感じながら作ることが楽しめる雰囲気づく りをする。 【図9】 木を作り始めた。しかし, 実際にやってみると木がう 【実践2
一②】 「木を作ろう !J
まく立たなし、。どうして木が立たないのか考えている ツリーハウスを作った幼児たちが,I
森みたいに木 と,I
葉っぱのところが重し、からだよ。J
I
ここに棒を があればいいんじゃない?
J
と言い,木を作ることに もうl
本つけたら立つんだよ。」 と言う意見が出てき なった。幼児たちからは,I
段ボールを葉っぱの形に た。このような友達との関わり合いを通して表現活動 切って貼ればいい !J
I
絵の具で木の色を塗りたLリ に取り組む様子が 見 ら れ る よ う に な っ て き た (【図 「表から見ても裏から見ても木だと分かるようにした1
0
】参照)。 Lリなどいろいろな考えが出た。そこで,段ボールを 実践2
一②では,I
豊かな感性と表現」の具体的な5
切って作ってみることにした。C
児は,葉っぱの形に 歳児の姿として「身近な素材を使って木が立つための 切った段ボールを2
枚合わせ,I
ここに牛乳ノfックで 方法を考える。JI
なぜうまくし、かないのかを考えたり, くっつければどっちからも葉っぱが見えるんだよ。」 友達の考えに触れて自分なりの考えを伝えようとした と周りの友達にやって見せ,牛乳パックを聞に挟んで りする。」姿が 挙 げ ら れ た (【図1
1
】参照)。この中で幼児期の終わりまでに育ってほしい 10の姿 『豊かな感性と表現』をとらえた実践研究 【図 10】幼児の活動の様子 も,特に,下線で表記された,友達の考えに触れて自 分なりの考えを伝えようとする姿は,教師が前実践の 要因分析から捉えた 「友達の存在を感じながら作るこ とが楽しめる雰囲気づくりをする。」 手 立 て を 施 すこ とで,見られるようになった成果であると考える。 また.
I
心 を 動 か し 楽 し く 表 現 す る 幼 児」につなが る要因分析を基にした次活動の手立ての工夫として, 「考えたことや,やってみたいことを一緒に遊んでい る友達同士で言い合える雰囲気づくりする。J
I
幼児が 試行錯誤しながら納得できるまで取り組む様子を見守 る。」 こ と に 着 目 し た (【図 12】参照)。その結果,具 体的な5
歳児の姿にどのような変容が表れたか,次 実 践で報告する。 『豊かな感性と表現』の具体的な5歳児の姿 0 身近な素材を使って木が立つための方法を考える。 姿 2・3 0なぜうまくし、かないのかを考えたり、友達の考えに触れ でー向分なりの者え巷伝えようとしたりする内姿ー4・
5 者 量 生 下 益 郎lま.前活動の分析を基{こした手立てとして、有効に働いたと考 えらる幼児の盛@ 『心を動かし楽しく表現する幼児』につながる 要因分析を基にした次活動の手立での工夫 0 考えたことややってみたいことを一緒に遊んでいる友達 0幼児が訟行錯誤しながら納得できるまで取り組む線子を い 4 時 U 姿 児 形 鴫 M h み T -仲 山 山 体 J 具 h h の ゆ -目 ﹄ f 匂 現 斗 表 日 ロ と 4 2 枠 エ M 1 4 感 二 な J一
4 u i L 豊 盗。
0友達を手伝ったり、自分にできることを考えたりして、左 遣と一緒に作ること害楽しむn 姿-4 【図 11] 同士で言い合える雰囲気づくりをする。 【図12】 見守る。 0 作ったものへの黒い入れ容もち.友達と惚力して証書ぴ事 進金ゑι 姿-3・4・5 探査主主鍵量置は、前活動由分析を基にした手立てとして、有効に働いたと考 えらる幼児の聾巳 【図13】 【実践2
一③】 「トンネルをつなげよう」 幼児たちは,段 ボールで作った家をつなげ.I
トン ネルも作ろう。J
I
l
、いね。J
I
もっとトンネルつなげよ う。」とトンネルを作り始めた。 トンネルがつぶれそ うになったり,はずれそうになったりすると.I
ちょっ と待って!今,修理するから。J
I
ぼくは中から貼るね!J
とトンネルの修理をするなど,友達と作りたいものを つくりたいもののイメージを共有しながら表現活動に 取り組む様子が見られるようになってきた。 実 践2
一③では.I
豊かな感性と表現」の具体的な5
歳児の姿として.I
友達とイメージを共有しながら, 自分たちで形にして L、く。J
I
友達を手伝ったり,自分 にできることを考えたりして友達と一緒に作ることを 楽しむ。JI
作ったものへの恩いれをもち,友達と協力 して遊びを進める。j姿が挙げられた (【図13】参照)。 この中でも,特に,下線で表記された.I
友達とイメー ジを共有することJ
I
友達と一緒 に 作 る こ と を 楽しむ ことJ
I
思い入れをもち,友達と協力して遊びを進め ること」は,教師が前実践の要因分析から捉えた「考 えたことや,やってみたいことを一緒に遊んでいる友 達 同 士 で言い合える雰囲気づくりする。」 手 立 て を 施 すことで,このような姿が見られるようになった成果 であると考える。 また.I
心を動かし楽しく表現する幼児」につなが る要因分析を基にした次活動の手立ての工夫として, 「繰り返し遊ぶ中で,仲間関係を築きやすい雰囲気づ くりに配慮する。JI
作ったものや場が増えていく楽し さを視覚的に感じられる環境を設定する。」 ことに着 目 し た (【図1
4
】参照)。その結果,具体的な5
歳 児 の姿にどのような変容が表れたか,次実践で報告する。教 育 保 育 研 究 紀 要 第6号 (2020) 【実践2一④】 「お客さんを呼ぼう !
J
自分たちで作った場所を"むしむしワールド"と名付 け,毎日のように遊ぶ5
歳 児 の 幼 児 た ち の 様 子 を3
・
4歳児も 「大きい組さんたち何してるんだろう?
J
と の ぞ き に 来 る よ う に な っ て き た。そ こ で " む し む し ワールド"に3
・
4
歳児を招待することにした。幼児た ちは,I
大 き い 組 は こ っ ち か ら 船 に 乗 る こ と に し よ う ね。J
I
それじゃあ,ぼくは小さい組の乗り場を作るね。」 と言いながら,床に 「小さい組はここから」と書いた カラービニルテープを貼るなど,準備に取り掛かった。 「トンネルを抜けたらゲーム コ ー ナ ー が あ る こ と に し よう。」 と い う こ と に な り , ゲ ー ム を 作 り 始 め た 幼 児 たちは,I
小さい組は簡単に入るように穴を大きく し よう。J
I
ポイントが入ったら笛を吹くね。」 とアイディ アを思いつき,I
上 か ら 入 っ た ら1
0
0
ポイントにしよ う。」 と数字を書 く 様 子 も 見 ら れた。また,I
ゲームが 終わった子はおみやげをもらえることにしよう。J
I
じゃ あ,ぼくはおみやげコーナーの係になるよ。」 など, 折り紙でクワガタやセミを折ったおみやげや看板作り に 取 り 組 み 始 め た。お 客 さ ん を 呼 ぶ当日,3
.
4
歳 児 が"むしむしワールド"にやってくると,5
歳 児 は , 張 り切って船を動かしたり,ゲームコーナーで遊び方を 教えたり,おみやげコーナーでは, 一人一人に 「どれ がいいですか?
J
と聞きながら折り紙を渡す姿が見ら れた。大勢のお客さんに恵まれ,大繁盛だったむしむ し ワ ー ル ド (【図15】参照)。お 客 さ ん が 帰 っ た あ と に「どうだった?J
と聞いてみると,I
お客さんがいっ ぱい来てくれてうれしかった。JI
忙しくて疲れたけと 楽 し か っ た。」 と い う 声 が 多 く の 幼 児 た ち か ら 聞 か れ fこ。 実践2一④では, I豊 かな感性と表現」の具体的な5 歳児の姿として,I
自分た ち に で き る こ と を 考 え,役 割を果たそうとする。J
,I
共通 の 目 的 に 向 か つ て 友 達 と協力し, 実 現できた喜 び を 感じる。」 姿 が 挙 げ ら れ た (【図16】参照)。こ の 中 で も , 特 に , 下 線 で 表 記 された,I
共 通 の 目 的 に 向 か つ て 友 達 と 協 力 す る」姿 は,教師が前実践の要因分析から捉えた 「繰 り 返 し 遊 ぶ中で,仲間関係を築きやすい雰囲気づくりに配慮す る。」 手 立 て を 施 すこと で , 見 ら れ る よ う に な っ た 成 果であると考える。 また,I
心を動かし楽しく表現する幼児」につながっ た要因分析として,I
~お客さんをl呼び, 楽しませる』 という共通の目的を設定したこと。J
I
それぞれの幼児 の役割を発揮できる場を設定したこと。J
I
お客さんを 喜ばすことが実感できるよう,体験を重視させたこと。」 『心を動かし楽しく表現する幼児』につながる 要因分析を基にした次活動の手立ての工夫 0繰り返し遊ぶ中で、仲間関係を築きやすい雰囲気づくり に配慮する。 0作ったものや場が憎えていく楽しさを視覚的に感じられ る環境を設定する。 【図1
4
】 【図15】むしむしワールド開催の様子 『豊かな感性と表現』の具体的な5歳児の姿 0 自分たちにできることを考え、役割を果たそうとする。 姿-4 0共涌の目的に向かって友達と協力し‘実現できた喜び を感じる。 姿 4・5 ※ 産主主純貴重は.前活動回分析を基にした手立てとして.有効に働いたと考 【図16】 『心を動かし楽しく表現する幼児』につながった要因分析o r
お客さんを呼び、楽しませるJという共通の目的を設定 Lt:ここと。 O それぞれの幼児の役割を発慢できる場を設定したこと。 O お客さんを喜ばすことが実感できるよう、体験を重視さ せたこと。 【図17】幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿 『豊かな感性と表現』をとらえた実践研究 に 着 目 す ること が で き る (【図17】参照)。 このこと し く 表 現 す る 幼 児」を 育 成 す る こ と に つ な が っ た の で は,
I
心 を 動 か す 出 来 事 に 触 れ る 感 性 を 働 か せ る」 点 はないかと考える。そ の 一 方 で , 本 実 践 研 究 で は , 実 で,I
豊 か な 感 性 と 表 現」に つ な が っ た と 考 え る。 践 対 象 を5
歳 児 に 絞 っ て 研 究 を 進 め て お り , 幼 児 の 成6
.
実 践 の 結 果 と 考 察 こ れ ら の 実 践 を 通 し て 「豊か な 感 性 と 表 現」の 具 体 的な5
歳 児 の 姿 と 「心 を 動 か し 楽 し く 表 現 す る 幼 児」 に つ な が る 要 因 を 整 理 ・ 分 析 し た と こ ろ , 幼 児 の一連 の 活 動 の 流 れ に は 次 の よ う な 過 程 と そ れ を 支 え る 要 因 が 存 在 す る こ と が 分 か っ て き た。 幼 児 は 「 や っ て み た い !J
と思いを表し,I
自分で できた !J
と感じながら,友達とイメージを共有して, 作 る こ と や 友 達 と 試 行 錯 誤 し な が ら 作 る こ と を 楽 し む よ う に な る と , 友 達 と 共 通 の 目 的 を も ち , 遊 び を 進 め るようになること。そ こ に は , 興 味 関 心 を 広 げ , 受 け 止 め た り , 手 伝 っ た り , 時 に は 提 案 し て く れ る 教 師 の 存在,イメージしたことを分かつてくれる友達の存在, 試 錯 誤 し て い る 様 子 を 見 守 り , 支 え る 教 師 の 存 在 , さ らには,楽しさを共感できる仲間の存在があること, である。そ し て , こ れ ら 幼 児 の 活 動 と そ れ を 支 え る 要 因 が 「豊か な 感 性 と 表 現」 の 具体 的 な 姿 へ と 導 い て い る と 考 え ら れ る (【図1
8
】参照)。 以 上 の よ う な 経 験 ( 具 体 的 な 姿 ) を 重 ね て い く こ と で , 幼 児 期 の 終 わ り ま で に 育 て た い1
0
の姿の 「豊か な 感 性 と 表 現」が 育 ま れ , そ の 結 果 「 心 を 動 か し , 楽結果
と考
察
長 発 達 の 積 み 重 ね に 十 分 着 目 す る こ と が で き な か っ た といえる。ま た , 幼 児 の 具 体 的 な 姿 と 結 果 に つ な が 因 果 関 係 に つ い て , 十 分 で 客 観 的 な 分 析 考 察 を 施 す こ と が で き な か っ た 点 で 課 題 も 多 く 見 え て き て い る。 今後 はさらに,3
・4
歳児の表現活動にも焦点を当て,I
心 を 動 か し , 楽 し く 表 現 す る 幼 児 の 育 成」を 目 指した 研 究 を 進 め て い き た い と 考 え る。I
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.
おわりに
実 践を 振 り 返 り , あ ら た め て1
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の 姿 の 「 豊 か な 感 性 と 表 現」を 造 形 的 な 視 点 か ら 捉 え , 具 体 的 な 幼 児 の 姿として 可 視 化 す る こ と が で き た の で は なL、かと考え る。 そ も そ も 幼 児 教 育 に 携 わ る 指 導 者 の 多 く が 「豊かな 感 性 と 表 現」の 具 体 的 な 幼 児 の 姿 を イ メージできてい な か っ た事 実も 本 研 究 を 通 し て , あ ら た め て 確 認 で き た。ま た , 小 学 校 図 画 工 作 科 の 指 導 者 の 多 く が , 幼 児 教 育 に お け る 造 形 活 動 が , 作 品 づ く り そ れ 自 体 を 目 的 と す る わ け で は な く 、 様 々 な 「感 性 と 表 現」を主体に 展 開 し て い る と い っ た 事 実 を ど れ だ け 認 知 し て い る の だ ろ う か , と い う 疑 問 も 生 じ る こ と と な っ た。 本 研 究 の 目 的 で あ る 「 幼 児 期 の 終 わ り ま で に 育 っ て心を
動
かし楽しく表現する幼児の育成
-f
豊かな感
性
と表現
』
の姿をとらえながら
「やってみた-砂
『自分Jとで感でじきる砂
-
ジ友を達共作と有るイメして-砂
錯友誤達作しとなる鼠が行ら•
友達と共通 い思いIJをと表いすう た! の遊び目を的進をめもちる 興広味げ関、受心けを 手伝ったリ、 イメージした 試行錯誤し 楽しさを共感る~
教
察
師
し
の
た
存
りす
在 ことを分かつ ている様子を でのきる存仲在間 止教め師てのく存れ在る てくのれ存る在友達 見教守師りの支存え在る 1心動かす出来 2様々な素材の 3感じたことや考 4友達同士で表 5表現する喜び 事などに触れ感 特方徴や表現の仕 えたことを自分 現する過程を楽 をを味もっわ。い、患欲 性を{動かせる。 などに気イ寸く, なりに表現する。 しむE 【図18】幼児の一連の活動の流れとそれを支える要因教 育 保 育 研 究 紀 要 第