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序論:酵母から動植物まで包括するユビキチン-プロテアソーム系の新展開

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Academic year: 2021

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!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! !!! タンパク質の適切な発現,修飾及び分解は,真核細胞の さまざまな機能維持に重要である.そして,タンパク質上 の修飾(リン酸化,アセチル化,メチル化など)が,それ ぞれのタンパク質分子の機能に直結した情報をタンパク質 に与えることが知られている.近年ではユビキチン化を含 むタンパク質翻訳後の修飾系が,多くのタンパク質の機能 の発現調節(分解調節)には重要であることが報告されて いる.ユビキチンは酵母からヒトに至るまで非常に良く保 存された76アミノ酸からなる小さなタンパク質であり, ユビキチン化は基質タンパクにおけるユビキチンタンパク 質のイソペプチド反応である. ユビキチンの発見からユビキチン化酵素系の解明に至る までの研究成果は,ノーベル賞受賞者を含む多くの研究者 の貢献による.発エルゴン反応であるべきタンパク質分解 において ATP が必要な場合があることが1953年に Simp-son により報告され,1977年には網状赤血球抽出液内に ATP を加えることによりタンパク質分解は著しく増加す ることが Goldberg らにより報告された.さらには,1978 年に Hershko と Ciechanover ら(2004年ノーベ ル 化 学 賞) により,網状赤血球抽出液を生化学的に分画し,ATP 依 存性タンパク質分解活性は複合体であることが証明され た.1977年に Busch らはユビキチンがヒストンタンパク 質にイソペプチド結合することを報告し,1980年には Hershko らは ATP 依存性タンパク質分解に重要な分子が 「ユビキチン」であることを報告した.1980年代に入ると, Varshavsky らは遺伝学的手法を駆使することで,ユビキチ ン化の酵素を次々と発表した.1990年代には,HECT 型 E3や RING 型 E3の存在が報告され,さらにヒトゲノムの

解明によりユビキチンリガーゼ E3の多様性の全貌が見え 始めてきた. ユビキチン介在性タンパク質分解は,基質特異性が高い こと,基本的には不可逆反応であること,迅速にタンパク 質を認識し分解するシステムということで特徴づけられ る.ユビキチン化反応において,ユビキチンの C 末端が 基質タンパク質上のリジン残基にイソペプチド結合され, さらにそのユビキチン上のリジン残基にまたユビキチンが 結合し,最終的にはポリユビキチン鎖が形成される.ポリ ユビキチン化された標的タンパク質はプロテアソームとい うタンパク質分解を機能とするオルガネラによって認識さ れ分解を受ける.ユビキチン化の生化学的反応は,ユビキ チン活性化酵素(E1),ユビキチン結合酵素(E2),ユビ キチンリガーゼ(E3)という三つの酵素を介する生化学 的カスケードによって行われる.特に E3は,標的タンパ ク質を直接認識しユビキチン化を起こさせる酵素と定義さ れ,大きく分けて HECT 型 E3群及び RING 型 E3群に分 類される. ヒトのゲノム遺伝子上において,E1は1種類,E2は約 30種類しか存在しない.一方,E3に関しては約600以上 の遺伝子の存在が知られており,その多様性により基質認 識のための決定的な役割を果たしていると考えられる.す なわち,ユビキチン・プロテアソーム系はユビキチンリ ガーゼ E3の遺伝子数を増加させることで「多様性」を獲 得した遺伝子群である.ユビキチンリガーゼ E3は現在の ところ,構造的特徴から HECT 型及び RING 型の二つの グループに分けることができる.ヒトにおいて,HECT 型 E3は28種存在する一方,RING 型 E3(及びその関連分子) 〔生化学 第84巻 第6号,pp.407―408,2012〕

特集:酵母から動植物まで包括するユビキチン―プロテアソーム系の新展開

第25回生化学特集「酵母から動植物まで包括するユビキチン―プロテアソーム系の新展開」

序論:酵母から動植物まで包括する

ユビキチン―プロテアソーム系の新展開

山 口 淳 二

,畠 山 鎮 次

北海道大学大学院理学研究院,北海道大学大学院医学研究科

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が E3の約95% を占めることがわかっている.一方,植 物では,1,200を超える E3が存在している.ヒトの約2 倍にあたるこのような多様性の理由としては,動くことの できない植物が E3を様々なセンサーとして用いることで 環境の変化に適応しているのではないかとの見方がある. また,U-ボックスドメインを有したタンパク質機能は 当初不明であったが,立体構造予測プログラムによる解析 から U-ボックスの立体構造と RING フィンガードメイン に似ていることが示され,新たな E3の存在が示された. しかし,U-ボックスドメインは RING フィンガードメイン とは異なり,その構造に金属亜鉛を必要としない.ヒトに おいて, U-ボックスタンパク質は9種同定されているが, 植物では多種多様な U-ボックスタンパク質が存在してお り,動物と植物では E3の分子進化の違いを垣間見ること ができる. 生物学及び医学に関係するさまざまな重要な現象におい て,ユビキチン化もしくはユビキチン様分子の修飾が関与 することが明らかになってきている.生物学的領域でユビ キチン化との関係を示した最初の分野は酵母などを中心と した細胞周期研究であり,ユビキチン化がサイクリンの発 現変動や染色体分配制御に重要であることが示された.最 近では,細胞周期調節に関与する多くの分子群はもとよ り,さまざまな細胞内タンパク質がユビキチン化により発 現調節されていることが分子レベルで明らかになってきて いる.ユビキチン化は,自然免疫に関与する細胞内シグナ ル分子の機能調節や神経細胞の発生及び維持機構において 重要な働きをしていることが近年注目されている.また, タンパク質分解において類似のシステムであるリソソー ム―オートファジー系とユビキチン化のリンクが最近報告 され,神経変性疾患やがんにおけるそれらの役割も明らか になりつつある.そして,ユビキチン化は酵母や動物界の みならず,植物界においても注目すべきタンパク質翻訳後 修飾になってきている.本特集においては,酵母から植 物,動物に至る真核生物全般におけるユビキチン化関連酵 素の多様性,ユビキチン化関連プロテオミクス及びプロテ アソームの機能と進化などの見地から各領域の専門家に最 近のトピックスを解説していただく. 最後に,誠に多忙の中,ご執筆いただいた著者の皆様に 深謝申し上げます. 〔生化学 第84巻 第6号 408

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