「被災地における在宅医療福祉に関する相談・サービスのシステム化に関する実証的研究」
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(2) 公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 2012 年度(前期)指定公募⑥ 「被災地における在宅医療の研究的実践」研究活動報告書. 目. 次. 序 研究事業の実施経過. ・・・・・・・・・・・・・・. 2. 研究事業の結果概要. ・・・・・・・・・・・・・・. 5. Ⅰ 包括報告 岩手県立大学 都築光一 1) 災害時における社会福祉の立場からの被災者支援・・・ 2) 災害復興期における市町村地域福祉活動に関する一考察 3) 望まれるコミュニティ ・・・・・・・・・・・. 5 11 18. Ⅱ 研修・広域的支援活動. 28. ・・・・岩手県社会福祉協議会. Ⅲ 地域でのケアシステム 1)被災地に求められる地域ケアシステム. 高田病院. 石木. 幹人. 33. 2)訪問看護師の活動報告 ~地域支援ネットワークの一員として~ 松原訪問看護ステーション 所長 戸羽 久恵. 37. 3)大船渡市における生活支援相談員活動 大船渡市社会福祉協議会主任生活支援相談員. 41. 4)大船渡地区障がい・子どもケアシステムモデル 社会福祉法人大洋学園 5)ここから地域包括ケアを進めるために 岩手県地域包括・在宅介護支援センター協議会会長 Ⅳ 資料編. 柏崎きよ子. 園長. 山内. 刈谷. 二三男. ・・・・・・・・・・・・・. (表紙:船出直前の漁船:大船渡市細浦漁港:2013 年 3 月 25 日). 1. 忠. 44. 48 51.
(3) 序 研究事業の実施経過 岩手県立大学. 都築光一. 1)背景と事業開始までの経過 2012 年 7 月から、具体的な活動の展開に向けて、岩手県社会福祉協議会、大 船渡市役所、大船渡市社会福祉協議会および地域包括支援センターと障害及び 児童分野をカバーしている地元の社会福祉法人大洋会およびこれに関係する医 療関係者等と協議を重ねた。 まず 2011 年 5 月に、被災地における生活上のニーズに対応するため、保健・ 医療・福祉の専門職によって構成された任意団体として、岩手県社会福祉職能 団体がある。この団体を軸に、支援活動上の運営や調査・研究に関する会議を 定期的に開催している。その検討の中で、2011 年 7 月に、災害派遣福祉チーム の検討委員会を発足させている。 これに加わっている団体とその代表者は以下のとおりである。(敬称略) 岩手県地域包括・在宅介護支援センター協議会 山内二三男 岩手県社会福祉士会 千葉昭好 岩手県医療社会事業協会 山館幸雄 岩手県介護福祉士会 吉田 均 岩手県介護支援専門員協会 神崎浩之 岩手県精神保健福祉士会 品川清美 いわてリハビリテーションセンター 高橋 明 岩手県介護老人保健施設協会 木川田典彌 岩手県ホームヘル パー協議会 千葉則子 岩手県認知症高齢者グループホーム協会 熊谷滋 上記 10 団体が、生活支援に向けた活動を展開するため、岩手県立大学がアド バイザーとして加わり、岩手県社会福祉協議会に事務局を置き、現在でも検討 会を定期的に開催している。 活動としては、昨年 5 月から現在まで、主として仮設住宅に入居している地 域住民とその支援活動を担っている生活支援相談員からの、相談と必要なサー ビスに関するニーズ把握を行い、これに対応する支援活動を保健・医療・福祉 分野の専門職が展開している。 定例の検討会では、先の 10 の団体に岩手県立大学と岩手県社会福祉協議会が 加わり、被災者の健康と生活に関するニーズ調査結果や事例検討などを行った。 なお、この会議で検討されている事例は、仮設住宅という条件や被災家族等の 事情によって既存の各種制度において対応することが困難な事例が数多く報告 されており、平時では対応ができていても、震災によって人的社会的資源を急 激に喪失した地域社会の中で、結果として対応が困難になってしまった事例に 対して、いかに地域のシステムで解決を図っていくかが課題となっている。ま た当初支援の必要性に関する予想が十分に想定することができなかったことも あり、長期的な展望に立った支援の仕組みの基盤を構築することも課題となっ ている。またいわゆる福祉避難所では、指定をしたとしても、具体的に対応す 2.
(4) べき内容などが何ら決定されていないという問題点も明らかになっており、明 らかにされている課題は極めて大きい。 一方これとは別に、岩手県南部の沿岸市町村社会福祉協議会で、仮設住宅や 民間賃貸住宅入居者を対象に支援活動を行っている仮設住宅支援員(緊急雇用 対策で雇用された仮設住宅の管理人業務の担当者)と先の生活支援相談員との 事例検討を行って、具体的な在宅医療福祉の展開を図っている。被災地の社会 福祉協議会では、生活支援専門員に社会福祉専門職を置いたり、あるいは様々 な仮設住宅生活者のニーズに対応できるような経験者を充てたりなど工夫を凝 らし、訪問看護師や地域包括支援センターなどとのカンファレンスを開催した り、地域の自治会との協議を行ったりするなど、これまでに例のない先駆的な 活動を展開している。今後は震災関連死や孤独死はもとより、次第に増加して きている仮設住宅入居者の新規の要介護者の予防やさらには既存の制度では対 応できない「よろず相談」への対応に向け、どのような方法で医師会を含めた 在宅医療福祉の、更なるネットワークを形成するかが充実したシステム構築の 課題となっている。 2)具体的な取り組みの経過 また大船渡市をはじめ近隣の自治体で活動している関係者とも協議し、2012 年 8 月 1 日付けで岩手県大船渡市地域総合ケアシステムモデル事業実行委員会 を設置し、活動を開始した。 具体的な活動内容を①研修事業 ②ケアカンファレンス ③研究会・公開シ ンポジウム ④その他、目的達成のために必要な事業 の四区分で実施するこ ととした。主たる経過は、以下のとおりである。 2012 年 8 月 6 日 研究打ち合わせ:大船渡市社会福祉協議会 13 日 同 上 24 日 研修会開催 26 日 31 日 9月1日 10 日 18 日 20 日 24 日 10 月 5 日 10 日 14 日. 実行委員会打ち合わせ 実行委員会準備会 研修事業打ち合わせ 支援研修会議打ち合わせ 支援研修事業会議 実行委員会開催 ケアカンファレンス開催 宮古市に視察情報収集 支援研修会議打ち合わせ 支援研修事業会議、研究会開催 3.
(5) 25 日 26 日 29 日 11 月 5 日 17 日 26 日 12 月 5 日 10 日. 研修会開催(大槌町) 研修会開催(大船渡市) 研修・カンファレンス実施打ち合わせ 研究会事前打ち合わせ 地域福祉ケアシステムセミナー(研究会)開催 研修・カンファレンス実施打ち合わせ ケアカンファレンス、実行委員会事前打ち合わせ 第二回実行委員会開催. 2013 年 1 月 8 日 18 日 19 日 2 月 27 日 28 日 3 月 18 日. 実行委員会事前打ち合わせ ケアカンファレンス開催 中間報告会開催 研究会の開催 研修・カンファレンス実施打ち合わせ 日本地域福祉学会震災特別委員会にて実施状況の報告 (東京・明治学院大学) 25 日 ケアカンファレンス 27 日 研修・カンファレンス実施打ち合わせ. 4 月 12 日 15 日 5 月 12 日 25 日 28 日 6 月 22 日 25 日 28 日 7月 7日. 日本地域福祉学会東北部会との打ち合わせ(仙台) 宮古市にて情報交換及び研究会の開催 視察研修会打ち合わせ(石巻市) 石巻市視察研修及び情報交換 ケアカンファレンス(釜石市) 研究会事前打ち合わせ ケアカンファレンス(陸前高田市) 地域福祉学会東北部会研究会(仙台市) 研修・カンファレンス実施打ち合わせ. 11 日 研修・カンファレンス実施打ち合わせ 16 日 研究会打ち合わせ 22 日 第三回実行委員会、研究会の開催 29 日 研究会 8 月 5 日 研究会事前打ち合わせ 12 日 研究会 19 日・23 日 研究活動成果報告会事前打ち合わせ 28 日 研究活動成果報告会 (成果報告書を岩手県知事に提言書として提出). 4.
(6) 研究事業の結果概要 研究活動の結果概要について、1総括報告、 2研修・広域的支援活動 地域でのケアシステム 4その他(資料編) に区分して報告する。. 3. Ⅰ 包括報告 岩手県立大学 1)災害時における社会福祉の立場からの被災者支援. 都築光一. (1) はじめに. 日本は、大変に災害の多い国である。毎年、台風被害や地震被害が発生する。 さらに梅雨や秋雨などによる集中豪雨被害も発生するほか、冬期間には豪雪被 害も見受けられる。このほか数年または数十年に、津波や火山の爆発などの災 害に見舞われている。 こうした事情から、日本では古くから庶民の暮らしのあり方に様々な工夫が なされてきていた。何といっても日本では特別な場合を除いて、石造りの建造 物が少なく、とりわけ一般住宅ではほとんど考えられない。これは地震による ものと言われている。このほか毎年人々を悩ませていた落雷や集中豪雨等災害 対策として、400 年前から戦国大名に求められていたのは治山治水と言われ、平 時にあっても災害時にあっても、人々の生活の安寧に向けた土木工事等であっ た。 こうした歴史的な災害対策の取り組みの成果として、現在では公共建築物ば かりでなく一般住宅に至るまで、耐震構造が徹底するに至っている。こうした ハード対策を中心として、日本における災害時の対策に関しては、従来から国 民の生命の保全を中心に、生活を再建できるまでの間、様々な支援策が講じら れている。 一方で人々の生活の再建に向けた支援については、最近になってから取りあ げられるようになってきている。とりわけ福祉の立場からの支援に関しては、 始まったばかりとも言えよう。ここでは、東日本大震災を契機に議論されてき ている福祉の立場からの地域ケアシステムについて触れていきたい。 (2) 被災住民の生活支援策に向けた柔軟対応の取り組み 発災後、被災者を取り巻く状況は、めまぐるしく変化する。時間の経過と共 に、それぞれの時期に応じた柔軟な支援策が展開される必要性がある。今回の 東日本大震災の場合、仮設住宅に入居が完了するまで、2か月~半年もの期間 を必要とした。そのため、はじめに仮設住宅に入居した人々のニーズに変化に 5.
(7) 対応した支援と、これから入居する人々のニーズに対応する支援の必要性が併 行する時期が長期間に及んだ。. 大槌町(2011 年 5 月~12 月). 図1. 陸前高田市(2011 年 5 月~12 月). 災害派遣福祉チームメンバーが把握した被災者のニーズ. 一口に「被災地」と言っても、津波の被害が甚大だった地域とそうでない地 域、福島の原子力災害に見舞われている地域など、それぞれの地域によって被 災者の置かれている状況に違いがあり、支援策として求められる対応のあり方 には、地域性の重視が不可欠である。 「被災地」の多くは、少子高齢化が進行し、仙台圏を除くとすべて人口減少 という状況にある圏域ばかりである。また交通アクセスや流通機構などが整備 されていない地域が多く、被災三県の同一の県内で、県庁所在地から新幹線で 東京へ行く片道の時間よりも移動時間を要する市町村が存在することも事実で ある。このため、復興や支援がなかなか届きにくい地理的状況にあることから、 地域の人的社会的資源も相当に被災していることも手伝って、地域によっては 復旧復興に時間がかかっている市町村も少なくない。 この点は阪神大震災と大きく違っている点である。東北地方は阪神地域と違 って、復旧復興に向けた支援のために、必要とする時間が限りなく長い。しか もその移動のためのアクセスも、極めて条件が悪い。これに加えて津波被害に よって、社会的資源のその大半が失われ、多くの失業者が仮設住宅から内陸部 に移動していることも事実である。これは、社会福祉の分野も例外ではない。 このためこの状況を解消させるべく、2014 年度から被災三県の介護施設に就職 する職員に対して就職支度金と住宅手当の支給の方針を出している。しかし新 規の就業者が、居住する民間賃貸住宅がないために就職できないという事情が あるのが実態である。 (3). 災害支援のための社会福祉分野の対応 6.
(8) 被災者の中には、社会福祉サービスを必要とする地域住民が多いため、一般 の避難所で長時間生活することが困難な住民が多い。このため医療もさること ながら福祉面からの支援サービスも必要とされた。発災時における対応として は、発災当日から5ないし7日程度までの間に、避難所や被災した自宅で困難 な生活を強いられている福祉サービスを必要とする住民の二次避難所への搬送 に向けた対応が望まれた。. (写真)高屋敷氏撮影 また短期支援として、発災7日以降から仮設住宅入居時までの期間において、 様々な仮設住宅の入居者や未だ入居できないでいる被災者への支援などが必要 とされる。. 資料:調査地域別地域課題調査結果(2012 年 4 月)岩手県立大学. 図2. 生活支援相談員が把握した被災者のニーズ 7.
(9) この時期は、被災者が様々な社会的条件が重なって、今後に向けた生活の方 向性を描くことができずに、精神的に追い詰められていく場面がしばしば見受 けられるところでもある。したがって重要な支援のあり方として、傾聴が基本 となることがあげられよう。 「被災者があまりものを言わない」と、東北の人の 特徴としてよく言われる。しかしソーシャルワークにおける面接のあり方とし て求められる技法においては、沈黙への対応もよくあげられる一つである。沈 黙に対する対応がどのように行われた上でそのような場面になったのか、検証 したうえで考えていかなければならないだろう。また支援のあり方も、こうし た検証を踏まえた上で、組み立てられる必要があろうと思われる。 この時期になると、サロン活動も終わってからの寂寥感が、参加者を苦しめ るようになる。このことは、被災者自身による企画が必要とされる理由でもあ る。 さらに中長期にわたる支援としては、仮設住宅入居時以降となる。この段階 の支援は、地域での総合的な福祉のシステムであると同時に、保健・医療との 連携によるケアシステムなどが望まれる。 なお東日本大震災の被災地の場合は、ほとんど地域でのケアシステムの構築 に等しくなるものの、都市部と違って地域での人的社会的資源が回復している わけではないため、基盤が脆弱な中での支援となり、細部にわたった支援が決 してできるわけではない。また被災者の生活再建に向けたニーズが一様ではな いため、支援の方向性を定めていくことがなかなか困難である状況におかれる 場合が少なくない。 この時点では、コミュニティの再生を念頭に置く必要があろう。なおこの場 合の「コミュニティ」については、その概念を再検討する必要がある。 「自治会」 を意識して述べられている場合が少なくない。しかしそこに「福祉コミュニテ ィ」は意識されているかどうかが確認される必要がある。すなわち、確かに要 介護状態に至ることのないような取り組みは必要であるものの、どうしても要 介護に至る住民が発生することは事実である。そうすると、要介護状態になっ ても地域社会の一員として生活することができる「福祉コミュニティ」の構築 がまたれるのである。このようなコミュニティには、今回の被災地のような農 山村漁村部のような地域の場合、生活支援の機能も期待されるところである。 もともと都市部とは比較にならないほどに社会的資源が乏しい地域が、震災に よって甚大な津波被害を被った。このことによって生活物資の調達に著しい支 障を来す事態となった。小売店に購入しようとしても、移動手段に支障を来す ような事態となっている。そうした事態に対処できるコミュニティが必要とさ れているのである。具体的な対応例としては、物資の共同購入や、移動販売な どがあげられる。 8.
(10) また「自治会」とは名ばかりで、行政等からの伝達機関と化している事例も 見受けられた。さらには規約も自治会費もない自治会もあった。およそ被災地 の自治会は、その大半が復興住宅に移行する段階で解散することが宿命となっ ている例が多い。したがって通常の自治会を意識しても、それは自ずと限界が ある場合が一般的なのである。そのため、多くの市町村では、復興住宅移転後 において、地域組織の再建を方針としている場合も少なくない。民生委員も当 面暫定的な定数とみている点もある。住民は日常的にこの点を見聞きしている ので、現段階で長期的展望に立った決断を見送っているのはこうした事情にも よる。 (4) 災害派遣福祉チームの設立に向けて 1)被災三県の検討状況 被災三県における東日本大震災において、社会福祉専門職の活動概要は、以 下のとおりである。 福島県は、2011 年 4 月から、相談支援専門職チームを発足させた。その主力 は、社会福祉士会、介護支援専門員協会、医療ソーシャルワーカー協会、精神 保健福祉士会、理学療法士会、作業療法士会の六団体である。介護保険制度の 臨時的運用が展開されたほか、阪神大震災の経験から仮設住宅団地に、ソーシ ャルワーカー室を設けて相談活動が展開された。2013 年度になってからは、災 害派遣福祉チーム設立に向けた検討に入るべく、社会福祉士会が積極的に動き 出した。 宮城県は県の社会福祉士会のほか介護支援専門員協会との連携が功を奏し、 地域包括支援センターとの一体となった活動も見られた。とりわけ石巻市は、 今回の震災での最大の被災地であるところから、社会福祉士会からの支援活動 は、組織的かつ長期にわたるものであった。その活動を踏まえ、災害派遣福祉 チームに向けた基礎的資料の取りまとめが行われている。 岩手県は発災から2か月後に、福祉関係十団体でチームを構成して長期的に 支援活動に入った。この活動を振り返り、2012 年 3 月 23 日に、知事あてチー ム設立の要望書を提出した。岩手県はこの要望書に対して、具体的にこれに応 じて検討を始めたほか、県として厚生労働省に働きかけを行った。2012 年度に、 岩手県では基礎的な検討作業を、県、県社協のほか、社会福祉関係十団体で行 ったほか、この結果を受けて現在内容の詰めを行っている。 2)岩手県における災害派遣福祉チームの検討状況 岩手県においては、2012 年度において、以下の項目の検討がなされた。(概 要は 2013 年度日本社会福祉系学会連合「研究活動報告書」に参照。) ・活動マニュアル(素案) ・スクリーニング、ニーズ把握 ・携 9.
(11) 行資機材・具体的な活動手順 の橋渡し法 ・講習概要. ・行政等との連絡調整法 ・中長期へ. 大規模災害発生時 本部組織のイメージ 2. (大規模災害発生時のチーム派遣スキーム). 岩手県災害福祉(介護)広域支援推進機構 (仮称) (災害福祉支援ネットワーク県本部) 〔本部長:県知事〕 県 ① 被災地からの派遣要 請を受け(状況によっ ては派遣要請を待たず に) 、県で派遣を判断. 災害福祉支援ネット ワーク県本部事務局. ② 派遣可能チームの確認. (県社協) ⑤ 派遣可能チーム(チーム数、 チーム員の職、所属等)を報告. チーム(チーム員) 登 録. ④ 登録済のチーム員(仮 チーム)から派遣可能 チームを決定. チーム. ・状況に応じチーム員 の組合せを判断して チーム編成. (現地情報の共有) (現地拠点等の調整). (現地情報の収集). ③ チーム員及び所属団体 との調整. ⑦ 本部長からチーム派遣要請. (経由または直接). チーム ⑦ 本部長からチーム派遣 要請. チーム. ⑥ チームの派遣を決定 ⑩ 後発チームの派遣検討 ⑧ 出動 ⑨ 現地状況報告. ※ 派遣は県の責任において要請. ※ チームの派遣調整(所属施設及び チーム員との連絡調整等). ※ 派遣に要する経費(旅費、現地活 動費、傷害保険等)を負担 (災害救助法の費用弁償の対象と なった場合を除く). チーム. ※ 活動に必要な資機材の調整 被災地 ※ 活動に係る技術的判断. 資料:岩手県社会福祉協議会. 図3. 災害発生時の本部機能(案). 災害派遣福祉チームを構成するスタッフの多くは、施設職員であることが予 想されるので、派遣できる保障が必要となる。 住民を中心に考えた場合、被災者の生活回復の段階ごとに主要な支援が求め られるほか、社会福祉サービスを必要とする住民に対する必要な支援策が、様々 な専門職による派遣チームを通じて確実に機能するようなケアシステムが求め られる。そのため、コミュニティの再生とタイアップした仕組みづくりができ る必要がある。 (5). まとめ. チーム活動の実効性の上がる具体的な対策も求められる。とりわけ保健・医 療・福祉による小単位地域における仕組みづくりが、将来に向けたコミュニテ ィ再生の鍵の一つを握るものとも思われる。 小単位地域での人々の集まる場において、被災地=地方(過疎地)の地域を 再生し、復興させる鍵の一つと思われる。保健・医療・福祉の立場からの支援 策の提供にあたっては、住民主体で行う必要があり、そのためには提供者側で はなく、被災者である地域住民が意思決定していく必要がある。それを如何に 支援していくのか、またそれを可能にしていくために、失われている被災地の 社会資源の回復を如何に図っていくのかも、重要な鍵であると思われる。 10. チーム.
(12) 2). 災害復興期における市町村地域福祉活動に関する一考察. (1)はじめに 東日本大震災からの復旧復興に向け、津波の被災地(以下「被災地」という。) では、全国からさまざまな団体による多くの支援を受けながら、地方公共団体 や社協間での情報交換をする十分な余裕もなく、ひたすら活動を展開してきた。 2011 年 7 月から、被災地の岩手県沿岸南部の社協間で、被災後の今後の活動 の方向性を見出すことを目的に、これまで 10 回の情報交換や研究会を開催した。 ここではその検討結果を踏まえて、災害時における地域福祉活動今後の方向性 について検討結果をもとに整理する。 (2)研究方法 岩手県における被災地の沿岸南部の地域福祉関係者間における、これまでの 情報交換および研究会でのブレーンストーミング結果を踏まえて、その被災状 況をふまえつつ、災害時における地域福祉活動の今後の方向の可能性に関し、 住民主体、人的社会的資源の活用、福祉コミュニティの観点から検討を加える。 (3)倫理的配慮 本研究においては、参加いただいた団体から研究目的にも活用いただくこと の了解を得ている。また検討段階において取り上げられた特定の個人や団体は、 匿名とするものとした。 (4)研究の内容 1 被災状況 岩手県の被災地では、被災の程度と過去の被災経験の有無によって、被災後 の社協の組織的かつ計画性のある活動には、事務所機能の被災の有無によって、 若干の違いが見られる。この点に関し被災の程度では、家屋の倒壊の程度と人 的被害の程度によって、三分類できる。 ①家屋の倒壊と人的被害ともに甚大であった地域 ・・・・・陸前高田市、大槌町、釜石市、山田町 ②家屋の倒壊に比して人的被害が限定的であった地域 ・・・・・宮古市、大船渡市 ③家屋の倒壊と人的被害が比較的少なかった地域 ・・・・・野田村、田野畑村、岩泉町、久慈市. 11.
(13) 資料:岩手県総務部総合防災室「東北地方太平洋地震に係る人的・建物被害状況一覧」 (平成 24 年 2 月 22 日 17:00 現在) 注: 「人的被害者数」については、把握されている死者数と行方不明者(届け出のあった安 否不明者)数の和を指すものとする。. 図4. 家屋倒壊数と人的被害者数の相関. 出典:宮寺良光「自然災害の発生にみる「想定」と生活保障の課題―岩手県沿岸部の被災地を視 察してー」日本社会福祉系学会連合震災対応委員会『研究活動報告書』日本社会福祉系学会連合、 平成 24 年 3 月. p21. 上記のうち、①の4市町と③の野田村は、行政と社協の一方、または双方が 甚大な被災を被った。そのため復旧や復興が遅れた市町村もあったことは事実 である。したがって野田村の状況は、被災の規模によって復旧・復興の速度等 に直結するとは限らないことを意味している。社協機能や活動および介護保険 サービス事業所の事業に関しても、未だ震災前の実績を回復していない社協が 多い。したがって①と④の野田村の5市町村と、それ以外の市町村では、復旧・ 復興の速度に違いが見られる。 2 情報交換会の開催状況 情報交換の開催状況は、以下のとおりである。 社協情報交換会開催月日(参加団体数) 第一回:2011 年 7 月 25 日(6)、第二回:8 月 29 日(8)、第三回:12 月 14 日(6)、第四回:2012 年 2 月 6 日(6)、第五回:4 月 6 日(9)、第六回:6 12.
(14) 月 25 日(11)、第七回:9 月3日(8)、第八回:10 月 5 日(13) 、第九回:1 月 18 日(6)、第 10 回:4 月 14 日(6) 情報交換会は、1・2回目は住田町、3.6.9回目は大船渡市、4.5. 回目は釜石市、7、10 回目は宮古市にて開催した。なお、6回目は、宮城県の 2市の社協との意見交換を行った。 3. 意見交換結果. (1)多かった事項 ①被災地に対する支援策の具体的な展開方法 ②支援団体に対するかかわり方 ③生活支援相談員の活動のあり方や研修 ④仮設住宅で生活している方々の生活上の問題点と対応方法 (2)話題の特徴 ①1~3回目まで ボランティアの受け入れと対応に関する情報交換が中心となるほか、生活支 援相談員の業務の定着化に向けた意見交換が中心となった。また、社協活動の あり方に関する反省や評価すべき点などについて意見交換された。 ボランティアや支援団体に対する尊敬する団体と、一方で不信感がぬぐえな い団体と評価がさまざまである。ただ地元または近隣市町村に拠点のある団体 に対しては、長期にわたることやともに被災地で生活していくことなどの点で、 そもそも親近感を抱いていることが多い。 ②4~6回目 早い次長損では、仮設住宅退去者が出始め、仮設住宅で生活している被災者 に対する対応のあり方が話題となる。生活支援相談員の活動も、一定の定着が 見られた。発災から一年を迎え、被災者の情緒的な変化や動揺などの情報が入 ってきて、内部で支援方策に関する意見交換がなされた。メッセージカードの 配布、仮設住宅に畑を設けるなど、さまざまな取り組みが紹介される。一方で 社協の会費徴収や共同募金が実施できず、財政的に支援があるとはいえ将来を 展望できない状況に対する不安の意見が聞かれた。住民自身による企画で、被 災した自分たちの集落で、地区の住民の集いが定期的に開催され、仮設住宅や 病院などで生活している住民が集まり、地域の住民が協力して地区の復興を図 ろうという集会がもたれている事例が紹介された。この集いには、子供も障害 者も一人暮らし高齢者なども集まっている。こうした事例から、支援団体によ る「コミュニティ形成」と社協による「コミュニティ形成」の目標に、大きな 13.
(15) ズレが生じているとの指摘がなされた。 ③7~10 回目 社協の事務局職員の部会と、生活支援相談員の部会に分け、意見交換を行っ た。 社協事務局の部会では、中長期計画の必要性が述べられる。あちこちの仮設 住宅に入居者が、新居完成で退去する事例がみられ、残された入居者に対する 具体的な支援活動のあり方が課題となり、これに対する具体的な対応事例が紹 介される。 生活支援相談員の部会では、当初サロン活動や見守り活動の方法などについ て意見交換されていたが、相談活動の展開方法に関する事例検討や研修会が開 催された。これは市町村によって、生活支援相談員に委嘱された人々の前職の 背景が、さまざまであったことによる。ある市町村は、ヘルパーや被災した施 設の職員など福祉専門職を多く採用した市町村もあれば、郵便局員やホテル従 業員など接客業従事者を雇用した市町村、前職を問うことなく、緊急雇用対策 的対応をした市町村があったためである。また新たな職業をみつけて、退職す る相談員もいるため、どこの市町村でも一定の流動化がみられている。 被災地での福祉専門職が不足していることから、大きな役割を果たしている ものの、民生委員と福祉専門職の業務内容との違いを明確にすることが課題と される事例の紹介がなされた。徐々に制度の適用が困難な事例を抱えつつある 事例が紹介された。この点で生活支援相談員に対するスーパービジョンを行っ ている社協の事例検討会の紹介と研修会を開催した。 (3)具体的な社協活動の方向 課題1:被災後社協に情報が入ってこない。民生委員が動揺しているにもかか わらず、手を打てない。被災地域と仮設住宅団地への支援活動の展開に関する 対応ができない。 方向性:地域の住民や組織とのかかわりを日常的に深め、震災時に住民の意見 や要望を速やかに受け止めて、住民と共にその時々の状況に対して機敏に対応 できる必要がある。 このことについては、次のことが議論の中で述べられていた。日常的なかか わりが薄かったから、震災後住民からのさまざまな声が社協に届いていなかっ たのではないか。災害ボランティアセンターの活動でも、住民の声を聞きなが らも、目の前の活動を行うだけだった。住民主体の活動のあり方について、日 ごろの社協活動に関して、もう少し考えていきたい。 課題2:ボランティア支援団体にかかりきりになった。ときに振り回された。 14.
(16) 職員の疲労が激しい。支援団体の情報収集と支援団体のニーズに対応したいが ノウハウがない。一方で社協は災害時に、ボランティア活動だけなのかという 疑問がだされている。 方向性:震災時には、社会資源も被災しているので、外部からの福祉専門職や ボランティアの受け入れを積極的に行い、対応できるノウハウが必要である。 とりわけ福祉専門職のチーム受け入れと被災地の福祉サービス利用者や必要と する住民への対応が必須である。 このことについては、次のことが述べられていた。災害ボランティアを大量 に受け入れたことで、こうしたノウハウを持っていなかった問題を思い知らさ れた。また避難所や在宅で、福祉サービスや支援を必要とする住民が困難を極 めていながら、何ら対応できないという現状から、福祉専門職の支援チームが あればこれを受け入れ、災害ボランティアセンターとタイアップさせた活動の 展開も考えられると思われた。 課題3:在宅で生活している、福祉サービスを必要とする住民に対するかかわ りの少なさや、生活支援相談員が受けた相談に対する対応のあり方について、 社協としての支援方法が組み立てられないなど、今後長期にわたる被災者の生 活支援に、社協がどうかかわるのかその姿が見えない。 方向性:被災地住民の生活支援は長期にわたるため、自立支援に向けた地域で のコーディネイト機能が重要となるので、制度の有無にかかわらず、具体的な 事例に対応できる相談業務のノウハウを蓄積する必要がある。 このことについては、次のことが述べられていた。生活支援相談員が受けた 相談を、社協としてどのように対応すべきか、方向性を明確にできない。行政 や包括支援センターで対応できない相談は、社協で考えていかなければならな いため、この際社協で、個別相談や地域づくりの相談に対応できるノウハウを 蓄積する必要があると思われ、具体的な研修会を企画し実施したほうがよいと 思われた。 課題4:在宅で生活している福祉サービスを必要とする住民が、被災時にどこ からも支援がなかった。社会福祉協議会の被災時における役割が見えないとい うことは、平時においても大きな役割はないのかと思われた。何のために社会 福祉協議会が存在しているのか、今のままでは今後の方向も含めその実態が見 えない。 方向性:震災のときこそ、社協であれば在宅で生活している福祉サービスを必 要とする住民に対する救援活動や生活支援がなされなければならない。そのた めにも地域住民と社会資源との接点にたった活動が必要となる。 15.
(17) このことについては、次のことが述べられていた。震災のとき、どこにどの ような障害を抱えた方がいたのか、あるいは誰がどのような支援を必要として いるのかという情報がなかったり、避難所で支援を求めている住民がいても支 援ができず、加えて支援のための社会資源とのネットワークの無さを痛感した。 それだけに、日常的に様々な機関や施設とのパイプが必要であり、社協として もっと福祉サービスを必要とする住民との接点を持つ必要があるのではないか と思われた。 4 検討結果 1)地域福祉活動の推進のために、住民主体の活動を推進する必要がある。 課題1の方向性を推進すること。地域の住民や組織とのかかわりを日常的に深 め、震災時に住民の意見や要望を速やかに受け止めて、住民と共にその時々の 状況に対して機敏に対応できる必要がある。そのために、日常的に地域との活 動を展開する。 2)さまざまな状況に対応して、住民の要望にこたえることができるようにする ため、人的社会的資源の活用を図ることができる社協であることが望まれる。 課題2および4の方向性を推進する必要がある。震災時には、社会資源も被災 しているので、外部からの福祉専門職やボランティアの受け入れを積極的に行 い、対応できるノウハウが必要である。社協であれば在宅で生活している福祉 サービスを必要とする住民に対する救援活動や生活支援がなされなければなら ない。そのためにも地域住民と社会資源との接点にたった活動が必要となる。 とりわけ福祉専門職のチーム受け入れと被災地の福祉サービス利用者や必要と する住民への対応が必須である。 3)福祉コミュニティの視点から地域福祉の推進を強化する。 課題3および4の方向性を推進する必要がある。 :被災地住民の生活支援は長期 にわたるため、自立支援に向けた地域でのコーディネイト機能が重要となるの で、相談業務のノウハウを蓄積する必要がある。また:震災のときこそ、社協 であれば在宅で生活している福祉サービスを必要とする住民に対する救援活動 や生活支援がなされなければならない。 (5)結論 震災時における社協の役割と今後の方向の可能性として、未だ確かなものと しての社協像がみえているわけではない。しかしその方向性がすこしづつ見え てきていることも確かである。軸となっているのは、地域福祉の基本的事項の 再確認であり、とりわけ社協の場合は社協要項であろう。また大きく4つの今 後の活動の方向があげられているものの、すべての事項に対応できる社協があ 16.
(18) るわけではない。 今後は、平時を前提とした発想からの脱却と、これに基づく社協像の議論を 深め、現実的な活動の手法について検討することが課題となっている。高田真 治は、阪神大震災における社会福祉の状況から、理念は変える必要はないもの の、理念達成のための地域福祉実践の方法や、政策的取り組みなどについては、 見直す必要のあることを述べている。今回の東日本大震災に関しても、大いに 見直し、平時を前提とした社会福祉ひいては地域福祉推進について、しっかり 見直す必要があろう。. 参考文献:資料 日本医療社会福祉学会編『地域型仮説住宅における医療ソーシャルワークの記録』1998 白澤政和編『災害時ソーシャルワークの理論化に関する研究報告書』 、2012 年 上野谷加代子監修『災害ソーシャルワーク入門―被災地の実践知から学ぶ』2013 日本地域福祉研究所『災害時におけるソーシャルワークの展開事業報告書』2007 高田真治『社会福祉混成構造論』ミネルヴァ書房、2007 『平成 23 年度研究活動報告書』日本地域福祉学会東北部会平成 24 年 3 月 『平成 24 年度研究活動報告書』日本地域福祉学会東北部会平成 25 年 3 月. 17.
(19) 3). 望まれるコミュニティ. (1)はじめに これまでコミュニティに関して、社会福祉分野からの理解のあり方として、 生活上の困難な事態や、地域内の解決すべき課題に対して、地域住民同士の相 互扶助等の機能に期待する説明が中心となっていた。しかしその地域社会の相 互扶助機能が、崩壊し始めていると言われて久しくなっている。このため、具 体的な地域社会の活動のあり方を支援する方策を示さない限り、地域コミュニ ティの機能に期待しつつ、地域福祉の推進をはかることを企画することは、実 現が困難になってきていることを理解しなければならなくなってきている。 そうした中で東日本大震災を契機に、非常時にあっても互いに支え合うこと ができる、地域住民の日常生活圏域を単位として、具体的な社会福祉分野のコ ミュニティのあり方等が求められている。この点について震災以後「コミュニ ティ」に関する言及が、ややもすると旧来型のコミュニティの再生を目指すも ののような論調が、見受けられないわけでもない。しかしながら少子高齢化の 社会的な動向を踏まえた場合、その可能性を未だに秘めている一部の都市や市 町村を除くと、旧来型のコミュニティの機能の再生を求めることは、ほとんど 不可能である。震災の被災地であれば、一部の仙台圏域を除いてほぼ望むこと はできない。このため、社会福祉の立場からのコミュニティについて、その考 え方を明確にしつつ、具体的な展開の方法を提示することが求められていると 理解すべきであろう。 ここでは、社会福祉分野にいうところの福祉コミュニティを軸に、基本的な 考え方の確認を踏まえた上で、調査によって得られた結果と、震災後の特に社 会福祉協議会職員や研究会で協議に参加した保健・医療・福祉分野の専門職に よるブレーンストーミングを中心に、今後に向けて求められてきているコミュ ニティ機能について整理する。 (2)今後求められるコミュニティの機能 これまでの福祉コミュニティに関する検討から、今後被災地をはじめ、人的 社会的資源が不十分な地域におけるコミュニティの形成はどのようなものが望 まれるのか、まとめていくこととする。 これから被災地をはじめとする地域に必要とされるコミュニティの機能とし て、①住民の主体性 ②福祉サービスを必要とする住民の共同性 ③地域組織 化 ④保健医療福祉等サービス ⑤近隣・広域的支援システム の五点が少な くとも必要とされている。. 18.
(20) ① 住民の主体性 コミュニティは、住民のものであり、住民によって運営され、形成されてい くものである。したがってコミュニティは、住民の主体的取り組みによって形 成されるものである。住民の主体性の形成に関して、自治会・町内会組織の再 編活性化と併せて、地域活動を展開する必要がある。従来の自治会・町内会組 織はもとより、被災者により形成された住民組織の活動も展開される必要があ る。 被災者により形成された住民組織は、仮設住宅の入退所により住民の流動性 は否めないものの、住民組織による活動の体験の有無が、退去後の復興住宅や 自立再建の生活に至った段階にあっても、新たな生活を開始した段階で、加入 した地域での活動の主力となることが期待される。そうした意味においても、 活動の支援は必要と言える。なお、仮設住宅等にて居住する住民の場合は、い ずれ離散する運命を有しているところから、地理的に構成されたコミュニティ とは性質を異にする特性を有する点に注意を要する。 これに対して従来型のコミュニティの場合は、これまでコミュニティを維持 してきた構成員の減少や高齢化等によって、活動性が著しく低下してきており、 以前の機能を回復することは極めて困難な状況にある。そのため従来からの機 能の維持という点にこだわることなく、現在地域で生活している住民にとって 必要とされる事項に特化した活動の展開に焦点をあてていくことも、考え方と して求められてきていると思われる。ただしこうした点に関しては、当該地域 に居住する住民によって決定されることが必要と考えられ、その支援も場合に よっては必要とされると思われる。 ここで留意すべき点は、これまでのコミュニティのメンバー同士であっても、 仮設住宅に入居すると「お茶のみの訪問ができない」という意見が極めて多い ことである。このため従来からのコミュニティであっても、例えば「談話室が 欲しい」などの集いの場が別に必要であることは確かである。 ② 福祉サービスを必要とする住民の共同性 今回の震災で、福祉サービスを必要とする地域住民が指定避難所である学校 に避難した際「こんなにこの地区に、障害者や要介護高齢者がいたのか!」と 叫んだ人が少なくなかったと言われている。この事実は、福祉サービスを必要 とする住民が、地域の中で自宅等に引きこもり、孤立した生活を送っていたこ とを示唆している。今後少子高齢化が進行する中で、被災地や復興住宅も含め て要介護高齢者が確実に増加していくと予想されている。 そうした点から今後は、これまで取り組まれてきた「介護予防」の一層の充 実が求められることは確かであると同時に、一方で要介護状態になっても、安 19.
(21) 心して生活できるコミュニティの形成が課題とされている。そのためには、福 祉サービスを必要とする住民が地域の中で、引きこもりひいては孤立すること なく、生活できるコミュニティであることが望まれる。 そうしたコミュニティの形成のためには、単に「つながっている」というこ と以上に、福祉サービスを必要とする住民自身が、積極的な役割を果たすこと ができる機会の創出も求められる。例えば住民自身が積極的に参加する防災訓 練において、在宅で生活する福祉サービス利用者として地域内の避難のあり方 を考えるために必要な情報提供を行うことなど重要な役割を果たしている事例 がある。あるいは地域のサロン活動で、配膳の作業を担っている障害を抱えた 住民の例も一つである。 これらの事例から見られるように、福祉サービスを必要とする住民との共同 性のためには、地域内のあらゆる住民が積極的に地域活動に参加し、様々な役 割を担っていくことが望まれる。そのためにも、自然なかたちで何気なく福祉 サービスを利用したり、こうした取り組みを応援する地域内の雰囲気の醸成が 必要である。 ③ 地域組織化 地域組織化は、地域の組織化という側面や地域住民の組織化もあり、地域内 の各種団体の組織化という要素も含んでいる。この中で福祉コミュニティの形 成のためには、すべての居住者が、何らかの形で地域内の組織を構成するメン バーであることが望まれる。かつ組織であるという点から、様々な地域内の活 動を展開し、その結果について地域住民でともに達成感を共有できる共同意識 が必要でもある。またそのために、このような取り組みを実施できるような、 地域住民の仲間意識づくりが前提ともなると言えよう。 地域内でどのような仕組みを構築することになるのかは、あくまで個々の地 域住民が意思決定することになるものである。加えてその意思決定の過程には、 福祉サービスを必要とする住民も関与することが必要であると同時に、地域内 の関係機関も積極的な役割を果たすことが望まれる。この実現に向け、被災地 をはじめとする地方の特性として、人的社会的資源が極めて少ないということ が懸念されている。そのため多くの機能を集中させることが必要とされ、その 方向に向けて住民自身が検討し話し合い、意思決定する仕組みとプロセスが重 要である。地域組織化は、このための大きな機会を提供するものである。 ④ 保健医療福祉等サービス 福祉コミュニティは、個々の地域の様々な課題を解決できる、何らかの機能 を有することが求められている。今回の被災地をはじめ、地方では少子高齢化 20.
(22) が進行し、人口減少の市町村がほとんどを占めている。こうした地方の状況に 対応した福祉コミュニティの機能として、保健医療福祉等の機能が不可欠とな る。こうした機能は、フォーマル及びインフォーマルのサービスの仕組みが必 要とされる。とりわけこの分野は専門職化が進んでおり、今後も一層進むと思 われる。専門職化が進む分野は、生活支援に向けて関係職種の連携の仕組みや、 地域内での個人や団体とのネットワークも必要とされる。これらの仕組みやネ ットワークは、個々の事例や取り組みの事業によって様々であるだけに、現在 の被災地での取り組み例を参考に、一様な「型」に当てはめる進め方はせず、 多様なあり方と状況に応じた柔軟な対応が望まれる。 具体的な展開のあり方は、個々の地域での意思決定によるものの、いずれの 地域においても、医療や介護の課題、地域内交流や見守りの課題、食品や日用 品の購買に関する課題、日々の家事や修理修繕等の課題等に関し、金銭管理や 移動、時間の管理、情報伝達、個々の生活行動における準備などについて、一 つ一つの事項を単独で実施するということではなく、いくつかの項目を効率的 に複合的に実施展開することが望まれる。その実施する仕組みや準備等に関し て多くの住民が参加することができ、様々なサービスを住民がともに利用でき る機会を共有できることが必要である。 この点では、被災地および地方という特性から、人的社会的資源の効率的利 用が可能となるような、創意工夫が必要である。そのためにも個々の地域に応 じた資源の配置や創出ができるよう、計画的な確保対策が一方で求められる。 ⑤ 近隣・広域的支援システム 被災地や地方においては、福祉コミュニティの形成やそのための必要な資源 の創出に向け、近隣・広域的な支援のシステムが必要とされる。様々な活動の 展開の際に、その時々のプログラムにおいて必要とされたり、その時期におい て新しい情報であったり、非常時における災害派遣福祉チーム・医療チームな ど、地域の様々な組織を後方で支援するバックアップの仕組みが望まれる。 この中では、先ず住民の団体を支援する住民・行政・専門機関の支援の仕組 みが必要とされる。都市等人口や資源等が豊かな地域と違って被災地や地方は、 他に求める必要があり、そのためのノウハウや情報等に関して広域的に情報交 換したり交流したりする必要がある。こうした取り組みを実現するために、広 域的な取り組みを具体的に展開する場が必要である。 一方、被災地や地方で取り組む事業やサービスの中には、専門的な内容も少 なくない。医療や福祉などの取組の中には、住民や専門職に対する研究の機会 やより専門的な内容に関する検討の場の設定など、単独の地域や市町村だけで は確保できない機能がある。こうした機能をカバーできるようにするためには、 21.
(23) 近隣・広域的な支援のシステムが必要となるのである。 (3)福祉コミュニティ ①研究の状況 福祉コミュニティという用語については、わが国において地域福祉論をはじ めて唱えた岡村重夫が、地域福祉における重要な概念の一つとして位置づけ、 社会学の研究成果などを参考に、 「福祉コミュニティ」の理論化をはかった。そ こで重要な理論的な軸となっているのは、岡村が「新しいコミュニティ」と銘 打ち、説明のポイントとしているのが「地域主体的態度」と「普遍主義的権利 意識」というものである。 「地域主体的態度」とは、まさに地域組織化に主体的 に取り組み、地域づくりの担い手としての態度をさしている。一方「普遍主義 的権利意識」とは、生活者自らが自由にして平等な存在として意識し、市民的 権利意識を有していることをさして述べている。そしてすべての社会福祉サー ビスの利用者が、コミュニティ成員との間に、相互的援助や連帯性がみとめら れるような社会関係の形成を図ろうとするものである。したがって岡村自身が 述べているように、 「福祉コミュニティ」はそれ自体がサービスシステムではな いものの、地域における人々の生活問題を解決できるような機能を有したもの であって、 「コミュニティ・ケアの対象者を自分らの仲間として受容し、支持し、 彼にふさわしい社会的役割を提供し、共同生活者としての満足感を満たしてく れるもの」として理解される必要がある。こうした「福祉コミュニティ」の主 要な要件は、地域福祉理論上の軸となっている。とりわけ住民の主体性に関す る部分については、右田、井岡らに引き継がれたほか、大橋謙策や牧里毎治を はじめとする今日の地域福祉の研究者等の理論に脈々と受け継がれている。 ただし、ここで重要なのは、 「福祉コミュニティ」は、一般的に言われる地域 コミュニティとは区別されるものであることを確認する必要があろう。一般的 に言われる地域コミュニティとちがうのは、社会福祉に関する実践を行う際に、 十分な効果をあげることができることや、福祉サービスの利用者が地域社会の 一員として日常生活を送ることが可能となる条件が整っている、または整う可 能性があるような状況を生み出すところにあるという点を踏まえるべきと思わ れる。また大橋が訴えているように、福祉サービスを自然に利用できることや、 近隣社会においても福祉サービスの利用が、必要な時に必要な程度利用できる ことが当たり前と認識できるような雰囲気も不可欠であると言える。 ②調査によって得られた成果 被災地における、今後の地域生活のあり方に関し、これまで実施した調査結 22.
(24) 果から、福祉コミュニティに関する研究等の検証を行ってみる。 被災地で実施した調査は、発災直後の福祉専門職による調査と、それから一 年経過した生活支援専門員に対する調査の二種類のヒアリング調査結果がある ので、それぞれに見てみることとする。 1,福祉専門職による調査結果 発災後の支援活動の中では、被災者においては一様に、福祉サービス利用者 や福祉サービスを必要とする人々への配慮をする暇がない状況の中にあると言 える。陸前高田で支援活動を行った専門職からは、 「生きるのが精一杯という状 況」とのコメントがあった。また陸前高田市小友地区で活動を行っていた福祉 専門職からは「所得がなく将来に不安があり、介護サービスの利用を見合わせ、 限界を感じながらも在宅介護をされているお宅もあった。仮設住宅に入られて いる方には定期的な目配りができていたが、在宅生活されている方への目配り が足りず、孤立してしまう危険があるとのお話しも伺った。」との指摘は、発災 直後二週間から仮設住宅整備後までの状況として、社会福祉分野として見逃せ ないものである。また高齢者が遠慮して SOS を発することがなく、電話で「元 気です」と回答していても、実際には体調を崩しているなど、福祉専門職のき め細かな観察から様々な課題が浮き彫りになっている。 このような状況に関しては、第一にショックからの立ち直りに時間を要する こと、第二に急激な環境の変化に対応できるまでに時間を要すること、第三に 日常服用していた薬や日々交流していた家族や仲間と離散していること、第四 に不規則な生活(衣食住)およびプライバシーのない状況に長時間置かれてい ること等などが原因としてあげられる。このために、同じ被災者でありながら も、お互いに声を掛け合ったり気遣ったりという心の余裕がない状況にあるこ とが窺える。 こうした中で福祉サービスを必要としている被災者に対する対応として明ら かにされたものとしては、野田村で活動していた福祉専門職から、内陸の福祉 施設や病院に移送した報告がなされていた。同様に釜石市や大槌町で活動した 福祉専門職からも、避難所や仮設住宅での生活が困難であるため、やむなく県 外の福祉施設に受け入れを依頼したとの報告がなされている。こうした点は、 避難所や仮設住宅でともに生活することが困難であるため、早急に対応が必要 であったことが要因であった。したがって仮設住宅に入居できたとしても、福 祉サービスが必要とされる段階になると、退去を余儀なくされる可能性が高い ことが示唆されている。 福祉コミュニティには、 「コミュニティ・ケアの対象者を自分らの仲間として 受容し、支持し、彼にふさわしい社会的役割を提供し、共同生活者としての満 23.
(25) 足感を満たしてくれるもの」という基本的な原理が達成されるためには、こう した被災時の緊急時に、どれだけ社会福祉に関する実践を行う際に、十分な効 果をあげることができることや、福祉サービスの利用者が地域社会の一員とし て日常生活を送ることが可能となる条件が整っている、または整う可能性があ るような状況を生み出すことが、日常的にできているかにかかっていると言え よう。 日常的な生活環境の中で、福祉サービスを必要とする住民が何気なく生活で きている状況が必ずしも十分に整っているわけではないだけに、非常時には対 応できない現在の地域社会の課題が浮き彫りとなっている。 2,生活支援相談員のヒアリング結果 発災から一年以上経過して仮設住宅での生活が定着すると、新たな課題が顕 在化してくる。 第一に、被災者の主体性という点である。震災による精神的ダメージからの 回復によって、主体的に行動する住民が現れてくる。こうした人々と支援相談 員が活動を展開している事例も見受けられる一方で、依存度が高まった住民も 見受けられるという報告がなされた。こうした中でも、福祉サービスを必要と する住民は、そのほとんどが仮設住宅で生活しているわけではない。したがっ てこうした状況の中で、福祉サービスを必要とする住民がともに連帯意識を持 って生活していくということは、先に示すように、何気なく必ずしも十分に日 常生活を送ることができているわけでもないので、甚だ困難な状況にあると言 えよう。そのため福祉コミュニティを考える際には、福祉サービスを必要とす る住民と共同の生活基盤にない状況が広がっている点に留意をする必要がある。 第二に、そうは言っても現に仮設住宅で生活している住民の中からも、福祉 サービスを必要とする住民が出てきていることも確かで、少なくともこうした 人々と共同の仲間づくりができていることが重要と言えるであろう。とりわけ 仮設住宅での生活が定着すると、買い物や食事の確保、訪問による話し相手、 移動・見守り・交流などの支援が望まれることが、生活支援相談員からのヒア リングで確認された。また復興住宅や自立して住宅再建できたということで支 援活動が終わるわけではなく、生活支援のための活動はその後も含め、コミュ ニティ形成への支援として必要である点も、指摘されている。このため、仮設 住宅から復興住宅または住宅の自立再建野方も含めた新たな福祉コミュニティ への支援が必要であると言える。その際の住民自身の活動に対する具体的な支 援メニューとして、買い物や食事の確保、訪問による話し相手、移動・見守り・ 交流などを通じたコミュニティづくりが望まれる。 第三に、そうしたコミュニティ再生の祭に重要なのは、 「介護予防」もとても 24.
(26) 大切な取り組みであるものの、 「要介護」であっても住み続けることができるコ ミュニティを構築するということである。そうでなければ、やむなく遠方で当 面生活していた要介護高齢者やその家族は、新たなコミュニティで生活しよう という意思を有することができないばかりでなく、今まで生活できていた高齢 者の中で、新たに要介護状態になって福祉サービスを必要とする住民も、生活 できない状態を招きかねない。したがって福祉サービスを必要とする住民も含 めたつながりが必要とされるのである。そのためにも、先に示した住民自身の 活動に対する具体的な支援メニューとして、買い物や食事の確保、訪問による 話し相手、移動・見守り・交流などを通じたコミュニティづくりが望まれるの である。 以上大きく三点に絞って整理してみた。このうち先ず第一点目の被災者の主 体性という点で考えてみると、震災直後のダメージからの回復を図って、いか に主体性を取り戻すかという課題に対応した支援が必要であるとも言えよう。 エンパワメントに向けた支援の必要性が見て取れる。支援のあり方が問われる 点である。これによって福祉コミュニティ再生が左右されるとも言えよう。第 二に、現に居住する住民同士で、日常的な生活支援の仕組みを構築するという 事があげられる。この際に必要な点は、福祉サービスを必要とする住民を含め た取り組みが求められるという点である。第三に、予防の重要性を認めつつも、 現に福祉サービスを必要とする住民が、引き続きコミュニティのメンバーとつ ながりを保つ事の重要性である。このために第二の取り組みが重要であると言 えよう。 以上の点から、生活支援相談員のヒアリング結果から、今後の被災地におけ る福祉コミュニティの必要性が確認された。またその内容は、これまで研究さ れてきた福祉コミュニティの機能の重要性が、具体的な形で検証できたものと 思われた。 3 ブレーンストーミング結果 被災地における、今後の地域生活のあり方に関し、これまで実施した社会福 祉協議会職員や研究会で協議に参加した保健・医療・福祉分野の専門職による ブレーンストーミングを中心に、今後に向けて求められてきているコミュニテ ィ機能について、福祉コミュニティに関する研究等の検証を行ってみる。 これまで被災地の社会福祉協議会職員とは、十数回の意見交換を開催してき た。その中で、社協職員の間で特に検討されたのは、民生委員調査結果につい てであった。民生委員の業務において、日常的に福祉サービスを必要とする住 民と接する機会が多く、したがって福祉コミュニティの形成に向けて取り組ん でいる姿が見て取れる。 25.
(27) 民生委員調査結果では、人と人のつながりを重視した意見が多い。 「地域では 高齢者が多く、特に若い男性が少ないので、力がいる仕事ができなかった。町 内会や自治体の協力が必要」との意見は、こうした面の象徴的な意見の一つで あるといえる。民生委員は比較的女性や 60 歳以上の高齢者がその任に当たって いる地域住民が多く、しかも災害のための訓練を受けているわけでもない。し かしそうした中で、福祉サービスを必要とする住民の避難の呼びかけ、誘導な どについて、その取り組みの必要性を訴えている。地域福祉を推進する団体と して社会福祉協議会の役割をあらためて見つめ直そうという意見もあった。 とりわけ災害時に関して「常日頃、避難場所の知らせや、すぐ逃げる事の会 話を何度もしておく事。避難に時間がかかる人ほど、腰を早く上げない傾向が ある。災害時は、時間があれば早めに避難の必要をふれ回る。早めに周囲の人 に手助けを頼む。それ以上は、状況で判断」という意見は、緊急時に対応でき るように、日頃の取り組みが必要であることを伝えている。この中で重要なの は日常的に避難に関する情報を、福祉サービスを必要とする住民に伝えておく こととしている点である。これが可能となるためには、日頃からのコミュニケ ーションが取れる状況を形成しておく必要があり、加えて「周囲の人に手助け を頼む」ことが可能な、地域内の関係を形成する必要がある点を指摘している。 こうして見てみると、民生委員の意見には「コミュニティ・ケアの対象者を 自分らの仲間として受容し、支持し、彼にふさわしい社会的役割を提供し、共 同生活者としての満足感を満たしてくれるもの」としての福祉コミュニティの 構築に向け、その最先端の担い手としての意識にもとづく意見が見て取れる。 一方、仮設住宅での生活が定着した段階での取り組みとして、①普段からの コミュニケーションが大事 ②地域内の安否確認、見守り活動。地域住民に悩 みや心配、不安等問題がある時に、関係先につなぐこと ③一人暮らし、身体 の不自由な方には、災害時前に、近所によるお世話になる家庭を対話し決めて おく ④沢水、湧水を常に絶やさないような対策を知っておく ⑤常日頃、避 難訓練等に参加している人は助かっているが、避難訓練に参加していない人が 被災にあっているので、防災教育に力を入れる必要がある という内容が主た るものである。この内容から言えることは、民生委員が「コミュニティ・ケア の対象者を自分らの仲間として受容し、支持し、彼にふさわしい社会的役割を 提供し、共同生活者としての満足感を満たしてくれるもの」としての福祉コミ ュニティの構築を意識しているだけに、社会福祉協議会が呼びかけを行って、 住民が地域組織化に主体的に取り組み、地域づくりの担い手としての態度を持 つことができるような支援・動機づけが求められる。 (4) まとめ 26.
(28) 福祉コミュニティ自体は、岡村重夫によって唱えられて以降、地域福祉の分 野を中心に用いられてきた用語である。今回震災を契機として福祉コミュニテ ィという用語が、多義的に用いられるようになってきているものの、その基本 的な考え方に変化が見られているわけではない。むしろよりその意義が重視さ れてきていると言える。 震災によって、これまでの生活の場となっていた地域が被災し、人もモノも、 そして人々のつながりや暮らし等が失われた現在の状況の中で、いかに人々の つながりを再形成して生活を営む場を確保していくかという課題は、支援の有 無にかかわらず被災地の住民につきつけられている。したがって支援する側の 解釈でこれに対応するのではなく、支援する側は被災地の住民がこの課題に如 何に向き合おうとしているのかを確かめつつ、住民主導で仕組みづくりを行う ことができるように支援していく必要があろう。 今回の被災地における福祉コミュニティ形成に向けた検討は、少子高齢化が 進行し、かつ人口減少時代を迎えたわが国の地方の現状と重なる部分が少なく ない。そのため「地域再生」の課題認識や対応策としての具体的な取り組みの 方法論は、被災地だけの課題や対応策ではないという理解が成り立つものと思 われる。そうした点で、人々のつながりづくりや地域内での機能としての保健・ 医療・福祉・生活支援等の考え方は、今後大いに議論される必要があろう。. 参考文献 岡村重夫『地域福祉論』光生館、2009 三浦・右田・大橋編『地域福祉の源流と創造』中央法規、2003 右田・井岡編著『地域福祉 いま問われているもの』ミネルヴァ書房、1995 牧里・野口・武川・和気編著『自治体の地域福祉戦略』学陽書房、2007 大橋・千葉・手島・辻編著『コミュニティソーシャルワークと自己実現サービ ス』万葉舎、2000 高田真治『社会福祉内発的発展論』ミネルヴァ書房、2003 都築編著『地域福祉の理論と実際』建帛社、2012 この包括報告内の1災害時における社会福祉の立場からの被災者支援、2災害 復興期における市町村地域福祉活動に関する一考察 3望まれるコミュニティ の研究成果は、公益財団法人在宅医療助成勇美記念財団の研究助成によって得 られた研究成果です。. 27.
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