• 検索結果がありません。

砂質土の間隙径分布の評価とその利用

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "砂質土の間隙径分布の評価とその利用"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Title

砂質土の間隙径分布の評価とその利用( 内容の要旨

(Summary) )

Author(s)

神谷, 浩二

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(工学) 乙第013号

Issue Date

1999-09-08

Type

博士論文

Version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/1685

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏 名 (本籍) 学 位 の 類 学位記 号番 号 学位授与年月 日 専 攻 学位論 文題 目 神 谷 浩 二(岐阜県) 博 士(工学) 乙第13 号 平成11年 9 月 8 日 生産開発システム工学専攻 砂質土の間隙径分布の評価とその利用

(Evaluation of void diameter distribution of sandy soils andits utilization) 学位論文審査委員 (主査) 教 授 宇 野 尚 雄 (副査) 教 授 八 嶋 厚 教 授 本 城 勇 介

論文内容の要旨

本研究は,地盤注入材の浸透機構を理論的に解明することが困難な現状を背景にして,注入 される側の砂層地盤の間隙構造を定量的に評価・表現する手法を究明したものである.本論文 は6章で構成されている.第1章は序論,第6章は結論である. (1)砂質土の間隙径分布を毛管モデルとして計測する「空気圧入法」の提案(第2章) (2)空気圧入法と既往の「水分法」との対比に基づく間隙径分布の評価(第3章と第4章) (3)懸濁系注入材の浸透性に影響する,砂層間隙径分布と注入材粒度との関係の究明(第5章) 上記(1)は,従来法の市販装置が高価であることにも関係して間隙径分布の計測例が少なく, また,砂質土の間隙径分布を計測するための適切な装置がない現状に対して,簡便な手法・装 置を提案している.Zagarにより開発された手法を改善した,この空気圧入法(以下,庄入法と 呼ぶ)は,飽和試料層の底面から空気を庄入したときの,庄入空気圧と空気透過量との関係を用 いて間隙径分布を求める方法である.毛管モデルそのものと見なせる"毛管模型"に対する計 測により,圧入法の適用性が確認されている.その結果,①簡便な装置を用いて数時間で砂質 土の間隙径分布の計測が可能であり,0.02∼0.3mm範囲の間隙径の計測が確認された.②zagar による従来の分布算出方法には誤りがあることを指摘するとともに,間隙径の計測原理,新た な分布算出方法,計測手順および整理法のそれぞれの妥当性を検証した.③庄入法では,質量 基準による粒度分布の分布型に関係なく,狭い間隙径範囲で頻度が高い均等な間隙径分布にな る,等が判明している. 次に,上記(2)では,原理的に同様の毛管モデルに基づく「水分法」により,排水過程の水分 特性曲線から間隙径分布を推定して,④それは水分特性曲線を900左回転した形状であり,質 量基準粒度を水平移動した形の分布が得られる特徴を示している.結果的に,庄入法と水分法 による間隙径分布は異なり,その原因を分析した結果,⑤圧入法での圧入空気圧は水分法での サクションに相当していて,空気圧とサクションのそれぞれから求められる圧入法と水分法の 間隙径4とんは等大なものと評価されている.この結果,両者の差は,間隙径の分布を表すた めの圧入法の累積間隙体積百分率叛と水分法のりの違いによること,および⑥間隙体積を表現 する圧入法の竹は,空気の毛管流に寄与する間隙部分のみの体積に相当し,水分法のりは三次

(3)

ー55-元的な間隙空間での体積に相当するとされた.即ち,"癌状に広くなったりする間隙空間"にお いて,圧入法では空気流に寄与し難い癌部分の評価が困難であり,このことは,水分法による 分布から癌状間隙の影響を取り除く修正によって説明されている.従って,⑦圧入法と水分法 による間隙径分布の差は癌状間隙の構造特性の影響を表現するものであり,両者の差の解明が 三次元的な間隙構造の評価・表現法研究への指針になると結論づけられている・ 一方,⑧水分法による間隙径分布は従来の質量基準の粒度分布と同じ分布型をもつのに対し て,圧入法によるものは新たな個数基準の粒度と分布型が類似することが分析された・即ち, 質量粒度に対して均等になり易い個数粒度の関係が,圧入法と水分法の差を解明するための手 掛かりを与えた.また,⑨質量粒度の粒径に対する水分法の間隙径んの大きさを表すβr値は, 間隙比e,土粒子の形状係数&,質量粒度の均等係数杭によって表されることを明らかにして, 圧入法と水分法の間隙径は,それぞれβr値と質量粒度の粒径を用いて,推定可能であることを 見出している. 上述の(3)は庄入法と水分法による間隙径分布の評価結果を利用する観点からの研究で,浸透 注入するために必要な条件としての砂層の間隙径分布と注入材粒度との関係を究明した結果, 次のような結論を得ている.⑲注入に伴い,間隙部分を注入材の流れ方向でみたときの評価の 圧入法による間隙径分布は,/トさめの間隙径部分が径の小さい方へ減少して現れるとともに分 布頻度が低下する.それに対して,空間的評価の水分法によるものは頻度のみが低下する特徴 を認めた.そして,圧入法によるものは注入材の侵入し易さを判断するのに有用であり,水分 法によるものは注入材の滞留に支配的な間隙部分を表現するのに利用できることが判明した. この結果,⑪注入前砂層の庄入法の最小間隙径4.椚f〝と注入材の85%粒径βg85を用いて,βg85< 0・4`ち,椚血の関係のとき浸透注入が可能であり,βg85>0・554,桝f〝のとき不可能であることが明らか になった.更に,砂層の平均粒径仇と注入材粒径βg&5の関係にして,βw仏g85>3・2/βrのとき 浸透可能,βJβg85<2.3/βrのとき不可能であるという注入材の粒度を選定する新たな指標が提 案されている.一方,注入に伴う間隙径分布の変化の特徴に基づき,⑫注入材は,圧入法で評 価する注入材の流れに寄与の間隙部分では砂粒子表面に付着する滞留が生じ,寄与し難い間隙 の癌部分では蓄積する滞留が生じる.また,流れに寄与のマクロな間隙部分は閉塞されずに残 存することが推定された・即ち,前述した浸透可能な条件としてのβg85<0・叫画の関係は,残 存する間隙部分が注入材粒径よりも大きくなり注入材の侵入し易さが低下しないためのもので ある.

論文審査結果の要旨

土質力学体系の中で言えば,本論文は土粒子骨格構造の力学形成に力点が置かれていた観点 から脱却して,土質の間隙構造の働きに注目する観点から研究したものである・具体的には, 実務で経験的に使用されている「注入工法」の論理的な根拠・規準を見出そうとしたものとも 言える.先ず,間隙構造を新規に開発した空気圧入法により「間隙径分布」として計測・把握 し,既往の良く使用される土粒子「粒度分布」との関係の究明,既往の水分法による「間隙径 分布」推定結果との対比,等々から間隙構造の解明努力が主眼で,その結果を利用する意義を 注入材の浸透・滞留・通過の現象の限定した場合の実験で観察・確認したものである.特徴的 な成果を列挙すると,次のようである. (1)地盤工学関係では,論文提出者が初めて,砂質土の間隙径分布を計測する「空気圧入法」 を開発し,毛管模型でその精度を確認した.これは独創的なものと評価される・ (2)これに対して,既往の水分法による間隙径分布の推定結果と対比して,両者の分布には著 しい差が生じることから二つの知見を見出している.一つは,空気圧入法と水分法による

(4)

-56-分布の差には,間隙の「癌状に広がる空間」なる三次元的要因が反映していることを論証 したこと,である. (3)もう一つは,水分法からの間隙径分布と質量粒度分布(既往の粒度)と近似的に相似な形 状にあるのに対して,圧入法からの間隙径分布は個数規準粒度(福田ら(1997)の提案した粒 度)に近似的に相似であること,である. (4)注入工法に対する指針としては検討条件が限定されているが,「注入前砂層の圧入法の最小 間隙径4.血乃と注入材の85%粒径βが5を用いて,βg85<0・4`ち庫〃の関係のとき浸透注入が可能であ り,βg85>0・55琉.椚血のとき不可能であること,更に,砂層の平均粒径仇と注入材粒径βgg5の関 係にして,仇仏gg5>3・2′βrのとき浸透可能,仇畑gg5<2・3/βrのとき不可能である・但し,β′ は土粒子形状係数と間隙比によりきまる係数.」という注入材の粒度を選定する新たな指標 が提案された. 以上のようであり,博士論文(工学)として価値があると認定する・なお,上述の三点が得 られて公表された段階の内容で,論文提出者は平成9年度土木学会論文奨励賞を授与される客 観的な評価も受けている.

最終試験結果の要旨

審査委員会は,本論文の主要部分が土木学会論文集3編,国際会議論文集3編および国内学 術誌2編,計8編に公表されていることを確認した.他に予備審査時にリストアップした関連 論文2編がある.公聴会は8月25日学外20名,学内25名,計45名(内13名が学生)の参加を得 て,種々の討議が交換され,建設的な将来への示唆も受けた.本論文は学位論文として十分完 成された内容を有しているものと認め,合格と判定される・ また,学力確認については,審査委員会が課した課題に対して,口頭および筆頭による試問 審査の結果,論文提出者は学位を授与されるに十分な専門的知識を有しているので,最終試験 でも合格と判定した.

参照

関連したドキュメント

16)a)最内コルク層の径と根の径は各横切面で最大径とそれに直交する径の平均値を示す.また最内コルク層輪の

第一章 ブッダの涅槃と葬儀 第二章 舎利八分伝説の検証 第三章 仏塔の原語 第四章 仏塔の起源 第五章 仏塔の構造と供養法 第六章 仏舎利塔以前の仏塔 第二部

に関して言 えば, は つのリー群の組 によって等質空間として表すこと はできないが, つのリー群の組 を用いればクリフォード・クラ イン形

第124条 補償説明とは、権利者に対し、土地の評価(残地補償を含む。)の方法、建物等の補償

その目的は,洛中各所にある寺社,武家,公家などの土地所有権を調査したうえ

41 の 2―1 法第 4l 条の 2 第 1 項に規定する「貨物管理者」とは、外国貨物又 は輸出しようとする貨物に関する入庫、保管、出庫その他の貨物の管理を自

★分割によりその調査手法や評価が全体を対象とした 場合と変わることがないように調査計画を立案する必要 がある。..

供試体の寸法は、高さ 100mm,直径 50mm である。図‑2 はペデスタ