Title
IDO1 plays an Immunosuppressive Role in 2,4,6-Trinitrobenzene
Sulfate-Induced Colitis in Mice( 要約版(Digest) )
Author(s)
高松, 学
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学) 甲第941号
Issue Date
2014-03-25
Type
博士論文
Version
none
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/49057
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学位論文要約
Extended Summary in Lieu of the Full Text of a Doctoral Thesis 甲第 941 号 氏 名: Full Name 高 松 学 Manabu Takamatsu 学位論文題目
:
IDO1 の TNBS 誘発大腸炎抑制効果Thesis Title IDO1 Plays an Immunosuppressive Role in 2,4,6-Trinitrobenzene Sulfate-Induced Colitis in Mice
学位論文要約: Summary of Thesis
免疫反応の適切な制御は生体の恒常性を維持する上で必須であり,その破綻は種々の疾患と綿密に 関連している。Indoleamine 2,3-dioxygenase (IDO)はトリプトファンを分解する律速酵素で,諸臓器
で免疫を制御する働きがあることが知られている。IDOは組織中で主に樹状細胞から産生されるが, 腫瘍細胞もIDOを産生することが知られており,腫瘍に対する免疫反応の回避に関連していると考 えられている。このため1-メチルトリプトファン(1-mT)をはじめとするIDO阻害薬は再発性,難治 性の腫瘍に対する治療の補助薬として治験段階にあるが,IDO阻害に伴う炎症増強などの副作用に 関しては十分に検討されていない。本研究では,IDOのうち大腸に多く分布するIDO1の欠損マウス およびIDO阻害薬を用いて,大腸炎におけるIDOの役割を検証した。 【対象と方法】 (1) 急性大腸炎の誘発 C57BL/6をbackgroundとする8週齢のIdo1欠損(-/-)マウスおよび野生型のIdo1 (+/+)マウスに対し,硫 酸トリニトロベンゼン(TNBS) を経直腸的に投与し,大腸炎を誘発した。対照群として,無処置群 と,TNBSの溶媒であるエタノール投与群を設定した。投与後72時間にて屠殺解剖したのち,大腸 組織のH-E染色標本にて炎症をスコア化し,各群を比較した。免疫組織化学染色にてIDOと,樹状 細胞のマーカーであるCD11cとを染色し,組織中の陽性細胞の分布を評価した。また,上皮組織と 間質組織を腺管分離法により分離採取し,それぞれの組織中におけるIdo1とIdo2(Ido1の関連遺伝 子)のmRNA発現定量および酵素活性測定により評価した。 (2) 骨髄移植モデル 大腸組織において,上皮と間質のそれぞれから産生されるIDO1の役割を詳細に検証するため,5 週齢のIdo1(-/-) マウスおよびIdo1(+/+) マウスにそれぞれ,Ido1(-/-) またはIdo1(+/+) マウスから採 取した骨髄を経静脈的に移植し,生着を確認後9週齢にて(1)と同様に急性大腸炎を誘発し,72時間 後屠殺解剖した。H-E染色標本における炎症のスコア化に加え,免疫組織化学染色にて大腸間質に 浸潤する制御性T細胞の分布を検証した。また,(1)で用いた腺管分離法とmRNA発現定量により, 炎症性サイトカインの発現を検証した。 (3) IDO阻害薬(1-mT) 投与モデル 8週齢のIdo1(+/+)マウスに対し,1-L-メチルトリプトファン (1-L-mT), 1-D-メチルトリプトファン (1-D-mT) を飲水投与し,4日後,(1)と同様に急性大腸炎を誘発し,72時間後(1-mT投与開始から7 日) 屠殺解剖した。対照群として,pHを調整した水道水の飲水投与群を設定した。各群の大腸組織 を(1)と同様にH-E染色標本上で評価した。 【結果】 (1) TNBS投与群において,Ido1(-/-) マウスはIdo1(+/+) マウスに比して,有意に急性大腸炎が増強 した。免疫染色にて,IDO陽性細胞はTNBS投与群の大腸間質において増加がみられ,一部は樹状 細胞のマーカーであるCD11cと共染所見を示した。またTNBSを投与したIdo1(+/+) マウスの間質組 織では,Ido1とIdo2のmRNA発現はいずれも対照群に比して有意に増加していた。IDOの酵素活性 は,Ido1(+/+) マウスにおいてTNBS投与群で上昇する傾向がみられたが,有意な差は確認されなか った。
(2) Ido1(+/+) 骨髄を移植したIdo1(-/-) マウスでは,大腸炎が有意に減弱した。また逆に,Ido1(-/-) 骨髄を移植したIdo1(+/+)マウスでは有意に大腸炎が増強した。間質に浸潤する制御性T細胞のCD4 陽性T細胞に占める割合は,Ido1(-/-)マウス,Ido1(+/+)マウスのいずれにおいてもIdo1(+/+)骨髄を移 植した群で有意に増加していた。また,炎症促進性サイトカインであるIFNγやTNFαは,Ido1(-/-)
マウス,Ido1(+/+)マウスのいずれにおいても,Ido1(-/-)骨髄を移植した群で発現が上昇する傾向が みられた。また逆に,抗炎症性サイトカインであるIL-10は,Ido1(-/-)マウスにおいて,Ido1(-/-)骨髄 を移植した群で,Ido1(+/+)骨髄を移植した群に比べ発現が有意に減少した。 (3) 1-L-mT, 1-D-mTを投与したマウスは,いずれも対照群に比して有意に大腸炎が増強した。 【考察】 IDOの欠損によってTNBS誘発大腸炎は悪化し,大腸におけるIDOの免疫制御作用が確認された。ま た骨髄由来細胞が産生するIDOは大腸炎の制御に重要であることが示された。IDOによる大腸炎の 制御は,制御性T細胞の分化誘導や,炎症促進性サイトカインの発現減少,抗炎症性サイトカイン の発現増加によりなされると考えられた。また,1-L-mT, 1-D-mTのいずれのIDO阻害薬も炎症を増 強させることが証明された。 【結論】 IDO1は大腸の炎症制御に重要な役割を果たしており,その欠損あるいは薬剤による拮抗阻害によっ て,炎症が増強することが証明された。腫瘍に対する治療薬として用いる際には,炎症の増強など の副作用に留意する必要性があると考えられた。 J Immunol 191,3057-3064 (2013).