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ネコの移植適合試験に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

ネコの移植適合試験に関する研究( 内容の要旨 )

Author(s)

桑原, 康人

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(獣医学) 甲第097号

Issue Date

2001-03-13

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2151

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏▼ 名(本籍) 学 位 の 種 類 ・学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及 び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 貞 \( 桑 原 康 人 (愛知県) 博士(獣医学) 獣医博甲第97号 平成13年3月13日 学位規則第4粂第1項該当 連合獣医学研究科 獣医学専攻 岐阜大学 ネコの移植適合試験に関する研究 主査 岐阜 大学 教 授■ 佐々木 副査 帯広畜産大学 教 授

川 副査 岩 手 大 学 教 授 内 藤 副査 東京農工大学 教 授 山 根 副査 岐 阜 大 学 教 授 平 井 英一久 久 哉 柴森 善 義 克 論 文 の 内 容 の 近年、伴侶動物に対する飼育者の意識の高まりに伴いイヌおよびネコに対しても高度医

療が要求されるようになり、それに応じた研究が進んでいる。臓器移植もその一つである

が、これには移植片に対する拒絶反応の克服が最も大きな問題である。ネコでは、腎移植 の研究が進んでいるが、移植免疫学的な研究はほとんど進展していない。

本研究では、超急性または促進型急性拒絶反応に関与するリンパ球交叉試験と急性また

は慢性拒絶反応に関与すると言われているネコの主要組織適合性複合体(軋A)クラス、ⅠI

DRBの遺伝子タイピングについて臨床応用を目的とした研究を行った。

リンノち球交叉試験における条件設定を検討したところ、生存リンパ球の分離は、

Ficoll-diatrizoateを20℃で比重1.078に調整し、4℃、800xgで30分間遠心分離する方法が最 も良好であった。リンパ球交叉試験は、TおよびB細胞について、各々温式(37℃)抗体 と寒冷式(4℃)抗体の有無を検索する必要がある。TおよびB細胞の分収にナイロンウー ルカラムを使用したところ、カラム流出細胞の95%はT細胞であったが、カラム付着細胞

のB細胞の純度は41%であった。前者をT細胞液とし、後者をB細胞液とした。B細胞顕

純度は低かったが、T細胞液の結果と組み合わせて判断することによって、移植適合検査と して利用することができた。リンパ球の生死の判定は、エオジン染色法よりトリバンプル ー染色法の方が容易で時間も短縮できた。この方法を用いて、Ⅰ5ベアのネコについてリン パ球交叉試験を行ったところ、1ベアで抗B細胞寒冷式抗体が疑陽性であった。2ペアのネ

コで行った腎移植前後のリンパ球交叉試験では、移植後の拒絶反応発症時に2ベアとも抗T

細胞温式抗体が陽転し、1ペアでは抗丁細胞寒冷式抗体も陽転した。今回の方法によるリ

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ンパ球交叉試験は、移植適合試験として臨床応用できると考えられた。

急性拒絶反応にはドナーとレシピエントの主要組織適合性複合体(MHC)のタイプの轟い

が関連すると考えられており、ヒトの臓器移植に際しては移植適合試験として、必ず血清 学的タイピング、t」ンパ球混合培養反応(MI瓜)または遺伝子タイピングなどによってMHC・ のタイピングが行われている。ネコでは血清学的タイピングが困難で、MIRの反応性も低 く評価が難しいため、遺伝子タイピングが最も適していると考えられる。

FLAクラスⅠIDRBの遺伝子は、これまでに61種類が報告されているが、今回9頸のネ

コから直接塩基配列決定法によって5種類の新しい遺伝子を発見した。この66種の遺伝子 についてグループ特異的プライマーを併用したpolymerasechainreaction(PCR)-reStriction ffagmentlength(RFLP)法を試みた。66種のDRB遺伝子を5,末端のアミノ酸配列の違いに よって8グループに分けるグループ特異的プライマーを作成した。それぞれのグループに

分顛された遺伝子を制限酵素によって細切してmタイピングを行った。その結果、66

の遺伝子を37の遺伝子と10のサブグループに分けることができた。9頭のネコについて

直接塩基配列決定法とグループ特異的プライマーを併用し辛PCR-RFLP法の比較を行った

ところ、6頭のネコでは両法による結果は一致したが、3頭では直接塩基配列決定法の結果 より1つま.たは2つ多いDRB遺伝子がグループ特異的プライマーによって増幅された。こ のこ上から今回行ったPCR-RFば法の精度はかなり高いと考えられた。・グループ特異的プ ライマーを併用したPCR-m法は、FLAクラスⅠIDRBの遺伝子タイピングに応用できる

と思われた。さらに6白頭のネコにPCR-m法を応用したところ、1頭当たり1∼6、全体

では延べ203の遺伝子およびサブグループが検出された。検出された遺伝子およびサブグ ループはGl-1a(28・8%)、DRB*0501(10・3%)、Gl-2a(9.4%)およびG6b(7.4%)の順に多かっ た。 ゲノム遺伝子の中には、RNAに転写され.ず機能しない遺伝子が知られている。そこで28

頭のネコ寧こついてゲノムDNAとRNA,のDRB遺伝子を比較するため、抽出したmにグ

ループ特異的プライマーを併用した逆転写叩-PCR-RⅢ法によるタイピングを試みた; 28頭中9頭では、ゲノムDNAからとRNAからの遺伝子およびサブグループは一致したが、 残り19頭では蝕仏からの遺伝子およびサブグル⊥プ数がゲノムDNAからの数より1∼4 種類少なかった。個々のネコのゲノムDNAからは2∼6の、RNAからは1∼3のDR玉造伝 子およびサブグループが検出され、ネコはゲノムDNAに少なくとも3つの遺伝子座を持つ が、そのうちすべてが発現し_ているわけではないことが示唆された。したがって、FLA-DRB 遺伝子タイピングを臓器移植の適合試験やDRB遺伝子の臨床的な意義の検計に利用するに は、RT-PCR-m法を行う必要があると考えられた。

今回のⅣr-PCR-RFLP法によってタイピングされたDRB発現遺伝子の一致率が、ネコの

移植免疫に関与しているか否かを確かめるために、2つの不一致遺伝子を持つペアをA琴、

1つの不一致遺伝子を持つペアをB群、不一致遺伝子を持たないペアをC群として、各野 間における皮膚移植片の生存日数およびMLRのstimulationindex(SI)を比較した。その結

果、A群とB群の皮膚移植片の生存日数には有意な孝は認められなかったが、C群ではA

群とB群た比較して有意に延長した。また、C群ではMLRのSIもAおよびB群に比密し

低い傾向にあった。したがって、今回のRトPCR_RFLP法によってタイピングされた

FLA-DRB遺伝子の一致率は、ネコの移植免疫に関与していることが確認された。

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本研究で検討されたリンパ球交叉試験とグループ特異的プライマーを併用した RT-PCR-RFLP法による弘一DRB発現遺伝子のタイピングは、ネコの移植適合試験として 有用であることが明らかにされた。 審 査 結 果 の 要 旨 近年、伴侶動物に対す阜飼育者の意識の高まりに伴いイヌおよびネコに対しても高度医 療が要求されるようになり、それに応じた研究が進んでいる。臓器移植もその一つである が、これには移植片に対する拒絶反応の寛服が最も大きな問題である。ネコでは、.腎移檜 の研究が進んでいるが、移植免疫学的な研究はほとんど進展していない。 本研究では、超急性または促進型急性拒絶反応に関与するリンパ球交叉試験と急性また

は慢性拒絶反応に関与すると言われている寅コの主要組織適合性複合体(FLA)クラスⅠI

DRBの遺伝子タイピングについ七臨床応用を目的とした研究を行った。 リンパ球交叉試験における条件設定を検討したところ、生存リンパ球の分離は、 Ficoll-diatrizoateを20℃で比重1.078に調整し、4℃、800xgで30分間遠心分離する方法が最 も良好であった。t」ンバ球交叉試験は、TおよびB細胞について、各々温式(37℃)一抗体

と寒冷式(4℃)抗体の有無を検索する必要がある。TおよびB細胞の分収にナイロンウー

ルカラムを使用したところ、カラム流出細胞の95%はT細胞であったが、カラム付着細胞 のB細胞の純度は41%であった。′前者をT紳胞液とし、後者をB細胞液とした。B細胞液 純度は低かったが、T細胞液の結果と組み合わせて判断することによって、移植適合検査と して利用することができた。リンパ球の生死の判定は、エオジン染色法よりトリ/1ンブル ー染色法の方が容易で時間も短縮できた。この方法を用いて、15ペアのネコについてリン パ球交叉試験を行ったところ、1ペアで抗B細胞寒冷式抗体が疑陽性であった。2ペアのネ

コで行った腎移植前後のリンパ球交叉試験では、移植後の拒絶反応発症時に2ベラとも抗丁

細胞温式抗体が陽転し、1ペアでは抗●T細胞寒冷式抗体も陽転した。今回の方法によるリ ンパ球交叉試験は、移植連合試験として臨床応用できると考えられた。 急性拒絶反応にはドナーとレシピエントの主要組織適合性複合体(MRC)のタイプの違い が関連すると考えられており、ヒトの臓器移植に際しては移植適合試験として、必ず血清

学的タイピング、リンパ球癒合培養反応(MLR)または遺伝子タイ_ビングなどによってMHC

のタイピングが行われている。ネコでは血清学的タイピングが困難で、MLRの反応性も低 く評価が難しいた申、遺伝子タイピングが最も適していると考えられる。 mクラスⅠIDRBの遺伝子は、これまでに61種類が報告されているが、今回9頭のネ コから直接塩基配列決定法によって5種類の新しい遺伝子を発見した。この66種の遺伝子 についてグループ特異的プライマこを併用したpolymeraSeChainreaction(PCR)-reStriction fragmentlength(RELP)法を試みた。66種のDRB遺伝子を5,末端のアミノ麿配列の違いに よって8グループに分けるグループ特異的プライ寸「を作成した。それぞれのグループに 分類された遺伝子を制限酵素によって細切して乱打ガタイビングを行った。その結果、66

(5)

の遺伝子を'37の遺伝子と10のサブグループに分ける・ことができた。9頭のネコについて 直接塩基配列決定法とグループ特異的プライマーを併用したPCR-RⅢ法の比較を行った

ところ、6頭のネコセは両法による結果は一致したが、3頭では直接塩基配列決定法の結果

より1つまたは2つ多いDRB遺伝子がグループ特異的プライマーによって増幅された■。こ のことから今回行ったPCR-RFLP法の精度はかなり高いと考えられた。グループ特異的プ ライマーを併用したPCR-RFl方法は、mクラスⅠIDRBの遺伝子タイピングに応用できる と思われた。さらに68●頭のネコにPCR-m法を応用したところ、1頭当たり1∼6、全体 では延べ203の遺伝子およびサブグループが検出された。検出された遺伝子およびサブグ ループはGl-1a(28.8%)、DRB*0501(10.3%)、Gl-2a(9.4%)およぴG6b(7.4%)の順に多かっ た。 ゲノム遺伝子の中には、mに転写されず機能しない遺伝子が知られている。そこで28 頭のネコについてゲノムDNAとmのDRB遺伝子を比較するため、抽出したRNAにグ

ループ特異的プライマーを併用した逆転写(町)-PCR-Rm法によ■るタイピングを軍学た。

28頸中9頭では、ゲノムDNAからとRNAからの遺伝子およびサブグループは一致したが、

残り19頭では血挽からの遺伝子およびサブグループ数がゲノムDNAからの数より1∼4

種類少なかった。個々のネコのゲノムDNAからは2′-6の、RNAからは1∼3のDRB遺伝 子およびサブグループが検出され、ネコはゲノム・DNAに少なくとも3つの遺伝子座を持つ が、そのうちすべてが発現しているわけではないことが示唆された。したがって、m_DRB 遺伝子タイピングを臓器移植の適合試験やDRB遺伝子の臨床的な意義の検討に利用するに は、RT-PCR-RFLP法を行う必要があると考えられた。 今回のFr-PCR-m法によってタイピングされたDRB発現遺伝子の一致率が、ネコの 移植免疫に関与しているか否かを確かめるために、2つの不一致遺伝子を持つベアをA群、 1つの不一致遺伝子を持つペアをB群、不一致遺伝子を持たないベアをC群として、各群 間における皮膚移植片の生存日数およびMLRのstimulationindex(SI)を比較した。その結

果、A群とB群の皮膚移植片の生存日数には有意な差鱒認められなかったが、C群ではA

群とB群に比較して有意に延長した。また、C群ではMLRのSIもAおよびB琴に比較し

低い傾向にあった。したがって、今回のRTヰCR-RFLP法によってタイピングされた FLA_DRB遺伝子の一致率は、ネコの移植免疫に関与していることが確認された。 本研究で検討されたリンパ球交叉試験とグループ特異的プライマーを併用した

Er_さcR_RFば法によるFLA-DRB発現遺伝子のタイピングは、ネコの移植適合試験として

有用であることが明らかにされた。 以上について、審査委員会全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の学 位論文として十分価値あるものと認めた。 \

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学位論文の基礎となる学術論文 1.KUWAHARA,Y,KOBAYASHI,R.,rWAm,J.,Ⅹ1TOH,K,ⅩnAGAWÅ,H.,andSASAKI,Y (1999)・Methodoflymphocytotoxiccrossmatch.testforftlinerenaltraTISplantation.J柁i・Md ∫cf.61:481-485. 2.叩A,Y,mOH,K,KOBAYASHI,R・,IWAm,J・,OHNE,R・,HOSOXÅWA,T,

MArsuMOTO,Y,KITAGAW軋H.,andSASAKI,Y(2000).GenotypingofftlineMHC伊LA)

classIIDRBbyPCR-RFLPmethoduslnggrOup-SpeCificpnmers・L絶たMdSci・62:1283-1289. 既発表学術論文 1.KITAGAWÅ,H.,SASAEユ,Y,ISHIHARA,K,andKUW,Y(1990).Developmentof artificialmodelofcavalsyndromeincanineheartwormdisease・々7ZJ柁£Sci・52:1029-1035・ 2・mGAWA,H・,SAS亘軋Y,ISHⅡ払RA,K,andEUⅥÅHARA,Y(1990)・hboratorytest resultsinartificialmodelof〇aValsyndromeincanineheartwofmdisease・々nJ掩t・Sci・52: 1123-1125.

3・ⅩUⅥ仏HARA,YEITAGAWÅ,H・,SASAKLY,andISHI甲声A,K(1991)・Cardiopulmonary

valuesindogswithartificialmodelofcavalsyndromeinheartwormdisease・Jl批MdSci・ 53:59-64. 4・mGÅWA,H., ⅦAMA,H・,KITOH,K・,KU棚,Y,OHBA,Y,ISAJI,M・・

rWASAH,T,and SASAKI,Y(1997).Efficacy of monotherapywith Benazepril,an ang10tenSin converting enzymeinhibitor,in dogswith naturally acquired chronicmitral insu岱ciency.Jl柁t.Med.Sci.59:513-520. 5.桑原庶人,桑原典枝,青田智東岩崎利郎(1997).両耳介末端壊死をともなう犬のクリ

オフィブリノーゲン血症甲1例.日本獣医師会雑誌.刃:657∼659.

6.東口AGÅWÅ,H.,.EITOH,K,OHBA,Y,EUWAHARA,Y,Ⅳ仏SAEI;T,andSASAXI,Y (1998).Comparisonoflaboratorytestresultsbefbreand適ersurgicalremovalofheartWOrmS indogswithvenacavalsyndrome・LAm・柁L・MdAssoc・213:1134-1136・

参照

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