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中国語結果複合動詞の分類と結合度

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35 中国語結果複合動詞の分類と結合度 滋賀大学教育学部紀要 No.65, pp. 35-48, 2015

中国語結果複合動詞の分類と結合度

于   一 楽 Yile YU

キーワード:Resultative verb compound、Integrity、VV compound、Directional resultative、 Separable verb

The Classification and Integrity of

Chinese Resultative Verb Compounds

1 1. はじめに

中国語結果複合動詞研究の中心的な関心は、“追累”(追う-疲れる)に代表される後項動 詞が(結果)状態を表すタイプの結果複合動詞に寄せられてきた(e.g. Li 1990, 1993, 1995, 1999, Ross 1990, Gu 1992, Cheng and Huang 1994, Zou 1994, Her 2007, Yu 2012, 于 2012, 2015)。 一方で、これ以外にも、“看到”(見る-着く)などや“走来”(歩く-来る)などの“追累” (追う-疲れる)とは異なるタイプが存在することも知られている。Lu (1977), Li and Thompson (1981), 刘(他)(1983)や Packard (2000)などで、結果複合動詞の体系的な分類が なされているが、これらは、結局意味・用法を中心に記述したものである。これに対して、 本論文では、結果複合動詞の形態的な側面に焦点を当て、結果複合動詞の前項動詞と後項 動詞の結合度を検証することを目的とする。考察の結果、結果複合動詞は、タイプによっ て結合度が異なることを示す。 このことを検証するために、本論文は以下のように議論を進める。まず、2節でこれま で結果複合動詞がどのように分類されてきたのかを概観する。続く3節では、前項動詞に “了”や目的語が後続できるかどうか、前項動詞が他の要素と交替できるかどうかという 事実から、結果複合動詞の結合度を検証する。4節はまとめと展望である。 2. 結果複合動詞とその分類

Li and Thompson (1981)で議論されているように、結果複合動詞(Resultative Verb Compound)は、(1)のように規定できる。結果複合動詞は、大雑把に言うと、行為などを表 す前項動詞と、前項動詞が表す行為などから得られる結果を表す後項動詞から形成される1。 (2)がその代表的な例である。

(1) A two-element verb compound is called a resultative verb compound if the second element signals some result of the action or process conveyed by the first element. There are several different kinds of results that can be expressed by an RVC.

(Li and Thompson 1981: 54-55) (2) 张三 喝醉 了。 張三 飲む-酔っ払う ASP ‘張三が飲んでその結果酔っ払った。’ (2)に示すように、前項動詞の“喝”(飲む)は行為、後項動詞の“醉”(酔っ払う)は飲ん だ結果の状態を表している。(2)の結果は、酔っ払っていない状態から酔っ払った状態に変 化したという結果状態を表すが、(1)の定義からも推察できるように、後項動詞が表すこと のできる結果はこれに限らない。詳しい説明はすぐ後にするとして、まず結果複合動詞が 1 本論文は結果複合動詞の後項が動詞であるか形容詞であるかという論争には立ち入らな い。

(2)

36 于   一 楽 2 どのように分類されてきたのかを見ていく。代表的な分類には、Lu (1997), Li and Thompson (1981), 刘(他)1983, そして Packard (2000)があり、(3)は結果複合動詞がそれぞれにおい てどのように分類されてきたかをまとめたものである。 (3) Lu (1997) Li and Thompson (1981) 刘(他) (1983) Packard (2000) ① Result Cause A 類 Stative resultative Achievement Achievement B 類 Attainment resultative ③ Completion Phase B 類 Attainment resultative ④ Direction Direction 方向補語 Directional resultative

(3)は、結果複合動詞がいくつかの種類に分類されてきたことを示している。それぞれ、研 究者によって異なる用語が使われてはいるものの、指し示す具体例は共通しているものが 多い。たとえば、(1)のような“喝醉”(飲む-酔っ払う)は、Lu (1997)では Result、Li and Thompson (1981)では Cause、刘(他)(1983)では A 類、そして Packard (2000)では Stative resultative と呼ばれている。他も同様である。紙幅の関係でそれぞれの分類に関する具体的 な議論は割愛し、ここでは、Packard (2000)の用語を借用して、議論を進めていくこととす る。

Packard (2000)では、結果複合動詞を三分類する。Stative resultative は、(4)のような後項動 詞が(結果)状態を表すもので、“追累”(追う-疲れる)などがこれに相当する。Attainment resultative は、(5)に挙げられるようなものがあり、その後項動詞は、前項動詞の表す行為の 到達や程度などを説明する。また、後項動詞には語彙的意味の変化が見られ、本来の意味 から漂白化(bleaching)しているものも多い2。たとえば、(5c)の“住”は、本来は住むという 意味を表すが、ここでは人または物事の位置を固定させることを表す。したがって、(5c) の“站住”(立つ-保つ)は立ち止まるという意味を表す。同様に、(5d)の“到”は、本来は 着くという意味を表すが、ここでは動作が目的に到達することを表す。そのため、“买到” (買う-着く)は買い当てるというような意味になるのである(なお、(5a-e)の補語の規定 はLi and Thompson (1981)による)。 (4) Stative resultative 追累(追う-疲れる=追い疲れる)、打破(打つ-破れる=破る)、 洗干净(洗う-きれいになる=洗ってきれいになる)、など 2 Attainment resultative は、はっきりと定義づけすることが難しいタイプで、具体例ととも

に、Lu (1997), Li and Thompson (1981), 刘(他)(1983), Packard (2000)などの議論を参照され たい。

3 (5) Attainment resultative

a. –wán(完) ‘finish’, which indicates the completion of an action

唱完 (歌う-終わる=歌い終わる)、读完 (読む-終わる=読み終わる)、 吃完(食べる-終わる=食べ終わる)、など

b.–zháo(着) ‘be on target’

猜着 (推測する-的を得る=推測し当てる),说着(言う-的を得る=言い当てる) c. –zhù(住) ‘hold on’

站住 (立つ-保つ=立ち止まる)、抓住(つかむ-保つ=つかみ止まる)、 停住(停止する-保つ=停止し止まる)、など

d. –dào(到) ‘arrive’ (reach, suceed)

看到(見る-着く=見える)、买到(買う-着く=買い当てる)、など e. –hǎo(好)‘good’ (completing the task signaled by the first verb) 写好(書く-良い=書き終わる)、做好(する-良い=し終わる)、など

(4)と(5)以外に後項動詞が方向を表す Directional resultative がある。具体的には、Li and Th ompson (1981:58-62)で(6)に示すような方向を表す結果述語が挙げられる3 (6) Directional resultative 上 ‘ascend-u p’ 下 ‘descend-d own’ 进 ‘enter -in’ 出 ‘exit-out’ 起 ‘rise-up’ 回 ‘return-b ack’ 过 ‘cro ss-ov er’ 开 ‘open-a part,awa y’ 来 ‘toward the speaker’ 上来 下来 进来 出来 起来 回来 过来 开来 去 ‘away from the speaker’ 上去 下去 进去 出去 × 回去 过去 ×

Directional resultative は3つのタイプに下位分類することができる。一つ目は、(7a)の後項 動詞が表す方向が、“来”(来る)と“去”(行く)に当たるもので、二つ目は、(7b)の“上” (上)、“下”(下)、“进”(入る)、“出”(出る)、“起”(起きる)、“回”(帰る)、“过”(渡 る)、“开”(開く)に当たるものである。そして、三つ目は、(7c)の一つ目と二つ目を組み 3 方向を表す結果述語はどの移動・様態動詞とでも共起できるが、移動・様態動詞は、方 向を表す結果述語だけでなく、“累”(疲れる)と組み合わせて、“走累”(歩く-疲れる)(Stative resultative)などの他のタイプの結果複合動詞を作ることができることにも留意されたい。 1 1. はじめに 中国語結果複合動詞研究の中心的な関心は、“追累”(追う-疲れる)に代表される後項動 詞が(結果)状態を表すタイプの結果複合動詞に寄せられてきた(e.g. Li 1990, 1993, 1995, 1999, Ross 1990, Gu 1992, Cheng and Huang 1994, Zou 1994, Her 2007, Yu 2012, 于 2012, 2015)。 一方で、これ以外にも、“看到”(見る-着く)などや“走来”(歩く-来る)などの“追累” (追う-疲れる)とは異なるタイプが存在することも知られている。Lu (1977), Li and Thompson (1981), 刘(他)(1983)や Packard (2000)などで、結果複合動詞の体系的な分類が なされているが、これらは、結局意味・用法を中心に記述したものである。これに対して、 本論文では、結果複合動詞の形態的な側面に焦点を当て、結果複合動詞の前項動詞と後項 動詞の結合度を検証することを目的とする。考察の結果、結果複合動詞は、タイプによっ て結合度が異なることを示す。 このことを検証するために、本論文は以下のように議論を進める。まず、2節でこれま で結果複合動詞がどのように分類されてきたのかを概観する。続く3節では、前項動詞に “了”や目的語が後続できるかどうか、前項動詞が他の要素と交替できるかどうかという 事実から、結果複合動詞の結合度を検証する。4節はまとめと展望である。 2. 結果複合動詞とその分類

Li and Thompson (1981)で議論されているように、結果複合動詞(Resultative Verb Compound)は、(1)のように規定できる。結果複合動詞は、大雑把に言うと、行為などを表 す前項動詞と、前項動詞が表す行為などから得られる結果を表す後項動詞から形成される1。 (2)がその代表的な例である。

(1) A two-element verb compound is called a resultative verb compound if the second element signals some result of the action or process conveyed by the first element. There are several different kinds of results that can be expressed by an RVC.

(Li and Thompson 1981: 54-55) (2) 张三 喝醉 了。 張三 飲む-酔っ払う ASP ‘張三が飲んでその結果酔っ払った。’ (2)に示すように、前項動詞の“喝”(飲む)は行為、後項動詞の“醉”(酔っ払う)は飲ん だ結果の状態を表している。(2)の結果は、酔っ払っていない状態から酔っ払った状態に変 化したという結果状態を表すが、(1)の定義からも推察できるように、後項動詞が表すこと のできる結果はこれに限らない。詳しい説明はすぐ後にするとして、まず結果複合動詞が 1 本論文は結果複合動詞の後項が動詞であるか形容詞であるかという論争には立ち入らな い。

合わせたものとなる4。便宜上、これ以降(7a)のタイプを Directional resultativeⅠ、(7b)を Di rectional resultativeⅡ、(7c)を Directional resultativeⅢと呼ぶ。

(7) a. Directional resultativeⅠ 走来 (歩く-来る), 跑去 (走る-行く) b. Directional resultativeⅡ 戴上 (被る-上), 走进(歩く-入る) c. Directional resultativeⅢ 爬出来 (這う-出る-来る), 跑进去 (走る-入る-行く) 以上の事実は、(8)のような表にまとめることができる。 (8) Stative Resultative Attainment Resultative Directional ResultativeⅠ Directional ResultativeⅡ Directional ResultativeⅢ 追累 (chase-tired) 抓住 (grab-hold.on) 走去 (walk-go) 戴上 (wear-ascend.up) 走出来 (walk-exit-come) Directional resultativeⅠ,Ⅱ,Ⅲのうち、Directional resultativeⅡの方向を表す結果述語は、前 項動詞かDirectional resultativeⅢに分類される結果述語のいずれかと結合していなければな らないという特徴がある。Directional resultativeⅡの結果述語は動詞と連結しなければなら ないのである。(10b)から分かるように、“出”(出る)を動詞の“拿”(持つ)と切り離す ことはできない。 (9) Directional resultativeⅠ a. 拿 来 一只鸡。 持つ来る一匹の鶏 ‘一匹の鶏を持って来る’ 4 なお、(6)の表にある通り、すべての組み合わせが可能なわけではない。また、“开”(開

く)と組み合わさる結果複合動詞をPackard (2000)では、Attainment resultative として扱って いるが、Li and Thompson (1981)や刘(他)(1983)では、Directional resultative として扱ってい る。刘(他)(1983)は、“开”(開く)を「遠ざかる」、「離れる」ことを表し、ある場所や 物と距離が開くことを表すのに重点があると定義する。一方で、“开”(開く)は開いてい ない状態から開いた状態になるという意味を表すとも考えられ、そうすると、Stative resultative としても成り立つと考えられる。むしろ、そのほうが自然と思われるが、“开” (開く)をどのタイプに分類するかは、別稿に譲る。

(3)

37 中国語結果複合動詞の分類と結合度 2 どのように分類されてきたのかを見ていく。代表的な分類には、Lu (1997), Li and Thompson (1981), 刘(他)1983, そして Packard (2000)があり、(3)は結果複合動詞がそれぞれにおい てどのように分類されてきたかをまとめたものである。 (3) Lu (1997) Li and Thompson (1981) 刘(他) (1983) Packard (2000) ① Result Cause A 類 Stative resultative Achievement Achievement B 類 Attainment resultative ③ Completion Phase B 類 Attainment resultative ④ Direction Direction 方向補語 Directional resultative

(3)は、結果複合動詞がいくつかの種類に分類されてきたことを示している。それぞれ、研 究者によって異なる用語が使われてはいるものの、指し示す具体例は共通しているものが 多い。たとえば、(1)のような“喝醉”(飲む-酔っ払う)は、Lu (1997)では Result、Li and Thompson (1981)では Cause、刘(他)(1983)では A 類、そして Packard (2000)では Stative resultative と呼ばれている。他も同様である。紙幅の関係でそれぞれの分類に関する具体的 な議論は割愛し、ここでは、Packard (2000)の用語を借用して、議論を進めていくこととす る。

Packard (2000)では、結果複合動詞を三分類する。Stative resultative は、(4)のような後項動 詞が(結果)状態を表すもので、“追累”(追う-疲れる)などがこれに相当する。Attainment resultative は、(5)に挙げられるようなものがあり、その後項動詞は、前項動詞の表す行為の 到達や程度などを説明する。また、後項動詞には語彙的意味の変化が見られ、本来の意味 から漂白化(bleaching)しているものも多い2。たとえば、(5c)の“住”は、本来は住むという 意味を表すが、ここでは人または物事の位置を固定させることを表す。したがって、(5c) の“站住”(立つ-保つ)は立ち止まるという意味を表す。同様に、(5d)の“到”は、本来は 着くという意味を表すが、ここでは動作が目的に到達することを表す。そのため、“买到” (買う-着く)は買い当てるというような意味になるのである(なお、(5a-e)の補語の規定 はLi and Thompson (1981)による)。 (4) Stative resultative 追累(追う-疲れる=追い疲れる)、打破(打つ-破れる=破る)、 洗干净(洗う-きれいになる=洗ってきれいになる)、など 2 Attainment resultative は、はっきりと定義づけすることが難しいタイプで、具体例ととも

に、Lu (1997), Li and Thompson (1981), 刘(他)(1983), Packard (2000)などの議論を参照され たい。

3 (5) Attainment resultative

a. –wán(完) ‘finish’, which indicates the completion of an action

唱完 (歌う-終わる=歌い終わる)、读完 (読む-終わる=読み終わる)、 吃完(食べる-終わる=食べ終わる)、など

b.–zháo(着) ‘be on target’

猜着 (推測する-的を得る=推測し当てる),说着(言う-的を得る=言い当てる) c. –zhù(住) ‘hold on’

站住 (立つ-保つ=立ち止まる)、抓住(つかむ-保つ=つかみ止まる)、 停住(停止する-保つ=停止し止まる)、など

d. –dào(到) ‘arrive’ (reach, suceed)

看到(見る-着く=見える)、买到(買う-着く=買い当てる)、など e. –hǎo(好)‘good’ (completing the task signaled by the first verb) 写好(書く-良い=書き終わる)、做好(する-良い=し終わる)、など

(4)と(5)以外に後項動詞が方向を表す Directional resultative がある。具体的には、Li and Th ompson (1981:58-62)で(6)に示すような方向を表す結果述語が挙げられる3 (6) Directional resultative 上 ‘ascend-u p’ 下 ‘descend-d own’ 进 ‘enter -in’ 出 ‘exit-out’ 起 ‘rise-up’ 回 ‘return-b ack’ 过 ‘cro ss-ov er’ 开 ‘open-a part,awa y’ 来 ‘toward the speaker’ 上来 下来 进来 出来 起来 回来 过来 开来 去 ‘away from the speaker’ 上去 下去 进去 出去 × 回去 过去 ×

Directional resultative は3つのタイプに下位分類することができる。一つ目は、(7a)の後項 動詞が表す方向が、“来”(来る)と“去”(行く)に当たるもので、二つ目は、(7b)の“上” (上)、“下”(下)、“进”(入る)、“出”(出る)、“起”(起きる)、“回”(帰る)、“过”(渡 る)、“开”(開く)に当たるものである。そして、三つ目は、(7c)の一つ目と二つ目を組み 3 方向を表す結果述語はどの移動・様態動詞とでも共起できるが、移動・様態動詞は、方 向を表す結果述語だけでなく、“累”(疲れる)と組み合わせて、“走累”(歩く-疲れる)(Stative resultative)などの他のタイプの結果複合動詞を作ることができることにも留意されたい。 1 1. はじめに 中国語結果複合動詞研究の中心的な関心は、“追累”(追う-疲れる)に代表される後項動 詞が(結果)状態を表すタイプの結果複合動詞に寄せられてきた(e.g. Li 1990, 1993, 1995, 1999, Ross 1990, Gu 1992, Cheng and Huang 1994, Zou 1994, Her 2007, Yu 2012, 于 2012, 2015)。 一方で、これ以外にも、“看到”(見る-着く)などや“走来”(歩く-来る)などの“追累” (追う-疲れる)とは異なるタイプが存在することも知られている。Lu (1977), Li and Thompson (1981), 刘(他)(1983)や Packard (2000)などで、結果複合動詞の体系的な分類が なされているが、これらは、結局意味・用法を中心に記述したものである。これに対して、 本論文では、結果複合動詞の形態的な側面に焦点を当て、結果複合動詞の前項動詞と後項 動詞の結合度を検証することを目的とする。考察の結果、結果複合動詞は、タイプによっ て結合度が異なることを示す。 このことを検証するために、本論文は以下のように議論を進める。まず、2節でこれま で結果複合動詞がどのように分類されてきたのかを概観する。続く3節では、前項動詞に “了”や目的語が後続できるかどうか、前項動詞が他の要素と交替できるかどうかという 事実から、結果複合動詞の結合度を検証する。4節はまとめと展望である。 2. 結果複合動詞とその分類

Li and Thompson (1981)で議論されているように、結果複合動詞(Resultative Verb Compound)は、(1)のように規定できる。結果複合動詞は、大雑把に言うと、行為などを表 す前項動詞と、前項動詞が表す行為などから得られる結果を表す後項動詞から形成される1。 (2)がその代表的な例である。

(1) A two-element verb compound is called a resultative verb compound if the second element signals some result of the action or process conveyed by the first element. There are several different kinds of results that can be expressed by an RVC.

(Li and Thompson 1981: 54-55) (2) 张三 喝醉 了。 張三 飲む-酔っ払う ASP ‘張三が飲んでその結果酔っ払った。’ (2)に示すように、前項動詞の“喝”(飲む)は行為、後項動詞の“醉”(酔っ払う)は飲ん だ結果の状態を表している。(2)の結果は、酔っ払っていない状態から酔っ払った状態に変 化したという結果状態を表すが、(1)の定義からも推察できるように、後項動詞が表すこと のできる結果はこれに限らない。詳しい説明はすぐ後にするとして、まず結果複合動詞が 1 本論文は結果複合動詞の後項が動詞であるか形容詞であるかという論争には立ち入らな い。

合わせたものとなる4。便宜上、これ以降(7a)のタイプを Directional resultativeⅠ、(7b)を Di rectional resultativeⅡ、(7c)を Directional resultativeⅢと呼ぶ。

(7) a. Directional resultativeⅠ 走来 (歩く-来る), 跑去 (走る-行く) b. Directional resultativeⅡ 戴上 (被る-上), 走进(歩く-入る) c. Directional resultativeⅢ 爬出来 (這う-出る-来る), 跑进去 (走る-入る-行く) 以上の事実は、(8)のような表にまとめることができる。 (8) Stative Resultative Attainment Resultative Directional ResultativeⅠ Directional ResultativeⅡ Directional ResultativeⅢ 追累 (chase-tired) 抓住 (grab-hold.on) 走去 (walk-go) 戴上 (wear-ascend.up) 走出来 (walk-exit-come) Directional resultativeⅠ,Ⅱ,Ⅲのうち、Directional resultativeⅡの方向を表す結果述語は、前 項動詞かDirectional resultativeⅢに分類される結果述語のいずれかと結合していなければな らないという特徴がある。Directional resultativeⅡの結果述語は動詞と連結しなければなら ないのである。(10b)から分かるように、“出”(出る)を動詞の“拿”(持つ)と切り離す ことはできない。 (9) Directional resultativeⅠ a. 拿 来 一只鸡。 持つ来る一匹の鶏 ‘一匹の鶏を持って来る’ 4 なお、(6)の表にある通り、すべての組み合わせが可能なわけではない。また、“开”(開

く)と組み合わさる結果複合動詞をPackard (2000)では、Attainment resultative として扱って いるが、Li and Thompson (1981)や刘(他)(1983)では、Directional resultative として扱ってい る。刘(他)(1983)は、“开”(開く)を「遠ざかる」、「離れる」ことを表し、ある場所や 物と距離が開くことを表すのに重点があると定義する。一方で、“开”(開く)は開いてい ない状態から開いた状態になるという意味を表すとも考えられ、そうすると、Stative resultative としても成り立つと考えられる。むしろ、そのほうが自然と思われるが、“开” (開く)をどのタイプに分類するかは、別稿に譲る。

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38 于   一 楽 b. 拿 一只鸡 来。 持つ一匹の鶏 来る ‘一匹の鶏を持って来る’ (10) Directional resultativeⅡ a. 拿 出 一只鸡。 持つ出る一匹の鶏 ‘一匹の鶏を持ち出す’ b. *拿 一只鸡 出。 持つ一匹の鶏 出る ‘一匹の鶏を持ち出す’ (11) Directional resultativeⅢ a. 拿 出来 一只鸡。 持つ出る来る 一匹の鶏 ‘一匹の鶏を持ち出して来る’ b. 拿 一只鸡 出来。 持つ一匹の鶏 出る来る ‘一匹の鶏を持ち出して来る’ (9-11)から分かるように、結果複合動詞には、前項動詞と後項動詞の結合度に違いがあると 推察することができる。3節では、この違いをさまざまな事実から検証し、結果複合動詞 の緊密性を解き明かしていく。 3. 意味的・形態的特徴 結果複合動詞の形態的特徴を見る前に、まず(8)のすべてのタイプが完結性のある事象で あることを見ておく。結果複合動詞の前項動詞の多くは、行為連鎖でいうところの行為を 表す。したがって、(12a, 13a, 14a, 15a, 16a)のように、“一个小时”(一時間)という非完結 を表すfor~時間句と共起する。ところが、結果複合動詞を形成すると、“一个小时”(一時 間)では修飾できず(12b, 13b, 14b, 15b, 16b)、完結性を示す“花了一个小时”(一時間で)の ようなin~時間句と共起するようになる(12c, 13c, 14c, 15c, 16c)。(12~16)の例は、このことが (8)のどのタイプにおいても成立することを表している。 (12) Stative Resultative a. 张三 洗 了 一个小时 衣服。 張三 洗う ASP 一時間 服 ‘張三は一時間服を洗った。’ b. *张三 洗干净 了 一个小时 衣服。 張三 洗う-きれい ASP 一時間 服 5 b. 拿 一只鸡 来。 持つ一匹の鶏 来る ‘一匹の鶏を持って来る’ (10) Directional resultativeⅡ a. 拿 出 一只鸡。 持つ出る一匹の鶏 ‘一匹の鶏を持ち出す’ b. *拿 一只鸡 出。 持つ一匹の鶏 出る ‘一匹の鶏を持ち出す’ (11) Directional resultativeⅢ a. 拿 出来 一只鸡。 持つ出る来る 一匹の鶏 ‘一匹の鶏を持ち出して来る’ b. 拿 一只鸡 出来。 持つ一匹の鶏 出る来る ‘一匹の鶏を持ち出して来る’ (9-11)から分かるように、結果複合動詞には、前項動詞と後項動詞の結合度に違いがあると 推察することができる。3節では、この違いをさまざまな事実から検証し、結果複合動詞 の緊密性を解き明かしていく。 3. 意味的・形態的特徴 結果複合動詞の形態的特徴を見る前に、まず(8)のすべてのタイプが完結性のある事象で あることを見ておく。結果複合動詞の前項動詞の多くは、行為連鎖でいうところの行為を 表す。したがって、(12a, 13a, 14a, 15a, 16a)のように、“一个小时”(一時間)という非完結 を表すfor~時間句と共起する。ところが、結果複合動詞を形成すると、“一个小时”(一時 間)では修飾できず(12b, 13b, 14b, 15b, 16b)、完結性を示す“花了一个小时”(一時間で)の ようなin~時間句と共起するようになる(12c, 13c, 14c, 15c, 16c)。(12~16)の例は、このことが (8)のどのタイプにおいても成立することを表している。 (12) Stative Resultative a. 张三 洗 了 一个小时 衣服。 張三 洗う ASP 一時間 服 ‘張三は一時間服を洗った。’ b. *张三 洗干净 了 一个小时 衣服。 張三 洗う-きれい ASP 一時間 服 4

合わせたものとなる4。便宜上、これ以降(7a)のタイプを Directional resultativeⅠ、(7b)を Di rectional resultativeⅡ、(7c)を Directional resultativeⅢと呼ぶ。

(7) a. Directional resultativeⅠ 走来 (歩く-来る), 跑去 (走る-行く) b. Directional resultativeⅡ 戴上 (被る-上), 走进(歩く-入る) c. Directional resultativeⅢ 爬出来 (這う-出る-来る), 跑进去 (走る-入る-行く) 以上の事実は、(8)のような表にまとめることができる。 (8) Stative

Resultative Attainment Resultative Directional ResultativeⅠ Directional ResultativeⅡ Directional ResultativeⅢ 追累 (chase-tired) 抓住 (grab-hold.on) 走去 (walk-go) 戴上 (wear-ascend.up) 走出来 (walk-exit-come) Directional resultativeⅠ,Ⅱ,Ⅲのうち、Directional resultativeⅡの方向を表す結果述語は、前 項動詞かDirectional resultativeⅢに分類される結果述語のいずれかと結合していなければな らないという特徴がある。Directional resultativeⅡの結果述語は動詞と連結しなければなら ないのである。(10b)から分かるように、“出”(出る)を動詞の“拿”(持つ)と切り離す ことはできない。 (9) Directional resultativeⅠ a. 拿 来 一只鸡。 持つ来る一匹の鶏 ‘一匹の鶏を持って来る’ 4 なお、(6)の表にある通り、すべての組み合わせが可能なわけではない。また、“开”(開

く)と組み合わさる結果複合動詞をPackard (2000)では、Attainment resultative として扱って いるが、Li and Thompson (1981)や刘(他)(1983)では、Directional resultative として扱ってい る。刘(他)(1983)は、“开”(開く)を「遠ざかる」、「離れる」ことを表し、ある場所や 物と距離が開くことを表すのに重点があると定義する。一方で、“开”(開く)は開いてい ない状態から開いた状態になるという意味を表すとも考えられ、そうすると、Stative resultative としても成り立つと考えられる。むしろ、そのほうが自然と思われるが、“开” (開く)をどのタイプに分類するかは、別稿に譲る。 6 Lit.‘張三は一時間服をきれいに洗った。’ c. 张三 花了一个小时 洗干净 了 衣服。 張三 一時間で 洗う-きれい ASP 服 ‘張三は一時間で服をきれいに洗った。’ (13) Attainment Resultative a. 张三 买 了 一个小时 衣服。 張三 買う ASP 一時間 服 ‘張三は一時間買い物をした。’ b. *张三 买到 了 一个小时 衣服。 張三 買う-着く ASP 一時間 服 Lit.‘張三は一時間服を買い当てた。’ c. 张三 花了一个小时 买到 了 衣服。 張三 一時間で 買う-着く ASP 服 ‘張三は一時間で服を買い当てた。’ (14) Directional ResultativeⅠ a. 张三 跑 了 一个小时。 張三 走る ASP 一時間 ‘張三は一時間走った。’ b. *张三 跑来 了 一个小时。 張三 走る-来る ASP 一時間 Lit.‘張三は一時間走って来た。’ c. 张三 花了一个小时 跑来 了。 張三 一時間で 走る-来る ASP ‘張三は一時間で走って来た。’ (15) Directional ResultativeⅡ a. 张三 走 了 一个小时。 張三 歩く ASP 一時間 ‘張三は一時間歩いた。’ b. *张三 走回 家 了 一个小时。 張三 歩く-帰る 家 ASP 一時間 Lit.‘張三は家に一時間歩いて帰った。’ c. 张三 花了一个小时 走回 家 了。 張三 一時間で 歩く-帰る 家 ASP ‘張三は一時間で家に歩いて帰った。’ (16) Directional ResultativeⅢ a. 张三 走 了 一个小时。 張三 歩く ASP 一時間

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39 中国語結果複合動詞の分類と結合度 b. 拿 一只鸡 来。 持つ一匹の鶏 来る ‘一匹の鶏を持って来る’ (10) Directional resultativeⅡ a. 拿 出 一只鸡。 持つ出る一匹の鶏 ‘一匹の鶏を持ち出す’ b. *拿 一只鸡 出。 持つ一匹の鶏 出る ‘一匹の鶏を持ち出す’ (11) Directional resultativeⅢ a. 拿 出来 一只鸡。 持つ出る来る 一匹の鶏 ‘一匹の鶏を持ち出して来る’ b. 拿 一只鸡 出来。 持つ一匹の鶏 出る来る ‘一匹の鶏を持ち出して来る’ (9-11)から分かるように、結果複合動詞には、前項動詞と後項動詞の結合度に違いがあると 推察することができる。3節では、この違いをさまざまな事実から検証し、結果複合動詞 の緊密性を解き明かしていく。 3. 意味的・形態的特徴 結果複合動詞の形態的特徴を見る前に、まず(8)のすべてのタイプが完結性のある事象で あることを見ておく。結果複合動詞の前項動詞の多くは、行為連鎖でいうところの行為を 表す。したがって、(12a, 13a, 14a, 15a, 16a)のように、“一个小时”(一時間)という非完結 を表すfor~時間句と共起する。ところが、結果複合動詞を形成すると、“一个小时”(一時 間)では修飾できず(12b, 13b, 14b, 15b, 16b)、完結性を示す“花了一个小时”(一時間で)の ようなin~時間句と共起するようになる(12c, 13c, 14c, 15c, 16c)。(12~16)の例は、このことが (8)のどのタイプにおいても成立することを表している。 (12) Stative Resultative a. 张三 洗 了 一个小时 衣服。 張三 洗う ASP 一時間 服 ‘張三は一時間服を洗った。’ b. *张三 洗干净 了 一个小时 衣服。 張三 洗う-きれい ASP 一時間 服 5 b. 拿 一只鸡 来。 持つ一匹の鶏 来る ‘一匹の鶏を持って来る’ (10) Directional resultativeⅡ a. 拿 出 一只鸡。 持つ出る一匹の鶏 ‘一匹の鶏を持ち出す’ b. *拿 一只鸡 出。 持つ一匹の鶏 出る ‘一匹の鶏を持ち出す’ (11) Directional resultativeⅢ a. 拿 出来 一只鸡。 持つ出る来る 一匹の鶏 ‘一匹の鶏を持ち出して来る’ b. 拿 一只鸡 出来。 持つ一匹の鶏 出る来る ‘一匹の鶏を持ち出して来る’ (9-11)から分かるように、結果複合動詞には、前項動詞と後項動詞の結合度に違いがあると 推察することができる。3節では、この違いをさまざまな事実から検証し、結果複合動詞 の緊密性を解き明かしていく。 3. 意味的・形態的特徴 結果複合動詞の形態的特徴を見る前に、まず(8)のすべてのタイプが完結性のある事象で あることを見ておく。結果複合動詞の前項動詞の多くは、行為連鎖でいうところの行為を 表す。したがって、(12a, 13a, 14a, 15a, 16a)のように、“一个小时”(一時間)という非完結 を表すfor~時間句と共起する。ところが、結果複合動詞を形成すると、“一个小时”(一時 間)では修飾できず(12b, 13b, 14b, 15b, 16b)、完結性を示す“花了一个小时”(一時間で)の ようなin~時間句と共起するようになる(12c, 13c, 14c, 15c, 16c)。(12~16)の例は、このことが (8)のどのタイプにおいても成立することを表している。 (12) Stative Resultative a. 张三 洗 了 一个小时 衣服。 張三 洗う ASP 一時間 服 ‘張三は一時間服を洗った。’ b. *张三 洗干净 了 一个小时 衣服。 張三 洗う-きれい ASP 一時間 服 4

合わせたものとなる4。便宜上、これ以降(7a)のタイプを Directional resultativeⅠ、(7b)を Di rectional resultativeⅡ、(7c)を Directional resultativeⅢと呼ぶ。

(7) a. Directional resultativeⅠ 走来 (歩く-来る), 跑去 (走る-行く) b. Directional resultativeⅡ 戴上 (被る-上), 走进(歩く-入る) c. Directional resultativeⅢ 爬出来 (這う-出る-来る), 跑进去 (走る-入る-行く) 以上の事実は、(8)のような表にまとめることができる。 (8) Stative

Resultative Attainment Resultative Directional ResultativeⅠ Directional ResultativeⅡ Directional ResultativeⅢ 追累 (chase-tired) 抓住 (grab-hold.on) 走去 (walk-go) 戴上 (wear-ascend.up) 走出来 (walk-exit-come) Directional resultativeⅠ,Ⅱ,Ⅲのうち、Directional resultativeⅡの方向を表す結果述語は、前 項動詞かDirectional resultativeⅢに分類される結果述語のいずれかと結合していなければな らないという特徴がある。Directional resultativeⅡの結果述語は動詞と連結しなければなら ないのである。(10b)から分かるように、“出”(出る)を動詞の“拿”(持つ)と切り離す ことはできない。 (9) Directional resultativeⅠ a. 拿 来 一只鸡。 持つ来る一匹の鶏 ‘一匹の鶏を持って来る’ 4 なお、(6)の表にある通り、すべての組み合わせが可能なわけではない。また、“开”(開

く)と組み合わさる結果複合動詞をPackard (2000)では、Attainment resultative として扱って いるが、Li and Thompson (1981)や刘(他)(1983)では、Directional resultative として扱ってい る。刘(他)(1983)は、“开”(開く)を「遠ざかる」、「離れる」ことを表し、ある場所や 物と距離が開くことを表すのに重点があると定義する。一方で、“开”(開く)は開いてい ない状態から開いた状態になるという意味を表すとも考えられ、そうすると、Stative resultative としても成り立つと考えられる。むしろ、そのほうが自然と思われるが、“开” (開く)をどのタイプに分類するかは、別稿に譲る。 6 Lit.‘張三は一時間服をきれいに洗った。’ c. 张三 花了一个小时 洗干净 了 衣服。 張三 一時間で 洗う-きれい ASP 服 ‘張三は一時間で服をきれいに洗った。’ (13) Attainment Resultative a. 张三 买 了 一个小时 衣服。 張三 買う ASP 一時間 服 ‘張三は一時間買い物をした。’ b. *张三 买到 了 一个小时 衣服。 張三 買う-着く ASP 一時間 服 Lit.‘張三は一時間服を買い当てた。’ c. 张三 花了一个小时 买到 了 衣服。 張三 一時間で 買う-着く ASP 服 ‘張三は一時間で服を買い当てた。’ (14) Directional ResultativeⅠ a. 张三 跑 了 一个小时。 張三 走る ASP 一時間 ‘張三は一時間走った。’ b. *张三 跑来 了 一个小时。 張三 走る-来る ASP 一時間 Lit.‘張三は一時間走って来た。’ c. 张三 花了一个小时 跑来 了。 張三 一時間で 走る-来る ASP ‘張三は一時間で走って来た。’ (15) Directional ResultativeⅡ a. 张三 走 了 一个小时。 張三 歩く ASP 一時間 ‘張三は一時間歩いた。’ b. *张三 走回 家 了 一个小时。 張三 歩く-帰る 家 ASP 一時間 Lit.‘張三は家に一時間歩いて帰った。’ c. 张三 花了一个小时 走回 家 了。 張三 一時間で 歩く-帰る 家 ASP ‘張三は一時間で家に歩いて帰った。’ (16) Directional ResultativeⅢ a. 张三 走 了 一个小时。 張三 歩く ASP 一時間

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40 于   一 楽 7 ‘張三は一時間歩いた。’ b. *张三 走进去 了 一个小时。 張三 歩く-入る-行く ASP 一時間 Lit.‘張三は一時間歩いて入って行った。’ c. 张三 花了一个小时 走进去 了。 張三 一時間で 歩く-入る-行く ASP ‘張三は一時間で歩いて入って行った’ 中国語結果複合動詞の形態的な特徴の一つに、結果複合動詞の前項動詞と後項動詞の間 に(不)可能を表す“不/得”を挿入できることが知られている(e.g. Li and Thompson 1981)5。 以下の例から分かるように、これは、(8)のすべてのタイプで可能である。 (17) a. Stative Resultative 吃得饱-吃不饱(食べていっぱいになることができる/できない) b. Attainment Resultative 买得到-买不到(買って買い当てることができる/できない) c. Directional ResultativeⅠ 走得去-走不去(歩いて行くことができる/できない) d. Directional ResultativeⅡ 戴得上-戴不上(被ることができる/できない) e. Directional ResultativeⅢ 跳得进来-跳不进来(跳んで入ってくることができる/できない) 語の間に形態素を挿入できるということは、形態的緊密性(lexical integrity)の面から見ると、 結果複合動詞はどれも一語になっていないように見える(cf. 影山 1993, Di Sciullo and Williams 1987, Lieber 1992)。しかし、これだけで結果複合動詞が一様に結合度が低いと結 論づけることはできない。李 (1983)で提唱されているように、中国語には“离合词”(離 合詞)(Separable Verbs)と呼ばれる語彙カテゴリーがある。“离合词”(離合詞)は、その名 称から示唆される通り、語と語が離れているという側面と結合しているという側面の2つ を併せ持つ。たとえば、“离合词”(離合詞)の特徴に完了を表す“了”や“两次”(二度) などの程度を表す表現の挿入ができることが挙げられる。(18)の“结婚”(結婚)や“洗澡” (お風呂に入る)がこれに相当する。 5“得/不”は正確には「できる/できない」を表すのではなく、「達成できる/達成できない」 という意味を表す(cf. Li and Thompson 1981)。例えば、‘吃得饱’は「食べて、そしていっ ぱいになるということが達成できる」というような意味を表す。 6 Lit.‘張三は一時間服をきれいに洗った。’ c. 张三 花了一个小时 洗干净 了 衣服。 張三 一時間で 洗う-きれい ASP 服 ‘張三は一時間で服をきれいに洗った。’ (13) Attainment Resultative a. 张三 买 了 一个小时 衣服。 張三 買う ASP 一時間 服 ‘張三は一時間買い物をした。’ b. *张三 买到 了 一个小时 衣服。 張三 買う-着く ASP 一時間 服 Lit.‘張三は一時間服を買い当てた。’ c. 张三 花了一个小时 买到 了 衣服。 張三 一時間で 買う-着く ASP 服 ‘張三は一時間で服を買い当てた。’ (14) Directional ResultativeⅠ a. 张三 跑 了 一个小时。 張三 走る ASP 一時間 ‘張三は一時間走った。’ b. *张三 跑来 了 一个小时。 張三 走る-来る ASP 一時間 Lit.‘張三は一時間走って来た。’ c. 张三 花了一个小时 跑来 了。 張三 一時間で 走る-来る ASP ‘張三は一時間で走って来た。’ (15) Directional ResultativeⅡ a. 张三 走 了 一个小时。 張三 歩く ASP 一時間 ‘張三は一時間歩いた。’ b. *张三 走回 家 了 一个小时。 張三 歩く-帰る 家 ASP 一時間 Lit.‘張三は家に一時間歩いて帰った。’ c. 张三 花了一个小时 走回 家 了。 張三 一時間で 歩く-帰る 家 ASP ‘張三は一時間で家に歩いて帰った。’ (16) Directional ResultativeⅢ a. 张三 走 了 一个小时。 張三 歩く ASP 一時間 7 ‘張三は一時間歩いた。’ b. *张三 走进去 了 一个小时。 張三 歩く-入る-行く ASP 一時間 Lit.‘張三は一時間歩いて入って行った。’ c. 张三 花了一个小时 走进去 了。 張三 一時間で 歩く-入る-行く ASP ‘張三は一時間で歩いて入って行った’ 中国語結果複合動詞の形態的な特徴の一つに、結果複合動詞の前項動詞と後項動詞の間 に(不)可能を表す“不/得”を挿入できることが知られている(e.g. Li and Thompson 1981)5。 以下の例から分かるように、これは、(8)のすべてのタイプで可能である。 (17) a. Stative Resultative 吃得饱-吃不饱(食べていっぱいになることができる/できない) b. Attainment Resultative 买得到-买不到(買って買い当てることができる/できない) c. Directional ResultativeⅠ 走得去-走不去(歩いて行くことができる/できない) d. Directional ResultativeⅡ 戴得上-戴不上(被ることができる/できない) e. Directional ResultativeⅢ 跳得进来-跳不进来(跳んで入ってくることができる/できない) 語の間に形態素を挿入できるということは、形態的緊密性(lexical integrity)の面から見ると、 結果複合動詞はどれも一語になっていないように見える(cf. 影山 1993, Di Sciullo and Williams 1987, Lieber 1992)。しかし、これだけで結果複合動詞が一様に結合度が低いと結 論づけることはできない。李 (1983)で提唱されているように、中国語には“离合词”(離 合詞)(Separable Verbs)と呼ばれる語彙カテゴリーがある。“离合词”(離合詞)は、その名 称から示唆される通り、語と語が離れているという側面と結合しているという側面の2つ を併せ持つ。たとえば、“离合词”(離合詞)の特徴に完了を表す“了”や“两次”(二度) などの程度を表す表現の挿入ができることが挙げられる。(18)の“结婚”(結婚)や“洗澡” (お風呂に入る)がこれに相当する。 5“得/不”は正確には「できる/できない」を表すのではなく、「達成できる/達成できない」 という意味を表す(cf. Li and Thompson 1981)。例えば、‘吃得饱’は「食べて、そしていっ ぱいになるということが達成できる」というような意味を表す。 8 (18) a. 结婚-结了婚-结了两次婚 b. 洗澡-洗了澡-洗了两次澡 (8)の結果複合動詞も“不/得”を挿入することができるため、これらも “离合词”(離合 詞)と見なすことができ、その場合、結果複合動詞の結合度は一様に同じだと判断される ことになる。これは違う。たしかに、李 (1983)は“打到”(殴る-倒れる)などを“打{得/}到”と言えることから“离合词”(離合詞)に分類しているが、実際には、Chao (1968) で示されている通り、“不/得”を挿入できない例が多くある。 (19) a. *改得良-改不良(意図する読み:改良することができる/できない) b. *克得服-克不服(意図する読み:克服することができる/できない) c. *革得新-革不新(意図する読み:革新することができる/できない) 以下では、(8)の結果複合動詞の結合度が一様ではなく、そのタイプによって、結合度が 異なることを示していく。まず、前項動詞の直後に完了の意味を表す“了”が挿入できる かどうかを見ていくと、Stative resultative, Attainment resultative, Directional resultativeⅡは挿入 できないことが分かる。(20a)の“吃饱”(食べる-いっぱいになる)、(20b)の“买到”(買う -着く)、(20d)の“戴上”(被る-上)がそれぞれの具体例に当たる。これに対して、Directional resultativeⅠと Directional resultativeⅢは挿入可能で、(20c)の“走去”(歩く-行く)と(20e)の “跳进来”(跳ぶ-入る-来る)がこれに当たる。 (20) a. Stative Resultative *张三 吃 了 饱 (了)。 張三 食べる ASP いっぱいになる ASP Lit.‘張三は食べていっぱいになった。’ b. Attainment Resultative *张三 买 了 到 那件衣服。 張三 買うASP 着く あの服 Lit.‘張三はあの服を買い当てた。’ c. Directional ResultativeⅠ 张三 把 我的车 借 了 去 不还 了。 張三 BA 私の車 借りる ASP 行く 返さない ASP ‘張三は私の車を借りて行って返さない。’ d. Directional ResultativeⅡ *张三 戴 了 上 帽子 張三 被る ASP 上 帽子 Lit.‘張三は帽子を被った。’

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41 中国語結果複合動詞の分類と結合度 7 ‘張三は一時間歩いた。’ b. *张三 走进去 了 一个小时。 張三 歩く-入る-行く ASP 一時間 Lit.‘張三は一時間歩いて入って行った。’ c. 张三 花了一个小时 走进去 了。 張三 一時間で 歩く-入る-行く ASP ‘張三は一時間で歩いて入って行った’ 中国語結果複合動詞の形態的な特徴の一つに、結果複合動詞の前項動詞と後項動詞の間 に(不)可能を表す“不/得”を挿入できることが知られている(e.g. Li and Thompson 1981)5。 以下の例から分かるように、これは、(8)のすべてのタイプで可能である。 (17) a. Stative Resultative 吃得饱-吃不饱(食べていっぱいになることができる/できない) b. Attainment Resultative 买得到-买不到(買って買い当てることができる/できない) c. Directional ResultativeⅠ 走得去-走不去(歩いて行くことができる/できない) d. Directional ResultativeⅡ 戴得上-戴不上(被ることができる/できない) e. Directional ResultativeⅢ 跳得进来-跳不进来(跳んで入ってくることができる/できない) 語の間に形態素を挿入できるということは、形態的緊密性(lexical integrity)の面から見ると、 結果複合動詞はどれも一語になっていないように見える(cf. 影山 1993, Di Sciullo and Williams 1987, Lieber 1992)。しかし、これだけで結果複合動詞が一様に結合度が低いと結 論づけることはできない。李 (1983)で提唱されているように、中国語には“离合词”(離 合詞)(Separable Verbs)と呼ばれる語彙カテゴリーがある。“离合词”(離合詞)は、その名 称から示唆される通り、語と語が離れているという側面と結合しているという側面の2つ を併せ持つ。たとえば、“离合词”(離合詞)の特徴に完了を表す“了”や“两次”(二度) などの程度を表す表現の挿入ができることが挙げられる。(18)の“结婚”(結婚)や“洗澡” (お風呂に入る)がこれに相当する。 5“得/不”は正確には「できる/できない」を表すのではなく、「達成できる/達成できない」 という意味を表す(cf. Li and Thompson 1981)。例えば、‘吃得饱’は「食べて、そしていっ ぱいになるということが達成できる」というような意味を表す。 6 Lit.‘張三は一時間服をきれいに洗った。’ c. 张三 花了一个小时 洗干净 了 衣服。 張三 一時間で 洗う-きれい ASP 服 ‘張三は一時間で服をきれいに洗った。’ (13) Attainment Resultative a. 张三 买 了 一个小时 衣服。 張三 買う ASP 一時間 服 ‘張三は一時間買い物をした。’ b. *张三 买到 了 一个小时 衣服。 張三 買う-着く ASP 一時間 服 Lit.‘張三は一時間服を買い当てた。’ c. 张三 花了一个小时 买到 了 衣服。 張三 一時間で 買う-着く ASP 服 ‘張三は一時間で服を買い当てた。’ (14) Directional ResultativeⅠ a. 张三 跑 了 一个小时。 張三 走る ASP 一時間 ‘張三は一時間走った。’ b. *张三 跑来 了 一个小时。 張三 走る-来る ASP 一時間 Lit.‘張三は一時間走って来た。’ c. 张三 花了一个小时 跑来 了。 張三 一時間で 走る-来る ASP ‘張三は一時間で走って来た。’ (15) Directional ResultativeⅡ a. 张三 走 了 一个小时。 張三 歩く ASP 一時間 ‘張三は一時間歩いた。’ b. *张三 走回 家 了 一个小时。 張三 歩く-帰る 家 ASP 一時間 Lit.‘張三は家に一時間歩いて帰った。’ c. 张三 花了一个小时 走回 家 了。 張三 一時間で 歩く-帰る 家 ASP ‘張三は一時間で家に歩いて帰った。’ (16) Directional ResultativeⅢ a. 张三 走 了 一个小时。 張三 歩く ASP 一時間 7 ‘張三は一時間歩いた。’ b. *张三 走进去 了 一个小时。 張三 歩く-入る-行く ASP 一時間 Lit.‘張三は一時間歩いて入って行った。’ c. 张三 花了一个小时 走进去 了。 張三 一時間で 歩く-入る-行く ASP ‘張三は一時間で歩いて入って行った’ 中国語結果複合動詞の形態的な特徴の一つに、結果複合動詞の前項動詞と後項動詞の間 に(不)可能を表す“不/得”を挿入できることが知られている(e.g. Li and Thompson 1981)5。 以下の例から分かるように、これは、(8)のすべてのタイプで可能である。 (17) a. Stative Resultative 吃得饱-吃不饱(食べていっぱいになることができる/できない) b. Attainment Resultative 买得到-买不到(買って買い当てることができる/できない) c. Directional ResultativeⅠ 走得去-走不去(歩いて行くことができる/できない) d. Directional ResultativeⅡ 戴得上-戴不上(被ることができる/できない) e. Directional ResultativeⅢ 跳得进来-跳不进来(跳んで入ってくることができる/できない) 語の間に形態素を挿入できるということは、形態的緊密性(lexical integrity)の面から見ると、 結果複合動詞はどれも一語になっていないように見える(cf. 影山 1993, Di Sciullo and Williams 1987, Lieber 1992)。しかし、これだけで結果複合動詞が一様に結合度が低いと結 論づけることはできない。李 (1983)で提唱されているように、中国語には“离合词”(離 合詞)(Separable Verbs)と呼ばれる語彙カテゴリーがある。“离合词”(離合詞)は、その名 称から示唆される通り、語と語が離れているという側面と結合しているという側面の2つ を併せ持つ。たとえば、“离合词”(離合詞)の特徴に完了を表す“了”や“两次”(二度) などの程度を表す表現の挿入ができることが挙げられる。(18)の“结婚”(結婚)や“洗澡” (お風呂に入る)がこれに相当する。 5“得/不”は正確には「できる/できない」を表すのではなく、「達成できる/達成できない」 という意味を表す(cf. Li and Thompson 1981)。例えば、‘吃得饱’は「食べて、そしていっ ぱいになるということが達成できる」というような意味を表す。 8 (18) a. 结婚-结了婚-结了两次婚 b. 洗澡-洗了澡-洗了两次澡 (8)の結果複合動詞も“不/得”を挿入することができるため、これらも “离合词”(離合 詞)と見なすことができ、その場合、結果複合動詞の結合度は一様に同じだと判断される ことになる。これは違う。たしかに、李 (1983)は“打到”(殴る-倒れる)などを“打{得/}到”と言えることから“离合词”(離合詞)に分類しているが、実際には、Chao (1968) で示されている通り、“不/得”を挿入できない例が多くある。 (19) a. *改得良-改不良(意図する読み:改良することができる/できない) b. *克得服-克不服(意図する読み:克服することができる/できない) c. *革得新-革不新(意図する読み:革新することができる/できない) 以下では、(8)の結果複合動詞の結合度が一様ではなく、そのタイプによって、結合度が 異なることを示していく。まず、前項動詞の直後に完了の意味を表す“了”が挿入できる かどうかを見ていくと、Stative resultative, Attainment resultative, Directional resultativeⅡは挿入 できないことが分かる。(20a)の“吃饱”(食べる-いっぱいになる)、(20b)の“买到”(買う -着く)、(20d)の“戴上”(被る-上)がそれぞれの具体例に当たる。これに対して、Directional resultativeⅠと Directional resultativeⅢは挿入可能で、(20c)の“走去”(歩く-行く)と(20e)の “跳进来”(跳ぶ-入る-来る)がこれに当たる。 (20) a. Stative Resultative *张三 吃 了 饱 (了)。 張三 食べる ASP いっぱいになる ASP Lit.‘張三は食べていっぱいになった。’ b. Attainment Resultative *张三 买 了 到 那件衣服。 張三 買うASP 着く あの服 Lit.‘張三はあの服を買い当てた。’ c. Directional ResultativeⅠ 张三 把 我的车 借 了 去 不还 了。 張三 BA 私の車 借りる ASP 行く 返さない ASP ‘張三は私の車を借りて行って返さない。’ d. Directional ResultativeⅡ *张三 戴 了 上 帽子 張三 被る ASP 上 帽子 Lit.‘張三は帽子を被った。’

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42 于   一 楽 9 e. Directional ResultativeⅢ 一只猫 突然 跳 了 进来。 一匹の猫 突然 跳ぶ ASP 入る-来る ‘一匹の猫が突然跳んで入って来た。’ (20)から分かることは、結果複合動詞における前項動詞と後項動詞の結合度を見ると、 Stative resultative, Attainment resultative, Directional resultativeⅡは結合度が高く、Directional resultativeⅠ, Directional resultativeⅢは低いということである。以下、これと同様の対立がさ まざまな観察において成立することを見る。

(21)から(25)に示すように、前項動詞の直後に目的語名詞を挿入できるかどうかも(20)と 同じ対立がある。Stative resultative, Attainment resultative, Directional resultativeⅡは、目的語名 詞の挿入を許さないが、Directional resultativeⅠと Directional resultativeⅢは許す。

(21) Stative Resultative a. 张三 弄坏 了 杯子。 張三 する-壊れる ASP コップ ‘張三がコップを壊した。’ b. *张三 弄 杯子 坏 了。 張三 する コップ 壊れる ASP (22) Attainment Resultative a. 张三 写好 了 论文。 張三 書く-完成する ASP 論文 ‘張三が論文を書き終えた。’ b. *张三 写 论文 好 了。 張三 書く 論文 完成する ASP (23) Directional ResultativeⅠ a. 张三 拿来 了 一只鸡。 張三 持つ-来る ASP 一匹の鶏 ‘張三が鶏を一匹持って来た。’ b. 张三 拿 一只鸡 来 了。 張三 持つ 一匹の鶏 来る ASP (24) Directional ResultativeⅡ a. 张三 戴上 了 帽子。 張三 被る-上 ASP 帽子 ‘張三は帽子を被った。’ b. *张三 戴 帽子 上 了。 張三 被る 帽子 上 ASP (25) Directional ResultativeⅢ6 a. 张三 拿出来 了 一只鸡。 張三 持つ-出る-来る ASP 一匹の鶏 ‘張三が鶏を一匹持って出て来た。’ b. 张三 拿 一只鸡 出来 了。 張三 持つ 一匹の鶏 出る-来る ASP さらに、前項動詞を“那样”(そのように)で置き換えることができるかどうかを見ても、 (20)と(21-25)と同じ対立が見られる。(26)に示す通り、Stative resultative, Attainment resultative, Directional resultativeⅡの前項動詞は“那样”(そのように)と置き換えることができないが、 Directional resultativeⅠと Directional resultativeⅢはそのような置き換えができる。

(26) a. Stative Resultative *哥哥 跑累 了, 弟弟 也 那样 累 了。 兄 走る-疲れる ASP 弟 も そのように 疲れる ASP Lit.‘兄は走って疲れて、弟もそのように疲れた。’ b. Attainment Resultative *姐姐 写好 了, 妹妹 也 那样 好 了。 姉 書く-完成する ASP 妹 も そのように 完成する ASP Lit.‘姉は書き終えて、妹もそのように終えた。’ c. Directional ResultativeⅠ 张三 从前面 跑来 了, 李四 也 那样 来 了。 張三 前から 走る-来る ASP 李四 も そのように 来る ASP ‘張三は前から走って来て、李四もそのように来た。’ d. Directional ResultativeⅡ *姐姐 从 口袋里 掏出 了 一块手绢儿, 姉 から ポケットの中 取る-出す ASP 一枚のハンカチ 妹妹 也 那样 出 了 一块手绢儿。 妹 も そのように 出す ASP 一枚のハンカチ Lit.‘姉はポケットの中から一枚のハンカチを取り出し、妹もそのように出した。’ e. Directional ResultativeⅢ 哥哥 爬出来 了, 弟弟 也 那样 出来 了。 兄 這う-出る-来る ASP 弟 も そのように 出る-来る ASP 6 なお、Directional resultativeⅢは(i)のような形も可能である。 (i) 张三 拿出 一只鸡 来 了。 張三 持つ-出る 一匹の鶏 来る ASP(張三が一匹の鶏を持って出て来た。) 10 (25) Directional ResultativeⅢ6 a. 张三 拿出来 了 一只鸡。 張三 持つ-出る-来る ASP 一匹の鶏 ‘張三が鶏を一匹持って出て来た。’ b. 张三 拿 一只鸡 出来 了。 張三 持つ 一匹の鶏 出る-来る ASP さらに、前項動詞を“那样”(そのように)で置き換えることができるかどうかを見ても、 (20)と(21-25)と同じ対立が見られる。(26)に示す通り、Stative resultative, Attainment resultative, Directional resultativeⅡの前項動詞は“那样”(そのように)と置き換えることができないが、 Directional resultativeⅠと Directional resultativeⅢはそのような置き換えができる。

(26) a. Stative Resultative *哥哥 跑累 了, 弟弟 也 那样 累 了。 兄 走る-疲れる ASP 弟 も そのように 疲れる ASP Lit.‘兄は走って疲れて、弟もそのように疲れた。’ b. Attainment Resultative *姐姐 写好 了, 妹妹 也 那样 好 了。 姉 書く-完成する ASP 妹 も そのように 完成する ASP Lit.‘姉は書き終えて、妹もそのように終えた。’ c. Directional ResultativeⅠ 张三 从前面 跑来 了, 李四 也 那样 来 了。 張三 前から 走る-来る ASP 李四 も そのように 来る ASP ‘張三は前から走って来て、李四もそのように来た。’ d. Directional ResultativeⅡ *姐姐 从 口袋里 掏出 了 一块手绢儿, 姉 から ポケットの中 取る-出す ASP 一枚のハンカチ 妹妹 也 那样 出 了 一块手绢儿。 妹 も そのように 出す ASP 一枚のハンカチ Lit.‘姉はポケットの中から一枚のハンカチを取り出し、妹もそのように出した。’ e. Directional ResultativeⅢ 哥哥 爬出来 了, 弟弟 也 那样 出来 了。 兄 這う-出る-来る ASP 弟 も そのように 出る-来る ASP 6 なお、Directional resultativeⅢは(i)のような形も可能である。 (i) 张三 拿出 一只鸡 来 了。 張三 持つ-出る 一匹の鶏 来る ASP(張三が一匹の鶏を持って出て来た。) 11 ‘兄は這って出て来て、弟もそのように出て来た。’ 一般に、語彙的緊密性が高く、一語になっているものは、「滋賀大学」を「*そこ大学」の ように、一部だけを置き換えることはできない(cf. 影山 1993)。上記のような差が見られ るということは、結果複合動詞がタイプによって結合度が異なることを示していることに 他ならない。同様のことは、(27)のように、前項動詞を“怎么”(どのようにして)で置き 換えできるかどうかからも分かる。 (27) a. Stative Resultative (i) *哥哥 怎么-累 的? 兄 どのようにして-疲れる DE Lit.‘兄はどのようにして疲れたの?’ (ii) 跑累 的。 走る-疲れる DE ‘走って疲れたの。’ b. Attainment Resultative (i) *姐姐 怎么-好 的? 姉 どのようにして-完成する DE Lit.‘姉はどのようにして終えたの?’ (ii) 写好 的。 書く-完成する DE ‘書き終えたの。’ c. Directional ResultativeⅠ (i) 张三 从家 怎么-来 的? 張三 家から どのようにして-来る DE ‘張三は家からどのようにして来たの?’ (ii) 跑来 的。 走る-来る DE ‘走って来たの。’ d. Directional ResultativeⅡ (i) *姐姐 从口袋里 把 一块手绢儿 怎么-出 的? 姉 ポケットから BA 一枚のハンカチ どのようにして-出す DE Lit.‘姉はポケットからどのようにして一枚のハンカチを出したの?’ (ii) 掏出 的。 取る-出す DE ‘取り出したの。’ e. Directional ResultativeⅢ

参照

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