208 (91) 氏名(生年月日)
本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ウエ ムラ トモ コ上村知子(昭和3
博士(医学) 乙第1255号平成4年2月21日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
伝染性軟属腫の分子疫学的検討 (主査)教授 肥田野 信 (副査)教授 香川 順,伊藤 達雄i論 文 内 要 の 要 旨
目的 伝染性軟属腫(MC)の原因である,伝染性軟属腫ウイルス(MCV)の遺伝子MCV DNAについては従来
殆ど解析されていなかったが,近年,アガ・一スゲル 電気泳動法による検:討で2つのタイプ(MCV-1,2)に 分けられることが報告された.著者は本邦例を対象に 同様の解析法を行い,MCV DNAの多様性,臨床像と の相関を調査し,外国例と比較し,伝染経路の推定等 における本解析法の有用性を検討した. 対象及び方法 MC患者92例より摘除し,一70℃に凍結保存した材料を使用した.全細胞DNAを抽出し,制限酵素
BamHI, HindlII, ClaIを用いて切断後,1%アガロー スゲルにて約3時間定電圧90Vで電気泳動を行った. 泳動終了後,ethidium bromideにてゲル内のDNAを 染色し,トランスイルミネーター上で紫外線を照射し 写真を撮:影した. 結果 4種の異なったウイルスDNA切断パターンがみら れ,MCV・1,2,3,4と同定した.検出頻度はそれぞれ 69%,4%,25%,2%であった.小児例の殆どと, 成人女性の全例ではMCV-1,3のいずれかの感染がみ られ,その臨床像は典型的で,両者の間に差を認めな かった.MCV-2は4例(小児3例,成人男性1例)と 少なかったが,その臨床像はMCV-1,3と差異を認め なかった.MCV-4は2例の成人男性例(うち1例は免 疫抑制患者)のみに検出され,臨床像も個疹が大きく 特異であった. また同一症例からは,採取時期や採取部位が異なっ ても常に同一のタイプが検出され,MCV DNAの安定 性が示された, 考察 MCV-1,2は外国(独,英)の報告例と同じタイプで, MCV・3,4は今回初めて検出されたものである. MCV- 3はDNAの制限酵素切断パターンがMCV・1と酷似し ている事よりMCV-1の亜型と推察され,本邦では通 常の小児例と小児より感染したと思われる成人例は殆 どがMCV-1及びその亜型による事が示された.一方, MCV・4は通常MCに罹患しにくい成人男性にのみ検 出され,その感染経験は不明で,免疫不全との関連も 疑われ,特異なタイプと思われる.またMCV DNAの安定性が示された事より,本解
析法はある程度感染経路の推定にも役立つと思われ る. 結語 伝染性軟属腫92例における,アガロースゲル電気泳 動法による解析により,本邦のMCV DNAは少なく とも4つのタイプ(MCV-1,2,3,4)に分けられ, MCV- 1,3が大多数を占めることを示した. 一812一209