222 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(95) イシ カワ シン ヤ石川信也(昭和33
博士(医学) 乙第1441号平成6年2月18日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
OK-432腫瘍内投与における胃癌所属リンパ節の抗腫瘍的な免疫反応に関する 研究 (主査)教授 羽生富士夫 (副査)教授 内山 竹彦,野崎 幹弘論文 内 容 の 要 旨
研究目的 近年,胃癌に対する免疫療法としてOK-432の経内 視鏡的腫瘍内投与が広く行われている.その効果とし て,全身,局所はもとより所属リンパ節の免疫反応賦 活効果が報告されている.しかし,所属リンパ節の効 果に関して,リンパ節リンパ球の細胞障害活性から詳 細にみた報告はなく,また効果発現のメカニズムは充 分に解明されていない.そこで,OK-432を術前経内視 鏡的に腫瘍内投与し,所属リンパ節の免疫反応に与え る効果をリンパ節リンパ球の細胞性免疫能,細胞障害 活1生から検討した、さらに,anti-Su streptococcus antibody(anti-Su antibody)を用いて免疫組織学的に OK-432の所属リンパ節への移行性を検索し,その効果 発現のメカニズムを解明しようと試みた. 対象および方法 当科で手術された早期胃癌のうち,OK-432を手術5 ~7日前に10KE腫瘍内投与した21症例および非投与 の16症例を対象とし,以下の3点について検索した. 1)リンパ節リンパ球の細胞性免疫能 術中に摘出した近位,遠位リンパ節からリンパ節リ ンパ球を採取し,Tcell subsets, PHA幼若化反応な どを測定した. 2)リンパ節リンパ球の細胞障害活性 1)と同様に近位,遠位リンパ節リンパ球のnatural killer(NK)細胞活性, lymphokine activated killer (LAK)‘細胞活性, OK-432 activated killer(OKAK) 細胞活性などを測定した. 3)リンパ節の免疫組織染色(PAP法) 投与群11例の所属リンパ節に対し,OK-432に対する 特異抗体といわれるanti-Su antibodyを用いてPAP 法による免疫組織染色を行い,OK432の所属リンパ節 への移行性を検索した. 結果および結論 1)OK-432の腫瘍内投与により, T cell subsetsで は,遠位リンパ節リンパ球のCD3+細胞比が有意に上 昇した.また,近位リンパ節リンパ球のPHA幼若化反 応も有意に上昇した. 2)OK432の腫瘍内投与により,近位リンパ節リン パ球のLAK細胞活性は有意に上昇し,遠位リンパ節 リンパ球のそれは上昇傾向をみた. 3)OK-432の腫瘍内投与により,近位,遠位リンパ節 リンパ球のOKAK細胞活性は上昇傾向をみた. 4)腫瘍内投与されたOK-432は,近位リンパ節のマ クロファージにとり込まれることが認められた. 5)以上より,OK432の腫瘍内投与には所属リンパ 節の抗腫瘍的な免疫反応を増強する効果が認められ た.その効果発現のメカニズムは,所属リンパ節に移 行してマクロファージにとり込まれたOK-432に起因 し,この時,マクロファージが抗原提示細胞としての 役割を果たすことが示唆された. これらの成績から,OK-432腫瘍内投与の免疫学的意 義として,所属リンパ節リンパ球の細胞性免疫能の増 強効果,細胞障害活性の増強効果が考えられ,その効 果発現のメカニズムも明らかにすることができた.本 一828一223 療法は胃癌の様々な形式の再発防止に有用であろう し,症例によってはリンパ節郭清の範囲を縮小しうる 手段と考えられる.