• 検索結果がありません。

再エネおよび蓄電池市場に関する社会シミュレーション 利用統計を見る

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "再エネおよび蓄電池市場に関する社会シミュレーション 利用統計を見る"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

再エネおよび蓄電池市場に関する社会シミュレーシ

ョン

著者

河合 浩志

著者別名

Hiroshi KAWAI

雑誌名

工業技術

41

ページ

88-91

発行年

2019-02

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00010952/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

再エネおよび蓄電池市場に関する社会シミュレーション

Social Simulation of Renewal Energy and Battery Market

河合浩志* 1.はじめに 地球温暖化はもはや世界的な問題となっており、京都 議定書から近年のパリ協定に至る流れのなかで、再エネ やEVの大量導入を含むエネルギー変革が求められつ つある1)-6)。例えばパリ協定では今世紀後半以降CO 2 排出量を実質0にすることが求められている。これはエ ネルギー消費において電力部門でほぼ100%の非化 石燃料化、および運輸や熱部門における電化を意味する。 本研究では、再エネおよびスマートハウス、EV、そ して特に蓄電池に注目して、それらの普及シミュレーシ ョンを考える。そのためにまず、これらの市場・政策・ 技術面における動向調査を行ったので報告する。 2.再エネおよび蓄電池普及シナリオ 以下ではまず、今後あるいは近い将来における電力分 野での再エネの普及、およびこれに関連して民生(家 庭・業務)、運輸、産業の各エネルギー消費部門につい ての技術および市場動向の分析予測を行う。 2.1 電力分野における再エネ普及 まず電力分野における発電に関して、世界各地で再エ ネの大規模大量導入が見込まれる。特に太陽光・風力に ついて、今後さらなる価格低下が予想されている。 その結果、現在すでにグリッドパリティを迎えている 地域については、火力や原子力など既存発電方式に対す る価格競争力がますます向上するようになり、すでに新 規投資においてはこちらのほうが主流となりつつある。 一方、現在の時点ではまだ従来電源に対し高価であり、 FIT(Feed In Tariff:固定価格買い取り制度)、RP S(Renewable Portfolio Standard:再生可能エネルギ ー・ポートフォリオ基準)などの政策支援を必要とする 国・州や地域においても、近いうちにグリッドパリティ を迎え、補助金無しでもやっていけるようになるだろう。 なお、導入される再エネの種類については当面の間、 陸上風力のウィンドファームおよびメガソーラーが今 後も主力となり、やがてこれらに洋上風力(着床型およ び浮体型)が加わるようになるだろう。世界各地におい て、それぞれの発電方式に適した場所ごとに大規模な設 備投資・開発が進められる。 ただし、これにつれて徐々に適地自体が枯渇するよう になり、その結果これらの比較的大規模な再エネ設備に ついては電力の大消費地からより遠隔地にシフトして いくことになる。またその際に必要となる新規の送電線 敷設については、膨大な投資が必要となるとともに、場 合により政治的な問題を伴うことも予想される。 2.2 建物での省エネおよび再エネ 先に説明したものは、主に発電量にしてMWを超えG Wクラスとなるような比較的規模の大きな発電設備で あり、分散電源と呼ぶよりはどちらかというと従来のよ うな集中型の延長にあたるものであると考えられる。こ れに対し以下では、主に家・ビルや工場など建物に配置 されるような、真の意味での分散電源について考える。 まず、家庭および業務(オフィス)にあたる民生部門 において、建物単位での省エネ化が進む。新規の戸建て 住宅や低層建物についてはそのエネルギー消費が実質 ゼロとなる、ZEH(Zero Energy House)やスマートハ ウスに徐々に置き換わっていく。またこれに続き、中高 層のビルについても同様にZEB(Zero Energy Building)仕様となる。こういった動きは主に、20年 30年という建物の建て替え周期に合わせてゆっくり と徐々に進行していくだろう。そして、これらZEH、 ZEBタイプの建物の多くはループトップ(屋根上)・ ソーラーを備えるようになる。

(3)

再エネおよび蓄電池市場に関する社会シミュレーション Social Simulation of Renewal Energy and Battery Market

河合 浩志 また産業部門についても同様に、工場・プラントにお いてLED電灯やコジェネなどの省エネ、あるいはルー フトップ・ソーラーの導入が進む。あるいは外部からの 再エネ由来エネルギーの調達割合を増やす傾向にある。 これは近年盛んになっているESG(Environment – Social – Governance:環境-社会-企業統治)投資の一環 に基づくものである。また将来的に再エネ100%導入 を目指すことを表明する、RE100へ加入する企業も ますます増えていくことになるだろう。 こういった動きの一方で、FIT制度における期限切 れ(日本では10年間、ドイツでは20年間)、あるい は再エネ関連補助金制度における制度内容の変更ある いは終了により、ソーラーが発電した電気の外への売電 価格が以前のように優遇されなくなってしまう状況も 今後あちこちで登場するようになる。これらのうち多く はやがて蓄電池を用いた自家発電に乗り換えてゆくこ とが予想される。すなわち、定置型蓄電池を導入し、昼 間発電して余った電気を貯めておき、夜間にこれを使う ようになる。これは蓄電池市場を刺激し、その価格低下 を促進させることになるだろう。そしてこれが再エネに 蓄電池代を含めたものについてグリッドパリティに到 達する(ストレージパリティ)ころには、蓄電池のさら なる大規模な普及が見込まれるようになるだろう。 2.3 EV・PHVの普及とその影響 これらに加え、今後の技術開発動向いかんにもよるが、 運輸部門について徐々にその電化が進むことが予想さ れる。すなわち、EV・PHV(Plug-in Hybrid Vehicle) の本格的な普及が近いうちに始まるかもしれない。これ には大量の蓄電池が必要とされるため、それに従い蓄電 池価格の急激な低下が予想される。またこれが系統連結 型および家庭向け・ビル向けの定置型蓄電池にも波及し、 その結果、蓄電池市場のさらなる拡大が期待できる。 一方でEVの普及とともに、EVをストレージとして 用いる用途が徐々に広まるだろう。家・ビルおよび電力 システムに接続するV2H(Vehicle to Home)、V2G (Vehicle to Grid)およびVPP(Virtual Power Plant)

の導入が進むようになる。 3.電力システムおよび業界への影響 以上説明したような、省エネ及び再エネやZEH、E Vなどの大量導入の動きは社会全般に対して大きな影 響を及ぼすことになることが予想される。特に今後再エ ネがより大規模に普及していくようになると、必然的に これは既存の電力システムや電力業界に大規模な変革 をせまることになるだろう。 以下では電力システムおよび電力業界の将来動向に ついて予測を行う。 3.1 電力需要の将来動向 まず、先進諸国では省エネによりエネルギー需要その ものは停滞あるいは漸減していく方向にある一方、エネ ルギー需要の一部については電化が進み、その結果電力 需要自体はもうしばらくの間増え続けることが予想さ れている。一方で新興国については、エネルギーおよび 電力需要とも今後ますます増えていくだろう。世界規模 で考えると2050年代以降総需要が倍近く増えるこ とが予想されている。 特に、もしEV・PHV市場が本格的に立ち上がると すれば、それは大量の電力需要を呼び起こすことになる。 そのため新興国だけではなく先進諸国においても、電力 需要自体は今後かなり増大することが予想される。 3.2 再エネの大量導入とその制御 一方で先進諸国においては、電力消費量について再エ ネ比率がすでに3割を超え、やがて5割にせまるような 状況が近いうちに訪れることになるだろう。実際に、欧 州ではドイツ、デンマーク、ポルトガルなど、また米国 においてもハワイ州、カリフォルニア州、ニューヨーク 州など、すでに欧米の一部地域はその域に到達している。 再エネの主流となる太陽光や風力発電は不安定な変 動電源であり、時々刻々と変化するその時々の天候の状 態に大きく依存する。よってその供給量をリアルタイム でモニタリングするとともに、天気予報などを用いて短

(4)

期・中期の予測を行う技術が必要となる。 一方で再エネ100%とすることはまだ難しく、足り ない分(残差需要)をなんらかの方法で埋める必要があ る。例えばカリフォルニアでは、主に昼間発電する太陽 光発電が増えるにつれ、電力需要ピークが従来の昼どき から朝と夕方の二か所にシフトするようになり、その形 状からダックカーブと呼ばれている。特に夕時における 立ち上がりが急峻なため問題となっている。これにはも ちろん火力などの既存発電設備を調整電源として使う とともに、揚水水力、蓄電池などのストレージや、隣接 領域との連系線による余剰電力の融通、そしてデマンド レスポンス、ネガワットなど需要側を制御する技術など が必要となる。これらは総称して「フレキシビリティ: 柔軟性」と呼ばれ、基本的に天候変化に大きく左右され る再エネ電力の動きに追従可能であることがその要件 となる。これは、既存発電設備についてこれらを調整電 源としてピークロードのような形で運用することを意 味する。すなわち、もはやベースロード、ピークロード といった区別自体が必要なくなっていくだろう。 3.3 既存電力システムへの影響 結果として、コストやCO2排出量、そして「柔軟性」 の観点から、従来電源に対し強い淘汰圧力がかかる。 火力発電、特に石炭火力に対しては、今後強烈な逆風 が予想される。近年すでに世界各地において、石炭火力 に対する投資案件が激減するといった事態が発生して おり、その結果GE社、シーメンス社などの火力発電部 門は現在大幅なリストラを迫られている状況にある。こ れに対し、石炭ガス化による高効率化やCO2を大気に

出さずに捕獲するCCS(Carbon Capture and Storage)技術の導入、あるいはよりCO2排出量が少 ないLNG火力への移行が必要となる。そしてこれら新 規に導入される火力には揚水発電と同様、再エネの残余 需要を埋める役割が期待され、変動する再エネの動きに 追従できるようなより高度な運用が要求される。 一方で、今後大量導入される再エネを効率的に利用す るためには、電力システムの送配電部門について大規模 な投資が必要となる。スマートメーターの導入および逆 潮流を前提とした配電部門の強化や、比較的遠隔地に建 てられる傾向があるメガソーラーやウィンドファーム からの電力を長距離に渡って送電するための設備投資 が必要となるだろう。 3.4 電力業界への影響 以上のように電力消費量に占める再エネの割合が増 えるにつれ、既存電源は再エネを補完するような立ち位 置に置かれるようになり、やがてはベースロード電源の 座から外れていくことになる。これは火力・原子力など 既存電源の設備利用効率を落とし、最悪の場合、座礁資 産になる恐れを生む。 これにさらにデススパイラルが加わる。再エネの普及 により送配電設備の強化が要求される。一方で自家消費 の増大は既存市場自体を縮小させる。このような損失や 投資コストを埋め合わせるためには電力会社は電気代 を値上げする必要にせまられる。しかしながら、電気代 上昇により消費者側においてグリッドパリティが実現 されると、それが自家消費をさらに推し進め、結果ます ます悪循環(デススパイラル)に陥ることになる。 その結果、それぞれの地域において場合により大規模 な業界再編が行われることも考えられる。現実に近年、 主に欧州においてE.ON 社や RWE 社のような事例が登 場している。このような市場構造の変化に対応して、 国・地域ごとに電力制度・規制の変更やさらなる政策支 援が必要となるだろう。例えば、電力自由化と発送電分 離を進め、発電、送電、配電、小売部門が今後それぞれ より安心して投資や技術開発を進められるようにする ことが求められるようになるだろう。あるいは、容量市 場(kW 市場)や需給調整市場(ΔkW市場)を整備する ことで、再エネを補完するための既存電源になんらかの 価値をあたえることが必要になるかもしれない。 3.5 系統連結型ストレージ そして、今後徐々に蓄電池技術が進歩し価格が低下す るにつれ、より大規模なスケールで蓄電池が系統に連結

(5)

再エネおよび蓄電池市場に関する社会シミュレーション Social Simulation of Renewal Energy and Battery Market

河合 浩志 されてストレージとして用いられるようになるだろう。 近年では大規模蓄電池としてNAS(ナトリウム硫黄) 電池やレドックスフロー電池が使われ始めており、将来 的にはこれにリチウムイオン電池が加わることが予想 される。ただしその大量導入にはもうしばらく時が必要 となるだろうが、これにより初めて、信頼性のある電源 として再エネがようやく既存電源に置き換わることが できるようになる。 4.再エネおよび蓄電池普及の流れ これまでの話の流れを模式図にすると、図1のように なるだろう。これは基本的にエネルギー業界、特に電力 業界を中心として、それに自動車、建築および電気・機 械業界がかわわる、4つの業界間の関係(四つ巴の戦 い?)であり、これを把握することが必要となる。 図1 業界間の関係 またこれら業界間における蓄電池の普及の流れを図 示すると、図2のようになる。近年ノートPCやスマホ 市場において本格的に立ち上がったリチウムイオン電 池の市場については、まず建築分野においてFIT終了 後の自家発電のための定置型蓄電池としてその市場が 刺激されるだろう。これに続いて、もしここ10年20 年でEV・PHV市場が世界的に立ち上がることがあれ ば、これによって爆発的な拡大を迎えることが予想され る。そして最終的には電力系統に繋げるための蓄電池の 大量導入への道が開けることになるだろう。 図2 蓄電池普及の流れ 5.まとめ ここでは、将来の再エネおよび蓄電池普及シミュレー ションの実装を念頭に、電力システムおよび電力業界の 市場・政策および技術動向について調査を行った。 参考文献 1) 井熊均、瀧口信一郎:パリ協定で動き出す再エネ大再編 世 界3大市場で伸びる事業を見極めろ、日刊工業新聞社、(2 017) 2) 竹内純子ほか:エネルギー産業の2050年 Utility3.0 へ のゲームチェンジ、日本経済新聞出版社、(2017) 3) アビームコンサルティング、ガスエネルギー新聞:欧米先進 事例に学ぶデジタル時代の電力イノベーション戦略、毎日新 聞出版、(2017)) 4) 滝雄二郎ほか:エネルギー業界の破壊的イノベーション、エ ネルギーフォーラム、(2018) 5) トマ・ヴェラン、エマニュエル・グラン:ヨーロッパの電力・ ガス市場 電力システム改革の真実、日本評論社、(201 4) 6) 山家公雄:ドイツエネルギー変革の真実、エネルギーフォー ラム、(2015) く建築> スマートハウス ZEH ソーラーパネル . . (屋根)

/

. . . .貫敢馴度の絡7による 伽 ・ 自家清費の増大 蓄電池 く自動車> EV•PHV く電力> 厚エネ 太陽光発電 ソーラーパネル (メガソーラー) 蓄 電池 風力発電 ウィンド ファーム . : \電 力 平 準 化; : . .

自立化 ; ' :

~t

蓄電池 電 気・機 械 ガス 石油 ス イ フ > 9 9 9會 ォ ン B ス

ヽ ‘ 、 ヨ E - 、 シ N ウ ‘ く 、 I リ \ 築 ル P ビ ・ 古 ゆ 中 E z < ガソリン車 <EV> く自動運転> <カーシェア>

参照

関連したドキュメント

これはつまり十進法ではなく、一進法を用いて自然数を表記するということである。とは いえ数が大きくなると見にくくなるので、.. 0, 1,

「系統情報の公開」に関する留意事項

① 新株予約権行使時にお いて、当社または当社 子会社の取締役または 従業員その他これに準 ずる地位にあることを

自閉症の人達は、「~かもしれ ない 」という予測を立てて行動 することが難しく、これから起 こる事も予測出来ず 不安で混乱

③  訓練に関する措置、④  必要な資機材を備え付けること、⑤ 

土肥一雄は明治39年4月1日に生まれ 3) 、関西

再エネ電力100%の普及・活用 に率先的に取り組むRE100宣言

上位系の対策が必要となる 場合は早期連系は困難 上位系及び配電用変電所の 逆潮流対策等が必要となる