高硬さ鋼の動的強度と測定法に関する研究
著者 侯 培紅
雑誌名 博士学位論文要旨 論文内容の要旨および論文審査
結果の要旨/金沢大学大学院自然科学研究科
巻 平成10年6月
ページ 19‑24
発行年 1998‑06‑01
URL http://hdl.handle.net/2297/16111
候培紅 氏名
生年月日 本籍 学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件
中国
博士(工学)
博甲第222号 平成9年9月30曰
課程博士(学位規則第4条第1項)
高硬さ鋼の動的強度と測定法に関する研究 学位授与の題目
(主査)茶谷明義
(副査)廣瀬幸雄,北川和夫,放生明廣,門前亮一 論文審査委員
学位論文要旨
Ametbodf0rthedeleminaIiono(dYnamicstress-sirain『elationofmate「ialsbymeans ofinslrumentedCharpyimpacttestin9techniquewasproposedanditsvaliditjwasshoⅧby somemeasuredexamples、ThedyHamicstren9tbsofsteels(S55C,SCM3,SUJ2,SK3)b3rdenedf『Om HV340toHV890bYhealt「eatmentwereobtainedfr0mst『ess-stIainrel3tions8tthest『ain
「3teoltheo「de「0[1001/smeasuredbyIhep「esentmetbodAM「eslllいtM1sfoundthat theyieldstren9thofba『dsteelsincreases『ou8blylinearIYwlthlncre3sin8b3rdnessand tbatunderdYmicloadin9was20-30%hi9be『thanthatunde「staticoneTbosestren8tbs werealsofoundtobecomemaximuminIbevicinityofHV700A[tertheotheInleasurements unde「va『iollsst「ainrateswe「eadded,aprevioI1slyp『oposedconstitlltivee:u8tionwaMpp-
IiedtM110[expe「imelllaldataobtainedResultM8reedwellwiththeexperimentalvalues andthelrapplicabilitYtobardsteelswasshownTbeexpe「imentalconstantsiHcludedinthe equationwe「ecloselyconcemedwilhtheha『dness,Therefore,tbecalcl11atedcu「vesolthe st『ess-sIralnralerelalionaM8iveHst『ainllsin9constanIsexpressedbYtbeba「dness we「ecompMedwithlheexperimentalonesandshowed90od38「eement.
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本研究は,工業的にも広く用いられている計装化シャルピー衝撃試験機(29
4J)を利用したはり状試験片の3
点曲げ試験から動的応力一ひずみ HammeMd8e 関係を測定する方法を提案し,こ
れを高硬さ鋼の衝撃強度測定に応 用したものである.
すなわち本論文は8章から成り,
第1鴬「緒論」では,高硬さ鋼が 軸や歯車など価喋性荷重を受ける
主要機能部材として多用されるに もかかわらず衝撃強度に関する資
GL2IStmiu8a8es 料は少なく,その測定法も十分確
立されていないことを指摘して従FiglCharpyimpactbendin8
来の研究と本研究の目的を述べている.
第2章「計装化シャルピー衝撃試験法」では,図1のようにハンマ刃先によ るはり状試験片の衝撃3点曲げで作用衝繋荷重P(r)を荷重点から離れた位置の ひずみゲージで測定するために,測定波形e(')と伝達関数の畳み込み積分を利 寵した方法を述べ,丸棒の縦衝撃を利用した較正実験法を明らかにしている.
同法によればハンマ内での応力波伝ぱを無視した静的較正荷重に比較して良好
な作用衝撃荷重が得られる.
第3章「長い棒を用いた衝撃3点曲げ試験法」では,はりの衝撃3点曲げに おける荷巫が単純な棒の縦衝撃理論に基づいて容易に得られることに注目し,
長い打撃棒と長い支持棒からなる試験法について述べ,作用価撃荷重の測定法 を明らかにしている.この方法では試験片)のスパンを自由に変えることができ
る.
第4章「曲げ試験による応力一ひずみ関係の測定法」では,曲げモーメント とひずみの関係式に基づくはりの塑性曲げ理論によって応力一ひずみ関係を知 る方法(Herbertの式)を示している.
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そして試験片のスパンを小とし て静的な力の釣り合いを仮定し,
前章の方法による作用衝撃荷重
から曲げモーメントを求め,こ 田 れに対応するひずみをィiIj重点直 =
b下裏に貼付したひずみゲージで閉
巴直接iII定すれば,Herbertの式 の
によって動的応カーひずみ関係 が得られることを示した.さら に,静的および価撃荷重下で試
80【
40【
に,静的および価撃荷重下で試024
StrainE%
験片のスパンや材質などの条件
を種々変えて実験を行った結果, Fig2Stress-strainreIations
試験片の断面寸法が8m×8mm,
スパンが40mmであれば静的荷重下は勿論,衝撃荷重下でも負荷のごく初期を 除けば曲げによる結果は図zのように一軸圧縮によるものにほぼ一致すること
,支持点の摩擦による測定値への影響は小さいこと,動的応力一ひ,ずみ関係に は多少の波打ちが見られることなどを明らかにしている.
第5章「ホプキンソン圧力棒法による応カーひずみ関係の測定法」では,曲 げの結果との比較に必要な標準的動的応力一ひずみ関係の測定法について述べ 高硬さ材の場合の問題点を指摘している.
第6章「高硬さ鋼の動的強度」では,各種鋼(S55C,SCM3,SUJ2,SX3)を熱 処理して得られたビッカース硬さHV350~HV980の高硬さ鋼について第2,4 章の測定法によるひずみ速度が1001/s程度のIMj的降伏強度を明らかにしてい
る.その主な結果をまとめれば次のようである,
l)高硬さによる高変形抵抗のために衝撃中のハンマの速度が減少するので,
試験片のひずみ速度も概して硬さが高くなれば減少する.
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己)図Bのようにひずみ速度が 1001/s程度における動的降伏 強度は静的降伏強度より20~30
%大きく,鋼種による相違はや や見られるものの,HV700程度ま で両強度はともに硬さの増加に
したがって増加する.しかし,
この硬さ以上になると強度は増 加せずにかえって低下する場合 もあり,ばらつきはあるが,特 定の硬さで最大強度に達する.
3)材料の最大llljげ荷亜と硬さ の関係については,鋼種によっ てばらつきはあるが.降伏強度
3
□AC二節ロの」]の
2
1
S55CSCM3SK3
●■◆
○□ ◇
SUJ2
▼Dynamic
▽Static
0 400 600
8001000
VickershardnessHVFi93Relationsbetweenyield slren9thandhardness
と硬さの関係と類似の傾向を示し,最大曲げ荷聴がiiii大を示す硬さはHV600~
HV700と考えられ,動的な方がやや高硬さ側にある.
第7章「高硬さ鋼の動的榊成式」では,さらに種々のひずみ速度下で実験を 重ね,強度に関して基本的な動的構成式を決定している.すなわち,I伝位の連 動に基づいて低ひずみ速度域と高ひずみ速度域でその支配的機構が異なること を考慮に入れ,比較的少ない実験回数で定数が決定できる樹成式
K1
Ep=
exp{ⅢK2(。_。*)}+exp (万冬壱三)
を適用した.ここでS,:ひずみ速度,o-0*:過応力,K,~K』:定数である.
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上式を適用した結果は次のようである.
4)図4の例のように,高硬さ 鋼の場合にも一定ひずみに要す る変形応力Oは炭素鋼焼鈍材・の
3.2
場合と同様にひずみ速度己に依母 存し,鋼種と硬さによって大き●
さは異なるが,低ひずみ速度側b2.8
CDではひずみ速度の増カロによる応塗 力の増加傾向は緩やかであり, 缶2.4
高ひずみ速度側では応力の増加 (頃向が顕著になる.
25)定数(KFK4)をひずみに 概ね無関係に決定でき,本榊成
式は図4中の実線で示されるよ F うに高硬さ鋼にも十分適用し得
ep%
10-4 10-2 100 102
P1aStiCStrainrateEpl/S
式は図4中の実線で示されるよ FiMRelationsbetweenstressand
うに高硬さ鋼にも十分適用し得straimateunderconstantstrain
ろ.
6)またWli1山U|」の定数は,ばらつきはあるものの硬さに影響されることを>jく し,その対応関係を詳細に明らかにした.そして実用的観点から定数を硬さの
-次あるいは=:次関数形で近似した榊成式による値は図中の破線で'〕<されるよ うに測定値の傾向とよく一致している.
第8章「結論」は上記の結果を要約したものである.
以上,簡便な曲げ試験法に着目して計装化シヤルピー衝撃試験機を利用した 動的応力一ひずみ関係の測定法を提案し,この方法に基づいて種々のひずみ速 度下における高硬さ鋼の動的強度を明らかにした.
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学位論文審査結果の要旨
各審査委員による個別の質疑検討を経て,平成9年8月8日の論文発表会直後に審査会を開催し,次 のように審査判定した。
本論文は,まず高硬さ鋼の衝撃強度に関する資料が少ないことを指摘して基本的な衝撃試験法につ いて述べ,ついで計装化シャルピー衝撃試験機を用いたはり状試験片の3点曲げから動的応カーひず み関係を測定する方法を提案し,これを高硬さ鋼に応用したものである。すなわち,作用衝撃荷重か ら求めた曲げモーメントとひずみゲージで直接測定したひずみの関係に基づくはりの単純塑性曲げ理 論によれば,負荷のごく初期を除きほぼ妥当な動的応力一ひずみ関係が得られることを示している。
この方法によって各種高硬さ鋼(S550SCM3,SUJ2,SK3)のひずみ速度が約1001/Sにおける 動的降伏強度を測定し,動的降伏強度は静的な場合より20~30%大きく,HV700程度まで硬さの増 加に従って増加することを明らかにしている。さらに種々のひずみ速度で実験を重ね,動的構成式を 決定し,式中の定数と硬さの対応を詳細に明らかにしている。
以上要するに,本論文は簡便な曲げ試験に着目して種々のひずみ速度における高硬さ鋼の動的強度 とその測定法を明らかにし,工学上重要な新知見を得たもので,博士(工学)論文としての価値を有 する。
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二才罫町…