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音楽科卒業生の追跡調査

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(1)

音楽科卒業生の追跡調査

一全体的傾向について‑

AFo l l o w‑ upSur ve yo nt heGr aduat e so f Mus i cDe par t me nt

‑Ont heGe ne r alTr e nds ‑

Hi roakiKATSURA

Thi st he s i si swr i

t

t e nbas i ngont her e s ul t sort hef ol l ow‑ ups ur ve yont hegr aduat e s oft hemus i cde par t me nt ,t oc l ar i f yt he i rmus i ct e ac hi ngbe havi ourf r om t hevi e w poi nt sasf ol l ows .

1 )The i rpur pos e sf ort hemus i ce duc at i oni nt hec ompul s or ye duc at i on.

2 )Thec onc r e t ec ont e nt soft hemus i ce duc at i oni nt hec ompul s or ye duc at i on.

3 )The i rs ou

r

c e soft het e ac hi ngmat e r l al sf ort hemus i cc l as s . 4)The i rbas e sf ors e l e c t i onsoft het e ac hi ngmat e r i al s .

5 )Thee f f e c t soft het e c hni c ale duc at i onf ort hemus i ce duc at i on.

Byanl yz l ngt hedat ac ol l e c t e d,t her ol l owl ngr e s ul t sar eobt ai ne d.

1 )The yar eobl i ge dt oputt hewe i ghtont heaf f e c t i onsandt heat t i t ude si nc ons e ‑ que nc eoft hel ac koft hec ons c i ous ne s soft hec onc r e t epur pos e sandc ont e nt s . 2)The ys e l e c tt het e ac hi ngmat e r i al smai nl yf r omt het e xt booksandt hec ol l e c t i ons

oft hes ongs ,butt he i rs e l e c t i onsar enotf ounde dont hec onc r e t ebas e s .

3 )Ther e s ul t soft het e c hni c ale duc at i onf ormus i ci nUni ve r s i t yar eofl i t t l eus e e xc e ptt heac c ompani me ntonpl an°andt heaudi t or ys e ns e .

4 )The ygr as pt hemus i ce duc at i onast heknow‑ how, be c aus eoft hel ac kofc ons c i ous ‑ ne s soft hec onc r e t ec ont e nt soft hemus i ce duc at i on.

Ⅰ .問題の所在 と目的

教員養成学部 の音楽科 に在籍 している学生は, 実技 の学習 に多 くの時間を費やすために,音楽 教育 については殆 ど考えていないように思われ る。副専攻制を採 る秋田大学では, そのような 傾向が特 に強 くみ られ、授業中に在学生 に尋ね てみて も,殆 ど全ての学生が , 「卒業後 の音楽

教育 については全 く考えていない」 と答 え る。

しか し,大学で学んでいることは,謂 わば,教 えるための手段であ り,子供 に直接,教え るこ とは出来ない。従 って,大学 の音楽科 とい う環 境 の中で学んだ学生 は,教職 に就 いてか ら初め て , 義務教育 における音楽 の指導 内容, 指導 方法」 という問題 に直面す ることになる。

常識的に考えて,人 は新 たな状況 に直面 した

時, それまでに考えて こなかった問題に対 して,

(2)

秋田大学教育学部研究紀要 教育科学部門 第 4 6 集

す ぐさま明確な自己の考 えを形成 す ることは 困難であろう。多 くの者 は,意味が明 らかで は ないまま,世 の中に広 く受入れ られている考え 方や方法を踏襲 した り,他 か ら異義 の出ない, 差 し障 りのない教え方をす ることになるだろう。

また, これまでの自己の思考法や行動 のパ ター ンに従 うか もしれない。

一概 には言えないが,それまで彼等が受 けて きた教育 は,謂わば,専門家を養成す るための ものであ り, また, それがために優れた音楽の 教員 になることが出来 ると,漠然 と考えていた のだが, ある程度 の教職経験 を積 んだ後 に は,

「 義務教育 における音楽」 とい う問題 に対 して, 明確 な自己の考えを確立 してい るのだ ろ うか。

また,音楽 に対す る態度や価値観 は大 きく変 る のだろうか。

この小論 は,秋田大学教育学部音楽科 の卒業 生 の追跡調査 を予備的に行 なった結果 に基づ く

ものであ り̀ 1 ) ,調査 自体 は卒業生 の音楽教授行 動し 2 1 を,以下 の点か ら明 らか にす ることを 目的

としている。

( 1 ) 義務教育 における音楽教育 の目的,及 び 音楽教育 の効果 について

( 2 ) 音楽構造 自体 に関わる教育内容 について ( 3) 教材の ソースについて

( 4 ) 教材選択の根拠 について

( 5) 授業 に役立っ情報 の ソース,並 びに情報 の種類 について

( 6) 音楽教育 に対す る態度,方法 について ( 7 ) 苦楽の専門性 の効果 について

なお,紙数 の制約か ら, この小論で は , ( 5) と ( 6) について は,今後 の機会 に譲 り,省略す る。

Ⅱ ,対 象

秋 田大学教育学部音楽科 の卒業生36 人,及び, 他大学 の音楽学部の卒業生 ( 中学校教員) と他 大学教育学部 の他教科の卒業生 ( 小学校教 員) が各 1人づっの計3 8人。年齢 は2 4歳か ら28歳 ま でが32人,3 0歳台が 3人,40歳以上が 3人 で あ

る。

Ⅲ. 方 法

ア ンケー ト用紙 を小学校教員2 0人,中学校教 員1 9 人 の計39 人 に郵送 し,回答を依頼 した。そ の うち回答が返送 されたの は小学校教員1 4 人, 中学校教員1 4 人の計2 8人である。 この小論 に関 係す るア ンケー ト用紙の主な質問事項 は,以下 の通 りであるL 3 ' 。

A.音楽教育の目的 と効果 に関す る質問 ( 1 0 ) 義務教育 において,何を育てるために音

楽教育をす るのが適切であると考えますか。

次の項 目のなかで,先生が重要であると思 われ るものすべてに○をつ け, その中で も 特 に重要 と思 われ るものに◎ ( 複数可)を つけて下 さい。

ア.情操 ィ,音楽 に対す る感性 ク.音楽 に対す る美的感覚 工.音楽を愛好す る気持

オ.音楽 に対す る想 い, あこがれ カ.曲想表現 キ.楽器の演奏技術 ク.徳性,人間性 ケ.読譜カ コ.音楽的創造性 サ.音楽的個性 シ.音楽史等 の知識

ス.音楽構造の知的把握カ セ.音楽構造の感覚的把握力 ソ.意志カ タ.知力

チ.個人の表現カ ツ.集団の表現力 テ. その他

( 7 ) 他 の教師を見て,現在の音楽 の授業 は生 徒 に何等かの効果がある ( 有益である) と 思 いますか。下 のアか らオまでの中か らひ

とつ選んで○ をつけて下 さい。

ア.大変有益である ィ.有益である ク. どち らとも言えない

工. それほど有益でない オ.全 く有益でない

( 8) 上 の質問で ア, イのいず れか に○ をつ け

た方 は, どのような点で,生徒 に効果があ

る ( 有益であ る) と思 いますか。具体的に

(3)

答えて下 さい。

B. 音楽教育 の内容 に関す る質問

( l l ) 音楽 の授業で,先生が重点 を置いて指導 されていることは何ですか。発声法,楽器 の演奏技術,歌唱 における曲想の表現など, 音楽 に関す る具体的な内容を書いて下 さい。

( 回答覧 は4 つ)

C. 教材の ソースについての質問

( 2 ) 以下の項 目のなかで,先生が音楽 の授業 を行 なう上で参考にしたり,教材 として使 っ ているものすべてに○をっけて下 さい。 ま た, その中で,特 に重要 と考え るものには

◎をつけて下 さい。

ア.教科書 ィ.指導苦 り.教科書以外の歌唱の曲集 工.教科書以外の器楽 の曲集 オ.学習指導要領

カ.教科書 ・指導書 には掲載 されていな い レコー ド ,CD等 の曲

キ.音楽教育雑誌等 に掲載 されていた曲 ク.研修,研究授業等で知 った曲 ケ.音楽教育 に関す る著書,研究書等で

知 った曲

コ.他 の教師の推薦 した曲 サ.その他

( 3) 授業で教 える曲の中で,教科書 ( 指導書) に掲載 されている曲は, およそ何%を占め ますか。歌唱,器楽,鑑賞の別 に, およそ の数字を書 いて下 さい。

D. 教材選択の根拠 についての質問

( 4 ) 先生が他の音楽教師に教材 として推薦す る曲があれば挙 げ,推薦す る理由を書 いて 下 さい。歌唱曲,器楽曲,鑑賞曲の該 当す る項 目に○をっけ, また,教科書 ・指導書 に載 っている曲か, それ以外の曲かの区別 に も○をつけて ください。

( 回答覧 は 5 つ)

E.音楽の専門性 についての質問

C Z O ) 音楽の教員 を志望 している大学生 に,音 楽の教員 になるためには在学中に何を学ん でおけばよいかをア ドバイス して下 さい。

ア ンケー ト用紙 による調査 と共 に,電話 によ る聞 き取 り調査 も行 なった。その目的は,( 1 ) ア ンケー ト用紙 の記述式回答 の意味が不明瞭な点 について確かめる , ( 2) ア ンケー ト用紙 による回 答 の信頼度をチェックす る , ( 3) ア ンケー ト用紙 の回答を返送 しなか った者の理由を知 る , ( 4) ア ンケー ト用紙 を返送 した者 としなか った者 とに 差があるか どうかを知 る, ことにある。電話 に よる聞 き取 り調査 を行 な った者 は,小学校教員 が 1 3 人 ( その内, ア ンケー ト用紙 の回答者 は 7 人) ,中学校教員が 1 5 人 ( その内, ア ンケー ト 用紙 の回答者 は11 人)である。聞 き取 り時間 は 1 人 につ き 4 0 分前後であるが, ア ンケー ト用紙 の返送 と行違 いにな った り, また,被調査の都 合などで一定 していない。従 って,質問数や質 問事項 は統一 されていないが, しか し,以下の 質問事項 はなるべ く入れるように した。

( 1 ) 小 ・中学校 における音楽教育の目的 ( 2) 教材の ソース,並 びに,音楽の授業 に役

立っ ソースとその具体的内容

( 3) 音楽教育の内容 ( 音楽 自体に関すること) ( 4) 音楽の専門教育 の効果

また,電話 による聞 き取 り調査の途中で,発 声法の指導 に関 して困難 を感 じている者が多い ことに気付 いたので,それ以降 は,発声法の指 導 に関す ることも, なるべ く尋ねるようにした。

Ⅳ. 調査の結果 と考察 1 . 音楽教育の目的 と効果

表 1は,AI Oの質問の各項 目に○, あるい は

◎ をつけた小学校教員,中学校教員 の人数を示 した ものである。 また , ○を 1点,◎を 2 点 と した合計点 も示 されている。合計点では, 1 位 が工の 「 音楽を愛好す る気持 」( 3 8 点) , 2 位 が アの 「 情操」 ( 2 0 点) とチの 「個人 の表現 力」

( 2 0 点) ,以下, イ 「 音楽 に対す る感性」( 1 9 点) ,

(4)

秋田大学教育学部研究紀要 教育科学部門 第 4 6 集

オ 「音楽 に対す る想 い, 憧 れ 」( 1 8 点) , ツ

「 集団の表現力」( 1 5 点), ウ 「音楽 に対 す る美 的感覚 ( 1 3 点) と続 く。 工とオは 「 音楽 に対す る個人の気持」 とい う意味で は共通 してお り, このふたっを合計す ると 5 6 点 とな り,ずば抜 け て高い得点 となる。

学翌指導要領 には , 「 情操」 と 「音楽 に対 す る感性」を養 うとい う,教科の目標が掲 げ られ ているが, ア ンケー ト用紙 による調査で も, こ のふたつの項 目は高得点をあげている。 しか し, 電話 による調査で は , 「 感情 と情操」 と答 えた 者が 25 人中 , 1 人 ( 小 A) だ けで , 「情操, 感 性 までは考え られない」 ( / トH) , 「情操 に はな ん とな く◎ をっ けた」 ( 小 K) とい う回答 が示 す ように , 「 情操」や 「 感性」 は, 現実 には実 感可能な目標 とはな っていない。

その他,電話 による調査で数 の多か った回答 としては , 「 音楽を楽 しむ, 音楽 の楽 しさ」 と いう意味の回答が 6 人 ( 小 G ,小 H , 小 J , 小 N,小 P.中 C) , 将来のために」 とい う意 味 の回答が 6 人 ( 小 G ,小 H ,小 N ,小 P ,中 D , 中 H) , 「 音楽を好 きにさせ る,音楽 に対す る心 や気持」 とい う意味の回答が 5人 ( 小 E,小 G, 小 N ,中 H) , 「 考えていない」 が 4 人 ( 小 G , 小 H,小 K,申 し) とい う結果であった。

また,音楽能力 自体を育て ることを目的 とし て挙 げる者が少な く, ア ンケー ト用紙の項 目の, ス 「 音楽構造の知的把握力」 とセ 「 音楽構造の 感覚的把握力」の合計点 は, それぞれ 1 点 と 3 点である。電話 による調査で も,音楽 自体 に関 わることを目的 として挙 げたの は , 「音感 を育 て る」が 2人 ( 小 E,小 P)のみである。

表 1

これ らの ことか ら,音楽教育 の目的について は,世間一般 に受入れ られているような,音楽 に対す る気持や態度 などを,漠然 と目標 として 挙 げているように思 われ る。 また ,B llの質問 とも関係す るが,音楽を構造や技法 として捉え る視点 も殆 どない。

表 2は,A了の質問の回答の結果 を 5段 階評 価 に置 き換えて表 に した もので ある。教育 の効 果 について否定的に評価 している者 は,中学校 教員が 1 人のみで,残 りの者 は, ウ 「どち らと もいえない」か,肯定的に評価 している。肯定 的に評価す る理 由としては , 「心 や気持」 に関 す ることが多 く,回答例 と して は , 「よ り美 し い ものを求 める心が育 っ 」 ( 小 D) , 「子供 の内 面 に何かが育 って い る」 ( 小 Ⅰ ) , 「人間性 の向 上」 ( 中 R) , 「 心を育て る教科である」 ( 中 0) ,

「自然 な気持の表現である」 ( 小 S) な どが挙 げ られ,1 5 人中 8 人 が心 や気持 に関す る回答を し ている。 その他の回答 として は , 「様 々な音楽 に触れ られ る」 とい う意味の回答が 5 人 ( 小 K , 小 T ,中 A ,中 B ,中 F) , 「 音楽の楽 しさ, 莱

しさに触 れ られ る」 とい う意味 の回答 が 3 人 ( 小 0,中 B, 中 N) とい う結果 で あ った。 全 体 としては , 「 音楽 はよい もの, 美 しい もので あ り, それに触れると心や気持が育 ち,将来の ために もなる」 というよ うに,音楽教育の効果 を捉 えているよ うで,音楽能力の発達の面か ら, 教育効果を評価す る視点 は無 いようである。

電話 による聞 き取 り調査で は , 「これ まで教 えて きて,具体的 にどのような効果があ りま し たか」 とい う質問に対 して , 9 人中 4 人が 「効 果がある」 とす る,何等 かの回答を し , 5 人が 教育の 目的

+ イ 岳ウ エ オ カ 辛 ク 】ケ コ サ シ らス セ ソ 夕 チ ツ チ

小 ○ 3 1 0 6 7 5 2 2 1 2 1 2 ̀ l ( 5 5

T

小 小 計 巨3 1 2 8 1 7 1 1 2 2 1 2 1 2 1 0 0 0 0 l l弓7

中 ◎ 1 8と1 1 i 】 1 1

中 小 計 上 7h 十 丁 1 2 6 6h h 1̀1I3 2日 9 8.1

小中合計 卜2 0 1 9日3 3 811 8 3 4 7 8 4〜4 2 1 73 2 3?2 0 1 5j1

(5)

表 2 教育 の効果

小 学 校 } , . 6 ( 8 1 3. 6

具体的な 「 効果 は無 い」 , あ るい は 「恩 いっか ない」 と回答 した。 それ らの具体的な回答の内 容 は,以下 のような ものである。

効果があ った とす る回答の内容

「 半音づつ移調す ることによって,声が出 るようにな った。好 きな楽器を触 らせてい る」 ( 小 E) 「叫ばな くな った」 ( 小 Ⅰ )

「 鍵盤楽器の指使 いが出来るようになった。

教 師 の伴奏 によ って歌 うよ うにな った」

( 小 P) 「 声 に対 す るイメー ジを持 っ よ うにな った 。 1 年生で は 2 部合唱 も満足 に 出来ないが , 2 年生で は 4 部合唱で歌 え る ようになる」 ( 中 D)

効果が無 いとす る回答の内容

「 効果があ った, よか ったとい う実感がな い」 ( 小 D) 「 無 い」 ( 小 G) 「小 学 校高学年, 中学校では音楽の授業 はや って もしよ うがない」 ( 小 K) 「 恩 いっか な い」 ( 小 N) 「 授業 で は音楽 の力 はつ け

られない」 ( 申 し)

調査対象 の人数が少 ないので断定 は出来ない が,音楽教育 の効果 は , 「音楽 に対 す る態度 や 気持」などの面か ら捉 え られて お り, 従 って, 音楽能力の面か ら異体的な効果を改めて問われ た場合 には,上記の回答内容が示すように,回 答 に窮す る教師が,かな りの割合 に上 ると判断

してよいのではないだろうか。

2 . 音楽教育の内容 について

質問 Bllで は, 音楽 自体 に関 わ る教育 内容 を回答 として求 めたが,回答 は,音楽 に対す る 態度等 も含 めて,多岐に渡 っている。音楽 自体 の主な学習内容を整理す ると以下のようになる。

・楽器の演奏技術 ( 小 D ,小 F ,小 R ,小 S , 中 B ,中 D ,中 M ,中 Q)

・発声法 ( 小 F , 小 Ⅰ , 小 R , 中 B , 中 D , 中 M ,中 Q)

・表現,曲想 の表現 ( 小 D,小 Ⅰ , 小 0, 小 T ,中 D ,中 Q)

・音程感覚 ( 小 M, 中 Q)

・響 き,音色 ( 小 F,小 L)

・音 の重 な りによる響 き ( 小 B)

・楽譜,楽典 ( 小 Q ,中 A)

・音楽的知識 ( 中 A,中 Q)

・歌唱 における集団の表現 ( 中 G)

・系統的な合唱指導 ( 中 R)

・創作 ( 小 S , 中 A)

また,質問の意図か ら外れた、音楽 自体 とは 直接,関係 しない学習内容 を挙 げた者 も多数 い

る。

・音楽 に対 す る態度 や意欲 ( 小 L, 小 M, 小 Q ,小 T ,中 B ,中 C ,中 Ⅰ ,中 N)

・音楽の楽 しさ,喜 び ( 小 R , 中 C , 中 F , 中 H,中 N)

・雰囲気,協調整 ( 小 M, 中 Ⅰ ,中 R) ア ンケー ト用紙 による調査 で は , 「系統 的 な 合唱指導」 ( 中 R) とい う回答 を除 いて は, 音 楽構造や音楽技法を意識 している者 は, ほとん どな く,誰で も考えつ く楽器の演奏法や発声法, 曲想 の表現等が指導内容 として挙 げ られている

し,質問の意図か ら外れた音楽 に対す る態度や 気持を教育内容 として挙げた者が多数いる。従 っ て,音楽 自体 に関す る具体的な指導内容, ある いは,音楽能力 に直接関わ る指導内容 は,演奏 技術 を除いては殆 ど意識 されていないといえる。

また , 「 音楽だか ら,歌や楽器 が出来 なければ な らないとい うことはない」 ( 小 J) , 「技術 で はな く,一生懸命表現 しようとす る努 力」 (中 C) とい う回答 もあ り, このような考 え方 か ら は,必然的に 「 気持や態度」 自体 を指導内容 と す る傾向を産む ことになる。

上記 の推測 の妥当性 は,電話 による聞 き取 り 調査 によって も裏付 け られ , 「音楽構造 や技法 等 を意識 して教えていますか」, とい う質 問 に 対 して ,2 6 人中 「 考える」 は 1 人 ( 中 R) , 「あ る程度 は考え る」 は 2 人 ( 中 G , 中 N)で,残 りの者 は 「 殆 ど考えない」 (2 人) か 「考 えな い,意識 しない」 ( 21 人) とい う結果であった。

また,言葉 を換 えて,具体的な指導内容 に関

(6)

秋 田大学教育学部研究紀要 教育科学部門 第 4 6 集

して尋ねた結果,以下のような回答が得 られた。

・楽譜,楽典 に関す ること ( 小 C ,小 D , 小 E,小 F,小 Ⅰ , 小 K, 小 P, 小 F, 中 Ⅰ , 申 し)

・楽器 の演奏技術 ( 小 A,小 E,小 F,小 P)

・表現,曲想 ( 申 し,中 N)

・音の積み重ね,‑‑モニー ( 小 E , 中 G , 中 J)

・演奏技術 ( 申 し,中 M)

・発声法 ( 小 Ⅰ ,小 P) ・響 き,音色 ( 小 E)

・音楽の美 しさ ( 小 C)

・楽器 についての知識 ( 小 P)

・楽 しさ,意欲,態度,雰囲気等 ( 小 A,小 B,小 C ,小 D ,小 H ,小 P,中 C , 中 D ,

中 M)

その他 , 「 生徒が 自分で音楽 の よさを発見 す る」 , 「 何を教えるかわか らない」 とい う意味の 回答 もあった。

・生徒が音楽のよさを自分で見つける ( 中 E, 中 H)

・自分で も何 を教えてい るのかわか らな い ( 小 G)

・何を教え るかを模索中 ( 小 G)

・教 えていることは特 に無 い ( 小 K,小 N) 3 . 教材のソース,並びに,教育する音楽の種

類 について

表 3は, C2の質 問 の結果 で あ り, 小学校, 中学校別の人数 と○を 1 点,◎ を 2 点 に換算 し た合計点を示 している。教材のソースとしては, 1 .教科書 ( 32 点) ,2 . 教科書 以外 の歌 唱 の曲 隻 ( 2 6 点) ,3 . 教科書 ・指導書 には掲載 されて

いない レコー ド ,CD 等 の 曲 ( 24 点) , 4. 教科 書以外の器楽 の曲集 ( 23 点) ,5. 指導書 ( 22 点) の順 に得点が高い。

表 4はC3の質問の回答結果を表 に した もの であ り,小学校別 に,授業で扱 うすべての曲の うち,教科書 に掲載 されている曲がおよそ何%

を占めるかを ,1 0% 区切 りに、回答者 の数 を示 した ものである。回答者が適当に記入 した数字 をそのまま表 に しているので,数値 の信頼度 は あまりないが,教師の教科書依存度についての, およその傾向を知 ることが出来 る。表 4 か らは, ( 1 ) 小学校で は,殆 どの教師が教科書 を中心 に し ているが,教科書教材 に半分程度 しか依存 しな い教師 も若干名 いること ,( 2 ) 中学校で は小学校 とは逆の傾向にな り,教科書 を中心 とす る教師 は少数で,割合 にば らつ きがあ りなが らも,多 くの教師 は教科書以外の教材 に多 く依存 してい る, ということがわか る。教科書教材の占める 割合の単純平均 も,歌唱教材,器楽教材,鑑賞 教材の別 に,小学校では 76 . 4% , 72. 8%, 76 . 4

%であるのに対 して,中学校では ,56 . 4% ,5 1 , 4%,62. 1% となっている。

この ことは,指導書 に対す る依存度 にも現わ れてお り,全体 としては指導書を参考 に してい る教師 は多 いが,中学校では,小学校 の約半数 にな っている。 また,電話 による聞 き取 り調査 では , 「 指導書 は授業の実情 に合 わず, その通 りには教え られない」 ( 中 A, 申 し) , 「参考程 度 にす る」 ( 小 D,小 J , 小 P) , 「目を通 す が 子供 には伝 わ らな い 」 ( 小 N) , 「指導書 の通 り に教え るには生徒 の能 力 が低過 ぎる」 (中 K, 申 し) とい う回答 もあ り,指導書 の内容を取捨 表 3 授業のソース

ア イ ウ

オ ≡ カ ∋ キ ■ ク … ケ 1 コ

小 ◎ 3 1 2 2 0 1 0 0 0 0

小 小 計 1 7 1 5 1 4 1 2 § 5 1 0 3 5 ( 3 2 中 ○ 1 3 7 【1 0 l l 4 1 2 5 6 4 4

中 ◎ 1 0 1 0 0 1 0 00 0

(7)

表 4 全教材に占める教科書教材の割合

選択 した り,参考程度 に止める教師が多いと推 測 される。

教科書教材以外では,小学校 で は , 「秋 田県 音楽教育研究会」編集の 『みんなの歌』 という 歌集が広 く使われ, また,小 ・中学校 とも,莱 者か ら見本 として送 られて くる歌集や CD か ら 選曲す ることがほとん どである。電話 による聞 き取 り調査 によれば,中には , 「自分 で探 して 買 った歌集や CDを使 う」 ( 小 J , 中 N) , 「音 楽教育雑誌の付録 の楽譜 を楽 しみ に して い る」

( 中 D) とい う教師 もいるが, 殆 どの教 師 は積 極的 に曲を探す ことはせず,手元 にある曲集等 を利用 しているようである。

4 . 教材選択の根拠 について

D4 の質問に対 して推薦曲を挙 げたの は, 電 話 による回答者 5 人を含み , 33 人中 1 9 人,推薦 曲が無 い, あるいは恩 いっかないと答えたのが 1 4 人 とい う結果であ った1 I 5 ) 。 しか し, 推 薦 曲を 挙 げた者 の中には,明 らかに,苦 し紛れに挙 げ た者,積極的な意味が無 いままに適当に挙 げた 者が多数 いると,容易 に想像で きる。

教材 の選択 に対す る根拠 について は,推薦曲 の無 い教師が多 いということ自体,全体 として は,選曲の根拠がそれほど無 いとい うことを示 している。 また, この ことは電話 による聞 き取 り調査で,年配 の教員が , 「他 の先生 は業者 か ら送 られて くる見本か ら,適当に,思 いつ きで 選曲 している。何のために選んだか とい うこと

歌 唱 器 楽 観 賞 中 1 0% 1

中 2 0% 2 3

中 3 0% 2 2 1 中 4 0% 2 1 中 5 0% 3 1 i r 中 6 0% 3 2 1

! * 7 0% 1 i 4

… 中 8 0% i 4 ミ 3 3

! * 9 0% 1

がない し , 2,3年 に渡 る展望が ないので不満 を感 じる」 と回答 した内容 とも一致す る。

アンケー ト用紙 に回答 された主な推薦理由は, 以下 の通 りである。

・旋律,曲の美 しさ,覚 え易 さ,親 しみ易 さ など ( 小 M,小 J ,小 T ,小 Q ,中 C , 中

Ⅰ ,中 Q)

・子供が乗 り易 い ( 小 J ,小 0 ,中 G ,中 F)

・子供が好 き,喜ぶ ( 小 B ,小 J , 小 T , 中 C ,中 D ,中 N)

・演奏技術の難易度, 段 階性 ( 小 J , 中 A, 中 Ⅰ ,中 Q)

・発声練習 に適す る ( 小 0 ,小 R , 中 B)

・‑ーモニーが とりやす い, きれ い ( 小 T , 中 C ,中 Q)

・曲が感動的,素晴 らしい ( 中 D, 中 M) また,電話 による聞 き取 り調査で, 回答 され た主な選曲の基準 は,以下 の通 りであ る

・生徒の好み,生徒が選曲 ( 小 G, 中 A,中 B,中 E)

・テ ンポ, リズム ( 小 A,小 F,中 B)

・乗 り易 い曲 ( 小 G ,申 し)

・ポ ップス系 ( 中 B)

・教師の好 きな曲 ( 小 K,小 N,中 C,中 N)

・歌詞が理解 出来 る曲 ( 中 D)

・教科書 の曲 ( 小 K,小 N,中 C, 中 N)

以上 は,音楽上の根拠 にはそれほど基づかず,

適当に回答 した ものと推測 されるが,ある程度,

苦楽構造や技法を意識 した回答 もある。

(8)

秋田大学教育学部研究紀要 教育科学部門 第 4 6 集

「 全員で合せ られる曲」 ( 小 E) 「‑ ‑モ ニーで合せ る曲」 ( 中 A) 「各声部 は簡単 だが,合せ るときれいな曲」 (中 D) 「各 パ ー トが, それぞれ 目立 つ部 分 の あ る曲」

( 中 B) 「 和声的 な もの よ りも対位 的 な も の。全員 ( 各声部)が主役 になれ る曲」 (中 R)

上記の回答例のように,少数 なが らも, ある 程度の音楽的根拠 に基づいて選曲を している教 師 もいる。 しか し , 「 授業 をや るだ けで精一杯 で,授業 の直前 に何を教 えるかを考 え る」 (申 し) と言 う回答 に代表 され るように, 全体 の傾 向 としては,多 くの教師が明確な選曲の根拠 は な く, ただ何 とな く選曲 しているようである。

また,電話 による聞 き取 り調査で は,子供 に 選曲をさせた り , 「 子供 に発見 させ る」 (中 J) ,

「 子供 に学習計画を立 て させ る」 ( 小 J , 中 E) といった,子供 の主体性を重視 した回答が多 い が,選曲 も含 め,教師の根拠 の無 さが, このよ うな指導法を産む一因にな ってい ると考え られ る。

5 . 音楽の専門性 について

教職 に就 いた時 に備 えて,大学 において何を 学べばよいか という質問 ( E2 0) に対 して は, 様々な回答があ り,分類す るのが難 しいが,主

な回答 を内容を挙 げると,以下 の通 りである

・得意な技能, 専 門性 を持 っ ( 小 Ⅰ , 小 L , 小 Q ,小 S ,中 Ⅰ ,中 G ,中 N)

・幅広 い知識,技能 を もつ ( 小 0 ,小 Q ,中 D, 中 M,中 N)

・様 々な音 楽経験, 様 々な ジ ャンルを知 る ( 小 K,小 L,中 A,中 F, 中 G)

・弾 き歌 いの能力 ( 中 B ,中 C ,中 Q)

・具体的な教材等 を知 る ( 小 B,小 D,小 F, 小 R)

・生徒指導 ( 中 H,中 K,中 R)

・人格を磨 く,人生経験 ( 中 Ⅰ ,中 Q) その他の回答 としては , 「他 分野 も含 め る 広 い視点」 ( 小 C) , 「 音感 を育 て る」 ( 中 Q) ,

「コー ド伴奏 の能 力」 (中 B) , 「合 唱経 験 」 ( 中 Q) , 「吹奏楽の指導法」 ( 中 B) , 「 音楽 に

対す る憧れの気持 を持つ」 ( 小 J) , 「子供 と 音楽が好 きになる」 ( 中 N) とい うことが挙 げ られていた。

音楽の専門性 は,一般的には,教育 の手段 と しては有用であると考え られているし,上記 の 結果か らも,卒業生 は , 「 得意な技能や専門性」

は,義務教育 の音楽の授業では有用であると捉 えているといえる。 この ことについては,電話 による聞 き取 り調査で も質問 したが,紙数 の制 限 もあるので,詳 しく論 じることは今後 の機会 に譲 り, ここでは,発声法 な ど ,2,3 の問題 に絞 って,触れ ることにす る。

電話 による聞 き取 り調査の途中で,発声法の 指導 に困 っている教師が多 いことに気付 き,そ れ以降 は, 出来 るだけ発声法 の指導 について質 問す ることに した。 その結果,「( 子供 の)発声 法がわか らず,指導 に困 っている」 とす る教師 が 6 人 ( 小 B ,小 D ,小 G ,小 Ⅰ ,小 H ,中 D ,

「 発声法 については気 にかけて指導 しているが, 思 い通 りにはいかない」 が 3人 ( 小 J , 中 A, 中 H) , 「ある程度指導す るが困 らない」が 2 人 ( 小 E,中 B) , 「あま り気 に しないので困 らな い」が 5人 ( 小 K, 小 N, 中 F, 中 I , 中 R) とい う結果であ り,発声法を気 にかけている教 節, あ るい は重視 す る教 師11人 の内, 9 人 は

「困 っている,思 い通 りにはいかない」 とい う ことになる椅 ) 。 また,教師 があ る程度 の発声法 の技術 を習得 していて も , 「声楽家 の声 は生徒 には変 に聞える」 ( 小学校教員) , 「歌 曲 の発声 法 は生徒 には奇抜だ と受取 られ る」 (中学校教 員) とい う回答 もあ り, この ことは,教育実習 生 に歌の指導を受 けた小学生の感想 とも一致す る。従 って,発声法 に関 しては,専門性 は義務 教育の音楽の授業 とは,直接的な関係 は無 いと 言 えるようである。

また,身 につけていれば音楽教育 の有効な手 段 とな る編曲,作曲の技術 を,音楽の授業で用 いているのは 1 人だけであ り, それ も,年配 の 教師であった r 7 ‑ 。

詳細 に論 じることは後 の機会 に譲 るが、義務

教育 の音楽の授業 に直接生かされている音楽の

専門性 は,主 として ピアノの伴奏能力 と, ある

(9)

程度の音感であ り, その他の能力 は,音楽教師 としての精神的な支え として作用 していると言 え る。

6 . 卒業生全体 に共通する傾向 ( 結論) 卒業生 にとって, この調査 の質問事項 は回答 す るのが難 しい らしく, ア ンケー ト用紙 の回答 を返送す るように電話で依頼 した者が1 1 人おり, その うち 4 人 は, ア ンケー ト用紙 の回答が返送 されないままであった。回答 が難 しい理 由 は, これまでに示 した調査結果か ら明 らかである。

「 音楽構造や技法等,音楽 に直接関わる具体的 な指導内容」が卒業生 に殆 ど意識 されていない とい うことは,苦楽 自体 に関 しては、技術や表 現を除いて は,具体的 に教えることが無 いとい うことを意味す る。 ま して , 「音楽 は技術 で は ない」 とい う考えを もつ教師に至 っては,具体 的に教 えることが全 く無 くな って しまう。

従 って,全体 として具体的に教えることが無 いのに , 「何 を教 えて い るか」 を問 われた り,

「 音楽教育 の効果」 を問われた りした時 には, 音楽以外の ことに理 由を求め , 「音楽 に対 す る 態度や気持」 に関す ることを挙 げた り , 「将来 の為 に,様 々な音楽 に触れてお く」 とい った, 漠然 とした内容の回答 になるか,あるいは 「 何

も教えていない」、「 効果 はない」 と答えるよ り 他 はな くなる( a ) 。「 何を教えているのかわか らな い」 , 「 音楽 の授業の効果 はない」 と電話で答え た教師がいたとい う事実 は, この ことを証明 し ているし,調査の結果 , 「 気持」 や 「態度」 を 音楽教育 の目的や内容 とす る者が多 いのは, こ のよ うな理 由か らと考え られ る。

しか し , 「 音楽 に対す る気持 や態度」 を教 え ることが可能であるとして も, それ は,何等か の様式や技法 に乗 っ取 った音楽の指導を通 して であ り,直接的に 「 気持や態度」を教えること は出来ない。 また,具体的な目的や指導内容が 意識 されていなければ,当然,教材選択 の根拠 も無 い し,授業の性質 も,何かを教 えるとい う よりも,授業 の成立 自体を目的 とせざるを得な くな り,音楽の授業の本質ではない部分が 目的 化 され,不必要 に膨 らんでいかざるを得 な くな

る。先 にも指摘 したように,子供 の主体性を重 視 した指導法が多いの も,教 える側 に確たる指 導内容 とその根拠がない ことが一因 とな ってい

ると考え られる。

以上の結果,義務教育 における音楽の授業は, 音楽能力 自体を身 に付 けさせるという意味では, 有効 には機能 しな くなる。 それに対処す るため

に,大学 の 「 音楽科教育法」 の授業で はこれ ら の問題点 を扱 い , 「 義務教育 において, 教 え る 価値のあると思 う曲を 1 曲挙 げ,その根拠 につ いて述べなさい」 とい う課題 も与え,発表 させ ている。 しか し,学生 は所謂,作文 を し,学生 自身 も作文であることを認 めている。 このよう に,所謂 , 「 作文をす る」 とい う意 味で は, 学 生 は,在学中 も教職 に就 いてか ら後 も,同 じ行 動を繰 り返 しているといえる。 その例を挙 げる と,在学中は教育的であ り,価値があると漠然 と考えていた リー トを教 えて い る教 師 は, ( 電 話 による聞 き取 り調査では)誰 もお らず,歌謡 曲を教える教師が現れようになる。 また,同一 の実技の分野が専攻で卒業 す る 3 人 の学生 に,

「その分野で好 きな演奏家 は誰 か」 と授業 中 に 尋ねた ところ ,2 人が 「誰 とい うことはな く, ただ何 とな く」 という意味の ことを答え, もう 1 人 は,知 っている有名な演奏家の名前 を挙 げ ただけのようであ った。

学生 は教職 に就 いた後,音楽や,音楽教育 に 対す る考え方を大 きく変え るよ うに見 え るが, それは表面上だけであ り,根本的には変 ってい ないと仮定で きるので はないだろうか。すなわ ち,在学中 も卒業後 も , 「自分 が属 す る特 定 の 価値集団の中で,最 も都合のよい身の処 し方を す る」, あるいは , 「 周 りの状況に自分を合せる」

とい う意味では,思考法や行動 のパ ター ン自体 は変 っていない。従 って,教職 に就 いてか ら後 の彼等の教育内容や方法 も, 自分 自身を周 りの 状況 に合せ るとい う,対処療法的な ものにな ら ざるを得 ないといえるのではないだろうか。

( 1) 秋田大学教育学部音楽科以外の卒業生が ,3 8 人

(10)

秋田大学教育学部研究紀要 教育科学部門 第 4 6 集

中 2 人,含 まれて いる。

( 2 ) アメ リカの民族音楽学者 ,Al anP.Me r r i am は,音楽 を人 間の行動 の所産 と して捉 え, その う ちのひ とつ に 「 学 習行動」 を挙 げて い る。 「音 楽 教授行動」 とい うの は ,Me r r i am の考 え方 に基 づ いた筆者 の造 語 で あ る 。TheAnt hropol ogy ofMus i c,Nor t hwe s t e r n Uni v e r s l t y Pr e s s , 1 9 6 4.

( 3 ) 質 問の前 に付 け られてい る数字 は, ア ンケー ト 用紙 の質 問番号。本文 で は ,「 A I Oの質 問」 とい

うよ うに引用す る。

( 4) 調査対象者 の うち,小 学 校 教 員 は小 A か ら小 T まで, 中学校教員 は中 A か ら中 R まで の符 号 をつ けて, 回答者 を特定 して いる。

( 5) 推薦 曲が ない者 には

,

「 教 師 の指 導 法 が それ ぞ れ異 な るので,他校 のすべての教員 に は推薦 で き

ない」 ( 小 F) , 「曲 自体 よ りも,編 曲が重要」 (中 R) とい う回答 もあ る。

( 6 ) 「今,勤 めて い る学校 は生徒 が素直に歌 うので, (その先 の発 声法 を ど う指導 して よ いか とい う点 で)却 って困 る」 ( 中 D) とい う回答 もあ る。

( 7 ) 6 人 に質問 したが, その うち 3 人 は作曲,編 曲 の能 力 が高 い。他 の質 問 な どか ら,作 曲,編 曲 の 技術 は授業 で活用 して いない と容易 に想像 され た ので,少数 の者 に しか質 問 して いない。若 い教員 は, ほぼ全員,授業 で は編 曲,作 曲の技術 を活用 していない と推測 され る。

( 8 ) これ は,極 端 に論 じてい るのであ り,実際には, どの教師 もあ る程度 は具体 的な ことを教 えて い る ので,「 何 も教 えていない 」 , 「 授業 の効果 はない」

とい う回答 は少 な くな る。

表 4 全教材に占める教科書教材の割合 選択 した り,参考程度 に止める教師が多いと推 測 される。 教科書教材以外では,小学校 で は , 「秋 田県 音楽教育研究会」編集の 『みんなの歌』 という 歌集が広 く使われ, また,小 ・中学校 とも,莱 者か ら見本 として送 られて くる歌集や CD か ら 選曲す ることがほとん どである。電話 による聞 き取 り調査 によれば,中には , 「自分 で探 して 買 った歌集や CDを使 う」 ( 小 J , 中 N) , 「音 楽教育雑誌の付録 の楽譜

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