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一 学力偏差値と性格偏差値の導入(1)

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(1)

学力偏差値と性格偏差値の導入(1)

性格偏差値とその綜合化一

佐藤良一郎*・宇喜多義昌**・小野英夫***

1,はじめに

 明星大学研究紀要一理工学部一第21号で,表記題目(1)として性格偏差値の導入の発表 をした。すなわち,性格とは一応(積極性,明朗性,協調性,計画性,自主性,社交性,耐 久性,誠実性,研究心,責任感)を総合したものとし,各個人につき積極性偏差値,明朗 性偏差値,等々の各項目について偏差値を求めた,例えぽ積極性偏差値の導入では,各個 人の積極性の絶対評価は困難であるが,集団の中でのA氏の積極性の順位は研究紀要21号 の小文で示したように比較的容易である。したがってその累積相対度数(これをC.R(A)

とかく),このC.R(A)から偏差値yを次の式で決定する。

        C.R(ノ1)=FAr(5。,1。・)(y)=ゴyA=F故5。,1。ボ1(C. R(A))  ……(1)

 ここに,FN(50,10・)(y)は,平均50,分散102の正規分布をなす確率変数Yの累積分布 関数である。他の明朗性,協調性等の9項目についても同様に偏差値を求めることを提唱

した。

 本文第2節で,某大学同一ゼミ学生15人につき積極性,明朗性,社交性,誠実性,研究 心の5項目につき各人の偏差値を求め,その調査結果を発表する。

 第3節では,上記5項目を,独立変量となる新性格値に変換するために主成分分析を行 い,実験データにもとずく新性格値ベクトル(主成分ベルクト)を検討する。

 第4節では主成分の情報量をもとにして,特に第一主成分は外面的活動性を表す量,第 二主成分は内面的充実性を表す量とみられ,.この2次元ベクトルは各人の性格が集約され ることを示す。この実験データの解析計算は昭和大学医学部増田文夫氏,東京理科大学理 学部二部東農児講師,松本年男氏の計算によるものである。

2. 実験データからの性格偏差値

 某大学四学年で同一ゼミ学生15人につき,性格項目のうちの5項目。

 積極性(x),明朗性(y),社交性(x),誠実性(の,研究心(v)の偏差値を,1 の(1)にもとずき

      X=.FN(50,10汀1(積極性C. R)

      y=FN(50,10・) 1(明朗性C. R)

      之=FN(50,10・ジ1(社交性C. R)

      U=FN(50,10・)−1(誠実性CR)

      V=FAr(50,エ0・)−1(研究心C. R)

* 明星大学名誉教授

** 一般教育教授 数学

***一般教育教授 数学

(2)

を求め,15人の小集団でのσRであるために各人偏差値に起きる誤差を小修正した結果 が次の表である。

      ○実験例(同一ゼミ大学生15人)(表1)

個人 積極性 明朗性 社交性 誠実性 研究心

 1)

 2)

 3)

 4)

 5)

 6)

 7)

 8)

 9)

10)

11)

12)

13)

14)

15)

48.4000 44.1000 58.4000 48.4000 45.9000 51.8000 41.1000 6i.1300 66.7700 66.7700 33.3600 55.0000 37.2500 51.8000 41.1000

63.6600 38.7600 45.9000 56.8000

43. 2000

48.4000 43.200b 52.7000 50.9000 73.4000 48.4000 58.5300 38.7600 55.0000 33.3600

49.2700 37.2500 47.5300 56.8000 45.9000 50.9000 44.1000 52.7000 63.6600 73.4000 41.1000 58.5300 33.3600 55.0000 41.1000

63.6600 47.5300 45.9000

44.ユ000

73.4000 50.1000 58.5300 41.1000 33.3600 50.1000

55. 0000

56.8000 37.2500 41.1000 52.7000

44.1000 50.1000 73.4000 33.3600 63.6600 50.1000 55.0000 58.0300 52.7000 42.1000 40.5000 58.0300 37.2500

46. 7000

46.7000

Mean

50.0853 50.0646

50. 0400

50.0420 50.1153

S.D.

10.1520 10.4545 10.4961 10.4916 10.5014

ee

e

O e

●e●

ee e

  oo

e e

eL e e e e    ee

9 L

〜99

9 9

〜u⊃め

9 S

〜寺

忠〜9£っ

9 S −−9Z 9 L

〜99

9 9 〜口9

鵠〜忠

等〜9e

m S

〜鵠

9 L

〜99

9 9

t99

9 9

〜等

9 V

〜9S

9 S

〜吉

 e●e ●●●e

●●

 ●eeeeee・

●●e

9 L

〜鵠

9 9

〜鵠

9 9

〜忠

忠−−9g

g

£っ

〜9Zq

g L 〜嶋0 9 9

〜鵠

9 9

〜9V

9 V

〜9S

9 S

〜畏

(3)

不偏分散共分散行列(表2)

103.0632 63.7013  89.8797

36.2238  36.9966

63.7013 109.2977 90.7500  2.9245

22.3786

89.8797 90.7500 110.1684

17.6094

0.1160

36.2238  2.9245

17.6094 110.0737  25.4691

36,9966

22.3786

− 0.1160

25.4691 110.2806

これから見通されるように積極性(x)と明朗性(y)と社会性(x)の2項目間には順 相関が強いこと,またこれら3項目のいずれも,誠実性,研究心とは余り相関はみられな い,しかも積極性と誠実性は弱い逆相関がみられ,明朗性と研究心についても弱い逆相関 の傾向がみられることに注意しておく。

 これ等は我々教員が経験的に知っているこの5項目の性格間の関連性と一致する。

 このことから単純に性格5項目偏差値の和をもって総合性格値とするのは不適当であ

る。

 そこで各人の性格5項目値(偏差値)を変換して,新性格項目をつぎの要領で作成する。

 (1)新性格項目間の共分散を0とする(相関係数を0とする)ようにつくる。

 (2)新性格項目の各分散を求め分散の大きさの順序に第一主成分,第二主成分,…,

   第五主成分と一応呼ぶことにする。

この方法を数理統計学では主成分分析という。

3. 性格5項目値の主成分分析

 No.1の学生の性格5項目値(X!, y工,Xl,Ul,Wl)をtxエベクトル, No.2の学生の性格 5項目値(x2, y2,22, u2, v2)をtx2とし,以下Nd.15の学生の性格5項目値(エ15, Y15, xlE,

2t15,v15)のベクトルtエ15にいたる。すなわち,(Vt, yt, ny, Ut, Wt)・. txt(i= 1,2,3,…,15).

 Xl, X2,…,X15の分散共分散行列は

      ☆菖(・・一・)t(x・一・)≡s    ……(3・・)

ここに

      ・一吉熱(平均べ・・ル)

であり,これを表1にもとずき計算したものが表2である。

 いま旧性格5項目ベクトルxから,新性格5項目ベクトルyへの直交変換を考える。

       yt=tatX (i=1,2,…,5),ごy=tAx        A=[α1,α2,α3,a4,α5]

ここにαエ,α2,…,α5はいずれも5成分ベクトルで,

 (i)α1,α2,…,α5は互に直交する単位ベクトルである  (ii)atは,λを未知数とする行列式方程式

      lS−RI[ =0(固有方程式という)

・・・…

 (3.2)

の解λ,,λ2,…,λ5(いま21≧R2≧λ3≧21≧2Sとする)の2τに対応する(λi,…,λSを 固有根という)

       (s一λの

を係数行列とする次の連立方程式の解ベクbル(単位ベクトル)である。すなわち

(4)

       〈S−Zε1)α=0→α=at .       … …(3.3)

   これ等at(i=1,2,…,5)を固有ベクトルという。

 (3.1)のSの実現行列表2をつかい固有根2,,22…λ,を求めたものが,次の表(3)で

ある。

(表3)

 21

276、4981

 22

137.2913

 2,

111.9871

 24

12.8753「

25

4. 2319

 a1  0.5550  0.5368  0.6110

− 0.1722

 0.0244

  a2

 0.2109

− 0.1104

 0.0093  0.4874  0.8400

 α3

− 0.2871

 0.4375  0.1093  0.7803

− 0.3243

 a4

 0.1292

− 0.7085

 0.5860  0.2480

− 0,2760

  a5

 0.7404

− 0.0775

− 0.5206

 0.2495

0. 3351

表(3)はα1,α2,…,α5の固有ベクトルも示してある。したがってこれから

第一主成分yl,第二主成分y2,…,第五主成分y5の算出式は

        Y1==O.5550x十〇.5368!ノ十〇,6110x−0.1722tt十〇.0244u         Y2=(),2109x−0.11042ノ十〇.0093z十〇.4874u十〇.8400v         Y3=:−0.2871x十〇.43752ノ十〇。1093z十〇.7803ec−0.3243v        Y4=O.1292x−0.7085y十〇.5860z十〇.2480v−0.2760v         Y5=0.7404x−0.0775y−0.5206x十〇.2495u−0.3351v この(3.4)式にしたがって,15人の学生の新性格5項目値を求めると,

・・・…

 (3.4)

表4

学生No.

 1)

 2)

 3)

 4)

 5)

 6)

 7)

 8)

 9)

 10)

 11)

 12)

 13)

 14)

 15)

 Yl

81.2579 61.0841 79.9867 85,2841 65.6267 78.4317 64.2129 88.7633 98.8282 113.7160 61.1290 89.3481 56.3621 85.9480 57.8987

 Y2 71.7097 70.6193 91.7202 53.9815 94.5895

72. 5582

79.0376 76.3422 69.5826 66.4432 62,9018 82,1122 53.3332

64.6242 

70.2828

 Y3 54.7184 29.2100 20,5229 40.7609 47.3706 34.7157 39.7576 24.5200 19.0010

46.4126,

45.8760 41.7199 26.8977 32.1321 33.2667

 Y4

6.3615

− 1.9748

5.9969  1.0261  2,8540  0.8270

− 0.1187

4.3799  3.5996  0.4425

− 3.4349

− 1.9929

4.1425

2.7403  5.9408

 ?J5 6.3541

5.3228

1.7881 1.6838

3.7194

3.8111 0.2937

4.5442 3.0085  3,9234

− 0.2994

 0.4364

 4, 0175

 0.0578  3.9460

 (3.4)の変換で,Xl,x2,…,x15をYl,〃2,…,〃15に変換すると,明らかにXl…XI5の平

均ベクトルXは,〃1…〃15の平均ベクトルgに変換される。すなわち

(5)

      多霊( =1  2  15)}

で,(3.5)から次式が成立し

[y一9,Y2−9,…,yl5−9]=tA[x一x−, x,一元,…,x15−x]

これから容易に次の関係をうる。

      ☆ゑ(〃一9)・(〃一〃)一喘,量(x・一・)t(x一・)A,

・・・…

 (3.5)

・・・…

 (3.6)

 (3.6)式の左辺は新性格5項目の分散共分散行列で,右辺はtASAである。しかも(3.

3)より,

      tαtSat=2t (i=1,2,…,5)

      tαiSα i=0, i≠」, (i,」=1,2,…,5)

で,(3.6)式の新性格5項目の分散共分散行列表が得られた。

      9ξ5

      276.4981       0       0       0       0 −

         0     137.2913      0      0      0

         0       0     111.9871       0       0

         0      0      0      12.8753      0          0       0       0       0      4.2319

 4.新性格値ベクトル(主成分ベクトル)と綜合性格値

 前節(3.4)で,第一主成分,第二主成分,…,第五主成分算出式を求め,表5から         第一主成分の分散=S,=276.4981,

        第二主成分の分散二52=137.2913,

       

        第三主成分の分散二S,=111.9871, ΣS,=542,8837,

      ・=:

        第四主成分の分散=S, == 12.8753,

        第五主成分の分散=S・=4.2319,

であった。したがって

      第一主成分の情報量=276.4981/542.8837       ≒0.509≒51%

      第一,第二主成分の2成分までとった情報量       =413.7814/542.8837       =0.7622≒76%

第一から第三主成分まででは情報量は約97%であることが分る。

 したがって第一から第三までの主成分の和        Yl+y2十Y3

でもって5項目の性格値の総合化を行い総合性格値とすると良いと思われる。

また(3.4)から

      Yl≒0.56x十〇.54y十〇.61x−0.17u       Y2≒0.21x−0.11y      十〇.49u十〇.84v

と見られるから

 第一主成分3/1は,積極性,明朗性,社会性値の同じ程度の加重和から誠実性値の加重

(6)

を0.17として減じた数値であることから

       外面的活動性 を表す数値とみられる。また

 第二主成分y2は誠実性特に研究心の二つの偏差値が強く加重して表される量であるこ とから

       内面的着実性(内面的充実性)

を表す数値とみられる。

 したがって性格によって就職の採否や,職場配置を決めるときは,ylのみの比較によ って,またy2のみの比較検討によって決定を行うことも考えられる。

5. 結

 本文は性格といわれる各項目を数量化した場合に各項目の量には相関が表れるものであ る。これ等を独立変量項目に直すために主成分分析を行った。その変換された独立変量を 総合して総合性格値とすることを提唱した論文である。これを実験値に従って説明した。

 性格(10項目)の総合化のため決定的な第一,第二の主成分算出式を求めるためには,

更に沢山な個人について同様な解析を行わなければならない。

 本論文と先行論文はともに,明星大学昭和60年度特別研究助成費による助成を受けまし た。また参考図書論文は下記の通りである。

参考文献

ーウピ3456

宇喜多義昌外,学力偏差値と性格偏差値の導入(1)明星大学研究紀要No.21,1985.

Andarson, An Introduction to Multivariate Statistical Analysis 2 nd Wiley 1984.

Morrison, Multivariate Statistlcal Methods, Second Edition, McGraw.Hill 1976.

Arnold, The Theory of Linear Models and Multivariate Analysis, Wiley 1981.

奥野忠一外:多変量解析法 日科技連1971.

奥野忠一外:続多変量解析法 日科技連1976.

参照

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