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特殊型アイスブームの流氷制御特性に関する実験的研究
大 島 静 夫
・長 谷 川 久 芳 *
・榎 国 夫
Experimental s t u d y on C h a r a c t e r i s t i c s o f D r i f t i n g I c e C o n t r o l Due t o Newly Developed I c e Boom
Shizuo OHSHIMA
, Hi s a y o s h i H ASEGAWA and Kunio ENOKI ( 1 9 9 7 年 1 1 月 288 受理)
The Okhotsk Sea c o a s t o f Hokkaido i s c o v e r e d w i t h d r i f t i c e e v e r y w i n t e r . Pack i c e e n t e r s t h e l a g o o n s o c c a s
io n a l l y
.I f a l a r g e b l o c k o f p a c k i c e e n t e r s a l a g o o n , i t w i l l move a r o u n d i n i t and damage s c a
Ilop
,o y s t e r and r e l a t e d c u l t u r e f a c i l i t i e s . Deve
lopment o f t e c h n o l ‑ ogy f o r p r e v e n t i n g i n t r u s i o n o f pack i c e i n t o t h e l a g o o n i s r e q u i r e d a t a l l c o s t s t o g e t r i d o f s u c h d a m a g e .
I n t h i s p a p e r , t h e a u t h o r s r e p o r t t h e e x p e r i m e n t a l r e s u
lt s o f newly d e v e l o p e d I c e Boom u s e d u n d e r s p e c i a l c o n d i t i o n s . The n e w l y d e v e l o p e d I c e Boom i s e a s i e r t o r e p a i r and t o c l e a n up t h a n new t y p e I c e Boom t h a t we h a v e d e v e l o p e d . The i c e c o n t r o
le
任e c to f t h e newly d e v e l o p e d I c e Boom i s t h e same o r more e 妊 e c t i v et h a n new t y p e I c e Boom
.はじめに
北海道沿岸で海氷の影響を受ける水域は,稚内か ら根室半島北側の北海道オホーツク海沿岸である が,まれには利尻,礼文島や太平洋沿岸の根室半島 から襟裳岬の沿岸まで達することがある
。このオホ ーツク海沿岸には,多くの湖沼が存在し,これらの大部分はオホーツク海と直接水路て'繋がっており,
養殖漁業が活発に行われ,また湖内には多くの漁港 が建設されている。 このオホーツク沿岸に流氷が接 岸する時期は年により異なるが通常は
1月下旬であ る
。一方,湖内の結氷時期は1 2 月中旬から下旬であ り,凍結した氷盤により,外海からの流氷の湖内へ の侵入は完全に防がれていた。しかし近年 ( 1 9 7 2 年 内以降),湖内の結氷時期が 1 月下句から 2 月上旬頃 と大幅に遅くなっており,流氷が湖内奥深く侵入し,
湖内を動き回りホタテ員,カキ貝およびその養殖施 設に多大の被害を与える事態が生じている
。この地 方の代表的な湖沼であるサロマ湖においては, 1 9 7 2 ,
7 4 , 7 5 , 7 7 , 8 8 , 8 9 , 9 0 , 9 1 , 9 2 , 9 3 と過去 1 0 回で,
1 9 7 4 年には, 2 3 億円の被害になった。ここ数年は数 千万円 数億円の被害とな
っており,流氷対策は緊g
秋田高専専攻科修了生
急、の諜題とな
っている
。著者らは湖沼への流氷侵入防止施設として, I c e Boom を用いることを
王寺え,これまでに従来型 I c e Boom と新型Ic eBoom の制御効果の比較や,サロ マ湖第 2 湖口における流氷制御模型実験を行ってき た
。本論文では,過去の実験結果についても触れるとともに,新型 I c eBoom の欠点を改良した特殊型 I c e Boom に関する実験について報告する
。2 I c
eBoo
mI c e Boom は米国やカナダにおいて河川の氷盤移 動制御に用いられているものである。浮体をワイヤ ーで連結させ,この浮体によって氷盤を制御しよう
とするものである
。図lに著者らが実験に用いた I c e Boom の模型を示す。
実際には浮体は直径
1m,長き
5 mの鋼管を用い ることを想定している。この従来型Ic eBoom の場 合,流速がある程度大きくなると氷盤は浮体の下か
ら流下してしまう。
そこで流速がも
っと大きくなった場合でも氷盤制御を可能にするために浮体の下にネットを取り付け た新型 l c eBoom を開発した。 それを図 2 に示す。
このネットにより氷盤制御効果を高めることがで
秋田高等研究紀要第33号
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特殊型アイスブームの流氷制御特性に関する実験的研究
図
1従来型
IceBoom干 r ‑ ‑ i ‑ ‑ ‑ i ‑ ‑ r ‑ ‑ i ‑ ~--f1弓
図
2新型
IceBoomきる。ただしこの新型Ic
eBoomの欠点として,
ネット部分への海草や生物の付着の問題がある。ネ ットに海草などが付着すると流体抵抗が増すことに なってしまい,また海水交流に悪影響を及ぽすと考 えられる
。付着物の除去や補修作業を行う場合,ネットが水中にあると非常に不便である。そこで,こ の欠点を補うために特殊型Ic
eBoomを試作した。
この模型を図
3に示す。
この特殊型Ic
eBoomは湖内へ流入する方向の流 速が遅〈流氷がないときは,図
4(a)のように水平に 浮いた状態になっている。流速がある程度速くなっ たり,流氷がトラップされたりすると図
4(b)のよう に下部の浮体が水中に沈んでIc
eBoomは垂直に近
くなる
。この状態で流入してくる氷盤を制御するこ とになる
。そして流氷れが逆方向になり氷盤が湖外に出ていくとにき図
4(c)のように下部の浮体が浮上 する。このように特殊型
IceBoomは全体が浮いて
一十ーー‑‑‑←トーーーー一十¥
V1NII~NI
図
3特殊型
IceBoomいる状態で付着物の除去作業や補修作業ができるよ うになっている。
3種類のIc
eBoomについて,そ の長所と短所を表
1にまとめた。
実際に現地に設置する場合には,自然条件を考慮 して最適なものを選ぶ必要がある
。3 Ice Boom
の氷盤制御能力
上流側から流れてきた模型氷が浮体に接触すると 模型氷は接点を中心として図
4(b)のように回転す
る
。理想的な状態での氷盤の安定は氷盤に作用する4
4
ト田ーー
(a)
J
(b)
一 ー 争
(c)図
4特殊型
IceBoom表
1 3種類の
IceBoomの長所と短所
従来型Ic
eBoom新型Ic
eBoom特殊型Ic
eBoom建設コストが低い 氷盤制御能力が高い 氷盤制御能力が両い 長 構造が簡単 狭い水域での氷盤制御が可能 維持管理が比較的容易 所 維持管理が容易
流れに与える影響が小さい 移動が容易
氷盤制御能力が低い 構造が複雑 構造が複雑
短 建設コストが高い 建設コストが高い
所 流れに与える影響が大きい
維持管理のコストが高い
平成10年2月
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大島静夫・長谷川久芳・榎 国夫
2
New Type Ice Boo皿
Fe
• • controllable 0
ロ
uncontro11 ab 1 eTraditional Type Ice Boom
0
0.0 0.2 0.4 h/
し
0.6図
5 Ice Boomの制御能力
力のモー メントの釣合の式によって表すことができ る。その釣合の式より式
(1)が導かれる
。この式の左 辺はフルード数に相当し
,F e で表せる
。そこで式(1)は式
(2)のように書ける。
「 で 乙ー =f( 字 ) …
(1)J 竿
gh 山,
fJW凡 = f お ( ω
ここで
V:
表面流速,
ρw水の密度,
ρI氷の密度,
sρ:ρw一ρ"g :
重力加速度,
h:氷厚 ,
L:氷盤の代表長 さ
こ の 凡 と h/L の関係を用いてIc
eBoomの氷盤 制御能力を表した。
図
5に過去に行った実験から得られた従来型Ic
e Boomと新型Ic
eBoomの制御可能領域を示した。
丸印は従来型,四角印は新型の実験結果である。そ れぞれの曲線の下側は氷盤制御可能領域を示してい る,従来型
lceBoomの制御可能領域を 示している 曲線は氷盤が回転するかしないかの安定限界を示す ことになる。この図より新型Ic
eBoomの方が氷盤 制御能力が高いのがわかる。
4
実験方法
特殊型Ic
eBoomの実験には図
6に示すような長 さ
10m,幅
80cmの水路を用いた。ポンプの流量を 変えることにより流速を変化させることができる。
こ の 水 路 の 上 流 か ら
5.0m のところ に 特 殊 型 I c e
Ice Boom
~ E
∞
.05.0
m
図6 実験水路
20 20
図
7 特殊型IceBoomBoom
の模型を取り付けて実験を行った。模型の縮 尺は現地調査の結果を考慮して
1/100とした
。図
7に特殊型
IceBoomの模型を示す。上部の浮 体は直径
10mm,長さ
50mmであり,下部の浮体は 直 径
6m m,長さ
50mmである。そして上下の浮体 を直径
2m mの棒で接続しである
。浮体の材料は木であり,比重は約
0.5であった。実際には上部の浮体 には直径
1m,長さ
5 mの鋼管を用いることを想定 している。上下それぞれの浮体には図
7に示すよう に釘を打ってある。これを上部の浮体をつなぐワイ ヤーと下部をつなぐワイヤーの 2 本のワイヤーで図
3
のように,
15mm間隔に連結させた。総延長は
90.5 cmである。実験に用いた模型氷はポリプロピ
レン製で密度は
0.9g/cm3てゆある
。形状は一辺5cmの正方形で厚さは
5m m,
10 m m,
20 m mの
3種 類 を用意した。 これらの模型氷を別々に水路に投入し,
流下きせ特殊型Ic
eBoomによる制御が可能かどう かをそれぞれの流速について調べた。
5
実験結果
今回行った特殊型Ic
eBoomの実験で氷盤の安定 限界を示したものが図
8である。氷盤が回転しなか ったケースは黒印,回転した結果は白 印で示した。
秋田高等研究紀要第33号
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特殊型アイスブームの流氷制御特性に関する実験的研究
2
Fe
0 0.0
ロ ロ ‑ ロ
L=5 cm (square)ロ
•
口
turned・
not turned0.2 0.4
h / L
図8 氷盤の安定0.6
曲線の下側は氷盤の安定領域を表している,図 5 に 示した従来型Ic
eBoomの制御能力を表す点線と比 較してみるとほぼ重なることがわかる 。図
9に従来 型,新型,特殊型の
3種類のIc
eBoomの氷盤制御 能力を示した。それぞれの曲線の下側の領域では氷 盤制御が可能であることを示している。この結果,
特殊型Ic
eBoomは新型Ic
eBoomと同等以上の制 御能力を持つことが明らかとな った 。
S 結 論
1. Ice Boom
の氷盤移動の制御能力はフルード数
F e と氷厚と代表的な長さとの比 h / L の関係に よって表すことができる。
2.
特殊型Ic
eBoomは過去に実験を行ってきた新 型Ic
eBoomと同等以上の氷盤移動制御能力を
もつことが明らかになった。
3.
今後は,模型氷の形状を角型より円形状に変え,
形状による流体抵抗の変化や,種々のサイズの 混合した場合に関する代表的な長きに関する研 究をさらに進めていきたい。
参考文献
[ 1
] 榎 国 夫 , 石 井 千 万 太 郎 , 国 松 靖 , 佐 伯
平成10年2月
3
Fe
~ e
~ / J‑
2
v e J..
(J / n o
。
σノ
。
•
60 4予 今
0
0.0 0.2 0.4 0.6
h / L
図9 3種類のIceBoomの制御能力の比較浩 i I c
eBoomの氷盤移動制御
j.海洋開発 論文集 Vo l . 8 , p p . 1 5 3 ‑ 1 5 8 , 1 9 9 2
[ 2 ] 榎 国 夫 , 田 淵 浩 文 , 国 松 靖 . 佐 伯 浩 :
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j.第
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p p . 2 8 7 ‑ 2 9 3 , 1 9 9 3
[3
] 国 松 哨 , 原 文 宏 , 榎 国 夫 , 佐 伯 浩 :
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‑163 , 1 9 9 3
[ 4 J 榎 国 夫 , 国 松 靖 , 原 文 宏 , 佐 伯 浩 :
「サロマ湖ロにおける流氷侵入防止に関する 模型実験
j.海岸工学論文集 V
0 1.4 0 , p p . 1 0 2 6
‑ 1 0 3 0
,1 9 9 3
[5