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ひきこもる青年の社会参加に影響する要因

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Academic year: 2021

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ひきこもる青年の社会参加に影響する要因

-支援機関にアプローチするまでの体験の質的分析-

キーワード:ひきこもり、社会参加、支援機関

○斎藤まさ子1)、本間恵美子2)、内藤守1)、田辺生子1)、藤野清美1)、佐藤亨2)

新潟青陵大学1) 新潟青陵大学大学院2)

Ⅰ 目的

ひきこもる青年が、社会への第一歩を踏み出すに は、さまざまな不安や緊張を伴うといわれている。斎 藤は、この時期を「社会との再会段階」と分類し、支 援に関心を示すようになる頃から支援を受けるよう になった段階を中心とする時期としている 1)。しか し、この段階にありながら、支援機関への参加に至ら ず家庭内に留まっている青年は少なくない。

本研究では、支援機関を経て就労中、あるいは現在 支援機関に所属するひきこもり経験者に面接調査を 実施し、支援機関の情報を得てから実際に参加するま での心理社会的プロセスを明らかにし、社会参加への 影響要因について検討することを目的とする。

Ⅱ 方法

1. 対象者:北陸、九州地区に在住し、就労あるいは 支援機関に所属するひきこもり経験者 12 名である。

男性 8 名、女性 4 名で、20 代 4 名、30 代 8 名。平均 年齢は 30.3 歳(SD=3.98)、ひきこもり期間は 1-4 年が 9 名、10 年以上が 3 名であった。

2. データ収集:2014 年 7 月~2014 年 8 月に実施し、

面接時間は 1~2 時間で半構造化面接であった。面接 内容は、ひきこもり期間の社会に出るまでの心理社会 的体験、親との関係の変化などであった。

3. 倫理的配慮:研究対象者に、①研究の趣旨、②任 意性、③プライバシー保護、④録音の許可、⑤結果の 利用、⑥データ処理について説明し同意書を取り交わ した。新潟青陵大学倫理審査委員会の承認を得た。

4. 分析方法:木下による修正版グラウンデッド・セ オリー・アプローチを活用し、ひきこもる青年が支援 機関の情報を得てから実際に参加するまでの心理社 会的プロセスを分析テーマとして概念化を行った。

Ⅲ 結果

ストーリーラインは以下のとおりである。<>はカ テゴリー、≪≫はコアカテゴリー、『』は概念を示す。

ひきこもる青年は、家では<ありふれた日常>を送 り、『責められない安らぎ』や『役割のある生活』の 中で『現実感の回復』に至っている。ある日<心揺り 動かされる情報>を得るが、『なかなか出ない初めの 一歩』であり、周りから『無理強いされてもムリ』な 状態で、<時間だけが過ぎていく焦りと不安>の日々 を送る。様々な<せっぱつまった事情>や『年齢に見 合わない自分』『収入のない自分』への責めなどに背

中を押され、さらに『人と関われた』ことや『やった ことの成果と自信』から≪自己の存在の実感≫を持て ることで<腹をくくってハードル越え>に至る。

Ⅳ 考察

1. 行動を起こす前提となるもの

ひきこもりからの回復のためには、親が子への批判 的対応から理解的対応へと変化することが求められ るが、それにより、子がよい方向に変化することが研 究により明らかにされている2)「社会との再会段階」

は親が後者の対応に変化している場合が多いが、分析 結果でもそれが示されていた。竹中が、「家庭内社会 化が、家庭外社会化の導入部となる」3)と述べるよう に、家族の成員としてのつながり・絆の中で、安全で 決められた役割を担う日々の暮らしが、それ以降のプ ロセスを支えていく土台となるものと考えられる。

2. 影響要因

青年が動機づけられた情報を得たとしても、ひきこ もりから一歩社会に出ることは、大きな不安や葛藤、

緊張を伴うため、実際に行動に移すことは容易ではな い。<せっぱつまった事情>はその動機の1つであっ た。『やったことの成果と自信』『人と関われた』の 二者は、自尊感情へとつながるもので、特に『人と関 われた』は、青年が他者から社会人として認められ、

≪自己の存在の実感≫を味わえ<腹をくくってハー ドル越え>ができる、重要な影響要因となっていた。

Ⅴ 結論

行動を起こす前提となるものが、家庭でのありふれ た生活であり、直接的、間接的な影響要因が互いに影 響しあって、社会参加を可能とすることが示唆され た。特に、小さな成功体験や家族以外の第三者と関わ る体験が、大きな影響を与えていた。

本研究は、平成 26-28 年度科学研究費補助金基盤 研究(C)(No.26463511)の助成を受けて行った。

引用文献

1) 斎藤万比古.ひきこもりに出会ったら.27.東京:

中外医学社;2012.

2) 斎藤まさ子.本間恵美子.真壁あさみ.内藤守.

ひきこもり親の会で母親が子どもとの新たな関わり 方を見出していくプロセス.家族看護学研究.2013;

19(1):12-22.

3) 竹中哲夫.ひきこもり支援論.40-65.東京:明石 書店;2010.

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