講 演
治療行為の正当化における患者の同意
Justification of Medical Treatment and Informed Consent
田 坂 晶
*目 次 ₁ は じ め に
₂ 治療行為の構成要件該当性 ₃ 治療行為の正当化根拠 ₄ 治療行為の正当化要件
₅ 同意能力を有さない患者への治療行為 ₆ むすびにかえて
1 は じ め に
今日,医療技術の高度化や,対象の広範化など,医療を取り巻く状況は めまぐるしい変化をみせている。こうした変化にともなって,治療行為 は,日常生活において必要性が高いものである反面,身体や生命を侵害す る危険性もはらんでいるということが認識されるようになってきた。この ため,そうした危険からわれわれの生命や身体を守るために,刑法も一定 の役割を担うことを期待する声も高まりつつある。しかし他方で,医療の 現場への刑法の過度の介入は,医療行為の萎縮を招くおそれがある。した がって,医療の世界に刑法がどこまで介入するべきかという問題は,きわ めて検討の必要性が高い今日的な課題なのである。
*