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総 合 主 義 と 帰 属 主 義 の 違 い ~ 外 国 法 人 等 が 我 が 国 に 支 店 など 国 内 PE( Permanent Establishment: 恒 久 的 施 設 )を 持 つ 場 合 の 課 税 原 則 のあり 方 について~ 外 国 総 合 主 義 (わが 国 国 内

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(1)

参 考 資 料

(2)

本店

国内事業

所得

日本支店に

帰属しない国

内源泉所得

(注1)

外国法人(本店)

国内事業

所得

日本支店に

帰属しない国

内源泉所得

(注1、注3)

総合主義(わが国国内法)

帰属主義(典型例)

申告対象

(全ての国内源泉所得を申告課税)

(PEに帰属する所得のみ申告課税)

(注1)本店が日本支店を介さずに行う直接投資等

(注2)日本支店が行う国外投融資で第三国において課税されているもの

(注3)原則として源泉徴収で課税関係終了

総合主義と帰属主義の違い

~外国法人等が我が国に支店など国内PE( Permanent Establishment:恒久的施設)を持つ場合の課税原則のあり方について~

日本支店(PE)

日本支店(PE)

第三国

支店帰属

支店帰属

外国法人

日本にとって

課税対象外

申告課税対象外

本店帰属

第三国

源泉所得

第三国

源泉所得

(注2)

申告対象

内部取引

認識せず

内部取引

を認識

第三国

1

(3)

本店

日本での

売上による

所得

本店が独自の判断

で日本企業に貸し

付けた結果受け取

る利子所得等

外国企業の本店

日本での

売上による

所得

総合主義【現行】

帰属主義【見直し後】

日本支店による申告対象

(日本で発生した全ての所得に法人課税)

(支店に帰属する所得のみ法人課税)

(注)日本支店が行う国外投融資で第三国において課税されているもの

総 合 主 義 と 帰 属 主 義 の 違 い の 具 体 的 な イ メ ー ジ

~外国企業が日本に支店を持つ場合の課税関係~

日本支店(PE)

日本支店(PE)

第三国

支店に帰属

支店に帰属

日本は

課税しない

申告課税の対象外

(源泉徴収課税)

本店に

帰属

支店の判断

で投資した

第三国企業

への株式投

資から得る

配当所得

(注)

第三国

日本支店による申告対象

支店の判断

で投資した

第三国企業

への株式投

資から得る

配当所得

本店が独自の判

断で日本企業に

貸し付けた結果受

け取る利子所得等

外国企業

2

(4)

外国法人及び非居住者に対する課税原則を帰属主義に見直す場合の考え方の骨子(案)

(1)総合主義から帰属主義への移行

外国法人及び非居住者(外国法人等)に対する課税原則について、従来のいわゆる「総合主義」を改め、

OECD モデル租税条約

7 条の考え方(AOA:Authorised OECD Approach)に基づき「帰属主義」に則した国内法の規定に改めることとしてはどうか。

(2)恒久的施設(PE)帰属所得の位置づけ

外国法人等についてはその国内源泉所得に対して課税するという現行の基本的な考え方を維持しつつ、外国法人等が我が国に有す

PE に帰属する所得(PE 帰属所得)を、国内源泉所得の一つとして位置づけることとしてはどうか。

(3)PE に帰属しない国内源泉所得の取扱い

外国法人等が得た国内源泉所得のうち、我が国の

PE に帰属しないものについては、PE 帰属所得とは分離して課税することとし、

我が国に

PE を有しない外国法人等が得る国内源泉所得と同様の課税関係としてはどうか。

(4)PE 帰属所得の算定

① PE 帰属所得

PE 帰属所得については、AOA に基づき、その PE が本店等から分離・独立した企業であると擬制した場合に得られる所得とし

てはどうか。

② 内部取引

PE 帰属所得の算定においては、AOA に基づき、PE と本店等との間の内部取引について、(移転価格税制と同様に)独立企業

間価格による取引が行われたものと擬制して、内部取引損益を認識してはどうか。

③ PE への資本の配賦・PE の支払利子控除制限

PE が本店等から分離・独立した企業であると擬制した場合に必要とされる程度の資本を PE に配賦することとしてはどうか。

また、

PE が支払った負債利子総額(内部利子を含む。)のうち、その PE に配賦された資本に比して過剰な部分について、損金に

算入することを制限することとしてはどうか。

(5)二重課税の調整

① 外国法人等の PE のための外国税額控除制度の創設

外国法人等の

PE のための外国税額控除制度を創設することとしてはどうか。

② 内国法人及び居住者(内国法人等)の国外 PE に関する外国税額控除

内国法人等の国外

PE に帰属する所得(国外 PE 帰属所得)を国外源泉所得として定義するとともに、国外 PE 帰属所得の算定

に当たっては、外国法人等の

PE 帰属所得と同様に内部取引等を勘案して計算することとしてはどうか。

3

(5)

① 新しい OECD モデル租税条約に沿った共通のルールにより PE 帰属所

得を計算することとなるので、本店所在地国と PE 所在地国から二重に

課税される部分が減るとともに、どちらの国からも課税されない「課税

の空白」を減らすことにもつながる。

② 租税条約は帰属主義に基づく規定となっているため、条約と国内法の

整合性が図られる。

帰属主義に見直すことの意義

4

(6)

総合主義から帰属主義への移行の意義

(二重課税又は二重非課税のリスクの緩和)

事業所得課税の課税範囲として多数の国が採用しているPE帰属所得の概念を導入することで、

二重課税又は二重非課税のリスクの緩和が期待できる。

外国

外国

外国

日本

日本

日本

本 店

本 店

本 店

二重課税

PE(支店)

PE(支店)

PE(支店)

二重非課税

5

(7)

第三 検討事項

11 非居住者及び外国法人に対する課税原則については、OECD モデル租税条約の改定等を踏まえ、

様々な産業における実態や影響等を考慮しつつ、いわゆる「総合主義」に基づく従来の国内法上

の規定を、OECD 承認アプローチ(Authorised OECD Approach)に沿った「帰属主義」に基づく

規定に見直すとともに、これに応じた適切な課税を確保するために必要な法整備に向け、具体的

な検討を行う。

平成25年度税制改正大綱(抄)

平成 25 年1 月 24 日

自 由 民 主 党 ・ 公 明 党

6

(8)

旧モデル7条

新モデル7条:AOA(※)

外国法人の支店に係る

課税所得の範囲

すべての国内源泉所得

(支店帰属の有無は問わない) ・国内において行う事業から生ずる所得 ・国内にある資産の運用・保有・譲渡により生ずる 所得 ・その他その源泉が国内にある所得

支店帰属所得

(支店帰属所得について、「企業全体の所得が上限」 or 「支店独自に計算」の2通りの解釈あり)

支店帰属所得

(支店帰属所得は企業全体の所得とは関係なく、支店独 自に計算)

資産の支店への帰属

特段の基準なし

特段の基準なし

(なお、支店の機能分析に基づく、新7条流の資産の帰 属判定を容認)

支店の機能分析に基づき、資産の帰属を判定

資本の支店への配賦・

利子控除制限

特段の基準なし

特段の基準なし

(なお、新7条流の資本配賦・利子控除制限を容認)

支店への資本配賦・利子控除制限

(独立企業ならば必要とされる資本を支店に配賦し、資 本に対応する部分の負債利子の控除を制限する必要)

本支店間等の内部取引 認識しない

内部取引損益の認識を容認(使用料・利子の

例外あり)

(無形資産の内部使用料及び一般事業会社の内部利子 は認識しない)

内部取引損益を認識する必要

(無形資産の内部使用料及び一般事業会社の内部利子 を含め、内部取引損益全般を認識する必要あり)

単純購入

単純購入非課税

(支店が本店等のために行う単なる商品の購入活 動から生ずる所得を認識しない)

単純購入非課税

単純購入活動に係る所得を認識する必要

(例えば、購入代理活動に対する受取手数料相当額)

外国法人の支店課税に

おける外国税額控除

外税控除制度は不要

(国内源泉所得に対してのみ課税)

外税控除制度が必要

外税控除制度が必要

 

外国税額控除の基礎と

なる国外所得

国内源泉所得以外の所得が国外所得と

される

(外国法人の国内源泉所得に関する計算ルールに準 じて計算)

国外支店帰属所得を国外所得とする必要

(外国法人の国内源泉所得に関する計算ルールに準じて計 算)

・国外支店帰属所得を国外所得とする必要

・国外支店帰属所得は、AOAに従って計算す

る必要

(外国法人の日本支店帰属所得の計算ルール(内部取引の認 識あり、資本配賦あり等)に準じて計算)

(※)AOA : Authorized OECD Approach

 

 

総合主義(全所得主義)

(現行国内法)

帰属主義

対比表(総合主義・帰属主義)

7

(9)

日本

アメリカ

イギリス

フランス

ドイツ

概要

内部取引損益の認識なし

内部取引損益の認識なし

原則として、内部取引損益の

認識あり

原則として、内部取引損益の

認識あり

取引の種類に応じて内部取

引の認識の有無が異なる

棚卸資産

移転による損益の認識なし

(単純な販売の場合には、全

額販売地で生じた所得とさ

れる)

移転による損益の認識なし

(単純な販売の場合には、全

額販売地で生じた所得とさ

れる)

独立企業間価格による内部

取引損益の認識あり

独立企業間価格による内部

取引損益の認識あり

PE の果たす機能により、直接

的方法(独立企業原則に近い

もの)又は間接的方法(定式

配分に近いもの)により PE

に帰属する利得を算定

その他の有形資産

内部取引損益の認識なし

内部取引損益の認識なし

内部取引損益の認識あり

内部取引損益の認識あり

移転時に時価評価損益を認

役務の提供

内部取引損益の認識なし

内部取引損益の認識なし

内部取引損益の認識あり

内部取引損益の認識あり

内部取引損益の認識あり

無形資産の使用料

内部取引損益の認識なし

内部取引損益の認識なし

内部取引損益の認識なし

内部取引損益の認識なし

内部取引損益の認識なし

利子

内部取引損益の認識なし

(本店支払利子の PE への配

賦を通じて認識)

内部取引損益の認識なし

(本店支払利子の PE への配

賦を通じて認識)

内部利子の認識あり

(金融機関のみ)

内部取引損益の認識なし

(本店支払利子の PE への配

賦を通じて認識)

内部取引損益の認識なし

(本店支払利子の PE への配

賦を通じて認識)

支店帰属利子(内部

利子及び外部)の損

金算入限度額

規定なし

米国支店負債とみなされる

金額を基礎として支店帰属

利子の損金算入限度額計算

支店帰属の無償資本を基礎

として支店帰属利子の損金

算入限度額計算

支店帰属の無償資本を基礎

として支店帰属利子の損金

算入限度額計算

内部取引等に対す

る源泉徴収

なし

(外部調達とのひもつき資

金の利子については、源泉徴

収の可能性あり)

あり

(米国支店に配賦された利

子は、内国法人が支払ったも

のとして、源泉徴収の対象。

なお、支店利子税の対象とな

る利子については、源泉徴収

なし。

なし

(外部調達とのひもつき資

金の利子については、源泉徴

収の可能性あり)

なし

なし

(外部調達とのひもつき資

金の使用料・利子について

は、源泉徴収の可能性あり)

内部取引への移転

価格税制の適用

なし

なし

あり

あり

あり

内国法人の外国税

額控除における国

外 PE 所得算定

内部取引損益の認識なし

(外国法人の国内源泉所得

計算と同様)

内部取引損益の認識なし

内部取引損益の認識あり

(外国法人の英国 PE 帰属所

得計算と同様)

(国外 PE 帰属所得免除方式)

内部取引損益の認識あり

(外国法人のドイツ PE 帰属

所得計算と同様)

主要国の国内法における内部取引の取扱い

(未定稿)

8

(10)

日本

中国

インド

韓国

タイ

シンガポール

概要

内部取引損益の認識なし 本支店間の実際の取引に

ついて、内部取引損益の

認識あり

原則として、内部取引損

益の認識あり

原則として、内部取引損

益の認識あり

内部取引の認識なし

(本店と支店は同一の課

税主体として取り扱われ

る)

原則として、内部取引損

益の認識あり

棚卸資産

内部取引損益の認識なし 独立企業間価格による内

部取引損益の認識あり

独立企業間価格による内

部取引損益の認識あり

独立企業間価格による内

部取引損益の認識あり

内部取引損益の認識なし 独立企業間価格による内

部取引損益の認識あり

その他の

有形資産

内部取引損益の認識なし 内部取引損益の認識あり 内部取引損益の認識あり 内部取引損益の認識あり 内部取引損益の認識なし 内部取引損益の認識あり

役務の提供

内部取引損益の認識なし

内部取引損益の認識あり 内部取引損益の認識あり 内部取引損益の認識なし 内部取引損益の認識あり

無形資産の

使用料

内部取引損益の認識なし 内部取引損益の認識なし

(本店支払使用料のPE

への配賦を通じて認識)

内部取引損益の認識あり 内部取引損益の認識あり 内部取引損益の認識なし

内部取引損益の認識あり

利子

内部取引損益の認識なし

(本店支払利子の PE へ

の配賦を通じて認識)

内部取引損益の認識なし

(本店支払利子の PE へ

の配賦を通じて認識)

内部利子の認識あり

内部利子の認識あり

内部取引損益の認識なし

(内部利子の認識は禁

止)

内部利子の認識あり

(金融機関のみ)

支店帰属利子

(内部利子及

び外部)の損

金算入限度額

規定なし

規定なし

支店帰属の無償資本を基

礎として支店帰属利子の

損金算入限度額計算

過少資本税制に類似した

制度あり

規定なし

内部取引への

移転価格税制

の適用

なし

あり

あり

あり

なし

あり

アジア各国の国内法における内部取引の取扱い

(未定稿)

9

(11)

内外区分(法法

138)

PEあり

(法法141一)

PEなし

(法法141四)

内外区分

PEあり

PEなし

所得区分

所得区分

PE帰属 PE非帰属

国内源泉

所得

国内事業所得

すべての国内源泉所

得を対象にネット所

得課税

(一部源泉徴収+申告)

課税対象外

国内源泉

所得

(国内事業所得)

PE帰属

所得を

対象に

ット所得

課税

(一部源泉徴収+申告)

課税対象外

国内資産の

運用・保有

課税

(申告)

国内資産の

運用・保有

課税

(申告)

国内資産の

譲渡

課税対象外

国内資産の

譲渡

課税対象外

一部課税

(注2) (申告)

一部課税

(注2) (申告)

国内不動産の

譲渡・賃貸

課税

(源泉徴収+申告)

国内不動産の

譲渡・賃貸

課税

(源泉徴収+申告)

利子・配当・

使用料

課税

(源泉徴収)

利子・配当・

使用料

課税

(源泉徴収)

国外源泉所得

課税対象外

(法法4③)

国外源泉所得

課税対象外

総合主義(全所得主義)と帰属主義の課税方式の違い(所得の種類別)

【総合主義】

(注1)

【帰属主義】

(注1) (注1)総合主義はわが国の現行国内法、帰属主義は主要国における一般的な帰属主義のイメージ (注2)事業譲渡類似株式の譲渡益等(法法141四、法令187①) (注3)PE帰属所得は国内源泉所得とされる。 (注4)PEが有する外国債券につき支払を受ける利子 (注5)外国法人の本店が日本の証券市場において譲渡した有価証券の譲渡益等(法法138一、法令177②) (注4 ) ・ (注3 ) (注5)

10

(12)

機能・事実分析

内部取引における文書化の位置付けについて

➣ AOAにおける内部取引については、その発生が自明のものではなく構築されたものであり、そこには関連企業間における取引

よりも厳密な精査(内部取引において満たす必要のある閾値)が必要であるとされている。

➣ 最終的に内部取引の認識・性質を決定するのは、当該文書でなく、あくまでも機能・事実分析であるが、内部取引の評価のた

めの有用な出発点は、内部取引が存在すると主張されていることを示すPEの会計記録及び内部文書であり、その文書が経済実

質との一致やAOA原則に違反しないものである場合にはその文書化の効力が認められることとなる。(第1ステップ)

➣ 上記で認識された内部取引は、比較可能性分析のスタートとなり、その価格算定のためには、移転価格類似の文書化を求める

こととなる。(第2ステップ)

支店

本店

現実かつ認識可能な

事象(注)

(注)認識可能な事象とは、例えば、棚卸商品の物理的移転、役務の提供、無形資産の使用、金融資産の移転などをいう。

認識・性質の決定

内部取引

比較可能性分析

内部取引価格の算定

会計帳簿・内部文書 会計帳簿・内部文書

AOAにおける内部取引に係る文書化は、2つの要素から構成される。

①第1ステップに関する文書化

法的拘束力のある契約書等が必然的に不存在となっている場合に、通

常の取引であれば存在したであろう文書により内部取引の認識の適切

性を納税者が証明するための書類(法的効力の有無にかかわらず、一

定の要件を満たすものであれば、税務上効力を認める。)

②第2ステップに関する文書化

OECDガイドラインの指針に従って、移転価格類似の文書化によって、

内部取引価格の算定を行い独立企業的性質を決定することとなる

【第2ステップ】 【第1ステップ】

11

(13)

恒久的施設に帰属する無償資本の額の決定方法

資本配賦アプローチ

過少資本アプローチ

企業全体の無償資本を、機能分析によりPEに帰属された資産・ リスクに比例して配賦 企業全体の 資産の額 (100) 企業全体の 無償資本の額 (40) PEの 資産の額 (50) PEの無償資本の額(20) 企業全体 PE PEには、その所在地国において同一・類似の条件で同一・類似の 活動を行う独立企業が有するのと同額の無償資本が帰属 企業全体 PE 比較対象企業 PE所在地国 企業全体 の資産の 額 企業全体 の無償資 本の額 PEの 資産の額 PEの 無償資本 の額(40) 資産の額 無償資本 の額(40)

セーフハーバー・アプローチ

PEには、規制目的上、その所在地国で営業している独立の企業(銀行等)に要求される額と少なくとも同額の無償資本が帰属 企業全体 の資産の 額 企業全体 の無償資 本の額 企業全体 PE 比較対象企業 PEの 資産の額 PEの 無償資本 の額(30) 資産の額 規制上必要 な無償資本 の額(30) PE所在地国 (注)このアプローチは、OECD承認アプローチではないが、他のアプローチ以上に利益をPEに帰属させない限りにおいて、セーフハーバーとして認められる(パラ135)。 (長所) 企業の実際の「無償」資本を配分するものなので、二重課税の可能性を最小限 にする方法。(パラ123) (短所) ・当該企業全体の資本が過少である場合、適切な調整を行わない限り、独立 企業原則と不整合。(パラ125) ・PEが当該企業全体と著しく異なる業種の事業を行う場合には、差異調整が できない限り、独立企業間の幅から外れる。(パラ124) (長所) 企業全体が全て負債で調達している場合であっても、帰属されるべき無償資本の 額を決定することができる。(パラ134) (短所) 個々のPEに帰属させる「無償」資本の総額が企業全体の無償資本の額より大きく なる可能性あり。(パラ134) (長所) ・執行上の簡便さを有する。(パラ137) (短所) ・あらゆる業種の納税者に対して解決策を提供できるものではない。 (パラ137) ・比較可能性の基準を充足しないかもしれない業種のベンチマークに依存 (独立企業原則と不整合)。(パラ137) ・アプローチがより洗練された広範になればなるほど、過少資本のアプロ ーチに類似してくる。(パラ137)

12

(14)

内部取引の認識

 独立企業原則に基づいて、本支店間の以下のような取引については、内

部取引として認識する必要あり

 取引が内部取引と認められる条件

・ 独立企業間であったとしたならば、対価のやり取りが行われたであろ

う取引と同等のものと認められること

・ 現実のかつ認識可能な事象であること

・ 経済的に重要なものであること

本店

PE

無形資産

現金

サービス・役務提供

商品

有形資産

13

(15)

2010年OECDモデル条約7条 2008年OECDモデル条約7条 第7条 事業所得(2010年改正) 1.一方の締約国の企業の利得に対しては、その企業が他方の締約国内にある恒久的 施設を通じて当該他方の締約国内において事業を行わない限り、当該一方の締約国 においてのみ租税を課することができる。一方の締約国の企業が他方の締約国内に ある恒久的施設を通じて当該他方の締約国内において事業を行う場合には、2の規 定に基づき当該恒久的施設に帰せられる利得に対しては、当該他方の締約国におい て租税を課することができる。 2.この条及び第[23A][23B]条の適用上、各締約国において1に規定する恒久 的施設に帰せられる利得は、特に当該恒久的施設を有する企業の他の構成部分との 取引において、当該恒久的施設が、同一又は類似の条件で同一又は類似の活動を行 う分離し、かつ、独立した企業であるとしたならば、当該企業が当該恒久的施設を 通じて、及び当該企業の他の部門を通じて遂行した機能、使用した資産及び引き受 けた危険を考慮して、当該恒久的施設が取得したとみられる利得とする。 3.一方の締約国が、2の規定に基づき、いずれか一方の締約国の企業の恒久的施設 に帰せられる利得の調整を行い他方の締約国において租税を課された利得に対して 租税を課する場合には、当該他方の締約国は、当該利得に係る二重課税の排除に必 要な範囲で、当該利得に課された租税の額について適当な調整を行う。この調整に 当たっては、両締約国の権限のある当局は、必要があるときは、相互に協議する。 4.他の条で別個に取り扱われている種類の所得が企業の利得に含まれる場合には、 当該他の条の規定は、この条の規定によって影響されることはない。 第7条 事業所得 1.一方の締約国の企業の利得に対しては、その企業が他方の締約国内にある恒久的 施設を通じて当該他方の締約国内において事業を行わない限り、当該一方の締約国 においてのみ租税を課することができる。一方の締約国の企業が他方の締約国内に ある恒久的施設を通じて当該他方の締約国内において事業を行う場合には、その企 業の利得のうち当該恒久的施設に帰せられる部分に対してのみ、当該他方の締約国 において租税を課することができる。 2.3の規定に従うことを条件として、一方の締約国の企業が他方の締約国内にある 恒久的施設を通じて当該他方の締約国内において事業を行う場合には、当該恒久的 施設が、同一又は類似の条件で同一又は類似の活動を行う個別のかつ分離した企業 であって、当該恒久的施設を有する企業と全く独立の立場で取引を行うものである としたならば当該恒久的施設が取得したとみられる利得が、各締約国において当該 恒久的施設に帰せられるものとする。(77年改正) 3.恒久的施設の利得を決定するに当たっては、経営費及び一般管理費を含む費用で あって当該恒久的施設のために生じたものは、当該恒久的施設が存在する締約国内 において生じたものであるか他の場所において生じたものであるかを問わず、控除 することを認められる。(77年改正) 4.2の規定は、恒久的施設に帰せられるべき利得を企業の利得の総額の当該企業の 各構成部分への配分によって決定する慣行が一方の締約国にある場合には、租税を 課されるべき利得をその慣行とされている配分の方法によって当該一方の締約国が 決定することを妨げるものではない。ただし、用いられる配分の方法は、当該配分 の方法によって得た結果がこの条に定める原則に適合するようなものでなければな らない。(77年改正) 5.恒久的施設が企業のために物品又は商品の単なる購入を行ったことを理由として は、いかなる利得も、当該恒久的施設に帰せられることはない。 6.1から5までの規定の適用上、恒久的施設に帰せられる利得は、毎年同一の方法 によって決定する。ただし、別の方法を用いることにつき正当な理由がある場合は、 この限りでない。 7.他の条で別個に取り扱われている種類の所得が企業の利得に含まれる場合には、 当該他の条の規定は、この条の規定によって影響されることはない。

OECDモデル条約7条新旧対照表

出典:OECDモデル租税条約2010年版(所得と財産に対するモデル租税条約)(社団法人日本租税研究会)

14

(16)

外国法人に係る法人税の計算(帰属主義へ移行後のイメージ)

PE帰属所得

PE非帰属国内源泉所得

PEに帰属する所得(第3国源泉所得を含む) PE帰属所得に係る繰越欠損金

当期PE帰属所得(損失)

×

法人税率 PE帰属所得に係る法人税額 所得税額控除 外国税額控除

PE帰属所得に係る当期法人税額 PE非帰属国内源泉所得 (申告対象になるものに限る。)

×

法人税率 PE非帰属所得に係る当期法人税額

外国法人

当期法人税額 PE非帰属国内源泉所得に係る法人税額 所得税額控除 (申告対象国内源泉所得に係る源泉税額に限定)

合計 PE非帰属国内源泉所得に係る繰越欠損金

当期PE非帰属国内源泉所得

15

(17)

米 英 独 仏 申告者 本店分 本店 本店※1 本店 本店※2 PE分 PE PE (本店分と合わせての申告の 際は本店) PE 納税義務 本店分 外国法人 (PEが別に納税義務を負う ことはない) 外国法人 (PEが別に納税義務を負う ことはない) 外国法人 (PEが別に納税義務を負う ことはない) 外国法人 (PEが別に納税義務を負う ことはない) PE分 PE分の申告義務 国内で事業を行う場合には国 内源泉所得の有無に関らず毎 期申告義務あり。※3 国内において事業を行う場合 には毎期申告義務あり。※3 国内において事業を行う場合 には毎期申告義務あり。 国内において事業を行う場合 には毎期申告義務あり。 申告書 Form1120-F(PE分を別に提 出することはない) 本店とPEは 別の申告書で申告 本店とPEは 別の申告書で申告 (合わせて申告も可能) 本店とPEは 別の申告書で申告 添付書類 本店分 ・各種Form、Schedule ・その他のStatement ・記載内容の説明書類 PEを通じない事業による所 得の計算書類 PEのP/L及びB/S (あれば、関連する監査報告 書及び配当決議書) 外国法人のP/L及びB/S PE分 ・外国法人のP/L及びB/S ・PEのP/L(あれば、PE のB/S) 外国法人のP/L及びB/S

各国における外国法人の申告及び納税義務(未定稿)

※1 実務上は、PEが本店の代理として申告する。 ※2 申告と同時に国内における代理人を任命する。当該代理人は当該法人のPEである必要はない。 ※3 条約で免税となる所得(例えば、国際運輸)のみを有する場合にも申告義務あり。

16

(18)

在日支店の閉鎖時及び閉鎖後の課税(案)

X+1期(PEに該当しない) 在日支店の閉鎖 (営業活動の停止) (※) ケース1:第三者へ譲渡 ケース2:本店等へ譲渡 X期(PEに該当)

【現行】

ケース2:内部取引損益が認識されないため、課税なし。

ケース1:国内不動産等の譲渡損益のみ課税。

【問題点】

ケース1について、在日支店閉鎖時までに第三者へ譲渡した場合には国内源泉所得として課税されるにもかかわらず、

その閉鎖(営業活動の停止)後に当該譲渡を行った場合には、一定の譲渡損益しか課税されない。

AOAに沿った帰属主義へ改正した場合、ケース2についても同様の事象が生じる。

【対処案】

上記の問題点へ対応するため、次の対処案が考えられる。 ⇒

対処案A

対処案B

対処案C

みなしPE課税

みなし譲渡損益課税

時価評価損益課税

在日支店資産の譲渡 対処案A 清算中も引き続き支店に該当するものとして Ⅹ+1期のPE帰属所得として課税。 【問題点】 条約上はPEに該当しないので、実効性がない。 みなし譲渡損益課税 対処案B

みなしPE課税

在日支店閉鎖時の支店帰属資産について、閉鎖時に時 価で譲渡し、即時再取得したものとみなして、みなし 譲渡損益についてX期のPE帰属所得として課税。 時価評価損益課税 対処案C 在日支店閉鎖時の支店帰属資産について、時価で評価 し、その時価評価損益についてX期のPE帰属所得と して課税。 B案・C案ともに、支店閉鎖後の支店資産譲渡損益 (図のケース1及び2)について、みなし譲渡損益 又は時価評価損益の一部として、課税が可能となる。 ※ 在日支店閉鎖(営業活動の停止)の時点で、PEに該当しないこととされる。 (5条コメンタリー・パラ11) 在日支店の 清算結了

17

(19)

主要国におけるPE閉鎖時の課税の取扱い(未定稿)

内部取引損益の認識の有

無(国内法上)

なし

あり

あり

あり

PEの資産に含み益があ

る場合の取扱い

PEを閉鎖した時点での課

税なし

(PEで使用していた資産

10年以内に第三者へ売却

した場合に、その時点でE

CI所得として課税)

PEを閉鎖した時点に時価

で譲渡し、即座に再取得し

たものとみなして、PEの

所得として課税

PEを閉鎖した時点で、一

定の場合を除いて、PEの

所得として課税

PEを閉鎖した時点で、一

定の場合を除いて、時価評

価益課税

繰り延べられた収益等が

ある場合の取扱い

米国国内事業を廃止した後

に受けたものについて、受

けた時点でECI所得とし

て課税。

備考(その他)

○PE(米国国内事業)が

単独で清算されることはな

い。外国法人の組織再編又

は清算の場合の特例あり。

○米国国内事業の用に供し

ていた資産の国外への持ち

出しはその含み益には課税

されないが、米国資本の減

少を通じて支店利益税の課

税対象となる可能性がある

(支店の完全閉鎖の場合の

特例あり。)。

○PEの消滅後も消滅前の

納税義務については、

20年

間責任を負う。(注:英国

の租税債権の時効は

20年)

○PEの閉鎖後

60日以内に

最終の申告書と関係書類を

提出しなければならない(

期限延長の申請が可能)。

18

(20)

本 店

日本

PE

【本店所在地国】

【論点】 日本PEに配賦された源泉税について、日本PEで外国税額控除を認めるか

源泉税10

配賦

使用料 300 源泉税30

【源泉地国】

【PE所在地国】

外国法人の外国税額控除 ①

使用料100

配賦

本 店

日本

PE

【本店所在地国】

使用料 200

【源泉地国】

【PE所在地国】

源泉税20 源泉税10 使用料 100

参 考

19

(21)

本 店

日本

PE

【本店所在地国】

【論点】 本店に配賦された源泉税10について、日本PEの外国税額控除の対象から

減額するべきか否か。

源泉税

10

配賦

【源泉地国】

【PE所在地国】

外国法人の外国税額控除 ②

使用料

100

配賦

本 店

日本

PE

【本店所在地国】

使用料 100

【源泉地国】

【PE所在地国】

源泉税10 源泉税20 使用料 200

参 考

源泉税30 使用料300

20

(22)

本 店

日本

PE

【論点】 本店所在地国で課された源泉税について、日本PEで外国税額控除を認めるべきか否か

源泉税10

外国法人の外国税額控除 ③

【本店所在地国】

税率

30%

【PE所在地国】

税率30%

本店所在地国が外国税額控除方式を採用するケース

本店所在地国が国外所得免除方式を採用するケース

利子

100

本 店

日本

PE

源泉税10

【本店所在地国】

税率

30%

【PE所在地国】

税率30%

利子

100

21

(23)

本 店

日本

PE

法人税

(外国法人全体の所得を課税標準)

【論点1】 日本PEに配賦された法人税について、日本PEで外国税額控除を認めるか

法人税の配賦

【論点2】 日本PEに配賦された法人税について、日本PEで損金算入を認めるか

外国法人の外国税額控除 ④

22

(24)

外国税額控除における国外PE帰属所得の認識とそのタイミング(概要)

○ 新モデル条約において、内国法人の外国税額控除の適用上も国外PE帰属所得をAOAに従って算定することが義

務付けられたことを踏まえ、国外PE帰属所得をAOAに基づき算定することを改正の基本方針とする。

○ その際、国外PE帰属所得の算定上、①認識する所得(移転資産の取得価額を含む。)、②認識のタイミン

グについて様々な取引を想定して検討する必要。

内国法人

(本店)

国外PE

売上 130 内部仕入 110 内部売上 110 仕入 100

○ 国外PE帰属所得の算定上、内部取引を認識するべ

きか?(認識金額の問題)

→ YES

○ 法人全体としての売上が認識されない場合であって

も、国外PE帰属所得を認識するべきか?(認識時期

の問題)

→ YES

○ 全世界所得の算定上、内部取引を認識するべきか?

→ NO

控除限度額

法人税額

×

全世界所得

国外所得

○ 外国税額控除の控除限度額の計算式

23

参照

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