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Tamotsu YASUDA東京医科大学病院心臓外科助教授

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Academic year: 2021

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2006年7月 西山他5名:大川記念奨学金海外研修報告書(平成17年度)

一 409 一

II.

米国ロボット手術研修に参加して

Robotic Surgery Training in the U.S.

安 田   保

Tamotsu YASUDA

東京医科大学病院心臓外科助教授

はじめに

 近年心臓外科手術の成績は飛躍的に改善し、その結 果死亡率のみならず、手術創の縮小化をはじめとした 低侵襲手術が検討されるようになった。これを受けて 発展したのが内視鏡下冠動脈バイパス術である。我々 は虚血性心疾患に対する完全内視鏡下冠動脈バイパ ス術の世界第一正目を完遂したことをはじめとし、こ れまで安全かつ正確な心臓外科内視鏡手術の技術革 新のためさまざまな内視鏡手術に努力してきた。その 一方で内視鏡器具も年々発達してきてはいるが、胸腔 という閉鎖空間内で心臓手術を施行するのは依然と して難しく、高い技術が要求される。手術用ロボット の開発は主としてアメリカでなされてきたが、自由に 動くロボットアームは困難だった胸腔内操作を簡便

にすることが予想され、更なる正確な手術手技の確立 および低侵襲(患者に負担の少ない手術)に寄与する

ものと考えられる。

 平成18年2月6日より10日までの5日間、大川記 念奨学金の交付を受け、米国ナッシュビル、Centennial Medical Centerへ赴き、手術用ロボット(ダヴィンチ)

の研修を行った。参加者は私のほか、心臓外科助手、菊 池祐二郎、看護師、七井陽子、菱沼紀代子の計4名で、

その目的は、当科においてロボット手術を開始するに 当たり、その操作法や管理に習熟するためである。

研修内容

 研修は実質的に2日間で、1日目はsystemのset−up とpreparation、 cadaverを用いた実際の使用とtrouble shooting、 emergency conversionの方法、2日目は実際 の手術見学(Centennial Medical Center)と1日目の 復習であった。

 ちなみにロボット手術と聞くと多くの人はブリキ のおもちゃのようなロボットが機械の手で手術をす るといったことを想像するかもしれない。実際はコン ソールといった操作unitに術者が顔を入れ、操作し、

slave(奴隷)とよばれるunitのarmを、ポートを通し て患者さんの体内に挿入し、手術を行うといったsys−

temで、内視鏡手術を発展させた手術という方が理解 が早いかもしれない。

 Systemのset−upとpreparationは比較的容易で、数 をこなせば問題はないと思われた。実際の臨床使用で あるが、心拍動下冠動脈バイパス術においては当面は 内胸動脈剥離のみを予定し、その次の段階として血管 吻合を考えている。内胸動脈剥離は、実際の開胸での 剥離とそれほど大きな差はなく、比較的容易と考えら れた。吻合を行う上で実際の問題点としては、①拍 動している心臓で、吻合箇所を以下に静止させうる か、②欧米人はたる状の胸であるが、日本人は平板 な胸が多いので、いかにロボットが操作できる空間を 作るか、がkey pointであると考えられた。

r騨 ㎝ 

写真1研修中の筆者と菊池助手

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一 410 一

東京医科大学雑誌 第64巻第4号

 また僧帽弁形成術においては、ロボット手術は一般 的な手術へと変貌を遂げつつある。その理由として、

①手術器具の発達、②僧帽弁へのapproachが容 易、③長いarmのおかげで操作が楽、などがあげら れる。ただしいうまでもなく、実際には心臓手術(冠動 脈バイパス術、弁膜症手術)自身が容易でない例もあ

り、胸を開いて手術していても色々な問題が生じる場 合ももちろんある。ロボット手術が本邦で一般的とな

りうるか否かは、我々の臨床成績にかかっていると いっても過言ではなく、それゆえに慎重を期してこと を進める必要性を痛感した。

終わりに

 2日目にロボットの臨床見学を行ったが、手術場に 外科医(私と同じくらいの年)はたった1人で、あと は麻酔科1人とparamedical staff 2、3人(phsician s assistantとnurse)で手術を行っていた。確かに手術自 身それほど高度なものでなかったが(内胸動脈剥離

F:二:謙

写真2 ダヴィンチを背景とした、全員での記念写真

をロボットで行い、血管吻合は小切開で行う)、日本と の違いを強く感じる光景であった。外科医教育システ ムとその周辺環境の整備は早急に行わなければなら ない課題である、と痛感した研修でもあった。

   低侵襲手術としてのロボット手術

Minimally invasive cardiac revascularization    with the da Vinci Surgical System

菊 池 祐二郎 Yujiro KIKUCHI

東京医科大学心臓外科

 心臓外科が始まって半世紀、この間、心臓外科手術 は著しく進歩してきました。21世紀の心臓外科はどこ に向かうのか。再生医療、生体工学、ロボット手術な ど、様々な治療法が確立されつつあり、現在の外科手 術の多くは、体に負担をかけず、安全に早く患者を治 療するということに重心が移っています。すなわち、

体への侵襲の少ない手術、「低侵襲手術』ということで す。一言で低侵襲と言っても「痛くない」「小さく切る」

「術後すぐに退院できる」など様々な意味があります。

心臓外科領域で言えば、「人工心肺を用いない」「胸骨 正中切開せず、小さく切る」などがあげられます。体 に小さな穴を開けて手術をする、すなわち内視鏡下手 術という方法は究極の低侵襲手術といえるでしょう。

 この度、大川記念奨学金の助成で、2006年2月6日 から2月10日までの5日間、内視鏡下手術支i援ロ ボットシステムであるda vinciを安全に、かつ確実に 使用するために、実際臨床使用されている米国ナッ

シュビル、Centennial Centerへ赴き、冠動脈バイパス 手術を中心とした研修を行ったのでここに報告致し

ます。

 da Vinciは、米国Intuitive Surgical社の開発したマ スタースレーブ型手術支援ロボットであり、①術者 コンソール(術者がロボットを操作する場所。患者か ら離れており、別室に設置することも可能。②手術 アームカート(実際に手術を行う部分で、内視鏡とロ ボットの左右の腕(アーム)からなる。)③ビジョ

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参照

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