原子核物理学
第
8講 核力
核力に対する対称性からの要請
1. Hermite 性(核子の確率の保存)
2. 核子の番号の交換に対する対称性 3. 並進不変性(空間の一様性)
位置座標は の組合わせだけ
4. ガリレイ変換不変性
運動量は の組合わせだけ 5. 回転不変性(空間の等方性) 各項はスカラー
6. 空間反転不変性(強い相互作用がパリティを保存することに基づく不変 性)
反対称化した2核子状態
• 保存する量子数
• 反対称化の条件
⇒ 4つの可能なチャネル
記号
核力の構造と表し方
球テンソルとしての分類
中心力
テンソル力
スピン - 軌道力
OPEP
(
one pion exchange potential)
π :電気的に中性なスカラーメソン T = 1
中心力と強いテンソル力をもたらす
現実的核力ポテンシャル
数種類のメソンの交換 ( Paris potential, Bonn potential など)
遠距離部分は OPEP が支配的
中距離部分の引力は σ メソンの交換に起因
短距離部分に斥力芯
中心力ポテンシャル
短距離力
⇒ 1粒子描像が成り立つ
チャネルに大きく依存
強いアイソスピン・スピン依存 性
Singlet-Even ( SE ) T = 1 短距離に強い引力
⇒ 同種粒子( nn, pp )間の強い 対相互作用の起源
唯一の2核子束縛系( deuteron ) は
Triplet-Even ( TE )
なぜ?
Deuteron
量子数 S = 1 , J = 1 , T = 0 TE 状態
Deuteron (続き)
S 状態の方程式において, D 状態の項を有効ポテンシャルと考える
D 状態との結合によっ て, S 状態に対する強 い引力ポテンシャルが 生じる。その結果, Deuteron は束縛する
テンソル力の2次の効 果
TE 状態の引力によっ て原子核は束縛してい
結合エネルギーの飽和性
中性子だけからなる系は束縛 しない (中性子星は,重力 によって自己束縛系をなして いる)
陽子と中性子からなる系
密度が小さい領域では,密 度の増加に伴い,ポテンシ ャルの短距離引力から,結 合エネルギーを得る
密度の大きい領域では,密 度の増加に伴い,テンソル 力の2次の効果が減少する
TO
における状態依存性
• TO 状態は S = 1 ⇒ 非中心力が作用
⇒ J に依存したポテンシ ャル
• 中性子星の内部では の超流動状態が実現している と予想される
核内における有効相互作用
実験で観測された原子核のエネルギースペクトルから得られた行列要 素
1粒子状態によらずに, T = 0 と T = 1 は,それぞれ同じよう な振る舞い
有効相互作用の平均的強さ
• 陽子 - 中性子相互作用(主に T = 0 )の引力
横軸は1粒子状態の 2n+l の和 強い系統性が見られる
魔法数の消失
• 中性子過剰核において,安定 線近傍核で見られた魔法数 N = 8 , N = 20 が消失する
• 右図は中性子分離エネルギー 同じ Tz = 2(N-Z) をもつ原子 核を線で結んである
魔法数のところで,中性子分 離エネルギーは小さくなる この現象は核力の性質,特に
中性子過剰核の1粒子エネルギー
• Valence 核子間の相互作用も考慮 した1粒子エネルギー:
monopole 相互作用
Monople
相互作用の分解
• Racah 代数を駆使して,
monopole 相互作用を8成分 に分解できる
中心力( SO,TE,SE,TO ) テンソル力( TNE,TNO ) スピン軌道力( LSE,LSO )
• 中心力の TE 成分(強い引 力)が支配的