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「児童館における子どもの未来応援事業」への協力についての報告
Ⅰ.はじめに
教育人間科学部学校教育学科は,教員免許を取 得するためではなく,実際に教員になるための学 科であることを掲げ,実践教育を行っている.学 校教育学科に,学科公認サークルとしてSAT
(サット)が存在する.SATとは,「学生教育研 修生」のStudent Assistant Teacherの略であり,
教員を目指す学校教育学科の学生で構成されてい る.SATのねらいは教員を目指す学生が,近隣 地域の教育現場や様々なボランティアなどの地域 貢献活動を通して,教員に求められる「社会性・
コミュニケーション能力・企画調整力」を高める とともに,教員になる意欲向上につなげることで ある.
足立区が取り組む「未来へつなぐあだちプロ ジェクト」へ協力したSATの活動について報告 する.
Ⅱ.子どもの未来応援事業について 1.未来へつなぐあだちプロジェクト
帝京科学大学千住キャンパスがある足立区で は,平成27年度に全国に先駆けて「未来へつな ぐあだちプロジェクト」を策定し,全庁をあげて 取り組んでいる.「全ての子どもたちが生まれ
育った環境に左右されることなく,自分の将来に 希望を持てる地域社会の実現を目指すなどの基本 理念のもと,学校や地域の協力を得て進められて いる.
同プロジェクトは3つの柱立て(「教育・学び」
「健康・生活」「推進体制の構築」)と,その柱立 てに関連する施策ごとに具体的な取り組みが行わ
帝京科学大学教育・教職研究第6巻第1号
「児童館における子どもの未来応援事業」への協力についての報告
-学校教育学科SATの活動報告-
Report of Cooperation with “Project of children’s future support in children’s center”:
Activity report of SAT
髙田由基,持田尚,大山智子,松井高光,カブシクアントニア 帝京科学大学
Yoshiki TAKADA,Takashi MOCHIDA,Tomoko OYAMA,Takamitsu MATSUI,ANTONIJA CAVCIC Teikyo University of Science
要約: 教育人間科学部学校教育学科公認サークルSAT(Student Assistant Teacher)では,地 域貢献活動を通して,教員に求められる「社会性・コミュニケーション能力・企画調整力」を高 めるとともに教員になる意欲向上につなげることをねらいとして活動に取り組んでいる.足立区 が取り組む「未来へつなぐあだちプロジェクト」の一事業である「児童館における子どもの未来 応援事業」の協力依頼を受け,SATとして協力させていただいた.参加した学生にとって,打合 せや事前準備等を通し,その重要性を感じたり,子どもたちとのふれあいを通して教員になる意 欲向上につながったりと有意義な活動となった.学生から出された課題を今後に生かし,活動を さらに拡充させていきたい.
図1 未来へつなぐあだちプロジェクト表紙
髙田 由基,持田 尚,大山 智子,松井 高光,カブシク アントニア
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れている.
2.児童館における子どもの未来応援事業
「未来へつなぐあだちプロジェクト」の柱立て 1「教育・学び」の施策3として「子どもの居場 所づくり」があり,その具体的事業として,子ど もたちが安心して過ごせるよう工作活動,音楽活 動,スポーツ活動等,児童に対する遊び場の提供 と,中高生の居場所づくり事業等を実施する「児 童館運営事業」があり,足立区にある52の児童 館でそれぞれ取り組むことになっている(図2).
その一つである千住あずま児童館から相談があっ た.
Ⅲ.運営計画
1.千住あずま児童館
千住あずま児童館は,千住あずま住区センター
(足立区千住東二丁目21番18号)に設置されてい る.住区センターは地域の方が利用できる交流の 場として,足立区からの委託に基づき,地域の管 理運営委員会により運営されている.住区セン ターには児童館の他,学童保育室・悠々館・集会 室があり,幼児から高齢者まで利用することがで きる.千住あずま児童館では,常的な運営の他,
「あずま縁日」「レッツクッキング!!」「劇団公演」
などの年間行事を実施し,小学生を中心に乳幼児 から18歳までの健全な遊びを通して子どもの成 長を支援している.
子どもの未来応援事業を千住あずま児童館で実 施するにあたり,本学地域連携センターを介し て,学校教育学科に協力の相談依頼を受けた.
SATにとってもよい機会であり,協力させてい ただく運びとなった.
2.児童館とSATの打合せ
千住あずま児童館担当者と担当教員とで電話や メールでの打合せを重ねた.その後7月22日,
本学で児童館担当者とSATの学生とで打合せを 行った(図2).担当者の方から,児童館の様子 や利用者,今回の事業のねらいについて説明が あった.
複数挙げられた候補日の中から,児童館を利用 している子どもたちが通う近隣の小学校が4時間 授業であること,学生が夏季休業期間であること から9月18日(水)に実施することに決定した.
参加の事前申込みはなく,これまでのイベント参 加の様子からすると,小学校低中学年を中心に 40~60人程度が予想されるとのことであった.
参加する子どもたちが平等に体験し楽しめること や使用できる場所を考慮し,科学実験教室を行う こととした.また,SATと吹奏楽部に所属する 学生の提案で,吹奏楽部演奏会と科学実験教室を 実施することに決まった.実施時間に決まりはな いが,子どもたちの集中力を考慮し,60分程度 の設定とした.
イベントタイトルを「帝京科学大学の学生によ るミュージック&サイエンスショー」とし,児 童館だより等で周知されることになった.
図2 施策3と児童館運営事業の位置づけ
図3 児童館担当者とSAT学生の打合せ
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「児童館における子どもの未来応援事業」への協力についての報告
3.下見と準備
8月中旬,学生3人で千住あずま児童館を訪 ね,子どもたちの雰囲気,使用する会議室の設備 や広さについて確認を行った.子どもたちと触れ 合う時間もあり,顔なじみに慣れたこともでき た.
科学実験の内容について,複数検討し,一人一 人が楽しめる,手軽にできる,持ち帰って楽しむ こともできるなどの観点からフワフワスライム作 りをすることにした.用意するもの,手順,説明 の仕方等について練習を行った.
Ⅳ.実施
9月18日(水)15:00~,千住あずま住区セ ンターにて,「帝京科学大学の学生によるミュー ジック&サイエンスショー」を開催した.参加 は小学校低学年を中心に60名.SATの学生は7 名(2年生6名,1年生1名).
はじめに吹奏楽部から「パプリカ」などの演奏 と楽器クイズがあり,児童たちが曲に聞き入った り,何の楽器なのかを一生懸命考えたり様子が見 られた.その後,SATよるフワフワスライム作 りを行った.作り方の手本を示すと児童たちから は歓声や「早く作りたい」という声があがってい た.各テーブル(1テーブルに児童7~9人)で スライム作りを行った.各テーブルに学生がつ き,スライム作りの様子を見守りながら,時にア ドバイスをしながら20分程度で全員がスライム を完成させることができた(図4).体験から学 びにつなげるという本事業のねらいも踏まえ,ス ライムができる理由について説明をした.その 後,自分のスライムで遊んだり,友達と見せ合っ たりして楽しんだ後,集合写真を撮って終了とし た(図5).
Ⅴ.ふりかえり 1.児童館の方から
児童館の担当者の方からは「帝京科学大学の学 生の皆さんのおかげで,子どもたちはとても楽し むことができました.演奏,スライム作りともに 子どもたちにも,その話を聞いた保護者にも好評 でした.子どもたちとのふれあいも円滑で,さす が教員を目指す学生のみなさんだと思いました.
また,機会があればお願いしたいです.」とのお 言葉を頂いた.
2.学生からの成果と課題
参加した学生からは,以下の通り,成果と課題 があがった.(〇成果,▲課題)
〇 事前の打合せから学生も参加することで,依頼 された行事の趣旨を理解し,取り組むことがで きた.
〇 下見を行ったことで,児童館(使用場所)や子 どもたちの様子が分かり,良かった.下見の重 要性を感じた.
〇下見に行き,子どもたちとふれ合ったことで顔 なじみになり,当日も運営しやすかった.
〇吹奏楽部の演奏とSAT企画を合わせることで,
低学年の児童も飽きることなく楽しんでいた.
〇SATとして初の活動だったが,子どもたちと 交流できたよい経験になった.今後もSATの 活動に参加していきたい.
〇学校ボランティアや教育実習に向けてよい経験 ができた.イメージをもつことができた.
〇「活動報告書」に残すことで,次回以降に役立 てていきたい.
▲説明の仕方や進行など練習していたが,実際に 子どもたちを前にすると緊張もあり,難しいと
図4 フワフワスライム作りの様子
図5 参加した子どもたちとの集合写真
髙田 由基,持田 尚,大山 智子,松井 高光,カブシク アントニア
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感じた.
▲SATの企画だけでも1時間楽しめるようにア イデアを出したり,運営の仕方を工夫したりし ていきたい.
▲もっと一人一人の児童に声をかけることを意識 できればよかった.
▲スライムについて説明することが難しく,子ど もたちに伝わったか不安がある.
▲参加学生が少なかったので,今回の活動の成果 や楽しさを伝えて今後に広げていきたい.
Ⅵ.まとめ
SATは,これまでも学校ボランティアや地域 の活動など様々な形で地域の行事に協力させてい ただいてきたが,今回,初めて「児童館における 子どもの未来応援事業」の協力依頼をいただき参 加させていただいた.児童館にとっても初めての ことで,お互いに戸惑いながらのスタートでは あったが,打合せや連絡を重ね,参加した子ども たちに喜んでもらい無事に終えることができた.
「未来へつなぐあだちプロジェクト」という足立 区の公的な大きな取り組みの一つに少しでも貢献 できていれば,大変うれしいことである.
SATの学生は将来,教員を志す学生であり,
指導技術等は未熟ではあるが,子どもたちに対す
る思いや意欲関心は高い.課題も多いが,SAT の活動意義ややりがいを学生同士で共有,先輩か ら後輩へへ継承し,今後より一層SATの活動を 拡充させていくことができればと考える.
「未来へつなぐあだちプロジェクト」は,2020 年3月に第2期計画が策定され,さらに推進され ていくものと思われる.足立区の教育がますます 充実していくこと,そこにSATが少しでも貢献 できることを願ってまとめとする.
謝辞
千住あずま児童館の田中晴美さまには,大変お 世話になりました.学生たちにとって良い機会を いただくとともに,さまざま柔軟に対応いただき ましたこと,感謝申し上げます.
参考文献
足立区(2016)「未来へつなぐ あだちプロジェク ト(足立区子どもの貧困対策実施計画)」31- 33.
足立区(2019)「未来へつなぐあだちプロジェク ト 年次別アクションプラン(5ヵ年計画)
平成30年度子どもの貧困対策主要事業実績 及び評価結果」62-63.