三重大学教育学部附属小学校での
2
つの実験授業 における指導効果の比較検討
佐 藤 年 明
本稿 は、拙稿 「小学校性 教育 にお ける 『生命誕生過程』の授業実践 の 自己分析」(2008年) の続編 で あ る。 前 稿 で 自己分析 した授業実践 「おなか の中の赤 ち ゃんの成長」(2007年3月) に続 き、 同 じ三重大学教育学部 附属 小学校 にお いて、2007年 12月11日に同 タイ トルの授 業 (2時 間、4年C組 にお いて) を実施 した。2007年度 実践 は2006年度実践 と基本 的 に同 じ指導計画 の下 に実施 したが、2006年実践 の終盤 において一方 的情報伝達 の 時間が続 いた ことを反省 し、 児童 の活動 を活発化す るための工 夫 を加 え た。 その結 果2007年度実践 の後半 は20 06年度実践 とは大 き く変貌 した。 この ことにつ いて2実践 の比較 分析 を行 な って い る。
なお本稿 は、平成19年度〜21年度 科学研 究費補助金 (基礎研 究 (B))「共生社会 にお ける性教育 の現 代 的意 義 ‑ スウ ェーデ ンの先進 的事 例 に学ぶ ‑」(課題番号19402048)の一環 と しての、 日本 にお ける基礎研究 の一 部 をな して い る。
キー ワー ド : 「性教育」「生命誕生」「能動 的学習参加」「班 活動」
1.は じめに ‑ 「おなかの中の赤 ちゃんの成 長」再実践 までの経緯 一
本稿 は、拙稿 「小学校性教育 における 『生命誕生過程』
の授業実践 の 自己分析 *l」(2008年、以下 「前稿」 と略 記す る) の続編 であ る。 前稿 は2007年3月2日に三重 大学教育学部 附属小学校4年B組 において筆者 が実施 した授業 「おなかの中の赤 ち ゃんの成長」(2時間、以 下 「2006年度実践」 と略記す る) の 自己分析であ った。
前稿脱稿か ら1ヶ月 あま り経 った2007年12月11日に、
前回同様教育学部教員 の附属学校 における授業の試 みの 一環 と して、 附属小学校4年C組 で同タイ トルの授業 (2時間、以下 「2007年度実践」 と略記す る) を行 な っ た。2006年度実践 の際 に4年B組担任 のS教諭 ととも に事前 の相談 ・調整 な どで大変 お世話 にな ったY教諭 が、2007年度 の4学年 を担任 され、筆者 に再 び授業 を 行な うことを要請 されたため、前実践か ら9ヶ月 あま り 後 に、1年下 の子 どもたちに対 して再 び授業 を行 なえ る ことにな った。筆者 にとっては前実践 の不十分点をふま えての リベ ンジの機会 ともな った。
前稿 の末尾で筆者 は以下 のように述べている。
「受精か ら出生 までの280日 (あるいは266日) とい う 学習対象の 『中身』 として何を取 り上 げ、取 り上げた個 々 の 『中身』 を どのよ うに配置 し、関連づ けるのか、 さら には出生以降の人間の成長 の学習 に どうつなげてい くの か。 これ らの ことにつ いて、今回の実践 とは違 う内容 ・
三重大学教育学部学校教育講座
学習過程 のパ ター ンも含 めて、 いろいろな授業 プラ ンを 仮説的に構成 してみ る必要があると考 え る。*2」
この時点ではわずか9ヶ月後 に再 チ ャレンジの機会が くるとは想定 していなか ったので、かな り長 い展望 で今 後 の研究課題 を措定 している。
しか し前稿 の中心部分 で述 べているよ うに、2006年 度実践 では児童 の関心が高 ま り発言 も活発 にな った部分 があ った一方、児童 は熱心 に聞いて くれてはいたが授業 者 が約22分 間 にわた って話 し続 けるとい う一方 的伝達 の場面 もあ った。 それは麟帯 と胎盤の役割を説 明す る部 分であ った。授業者 は大変重要 な内容 と考 えて取 り上 げ た内容ではあ ったが、説明が長す ぎた ことは否 めず、学 習者 を これ ほど長 く受動的状態 においてはな らない とい
うことが授業者 の痛恨 の反省事項であ った。
従 って もし再実践 を行 な うな らば、第2時の後半部分 で学習者 の能動的活動 を どう組織す るか とい うことを改 善点の中心 に置 きたいと考えた。
授業準備 のための打 ち合わせ は、2007年 10月初旬か ら始 ま り、12月11日とい う授業 日程が確定 したのは11 月末 頃だ った。4年C組 のY教諭 の授業 は、 それ以前 に も数時間参観 させていただいていたが、授業 を行 な う に当た り改 めて参観 を行な った。算数 の授業 の中で班活 動が取 り入れ られていることを知 り、「これを 自分 もや っ てみよ う」 と思 いつ いた。班活動 を取 り入れ ることで、
じっと聞いているだけの子 どもを減 らし、学級全体 の学 習 を活性化できることを期待 したのである。
佐 藤 年 明
2.授業全体の構成 2007年度実践 の構 成 は、 以下 の通 りで あ る。
(*印 は、各節 の到達 目標 を示 して い る。) 0‑1.自己紹介
*教育学部の教員であることを紹介する。
0‑2.家族紹介
*学習の導入として、授業者の子 どもたちのことを紹介する。
1.受精か ら誕生に至 る胎児の驚異的成長 1‑1.出生直後の胎児
*出生直後の胎児の身長が約50cmであることを確認する。
1‑2.受精か ら出生までの身長の驚異的伸び
*受精か ら出生までに、赤 ちゃんの身長が約2000倍に成長す ることを実感的に把握する。
2.母胎内での胎児の形状変化
*ヒ トの胎児の成長過程 と、他の動物のそれとの共通点 と違い を知 り、そこか らどんなことが言えるかを考える。
3.母胎内での胎児の生活の不思議 3‑1.胎児の生活を想像する
*胎児の母体内での生活 と今の自分たちの生活の違いを考え、
また疑問点を発見する。
3‑2.へその緒 (麟帯)の役割
*胎児が頗帯を通 じて母胎か ら栄養 ・酸素を受けとり、また老 廃物を排出していることを知る。
3‑3.胎児の排壮行動等
*僻帯を通 じて栄養を摂取 し、老廃物を排出できるにもかかわ らず、胎児が排尿行動を した り羊水を飲んだ りすること、そ れは出生後の消化 ・排滑等の行動に向けての訓練ではないか
とも考え られていることを知 る。
3‑4.胎児と母親の血液は混 じり合わない
*胎児 と母親の血液が混 じり合 うことな しに栄養や老廃物の交 換が行われていることを知 る。 (但 し、その機能を持つ臓器 としての胎盤の説明は省略する。)
3‑5.母胎内の胎児の映像を見る
*動画を見ることで、母体内で胎児が生きていることを実感する。
4.q&A・感想文の作成
上 記 は2006年 度 実践 とほぼ 同 じもので あ るが、3‑4 の下 線部 のみを変更 した。 胎盤 につ いて の説 明 を断念 す ることによ り、 その前 の 「3‑1.胎児 の生活 を想像す る」
の 中で前述 の班 活動 の時 間 を確 保 す るた めで あ る。
な お授業 に進行 につ いて は、逐語 的 な授 業 シナ リオ を 準備 した。 シナ リオ通 りに授 業 を進 行 しよ うと考 えたわ けで はな いが、逐語 レベ ル まで プ ラ ンを立 て るこ とで、
構想 と実 際 の進行 の違 いを分析 しやす くな る と考 えた。
この授業 の全記録 は、膨 大 な量 とな るた め に本稿 内 に 収 録 で きな い。 そ こで2006年 度 実 践 同様 、web上*3に 収録 した ので、 そ ち らを参 照 され た い。
なお、班討論 を導入 した ことが2006年度実践か ら2007 年度実践 へ の (計画段 階 で は唯一 の)変更 点 で あ り、 そ れ以外 の部 分 で は ほぼ 同 じ授 業 シナ リオ に基 づ いて授業 を進 行 した。 「指導 効 果 の比較 検 討」 のた め に は、 共 通 の指導 案 に よ る指導 に よ って2つ の クラスの児童 の学 習 活動 に どの よ うな違 いが生 じたのか につ いての精 微 な検 討 が必要 で あ る。 しか し紙数 の制 限 もあ り、 その作 業 を 全面 的 に行 な うこ とはで きな い。 本稿 で は 「3‑1. 胎児 の生 活 を想像 す る」 に限定 して授業 の事実 を紹 介 し、検 討 を行 な うこ と と した い。
ちな み に、 結 果 と して で あ るが、「3‑1. 胎 児 の生 活 を想像 す る」 で班討論 後 の発言数 が予想 を大 き く超 え た た め、 その後 の授 業計 画 は大 き く変更 せ ざるを得 なか っ た。 具 体 的 に は、「3‑2.へ そ の緒 (膳 帯) の役 割」 と
「3‑4.胎 児 と母 親 の血 液 は混 じり合 わ な い」 は大 幅 に 圧 縮 し、「3‑3.胎 児 の排 壮 行動 等」 は全 く省 略 せ ざ る を得 な か った。 そ の授 業 経 過 の詳 細 は、web上 の授 業 全記録 を参 照 して いただ きた い。
3.班討論 とその後の発言 3‑1.授業記 録抜粋
上述 の授業全記録 の 中か ら「3‑1.胎児 の生 活 を想像 す る」 にお け る班討論 後 の意 見発 表 の部分 を抜粋 し、逐 語 記録 (但 し、 授 業者 の発言 のみ一部簡 略化) を掲載 す
る。
(『』は授 業者 の発言 、「」は子 ど もの発言、「????」は聴 取 不能部 分 を表す)
[11:47]
『さあそろそろ5分経 ったかな。 じゃあね、一旦机を前向きに 戻 して くれるかな ? (中略)それでは意見を発表 したい人は 手を挙げて下 さい。』
画面上の約17人程度のうち、5名が挙手。
[11:48]
T♂ 「呼吸の仕方が違 う。」
『うん。 それだけ?どのように?‑わかった、 じゃあまあとり あえず。呼吸の仕方ね‑』
(板書)こきゅうの しかた
NA♂ 「羊水に浸かっているか浸かっていないかが。」 (板書)羊水につかっているかどうか
H♀ 「今は自分の口か ら、 ご飯を、食べ物を食べているけど、
赤ちゃんの時はおへそ ぐらいか ら栄養をとっていた。」 (板書)おへそからえいよう ‑ 口からえいよう
H♂ 「多分なんですけど、赤ちゃんの体の周 りに、今 とは違 う 皮 というか膜が張 られている。」
(板書)からだのまわ りに膜
Ⅰ♂ 「そんなに考えていない。」
『え ?ど うい うこ と?』
Ⅰ♂ 「脳 が ‑」
『あー、 赤 ち ゃん は、 な ?な る ほ ど。 Ⅰくん が 考 え て な いん か と思 った ら、違 うん や な ? (笑 ) 赤 ち ゃん が、 そん な に考 え て いな い。』
(板 書 ) そ ん な に考 えて いな い
KM ♂ 「その狭 い とこで水にぷ かぷ か浮 か ん で い るだ けだか ら、
ひ ま。」
『ひ ま ?ひ ま、 とい うこ とは、 ど うい うこ と?』
KM ♂ 「なん も して な い。 浮 か ん どるだ け。」
(板 書 ) ひ ま (何 も して いな い)
子 ど もた ち、KM くん の意 見 を巡 って ザ ワザ ワす る。
S♀ 「おか あ さん とつ な ぐもの が な くな って い ます。」
『(板 書 しな か ら) おか あ さん とつ な ぐもの が 、 な くな って い る?』
S♀ 「つ なが って いたん だ け ど、 切 られ て な くな った。」
(板 書 ) ‑ おか あ さん とつ な ぐものが な くな って い る [11:53]
Y♀ 「赤 ち ゃん の時 に、羊膜 の中でへ その緒 でつ なが って い る。」
『え ?へ そ‑ でつ なが って い る?』
Yさん、 うなず く。
Y♀ 「あ の ‑、 ホー スみ た いな もので つ なが って い る。」
『‑ え っ と、 ごめん ち ょっ と もう1回言 って くれ る ?聞 いて い る間 に忘 れ て しま った。 (笑)』
Y♀ 「赤 ち ゃん は羊膜 と‑羊膜 につ いて い るホー スでつ なが っ て い る。」
『何 とつ なが って い るの か な?』
(「おへ そか らえ い よ う く‑ 口か らえ い よ う」 の そ ば に板 書 ) 羊 膜 につ いて い るホ ー スで つ なが って い る
『(胎 児 の 図 を指 さ しな が ら) こ この こ とを言 って ます ね ?辛 膜 の こ こん と こに くっつ いて い るホー スで、 何 とつ なが って い
るか とい うと、 おか あ さん の体 とつ な が って い る。』
NI♂ 「たぶ ん今 の僕 た ちに比 べ て、 そ の 頃 は毛 とか が少 ない。」
(板 書 ) 毛 が 少 な い ‑ H
N ♀ 「人 の言 葉 を‑赤 ち ゃん は人 の言 葉 を しゃべ らな い け ど、
今 の私 た ち はな にな に とか ‑ しゃべ って ます。」
(板 書 ) 人 の こ とばを しゃべ らな い く‑ KB♂ 「運 動 の仕 方 が違 うと思 い ます。」
『運 動 の仕方 が違 う、 とい うの は、 ど うい うこ とで しょう?』
KB♂ 「赤 ち ゃん の 頃 は、 さ っき の デ ー タか ら も・・・3限 目の 時 のやつ か らもわか るよ うに、急 に成長 して いて、 だか ら赤 ち ゃ ん の時 に は、 生 まれ る前 は成 長 す る こ とだ け に集 中 して運 動
して い た けれ ど、 今 は他 の こ と もや って い る。」
『な るほ ど。 赤 ち ゃん の時 は成長 す る こ とに集 中 して運 動 して いた。 だ け ど生 まれ てか らは、成長 す る こ とだ け じゃな くて、
他 の こ と もや って い る とい うこ とか な?』
(板 書 ) 成 長 す る こ と に集 中 して運 動 して い た ‑ ほか の こ と も
F♂ 「お なか の 中 に い る とき は、 歯 が生 え て な い け ど、 今 は歯 が生 え て きて ‑」
(板 書 ) 歯 が はえ て いな い ‑ トはえ て きて いる こ こか ら2回 目にな る児童 も指 名。
H♂ 「赤 ち ゃん が まだ名前 はつ いて な い け ど、 今 は名前 がつ い て る。」
『な る ほ ど、 それ は ど こに書 こ うか な。り』
(板 書 ) 名 前 :つ いて いる .‑ つ いて いな い
NA♂ 「お な か の 中 で は まだ ち っち ゃい方 だ け ど、 今 は、 生 ま れ て か らは、 お っきい。 今 の僕 た ちはお っき くて、 お なか の 中 の赤 ち ゃん は ち っち ゃい。」
(板 書 ) 小 さ い ‑ →ト大 き い
Ⅰ♂ 「今 考 え た ん だ け ど、 宿 題 が な くて、 夏 休 み が 多 い。 休 み が 多 い。」
(板 書 ) 休 みが 多 い
「い いな」「休 み が多 い」「宿 題 もな い」 な どの声 が上 が る*6。
『宿 題 もな い と。 赤 ち ゃん に宿題 は出 ませ んね。』
KM ♂ 「お なか の 中 にい るので、 暗 そ う。」
(板 書 ) 暗 い
Hくん か ら3回 目の発 言 を要 求 す る声。
『ま あ2回 目の人 か らい こ う。』
NI♂ 「たぶ ん今 に比 べ て体 が丈 夫 で な い と思 う。」
『ど う して そ う思 うか な ?な ん か理 由 あ る?』
NI♂ 「理 由 は何 とな く。」
『で もか らだ が丈夫 じゃな いん じゃな いか と。』
(板 書 ) か らだが じょうぷ じゃな い
Y♀ 「今 と比 べ て赤 ち ゃん の 頃 は 目が 開 いて な くて、 今 は 目が 開 いて い る。」
(板 書 ) 目が 開 いて いな い く‑ いる
S♀ 「NIくん の で ち ょっ と言 え る こ とが あ って、体 が丈 夫 で な い って い うの は、 私 の プー ル の友 達 に赤 ち ゃん が生 まれ た ん だ けれ ど も、 そ の時 にそ の おか あ さん が言 って た の で、 そ れ で生 まれ た 時 は首 の後 ろが柔 らか い って い うか、 まだ????J
『は ‑、 ち ゃん と体 のつ くりが で きて いなか った とい う こ とか な ?生 まれ た 時 に。 そ うい うこ と も起 こ る こ とが あ る と。 ね え、 赤 ち ゃん の間 は い ろ い ろそ うい う、 何 と言 え ば い いん だ ろ う‑病 気 とい うのか、 そ うい うこ とが起 こる こと もあ る と。
丈 夫 じゃな い と、 い う話 を聞 き ま した、 お友 達 の弟 か妹 か。』
[12:01]
T♂ 「呼 吸 の仕 方 ????付 け足 しな ん だ け ど、 羊 水 に浸 か って い るわ けだ か ら、 羊 水 って水 だ か ら、 水 が い っぱ い入 って い る か ら、 呼 吸 が で きな い と思 う。 だか ら呼 吸 の仕方 が ち ょっ と 違 う。り 」
(板 書 ) 呼 吸 はで きな い
Hくん が ま た 「3回 目い い?」と発言 。NAくん も挙 手 して お り、H くん か ら「2回 目?」と聞 か れ て うなず く。 挙 手 は一 部 の児童 だ が、H くん を 中心 に 「もっと言 いた い !」とい う空 気 が み な ぎ って い る。
佐 藤 年 明
授業者 は後の授業展開 も考えていずれかの時点で発言を打 ち切 ろうと考えていたが、 この時点で考えを変えた。
『(笑)まあみんな聞こう、 じゃあ。』
KM♂ 「2頭身。」
『2頭身。2頭身 ってわかる?ちょっと説明 したげて、 これ (‑
胎児図)で。 どういう意味か。』
KM♂ 「頭がでかいんで、体 と頭を比べれば、頭が‑頭の大き さの2倍の体。だか ら頭がでかい。」
『そ うやね。 頭の大きさの2倍 くらいの体だということを2頭 身 っていうんですね。』
(板書)2頭身
H♂ 「自分 と、 自分 ってゆうか、 自分 と‑中にいる時に‑・今は おかあさんのおなかに入れな くて、 この赤ちゃん‑ちっちゃ い、羊膜に入 っている赤ちゃんは、ちっちゃいか らおかあさ んのおなかに入れる。♯RJ
『は‑、なるほどね。 大きさっていうことが、小 さいっていう ことは大事なんだと。おなかに入れる・‑ま、 もともとおなか の中にいるんですけど、まあで も入 って られると。』
(板書)おなかに入れる
NA♂ 「今はもう袋とかに‑そんな袋に入 ってないけど、赤ちゃ んの頃はまだこの袋に入 っている。」
(板書)ふ くろに入 っている
T♂ 「あの写真で、毛が生えてないの もそうなんだけど、 目と 鼻 と口と耳 とかが、今は顔についてるのが、あまりはっきり
していない。」
(板書)目や鼻がはっきりしない S♀ 「友達がいない」
Sさんの斬新な発想に子 どもたちか らも笑いが起 こる。
『さあ、みんな友達、いない‑かな?』
「双子やったら」の声。
(板書)友だちかいない
『‑ ということもあるけど。 まあ、双子で、2人赤 ちゃん入 っ てて も、生まれてか らの友達 とは違 うよね、確かに。』
Ⅰ♂ 「栄養だけをとっている。」
Hくんか ら 「先生ギャグみたいなことを言 ったらだめですか?」
の問い。
『ギ ャグはちょっとこの際休み時間にして。』
授業者 は予期 しない発言にとまどいなが ら、Ⅰくんの発言を板 書す る場所を探 している。
(板書)栄養だけをとっている
『栄養がえいよう、 つてか ? (笑い)』
『もうみんなす ごい言 って くれるか ら、だんだん黒板の上が‑
わか らな くなってきましたけども。』
S♂ (板書事項 に関連づけて発言 しようとしているのか、黒板 を見なから体を左右に動か していて、なかなか発言 しない。)「??
??」
『呼吸を していない、 ということね ? (板書を指 して)「呼吸 はできない」 と言 ったけど、同 じ意見です。』
[12:07]
まだ画面上で確認できるだけで もNAくん、Ⅰくん、Hくんの 3人が挙手 しているが‑
『さあ、全員に全部聞きたいんだけれども、 もうちょっとや り たいこともあるか ら‑』
挙手 している3人は残念そう。
『あのね、後で感想文の用紙 も実は用意 しているか ら‑』
Hくん、「よっしゃ !」と喜ぶ。
授業者は、本来はこれ らの意見を もとにさらに質問事項を班で 出 し合い、全体で話 し合 うことを予定 していたけれども、時間 がな くなったので省略 して次に進むことを告げる。
3‑2.比較 と分 析
①班討論 が 発言 を刺 激 す る効 果 を発揮 した
発 間 「受 精 後2カ月 の赤 ち ゃん の生 活 は、 みん な の今 の生 活 と比 べ る と どん な と ころが違 って い るか」 に対 す る、班 討論 を経 た後 の児童 の発 言 数 は、上 記 の記 録 の よ うに28回 に及 ぶ。 しか し 2回 目、 3回 目の発 言 も認 め て いた ので、 実 人数 を調 べ る と、 男子9名、女 子4名、
合 計 13名 で あ った。35名 の学 級 で あ るの で、 この発 間 に対 す る発 言 者 の割 合 は3分 の 1強 で あ るが、28回 の 発言 が出て、 まだ言 いたい児童 が い るところで締 め くくっ た とい う状 況 は、活発 な学習 参加 とい って よいで あ ろ う。
2006年 度 実 践 で の この部 分 で の発 言 者 数 は9名 (総 児童 数37名 ) で あ った。 この時 は 同一 の発 間 の後 す ぐ に挙手 一指 名 一発 言 の流 れ に入 り、 まだ まだ発言 した い 児童 が い る ところで打 ち切 る、 とい うので はな く、 だ い た い発 言 が尽 きた と ころで次 に移 った ので あ った。
同 じ発 間 に対 して2006年度実践 で は9名 の発言、2007 年 度 で は13名 、28発 言 。 この差 は何 に よ って生 じた の で あ ろ うか ?もち ろん年 度 も違 い、 学級 の個性 も違 うわ けで あ るか ら、 共 通 の授 業 シナ リオ で授業 を行 な った と して も随所 で異 な る反応 が生 じることは当た り前 で あ る。
2つ の学 級 にお いて、 現 在 の 自分 た ち と2ヶ月 の胎 児 の 生 活 を比較 す る とい う課 題 に対 す る関心 の度 合 いが た ま た ま異 な って いた だ けか も しれ な い。 しか しそ う結 論 づ けて しま って は比較 検 討 の意 味 が な いので、 ここで は学 級 の個 性 とい うフ ァクター を敢 えて横 に置 いて、 この発 間 に基 づ く学 習 活 動 の進 め方 と して、2006年 度 は直 ち に発 言 を求 め、2007年 度 は5分 間 の班 討 論 の後 に発 言 を求 めた とい う違 いが何 らか の影 響 を与 え たのか ど うか を考 察 して み た い。
班討 論 の導 入 の際 の留 意 点 は2点 あ った。
第1は、2006年 度 実 践 で 当該 部 分 で の発 言 が学 級 の 約4分 の1に とどま った こ とをふ まえ、 まず は班 で活動 す る こ とで、 ほ とん どの子 ど もが発言 す る機 会 を持 て る こ とを期待 した の で あ る。 但 し5分 間 の班 討論 の間、 授
業者 は若干 は教室 内を動 いたが、各班 の討論 の内容 を掌 握 した り、 ま してや討論 に加 わ る ことは して いな い。 日 頃か ら児童 と交流 があ り、指導 も継続 して行 な って い る 学級 担任 と異 な り、 あ くまで 1回限 りの授業者 で あ る と い うことで、班 活動 の時間 に個 々の子 ど もを 自 ら把握 す る とい うことは最初 か ら断念 して いた。
第2は、班討論 の内容 をその後全体 で集約 す る、 とい う形態 を意識 的 に取 らなか った ことで あ る。 も しこの形 態 を取 るな ら、討論 中に班長 な り他 の誰 かが班 の討論 内 容 の発 表者 とな る ことを決 め、班討論 終了後 に各班 1名 か ら全体 へ の報告 を聞 くことにな る。 この方法 で は班 の 数 と同 じ人数 の発表者 しか確保 で きな い。全般 の発 表 が 終 わ った後 に補足発言 を促す ことはで き るが、全体 と し て代表 が発言 して い るとい うムー ドにな る。 そ うで はな くて、班 での議論 に触発 されて、全体討論 で も誰 で も発 言 で きるよ うに したか った。 そ して、班 の数 は 9前 後 だ と思 われ、 発言 数 は 28回で あ った ので、 班討 論 を契 機 に全体 で の発言 も活性化 され るとい う効 果 は発揮 で きた と思 われ る。
②胎児 の生活 を想像 す る発言 内容 の分析
受精 後 2ヶ月 の胎児 の生 活 を、4年生 の 自分 の生 活 と の比較 にお いて想像 した 28回 の発 言 の 内容 を整 理 して み る。授 業 の中で は、胎児 の状態 を左 に、現在 の4年生 の状 態 を右 に書 くとい う区別 を した くらいで、 内容面 で は最 初 は整理 して板書 しよ うと して いたが、 あ ま りの発 言 の多 さに、多少 の関連 づ けの努力 は した ものの結局 ほ とん どただ黒板 を埋 めて い くだ けに近 くな り、児童 の発 言 を カテ ゴライズ して フ ィー ドバ ックす ることは全 くで きなか った。
しか しあ らた めて発言 内容 を分析 してみ る と、大 き く 以下 の2カテ ゴ リー に分 かれ る。
A.胎児 の視点 に立 とうと した もの
①H♂ :か らだの まわ りに膜く‑
②NA♂ .'まだ袋 に入 っているく‑ もう袋 に入 っていない
③Y♀ :羊膜 につ いて い るホー スでつ なが って い るく‑
④S♀ :く‑ おか あ さん とつ な ぐものがな くな って いる 。
⑤NA♂ :羊水 につ か って い るか どうか
⑥ ‑1T♂ :呼吸 の仕方
⑥‑2T♂ :羊水 に浸かっているか ら呼吸ができないく‑
⑦S♂ :呼吸 を して いないく‑
⑧H ♀ :おへ そか ら栄養く‑ 口か ら食 べ物
⑨Ⅰ♂ :栄養 だ けを とって い るく‑
⑲KM ♂ :おなか の中にい るので暗 そ うく‑
⑪KM♂:2頭身 く‑
⑫NI♂ :毛 が少 な いく‑
⑬T♂ :目と鼻 と口と耳があまりはっきりしていないく‑
⑭Y♀ :目が開 いて ないく‑ 目が開 いて い る
⑮F♂ .'歯 が生 えて いないく‑ 歯 が生 えて きて い る
⑬NI♂ :たぶん今 に比 べ て体 が丈夫 でないく‑
⑰ S♀ :生 まれた時 は首 の後 ろが柔 らか い‑‑
(Tくん の発 言 は、 約 13分 の間隔 を置 いて2回 あ った が、2回 目は1回 目の説 明不足 を補 お うと した ものであ っ たので、一連 の発言 と考 え、⑥‑1・⑥‑2と した。)
B.現在 の 自分 の視点 を足場 に推理 した もの
⑬NA♂ :おなかの 中で は小 さいく‑ 大 きい
⑩H♂ :小 さいか らおか あ さんのお なか に入 れ るく‑ お か あ さんのおなか に入 れ な い
● H
♂ :まだ名前 はつ いて な いく‑ 名前 がつ いて る●KM ♂ :ひま (何 も して いな い)く‑
●
Ⅰ♂ :宿題 が な くて休 みが多 いく‑●
Ⅰ♂ :そんな に考 えて いな いく‑● N
♀ :人 の言葉 を しゃべ らな いく‑ しゃべ る●S♀ :友達 が いないく‑
●KB♂ :成長 す ることだ けに集 中 して運動 して いた く‑ 他 の こと もや って い る
惜 しむ ら くは、授業者 が予想 を大 き く超 え る発言要求 に対 して喜 びつつ も動揺 して しま ったために、個 々の発 言 の内容 を さ らに深 めた り他 の発言 と関連 づ けて討論 に 持 ち込 んだ りで きて いな い ことで あ る。 そのため個 々の 発言 の趣 旨を深 くと らえ ることがで きな い。 だが上記 の カテ ゴライズか ら一 つ明確 にな った ことがあ る。 それ は、
経験 あ る教師 で あれ ば常識 的 に知 って い ることで あろ う が、授業 を計画す る授業者 の発想 と、 白紙状 態 か ら (深 く検討 すれ ば 白紙 で はな いだ ろ うが、少 な くともその 日 の授業 で 「何 が 出 るか」 につ いて は白紙)授業 に参加 し て くる子 どもた ち とで は、共通 に確認 した はず の発 間の 内容 につ いて も、全 く異 な る解釈 を して い る場合 が あ る とい うことで あ る。
授 業者 は確 か に、4年生 児童 の等身大 に近 い胎児 図を 用意 し、 「みん なの今 の生 活 と比 べ る と」 とい う条件設 定 を して い る。 しか し4年生 自身 の生 活 とい うの は、授 業者 に とって はあ くまで も考 え る出発 点、手 がか りに過 ぎず、推測 して ほ しいの は胎児 の生 活 で あ った。 そ して それ は、単 な る想像 で終 わ らせ るので はな く、 そ こか ら 疑 問点 を提起 させ て、 それ とか み合 う形 で授業者 が胎児 の生 活 につ いて説 明 して い く、 とい う指導 の ライ ン上 に 位置 づ いて いた。
しか し子 ど も、 特 に B カテ ゴ リー の発 言 を した子 ど もは、 あ くまで今 の 自分 た ちの生活 に足場 を置 いていた。
子 ど もな りに忙 しい、 い ろい ろな ことに追 われ る現在 の 生 活 を思 う時、 「赤 ち ゃん はのん び り して るな、 ひまだ な。宿題 もない し、考 えな くていい し、 しゃべ らない し‑」
と、 いま 自分 た ちは しな けれ ばな らな い ことを しな くて よい胎児、 とい う発想 で考 えた。 つ ま りは社会生活 の視 点 で胎児 につ いて考 え よ うと したわ けで あ る。
授業者 は学習方法面 で は多 くの発言 が 出 ることを期待
佐 藤 年 明
していた けれ ども、 内容面ではあ くまで もその後の説 明 で贋帯 を媒介 に した胎児 と母体 のつなが りにつ いて、 ま た深 いつなが りがあ りなが らも母体 と胎児 の血液が決 し て混 じり合 わないことの不思議 さについて説明す るため の布石 と して、子 どもたちの予想や (時間がな く省略 し たが)質 問を要求 していた。 これに対 して子 どもたちは 授業者 の想定 を大 き く超えた量 と質 の発言 で応えた。
本 当に子 どもたちの発言 を尊重 し、 内容上 も大切 にす るとい う授業者 の姿勢を貫 くためには、 出された発言 の 内容 を例 えば上記 のよ うなカテゴ リーに整理 しなが ら、
その一つ一つを子 どもたちとともに検証 してい くことが 必要である。 しか しそれには、僻帯や胎盤 の役割 に限定 された授業者 の事前の教材研究では決定的に不足である。
この数倍 の教材研究を行な った上で、子 どもたちの発言 とかみ合 う形で未知の情報を提供 していかねばな らない。
ちなみ に、2006年度実践 の同一箇所 での9人 の子 ど もた ちの発言 内容 は、以下のような ものであ った。
‑‑ 羊膜 の中に生活 していない
‑‑ 羊水 の中に浮かんでいない
・へその緒か ら栄養 を もらっているく‑ 自分で・・・
・歩 いた り動 いた りしないく‑ 自分で歩 いた り動 いた りす る
・ (上記意見 に対 して)歩 いた りは しないけど動 いた りはす る
・聞いた りで きるが見 るとかはできない
・ (上記 の意見 に対 して)見 ることがで きる
・食事 を していないく‑ 食事 を している
・寝 る時 に今 日あ った ことを考 えて寝 る‑‑ 想像 の夢 を見 て寝 る
この時 も冒頭の2発言 は4年生の 自分 の状況 に足場 を 置 くものであ ったが、第3の発言以降胎児 に発言 の焦点 が移 って きている。 冒頭の2発言 も思考 の方 向の問題 だ けであ って、 あ くまで関心 は胎児 中心である。 これに対 して2007年度実践 で はなぜ 自分 た ちの現在 の生 活 に胎 児 を引 きつ けて、 「こうい うことは していないだ ろ う。
していないか らいいなあ。」 とい う趣 旨の発言 が出て き たのだろ うか ?単な る学習者 のキ ャラクターの違 いだろ うか ?授業 のそれまでの過程で、胎児の生活 を想像す る 手 がか りにな りうるもの と して与 えた情報 は、2実践 と
もほぼ同 じなのだが。
4.おわ リに
紙数 がな く、言葉足 らず にな らざるを得 ないのだが、
上記 の授業分析で検討 してきた ことは、実 は 「教科 内容 の系統性 と生活経験 に根 ざした子 どもの思考の絡み合 い」
とい う、50年以上 も議論 され続 けて い る教育方法学、
教授学、教科教育学 の古典的な検討課題 につなが ってい
る。2007年度 附属小学校4年生 の子 ど もた ちの一部 で はあ るが、胎児の胎 内での生活 を学習す る際 に、4年生 の 自分の生活の現状 を色濃 く投影 させて思考 しようとす る者がいた。 これは もちろん、胎児 の生活 自体 について の情報 が きわめて少ないため、生活経験 を動員 して推理 せ ざるを得なか った とい うことで もあ るが、教材教具や 学習過程の構成において児童 の生活 との親近性 に配慮 し た ことによって、授業計画者が想定 し得 なか った児童 の 生活の文脈 を授業 に中に引 きず り込んだ とい うことを も 意味す る。
この段階 に到 って もう一度授業計画者 は、教えたい教 育 内容の組み立て と児童 の生活経験 に基づ く思考 を どう 絡み合わせ るか、 どこまで絡 み合わせ ようとす るかを問 われ る。
幸 いに も同一 の学校 ・同一 の学年で2年度 にわた って 基本的に共通す る内容で授業 を行 な う経験 を させていた だ くことで、全体 の実践 の中では微細 な部分 についてで はあるが、教育方法学上 の重要 な基本課題 に改めて迫 る 示唆を得 ることができた。実験授業の実施を支えて下 さっ た附属小学校、教育学部 の関係者、 そ して何 よ りも重要 な実践 の事実 を生 み出 して くれた附属小学校2007年度 4年C組の子 どもたちに感謝 します。
註
*1拙稿 「小学校性教育 における 『生命誕生過程』 の授 業実践 の 自己分析」 三重大学教育学部研究紀要第59 巻 (教育科学) 2008年 p.237‑248
*2同上、p.247
*3 http://www.cc.mie‑u.ac.jprtsatou/20071211fushou 4C.pdr
*4 授業者 はく‑ とい う記号 を使 って、左側 を胎児 の 状態、右側 を現在の子 どもたちの状態 と区別 して板書 しているつ もりだが、 その ことを子 どもたちにきちん と説明せず に記号 と使 っているので、子 どもたちが ど の程度理解 していたか不明である。
*5 これ は単 に板書 の場所 に迷 ってい るので はな く、
命名の有無 とい う社会的な特徴 の違 いが出てきた こと への とまどいである。 授業者 はあ くまで も生物的 ・身 体的な特徴の比較を期待 しているが、児童の中にはもっ
と幅広 く考えている子 もいたのである。
*6 ここで子 どもた ちの思考 はやや違 う方 向に向いて い る。 授業者 がKM くんの発言 (ひま) に も結 びつ けた ことを意識 したか どうか はわか らないが、現実 の 自分 たちの生活 に比べてのんび りゆ った りした もの と 胎児の生活をイメー ジしたよ うでまるでそれにあこが れ るかのような発言 もあ った。現実への子 どもたちの 思 いの一端 を垣間見 ることができる。 しか し3限であ
つか った よ うな2000倍 の成長 とい う、誕生後 とは比 較 にな らないよ うな体 の拡大 ・膨張の途上 にあ る胎児 を、本 当に 「のんび り ・ゆ った り」 のイメー ジで とら えて しま ってよいのか とい う課題 も残 る。
*7 T君 は、 この発 間 に対す る第1番 目の発言者 だ っ た。 そ こで 「呼吸の仕方が違 う」 と述べたので授業者 が さ らな る説 明を求 めたが、説明はなか った。 ここで の2回 目の発言 の最後 に 「だか ら呼吸の仕方が違 う」
とやや強調す るよ うに言 ったのは、1回 目に説 明不足 と見 な された ことへの リベ ンジであると推測で きる。
しか し授業者 は、 この時点でその ことに気づいてはい なか った。
*8 Hくんの 「ちっちゃいか らおなか に入 れ る」 とい う発言 に対 して、授業者 は思 わず 「もともとおなかの
中にいるんですけど」 とコメン トして しまっているが、
Hくんは何 を言 いたか ったのだろ うか。3限に胎児の 驚異的成長 について も学習 してい る。逆 にた どれば、
成長途上 の胎児が とて も小 さい とい うのは学習 した事 実 そのまま とも思 え る。 しか しH くん の発想 はそ う ではなか った。 とって もちっちゃいか らこそおかあさ んのおなかに入れ るとい う気づ きは、一人の人間の体 内に もう一つの生命が活 きているとい うことの不思議 さへの着 目だ ったのではないか。 うん とうん と小 さい か らこそ入 ってい られ るんだ、僕 たちみたいに大 きい と無理‑赤 ちゃんがおなかに入 っている仕組み ってす ごい、 とい う気づ さだ ったのではないか。 あ くまで推 測であるが。