• 検索結果がありません。

四 条 宮 下 野 集 本 文 及 び 総 索 引

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "四 条 宮 下 野 集 本 文 及 び 総 索 引"

Copied!
55
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

四条宮下野集本文及び総索引

(2)
(3)

(4)
(5)

 ︻序︼

       こと       み      や    あ

めでたくをかしき事どもを︑見てのみ止むが飽かずおぼえしかば︑いと

       もの  か       ひ   う

ゆかずあやしう物に書きつけてありしを︑たびたびの火に失せにしか

     のち     としつも       う        や       こ      のち

 ば︑後々は︑年積り︑もの憂くなりて止みぬるに︑ ﹁越えずは後の﹂と

      い    か       もよほ    か

したる人の︑ ﹁思ひ出でて書きつけよ﹂とあるに催されて書きつく

      ひと      こと     わす  は      ニと

      かたはし      おほ    一オ﹂ ば︑人の御をかしかりし事どもは忘れ果てて︑わがあやしき事どもの おぼえて︑ほのぼの︑それも片端ばかり︑ひが事多くや︒

 ︻=

   つね       せいらう  み はし  ひだりみぎ      さ

常よりも花おもしろかりし春︑清涼殿御階の左右に︑いみじく咲きたる

   さくらえだ   き  たか        う     たま      かた とぐち

桜の枝を︑木の高さばかりにて植ゑさせ給へるを︑宮の御方の戸口にて

   ひと 

  わた

       はなみ       め      こ せうさう   ぐ    まゐ       一ウ﹂るほどに︑渡らせおはしまして︑月の明かきほどに帰り渡らせお

しますとて︑ ﹁花見せむ﹂と召せば︑小中将・小少将など具して参る︒

   うへ      しきぶ       はな  した  さぶら     を

房︑少将の内侍・式部の命婦など︑みな花の下に侍ふに︑折らせ

         たま      おそ     おほ

しまして賜はするままに︑ ﹁遅し﹂と仰せられしかば︑思ひあへず︑

   と     おもがく

きを面隠しにて︑

    ニオ﹂ なが      ひかり       くもゐ  はな     を−長き夜の月の光のなかりせば雲居の花をいかで折らまし

10 5

15

1

(6)

んじ︵世尊寺︶﹂の誤ま

 りか︒    おどろ       おほ       ず

しまして︑ ﹁いみじうをかし﹂と仰せられて︑うち請ぜさせ

       わら      おほ        ず

しましつつ︑ ﹁返しわろくしては笑はれなむ﹂など仰せられて︑請

      ある      ありさま      をり

 じつつ歩かせおはします御有様こそめでたく︑その折おぼえしをかしさ

      ニゥ﹂     わす

こそ忘れがたう︒

 ︻二︼

   との   とのゐ       き      はなみ       あないタう

殿の御宿直所より︑人々あまた来て︑ ﹁花見へまかるに︑案内申さでは

      い       注         き

か﹂とて行きしかば︑せうんじへ︑と聞きてやりし︑

      た

うへき2もろともに立ちも出でねば春霞花の上こそ聞かまほしけれ      だいがくかみさねつな きたちまとしっなて

返し︑大学の頭実綱ぞすべき︑と聞きしかど︑但馬俊綱の手にて︑

      三オ﹂ っね さみだ ざとはなうへ  かた3常よりも咲き乱れたる山里の花の上をばいかが語らむ

 ︻三︼

   たちまとしつな    つぼねまゐ    かく    たま         まゐ     あたら

馬俊綱︑ ﹁御局に参れど︑隠れさせ給ふ﹂とあれば︑参りてまだ新し

     ち

 き心地せしほどにや︑

   なみたよ うらなあまふかし4あだ波の立ちは寄れども浦馴れぬ海人は深さを知らぬなりけり

      としつな

し︑俊綱︑

      三ウ﹂ ふ   かぜ  た       なみ  あさ  うら    よ5吹く風に立つことやすきあだ波も浅き浦には寄するものかは

5

15 10

   …  2

(7)

 ︻四︼

    おも         ちぎ       いうか      と

思はむ﹂など契りしに︑色変はる事のありしを︑訪はざりしかば︑

 こと  は      ふちごろもなみだ        をり  と6言の葉のまことなりせば藤衣涙のかかる折ぞ訪はまし

し︑少将内侍︑

 ︹歌   欠︺

 ︻五︼

    ひと     はな  こ         だい       か

7人ごとに花の上こそ問はれぬれ我よりさきに見てや帰ると       かへ ひと     はな  うへ   と       われ        み       四オ﹂ とに花を恋ふ﹂といふ題を︑人に代はりて︑

 ︻六︼

   こ み ぶ    あふぎ てならひ       い      うたゑ   み         ささわ   ごろもや

部︑ コ扇に手習して﹂と言ふに︑歌絵と見ゆるは︑﹁﹃笹分け衣は破

       わらはべ       うた  か      い

ぬ﹄と童のうたふ歌を書きたる﹂と言ひしかば︑

 ぬのさら       さがみ   いち     ささわ   ごろもぬ8布晒すこれや相模の市ならむ笹分け衣脱ぎもかへばや

 ︻七︼

   な       ひと   ふみ  か       へ

   ふみかずか           四ウ﹂ くなりにし人に︑人の︑書を借りたりし︑ほど経て返しおこすとて︑

そ      

し  て 書の数書きつけたりける文を添へておこせたりしが︑昔ながらの手にて ありしかば︑

10 5

15

   一  8

(8)

9 ﹁書︵ふみ︶返さずは﹂に﹁踏み﹂

を︑ ﹁あとはかなし﹂に﹁跡﹂

ける︒

10

ゆ﹂に﹁露﹂を懸

 ける︒

11 ﹁言の葉﹂に﹁葉﹂を懸ける︒

 み      かへ     はまち どり      むかし9見ましやはふみ返さずは浜千鳥あとはかもなくなれる昔を

 ︻八︼

   せうな ご きよふさ  し せうな ご      をぎ  は       い

清房︑新少納言のもとに︑荻の葉につけて︑

      い

 し︑ ﹁これ︑いかに言はむ﹂とありしかば︑

 かはかぜ      こた     をぎ  うはば

       五オ﹂ ーo川風にそよとばかりは答ふとも荻の上葉はつゆもなびかじ  ︻九︼

   さぶらひ    ひと  うた         つゆ  こひ      か

に︑人々歌よみしに︑露を恋にょそへて︑人に代はりて︑

 しらつゆ うつ        こひ     こと  は      なみだ

11白露に移りやはする恋すとて言の葉にのみかかる涙は  ︻δ︼

      いなば  きみ        か      すずりきく

   はないたまかかう  後撰の上下巻︑因幡の君︑ふたり︑書かせさせおはしますに︑硯に菊の

とみ

花を入れ給へるを︑書き書きてもの憂くなるほどに︑花を取りて見れば︑

       み         ご ぜ   おほ  ごと      おモ

   た         たま     いなば         五ウ﹂ けしきは︑見ぬか﹂と御前の仰せ言あれば︑ ﹁あな恐ろし﹂とて 立ちておこせ給へる︑因幡︑

 い よい みつおも  しみ

12

けば世にも生けらじ水の面のうたかたをだに知らぬ身なれば し︑

 あさ      い      みつ  おも      さわ  なみ

13

きには言ひやはかくる水の面のけしきばかりに騒ぐ波かな

5 15 10

   一  4

(9)

  16懸に

2ξ委

 巳に

籠二

 已思  をど

 懸け︑﹁しのぶ﹂は﹁信夫の里﹂ 18 ﹁玉川﹂﹁みちのく﹂に人名を

 と﹁忍ぷ﹂の懸詞︒

19 ﹁下野﹂に人名を懸け︑﹁思ひ﹂

 に﹁火﹂をこめる︒

19 下ξ

野3 八や 島妄 煙鷺

なり

思奪

知し

18 玉皇 川謹 に  る

影諄が 見み見み のし 里き

苦;

︸ξ

陸¢

奥7=とに己

参膓

頼c

玉奮

川匡

童恕

のは

 17  う  し  さ  を

思奪  ひ

知し  る  に  も

物》

 の 煙熔 ばり

 り  も  に  し 六ぬ 之る

返突

16

思慧

ひと

内さ 侍し

薫奮

見み物》

む お 薫奮こ 物》せ の 給

は とこ ふ

片±て 端e 

知し

15

枯が

かけ ても 言い

刈2 萱‡

聞き

人6

思奪

乱裏

14

枯が

草き 葉は将§

に  、 いと

心三 細畠

敦≒

家叉竺:

の ::

少㌻

煩ぢ

ふら

  内う さそ裏ち を に 添そも

久8

参ゑ

言い 六た

10 5

15

   一  5

(10)

21 ﹁日影﹂に﹁日陰︵葛︶﹂を懸

 ける︒

 ︻茜︼

   こせち  なか  よ      あ       つぽね         き    ところ       ものがたり

中の夜︑月の明かきに︑局に人々あまた来て︑所もなくゐて物語

         ためなか  ところ       つち  た       ち こん  まつ     ないし

 などするに︑為仲︑所のなければ土に立ちたり︒鎮魂の祭りに︑内侍の

        七オ﹂   い   たま  ま      よ    い

 出で給ふ待つとてあるほどに︑ゐたる人にさし寄りて言ふ︑

    とよ  あ

20月こそ豊の明かりなりけれ

   と       さぶら    つ         い

外の人々つけで︑ ﹁かかること侍ふ﹂と告ぐれば︑ ﹁行かぬさきに﹂と

   おも

もあへず︑

 ひかげ       くも うへ

    い い       ず     21日影にもさしまさりけり雲の上は

と ひと

   びと       のぶふさ       しの       い       なにごと     よ    た   き        七ウ﹂と言ひ出でたるを︑かしがましく請じののしりて︑立ちて︑塀の外に人

      なにごと ととよあひかげ あるに︑信房︑ものを忍びやかに言へば︑ ﹁何事ぞ﹂と寄りて立ち聞

         つきひありさまいき     けば︑ ﹁これは何事のいみじきぞ﹂と問へば︑ ﹁豊の明かりには日蔭と

あり﹂︑月日など有様を言ひ聞かするなりけり︒さ言はれて︑心

   え      い       き

      八オ﹂ て︑ ﹁げにげに﹂と言ひしを聞きしこそをかしう︒

 ︻≡︼

     かんだちめ   ゆき  ふ   ひ まゐ  たま     かへ

 おもし ひと   ふ ゆきき    ごひ ある上達部︑雪の降る日参り給ひて︑帰りてのたまへる︑

22

る人もあらじを降る雪に消えかへりつつ恋をするかな

10 5

15

一一 6一

(11)

23 る﹂が﹁経る﹂と﹁降る﹂

 の懸詞︒﹁しら雪﹂に﹁知ら︵ず︶﹂

 をこめる︒

 の懸詞︒ ﹁あまのり﹂に﹁海人 24 ﹁すくふ﹂は﹁掬ふ﹂と﹁救ふ﹂

 ︵あま︶﹂と﹁法︵のり︶﹂を︑﹁わたつ み﹂に﹁罪﹂を乙める︒

25 ﹁海人︵あま︶舟﹂に﹁尼﹂を︑﹁乗

 り得たる﹂に﹁海苔︵のり︶﹂なら

 びに﹁法︵のり︶﹂をこめる︒また

 ﹁すくは﹂は﹁掬は﹂と﹁救は﹂

 の懸詞︒ ﹁わたのはらから﹂は ﹁わたのはら﹂と﹁はらから﹂︒

し︑

 おも  し       ゅき       ま      き

23

知るほどふることもしら雪のいつの間にかは消えかへるらむ

=︵︼

   あまの り       あま

苔といふものを︑尼なるはらからにやるとて︑

      たつ       ふか  み     おも

      八ウ﹂くふべきあまのりをこそ尋ねつれわたつみ深き身にはと思へば

し︑

   ぶね         え

25あま舟にわれのり得たるしるしにはすくはざらめやわたのはらから

   れい      さと         よ なか       かど      たた

らぬ事ありて里にあるに︑夜中ばかりに門をおどろおどうしう叩き

       ふみ    い      おどろ   み      ゅきふ

て︑ ﹁二位中将殿より御文﹂と言ふに︑驚きて見れば︑雪降りて月いと    あ 明かし︒

 しろたへ  ゆき       まが     とも    こ よひなに  たと

26白妙の雪を月とそ紛ふめる共なる今宵何に讐へむ

   かへ

   九オ﹂し︑

 ︹歌  欠︺

 ︻天︼

馬の頭師基︑ ま  かみもろもと  め        まゐ       み       おほぢ   にふだう

殿へ召すにだに参らぬもの見せむ﹂とて︑祖父の入道の

10 5

15

7

(12)

27 ﹁思ひ染めたる﹂に﹁緋︵ひ︶﹂を︑

 コ言の葉﹂に﹁葉﹂をこめる︒

注 ﹁いはまかた﹂︑意不明︒ある

 いは﹁今はまた﹂の誤まりか︒

28 ﹁言の葉﹂に﹁葉﹂をこめる︒

 ﹁給はず﹂の﹁ず﹂脱ならん︒

29 る﹂は﹁入る﹂と﹁射る﹂

 の懸詞︒

30 ﹁すめる﹂は﹁住める﹂と﹁澄

 める﹂の懸詞︒﹁円居︵まとゐ︶﹂に

 ﹁的﹂をこめる︒    え      ま えふしふ  あき  まき         たま       のこ    のち

選りたる万葉集の秋の巻のみおこせ給ひて︑ ﹁残りは後に﹂とて︑かく︑

  ふか  おも  そ      こと       かぜ  ち

   かへ       九ウ﹂く思ひ染めたる言の葉をあだなる風に散らさざらなむ し︑

 注      はる      こと は

28 まかた春の花こそゆかしけれ秋の言の葉見るにつけても

 ︻一九︼

     あ    よ  うへわた      とも  ないし       さぶら

月の明かき夜︑上渡らせおはしましたる御供︑内侍・命婦・殿上人々侍

      ためいへ   ゆみば どの  つき  い    さぶら

に︑為家︑ ﹁弓場殿に月の入りて侍ひつるに︑かく申したりつるを︑

        注たま︵ママ︶

       一〇オ﹂ けさせ給はなりぬる﹂とて︑

 ゆみば   つき

弓場に月のいるそことわり

    い

と言へば︑

 きみ  よ

30

代ののどかにすめるまとゐには と言ふ︒

 ︻二〇︼

   うるふ         ためなか

月七日に︑為仲︑

      す       ご よひ     おも

31 ばたの過ぎにし月のならひにはあやなく今宵ものや思ふらむ

   かへ

し︑

10 5

15

   一  8

(13)

      おも  あま      な   たの 32 なばたの思ひ余れる月なれば名を頼むともかひやなからむ  ︻三︼

   すけよし       あつ     うた   み       い       み      ひ    い

     あふぎ        か      うた       め   うた         すだれ した        一〇ウ﹂良︑ ﹁よみ集めたる歌ども見せむ﹂と言ふに︑ ﹁見む﹂と日ごろ言ふ

に︑扇にこまかに書きたる歌を︑﹁これ︑召す歌ども﹂とて簾の下より

     い         いそ  と    み         ふるうた      か

さし入れたるを︑急ぎ取りて見れば︑よき古歌のかぎり書きたるなりけ

         ふるうた      はか     い       さぶらひ お    きぶら

 り︒ ﹁これは古歌にこそ︒かく謀る﹂と言へば︑ ﹁侍に落ちて侍ひつる︒

       も   まゐ      く じ たふ

       はか       い      さぶらひ        一一オ﹂さて︑かやうによまぼやとおぼえて︑持て参りつる︒さても孔子倒れさ ぬ﹂と︑ ﹁謀られたり﹂と思ひて言ふに︑またのつとめて︑侍に

   さぶら      よ       ふみ  み         かみ    かさ

を︑わざと呼ばせたれば︑来たるに︑人の文と見えたる︑紙ひと重

         かみ  ふる  うた       か        みくしげ    はは  うた

に︑ただの紙︑古き歌をふたつ書きて︑ ﹁御厘殿の母は歌よみにおは

      まゐ   たま    

す︒それがかくして参らせ給へる︑返しせよと仰せらるる︑いつれよし

    み たま      い       み

   いそ  と    み      か      かみ   ニゥ﹂と見給へ﹂とてさし出でたれば︑かく見せあはするをうれしげに思ひて︑

ぎ取りて見て︑ ﹁いづら︑これはものも書かれぬ紙にこそ﹂とて︑ま

    ふるうたか      み    のち       たま      い

るを見て︑後に︑ ﹁おい︑たばからせ給ふにこそ﹂と言

         と    ち    おそ   え       たう  はか   まゐ

か︒いと心疾き心地に︑遅く心得て︑ ﹁ほどもなくも︑当に謀られ参  らするかな﹂と言ひし︑

       一ニォ﹂

5

15 10

   一  9

(14)

      いま    め         あ 33

もすがら心にかけていかばかり今こそ目をもやすく合はせめ

   かへ

し︑

 くも     み       ひさかた  そらし

34 りなく見えわたれども久方の空知らずとはこれをいふかも

36 ﹁心つくしにいきの松原﹂は

 ﹁心尽くし・筑紫に行き・生の

原﹂︒

 ︻三︼

   わづら    ゆかり        ふみ         ひさ       ごと

しき縁ある人の︑文おこせつつ久しうなりぬるに︑返り事もせぬに︑

    に        くだ

りて下るとて︑

    い        へ   み     つくし    いき  まつばらい

   かへ       一ニゥ﹂ 35よしや言はじあり経て見てむ筑紫なる生の松原生きしめぐらば し︑

 くる      はる       まつばら

36苦しきに思ひながらぞ遙かなる心つくしにいきの松原  ︻量︼

    たの       ひと

まむ﹂などある人に︑ ﹁いとよきこと﹂といらふれば︑

 こと     うら       あ    おも

37言の葉は恨むばかりになけれどもそもなほ飽かず思ほゆるかな

5 10

10

38 飽あ ず 返

と し て  、

言い

事ξ

 ︻二四︼

とう東三条殿におはしますころ︑         =ニオ﹂     まゐ  たま       つぼね

殿

り給はぬひまにだに︑御局に

15

(15)

 39

 かo 「

 た L

 は  「 方  」 と  「 潟

 L の

 懸

ω ﹁かた﹂︑前歌と同じ︒    まゐ 

ぐさ 

さき いい は

参りてつれづれ慰めむ﹂とて︑宮司どもの来てもの言ひ言ひての果てに︑

   すけよし  たかふさ  い       つかさ         みや     い

 資良・高房が言ふ︑ ﹁宮司のかたちよき宮よ﹂と言ひて︑ ﹁されどもわ

      あらそ      さだ      たま      い        いま

まさりたり﹂と争ひて︑ ﹁これ︑定めさせ給へ﹂と言ふを︑ ﹁今︑

   ひと   かた  かた  き      い         こと        よ ゐ

     かた     ちくぜん  しきぶ      たかふさ      すけよし        =一一ウ﹂ 々に語り語り来てこそ﹂など言ひて︑この事を︑人々に夜居のつれづ

ば︑筑前・式部の命婦など︑ ﹁高房はまさる﹂とあるに︑資良

    かた  よ      かた   あらそわら      い   あ

      ぜんね       方に寄りて︑互みに争ひ笑ひて︑夜ふくるまで言ひ明かして︑やがて

くぜんと  しも

    きいし すけよしちくぜん な御前に寝たるつとめて︑たれか語りけむ︑﹁筑前は疾くおりて下に﹂

 と聞きて︑言ひかはしけるも知らぬにおりたれば︑資良︑ ﹁筑前のもと

     ﹁四オ﹂         い       とぶら       かた

 に︑かくなむ言ひつかはしたりつる﹂と︑ ﹁訪ひにつかはせ﹂とて語る︒

      よ    しらなみ  あらいそ     この

39 しきかたには寄らで白波の荒磯をのみ好むめるかな

        かへ       いま   い    か

返し︑また返しなどありき︒今思ひ出でて書かむ︒

 あらいそ  しほひ       かた   おな  なみ

        き       一四ウ﹂磯の潮干のかたの方人は同じ波にやさはなりにける る事を聞きて︑この︑

 あらいそ  なみ  おと    うと       み くづ  みぎは   よ

41

波の音さへ疎まれてかかる水屑も汀にぞ寄る  ︻霊︼

      わづら

まゐと 

としなかい

もりより︑煩ふ事ありて参らねば︑問ひにやるとて︑年さヘヰに言

10 5

15

一 1z一

(16)

43 ﹁はるく﹂は﹁晴るく﹂に﹁春

来﹂を懸ける︒

 ﹁かばかり﹂に﹁香﹂をこめる︒       すけよし

りたれば︑資良︑

 つね      とし  へだ

42常よりもおぼつかなきやこれやさは年の隔つるしるしなりける

   かへ

 おも     ふゆこも    一五オ﹂し︑

りにしままならばおぼつかなさぞはるくともなき

 ︻一=︿︼

   こ しきぶ    ありっなおとつ      い      い

部に︑有綱訪るるころ︑みな﹁さなむ﹂と人々の言ふに︑

 ・かく言ひ る︑

 はるた         と        がは  いはま       しげ

うちも解けなで山川の岩間のつららいとど繁しも    か りて︑

      いはま      も        こほりと     な     なが

45さらぬだに岩間の水は漏るものを氷解けなば名こそ流れめ

雑二

 ︻二七︼

    むめ  か   よるおほ         だい    ひと  か

       ﹇五ウ﹂ 梅の香︑夜多し﹂といふ題を︑人に代はりて︑

     むめ      にほ      よるふ   かぜ  たよ いろみ

梅のかばかり匂ふかな夜吹く風の便りうれしく 口く︼

       ものがたり 

と      い よしなき物語して居明かしたる人の︑つとめて言ひたる︑

      け さ   たもと         よる         なみだ おも

ちぬる今朝は挟ぞなつかしき夜のなごりの涙と思へば

10 5

15

12一

(17)

51 ﹁よどの﹂は﹁玉の夜殿﹂と

 ﹁淀野のあやめ草﹂︒

52 ﹁よどの﹂︑前歌と同じ︒

 ﹁ね﹂は﹁ぞ﹂との係り結びで︑

 ﹁ぬ﹂とありたいところ︒

53 ﹁こと﹂は﹁事﹂と﹁琴﹂︒    かへ

し︑

 なにゆゑ  よる  なみだ       ぬれぎぬ

48

      =ハオ﹂故に夜の涙とかけつらむ我濡衣になりもこそすれ

 ︻二九︼

       たつ       かた       こ よひき        い

 ﹁ここには今宵聞きつ﹂と言へば︑

ととぎす尋ねに﹂と語るに︑

 いま     やど    さ       たつ    ひと       き

49今よりは宿にて聞かむほととぎす尋ねぬ人ぞまつは聞きける し︑

 やど     ね       き       ゆめ       ま

50宿にても寝ぬにこそ聞けほととぎす夢ばかりにや人の待つらむ

 ︻=古︼

         ぜん    ね   たま

月五日︑御前より根を賜はせたれば︑

      たま      ぐさなが         ひ

51 ぐひなき玉のよどののあやめ草長きためしに引きてけるかな

   かへ   しなの  きみ

し︑信濃の君︑

        一六ウ﹂      たま      ぐさひ     けふ  かず  し   注︵ママ︶

52もろともに玉のよどののあやめ草引くべき今日の数ぞ知られね  ︻三︼

         お        しきぶ   こと  ひ      おどろ   き

中ばかり︑起きて︑源式部の琴を弾くに︑驚きて聞くほどに︑ほとと

      な

ぎすの鳴けば︑

  よ       き       おどろ

53さ夜ふけていかで聞かましほととぎすひき驚かすことなかりせば

10 5

15

18一

(18)

 ﹁伊勢﹂は女房名か︒

55 ﹁伊勢の海﹂に人名を懸けて

 いるか︒ ﹁かひなき﹂は﹁甲斐無き﹂と

 ﹁貝無き﹂︒

56 ﹁うきみの浦﹂不明︒﹁憂き身﹂

 を懸けているのであろう︒

 ﹁かた﹂は﹁方﹂と﹁潟﹂の懸詞︒       きたまおほ まう    い

殿 聞かせ給ひて仰せられける事申さむ﹂とて︑人々のよろこび言ひ

    あつ      つかさたま      ち       をり    ち

まりしさまこそ︑司賜はりたらむ心地せしか︒その折の心地は︑そ

  一七オ﹂ まさりてこそおぼえしか︒

 ︻三二︼

    おも  た       い

なむ﹂と言ひたる人に︑

      た      いけ    あさ    なに  い

54 より絶ゆばかりなる池水は浅しや何か言ひもかくべき

 ︻三三︼

   おな注いせつぼねいき

同じ人の︑伊勢の局になむ入りたりける︑と聞きて︑たれともなくてさ

    お

し置かす︑

 いせ  うみ      うら よ     さだ      あま  つりぶね

55

      一七ウ﹂勢の海のかひなき浦に寄せてけり定めなかりし海人の釣舟 返し︑

 なみたか        うら  み る め      かひ  ひろ

56

きうきみの浦の海松布していつれのかたの貝か拾はむ

 ︻一昌四︼

    ごぜんまう  いす

申さすべきことあり﹂とある人に︑さし出でたるに︑さし過ぎ

       こ       い

るけしきのしければ︑ ﹁懲りぬ﹂とて入りたるつとめて︑

   し       さそ      みね  か   ち       おも7まだ知らぬ心の誘ふたびなれば峰の懸け路もいかがとそ思ふ

5

5

15 10

14一

(19)

59 渡りわづらふ﹂に﹁煩ふ﹂を︑

 ﹁かささぎの橋﹂に﹁瘡﹂をこめ

 る︒60 ﹁かささぎの橋﹂にコ槍Lをこ め︑﹁きぬ﹂は﹁来ぬ﹂と﹁着

 ぬ﹂の懸詞︒

61 る﹂は﹁経る﹂と﹁降る﹂

 の懸詞︒

62 ﹁吹き寄る﹂と﹁夜ごとに﹂︑

 ﹁松虫﹂と﹁待つ﹂が懸詞︒ノ    かへ

    みね  か   ち   あや     ふ   な        うと    ﹁八オ﹂し︑

58

し峰の懸け路の危ふさに踏み馴れけるも疎ましきかな

         ぞふみかさわづらきぬきさぶら  ︻蓋︼

月七日の御衣のこと申したる文に︑ ﹁瘡に煩ひて衣をえ着侍はぬ﹂と

   か     ふみ もじ       か

書きたる文の文字どもを︑さながら書きなしてやる︑

 け ふ      あま  はごろもき        わた      はし

59       ためなか        一八ウ﹂日なれど天の羽衣着られねば渡りわづらふかささぎの橋 し︑為仲︑

      はし  いたま    だ      た   い         からころも

60

ささぎの橋の板間にと絶えして立ち出でてきぬぞ唐衣なる

 ︻三六︼

   れい     こと       すこ  た   はな     ところ い

らぬ事ありて︑少し立ち離れたる所へ往にし人の︑十二月二日に︑

       い

きこと﹂など言ひたるに︑

     あきみ   ひと  ふゆ     しぐれ

61

し人の冬なれば時雨のみしてほどのふるをも

 ︻三七︼

   さと      あ      しなの       あ

      ま       一九オ﹂ あるころ︑月の明かきに︑宮より信濃ののたまへる︑ ﹁かく月の明 きにも︑まことになむ待たせおはします﹂とて︑

    ふ       かるかや  した  みだ       むし  こゑ

Ω

風の吹きよるごとに刈萱の下に乱るるまつ虫の声

10 5

15

一 15一

(20)

 ゆ﹂に﹁露﹂を懸ける︒ 63 ﹁松虫﹂に﹁待つ﹂︑副詞の﹁つ 64 ﹁すむ﹂は﹁住む﹂と﹁澄む﹂︒

 一字分不明︒ ﹁経信集﹂には

 ﹁みぎは﹂とある︒        て       か   たま

とをかしきに︑手もをかしげにぞ書き給へる︒御返し︑

   むし  き       みやぎ の        こころ

63まつ虫と聞くにつけても宮城野につゆも心をかけぬ日ぞなき

 ︻三︵︼

   ひだり むま  かみつねのぶ      ばうたちぐ     い

 左の馬の頭経信の六条に︑宮の女房達具して行きたりしに︑あるじもな

      とさ あ      み     ぱる  みつ なが

 きに︑土佐の開けさせて︑みなおりて見れば︑いと遙かに水の流れて︑

翫塑  み   あふぎ○を  から  すτはこ

ばかりぞ見ゆるままに︑扇の端を折りて︑唐めきたる硯の箱のある

     み

に︑見ゆまじくして︑

 はる     しもが     の      みつ  かきね   やど       み

遙かなる霜枯れの野にすむ水は垣根を宿のあるじとや見る

     へ   み        つねのぶ

ど経て見つけて︑経信︑

 かきね    し       はる     注    なが    く   ひと

65

      二〇オ﹂根をば占めやはしたる遙かなる口ぎは眺めに来る人のため

 ︻三九︼

   ゆきふ        ひとかよ      い      か

降る日︑ ﹁人通ふらむ﹂など言ひたる人に代はりて︑

 あと     ふ   つ   ゆき  み        ひと  かよ    やど

66

もなく降り積む雪に見えぬらむ人も通はぬ宿のけしきは 冨O︼

        ゆき  ふ      ためなか

月七日︑雪の降りたるに︑為仲︑

 かすが     ゆきま     わ   つね     け さ   わかな        つ

日野に雪間かき分け常よりも今朝の若菜をいかで摘むらむ

10 5

15

16一

参照

関連したドキュメント

当第1四半期連結会計期間末の総資産については、配当金の支払及び借入金の返済等により現金及び預金が減少

システムであって、当該管理監督のための資源配分がなされ、適切に運用されるものをいう。ただ し、第 82 条において読み替えて準用する第 2 章から第

( 2 ) 輸入は輸入許可の日(蔵入貨物、移入貨物、総保入貨物及び輸入許可前引取 貨物は、それぞれ当該貨物の蔵入、移入、総保入、輸入許可前引取の承認の日) 。 ( 3 )

特定工事の元請業者及び自主施工者に加え、下請負人についても、新法第 18 条の 20 に基づく作業基準遵守義務及び新法第 18 条の

第9条 区長は、建築計画書及び建築変更計画書(以下「建築計画書等」という。 )を閲覧に供するものと する。. 2

集積ロボット(ROV ※2 +ポンプ)を地下階に投入し、ゼオライトを

ただし、「空コンテナー」及びコンテナーに関する通関条約(昭和46年条

第○条 附属品、予備部品及び工具 第○条 小売用の包装材料及び包装容器 第○条 船積み用のこん包材料及びこん包容器 第○条 関税上の特恵待遇の要求. 第○条 原産地証明書 第○条