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石川県手取川流域の方言分布

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(1)

著者 川本 栄一郎

雑誌名 金沢大学教育学部紀要.人文科学・社会科学・教育

科学編

23

ページ 1‑13

発行年 1974‑12‑20

URL http://hdl.handle.net/2297/47676

(2)

石川県手取川流域の方言分布*

川  本 栄一郎

は じ め に

 手取川の上流には,「言語の島」と目されてい る白峰方言がある。白峰方言については,先学 によるいくつかの論考がすでにあるので(、1),そ れらを参考に,手取川流域全域にわたって,方 言分布の実態を明らかにすべく,昭和48年9月 から昭和49年8月にかけて,手取川流域ならび にその周辺地域で,言語地理学的調査を行なっ た。以下,調査の結果を報告し,あわせて,こ の地域における方言の歴史についても考えてみ ることにしたい。

1 調査の方法

 調査はすべて,「なぞなぞ式」によって行なっ

た。

 調査地点は全部で70。石川県からは54地点,

福井県からは16地点をとりあげた。

 話者は,すべて,その土地生え抜きの老人で ある。年齢は,70歳を基準とし,男性を対象と したが,地点によっては,大正生れの人や女性 を調べた場合もある。

 次に,調査地点名と話者の性別・生れ年を示 す。調査地点名の前にある数字は地点番号を示

し,()の中の数字は,大正生れを示した⑧以 外は,すべて明治何年生れかを表わしている。

調査地点の位置は,地点番号を用いて図1に示

してある。

1)福井県坂井郡丸岡町

 1丸岡(女21)・2曾谷(男31)

2)福井県足羽郡美山町

 3西河原(男30)・4西天田(男23)・5境  寺(男33)・6小当見(男30)・7小和清水

(男39)・8品ケ瀬(男29)・9薬師(男35)・

10所谷(女30)

3)福井県大野市 11大野(男36)

4)福井県勝山市

12北西俣(男30)・13下荒井(女35)・14 勝山(女30)・15北六呂師(男29)・16谷

 (女25)

5)石川県石川郡白峰村(以下,県名は省略す。)

 17大道谷(男45)・18風嵐(男23)・19白  峰(男29)・20桑島(男30)

6)石川郡尾口村

21深瀬(男27)・22釜谷(男34)・23五味  島(男33)・24女原(男34)・25東二口(男

 22)

7)石川郡吉野谷村

26中宮(女24)・27瀬戸(男36)・28木滑  新(男25)・29市原(男29)・30上吉野(男

 39)

8)石川郡鳥越村

 31河原山(男32)・32上吉谷(男⑧7)・33 釜清水(男37)・34阿手(男44)・35左礫  (女⑧5)・36別宮(男45)・37下野(男42)

 38広瀬(男36)

9)石川郡河内村

 39江津(男40)・40福岡(男31)・41内尾  (男㊧9)・42板尾(女⑧5)・43吹上(女⑧  5)・44中直海(男33)・45口直海(男41)

10)石川郡鶴来町

 46和佐谷(男30)・47鶴来(男32)

11)能美郡川北村

 48中島(男35)・49壱ツ屋(男18)

12)能美郡寺井町

*昭和49年9月17日受理

(3)

 50寺井(男⑧8)・51粟生(男38)

13)能美郡根上町  52根上(女43)

14)石川郡美川町  53美川(男32)

15)小松市  54小松(男31)

16)加賀市

 55柴山(男33)・56打越(男24)・57片山  津(男28)・58篠原(女23)・59塩浜(男  32)・60千崎(男32)・61片野(男32)・

 62塩屋(女23)・63熊坂(男34)・64大聖  寺(男24)・65西山田(男27)・66曾宇(女  26)・67日谷(男31)・68山代(男31)・

 69尾俣(男29)・70柏野(女32)

図1 調査地点の位置

()…・・白峰村   ・・加賀市

      手取川 53         5251          50         54

35

34

 45

46 38

  44    42   43 41

_冷(

  13  /・〈岐阜県

 次に,調査項目を掲げる。調査項目は,全部 で126項目。その内容は次の通り。

1)語彙に関するもの(84項目)

  蛙・ひきがえる・おたまじゃくし・かたつ  むり・なめくじ・もぐら・蟻地獄・蝿・あめ  んぼ・かまきり・とかげ・せきれい・牛・牡  牛・牝牛・子牛・かぼちゃ(総称)・かぼちゃ

(ひだのあるほう)・かぼちゃ(滑らかなほ  う)・とうもろこし・じゃがいも・さとい  も・山ぶどう・桑の実・とげ(竹や木を割っ

たときの)・とげ(ばら)・すみれ・もみが  ら・糠・濡・炊く(ごはん)・煮る(大根)・

湯気(やかん)・湯気(ごはん)・塩味がう すい・塩からい・辛い・甘い・匂いを嗅ぐ・

がんもどき・まぶしい・しもやけ・凍る  (水)・凍る(手拭)・つらら・正坐する・

あぐらをかく・ネマルの意味・膝頭・いろ  り・上座・下座・左座・右座・寝室・庭園・

 くまで・男・女・親類・分家・曾孫・幼児 籠・おんぶする・背負う(荷物)・かつぐ(材 木)・かつぐ(天秤棒)・かつぐ(二人で)・

かつぐ(おみこし)・かつぐ(葬式の輿)・

背中当て・灸をすえる・旋毛・ものもらい・

 舌・小指・鬼ごっこ・お手玉・ままごと・竹 馬・めんこ・片足跳び・肩車

2)文法に関するもの(6項目)

  いる・書いている・読んでいる(以上,

 「〜ている」)牛・猫・蝿(以上,接尾辞「め」。

 なお,白峰村の4地点では,このほかに,後 掲の37項目も調べた。)

3)音韻に関するもの(26項目)

  火事・元日・正月(以上,合拗音)・鏡・

正月・鍵・嗅ぐ(以上,語中尾のガ行子音)・

背中・盃・咳・竹・男・大根・猫・横(以上,

 力行子音の有声化)・背中・汗・銭・風(以 上,「セ」「ゼ」)・甘い・辛い・長い(以上,

連母音aiの融合)・獅子・煤・口・靴(以 上,「シ・チ」と「ス・ツ」の混同)

4)2拍名詞のアクセントに関するもの(10項

 目)

  風・口・水(以上,1類)・橋・肘(以上,

 2類)・足・鍵・靴(以上,3類)・箸(4

類)・汗(、5類)

2 地理的分布

 地理的分布で最も注目されるのは,音韻・文 法・語彙の各面にわたって,白峰村には,他の

(4)

地域とは異なるいくつかの特殊な現象が,分布 しているということである。以下,白峰村を中 心に,他の地域とも比較しながら,分布の状態 を見ていくことにする。

2.1 音韻の分布 2.1.1 合拗音

 語頭の合拗音は,女原(24。以下,地点番号 は(.)で括って示す。)・東二口(25)から下 流の加賀地方(加賀市も含む。)に著しく,五味 島(23)から越前にかけての地域では,「火事」

「元日」の「クワ」「グワ」は,〔8a〕〔§a〕とは ならず,〔ka〕〔ga〕と発音される(1,2}。

 合拗音が,語中尾に現われる例は,どの地点 にも見られず,「正月」の「グワ」は,どこでも みな,〔oa〕である。

2.1.2 ガ行子音

 語中尾のガ行子音は,どこでもみな,鼻音の

〔O〕である。ただし,「嗅ぐ」の「グ」は,越 前および木滑新(28)・阿手(34)から下流の 加賀地方では,一般に,団UI〕とはならず,〔kUI〕

である。東二口(25)・中宮(26)から北六呂 師(15)にかけての地域では,⑰UI〕のまま発音

される。

2.1.3 有声化

 語中尾の力行子音の有声化は,越前に著しく,

加賀に少ない。「横」は,越前の全地点で〔jogO〕

となる。「盃」も,たいていの地点で

〔sagadz前gi〕となる。 その他の語例にも有声 化が認められるが,「横」「盃」ほど著しくはな く,地点ごとにその現われ方はまちまちである。

 語中尾のタ行子音が有声化する例は,越前に も加賀にも見られない。

2.1.4 「セ」「ゼ」

 大道谷(17)から五味島(23)・東二口(25)

にかけての地域には,〔∫e〕〔d5e〕(または〔§e〕

〔dr5e〕は見られず,どの地点でもみな,〔se〕

〔dze〕である。他の地域では,

で,たいてい,〔∫e〕〔d5e〕

〔d弓e〕)となる。

2.1.5 連母音aiの融合

口蓋化がさかん

(または〔§e〕

連母音aiの融合は,白峰村に著しく,「蝿」

は,4地点とも〔b缶:me〕となり,「甘い」「辛 い」「長い」は,風嵐(18)と白峰(19)で,〔am缶:〕

〔ka』:〕〔naoξe:〕となる。ただし,「大根」

のaiはこれらの地点でも融合せず,〔daekON〕

または〔daeko〕と発音される。白峰村における aiの融合が,主として,形容詞の終止形に起こ

っている点が注目される(1,3)。

2.1.6 「シ・ジ・チ」と「ス・ズ・ツ」

     の混同

 「シ・ジ・チ」と「ス・ズ・ツ」の混同は,

加賀にも越前にも見られない。「シ・ジ・チ」は

〔∫i〕〔d3i〕〔t∫i〕,「ス・ズ・ツ」は〔s血〕〔dz苗〕

〔ts苗〕と明瞭に発音される。「蜆貝」を

〔s血dz苗meoae〕と発音する話者が多いが,こ れは,「■貝」に対する「雀貝」という語源解釈 によるものであろう。「筋」を〔s血dz面〕,「涼し い」を〔s苗dzロs血e〕と発音することもあるが,

これも,いわゆる順向同化によるものと解され

る。

 河内村では,一般に,地名の「内尾」(41)を,

〔Ults曲o〕と発音するが,しかし,「口」は〔kUlt∫i〕,

「靴」は〔kUlts加〕であつて「チ」と「ッ」

を混同することはない。「内尾」の〔耐s曲o〕は,

単なる語彙的な現象と思われる。なお,白峰村 では,「ツ」は一般に,〔tu〕または〔tSu〕とな

るい4)。

2.2 アクセントの分布

 越前では,アクセント調査を行なわなかった ので,加賀のアクセント分布だけについて述べ

る。

 「鍵」「肘」は全地点●○,「風」「汗」「箸」

は全地点○●であつて,地域差をまったく示さ

(5)

ないが,その他の語には,地域差が著しく,次 のような分布を示す。

 まず,「水」について。「水」は,手取川西岸 から加賀市にかけての地域一帯で●○となり,

その他の手取川流域では,一般に,○●となる。

図2 「水」のアクセント

囲一●○ 巨ヨ…・・O●

 次に,「口」について。「口」は,塩屋(62)・

日谷(67)を除く加賀市の全域で●○となるが,

その他の地点では,一般に○●である。

図3 「口」のアクセント

圏一・●o

与己

令一︑﹂

⊆プ

目…・・O●

 「橋」「足」「靴」の地域差は,「水」「口」ほ ど著しくはなく,「橋」が風嵐(18)・塩屋(62)・

日谷(67)・山代(68)などで○●となり,「足」

が阿手(34)・別宮(36)などで○●,「靴」が 深瀬(21)・釜谷(22)・上吉野(30)・塩屋

(62)などで○●となるのを除けば,あとはた いてい●○である。

 「箸」は全地点が○●であるから,「橋」が○

●となる地点(風嵐・塩屋・日谷・山代など)

では,「箸」と「橋」の区別がないということに なるが,その他の地点では,「箸」は○●,「橋」

は●○と発音され,明確に区別される。なお,

塩屋では,「箸」と「橋」の間に,「箸」の○●

に対する「橋」の○㊥という微妙なちがいがあ り,話者も,両者のちがいをはっきりと意識し ている。塩屋は,福井県の一型アクセントに隣 接する地点であるから,塩屋のアクセントにつ いては,もっと多くの語例を準備し,その動向 と一型化の有無を精査してみる必要があろう。

 ﹂

 る

布て

1 0

?U

9●9●

 まず,「〜ている」のもととなる「いる」の分 布について述べる。

図4 「いる」の分布

目一オル圏…・イル

(6)

 「いる」は,加賀地方の全域および越前の大 野(11)・北六呂師(15)・谷(16)などでは,

「オル」となるが,これらの地点を除く越前で は一般に「イル」となる。図4は,「いる」の分 布を地図で示したものである。

 「書いている」「読んでいる」の分布は,「い る」の場合よりも複雑で白峰村の大道谷(17)・

風嵐(18)・白峰(19)・桑島(20)および尾 口村の東二口(25)では,「カイチョル」「ヨン ジョル」となるが,その他の加賀地方および越 前の大野(11)・北六呂師(15)・谷(16)な どでは,「カイトル」「ヨンドル」となり,これ らの地点を除く越前では,一般に,「カイテル」

「ヨンデル」となる。図5は,「書いている」「読 んでいる」の分布を地図で示したものである。

図5 「書いている」「読んでいる」の分布

盟一カイチ・ル・・ンジ・ル 目・一カイトル・・ンドル 回・一カイテル・・ンデル

 白峰村に隣接する尾口村深瀬(21)では,夫 婦の間に微妙なちがいが見られる。夫(明治27 年生れの深瀬生え抜き)は,「カイトル」「ヨン

ドル」と言うが,妻(明治32年生れの深瀬生え 抜き)のほうは,「カィチョル」「ヨンジョル」

であって一致しない。深瀬の隣り,尾口村釜谷

(22)の話者によると,「カイチョル」「ヨンジョ

ル」のほうが,「カイトル」「ヨンドル」よりも 古い言い方であるという。もし,そうであると すると,深瀬では,夫のほうが,「カイトル」「ヨ ンドル」という新しい言い方を先に受入れ,古 い言い方の「カイチョル」「ヨンジョル」は妻の     ぜほうに残ったということになる。

 深瀬における二つの言い方の併存,釜谷にお ける新古の判断東二口に見られ「カイチョル」

「ヨンジョル」の分布などをあわせ考えるに,

「カイチョル」「ヨンジョル」は,かならずしも 白峰村特有の言い方ではなく,かつては,尾口 村にも,広く行なわれていた言い方ではないか

と推測される。

 「カイチョル」「ヨンジョル」という言い方は,

北陸では,白峰村のほかに,富山県の山間部,

五箇山の平村・利賀村および上平村細島にもあ る。こういう言い方が,どうして,二つの山間 部,白峰と五箇山に行なわれることになったの か,はなはだ興味深い問題であるが,今のとこ ろ,まだ,両者の関係を明らかにできる手がか

りをつかんではいない。

2.3.2 接尾辞の「め」

 白峰村には,生物名に接尾辞の「め」をつけ て,「クマメ」(熊)・「イリメ」(犬)と呼ぶ変 わった言い方がある(、5)。白峰村の話者による と,この「め」には,卑しめや罵しりの気持は まったく含まれていないという。越前にも「蝿」

を「ハエメ」「ハイミ」と呼ぶ言い方が見られる が,「め」をつけるのは,「蝿」だけであつて,

他の生物名に「め」をつけることは,ほとんど しない。今回の調査では,白峰村の4地点を対 象に,どんな生物名には「め」がつき,どんな 生物名には「め」がつかないかを調べた。次に 掲げる表は,その結果をまとめて示したもので ある。表の中の○は,「め」のつく場合,×は,

「め」のつかない場合,かたかなは,各地点に 共通の方言語形である。

(7)

「め」のつく生物名

語 例 大道谷 風嵐 白峰 桑島 方 言 形

クマメ

イリメ

ニョコメ

ンマメ

ウシメ

ネズメ アリメ

虻(大)

ウルメ

虻(小) アンメ

ビャーメ

チョチョメ

ヘンメ

シラメ

ノンメ

イオメ

× サルメ

×

ハットメ 蜘 蛛

× クボメ

× ベットメ

× カーメ

× ガンドメ

泥 鰭

× ドジョメ

みみず

× ネメズメ

× × オサギメ

× × ×× タカメ カラスメ めだか × × ハリコメ

ひきがえる × ×

× イモベットメ

ご り × ×

× ゴッチョメ × × × ツルメ まむし

× ×

× マプシヘンメ

 上の表で注目される点が一つある。それは,

4地点の全部で「め」をつけている語は,「め」

のついた形が,3音節の方言形になるものに限

られているということである。「ネズメ」(鼠)「シ ラメ」(風)も,単なるmi→meという音韻変化 によるものではなくて,「め」をつけても,3音 節の形が保てるようにという意識の現われとみ ることができる。

 「め」のついた3音節の方言形がこのように,

安定した分布の相を示すのに対し,「め」がつく と4音節以上の方言形になる語の分布は不安定 で,「兎」「烏」「まむし」などの例からもうかが われるように,「め」をつけないという地点が多

くなる。

 「いか・たこ・ふぐ・さば・鮭・豚・鷲」な

ども, 2音節の生物名であるが,それにもか かわらず,これらの語にはどこでも「め」をつ けない。4地点の話者は,このことについて,

異口同音,「こういうものは,白峰にはいないか ら「め」をつけないのだ。」と説明している。

 「かたつむり」「なめくじ」は,白峰にもいる が,ともに,午マメクジリ」という方言形であっ て「め」はつかず,また,「かまきり」も,「オ ガマザ」「オガマズ」という方言形になり,「め」

はやはりつかない。

 なお,「すずめ」と「つばめ」については,ど の地点の話者も,これらのことばには,すでに

「め」がついているからつける必要はない,と 述べている。

 以上,生物名に「め」をつける白峰村のやり 方は,音節数と密接な関係をもつものであるら しいということを述べてきたが,しかし,これ だけの材料では,まだ十分ではない。白峰村の 全地点で,あらゆる生物名をあげて「め」がつ くかつかないかを調べ,その結果を分析した上 でないと確かなことは言えない。

2.4 語彙の分布

 ここでは,分布にまとまりの見られる項目だ けをとりあげ,ある特定の地域にまとまって分 布する僅語をとり出して,それぞれ,「白峰型」

(おもに白峰村に分布する僅語)・「白峰・越 前型」(おもに白峰村と越前に分布する僅語)・

「加賀山間部・越前型」(おもに越前から河内村 にかけての山間部に分布する偲語)・「加賀型」

(おもに加賀地方に分布する僅語)・「加賀市 型」(おもに加賀市に分布する僅語)・「加賀山 間部型」(おもに手取川上流の山間部,尾口村・

吉野谷村・鳥越村に分布する僅語)と名付け,

分布図は,それぞれの型ごとに,代表的なもの だけを掲げる。

2.4.1 白峰型

「ックバウ」(正坐する)

大道谷(17)から五味島(23)までの地域お

(8)

よび中宮(26)・瀬戸(27)・日谷(67)・尾 俣(69)などの山間部に多く分布している。そ

の他の地域には,「オツクバイスル」およびその 説った形(「オツブカイスル・オチョバイスル・

オツクラザスル・ウツクバイスル・ウツクブラ ィスル・ウツッパイスル」など)が分布するが,

美川(54)・塩屋(62)などの海岸部では,「ネ マル」という僅語を用いることが多い。

 「ツクバウ」は,越中の山間部,五箇山にも 分布し,平野部の「オツクバイスル」と対立し

ている。

図6 「正坐する」の分布

雁一・・ツクバウ 目・・一オツクバイスル系

囲……ネマル

「ネマル」(あぐらをかく)

 海岸部の美川(54)・塩屋(62)が,「正坐す る」ことを「ネマル」と言うのに対し,白峰村・

尾口村・吉野谷村の中宮(26)・瀬戸(27)な どの山間部では,「あぐらをかく」ことを「ネマ ル」と言う。越中の五箇山も同様で,やはり,

「あぐらをかく」ことを「ネマル」と言ってい る。五箇山では,「ネマル」のほかに,「アグチ カク」も「あぐらをかく」の使用語として用い ているが,白峰村・尾口村・吉野谷の中宮・瀬 戸などには,「アグチカク」がはいっておらず,

「ネマル」だけを用いている。白峰村と五箇山 との間に見られるこのようなちがいは,「ネマ ル」の意味変化を考える場合にも,有益な手が かりになり得ると思う。

 なち加賀地方では,「あぐらをかく」ことを 般に「アグチカク」と言うが,越前では,一 般に,「ジョロカク」である。

図7 「あぐらをかく」の分布

手取川  一・一

一一−

σ◇c 匂位

◆団

◎8 ←−−

  ●‡‡憩

 1i■1

翅一・ネマル

昌・・…アグチカク 回・一ジ・・カク 困一アグラヲカク

 「あぐらをかく」の僅語については以上にと どめ,次に,「ネマル」の意味の地理的分布を示 す。この問題については,いずれ,稿を改めて 述べるつもりであるので,ここでは,分布の概 略を示すにとどめる(次のページの図8参照)。

 「ネマル」の意味が,上流から下流にかけて,

「あぐらをかく」ことだけを指す一「あぐら をかく」と「正坐する」の両方を指す一一「正 坐する」ことだけを指す,というふうに,いわ ば,連続的な分布を示している点が注目される。

 大聖寺川流域については,山中町の山間部を まだ調べていないので,確かなことは言えない が,図8と次に掲げる図9とから推測するに,

大聖寺川流域にも,同様の分布が見られそうな

(9)

図8 手取川流域における「ネマル」の意味の分布

響::二議 鑑 

函一…・・正坐する、だけ

気がする。

 図9は,富山県庄川流域における「ネマル」

の意味の分布を示したものであるが,ここにも,

先に掲げた図8と同様の分布が認められる。

図9 庄川流域における「ネマル」の意味の分布 石川県,.一

  ■●●●

  ●●

::・;・°

・●■■●■・

り   タ 

:::t°

\・

◆θ

■θ

●●θ

■●θ

●●●■︐ ●■■■θ■

㎜一「あぐらをかく・だけ Eヨー蒜言をかく」「正坐する・

函・…一「正坐する」だけ

○一五箇山

 二つの流域に見られるこのような分布は,単 なる偶然の一致によるものではなくて,「ネマ ル」の意味変化の反映という共通の要因にもと つく現象であると考えられる。先に述べた「正 坐する」の方言分布などを参考に考察を加えて いけば,図8と図9に反映された「ネマル」の 意味変化の歴史が,再構できるのではないかと 思われる。大聖寺川流域における「ネマル」の 意味の分布を明らかにした上で,後日また改め てこの問題について考えてみることにしたい。

「オノコ」(男)

 白峰村と尾口村の深瀬(21)・東二口(25)

に分布している。他の地点は「オトコ」である。

「シリフリ」(せきれい)

 風嵐(18)から深瀬(21)にかけての地域お よび吉野谷村の中宮(26)あたりに分布してい る。中宮では少し詑って「シリフンド」(←「シ リフリドリ」)となる。白峰村の隣村,尾口村に は,「オーブリドリ」が分布する。着想の似てい る点がおもしろい。その他の地域は,加賀・越 前とも,一般に,「イシタタキ」である。ただし,

加賀市の海岸部には,「無回答」が集中的に現わ れる。「せきれい」がこの地域にはいないのか,

いても名前をつけていないのか,その間の事情 はまだ調べていない。

「ショーハイ」(塩からい)

 白峰村特有の僅語。他の地域では,「クドイ」

が普通であるが,加賀市はこの点でも特異で,

「カライ」を多く用いる。

「オガマズ」または「オガマザ」(かまきり)

 風嵐(18)から釜谷(20)にかけての地域お よび東二口(25)・内尾(39)・板尾(40)・

吹上(41)などに分布する。ただし,釜谷では

「オガマ」, 内尾では「オガメ」,板尾と吹上で は「オガミ」となる。その他の加賀地方には,

「カマキリ」「ハイトリムシ」が多く分布してい るが,加賀市の内陸部には,越前の「ガマタテ」

「カマタテ」と同類の「カマタテ」があり,注 目される。

(10)

「スエザ」(下座)

 白峰村特有の僅語。白峰村に隣接する尾口 村・吉野谷村・鳥越村には,「ウラジロ・シモジ ロ・シタジロ・クチナジロ・クチジロ・オトコ ジロ」など,ジロ系の僅語が多く,その他の加 賀地方には,「シモザ」「シモイロリ」が多い。

越前には,「ムカイザ」「ムカイイロリ」が多い。

「ジロ」(いろり)

 白峰村・尾口村および吉野谷村の中宮(26)・

鳥越村の上吉谷(32)などに分布する。その他 の地域では,一般に,「イロリ・イルリ・イリリ」

となる。「下座」をジロ系の僅語で表わす地点は 多いが,「いろり」そのものを「ジロ」という地 点は至って少ない。古いことばは,複合語に残 ると言われるが,「下座」を表わすジロ系の僅語 も,その一つの例と見ることができる。

「ガマダレ」(つらら)

 白峰特有の僅語。越前の北六呂師(15)に分 布する「カンダレ」も,同類の語であろう。尾 口村には「コーリ」「コーリンボ」が多く,中宮

(26)には「ゴーリ」,内尾(39)には「カンゴー リ」,板尾(40)・吹上(41)には「ガリンボ」

が分布している。どれもみな,コーリ系の語で ある。その他の地域では,加賀・越前とも,「タ ルキ」が普通。

「ヨンナカ」(分家)

 大道谷(17)・風嵐(18)・白峰(19)と越 前の谷(16)に分布する。加賀地方は,一般に

「ショタイデ」であるが,越前の勝山市と大野 市は「デウェ」,その他の越前は「イッケ」であ

る。

「オヤコ」(親類)

  「オヤコ」の分布はやや広く,大道谷(17)

から女原(24)・東二口(25)にかけての地域 および中宮(26)・上吉野(30)・曾谷(2)な どに見られる。「親類」を表わす「オヤコ」は,

越中の山間部,五箇山にも分布し,また,東北 地方に多い「オヤグマギ」(←オヤコマキ。親類)

にも通ずる語であるので,その歴史について特 別の関心が持たれる。

「デバ」(ものもらい)

 大道谷(17)・風嵐(18)・白峰(19)の3 地点にだけ分布する。桑島(20)から五味島(23)

までの地域には,「メコブ」が分布し,越前の山 間部と中宮(26)・熊坂(63)には「メバツリ・

メマツリ・メハツリ」,板尾(42)・吹上(43)

には「メツンコ」が分布する。加賀地方は,一 般に,「メモライ・イモライ」である。

「ヵッツキ」(じゃがいも)

 白峰村の4地点と北六呂師(15)に分布する。

その他の地域には,「ニドイモ」「ジャガイモ」

「ジャガタライモ」が分布するが,越前の勝山 市と大野市には,「コーポイモ」という変わった 言い方が行なわれている。

「タカアシ」(竹馬)

 大道谷(17)から五味島(23)までの地域お よび中宮(26)・西天田(4)・境寺(5)など に分布している。曾谷(2)の「タカシェ」,丸 岡(1)の「タカシェン」も,同類の語と見る。

その他の加賀・越前は,一般に,「タケンマ」で ある。

「バト」(背中当て)

 荷物を背負うとき背中にあてる藁で編んだ背 中当てのことを,大道谷(17)から釜谷(22)

までの地域および勝山市では,「バト」と言う。

その他の地域では「シェナカテ」が普通。阿手

(34)の「ガンザブロー」は珍しい。木製の背 中当ては,どこでもみな,「シェイタ」または「セ

イタ」である。

「マメクジリ」(かたつむり)

 大道谷(17)から女原(24)までの地域と市原

(29)に分布する。これらの地点では,「かたつ むり」と「なめくじ」を区別せず,ともに,「マ メクジリ」と呼ぶ。板尾(42)・吹上(43)に は「カイカズキ」が分布し,鶴来(47)・寺井  (51)・小松(55)・西山田(65)には,「ツノ

ダシ」が分布しているが,他の地点では,一般 に.「カタツムリ」または「デンデンムシ」と言 う。「カタツムリが古く,デンデンムシは新し い。」という内省の多い点が注目される。

(11)

「エブ」(山ぶどう)

 白峰村特有の僅語。谷(16)の「ヤマ舌ビ」,

女原(24)・内尾(41)・板尾(42)・吹上(43)

の「スイエビ」,阿手(34)の「スビ」も同類の 語と思われる。その他の地点は,一般に,「ヤマ ブドー」であるが,越前・加賀の山間部には「グ ンド」が多い。曾谷(2)の「グミド」は,「グ ンド」の語源を考える場合の手がかりとしても 使える。

「イド」(井戸)

 加賀・越前の平野部では,「井戸」を一般に「イ ケ」と言うが,手取川流域の山間部では,そう は言はず,「イド」である。越中の平野部でも,

「井戸」は「イケ」であるが,五箇山では,そ うはならず,「イド」である。山間部に分布する

「イド」については,標準語化による新しい現 象ではなくて,古くから使われてきた「イド」

ということが考えられる。

「アマイ」(塩味がうすい)

 白峰村と加賀市では,「塩味がうすい」ことを,

一 般に,「アマイ」と言う。その他の地域では,

北陸特有の僅語,「ショムナイ」を用いるが,越 前の勝山市には,関西系の「ミズクサイ」が分 布し,美山町ぽは,「ウスイ」が分布している。

なお,「アマイ」は,五箇山と飛騨白川村にも分 布している。

「ベット」(蛙)

 北六呂師(15)から五味島(21)までの地域 に分布する。白峰村では,一般に,例の「め」

をつけて,「ベットメ」と言う。この地域の下流,

吉野谷村・河内村には「ゴット」が分布し,鳥 越村には「ギャール」が分布する。越前も,

「ギャール」または「ガエル」であるが,加賀 の平野部には「ギャワズ」が多い。丸岡(1)

の「ドンク」は珍しい(1,6)。

2.4.2 白峰・越前型

「ナンキン」(南瓜)

 桑島(20)から上流に分布する「ナンキン」

は越前の「ナンキン」につながる。深瀬(21)

から下流の加賀地方は一般に「ポプラ」である が,加賀市は特殊で,「カボチャ」が多い。

図10 「かぼちゃ」の分布

手取川

・ごΣ・◆

 イ●..ら・

.,諮}ζ簗・

..ξ⑳・v⑱・ミ

ξ  e

、1轟萄

 ㌻、

   ●●◆●y

iii…}認i…⇔中●尋 .●

 ノ.弍 ハ

 ●.!

匿ヨーナンキン系

E≡ヨ……ボブラ系

函一一カボチャ系

「シモヤケ」(しもやけ)

 「シモヤケ」も,桑島(20)から上流に分布 し,越前の「シモヤケ」につながる。ただし,

越前の丸岡(1)・曾谷(2)では,日本海側 特有の但語,「イキヤケ」を用いる。深瀬(21)

から下流の加賀地方は,一般に,「シンバレ」で ある。

「ズイキイモ」(さといも)

 「ズィキイモ」も桑島(20)から上流に分布 し,越前の「ズイキイモ」につながる。ただし,

北西俣(12)・下荒井(13)・勝山(14)は,

「マイモ」である。深瀬(21)から下流の尾口 村には「ヨゴイモ」,吉野谷村・鳥越村および河 内村の内尾(41)には「イガイモ」がそれぞれ 分布しているが,深瀬(21)・釜谷(22)・東 二口(23)では,「ヨゴイモ」から「ズイキイモ」

への変化が現在行なわれつつある。「ヨゴイモ」

は,越前の曾谷(2)にも分布し,「イガイモ」

は,加賀市の内陸部にも分布している。その他 の加賀地方は,一般に,「イモノコ」である。

(12)

2.4.3 加賀山間部・越前型

「ウルゴメ」(ネ需)

 「ウルゴメ」は,越前から河内村にかけての 山間部におもに分布し,その他の加賀地方には,

「ママゴメ」が分布する。ただし,手取川河口 付近には,「ママゴメ」は見られず,ただの「コ メ」が多い。

図11 「糟Jの分布

臼呂鵠・・批 川 取 手●●θ4●●●●

◎◆●

◆◎白■●●●

回…・ウルゴメ系 匡ヨーママゴ・系 囲・…・メ系

「ネドコ」(寝室)

 「ネドコ」も,越前から鳥越村・河内村にか けての山間部におもに分布し,その他の加賀地 方には,「ナンド」が分布している。ただし,加 賀市の山間部は「ネドコ」で,平野部の「ナン

ド」,海岸部の「ネバ」と対立する。

 「ネドコ」と「ナンド」の接触地帯では両者 を併用することが多く,これらの地点では,両 者のちがいを,「ナンドは古くネドコは新しい。」

とか,「ナンドは老夫婦用の寝室,ネドコは若夫 婦用の寝室。」とか説明している。

2.4.4 加賀型

「ミィデラ」・「ヒローズ」(がんもどき)

 「がんもどき」の方言は,大道谷(17)から 下流の手取川流域一帯に分布する「ミイデラ」

と加賀市全域に分布する「ヒローズ」と越前一 帯に分布する「ガンモドキ」との三つに大きく 分かれる。「ミイデラ」は,加賀市の柴山(55)

にも分布し,また,加賀市の打越(56)にも,

「ミイデラ」を使う人がある。 小松市の「ミイ デラ」の影響によるものなのかもしれない。

 市原(29)から鶴来(47)にかけての手取川 流域には,柴山・打越などとは逆に,「ヒロズ」

がはいり込みつつある。これは,金沢の「ヒロ ズ」の影響によるものであろう。「ヒローズ」で はなくて,「ヒロズ」である点が注月される。

図12 「がんもどき」の分布

手取月

、 ・

.麟蔑㌶繊

寵8

■◎.∩◆■◆ 

●◆●■

     ・一ロ゜、        ●

織‡‡‡‡繧⇔◆.軸⇔.亭

 .ンくン

  ● ︶ノ︸

目一一ミイデラ系

⑳……ヒ・一ズ系 匡1…一ガンモドキ系

「ビプラ」 ・ 「ビピラ」(くまで)

 「くまで」は,加賀では「ピプラ」「ビビラ」,

越前では「コマザライ」である。「ビビラ」は,

白峰村・尾口村および河内村の中宮(26)・加 賀市の熊坂(63)・曾宇(66)など,おもに山

(13)

間部に分布する。その他の加賀地方では,一般 に「ビブラ」である。

2.4.5 加賀市型

「オジヤメ」(お手玉)

 加賀・越前とも,「お手玉」は,一般に「オジャ ミ」であるが,加賀市では,これを「オジャメ」

と発音することが多い。

図13 「お手玉」の分布

     1麗卜一・オジヤ・系      昌一・オジャミ系

「ムコザ」(上座)

 手取川西岸の寺井(51)・根上(53)あたりから 加賀市の塩屋(62)・大聖寺(64)にかけての地域 一 帯に分布する。その他の地域は,加賀・越前とも

「ヨコザ」である。

2.4.6 加賀山間部型

「ターワ」と「ナンパンキビ」(とうもろこし)

 「ターワ」は,深瀬(20)・釜谷(21)にだ け分布し,「ナンパンキビ」は,その下流の吉野 谷村と鳥越村に分布する。「ターワ」は,富山県 に多い「トナワ」と同類の語と思われる。吉野 谷村中宮(26)の「アピキリ」と河内村内尾(41)

の「カシキビ」は珍しい(、,7)。その他の地域は,

加賀・越前とも一般に「トーキビ」である。

図14 「とうもろこし」の分布

   ・  ∨   一   

°   ︵   ●    °   ・   コ  ロ   コ   コ

ψ

ま と め

ターワ ナンパンキビ

トーキビ カシキビ アピキリ

 手取川流域ならびにその周辺地域における方 言分布の特色を,まとめて示せば次のようにな

る。

1)白峰村には,音韻・文法・語彙の各面にわ  たって,他の地域には見られない特殊な現象  が多く分布している。

2)しかも,その中には,たとえば,「カイチョ  ル・ヨンジョル」「ツクバウ」「オヤコ」「イ  ド」「アマイ」など,越中の秘境,五箇山と  共通するものが多く含まれている。

3)他方,白峰村には,「ナンキン」「シモヤケ」

 など,越前と共通するものも少なからず分布  しており,越前の影響も受けつっあることを  示している。

4)加賀地方の方言は,白峰村を中核とする山  間部の方言と平野部の方言とに大きく分かれ  るが,平野部の方言も,予想以上に複雑で,

 加賀市の方言と他の地域の方言との間には,

(14)

かなり大きな地域差が認められる。加賀市に  は,たとえば,「カボチャ」「ヒローズ」「ムコ

ザ」「オジャメ」「パッシ」(「めんこ」。他の地 域は一般に「パッチ」となる。)など,他の地 域とは異なる僅語やアクセントが多く分布し  ている。

5)加賀と越前との間には明瞭な地域差が認め  られるが,越前の山間部,坂井郡丸岡町竹田 地区(曾谷も含まれる)の方言は独得で,「ツ  クバウ」「オヤコ」「ヨゴイモ」など,白峰村  や五箇山と共通する僅語が多く分布してい

 る。

 今後は,以上の調査結果をもとに,さらに精 密な言語地理学的調査を行ない,この地方にお ける方言の歴史再構に努めていきたいと考えて

いる。

(注1)岩井隆盛「白峰(牛首)の方言概要」(『白峰村   史下巻』所収)・岩井隆盛「白峰方言の分布と変化」

   (『白峰村史上巻」所収)など。

(注2)「白峰(牛首)の方言概要」にも,「カ・ガ・カ゜

  の三行において,そのワ行拗音は使われないよう   である。」(288ページ)とある。

(注3)「白峰(牛首)の方言概要」にも,「ア・イが並   ぶと,ヤまたはエァ風になる。このことは,形容   詞の終止形において,特に判然とあらわれる。」

   (291ページ)とある。

(注4)「白峰(牛首)の方言概要」にも,「ツの子音は,

  破擦ではなくて,破裂である。」(289ページ)とあ   る。

(注5)岩井隆盛氏は,「白峰方言の分布と変化」の中で,

  牛首(白峰)方言の特徴の一つとして,「イリメ    (犬)・ベットメ(蛙)・ヘンメ(蛇)・ズプメ    (たにし)・マルムマメ(牡馬)など,動物につ    くメ。」(440ページ)をあげておられる。

(注6)国立国語研究所編『日本言語地図」第5集所収   の「第218図 かえる(蛙)」によると,「ドンク」

  は,主として,長崎・熊本両県に分布している。

(注7)『日本言語地図」第4集所収の「第182図 とう    もろこし(玉蜀黍)」によると,「カシキビ」は,

  主として,佐渡と新潟県北部に分布している。な   お,「アビキリ」の分布は見られない。

〔付記〕 この研究は,昭和48年度文部省科学研究費に   よる研究の一部である。

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