化石の宝庫"上宝村福地"(地学散歩(36))
著者 山下 秀利
雑誌名 静岡地学
巻 56
ページ i‑iii
発行年 1987‑11‑15
出版者 静岡県地学会
URL http://doi.org/10.14945/00025462
静岡地学 5 6 号 ( 1 9 8 7 )
地学散歩 ( 3 6 )
化石の 踊上宝村福地拘
山 下 秀 利 *
日本一の の数を誇る奥飛騨温泉郷。その中の一つ福地温泉のーノ谷から、小さな介形虫の 化石が発見されることは古くから知られている
Oこの介形虫の化石の一つが、オルドピス紀中期のパ ラエオペルデイシオであると確認されたのは 1 9 8 1 年のことであった。日本の最古の化石はそれまでシ ルル紀のものであったが、この発見によってオルドビス紀中期までさかのぼった。
ここ岐皐県吉城郡上宝村福地では介形虫の他に、古生代の化石を豊富に産出する
O中でも特に自を 引くのが層孔虫。床板サンゴの仲間のハチノスサンゴ@単体サンゴの仲間の四射サンゴである
Oまた 海ユりなども多数産出し、まれに三葉虫も見つけられる
Oこれらの化石の多くはホひだ自然館かに陳列されている
Oあるものはきれいにみがかれて化石内部 の様子がはっきりとわかるようになっており(写真ム 4 )、またあるものは風化面をそのままの形に して見せている(写真ム 3)0 またホひだ自然館かの裏山にはこれらの化石を含んだ露頭がそのまま 観察できるように保存されている
O内では古生代の化石を採集することはほとんどできないが、ここ上宝村福地では多数採集す ることができる
O特にシルノレ紀やデボン紀のものが見つけられるので楽しみである
Oーノ谷は 然記念物として保護されているので、採集することはもち論誼接露頭で観察することもできないが、
下流の川原に行くと転石の中に入っている化石を拾うことは可能である
O唐子し虫@ハチノスサンゴ@
四射サンゴ・海ユリ等は、運がよければ拾うことができる
O日本の古生代の化石、特に三葉虫は 1 9 7 0 年頃までは 1 0 種程度が報告されていたにすぎず、珍稀な 化石であると考えられていたが、 1 9 8 2 年までの 1 0 年間に 1 0 0 種をこえるほどになった。三葉虫や頭足 類などは探索や研究が遅れているだけで、化石の種数は決して少なくないことがわかってきた。日本 の古生代化石は決してブズリナやサンゴだけではないのである
Oこれからも探索が続く中で数多くの発見とそれによる研究によってさらに新しいものが見つかる可 能性が多分にある
O今後の研究の発展とその成果におおいに期待したいものである
Oとして載せたものはすべて、ひだ自然館か内に陳列されているものである
Oなお、、ひだ自然館か にあるオルドピス紀の介形虫および、 らが採集した層孔虫の化石については、
はあまりにもコントラストが低くわかりにくいため載せることができなかった。
,ll4.払宮内叩ム山内払均にあるのでご覧いただきたい。
にするために 実物は、
*静岡大学教育学部地学教室(大学院)
︑ ︑
22ノ
・ ・
2A
/' et
¥
写真
1
.三葉虫 ク口夕日セファリナ・セクタの頭部上宝村搭地より産出したヂボン紀前紀のもの、頭の幅約
5 . 7 c m
2.
床板サンゴ ハチノスサンゴの未定種上宝村揺地産出、デボン紀前期、群体の大きさ約
i O c m
、研麿面であるO¥IJJ
・
・
4EA‑ A
︐
︐︐ s e︑ ︑
写真
3.
オウム貝 ミケリノセラスの未定種上宝村福地産出、デボン紀前期、長さ約
4 0 c m
。シル
j
レ紀からデ、ボン紀の日本のオウム貝は、まっすぐな殻の型のものが多く見られる。写真
4.
海綿体 シスタウリーテス(未定種)の斜断面 上宝村水産ヶ谷産出、短径約2c m
、ニ畳紀前期。︑11ノ
・
1 E'
・弓SA
. ︐
EA
/
i