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森下, 智貴

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

アルカリ資材を用いた地盤中の重金属類の溶出抑制 とその影響に関する研究

森下, 智貴

https://doi.org/10.15017/1441302

出版情報:Kyushu University, 2013, 博士(農学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Fulltext available.

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名 : 森 下 智 貴

論文題目 :アルカリ資材を用いた地盤中の重金属類の溶出抑制とその環境影響に関する 研究

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

本論文は、アルカリ資材として製鋼スラグ(スラグ),酸化マグネシウム(MgO )を用いた重金 属類の溶出抑制効果の検証,機構の解析,及び地盤中における重金属等の移動現象に関する研究結 果について述べたものであり,スラグによるカドミウムの溶出抑制およびスラグのアルカリの環境 影響評価, MgO によるフッ素の不溶化機構の解明,粘土中の鉛の吸着及び移動に及ぼす塩類の影響

の 3 つの部分からなる.

まず,スラグの,カドミウム汚染水田土におけるイネのカドミウム吸収抑制効果を検討している.

スラグ及び比較のため炭酸カノレシウムを施用した汚染土を充填したポットで小麦を栽培したところ,

カドミウムの吸収は著しく抑制されるが,亜鉛,銅,鉄の吸収への影響は比較的小さいという結果 を得た.吸収抑制効果は土壌 pH によって決まり,スラグに特有の効果は認められなかったが,土 壌 pH 維持効果が長期間継続することから,スラグは優れた吸収抑制資材であると結論している.

次に,スラグを簡易舗装材として利用する場合の,アルカリの溶出および周囲の土壌への影響を,

現地調査および採取した土壌及び舗装材の室内分析によって検討している.舗装後のスラグはケイ 酸およびアルミノケイ酸塩水和物および炭酸塩の生成により徽密化し,降水の浸透が抑制されてい た.その結果として,舗装下部および周囲の土壌へのアルカリの拡散は無視できる程度であること を明らかにした.またこの研究の過程で,金属鉄や硫化物を含むスラグにも適用可能な、炭酸塩の定 量法を開発している.

フッ素汚染土からのフッ素の溶出抑制に MgO の混合が効果的であることが知られている. MgO  の水和によって生成するブルーサイトへのフッ化物イオンの取り込みがその主要な機構と考えられ ている.この仮説を検証するため, 3 点のフッ素汚染土壌および粘土試料を作成し, MgO を添加し,

フッ素の溶出抑制効果およびブルーサイト生成量を,溶出試験および X 線回折によって調べた.結 果の解析から,添加した MgOの全量がブルーサイトに転化するわけではなく,土の鉱物組成によ っては,ほとんどブルーサイトが生成しないことがあることを見出している.この結果は, MgO に よるフッ素の溶出抑制機構としては,ブルーサイトへの取り込み以外の機構も考慮する必要がある ことを示すものである.

廃棄物処分場底部には粘土による遮水層が構築される.粘土は透水性が低く 陽イオン性重金属 の吸着能も高いが,焼却灰等から溶出する高濃度の塩類によってその機能が低下することが指摘さ れている色そこで,粘土の透水性及び鉛吸着能に対する海水や焼却灰浸出液の塩類の影響を定量的 に評価するため,カラム試験とバッチ試験を行っている.塩類の存在によって透水係数は増加し,

塩類の陽イオンとの競合によって鉛の吸着能は低下した.得られた実験結果を, HYDRUS を用い た

1

次元移流分散解析を行い,

lOOmg江J

の鉛と,海水に相当する塩類が含まれている場合には,

5

m の粘土層が約

50

年で破過する場合もあることを示している.

以上要するに本研究は,アルカリ資材による重金属類の溶出抑制機構および重金属類の粘土地盤

中で、の移動について貴重なデ、ータを提供し,重金属の小麦への吸収抑制や MgOの土壌中での反応

については新規の知見を提供している.これらは環境地盤工学に大きく寄与するものであり,よっ

て本研究者は博士(農学)の学位に値すると認める.

参照

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