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古宮遺跡の調査

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Academic year: 2021

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古宮遺跡の調査

第 119‑3 次

この調査は明日香村豊浦における家屋増築に伴う調査 である。調査地は明治年間に金銅製四環壷がその周辺か ら掘り出されたとされる古宮土壇(本誌1‑46頁参照)の東 南方である。古宮土壇周辺は推古天皇の小墾田宮推定地 の一つであり、 19701973年に実施した、当研究所の発 掘調査によって、 7世紀前半代の石組池や石組溝、 7世 紀後半代の掘立柱建物、 8世紀前半の建物や士坑、溝な どを確認した。宮跡比定には至らないものの、当該期の 遺跡が重層的に広がっていることが明らかになっている

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藤原概報14j、『藤原報告U)

今回の調査地は先の調査区に東接し、 7世紀初頭の石 組大講SD50や7世紀後半代の東西溝SD20が延びている と予想し、南北8 m、東西2 mの調査区を設定した。な お、東西溝SD20の東延長部については、南端にある用 水路に一部かかるために断念した。

調査調査地の層序は上から、耕土、床土、褐色士、

灰褐色砂土、暗灰色砂士、明灰色砂、灰褐色砂礁であり、

現水田面下約40cmの灰褐色砂土上面で遺構を検出した。

暗灰色砂土以下には古墳時代の土器が含まれ、灰褐色バ ラス、灰褐色砂土はそれ以降の整地士にあたる。検出し た遺構には石組大溝SD50のほか、石列 l条、柱穴2個、 土坑5基およびSD50以南のパラス敷がある。

石組大溝SD50には改修が認められる。当初(SD50A) は南北両側石ともに0.3‑0.5m大の川原石を 1段‑ 2段 積み重ねて、幅1.2m、深さO.4mにつくる。 SD50Bは北 側石の南、講内の堆積砂層の上に小形の川原石を3段ほ ど積み上げて北側石とし、南側は当初の護岸を抜取り、

内側に据え直して講幅0.65m、深さ0.3mとしている。

SD50Bには灰褐色砂が堆積し、上部を黄色粘土小粒が 混じった暗褐色土で埋め立てている。 1970年の第1次調 査で確認、した上層及び埋土がSD50Bにあたり、中層、

下層がSD50Aにあたると思われる。 SD50A及びBから は飛鳥Iまでの土器が出土し、 SD50Bの堆積層からは 赤褐色の障が出土した。 SD50Aの北側石の北0.6mに平 行する石列SX4047はSD50のA、Bいずれに属すかは明 らかでない。なお、大溝以南のパラス敷SX4046はSD50 Aの段階には存在したと思われる。

108  奈文研紀要 2003

I y

16.983

│ 3 m

図 104 第 119‑3次調査位置図・遺構図 :2000  1: 100 

柱穴SX40404048は、柱掘形が一辺0.8‑1.2mの方形 で、深さ0.5m。いずれも上部が楕円形で、下部が直径 0.2m程の円柱形に黄色粘土が詰まった柱抜取穴がある。

両者は直線距離で6.1m離れ、深さと抜取穴埋土の様子 が類似することから一つの建物になる可能性があるが、

調査区内では他に柱穴が検出されず、棟の方向や規模は 不明である。掘形、抜取穴ともに少量の土器片が出土し たが、時期が判明するものは56世紀 飛鳥Iに属す。

直接に重複はしないがパラス敷を壊しており、 SD50よ りは新しいであろう。なお、柱抜取穴の特徴は、石神遺 跡のA期(7世紀前半から中頃)や飛鳥板蓋宮伝承地上層遺 構(7世紀後半)のそれと類似しており、柱穴が8世紀に

降ることはないであろう。

士坑は、 5世紀代の土器が多く含まれるSK4049と平 瓦片が含まれた小士坑SK4044を除いて、理土に黄色粘 土の小粒を含み、飛鳥Iの土器が最新であるが、柱穴 SX4040より新しいものと古いものとがある。

まとめ ①小規模調査ながらSD50が東に延びていること と、両側石とも改修されていることが確認できた。

SD50B出土博は、第1次調査では石組小講SD70埋土か らも出土しており、両者の埋没が同時期である可能性が 考えられる。②大講埋没後と思われる建物が確認された。

従来、トレンチ調査であったこともあって充分には解明 されていない建物遺構の広がりと所属時期の追究は、古 宮遺跡の性格を考える上で重要で、ある。土壇周辺を含め た再発掘による解明が望まれる。 (西白書生)

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