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カリックス〔6〕アレーンの立体化学と機能化に関す る研究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

カリックス〔6〕アレーンの立体化学と機能化に関す る研究

大塚, 英幸

九州大学工学応化分子合成化学

https://doi.org/10.11501/3119137

出版情報:Kyushu University, 1996, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)
(3)

九州大学大学院工学研究科 合成化学専攻

博 士 論 文

カリックス [ 6 J アレーンの立体化学と

機 能 化 に 関 す る 研 究

者 英 著

(4)

目 次 第一章 緒 言

1‑1 序 . ト

12 カリックスアレーンに関する従来の研究 ‑3

1‑3  問題提起と本論文の概要 ‑4

参考文献 ‑8

第二章 ヘキサ置換カリックス[6]アレーンエステル誘導体のコンホ メーション特性

2‑1序 ‑10‑

2‑2  実験 ‑13 ‑

2‑21 化合物の合成 ‑14

2‑2‑2 測 定 15

2‑3 

lH‑NMR

によるコンホメーションの検討(理論的考察) ‑17 2‑4 

lH‑NMR

によるコンホメーションの検討(実験的考察) ‑20 2‑5  カリックス[6]アレーンヘキサエステル体とアルカリ金属

イオンとの親和性及び錯体構造の評価 ‑28

2‑6  総 括 ‑33

参考文献 ‑34 ‑

第三章 135‑トリ置換カリックス[6]アレーンエステル誘導体のコンホ メーション午寺'性

3‑1 序 3‑2  実験

3‑2‑1  化合物の合成 3‑2‑2  測 定

3‑3 

lH‑NMR

によるコンホメーションの検:討・

3‑4  総 括 参考文献

第四章 カリックス

[ 6 ]

アレーンを出発原料とする全メチル誘導体の 合成

4‑1 序

‑37 ‑

‑40 ‑

‑40 ‑

‑40 ‑

‑41 ‑

44‑

‑45 ‑

‑47 ‑

4‑2  実験 ‑50 ‑

4‑2‑1  メチル化によるカリックス[6]アレーンメチル誘導体の合成‑51 ‑ 4‑2‑2  部分脱メチル化によるカリックス[6]アレーンメチル誘導体

(5)

の合成 ‑

5 4

4 ‑ 2 ‑ 3  

保護・脱保護法によるカリックス

[ 6 ]

アレーンメチル誘導体

の合成 ‑

5 5

4 ‑ 2 ‑ 4  

測定 ‑61 ‑

4 ‑ 3  

メチル誘導体合成に関する考察 ‑61 ‑

4 ‑ 3 ‑ 1  

メチル化によるカリックス[6]アレーンメチル誘導体の合成

に関する考察 ‑61 ‑

4 ‑ 3 ‑ 2  

部分脱メチル化によるカリックス[6]アレーンメチル誘導体

の合成に関する考察 ‑63

4 ‑ 3

3

保護・脱保護法によるカリックス[6]アレーンメチル誘導体の

合成に関する考察 ‑64 ‑

4 ‑ 4  

カリックス[6Jアレーンのメチル化機構の検討 ‑67 ‑

4 ‑ 5  

カリックス

[ 6 ]

アレーンメチル誘導体の特性 ‑

6 8  ‑ 4 ‑ 5 ‑ 1  

カリックス

[ 6 )

アレーシメチル誘導体の対称性 ‑

6 8

4 ‑ 5 ‑ 2  

カリックス[6Jアレーンメチル誘導体の残存する水酸基の特

性 ‑69 ‑

i¥

J d

m v

託 均 5 考 山

70

‑78 ‑

第五章 カリックス[6Jアレーンへの選択的な置換基導入及び金属錯化 挙動

5 ‑ 1

5 ‑ 2  

実験

5 ‑ 2 ‑ 1  

化合物の合成

5 ‑ 2 ‑ 2  

測定

5 ‑ 3  

カリックス[6)アレーンエステル誘導体合成に関する考察

5 ‑ 4  

カリックス[6Jアレーンエステル誘導体を用いたアルカリ金属

イオンの抽出

5 ‑ 5  

カリックス[6Jアレーンエステル誘導体を用いたアルキルアン モニウムイオンの抽出

5‑6  総括 参考文献

82‑

‑84 ‑

‑84 ‑

93‑

‑94 ‑

‑96 ‑

‑98 ‑

‑101 ‑

101‑

第六章 架橋型カリックス

[ 6 ]

アレーンの合成とコンホメーション特性 6‑1 序

6‑2  実験

‑1 0 3  ‑

‑105 ‑

(6)

6 ‑ 2 ‑ 1  

化 合 物 の 合 成 ‑

1 0 5

6 ‑ 2 ‑ 2  

測 定 ‑

1 1

6 ‑ 3  

三点架橋型カリックス

[ 6 ]

ア レ ー ン 誘 導 体 の 合 成 と 構 造 特 性 ‑

1 1 3   ‑ 6 ‑ 3 ‑ 1  

三点架橋型カリックス

[ 6 ]

ア レ ー ン 誘 導 体 の 合 成 に 関 す る 考

察 ‑

1 1 3  ‑ 6 ‑ 3 ‑ 2  

三点架橋型カリックス

[ 6 ]

ア レ ー ン 誘 導 体 の 構 造 特 性 に 関 す

る考察 ‑

1 1 5  ‑

6 ‑ 4  

二点架橋型カリックス

[ 6 ]

ア レ ー ン 誘 導 体 の 合 成 と 構 造 特 性 ‑

1 2 0  ‑ 6 ‑ 3 ‑ 1  

二点架橋型カリックス

[ 6 ]

ア レ ー ン 誘 導 体 の 合 成 に 関 す る 考

察 ー

1 2 0‑

6 ‑ 3 ‑ 2  

二点架橋型カリックス

[ 6 ]

ア レ ー ン 誘 導 体 の 構 造 特 性 に 関 す

る考察 ‑

1 2

6 ‑ 3  

分子不斉カリックス

[ 6 ]

ア レ ー ン の 合 成 と 構 造 特 性 ‑

1 2 8

6 ‑ 6  

総 括 ‑

1 3 8   ‑

参考文献 ‑

1 4 0 ‑

第七章 架橋型カリックス

[ 6 ]

ア レ ー ン の 包 接 挙 動

7 ‑ 1

序 ‑

1 4 2  ‑

7 ‑ 2  

実 験 ‑

1 4 4 ‑

7 ‑ 2 ‑ 1  

化 合 物 の 合 成 ‑

1 4 4  ‑ 7 ‑ 2 ‑ 2  

測 定 ‑

1 4 7  ‑ 7 ‑ 3  

三点架橋型カリックス

[ 6 ]

ア レ ー ン 誘 導 体 及 び 前 駆 体 の 合 成 ‑

1 5 0

7 ‑ 4  

三点架橋型カリックス

[ 6 ]

ア レ ー ン の 銀 イ オ ン に 対 す る 包 接 挙 重

力 ‑

1 5 4 ‑

7 ‑ 5  

三点架橋型カリックス[6]ア レ ー ン の セ シ ウ ム イ オ ン に 対 す る

包 接 挙 動 ‑

1 5 9  ‑

7 ‑ 6  

三点架橋型カリックス

[ 6 ]

ア レーンのアルキルアンモニウムイ

オンに対する包接挙動 ‑

1 6 5  ‑

7 ‑ 7  

総括 ‑

1 6 8  ‑

参考文献 ‑

1 6 9

第 八 章 結 言 ‑

1 7 3  ‑

謝辞 ‑

1 7 7  ‑

(7)

第一章 緒 言

1 ‑1 序

近 年 、 有 機 合 成 化 学 は 飛 躍 的 な 進 展 を 見 せ 、 極 め て 複 雑 な 構 造 を 持 つ 天 然 物 の 全 合 成 さ え も 可 能 に な り つ つ あ る 。 分 析 機 器 の 進 歩 や 理 論 計 算 技 術 の 発 達 に 伴 い 、 分 子 の 性 質 、 つ ま り 立 体 配 座 や 反 応 性 に 関 す る 理 解 も 深 ま り 、 有 様 化 学 者 は 分 子 を 合 成 す る こ と か ら 、 そ れ を 利 用 す る " こ と に 興 味 を 持 つ よ う に な っ た 。 し か し な が ら 最 近 、 こ の よ う な 個 々 の 分 子 に 関 す る 従 来 の 化 学 と は 全 く 異 な る 新 し い 化 学 の 考 え が 成 長 し つ つ あ る 。 す な わ ち 、 共 有 結 合 を 基 本 と し て 形 成 さ れ た 分 子 に 関 す る 化 学 に 、 弱 い 相 互 作 用 の 組 み 合 せ で で き た 分 子 と 分 子 の 集 ま り を 一 つ の 化 学 種 と し て 扱 う 化 学 の 概 念 が 新 た に 加 わ っ た の で あ る11

~~し、相互作用の組み合せによる分子錯体の形成は、生体反応での極めて厳密

な 分 子 認 誌 の 現 象 と し て 、 酵 素 反 応 、 薬 物 受 容 体 反 応 、 免 疫 反 応 な ど で 観 察 さ れ 、 非 生 体 反 応 と の 最 も 根 本 的 な 違 い と さ れ て い た も の で あ る 。 こ の よ う な 現 象 を 利 用 し て 、 生 体 の 持 つ 機 能 を 分 子 レ ベ ル で モ デ ル 化 を 行 い 、 生 体 を 凌 駕 す るような機能を持つ人工系の構築、すなわち、酵素ー補酵素の示す各種の機能の 発 現 、 二 酸 化 炭 素 や 窒 素 の 固 定 、 イ オ ン や 酸 素 の 輸 送 、 な ど 多 岐 に わ た る 研 究 が 展 開 さ れ つ つ あ る コ こ れ ら の 研 究 分 野 の 中 で 、 一 翼 を 担 っ て い る も の が 超 分 子 化 学 ("SupramolecularChemistry"~l ) 、 あ る い は ホ ス ト ・ ゲ ス ト 化 学 ("Host‑ Guest Chemistry"]l )と呼ばれる分野である。天然、の環状オリゴ糖であるシクロ デ キ ス ト リ ン と 有 機 化 合 物 の 包 接 錯 体 の 研 究4)に よ り 示 さ れ つ つ あ っ た 非 生 体 系で、の分子認識の可能性は、 Pedersenに よ る ク ラ ウ ン エ ー テ ル の 発 見5)を契機と

し て 、 急 速 に 現 実 の も の と な っ た 。 そ の 後 、 包 接 化 合 物 の 両 巨 頭 と も 言 う べ き シクロデキスト 1)ン と ク ラ ウ ン エ ー テ ル は 、 多 く の 研 究 成 果 を 産 出 し そ の 地 位 を確固たるものにしてきた(図ト1) 。 ま た 、 そ の 過 程 で 遭 遇 す る"Serendipiげ6) と 呼 ば れ る 偶 発 的 発 見 に よ る 加 速 効 果 も 含 め 、 こ の 分 野 の 研 究 は ま さ に 爆 発 的

a a

A

(8)

な発展を見せている。

ぺ ︒ ︒ ー ゾ

ハ │

l v

クロテ・キスト(n=6.7.8) 18クラウン6

図ト l 代表的な 包 接 化 合 物 で あ る シ ク ロ デ キ ス ト リ ン と ク ラ ウ ン エ ー テ ル

このように生体系の模倣に端を発したホスト・ゲスト化学であるが、その応 用は純人工系の合成化合物による機能性材料へと拡大しつつある。すなわち、

完全にH or‑made"な 合 成 法 に よ り 得 ら れ る 有 機 分 子 を 用 い たH or‑made"な機

能の発現である。

現 在 、 ホ ス ト ‑ ゲ ス ト 化 学 の 分 野 で 、 対 象 と な っ て い る ホ ス ト 化 合 物 は 生 体 関連物質やシクロデキストリン、クラウンエーテルから派生した誘導体を始め、

スフェランド7)、キャビタンドS¥ シクロファン9 ¥ ポルフイリン化合物10)など極 めて多岐にわたっている。その中に、 1980年 代 初 頭 よ り 多 く の 研 究 者 の 注 目 を 集めてきたのがカリックスアレーンである11)

カリックスアレーン(calix訂ene)はフェノール単位とメチレン架橋から構成さ れる環状オ 1)コ、、マーであり、分子構造がギリシャの霊杯(calix‑αater)に似ている 芳香環の多核環状結合体(訂ene)で、あることが名前の由来となっている(図ト2)12)

12 杯 と カ リ ッ ク ス ア レ ー ン の 構 造

‑2 ‑

(9)

Gutscheらによりp‑置換フェノールとホルムアルデヒドとの結合反応によるカリ ツクスアレーンの大量合成法が示され13)、機能性材料を設計する際の有力な分 子骨格として脚光を浴びるようになり、いくつかのカリックスアレーン化合物 に限つては既に市販されるまでに到っている。

1‑2  カリックスアレーンに関する従来の研究

分子構造に関して[ln]メ タ シ ク ロ フ ァ ン 骨 格 に 属 す る カ リ ッ ク ス ア レ ー ン と 他のシクロファン系化合物との根本的な違いは、一段階で目的とする環員数(n

468)のカリックスアレーンが選択的かつ高収率で得られることにある(図13)。

23 

11 

17 

25.26. 2ì.2S・テトラヒドロキシカt)γ クス [~I アレーン 37 .3 S .39AO.~ A2・ヘキサヒドロキシカリァクス(6)ア レ ー ン

23 

~9 .5 0.5 1.5 2.53.5斗.5 5.56・オクタヒドロキシカリ';;クス [81アレーン

図ト3 1)")クス[4]アレーン、カリックス[6]アレーン及びカリツクス[8]アレーンの構造

ンクロファン系化合物は多段階の合成のために環状物を得るまでに多大な労

﹁ ︑

J

(10)

力を必要とし、その後の機能修飾と機能評価にとって大きな障害となってきた。 これに対しカリックスアレーンは基体となる環状化合物を得ること、更にフェ ノール性水酸基を利用するエーテル結合やエステル結合によって、あるいはフ ェノールのp‑位 へ の 芳 香 族 求 電 子 置 換 反 応 に よ っ て 置 換 基 を 導 入 す る こ と が 容 易である。また環員数の異なる環状化合物について系統的に認識能を検討する ことが可能である。このことはカリックスアレーンが大環状化合物における最 も基本的な認識能である"Hole‑size"選択性を検討するための優れた材料、言い換 えると大きさによってゲストを識別する可能性を有する化合物であることを示 している。このため、ホスト・ゲスト化学に基づく分子認識を目的とする研究 材料として幅広く用いられてきた。この際、識別の対象とされるのは大別する と金属イオンと有機分子(有機イオン)であり、目的に応じて化学修飾された カリックスアレーンがこれまでに数多く報告された。例えば、

p ‑ 1

立に親水性置換 基 を 導 入 し 、 ベ ン ゼ ン 環 か ら 構 成 さ れ る 疎 水 空 孔 に 有 機 分 子 を 取 り 込 む 水 溶 性 カリックスアレーン14)や、水酸基但1'に金属配位性置換基を導入したカリックスア レーン15)が挙げられる。これらの研究の中で代表的な成功例として、ウラニルイ オンに対する選択的取込みi凸)や、最近ではフラーレン (C60)の精製への応用 17)

も報告されている。

I‑3  問題提起と本論文の概要

一般に高選択的な分子認識系を構築する際、多点での相互作用が好ましい。

水素結合や配位結合といったベクトル性がある結合を相補的な認識に利用する 目的からは、官能基を"preorganize"することが分子設計上極めて重要である。ヵ リックスアレーンの任意のフェノール単位に目的とする宮能基を導入すること ができれば、高度な分子認識素子として機能することが考えられる。更にコン ホメーションを制御することで、三次元的な空孔の形成が可能となり、新茨か つ精密な機能発現も期待される。

‑4 ‑

(11)

前 述 し た 成 功 例 も 含 め て 、 こ れ ま で に 合 成 さ れ た カ リ ッ ク ス ア レ ー ン 誘 導 体 は 、 全 て の フ ェ ノ ー ル 単 位 が 単 一 の 置 換 基 を 有 し 、 同 種 の 繰 返 し 単 位 で 構 成 さ れ る 誘 導 体 が 殆 ど で あ る 。 カ リ ッ ク ス ア レ ー ン の 持 つ 潜 在 能 力 を 最 大 限 に 活 用 す る た め に は 、 コ ン ホ メ ー シ ョ ン 異 性 や 位 置 選 択 的 置 換 基 導 入 な ど に 関 す る 基 礎 的 知 見 を 得 る こ と が 必 要 不 可 欠 で あ り 、 そ の 達 成 に よ り 高 精 度 の 分 子 認 識 素 子 と し て 利 用 さ れ る 可 能 性 が 開 け て く る 。 ま さ に 、 シ ク ロ デ キ ス ト リ ン 、 ク ラ

ウンエーテルを凌く",

r

第 三 世 代 の 包 接 化 合 物jに相応しい機能性分子となる。

このように、カリックスアレーンの機能化の基礎的アプローチとして、 1)コ ンホメーション異性の制御法に関する検討、 2)置 換 基 の 位 置 選 択 的 導 入j去の確 立、の二点は最重要課題である。

カ リ ッ ク ス ア レ ー ン 類 の な か で 最 小 の 空 孔 径 を 有 す る カ リ ッ ク ス[4Jアレーン に関しては、ベンゼン環の回転により以下に示したように、 4種 類 の コ ン ホ メ ー ション異性体が存在する。これらはその構造的特徴から、それぞれ"cone","prtial cone"、"1,3‑altemate"、"1,2‑altemate"と日乎ばれており、シクロデキストリン、クラ

ウ ン エ ー テ ル な ど で は 見 ら れ な い カ リ ッ ク ス ア レ ー ン に 固 有 の 特 徴 の 一 つ で あ る(図ト4)

cone  paパialcone  ,3‑alternate  ,2‑alternate 

図ト斗 カ リ ッ ク ス[4]ア レ ー ン の4つ の コ ン ホ メ ー シ ョ ン

これまでの研究で、カリックス[4Jア レ ー ン に つ い て は ア ル キ ル 化 に よ る 位 置 選 択 的 な 置 換 基 の 導 入 法 、 及 び そ の コ ン ホ メ ー シ ョ ン 特 性 が 詳 細 に 研 究 さ れ て きた。一 般 に カ リ ッ ク ス ア レ ー ン 類 の コ ン ホ メ ー シ ョ ン 問 の 変 換 は 、 フ ェ ノ ー ル性酸素原子側の置換基が環の内側を通る"oxygen‑through‑e‑ nulusrotation"L妥

戸 ︑

d

(12)

構か、 p‑.1立の置換基が環の内側を通る"para‑substituent‑through‑the‑annulusro on"

機 構 の い ず れ か で 進 行 す る が 、 フ ェ ニ ル 萎 の 反 転 は 導 入 す る 置 換 基 の 立 体 障 害 によって存

P

制することカすできる。カリックス[4]アレーンのテトラー0‑アルキル化 に関する検討において、この反転はnフ。ロピル基以上の嵩高い置換基の導入によ っ て 完 全 に 抑 制 さ れ 、 コ ン ホ メ ー シ ョ ン 異 性 体 を 単 離 す る こ と が 可 能 な こ と が 既に明らかとなっている18)。 す な わ ち 、 カ リ ッ ク ス[4Jア レ ー ン に お け る コ ン ホ メーション変換はぐ'oxygen‑through‑the‑annulusrotation"機構のみで起こっており、

0‑アルキル基の立体障害により抑制することができるのである。

ところが、カリックス[4Jア レ ー ン と 比 較 し て フ ェ ノ ー ル 単 位 を 二 つ だ け 多 く 持つカリックス[6]ア レ ー ン で は 、 コ ン ホ メ ー シ ョ ン 特 性 、 及 び 置 換 基 の 位 置 選 択 的 導 入 法 に 関 し て 系 統 的 な 研 究 は 行 わ れ て い な い 。 カ リ ッ ク ス[6]アレーンの 環構造は、カリックス[4Jア レ ー ン と 比 較 し て コ ン ホ メ ー シ ョ ン 変 化 を 起 こ す 自 由 度 が か な り 残 っ て い る た め 、 空 孔 形 の 変 化 が 可 能 で あ る 。 こ の こ と は 、 特 定 の ゲ ス ト の み に 対 し て 認 識 能 を 有 す る カ リ ッ ク ス[6]ア レ ー ン を 分 子 設 計 す る 上 で 、 大 き な 障 壁 と な っ て い る 。 ま た 、 カ リ ッ ク ス[6]ア レ ー ン へ の 置 換 基 の 導 入 に は 、 全 て 同 じ 官 能 基 を 使 用 す る の が 主 流 で あ っ た 。 精 密 な 認 識 を 目 的 と す る よ う な 置 換 基 導 入 に は 、 任 意 の 位 置 に 目 的 と す る 置 換 基 を 配 置 す る こ と が 必 要 不可欠で、ある。大きな空孔を有するカリックス[6]ア レ ー ン の コ ン ホ メ ー シ ョ ン 特 性 に 関 す る 基 礎 的 知 見 を 得 る こ と に よ り 、 カ リ ッ ク ス[4Jア レ ー ン で は ほ と ん ど で き な か っ た 比 較 的 大 き な 分 子 の 認 識 が 可 能 に な る で あ ろ う 。 ま た 、 大 き さ の 問 題 の み な ら ず 、 大 量 合 成 可 能 な カ リ ッ ク ス ア レ ー ン 誘 導 体 の な か で 唯 一

アンモニウム基などと相補的な関係となるC

3対 称 性 を 有 し て い る こ と も 、 カ リ ツクス[6Jアレーンが持つ潜在的能力の一つの現れである。

以上の観点より本研究では、カリックス[6Jア レ ー ン の 機 能 化 の 基 礎 的 ア プ ロ ー チ と し て 、 主 と し て コ ン ホ メ ー シ ョ ン 特 性 の 明 確 化 、 置 換 基 の 位 置 選 択 的 導 入j去の確立、の二点から検討を行った。

‑6 ‑

(13)

本 論 文 は 、 全 八 章 よ り 構 成 さ れ て い る 。 以 下 に 本 章 ( 第 一 章 ) を 除 い た 各 章 の概要を述べる。

一 一

高い金属錯化能を有するヘキサ置換カリックス

[ 6 ]

アレーンエステル誘導体 に対して、環反転の有無、及びその安定コンホメーションなど立体化学的な 視点から検討を行う 。ここで得られる結果は以下全章の基礎的知見となる。

立 早

一 一

第二章で得られた知見を踏まえ、これまでコンホメーションが固定されて いれると報告されていた 1,3,5‑ト リ メ チ ル ト リ エ ス テ ル 体 に 対 し て 環 反 転 の 有無を再検討する。

第四章

カリックス[6Jアレーンに対して、最も基本的な置換基であるメチル基の導 入を検討し、位置選択的な導入法の確立(全位置異性体の選択的合成)を目 指す。得られた結果は以下全章の基礎的知見となる。

第五章

第四章で得られた知見を萎に、カリックス[6]アレーンメチル誘導体に対し て実際に機能性置換基を導入し、選択的な置換基導入及びそれらを用いた機 能評価を行う。

第六章

カリックス[6]アレーンの複数の水酸基を架橋した化合物の合成を行い、そ の構造特性を検討する。ま た 、 非 対 称 な 架 橋 子 を 用 い る こ と で 分 子 不 斉 を 有 するカリックス[6Jアレーンを分子設計し、その合成、光学分割、立体化学的 特性について述べるとともに、ラセミ化の有無に基づく環反転の抑制に対す

る証拠を探求する。 第七章

7‑

(14)

第 六 章 で 得 ら れ た 三 点 架 橋 型 カ リ ッ ク ス

[ 6 ]

ア レ ー ン 誘 導 体 の 空 孔 を 利 用 し た包接現象に関して詳細に検討を行う。

第八章

本 研 究 で 得 ら れ た 成 果 を 総 括 し 、 全 般 に わ た る 考 察 を 行 う 。 更 に 今 後 の 展 望についても述べる。

参考文献

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10)  長 哲 朗 , 小 林 長 夫 , 生 起 久 靖 , 根 本 博 司 , 柏 木 浩,大勝靖ー,飯塚哲 太郎,石橋 巽 著

J

ポルフィリンの化学『¥共立出版,東京, 1982 

‑8 ‑

(15)

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14)  S.  ShiはaiS.  Mori, H. Koreishi, T. Tsub0O. ManabeAm.Chem. Soc.  108, 2409 (1986). 

15)  (a) R. Ungaro, A. Pochini, C. D. Andretti InclusionPhenom., 2199 (1984).  (b) S.‑K. Chang,  .1Cho, 1. Chem. Soc., Perkin Trans. 1, 1986, 21l.  (c) M. A.  McKervey, E.  M. Seward, G. Ferguson, B. Ruhl, S. J. Harris Chem.Soc.  Chem. Commw.z, 1985, 388.  (d) T. Arimura, M. Kubota, T. Matsuda, O.  Manabe, S.  Shinkai, Bull. Chem. Soc. Jpn.,  62, 1974 (1989). 

16)  (a) S.  Shinkai, H. Koreishi, K. Ueda; T. Arimura, O. Manabe, 1. Am. Chem.  Soc., 1096371 (1987).  (b) S.  Shinkai, Y. ShiramaH. Satoh, O. rνlanabe, T  Arimura, K. Fujimoto, T. Matsuda, 1. Chem. Soc., Perkin Trans. 21989, 1167.  (c) T. Nagasaki, S.  Shinkai, 1. Chem. Soc"  Perkin Trans. 219911063 

17)  (a) J.  L. Atwood, G. A. Koutantonis, C. L. Raston, Nature, 368, 229 (1994).  (b) T. Suzuki, K. NashimaS.  Shinkai, Chem. Lett., 1994, 699. 

18)  (a) K. Iwamoto, K. Ar討くiS.  Shinkai, Tetrahedron, 47, 4325 (1991).  (b) W. 

Verboom, A. Durie, R. J.  iv. IEgbenkZ. AsfiD. N. Reinhoudt Or

g .

Chem., 57, 1313 (1992). (c) K. Iwamoto, K. Ar泣くiS.  Shinkai Or

g .

Chem., 

564955 (1991). 

‑ 9  ‑

(16)

立 早

第 一

ヘキサ置換カリックス [ 6 ] アレーンエステル

誘 導 体 の コ ン ホ メ ー シ ョ ン 特 性

21 序

有 機 化 合 物 は そ の 構 造 の 中 に 必 ず 炭 素 原 子 を 有 し て い る た め 、 有 機 化 学 は 炭 素 原 子 の 化 学 と 言 っ て も 過 言 で は な い 。 立 体 異 性 の 問 題 は こ の 炭 素 原 子 の 構 造 に 起 因 す る も の で あ り 、 全 て の 有 機 化 合 物 に つ い て 立 体 化 学 が 考 え ら れ る べ き

である。立体化学という言葉は元来、光学異性、シスートランス異性(幾何異性) を 説 明 す る た め に 導 入 さ れ た 概 念 で 、 一 つ の 炭 素 原 子 に 結 合 す る 置 換 基 の 配 置 や二重結合を挟んだ置換基の配置を意味していた1)。ところが現在では分子内の 原 子 団 関 の 杢 間 的 配 置 の 関 係 や 原 子 団 間 の 結 合 の 方 向 な ど を 研 究 し て 、 そ の 化 合 物 の 物 理 的 、 化 学 的 性 質 を 究 明 す る よ う に な っ た 。 さ ら に 進 ん で 化 学 反 応 の 過 程 に お け る 分 子 内 の 空 間 的 関 係 が 、 化 学 平 衡 や 反 応 速 度 に ど の よ う な 影 響 を 及ぼすかと言ったような、動的立体化学にまで及んでいる。

一 般 に 有 機 化 合 物 で は 、 自 由 回 転 可 能 な 単 結 合 の 複 合 的 な 効 果 に よ り 、 分 子 の 自 由 度 が 作 り 出 さ れ て い る 。 カ リ ッ ク ス ア レ ー ン は フ ェ ノ ー ル 骨 格 を メ チ レ ン 鎖 で 連 結 し た 環 状 化 合 物 で あ る た め 、 フ ェ ノ ー ル 単 位 は メ チ レ ン 鎖 を 軸 と し て 回 転 す る こ と が 可 能 で あ り 、 こ れ に よ り 「 コ ン ホ メ ー シ ョ ン 異 性 」 が 生 ま れ る 。 こ の 特 性 は カ リ ッ ク ス ア レ ー ン 固 有 の 特 徴 と し て 、 以 前 よ り 主 た る 研 究 対 象 と さ れ て き た 。 立 体 化 学 的 な 情 報 は そ の ま ま 機 能 化 に 繋 が る も の で あ り 、 機 能性化合物の基本骨格として必要不可欠で、あるためである。

カリックスアレーンの機能化に際し、他の包接化合物(シクロデキストリン・

クラウンエーテル)とは異なる「コンホメーション異性」をどのように活かすか が 最 大 の 課 題 で あ る 。 カ リ ッ ク ス ア レ ー ン の コ ン ホ メ ー シ ョ ン 異 性 を 制 御 す る ことにより、機能の発現は幅広く、精密なものになると考えられる。既に、カリ ツクス [4]アレーンのコンホメーションについては、四種のコンホメーション異

U

EE'A 

(17)

性体の単離も含め、多くの基礎的知見が得られている:!)。また、それらを利用し た機能性カリックス[4Jアレーンについても広範囲に検討がなされてきたJ)。しか し一方で、カリックス[6Jアレーンのコンホメーション異性に関する研究は、環 の内径が大きく、コンホメーション異性体は八種類となり(図2‑1) 、 系 が 複 雑 化するため、ほとんど報告されていないというのが現状である。

G D G H  

G

や C c

F

む G B

E

む 9 A

21 ヘ キ サ 置 換 カ リ ッ ク ス[6Jアレーンのコンホメーション

カリックスアレーン類は溶液状態において、各々のコンホメーション聞の相 互変換が可能である。カリックス[4]アレーンのコンホメーション変化はその構 造的特徴により、水酸基倶1'の置換基が環の内側を通って起こる、xygen‑rough‑ the‑annulus rotation"機構によりのみ進行することが明らかにされている(図 2-2)~)。

?  /¥¥  i 3 2 : 口 t ; ロ : r : n

?

.t出恥he

ト‑,..;:グ¥

l  ~f仇

j~

22カリツクス[4]アレーンにおける"oxygenthroughtheannuIus rotation"機構よる環の反転

この変化は水酸基側に刀ープロピル基以上の嵩高い置換基を導入することで完 全に抑制され、 "cone""¥"partial cone"、"13‑altemate"、"12‑altemate"という四種の 異性体の単離も可能である(図2‑3):!)。

‑11 ‑

(18)

1 { ) 4

..\~γ1/'"

0 0  0 

d  d  b  h 

cone  partial cone  13alternate 12‑alternate 

23 カリ yクス[4]アレーンのコンホメーション異性体

ところで、カリックスアレーン類の持つ機能の一つにイオノファー性(イオン を選択的に取り込む)がある。自然界には、イオノ フ ァ ー と 呼 ば れ る 一 群 の 化 合 物が存在するのは周知の事実であり 、 こ れ ら の 化 合 物 の 生 体 内 で の 挙 動 は ま さ に 機 能 性 そ の も の で あ る 九 そ の た め イ オノファーとしての性質はカリックスア レ ー ン に 関 す る 研 究 の 初 期 よ り 取 り 上 げ ら れ 、 こ れ ま で に 多 く の 検 討 が な さ れ てきた。特に、ヒドロキシル基に酢酸エステルを導入した化合物II1‑II3はク ラウンエーテルと同様に環の大きさに基づく金属選択性を示す6)。しかも環の大 きさが最小の四量体111("cone"型)は112、II3が 示 すK'"Rb+Cs守見和性とは 異なり、顕著なNa'選択↑生を示す(図2‑4)。 こ の よ う な 選 択 性 の 発 現 はII1がNa

を結合するための最適の空孔径を提供するとともに、硬い環構造を有する(コン ホメーションが固定されている)ことに起因すると考えられている。一方で、

112、113は111程 に は 目 立 っ た イ オ ン 選 択 性 を 示 さ な い。これらの誘導体にお い て は 、 環 に 自 由 度 が 残 っ て い る ( コ ン ホ メ ー シ ョ ン が 固 定 さ れ て い な い ) た

100  80 

e#2  60 

、与え‑ 40 

'

20 

Li Na+  K+  Rb es アルカリ金属イオン

II‑l:n=4  II2:6  II‑3 : n 

2‑4 カリ yクスアレーンエステル誘導体によるアルカリ金属の抽出6)

‑12 ‑

(19)

めに空孔径が大きく変化することが原因である。実際にカリックス[4]アレーン エステル誘導体においても、四種のコンホメ ーション異性体問で全く異なる親 和性及び選択性を示すことが明らかとなっており 7)、立体化学とイオノファー性

との因果関係は明確である。

このような観点を基にすると、カリックス[6]アレーンに関しでも、エステル 基導入の際に、立体障害の大きいものを用いて分子運動を抑制することができ れば、金属選択性は高くなることが予想される。本章では、様々な大きさのア ルキル基を有する酢酸エステル基を導入することによるコンホメーションに対 する影響、及びそれらのイオノファー性等について比較検討することで、カリ

ツクス[6]アレーンのコンホメーション特性を検討することを目的とした。

具体的には、図2‑5に示すような末端アルキル基を有する酢酸エステル部位を 導入し、コンホメーションに対する影響、及びそれらのイオノファー性等につ いて比較検討を行った。

1 1 ‑ 6  :  R  = 

1 1 ‑ 5  :  R  = 十

I I

2 :R=/

戸 ¥

I I

4 : R=/

図25 様々な末端アルキル基を有するカリックス[6]アレーンヘキサエステル体

2‑2 実験

2 ‑ 2 ‑

化合物の合成

‑13 ‑

(20)

カリックス

[ 6 ]

アレーンヘキサエチルエステル体

( 1 1

2 )

の合成

文献3)に従いp- te~ フ'チルカリックス [6] アレーンより合成した。塩化メチレンー エタノールから再結晶した。

収率 77%, 融点 254‑256

O C

, 

I R  

(nujol) OH消失;tH‑NMR (CDC1

3, 25 

o C

,  o jppm) 0.96 (54H, S, Bu[), l. 25 (12H,  ,tOCH2

H)4.10 (12H, br, ArCHAr) 4.18 

(l2H, q,ほ丘二CH3),4.54 (12H, S, ArOCH2) , 6.95 (12H, S, ArH).元 素 分 析 C90H120018として計算値:C, 72.55; H, 8.17 %.実測値:C, 72,14; H, 8.07 %. 

カリックス[6Jアレーンヘキサメチルエステル体

( 1 1

4)の合成

カリックス[6Jアレーンヘキサエチルエステル体

( 1 1

2)0.40 

(0.27 mmol)にメ タノール30mlを加え、更に濃硫酸3滴を加えて24日寺間加熱還流させた。溶媒を減 圧留去し水、クロロホルムを加え、有機相を分取し、水で、

3

回洗浄した。無水硫 酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残

i

査をクロロホルムーメタノールか

ら再結晶した。

収率 88%, IR (nujol)νOH 消失;lH̲Nル1R(CDC13, 25 

o C

, /ppm) l.15 (54H, S, 

Bu[), 3.40 (12H, br, ArCH2Ar), 3.90 (12H, S

α

ごH3),4.23 (12H, S, Ar

α

ごH,)ヲ 7.12  (12H, s, ArH). 

カリックス[6Jアレーンヘキサtert‑ブ.チルエステル体

( 1 1

5 )

の合成

p ‑

ter

ι

ブチルカリックス[6Jアレーン1.0g (1.03 mmol)をTHF100mlに溶解させ、

水素化ナトリウム0.78g (18.6 mmol)、ブロモ酢酸tert‑フ守チル4.99ml (30.9 mmol)を 加え、窒素気流下、65時間加熱還流させた。溶媒を減圧留去し、氷浴中でO.lN塩酸、

クロロホルムを加え、有機相を分取し、水で、

3

回洗浄した。無水硫酸マグネシウ ムで乾燥後、溶媒を減圧濃縮しヘキサンを加えて固体を析出させ、塩化メチレンー ヘキサンから再結晶した。

収率 230/0, 融点 2800

C

以上で分解,

I R  

(nujol)νOH消失;lH‑NMR (COCI

3, 

‑14 ‑

(21)

25 

G

, o /ppm)  0.66‑1.53 (l08H, m, Bul), 3.57‑4.39  (24H, m, ArCH、Ar及び

CH)6.957.94 (l2H, s, ArH).元素分析Clo:!HlH018として計算値:C, 73.88; H, 

8.75 %.実測値:C, 73.91; H, 8.75 %. 

カリックス [6Jアレーンヘキサコレステリルエステル体 (116)の合成

p ‑

terιブチルカリックス[6Jアレーン1.0g (1.03 mmol) を、事.~~桑アセトン 100 ml  に懸濁させ、炭酸カリウム4.29g (30.9 mmol)、ブロモ酢酸コレステリル9)3.78 g  (7.42 mmol)を加え、窒素気流下、5日間加熱撹持した。溶媒を減圧留去し、氷浴で 冷しながら lN塩酸、クロロホルムを加え、有機相を分取し水で3回洗浄した。無 水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去しゲルパーミエーションクロマ トグラフイー(展開溶媒:ク守口ホルム)により精製し、最初に留出した成分を分取 した。氷浴中でメタノールを用いて団体を析出させた。

収率 17%, 融点 174‑177"

C

,IR (nujol)ν 佃消失;lH‑NMR ((CDC.l')i' 130 

o C

, 

jppm) 0.6‑2.4 (52H, m, Ch), 3.6‑4.4 (l2H, br, ArCHヲAr), 4.51 (l2H, s, ArOCHi),  4.65 (6H, s, Ch), 5.35 (6H, s, Ch), 6.5‑7.5 (l2H, s, ArH) 元素分析C:!40HJ6001Sとし て計算値:C, 81.58; H, 10.27 0/0. 実 i~iJ 値: C, 81.06; H, 10.13 %. 

2‑2‑2  測定

2‑2‑2‑1  固液抽出'H‑NMR測定

固液抽出は次に示す条件、操作に従って実行した。

・抽出条件 液相 [カリックスアレーンJ= 2.0X 10‑M, (CDClヲ)ゥ溶液

国体 ピクリン酸カリウム =5等量/カリックスアレーン

・操作 撹祥子を入れたスクリユーキャップ付サンプルビンに上記の試料を入 れ、室温で12時間援祥後、過剰のカリウムピクレートをj慮、過し、ろ液について lH-NMRi~IJ 定を行った。

‑15 ‑

(22)

2‑222 温度可変lH‑NMR測定

温度可変lH‑NR測定は、 JEOL社製のJNM‑GSX‑400を用いて行った。化合物 の熱分解及び沈殿析出等を考慮し、室温より高温側の測定は低い温度の点より 昇温し、室温より低温側では高い温度の点より降温することで測定した。

2‑2‑2‑3  液液抽出実験

以下に示したような条件で、種々のカリックス[6]アレーンエステル誘導体を 用いて、種々のアルカリ金属イオンの液液抽出実験を行った。

‑抽出条件

有機相 [カリックスアレーン]=2.5X103M 塩化メチレン溶液 5ml  水ネ自 [KPic]=2.5 X 10・~M  .[KOH]0.1M  [KCI]=0.5 M  5ml  温度 25.00

‑実験操作

両相5mlずつをスクリューキャップ付きサンプルビンに入れ、 30分間接とう した。10分間静置後、水相を分取し、瞬間マルチ測光システム MCPD‑IOOで吸 光度を測定した。

‑瞬間マルチ設定条件 Slit 

Sampting Time  Accumlation Times 

220‑400 nm  100 msec  100 times  Mode  ABU 

抽出率は水相中のピクリン酸アニオンの吸光度の減少量より算出した。

Ex(%)=[Abs(Bl)‑Abs(Ex)]j[Abs(Bl)] X 100  Abs(Bl):ホスト非存在下での抽出操作後の吸光度 Abs(Ex):ホスト存在下で、の抽出操作後の吸光度 2‑3  lH‑NMRによるコンホメーションの検討(理論的考察)

‑16 ‑

(23)

先 ず カ リ ッ ク ス ア レ ー ン の コ ン ホ メ ー シ ョ ン と lH̲N恥侭スペクトルとの相関 関係を示しておく。重要な因子は、 i)化 合 物 の 対 称 性 、 及 び ii)lH‑NMRのタイ ムスケールとの関係である。

i)は 静 的 な 問 題 で あ る 。 カ リ ッ ク ス ア レ ー ン 類 の コ ン ホ メ ー シ ョ ン 解 析 に お い て 最 も 有 用 な 情 報 を 提 供 し て く れ る の は 、 フ ェ ノ ー ル 環 を 連 結 し て い る 架 橋 メ チ レ ン の プ ロ ト ン の 分 裂 パ タ ー ン で あ る 。 最 も 単 純 な 系 と し て 固 定 化 さ れ た テトラ置換のカリックス[4Jアレーンの場合を例に挙げる。

Syn  。

A n t i  

民 Hb

H c  

Hc 

Ha  Hb 

Hc 

2‑6 "syn"及 び"an{j引の関係にある芳香環と架橋メチレン

基 本 的 に は 架 橋 メ チ レ ン を 挟 ん で い る フ ェ ノ ー ル 単 位 が"syn"の関係にあるか、

川 釦t1'の関係にあるかで大きく異なってくる。すなわち"syn"の関係にあるフェノ

ー ル 単 位 に 挟 ま れ た 二 つ の 架 橋 メ チ レ ン プ ロ ト ン は 、 そ れ ぞ れ の プ ロ ト ン が 異 なる環境下に置かれることになる(図2‑6)。上図において、 HaとHbを比較する とHbの方は芳香環のJs蔽領域に位置するため、より高磁場倶IJへと現れる。また、 互いにカップリングし、二組の二重線を与える結果となる。

‑17 ‑

(24)

一方、 "anぜ'の関係にあるフェノール単位に挟まれた二つの架橋メチレンプロ ト ン は 互 い に 非 常 に 近 い ( 又 は 完 全 に 等 価 ) 環 境 下 に 置 か れ る 。 従 っ て 、 一 重 線もしくは極めて近接した二組の二重線を与える。

これらの組み合わせによりカリックス[4]ア レ ー ン の 全 て の コ ン ホ メ ー シ ョ ン 異性体は、図27の よ う な 分 裂 パ タ ー ン を 示 す こ と が 明 ら か と な っ て い る 。 架 橋 メ チ レ ン 領 域 の プ ロ ト ン の シ グ ナ ル は 四 種 の コ ン ホ メ ー シ ョ ン で 全 く 異 な る 分 裂パターンを示すことが特徴的である。

A r ‑ H   Ar‑CHrAr 

│ Cone I 

│ I   " 

l P a r t i a l   Cone  I 

i I  

11   11 11

, " 

1 1 , 3

AI late

H

2‑A f

1  11 

I  I 

I  I 

27 p‑te汀司フ'チルカリックス[4]アレーンのコンホメーション異性体の線スベクトル

こ の よ う な 化 合 物 の 対 称 性 を 踏 ま え た コ ン ホ メ ー シ ョ ン の 決 定 法 は 、 溶 液 中

での解析法としては最有力である。同様に13C‑NMRを用いた解析法に関しでも近 年報告されつつあり 10)、 こ れ ら の 手 法 は カ リ ッ ク ス[6]ア レ ー ン の コ ン ホ メ ー シ

ヨン解析に際しでも適用可能であると考えられる。実際にカリックス[6]アレー ンの人種のコンホメーションは図2‑8のようなlH‑NMRの 分 裂 パ タ ー ン に な る も のと予 i~IJ される。

(25)

dd

'‑S  : 

'‑s 

28 カリックス(6]ア レ ー ン の コ ン ホ メ ー シ ョ ン 異 性 体 の 予 想 さ れ る 分 裂 パ タ ー ン (sは一重線、 ddは二組の二重線を表す)

ここまで、静的な特性に関して述べてきたが、コンホメーシヨンが固定され ていない系に関しては状況が一転する。固定されていない系では動的な因子、

すなわち

IH‑NMR

のタイムスケールとの関係を無視することができなくなる。こ の重要性を示すための都合の良い例として無置換のカリツクス[4]アレーンが挙 げられる11)

水酸基を有したカリックスアレーンでは環状の分子内水素結合帯を形成する ために、 X線結晶構造解析において"cone"構造が支配的であることが明らかとな っている。 溶液中での検討に関しても

IH‑NMR

を用いた測定において、この結果 と矛盾しないこ粗の二重線が室温で観測されている。しかしながらこの系では、

コンホメーション固定されていない系(あくまでも安定コンホメーション)で あるため、三one"‑"cone"聞の環反転が起きている。

IH‑NMR

の測定に要する時間

(タイムスケール)よりも速く反転していれば、結果的にそれぞれのプロトン のシグナルは平均化されて観測されることになる。このことを利用すると、反 転の速度を温度変化という形で意図的に操作することで、それぞれの動的な形 態を解析することが可能となる。実際に蕪置換のカリックス[4]アレーンの場合 には、図2‑9のようにスペクトルが大きく変化する。このようなスペクトルの融 合現象(コアレッセンス)を観測することで単純な系であれば、反転の速度や 熱力学的パラメータ等の解析も可能である。カリックス[6Jアレーン誘導体では、

‑19 ‑

(26)

5

ゲ¥一ノノ / ¥ ̲ ̲

狩竺~J六\

J ¥ ̲ ̲

、‑、‑、

̲̲̲J ^ J ¥ ̲ ̲

24

ホ人̲llA̲

1

り J し 」 JL

ιi~L_)L ̲ j U

L ̲  

30

づ し し ̲LL

. .

  t8  4.0  ppm  3.0 

2‑9 カリツクスp]アレーンの架橋克チレンの融合現象(左:実測 [400MHzCDCJ

3J、右:計算)

'H‑NMRの タ イ ム ス ケ ー ル と 競 争 的 な 時 間 領 域 で 反 転 す る 現 象 が 頻 繁 に 観 測 さ れ る の で 、 昇 温 測 定 及 び 低 温 測 定 を 駆 使 す る こ と で 問 題 を 解 決 し て い く こ と に なる。

24 'H‑NMRに よ る コ ン ホ メ ー シ ョ ン の 検 討 ( 実 験 的 考 察 )

カリックス

[ 6 J

ア レ ー ン の コ ン ホ メ ー シ ョ ン は 図 2‑1に 示 し た よ う に 八 種 類 が 考えられる12)。一 般 的 に 、 カ リ ツ ク ス ア レ ー ン 誘 導 体 で は コ ン ホ メ ー シ ョ ン が 固 定されていると、'H‑NMRで 架 橋 メ チ レ ン 部 位 の プ ロ ト ン は そ れ ぞ れ の コ ン ホ メ ー ン ヨ ン に よ っ て 特 徴 的 な 分 裂 を 示 し 、 し か も ピ ー ク は 鋭 い も の と な る 。 し か

し、

p ‑

tertブ チ ル カ リ ツ ク ス

[ 6 J

ア レ ー ン ヘ キ サ メ チ ル エ ス テ ル 体

( 1 1

4 )

及 び

' p ‑

terι

ブチルカリツクス

[ 6 J

ア レ ー ン ヘ キ サ エ チ ル エ ス テ ル 体

( 1 1

2)で は 、 図 2‑10のよう に 架 橋 メ チ レ ン 領 域 の プ ロ ト ン は 広 幅 化 し た 一 重 線 を 示 し 、 明 ら か に コ ン ホ メ ー ン ヨ ン が 固 定 さ れ て い な い こ と が 分 か る 。 と こ ろ が 、

p ‑

terιブ チ ル カ リ ッ ク ス

[ 6 J

アレーンヘキサterιブ チ ル エ ス テ ル 体

( 1 1

5 )

で は 架 橋 メ チ レ ン の プ ロ ト ン は さ

温で、鋭いシグナルを示し、分裂パターンは比較的複雑なものとなった。

20‑

(27)

L

い 則

H

M O

1 1 ‑ 2   ( R=Et) 

l l ( !  

!uidi 

' ‑ '

  ' ‑ ‑ ‑ ‑ ' ‑ ‑ ‑ . ) 1  

I I

5(R=Bu

t

ArCH

2

Ar 

r....A一・ 一一ノLlJしーノ」ー̲̲.̲/",I,

A,./\" ._.)~~\

6 . 0  

8 . 0   o v  

A

115の IH‑NM Rスペク

D A

 

D

2 . 0  

II‑4

4 . 0  

ヘキサエステル誘導体112 2l0

‑21 ‑

(28)

そこで、

p ‑

tert‑ブチルカリックス[6]ア レ ー ン ヘ キ サter

ι

プ チ ル エ ス テ ル 体(115) に関して、そのコンホメーションをlH̲N恥依を用いて検討した。 115についてカ リウムピクレート 1J)の固液抽出を行い、 lH‑N恥1R測定により錯化種のコンホメー ションを検討した(図211)。加えて115について1300

C

での昇温測定を行った(図 2‑12)

, { A J 

7.0  5.0  3.0  1.0  Da   n ν .

211 II‑5のカリウム錯体の'H̲NルRスペクトル

7.0  5.0  3.0  1.

ppm 

2‑12 II5'H̲N肘1Rスペクトル(1300C) 

内 ノ ︼

/

(29)

a )   。

よ 3 丈

¥h

υ

︐ ノ

¥ ︐ ノ

ρL  

e  =  ArCH 2 Ar 

o  =  AruCH

ー‑、ーーγーーマーー、ー‑.‑‑..‑‑..‑‑....‑.. ...

5 . 0   4 . 0   ppm  3 . 0  

2‑13 架橋メチレン及びオキシメチレン部位のIHNMRスペクトjレ;溶媒(CDCl、)、.

a) II5のみ(300C) b) II5+カリウムピクレート(300C) c) II5のみ(l30"C)

図2‑13に示したようにヘキサterιブチルエステル体(115)では架橋メチレン領

域のプロトンは室温において、比較的複雑で鋭いシグナルを与え、昇温 ?~IJ 定

(l300C)を行うとブロードな一重線になることから、町ιプチルエステルの導入に よるコンホメーションの完全には固定されていないことが明らかになった。

また、IH̲1HCOSYによる解析を行うと、ヘキサーtert‑ブチルエステル体(115)の 架橋メチレンおよびオキシメチレンは(カップリングした二重線が二組、一重殺 が二本)であり(図2‑14)、コンホメーションの対称性を考慮すると室温では主とし て"12,3‑alternate"構造lめ(図2‑1‑F)をとっていると考えられる。これは、カリツク ス[6Jアレーン誘導体のX線結晶構造解析で、頻繁に観測されるコンホメーション であり、極めて安定なコンホメーションである15)。一方金属添加の系では、架

勺 ﹁

J

(30)

4.0  5.0 

T 下

ト ー 一

I : l  

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│ 綬

I  I 

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I I I 

一 ー ベ

=ミ三三

te16J

︐ ︑J't

44 t・︑h a'

i 1

寸 4

0.0  1. 2.0  3.0  4.0  5.0  6.0  7.0 

II5IH̲IHCOSY NMRス ペ ク ト ル 図214

橋メチレン部分のプロトンのシグナルはl組のカップリングした二重線、オキシ メチレンは一重線を示し、このことは錯化種の構造が"cone

tAu  ことを示すものである(図2‑15)。

t‑Bu 

t‑8u 

図215

更に、 p‑ter

ι

ブチルカリツクス[6]アレーンヘキサコレステリルエステル体(11‑ 6)についても同様の検討を行った。ここまで示してきたようにカリツクスアレー

ノ頚のコンホメーシヨンの決定において最も重要な情報が得られるのは3‑5ppm

‑24 ‑

(31)

ヘ キ サ コ レ ス テ リ ル 付近の架橋メチレン領域の分裂パターンの情報であるが、

エステル体(116)に お い て は コ レ ス テ リ ル 部 位の プ ロ ト ン の う ち 幾 つ か が こ の 領域に重なってくるためコンホメーションの決定が困難なものとなった。 しか

しながら、室温におけるスペクトルは11‑5の室温でのスペクトルと非常に似てお り、室温ではII5の場合と同様に"1,2,3‑altemate"構造をとっているものと予測さ れる。また、カリウムピクレートの固液抽出後のlH‑NMRでも"cone"構造を示唆す るABパターンが確認された(図2‑16)CH‑1H COSY測定により確認(図2‑17))。

¥一一一ノ¥ノ(

1 . 0   3 . 0  

5 . 0   7 . 0  

9 . 0  

II‑6の カ リ ウ ム 錯 体 の'H‑Nルロミスペクトル

o o o n  

4 5 6 p   fj

f j

L i L 0

b

Ll fi L}

: t Lt il

DA

図216

c. 

6.0  5.0  4.0 

II6の カ リ ウ ム 錯 体 の 架 橋 メ チ レ ン 領 域 の'H‑!HCOSY ~~1Rスペクト jレ 217

戸 ︑

J

ノ ﹄

(32)

更に、 1300Cの昇温測定を行うと、 115の 場 合 と 同 様 に ス ペ ク ト ル は 単 純 化 し 架 橋メチレンについては広幅化した一重線を示した(図218)。以上の結果は116に ついても反転が起きていることを示すものである。

d 了 一

5J04.0ppm3: 。

/ー !

7 . 0  

• =  ArCH

2

Ar 

o  =  ArUCH

5 . 0   3 . 0  

218 116lH̲NRスペクトル(1300C) 

1 . 0   ppm 

ここで得られた知見は極めて重要あり、今まで水酸基側からの反転(oxygen‑ through‑the‑annulus  rotation)を主に考えていたが、分子モデルからも明らかなよう にコレステリル部位はカリツクス[6Jアレーンの環の内側を通り反転することは 立体的に不可能な大きさであるため、この反転はパラ位の置換基側から (pa‑ s ubs tituen t‑through‑the‑ann ulus  rotation)起こっていることを支持するものである (図2‑19)'6)

‑26 ‑

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