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この錯体の'H川 COSY測定(図2‑23)を行うと芳香族領域のプロトンは3組のAB ArCH20の領域には6組のABパターンが現れた。

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パターンを示し、更にArCH1Ar、

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II2のカリウム錯体のlH̲1HCOSYスペクトル (400MHz(CDCL)."  300C)  2‑23

またエステルの末端エチル基が、高磁場側に2H低磁場側に4Hと分裂しており、

これらの結果を総合的に考えるとその錯体構造は歪んだHconeH構造で、あり、しか も四つのエステル基が直接的に配位に関与していることが示唆された(図2‑24)。

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また、 112はセシウムイオンに対して"cone"構 造 の 錯 体 を 形 成 す る こ と を 示 し (図2‑25)、更に、この錯体の温度依存1H̲N恥伎を測定することにより興味深い 結果が得られた。そのスペクトルを図2‑26に示す。

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225 II2のセシウム錯体の1H‑NMRスペクトル

112Csは室温においては鋭いシグナルとして観測されたが、温度を下げる に従いブロードなシグナルとなり、更にはブロードながらシグナルの分裂が確 認された。この分裂は、ピークのそれぞれの面積比が 1: 1であることから、こ の錯体構造は℃

架橋メチレン以外のプロトンのみで確認されることから、今回、 ‑lOOCに観測さ れた融合温度(Tc)は、図2‑27に示したようなC3y‑C3V'間の交換に基づくものである ことが分った(仮に"cone"‑"cone"間の反転であれば架橋メチレンプロトンの分裂 のみが起こる11))コこのような交換はカリツクス[4]アレーン誘導体においても観 測され、カリツクス[4]アレーン及びその銀錯体でCy‑Cv聞の交換が確認されい るl

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226 112のセシウム錯体のj昆度依存'H‑Nν1Rスペクトル (400MHzCD2Cl2) 

図227 II2とセシウムイオン錯体のC3v‑C3v'問 の 交 換

このような交換がカリックス[6Jア レ ー ン 誘 導 体 に お い て 観 測 さ れ た の は 初 め ての例である。これまでカリックス[6Jア レ ー ン ヘ キ サ エ ス テ ル 体 と カ リ ウ ム イ 才 ン ・ セ シ ウ ム イ オ ン と の 錯 体 は 、 フ ェ ノ ー ル 性 酸 素6個 及 び カ ル ボ ニ ル 酸 素6 個の計12個の酸素原子による静電的相互作用で、C

6v対称、で、ある "cone"構 造 を と っ ていると考えられていた。ところが、今回の測定により112. Csで、はC

3v対称、構 造、 112.Kでは歪んだ三one"型構造で、あることが明らかとなった。これらの現

象の根底には、 "hole‑size"選択性の存在が無視で、きないが、末端アルキル基がエ チルの場合 (te汀ーフeチ ル の 場 合 に は 立 体 的 反 発 に よ り 自 由 度 が 小 さ い ) に こ れ ら の現象が観測されることも興味深い。

26 総括

本章では、ヘキサ置換カリックス[6]ア レ ー ン の コ ン ホ メ ー シ ョ ン 特 性 に つ い て主に lH‑NMR測 定 を 用 い て 検 討 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 安 定 な コ ン ホ メ ー シ ヨ ンがけ1,2,3‑a1temate"構造で、あること、金属j添柔加により錯化しレ"c

∞ ∞

One

することが明らカか当となつた。これは X 線 結 品 構 造 解 析 に よ り 得 ら れ て い る 構 造 と 一 致 す る も の で あ る 。 ま た こ の よ う な 、 動 的 な 変 化 は 金 属 添 加 に 伴 う ス イ ッ チ ン グ 機 能 へ の 拡 張 等 に お い て 非 常 に 有 用 で あ る 。 更 に 、 水 酸 基 側 に コ レ ス テ リル基を導入したカリックス[6]ア レ ー ン の コ ン ホ メ ー シ ョ ン 異 性 が 確 認 さ れ た ことで、 P置 換 基 側 か ら の 反 転(para‑subs tituent‑through‑the‑annulus rotation)の明確 な証拠が得られた。この結果は今後のカリックス

[ 6 ]

アレーンのコンホメーショ ン制御法に対して、カリツクス[4]ア レ ー ン の 場 合 に 用 い ら れ た よ う な 水 酸 基 側 へ の 立 体 障 害 の 導 入 に よ る 手 法 が 、 全 く 無 意 味 で あ り 、 新 た な 手 法 の 導 入 ( 架 橋 、 パ ラ 位 へ の 立 体 障 害 、 金 属 へ の 配 位 な ど ) が 必 要 不 可 欠 で あ る こ と を 示 す も の で あ る 。 ま た ア ル カ リ 金 属 と の 錯 体 構 造 等 に 関 し て 数 々 の 興 味 あ る 知 見 が

得られた。酢酸エステル基という極めて導入が容易で、,しかも配位性の強い官 能 基 を 有 す る カ リ ッ ク ス ア レ ー ン 誘 導 体 は 、 様 々 な 機 能 性 材 料 を 構 築 す る 上 で 極めて強力である。金属イオンのみならずアルキルアンモニウムイオン ~O) のよ

うな有機分子に対しでも高い親和性を示すカリツクス[6Jアレーンは、カリツク ス ア レ ー ン の 化 学 の 主 流 に な る も の と 考 え ら れ る 。 本 章 で 得 ら れ た カ リ ッ ク ス [6Jアレーンの立体化学に関する知見は、今後カリックス[6]アレーンを基体とし た分子設計を行う際の重要な指針となるに違いない。

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g .  

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11)  K. Araki, S.  Shinkai, T. Matsuda, Chern. Lett., 1989, 58l. 

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12)  この他に、"12,4‑剖ternate"で、は鏡像異性体が考えられる。また、厳密には カリックス

[ 6 ]

ア レ ー ン 以 上 で は 、 水 平 方 向 の コ ン ホ メ ー シ ョ ン も 考 え ら れ る。 J.S.  Rogers, C. D. Gutsche

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Chem., 573152 (1992). 

13)  カリツクス[6]ア レ ー ン ヘ キ サ エ ス テ ル 体 は カ リ ウ ム イ オ ン に 対 し て 、 選 択 性を持つとされていた。 Y.Ishikawa, T. Kunita1くeT. Matsuda, T. Otsuka. S  Shinkai1. Chem. 50c"  Chem. Commun.,  1989, 736. 

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g .  

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15)  J. L. Atwood, D. L. Clark, R. K. Juneja, G. W. 0π, K. D. Robinson, R. L.  Vincent1. Am. Chem. 50c., 114, 7558 (1992). 

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g .  

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‑36 ‑

立 早

一 一

第 1 , 3 , 5 ‑トリ置換カリックス[句アレーンエステル

誘 導 体 の コ ン ホ メ ー シ ョ ン 特 性

3‑I

分 子 認 識 素 子 を 設 計 す る 上 で 最 も 基 本 的 な 戦 略 は 「 鑓 と 鍵 穴 」 に 喰 え ら れ る ように、あるいは DNAの螺旋形成や抗原ー抗体現象に見られるように、認識素子 (ホスト)と認識対象 (ゲ ス ト ) が 相 補 的 な 関 係 を 持 ち 、 か つ 多 点 で 相 互 作 用 できることである 1)。こ の 戦 略 は 有 機 化 学 の 概 念 と し て も そ の ま ま 活 用 す る こ と が で き る も の と 考 え ら れ 、 ゲ ス ト に 対 し て 相 補 的 な 関 係 を も っ 相 互 作 用 点 を 自 由に 設 計 す る た め の 土 台 " と し て の 資 格 を カ リ ッ ク ス[nJア レ ー ン " は 十 分 に有している 2)

大 量 合 成 が 可 誌 な カ リ ツ ク ス ア レ ー ン 誘 導 体 に お い て 、 唯 一

C

3対 称 性 を 有 し 最大の

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替在能力を有すると言われてきたカリツクス [6]ア レ ー ン で あ る が 、 こ れ ま で そ の 柔 軟 性 と 精 密 な 修 飾 の 困 難 さ か ら 、 そ の 能 力 を 発 揮 す る ま で に は 到 っ ていなし1。し か し な が ら 全 て の フ ェ ノ ー ル 単 位 に 同 ー の 置 換 基 を 導 入 し た カ リ

ツクスアレーンにおいてウラニルイオンJ)、 ア ル カ リ 金 属 イ オ ン4)、 ア ル キ ル ア ンモニウムイオン5)に 対 し て 高 い 親 和 性 を 有 す る こ と が 既 に 明 ら か に さ れ て い る。カ リ ッ ク ス ア レ ー ン は 、 代 表 的 な 大 環 状 化 合 物 で あ る シ ク ロ デ キ ス ト リ ン としばしば比較されるが、コンホメーション特性に関してはかなり異なってい

31 "Oxygen‑through‑the‑annulus rotation"機構と"Parasubstituent throughtheannulus rotation"機構による環の反転

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る 。 す な わ ち カ リ ッ ク ス ア レ ー ン に は 、 環 を 構 成 す る フ ェ ノ ー ル 単 位 が 反 転 す る 自 由 度 が 残 っ て お り 、 こ れ に 基 づ く コ ン ホ メ ー シ ョ ン 異 性 が 存 在 す る 。 第 二 章においてp‑tert‑フチルカリックス[6Jアレーン誘導体では、p‑位 側 か ら の 反 転 が 起きることが明らかになり、カリックス[4Jア レ ー ン の 場 合6)と 同 様 な 単 純 な 嵩 高 い置換基の導入ではそのコンホメーション固定は不可能である(図3‑1)。

ところが最近 Ungaroらは、 1,3,5‑トリ置換カリックス[6]ア レ ー ン エ ス テ ル 誘 導体111‑l(R1 CH2C02Bu¥R2

Me)で、は、コンホメーションが"cone"f喜造に固定 されていることを報告した 7。)

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Bu Bu

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Bu Bu

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IIIl : CH2C02B Ut, R2 Me 

III2: R 

CH2C02But, R2 

CH2C02But 

その根拠となったのは lH‑N恥 依 ス ペ ク ト ル が‑700Cから 700Cま で ほ と ん ど 温 度 依 存 性 を 示 さ な い と い う 事 実 で あ る 。 こ の 報 告 は 本 研 究 で 得 ら れ た 結 果 と は 明らかに矛盾するものである。

第二章においてp‑teげーブチルカリックス[6Jア レ ー ン の ヘ キ サteげーブチルエス テル誘導体(111‑2)で、は、室温付近での安定コンホメーションが"123‑alternate"型 であり、金属イオンの添加に伴い"cone"型 へ と 変 換 す る こ と 、 ま た1300Cに お い てはlH‑NνRの タ イ ム ス ケ ー ル よ り も 速 い コ ン ホ メ ー シ ョ ン 変 換 が 起 き て い る ことが観測された。この化合物と構造的な特徴を単純に比較すると、 tert‑フoチル 基 よ り も 立 体 障 害 の 小 さ い メ チ ル 基 の 導 入 に よ り 、 コ ン ホ メ ー シ ヨ ン が 固 定 さ

‑38 ‑

れてしまうという、全く相反する結果が得られていることになる。そこで本章 では135‑トリエステル系のコンホメーション特性、及び反転の有無に関して再 検討を行った。

一般的に、水酸基を有したカリツクスアレーンでは環状の分子内水素結合帯 を形成するために、 X線結晶構造解析において"cone"構 造 が 支 配 的 で あ る こ と が 明らかとなっている8)。溶液中での検討に関しでも、 lH‑NルRを用いた測定にお いて、この結果と矛盾しない二組の二重線が室温で観測されている。しかしな がらこの系では、固定されていない系(あくまでも安定コンホメーション)で あるため、可one"‑"cone"間の環反転が起きている3)0 1H‑NMRの測定に要する時間 (タイムスケール)よりも速く反転していれば、結果的にそれぞ、れのプロトン

のシグナルは平均化されて観測注れることになる。このことを利用すると、反 転の速度を温度変化という形で意図的に操作することで、それぞれの形態を解 析することが可能となる。実際に燕置換のカリックス[4]アレーンの場合には、

図3‑2のようにスペクトルが大きく変化する。このようなスペクトルの融合現象 (コアレッセンス)を観測することで反転の速度、 エ ネ ル ギ 一 等 の 解 析 も 可 能 である。

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