九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
船舶動揺軽減装置の開発とその性能に関する研究
山口, 悟
Graduate School of Engineering, Kyushu University
https://doi.org/10.11501/3110932
第 3 章 能 動 型 減 揺 タ ン ク シ ス テ ム の 制 御 性 能
3 . 1 緒 言
本 章 で は 、 減 揺 タ ン ク の 能 動 化 の た め の 制 御 方 式 に つ い て 説 明 す る 。 制 御 方 式 と し て 、適 応 制 御 方 式
[ 3 9 ]
、 桑 野 の 方 式[ 5 8 ]
、P I D
制 御 方 式 の 3種 類 の 方 式 を 考 え る 。 次 い で 、 そ れ ぞ れ の 方 式 に 基 づ く 能 動 型 減 揺 タ ン ク シ ス テ ム の 設 計 例 を 示 す と 共 に 、第 2章 で 説 明 し た 差 分 法 に 基 づ く 数 値 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 用 い て 、 設 計 さ れ た 各 シ ス テ ム の 制 御 性 能 を 比 較 検 討 し 、 各 シ ス テ ム の 有 効 性 と 汎 用 性 に つ い て 調 査する。ま ず、従 来 の 能 動 型 滅 揺 タ ン ク シ ス テ ム の 設 計 法 に つ い て 検 討 す る。即ち、
u ‑
字 管 理 論 [47]に 基 づ い て 滅 揺 タ ン ク の 能 動 化 を 図 る 際 に 、 シ ス テ ム の 力 学 的 性 質 を 数 理 的 推 論 に よ っ て 把 握 し よ う と す る 桑 野 の 理 論[ 5 8 ]
に つ い て 説 明 す る 。 次 に 、桑 野 の 方 式 に 対 し て 差 分 法 に よ る タ ン ク の 特 性 解 析 法 を 適 用 し 、能Yi1J型 滅 揺 タ ン ク の 設 計 を 試 み る と 共 に 、実 験 結 果 と の 比 較 に よ り 、 本 研 究 で 提 案 す る タ ン ク 特 性 解 析 法 の 有 効 性 を 評 価 す る 。従 来 の 滅 揺 タ ン ク シ ス テ ム の 設 計 法 に お け る 問 題 点 と し て タ ン ク 特 性 を 十 分 に 解 析 す る 方 法 が 確 立 さ れ て い な い 点 が 上 げ ら れ る 。 特 に 、 タ ン ク 内 部 流 体 運 動 の 減 衰 特 性 の 解 析 は 実 験 に 頼 る 他 な い 。 そ こ で 、 こ の 問 題 に 対 す る 解 決 策 と し て 、 有 限 差 分 法 を 用 い た タ ン ク の 特 性 解 析 と 、 制 御 シ ス テ ム の 性 能 評 価 に 基 づ く 設 計 方 法 に つ い て 説 明 す る。制 御方 式 と し て は 現 在 実 際 の 現 場 に お い て 広 く 用 い ら れ ている
P I D
制御方 式 を 用 い た 場 合 に つ い て 検 討 す る 。 即 ち 、u ‑
字 型 減揺 タ ン ク に よ る 船 体 横 揺 制 御 シ ス テ ム の 設 計 例 を 示 す と と も に 、 有 限 差 分 法 を 用 い て タ ン ク 内 部 流 体 運 動 の 数 値 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 行 い、 PID制 御 方 式 に 基 づ い て 設 計 さ れ た 能 動 型 滅 揺 タ ン ク シ ス テ ム の 特 性 及 び 有 効 性 と 適 用 範 囲 に つ い て 検 討 す る 。
さ ら に 、 積 み 付 け 状 態 に よ っ て 運 動 特 性 が 大 き く 変 化 す る と い う 船 の 特 性 を 考 慮 、 し て 、 シ ス テ ム に 適 応 制 御 性 を 付 加 す る こ と を 考 え
る 。 即 ち 、 適 応 制 御 方 式 [39]を 導 入 し て 構 築 し た 能 動 型 減 揺 タ ン ク シ ス テ ム の 設 計 方 法 に つ い て 説 明 す る 。 適 応 制 御 方 式 に よ っ て 能 動 型 減 揺 タ ン ク シ ス テ ム を 試 設 計 し 、 有 限 差 分 法 を 用 い て 数 値 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 実 行 し 、 シ ス テ ム の 過 渡 応 答 、 周 波 数 応 答 等 を 調 査 す る と と も に 、 制 御 性 能 を PID制 御 方 式 の 結 果 と 詳 細 に 比 較 検 討 し て 、 シ ス テ ム の 有 効 性 と 適 用 性 に つ い て 考 察 す る 。
3 . 2 従 来 の 能 動 型 減 揺 タ ン ク シ ス テ ム の 設 計 法
3.2.1
桑 野 理 論
第 2章 で 説 明 し た 差 分 法 に よ る 動 揺 軽 減 タ ン ク 性 能 解 析 法 を 用 い れ ば 、 タ ン ク 形 状 、 タ ン ク 内 部 流 体 の 粘 性 や 自 由 表 面 形 状 等 が 横 揺 軽 減 に 及 ぼ す 影 響 、 減 揺 タ ン ク シ ス テ ム の 特 性等 を 検 討 で き る が 、
タ ン ク の 寸 法、船 体 横 揺 周 期 等 の 各 パ ラ メ ー タ 値 に 対 す る シ リ ー ズ 計 算 の み に よ っ て 、有 効 な 制 御 性 能 を 有 す る タ ン ク シ ス テ ム を 得 る た め に は 膨 大 な 数 値 計 算 が 必 要 で あ る 。計 算 量 の 低 減 を 計 る た め に は 、 能 動 型 減 揺 タ ン ク と し て 効 率 の 良 い タ ン ク 形 状 、タ ン ク 寸 法 を 与 え る 、 な ん ら か の 指 針 が 必 要 で あ る 。そ こ で、減 揺 タ ン ク の 能 動 化 に 関 す る 桑 野 の 理 論 [58]を 導 入 し 、 理 論 に 沿 っ て 設 計 さ れ た タ ン ク
シ ス テ ム を 、有 限 差 分 法 に よ る 数 値 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ っ て 評 価 す る 方 法 に つ い て 述 べ る 。
桑 野 の 理 論 で は 、減 揺 タ ン ク の 能 動 化 に よ っ て 船 体 償 揺 運 動 と タ ン ク 内 部 流 体 の 動 揺 の 位 相 差 を 汁
/ 2
に 保 ち 、 船 体 と 減 揺 タ ン ク の 連 成 運 動 が 、船 体 横 揺 の 軽 減 に 対 し て 最 も 効 率 良 く 働 く よ う に 調 節 す る 。 言 葉 を 変 え る と 、 波 の 周 波 数 ご と に タ ン ク 内 部 流 体 の 動 揺 を 、 船 体 と タ ン ク の 連 成 運 動 の 横 揺 振 幅 が 最 小 と な る よ う に 制 御 す る こと が 提 案 さ れ て い る 。
減 揺 タ ン ク の 解 析 方 法 は 、2.3で 説 明 し た
u ‑
字 管 理 論 [47]に 基 づ い て い る 。 即 ち 、タ ン ク はu ‑
字 管 で 内 部 流 体 の 運 動 は 1次 元 流 れ と み なし 、Fig.3.1に 示 す よ う に 新 た な 座 標 系 と 変 数 を 定 義 し て 、 船 体 横 揺 運 動 方 程 式(2.50)を、こ の 理 論 で 使 用 さ れてい る 記 号 に 合 わ せ て 若 干 変形す れ ば、横揺 と タ ン ク 内 部 流 体 運 動 の 連 成 運 動 方 程 式 が 、微 小 項 を 省 略 し て 次 の よ う に 与 え ら れ る [58]0。 +
bske+
k2e +μk2α=
j¥!Iwei
a +
btktα
+ kt2(α+e) = (kt2/k2)lvJwer ( 3 . 1 )
し
だた
bsk = Neo/(lec
+
ムω I
k2二 Beo/(lec
+
ムω I
btkt : タ ン ク 内 流 体 運 動 の 減 衰 係 数
μ
=
2pgAob2 / Bgo ん2二 2g/l J
(Ao/ A) dl ρ:タ ン ク 内 流 体 密 度 g:重 力 加 速 度A:タ ン ク 横 断 面 積 Ao :舷仮JIタ ン ク 横 断 面 積
b : 舷 側 タ ン ク 問 の 半 幅
こ こ に 、 タ ン ク 内 部 流 体 の 動 揺 に よ っ て 発 生 す る モ ー メ ン ト Mtは
JVIt =
I
I川
c竺 ‑(Ioc+
ムIgo)/1k2α (3.2)の よ う に 対 応 付 け ら れ る 。
正 弦 波 状 の 規 則 波 ( 円 周 波 数ω)を 仮 定 す れ ば 、
( 3 . 1 )
は 解 析 的 に 解 く こ と が で き 、 無 次 元 値e=ω/k,f三 kt/kを 用 い て 、 横 揺 と タ ン ク 内 流 体 運 動 と の 位 相 差80+
九 は 次 式 で 与 え ら れ る 。1 btJe2
+
bs(f2 ‑e2 ‑μf2)tan( 8+ 8α)一一
( 3 . 3 )
た だ し 、 横 揺 の 位 相 角 6()は 遅 れ を 正 に 、 タ ン ク 内 部 流 体 運 動 の 位 相 角α6は 進 み を 正 に と る 。
6()+6α =π/2な る と き (1‑μ)J2 ‑bsbtJ ‑e2 = 0と い う 関 係 が 成 立 す る 。 即 ち こ の 関 係 が 成 立 す る と き 、 船 体 横 揺 運 動 と タ ン ク 内 部 流 体 運 動 の 位 相 差 は り2と な り タ ン ク 内 流 体 運 動 を 船 の 横 揺 角 速 度 に 比 例 す る(即ち αα 0) よ う に 制 御 し た の と 同 一の 結 果 を 与 え る 。無 次 元 値
f
に つ い て 解 け ば 次 式 を 得 る 。J = ~ (
九九I ~.
bs2bt2 ¥│ へ11
+
A ̲;:1 ‑V¥ I (3.4)
J
て f‑L~ 2eyllて;;, I ~.L I 4e2 (1 ̲μ) J減 揺 タ ン ク 内 の 能 動 化 に 関 連 し て 、 タ ン ク 内 部 流 体 動 揺 の 固 有 周 期 を 変 え る 方 法 は 次 の 通 り で あ る 。 タ ン ク 内 部 流 体 の 運 動 エ ネ ル ギ ー と ポ テ ン シ ヤ ノ レ エ ネ ル ギ ー お よ び 摩 擦 に よ る エ ネ ノ レ ギ ー を Lagrange
の 式 に 代 入 し て 整 理 す れ ば 次 式 を 得 る 。
a
+ btktα+ん九
+ho22fτpgo =0 (3.5)船 体 横 揺 運 動 と タ ン ク 内 部 流 体 の 動 揺 の 位 相 差 を π/2に 保 つ た め に 、 船 体 の 横 揺 角 速 度 に 応 じ て イ ン ベ ラ の 回 転 角 速 度 を 調 節 す る 。 直 接 的 に は 、 イ ン ベ ラ の 位 置 の 圧 力 差PIを 交 番 的 に 変 化 さ せ てPIαα 即ち 、PI二土εpgb.αと す る 。 こ の と き タ ン ク 内 部 流 体 の 動 揺 周 波 数 は ん2= ktu2(1土ε)と な り 動 揺 周 波 数 が 変化す る の で 、(3.4)の関係を満足 す る よ う に 動 揺 周 波 数 を 変化 さ せ れ ば、船 体 の 横 揺 の 最 適 な 制御が 可 能 で あ る 。
85
3 . 2 . 2 能 動 型 減 揺 タ ン ク シ ス テ ム の 設 計 パ ラ メ ー タ の 計 算 精 度
次に、 3.2.1で 述 べ た 桑 野 の 理 論 に 基 づ く 能 動 型 滅 揺 タ ン ク の 設 計 法 に 差 分 法 に よ る 数 値 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 取 り 入 れ 、 従 来 の 設 計 法 の 問 題 点 で あ る タ ン ク の 特 性 解 析 の 不 十 分 さ を 補 う こ と を 考 え る 。 即 ち 、 文 献 [58]で 検 討 が な さ れ た 模 型 船 と 滅 揺 タ ン ク を 計 算 対 象 と し て 、 桑 野 の 理 論 と 同 様 の 手 順 で 、 実 験 の 代 わ り に 数 値 解 析 を 用 い て 滅 揺 タ ン ク の 性 能 を 評 価 し 、 本 研 究 で 提 案 す る タ ン ク 内 部 流 体 運 動 解 析 法 の 有 効 性 を 検 討 す る と と も に そ の 計 算 精 度 を 比 較 す る 。 減 揺
タ ン ク の 外 形 と 寸 法 をFig.3.2に 示 し て い る 。
ま ず 始 め に 、 滅 揺 タ ン ク 内 流 体 の 運 動 特 性 を 明 ら か に す る た め に 数 値 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ る 時 刻 歴 の 結 果 を 解 析 し て 、 片 舷 の 水 位 変 動 hの 対 数 減 衰 係 数 と 動 揺 周 期 を 求 め 、 こ れ ら の 数 値 解 析 結 果 か ら 、 滅 揺 タ ン ク の 減 衰 係 数 に 相 当 す る ん な ら び に タ ン ク 内 部 流 体 の 固 有 周 波 数 ん と 船 の 横 揺 固 有 周 波 数 kと の 比
f
を求めた。 bl
とf
をA l / A o
( タ ン ク 水 路 の 断 面 積 / 舷 側 タ ン ク の 断 面 積 ) の 関 数 と し てFig.3.3 に 示 し て い る 。 図 に は 、 文 献 [58]で 与 え ら れ た 実 験 値 を 併 記 し て い る 。 数 値 解 析 結 果 に よ る
f
の 値 と 実 験 値 の 一 致 度 は か な り 良 い 。 bt の 数 値 解 析 結 果 はA l / A o
の 値 が 小 さ な 範 囲 で 実 験 値 と の 差 異 が 大 き い 。 し か し な が ら 、 能 動 型 滅 揺 タ ン ク シ ス テ ム は 、 内 部 流 体 の 移 動 に 伴 い タ ン ク に 発 生 す る 強 制 横 揺 モ ー メ ン ト に よ っ て 船 体 の 横 揺 を 抑 制 す る た め そ の 性 能 に 対 す る 減 衰 係 数 の 影 響 は 小 さ い も の と 考えられる。
次 に 、 桑 野 の 理 論 に 基 づ き 、 波 の 周 波 数 に 対 し て 船 体 と タ ン ク の 連 成 運 動 の 振l隔 が 最 小 と な る た め の タ ン ク 内 部 流 体 の 固 有 周 期 を 計
対 応 す る 滅 揺 タ ン ク (A1/Ao = 0.5) に つ い て 、 船 の 横 揺 と タ ン ク 内 部 流 体 運 動 と の 位 相 差88+ 九 が り2と な る 場 合 の 、 タ ン ク 内 部 流 体 固 有 周 波 数 の 関 数
μ
を 波 の 円 周 波 数 の 関 数 eに 対 し て 求 め Fig.3.4に 示 し て い る 。 数 値 解 析 結 果 に よ る ん の 値 は 実 験 値 と は 多 少 異 な る が 、 btを 用 い て 計 算 さ れ る 介 に 関 す る 両 者 の 値 の 大 き さ に は ほ と ん ど 差 が な く 差 分 法 に よ る タ ン ク 内 部 流 体 運 動 解 析 法 を 従 来 の 能 動 型 タ ン ク シ ス テ ム 設 計 方 法 に 適 用 す る こ と の 有 効 性 が 確 認 で き た 。以 上 見 て き た よ う に 、従 来 の 設 計 法 で は タ ン ク 内 部 流 体 運 動 の 特 性 は
u ‑
字 管 理 論 に よ る 固 有 周 期 の 解 析 と 模 型 実 験 に よ る 減 衰 特 性 の 解 析 よ り 成 っ て い る 。 こ の た め 、 タ ン ク 内 部 流 体 の 自 由 表 面 や 粘 性 の 影 響 を 考 慮、し た 精 度 の 良 い 特 性 を 得 る こ と は 困 難 で あ る 。 ま た 、 船 体 運 動 は 運 航 条 件 に よ っ て そ の 特 性 を 大 き く 変 え る た め 、本 節 のフィー ド パ ッ ク に よ る 微 分 制 御 の み で は こ の 特 性 変 化 に 対 応 す る こ と は 難 し く 、船 体 運 動 の 特 性 変 化 に 対 応 で き る 新 た な 制 御 方 式 の 導 入 が 課 題 と な っ て く る 。
3 . 3 PID 制 御 方 式 に 基 づ く 制 御 シ ス テ ム の 構 築
3 . 3 . 1 PID
制 御 方 式P I D
制 御 は 現 在 、 実 際 の 現 場 に お い て 広 く 用 い ら れ て い る 制 御 方 式 で あ る 。 本 節 で は 数 値 計 算 に よ る タ ン ク の 特 性 解 析 に 基 づ い てP I D
制 御 方 式 の 滅 揺 タ ン ク シ ス テ ム を 構 築 し 、 そ の 制 御 性 能 に つ い て 考 察 す る 。P I D
制 御 に よ る 能 動 的 滅 揺 タ ン ク の ブ ロ ッ ク 線 図 をF i g .3 . 5
に示す。即 ち 、 船 体 の 横 揺 角 速 度 の 偏 差 に 基 づ い て イ ン ベ ラ の 回 転 数 を 制 御 す る 微 分 制 御 を 採 用 す る 。 図 中 、 Gsは 横 揺 強 制 モ ー メ ン ト JWtおよ び JvI¥仰 を 入 力 と し 横 揺 角 。 を 出 力 と す る 船 体 運 動 の 伝 達 関 数 、 GIGt は イ ン ベ ラ に 対 す る 回 転 数 指 令 値 nIdを 入 力 と し タ ン ク 内 部 流 体 運 動 が 発 生 す る モ ー メ ン ト JWtを 出 力 と す る 、 イ ン ベ ラ を 含 む タ ン ク
内 部 流 体 運 動 の 伝 達 関 数 で あ る 。 ま た 、 Mweは 波 に よ り 船 体 に 作 用 す る 横 揺 強 制 モ ー メ ン ト 、
K
Jiは フ ィ ー ド バ ッ ク ゲ イ ン で あ る 。フ ィ ー ド バ ッ ク ゲ イ ン Koは 次 の よ う な 考 え 方 で 決 定 す る 。 即 ち 、 2. 4 で 説 明 し た 差 分 法 に よ る タ ン ク 内 部 流 体 運 動 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 実 施 し 、 入 力 を イ ン ペ ラ の 回 転 数 指 令 値 、 出 力 を 流 体 運 動 に よ っ て 生 じ る モ ー メ ン ト と し た 場 合 の 減 揺 タ ン ク の 伝 達 関 数 GIGtを 推 定 す る 。 静 止 状 態 の タ ン ク に ス テ ッ プ 状 に イ ン ベ ラ の 回 転 数 指 令 値 を 入 力 し た 場 合 の 過 渡 応 答 の 結 果 よ り 伝 達 関 数 を 求 め る 。 求 め ら れ た タ ン ク 部 分 の 伝 達 関 数 と 、 船 体 の 運 動 方 程 式 よ り 求 め ら れ る 伝 達 関 数 か ら 、 シ ス テ ム 全 体 の 総 合 伝 達 関 数 を 計 算 し 、 シ ス テ ム の 特 性 方 程 式 の 根 の 配 置 を 調 査 し 、 過 渡 応 答 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ り 安 定 性 お よ び 速 応 性 の 優 れ た フ ィ ー ド パ ッ ク ゲ イ ン を 決 定 す る 。
3.3.2
タ ン ク 形 状 の 検 討
2.4で 説 明 し た 方 法 に よ っ て 、 タ ン ク の 形 状 等 が 滅 揺 タ ン ク シ ス テ ム の 特 性 に 及 ぼ す 影 響 を 調 査 し た 。 計 算 に 用 い た 、 下 部 水 路 高 さ と 両 舷 タ ン ク Iliffiの 異 な る 3種 類 の タ ン ク の 外 形 お よ び 寸 法 をFig. 3.6に 示 す 。 タ ン ク 幅 と 水 路 高 さ は 、 内 部 の 流 体 の 量 が ほ ぼ 等 し く な る よ
う に 選 ん だ 。 タ ン ク の │ 幅 と 高 さ は 3種 類 と も 同 じ で あ り 長 さ 方 向 は 単位長さ(l.0m)と し た 。 タ ン ク 内 の 液 体 は 主 に 清 水 (150C、 動 粘 性 係 数 1.14x 10‑6m2 / sec)と し 液 体 の 水 深 は3種 類 の タ ン ク に お い て 同 じ で あ る 。 ま た 、 タ ン ク 内 部 領 域 の セ ル 分 割 数 は 、 幅 方 向 に 40、 高 さ 方 向
に 24 を基本とし、差分演算の時間刻み Ili~ は 0.01 秒とした。セノレ分割
数 は 計 算 時 間 に 大 き く 影 響 す る た め 、 数 値 計 算 に 要 す る 時 間 と 得 ら れ た 計 算 結 果 を 考 慮 、 し て 、 必 要 と さ れ る タ ン ク 発 生 モ ー メ ン ト の 精 度 が 得 ら れ 、 計 算 時 間 の 短 い 分 割 数 を 採 用 し た 。 セ ノ レ の 大 き さ が 決 定 さ れ る と 、 時 間 刻 み111高 は 数 値 計 算 の 安 定 性 よ り そ の 最 大 値 が 得 ら れ る の で そ の 範 囲 内 で 選 択 し た 。
減 揺 タ ン ク の 過 渡 応 答 特 性 を 調 査 す る た め に 、 静 止 状 態 の No.L No2お よ び No.3の 各 タ ン ク に つ い て 内 部 流 体 に 、 イ ン ベ ラ 位 置 の 左 右 に 圧 力 差 が な い と き に 0.1m/secから 0.5m/secま で の 間 の 流 速 を 発 生 さ せ る よ う な 一 定 の イ ン ペ ラ 回 転 数 を 与 え る 。 イ ン ベ ラ に 対 す る 回 転 数 指 令 値nldは 、 イ ン ベ ラ の 左 右 に 圧 力 差 が な い と き に0.5m/sec の 流 速 を 発 生 さ せ る 回 転 数 で 無 次 元 化 し て 表 す も の と す る 。 イ ン ペ ラ 部 は 一 次 遅 れ の 要 素 と し 、 生 じ る 流 速 は タ ン ク 内 部 流 体 運 動 計 算
中 に 下 部 水 路 中 央 部 の セ ノ レ エ ッ ジ で 定 義 さ れ る
υ
方 向 速 度 成 分 と し て 次 式 で 与 え る 。89
ここで、
である。
ム1 dtKr ( d t ¥
Vi~jl .L
̲ τ
二η1d+ ¥
1 ‑T1 ) Vi,j
K1 : イ ン ベ ラ 部 の 比 例 係 数 T1 :イ ン ベ ラ 部 の 時 定 数
(3.6)
イ ン ペ ラ 位 置 に 回 転 数 に 対 応 す る 圧 力 差 を 与 え る こ と に よ り 両 舷 タ ン ク の 水 位 は 差 異 を 生 じ 、 両 舷 タ ン ク の 水 位 差 に よ り 生 ず る 圧 力 差 が イ ン ベ ラ の 強 制 圧 力 差 に つ り あ っ た 後 、 定 常 状 態 に 達 す る 。 こ の と き 、 タ ン ク に は 両 舷 タ ン ク 水 位 差 に よ る 横 揺 モ ー メ ン ト が 発 生 し て い る 。 内 部 流 体 運 動 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 計 算 例 を Fig.3.7に 示 す 。 図 に は 横 軸 に イ ン ベ ラ に よ る 強 制 流 速 の 大 き さ 、 縦 軸 に は タ ン ク に 発 生 す る セ ン タ ー ラ イ ン 上 タ ン ク 底 よ り 0.15n1の 点 周 り の モ ー メ ン ト NIt
の 値 を 示 し て い る 。 い ず れ の タ ン ク に お い て も 強 制 流 速 の 大 き さ が 増 大 す る に し た が い 発 生 す る モ ー メ ン ト も 増 大 し て い る が 、 そ の 増 大 率 お よ び モ ー メ ン ト の 大 き さ は 共 に NO.3、NO.1、NO.2タ ン ク の 順 に 大 き く な っ て い る 。
次 に 、 減 揺 タ ン ク の 周 波 数 応 答 を 調 査 す る た め に 、 静 止 状 態 の No.1 タ ン ク の 内 部 流 体 に イ ン ベ ラ に よ っ て 強 制 流 速 を 正 弦 波 状 に 与 え た 。 流 速 の 振 幅 は 、イ ン ベ ラ 位 置 の 左 右 に 圧 力 差 が な い 状 態 で 0.5m/sec、 周 期 は 4.0秒 で あ る 。 計 算 開 始 か ら 8.6秒 後 の タ ン ク 内 部 流 体 の 流 速 ベ ク ト ル お よ び タ ン ク 壁 近 傍 の 圧 力 分 布 の 計 算 結 果 を Fig.3.8に 示 す 。 こ の と き 、 イ ン ベ ラ 部 で の 流 速 は 両 舷 タ ン ク に 水 位 差 が 無 い と き の 流 速 に 換 算 し て 0.4m/secで 方 向 は 右 向 き に 与 え ら れ て い る 。 イ ン ペ ラ を 想 定 し た 位 置 の 左 右 で は 大 き な 圧 力 差 が 生 じ て お り 、 ま た タ ン ク の エ ッ ジ の 部 分 に は 渦 が 発 生 し て い る 。 Fig.3.9はNO.1、NO.2お
状 の 強 制 流 速 を 与 え た 場 合 に 発 生 す る モ ー メ ン ト の 振11I高 を イ ン ベ ラ に よ る 強 制 流 速 の 周 期 の 関 数 と し て 示 し た も の で あ る 。 な お イ ン ベ ラ に よ る 強 制 流 速 の 振 幅 は 0.5rnjsecで あ る 。 い ず れ の タ ン ク の 場 合 に も 強 制 流 速 の 周 期 が 長 く な る に し た が っ て モ ー メ ン ト の 振 │ 隔 が そ れ ぞ れ あ る 一 定 値 に 漸 近 す る が 、 そ の 一 定 値 の 大 き さ と 、 漸 近 の 様 子 に 差 異 が あ る 。
次 に 、タ ン ク 内 部 流 体 の 運 動 に 対 す る 流 体 の 粘 性 の 影 響 を 調 査 す る た め に 、 流 体 の 動 粘 性 係 数ν(l.14X 10‑6, 60 X 10‑6, 280 X 10‑6 rn2 jsec)を 変 化 さ せ て 、イ ン ベ ラ に よ っ て 正 弦 波 状 の 強 制 流 速 を 与 え た 場 合 に
0.1タ ン ク に 発 生 す る モ ー メ ン ト を 計 算 し た 。 与 え た 流 速 の 振 │ 幅 は 0.5 rnjsecで 周 期 は 3.0secである。 Fig.3.10に タ ン ク に 発 生 す る モ ー メ
ン ト の 時 刻 歴 を 示 す 。 動 粘 性 係 数 が 大 き く な る に 従 い 発 生 す る モ ー メ ン ト が 減 少 し 位 相 が 遅 れ る 傾 向 が あ る が そ の 変 化 量 は 小 さ く 、 内 部 流 体 の 運 動 に 対 す る 粘 性 の 影 響 は 計 算 に 用 い た νの 変 化 の 範 囲 内 では小さし¥ 0
両 舷 タ ン ク の 断 面 積 と 水 路 の 断 面 積 の 寸 法 を 違 え た 3種 類 の タ ン ク に つ い て 、 形 状 の 影 響 を 比 較 し た が 、次 に 、 水 路 内 の Baffieplateと ビ ノ レ ジ 部 の 形 状 が 流 体 運 動 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て 検 討 す る 。 2.4.2で 示 し た
SOLA‑SURF
ス キ ー ム を 用 い 、イ ン ベ ラ の 回 転 数 を 入 力 と し た と き の ス テ ッ プ 応 答 、 周 波 数 応 答 を タ ン ク の 形 状 を 変 化 さ せ て 調 査 した。数 値 計 算 に 用 い た タ ン ク の 形 状 3種(タイプA,B, C)をFig.3.11に示 す 。 基 準 と な る タ イ プAの タ ン ク は 両 舷 タ ン ク 幅 が0.13mの と き NO.l
タ ン ク と 同 一 の 形 状 を 持 つ 。 タ イ プ Bの タ ン ク は 、 Aタ ン ク の 下 部 水 路 中 央 に Baffieplateを 設 置 し た も の で あ り 、 タ イ フ Cの タ ン ク は 、 Aタ ン ク よ り ビ ノ レ ジ 部 の 角 を 取 り 去 っ た タ ン ク で あ る 。 タ ン ク 形 状
は 3種 と も に 、 幅 0.40m、高さ O.24m、下部水路│幅A1
=
0.04mで 一 定 と し 両 舷 タ ン ク 幅 Aoを0.04mから0.18mま で 変 化 さ せ て 計 算 を 行 っ た 。 ま た 、 タ ン ク 内 部 の 流 体 は 水 深 0.12mで 水 温 15.00C の清水とし、セノレ 分 割 数 は 40x 24を 基 本 と し た 。Fig. 3.12に は Aタ イ フ の タ ン ク に お い て 計 算 開 始 時 よ り 一 定 単 位 入力 nIdを 与 え た 場 合 の 、右 舷 タ ン ク に お け る 自 由 表 面 隆 起 量 を 出 力 と し た 応 答 の 結 果 を 時 刻 歴 と し て 示 す 。 タ ン ク 下 部 水 路 高 さ を 一 定 と し 両 舷 タ ン ク 幅 A。 を 変 化 さ せ た 時 の 応 答 を 合 わ せ て 示 し て い る 。
Fig. 3.13に は 同 様 に nIdを 入 力 し た と き の 、タ ン ク の セ ン タ ー ラ イ ン 上 、 タ ン ク 底 よ り 0.15mの 位 置 に 船 体 重 心 を 仮 定 し た 場 合 の タ ン ク が 発 生 す る 重 心 回 り の 強 制 横 揺 モ ー メ ン ト を 出 力 と し た 応 答 の 時 刻 歴 を 示 す 。 タ ン ク 形 状 ( 両 舷 タ ン ク 幅 ) の 違 い に よ っ て 応 答 の 形 お よ び 大 き さ が 大 き く 変 化 し て い る が 、 そ の 形 は 二 次 の 振 動 系 の 応 答 に 近 い 形 状 を 示 す 。
Fig. 3.14お よ びFig.3.15に は 、Bタ イ プ の タ ン ク の 自 由 表 面 隆 起 量 と タ ン ク が 発 生 す る モ ー メ ン ト を 出 力 と し た ス テ ッ プ 応 答 を 示 し て いる。 B タ イ プ の 場 合 は 、 計 算 上 、強 制 的 に 流 速 を 与 え る セ ル の 数 がAタ イ プ の 場 合 に 比 べ て 少 な い た め 、 Fig.3.12な ら び にFig.3.13の 結 果 に 比 べ て 緩 や か な 傾 き を 持 つ 応 答 特 性 を 示 し て い る 。
Fig. 3.16お よ びFig.3.17に は 、Cタ イ プ の タ ン ク の 自 由 表 面 隆 起 ー ー と タ ン ク が 発 生 す る モ ー メ ン ト を 出 力 と し た ス テ ッ フ 応 答 を 、Aタ イ プ の 結 果 と 比 較 し て 示 し て い る 。 自 由 表 面 隆 起 量 、 タ ン ク が 発 生 す る モ ー メ ン ト は と も にAタ イ プ と Cタ イ プ で ほ と ん ど 差 が な く 、 上 記 の 計 算 条 件 に お い て は ビ ノ レ ジ 部 の 形 状 は 、応 答 に ほ と ん ど 影 響
を 与 え な い こ と が 解 る 。
Fig. 3.18お よ びFig. 3.19に は 、 そ れ ぞ れAタ イ プ と Cタ イ プ の タ ン
ク 内 部 領 域 の 流 速 ベ ク ト ノ レ 図 、 圧 力 分 布 図 を 示 し て い る 。 強 制 的 に 圧 力 差 を 与 え て い る 水 路 中 央 部 で は 、 急 激 に 圧 力 が 変 化 し て い る 様 子 が 圧 力 分 布 図 に 表 れ て い る 。
次 に 、 各 タ ン ク の 周 波 数 応 答 特 性 の 調 査 結 果 は 次 の 通 り で あ る 。
Fig. 3.20 r v Fig. 3.22に は 、 水 路 中 央 部 に 、 円 周 波 数ω(rad
. f
sec)で 正 弦 波状 に 圧 力 差 を 与 え た と き に タ ン ク に 発 生 す る 船 体 重 心 周 り の 横 揺 れ モ ー メ ン ト の 時 系 列 を 示 し て い る 。 舷 側 タ ン ク の 断 面 積 を 変 化 さ せ て、 A。が 0.04m、0.08m、0.121TI、0.16mの4種 類 の タ ン ク に つ い て の 結 果 を 合 わ せ て 示 し て い る が 、 ん が 0.04mの 時 に は 円 周 波 数ωが 変 化 し て も モ ー メ ン ト の 振 幅 は ほ と ん ど 変 化 し て い な い の に 対 し て 、 そ の 他 の タ ン ク に お い て は 円 周 波 数ωが 大 き く な る に 従 っ て モ ー メ ン
ト の 振 幅 は 大 幅 に 減 少 し て 行 く。
Fig. 3.23とFig. 3.24は、 Aタ イ プ お よ び Bタ イ プ の タ ン ク に 対 す る 周 波 数 応 答 を ボ ー ド 線 図 に ま と め た も の で あ る 。 上 図 の 縦 軸 は ゲ イ ン(20log [振幅比])であり、下図の縦軸は位相 差 を 表 す 。 入 力 は イ ン ベ ラ へ の 回 転 数 指 令 nJdで 出 力 は タ ン ク 内 部 流 体 の 発 生 す る モ ー メ ン ト で あ る 。 両 タ イ プ の タ ン ク と も 円 周 波 数ωが 大 き く な る に 従 い ゲ イ ン は 減 少 し 位 相 遅 れ も 増 大 す る が 、 タ ン ク 形 状 ( 両 舷 タ ン ク │ 幅 ) の 違 い に よ っ て 、 特 性 が 大 き く 異 な る 。 ボ ー ド 線 図 の 形 状 か ら も 、 タ ン ク の 応 答 特 性 が 二 次 の 振 動 系 に 近 い も の で あ る こ と が 解 る 。
Fig. 3.23の ゲ イ ン 特 性 を 、 Aoが 0.08mの 時 の 出 力 を 基 準 に し て 描 き な お し た も の が Fig.3.25である。 Aoが0.04mの タ ン ク を 除 い て 、 円 周 波 数ωが 7よ り も 大 き く な る と 、 タ ン ク の 発 生 す る モ ー メ ン ト の ゲ イ ン に は ほ と ん ど 差 が 見 ら れ な い 。 従 っ て 、 操 作 入 力 の 円 周 波 数 が 7よ り 大 き い 場 合、即 ち 、 外 乱 で あ る 規 則 波 の 周 期 が 0.9秒 以 下 で あ れ ば ん が 0.04m以 外 の タ ン ク に よ る 滅 揺 効 果 に 大 き な 差 は な い も
の と 考 え ら れ る 。
3 . 3 . 3 能 動 型 減 揺 タ ン ク シ ス テ ム の 設 計 例
調 査 さ れ た 減 揺 タ ン ク の 特 性 に 基 づ い て 能 動 型 減 揺 タ ン ク の 制 御 シ ス テ ム を 設 計 し た。計 算 に 用 い た 模 型 船 の 形 状 お よ び 寸 法 を Fig. 3.26に示 し て い る 。模型船は船│幅 0.4(m)、吃水 0.15(m)で 、 断 面 係 数σ=0.97の LewisFormの 一 様 な 横 断 面 形 状 を 持 つ。船 長 は 単 位 長 と
し 、 横 環 動 半 径 kxx= 0.328 x (船!幅)、メタセンター高さGJ¥イ=0.016 (m)で あ り 、 船 体 中 央 部 に 船 長 の 1/10の 長 さ で 減 揺 タ ン ク が 取 り 付 け ら れ て い る 。減 揺 タ ン ク と し て は 、 過 去 に 実 装 さ れ た 減 揺 タ ン ク の 両 舷 タンク l福 と 水 路 高 さ の 比 率 に 近 い NO.1タ ン ク を 使 用 し た。なお、タ ン ク の 全 │ 隔 は 模 型 船 の 船 幅 と 等 し く 、 タ ン ク 底 は 船 底 と 一致 し て い る。タ ン ク と 模 型 船 の 形 状 は ビ ル ジ 部 分 で 異 な る が 、 簡 単 の た め 、 計 算 で は タ ン ク 壁 面 は 直 線 で 構 成 さ れ る も の と し て い る 。
数 値 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に お い て は イ ン ペ ラ は 数 値 モ デ ノ レ と し て タ ン ク 内 部 流 体 運 動 計 算 中 に 取 り 込 ま れ て い る の で 、 イ ンベ ラ と 滅 揺 タ ン ク 部 分 の 伝 達 関 数 G1Gtは 、 イ ン ベ ラ に よ る 強 制 流 速 に 対 す る ス テッフ。応 答 の 結 果 に 基 づ い て 次 式 の よ う に 設 定 し た 。
~+ 3.8
竺土 =GrGt
=
~nfcI A ι S2
+
5.8s+
25 (3.7) 船 体 運 動 の 伝 達 関 数 Gsは 、 波 高 0.05rn、 船 体 の 横 揺 れ 固 有 周 波 数 に 近 い 規 則 波 の 円 周 波 数ω=2.56 (l/sec) (波周期 T= 2.45 sec)の 規 則 波 中 に お け る 船 体 の 横 揺 運 動 方 程 式 よ り 計 算 し た。船 体 運 動 方 程 式 を 次 式 に 示 す。0.127e + 1.485E‑58 + 0.9408ニ Me (3.8)
3.2.1で の 考 察 に 基 づ い て 、 船 体 横 揺 と タ ン ク 内 部 流 体 運 動 の 位 相 差を π/2に 保 つ た め に 船 体 横 揺 角 速 度 。 を フ ィ ー ド バ ッ ク す る 。 横 揺 角 速 度 の フ ィ ー ド バ ッ ク ゲ イ ン KJiを
o
~ 20ま で 変 化 さ せ た 場 合 の シ ス テ ム の 特 性 方 程 式 の 根 軌 跡 を Fig.3.27に 示 す 。 ま ず 、 恨 軌 跡 の 結 果 よ り シ ス テ ム が 安 定 と な る 範 囲 でK
Jiを 選 び 、 次 に 、 シ ミ ュ レ ー シ ヨ ン に よ る 減 揺 効 果 の 検 討 を 行 な い KiJを 決 定 し た 。 以 下 、 過 渡 応 答 シミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 で 減 揺 効 果 の 優 れ て い た Ka
=
2.0を 採 用 し て 計 算 を行なっている。以 下 の 数 値 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に お い て 波 は 波 高 0.05m の 正 弦 波 状 の 規 則 波 で 、 船 体 は 計 算 開 始 時 に O二 Oで 静 止 し て い る も の と し て い る。 Fig.3.28に、制 御 を 行 な っ て い な い 場 合 の 、動 揺 開 始 後 7.4秒 お よ び8.6秒 の 、減 揺 タ ン ク 内 部 流 体 の 流 速 ベ ク ト ノ レ 図 な ら び に 圧 力 分 布 を 示 す 。 タ ン ク 内 部 の 流 体 は 船 体 の 横 揺 に と も な い 激 し く 動 揺 し ている。 Fig.3.29に、制 御 を 行 な っ た 場 合 、制 御 を 行 な わ な か っ た 場 合 お よ び タ ン ク を 搭 載 し な い 場 合 の そ れ ぞ れ に つ い て 、船 体 の 横 揺 角 の 時 刻 歴 を 比 較 し て 示 す 。 制 御 を 行 な わ な か っ た 場 合 お よ び タ ン ク を 搭 載 し な か っ た 場 合 は 、時 間 の 経 過 と 共 に 横 揺 角 が 増 加 し て い る が 、 制 御 を 行 な っ た 場 合 は 横 揺 角 の 増 加 は ほ と ん ど な く 制 御 が 効 果 的 に 行 な わ れ て い る こ と が わ か る 。 Fig.3.30に は 、 動 揺 開 始 よ り 10.0 秒 後 に 、 は じ め て 制 御 を 開 始 し た 場 合 の 船 体 の 横 揺 角 の 時 刻 歴 を 示 す。 Fig.3.31に は 、 動 揺 開 始 か ら 10.0秒間部JI御 を 行 い 、そ の 後 制 御 を 停 止 し た 場 合 の 船 体 横 揺 角 の 時 刻 歴 を 示 す 。 ど ち ら の 場 合 も 、 制 御
に よ り 横 揺 角 が 効 果 的 に 減 少 し て い る こ と が わ か る 。
Fig. 3.32に 、 規 則 波 の 円 周 波 数 に 対 す る 船 体 の 横 揺 角 の 振111高を、減 揺 タ ン ク に よ っ て 制 御 し た 場 合 と タ ン ク を 搭 載 し て い な い 場 合 に つ い て の 比 較 例 す る 。 ま た 、 参 考 の た め に フ ィ ー ド バ ッ ク ゲ イ ン を 変 化
さ せ て 、 イ ン パ ル ス 応 答 に よ る 過 渡 応 答 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 結 果 で は
ん二
2.0の 場 合 に 比 べ て 減 揺 効 果 が 低 か っ たK
s=
1.0で 制 御 し た 場 合 の 結 果 も 合 せ て 示 し て い る 。 い ず れ の 周 波 数 に 対 し で も 制 御 を 行 っ た 場 合 の 横 揺 角 は タ ン ク を 搭 載 し て い な い 場 合 に 比 べ て 小 さ く 、 特 に 、 船 体 の 横 揺 の 固 有 振 動 数 付 近 で は 滅 揺 タ ン ク の 効 果 が 大 き い こ と が わ か る 。 ま た 、 KJi=
l.0の 場 合 に 比 べ て Kfj=
2.0の 場 合 の 方 が 減 揺 効 果 が や や 大 き い 。次 に 、 船 体 の 横 揺 運 動 方 程 式 の パ ラ メ ー タ を 変 化 さ せ て シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 計 算 を 行 っ た 。 船 体 の 積 み 付 け 状 態 が 変 化 し た 場 合 を 想 定 し 、 G Mが 増 大 し て GiVI
=
0.021( m )
と 変 化 し た 状 態 に つ い て 計 算 を 実 行し た 。 こ の と き 、 フ ィ ー ド バ ッ ク ゲ イ ン は GiVIを 変 化 さ せ る 前 の 状 態 で 決 定 し た 値 Ko= 2.0を 用 い て い る 。Fig.3.33に 横 揺 角 の 振jI屈 の 周 波 数 応 答 を 示 す 。 船 体 の 運 動 方 程 式 が シ ス テ ム の 設 計 時 の 状 態 と 異 な るため、 e= l.2付 近 で の 横 揺 角 が 、 制 御 し な い 場 合 よ り も 増 大 し て い る 。 船 の 運 行 に 際 し て 、 こ の よ う な 積 み 付 け 状 態 の 変 化 は 一 般 的 に 生 じ る と 考 え ら れ る た め 、 PID制 御 方 式 の よ う に 定 数 値 の フ ィ ー ド パ ッ ク ゲ イ ン を 用 い る 制 御 系 の 設 計 の 際 に は シ ス テ ム の 特 性 変 化 に 対 す る 注 意 が 必 要 で あ る 。 こ の よ う な 、 シ ス テ ム の 特 性 変 化 に 十 分 に 対 応 す る た め に は 、 次 節 で 説 明 す る 適 応 制 御 方 式 の よ う な 、 適 応 制 御 性 を 備 え た 制 御 方 式 の 導 入 が 必 要 と な る 。
3 . 4 適 応 制 御 理 論 に 基 づ く 制 御 シ ス テ ム の 構 築
3 . 4 . 1 適 応 制 御 理 論
従来の、 PID制 御 方 式 や 最 適 レ ギ ュ レ ー タ ー を 用 い た 制 御 系 の 設 計 に お い て は 、 制 御 対 象 の 特 性 を 線 形 と 仮 定 し て い る が 制 御 対 象 の 非 線 形 性 の 大 き い 場 合 や 、状 態 に よ っ て 動 特 性 が 大 き く 変 わ る 場 合 には 、期 待 し た 制 御 性 能 が 得 ら れ な い ば か り か 最 悪 の 場 合 、 制 御 の 安 定 性 に 問 題 を 生 じ る 場 合 も 考 え ら れ る 。滅 揺 タ ン ク に つ い て 言 え ば 、 船 体 運 動 の 特 性 は 、 船 体 の 積 付 け 状 態 に よ っ て 大 き く 左 右 さ れ る た め 、 仮 定 し た 条 件 の 基 に 設 計 さ れ た 制 御 系 に よ っ て 、 運 航 状 態 が 変 化 し た 場 合 に 船 体 横 揺 を 最 適 に 制 御 す る こ と は 難 し く な る 可 能 性 が あ る 。
一 方 、最 近 注 目 さ れ て い る 適 応 制 御 理 論 を 用 い た 制 御 方 法 で は 、 制 御 対 象 の 数 学 モ デ ノ レ の パ ラ メ ー タ を オ ン ラ イ ン で 推 定 す る た め 、 航 行 海 域 の 波 の 性 質 や 載 荷 状 態 な ど に よ っ て 船 体 運 動 の 特 性 が 変 化 す る よ う な 場 合 や 船 体 運 動 の 特 性 が 正 確 に は わ か ら な い 場 合 に も 、 最 適 な 制 御 が 可 能 で あ る と 考 え ら れ る 。 そ こ で 、本 節 で は 、 減 揺 タ ン ク の 制 御 理 論 と し て 適 応 制 御 理 論 を 採 用 し て 制 御 シ ス テ ム を 構 築 す る こ と を 考 え 、そ の 方 法 に つ い て 説 明 す る 。 適 応 制 御 は 、モデノレ 規 範 形 適 応 制 御 (MRAC)とセノレフチューニング制御 (STC)の 2つ に 分 か れ る が 、本 質 的 に は 同 綴 の 構 造 を 持 つ 。 本 研 究 で は 数 値 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 計 算 や 実 際 の 運 用 時 に コ ン ピ ュ ー タ に よ る 演 算 を 行 い 易 い よ う に、減 揺 タ ン ク の 制 御 方 式 と し て 離 散 時 間 形 式 の モ デ ノ レ 規 範 形 適 応 制御(ModelReference Adaptive Control (MRAC) [39])を 用 い る こ と と し た 。 制 御 系 の ブ ロ ッ ク 線 図 を Fig.3.34に 示 す 。 こ こ で 、 イ ン ベ ラ の 回 転 数 指 令nIdお よ び 船 体 横 揺 角 。 は、制 御 対 象 と な る 船 体 運 動 と タ ン ク
内 部 流 体 運 動 の 連 成 系 の 入 力 お よ び 出 力 で あ る 。 こ こ で は 、 船 体 横 揺 の レ ギ ュ レ ー シ ョ ン 問 題 を 考 え る た め 、 規 範 モ デ ノ レ の 出 力 は 常 に 0
としている。
パ ラ メ ー タ が 既 知 で あ る 船 体 横 揺 運 動 と 減 揺 タ ン ク 内 部 流 体 運 動 の 連 成 系 が 、 サ ン プ リ ン グ 周 期 Tm で 離 散 化 さ れ た1入 力 l出 力 の シ ス テ ム と し て 次 式 で 表 さ れ る と す る 。
A(q‑l)8(ん)= q‑dB(q‑l)η以k) (3.9)
しだた
A(q‑l) = 1 +αlq‑1+ +αηq一 九
B(q‑l) = bo
+
b1q‑1十+
bmq‑mここに、 8(k)お よ びηId(k)は そ れ ぞ れ 時 刻 kTmに お け る 船 体 横 揺 角 と イ ン ベ ラ の 回 転 数 を 表 し 、 q‑1は 遅 延 演 算 子 でq‑18(k)= 8(k
‑ 1 )
、dは 遅 れ 次 数 で あ る 。 ま た 、 多 項 式A(q‑1),B(q‑1)は 既 約 で あ り boヂ0、B(q‑1) は 漸 近 安 定 な 多 項 式 で あ る と す る 。D(q‑1 )が 漸 近 安 定 な 多 項 式 で あ る と す る と 、 次 式 に よ り 多 項 式 R(q‑1 )、S(q‑1)は 唯 一 に 決 定 で き る [101]0
D(q‑l) = A(q‑l)R(q‑1)
+
q‑dS(q‑l) (3.10) こ こ でR(q‑1)
=
1十 円q‑1+ + ‑1q‑(d‑1) S(q‑1) So+
Slq‑1 + ・ +Sηー1q‑(九 一1)規範モデノレの出力 8M(k)を 用 い て 、 出 力 誤 差 e(k)をε(k)= 8(k) ‑8M(k) と 定 義 す る と 、 (3.9)、(3.10)式 よ り 出 力 誤 差 に 関 す る 方 程 式 が 次 式 の
D(q‑1 )ε(k + d) ニ B(q‑1)R(q‑1)ηId(k)+ S(q‑1 )e(k) ‑D(q‑1 )eM (k + d)
= (T ~ (k) ‑D ( q ‑1)
e
M (k+
d)=
bOnld(k)+
(6~0(k) ‑D(q‑1)eM(k+
d) (3.11)ここで、
R' ( q ‑1 ) = B ( q ‑1 ) R ( q ‑1
)二泊+ぺ
q‑1+ +γ九 十
dー1q‑m‑d+l (OT=
[γ;九十 ァ
d‑1,SO Snー1]ごoT(k) = [nld(k ‑1 ) ηId(k ‑ m ‑d+ 1)ぅ e(k) ". B(k‑η+ 1) ]
(T = [bo (0 T ,] とT(k)=
η l 以
k) ~OT (k) ]誤 差 方 程 式 よ り D(q‑l)ε(k
+
d)二 Oを 満 足 す る 入 力 nld(k)は 次 式 で 与 え られる。nld(k) =
伊川川 +
d) ‑(0 T~o
(k ) ] (3.12)D(q‑l )は 設 計 時 に 与 え る 多 項 式 で あ り、レ ギ ュ レ ー シ ョ ン 問 題 に お い て は 出 力 を 減 衰 さ せ る 際 の フ ィ ノ レ タ ー の 役 目 を 果 た す。
シ ス テ ム の モ デ ノ レ パ ラ メ ー タ が 既 知 で あ る 場 合 に は 、 以 上 の よ う に し て シ ス テ ム の 出 力 を 規 範 モ デ ノ レ の 出 力 に 追 随 さ せ る よ う な 操 作 入 力 が 決 定 で き る が 、実 際 の 運 航 状 態 、 に お け る 船 体 横 揺 運 動 と タ ン ク 内 部 流 体 運 動 の 連 成 系 に 対 し て 正 確 な モ デ ノ レ パ ラ メ ー タ を 得 る こ と は 困 難 で あ る し 、モ デ ノ レ パ ラ メ ー タ の 値 は 船 体 の 積 み 付 け 状 態 、 等 に よ り 変化す る も の で も あ る 。 し た が っ て 、 本 節 の 数 値 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン で は シ ス テ ム の モ デ ノ レ パ ラ メ ー タ は 未 知 で あ る と し て 制 御 を
99
行 う 。 モ デ ノ レ パ ラ メ ー タ が 未 知 の 場 合 に は 、 (3.12)式 に 含 ま れ る パ ラ メ ー タ (boヲ
( O T )
を そ の 推 定 量 ( ん(k)3CoT(k)}に 置 き 換 え て 操 作 入 力 を 求 め れ ば よ い 。 パ ラ メ ー タ の 推 定 ア ノ レ ゴ リ ズ ム に は 推 定 値 と 真 値 の 差 ( 同 定 誤 差 ) の 二 乗 和 を 最 少 と す る 最 小 二 乗 法 を 用 い る 。 次 式 の よ うな同定モデノレを考える。D(q‑l)e(k) = eT(k)と(k‑
d )
(3.13)ここで、 e(k)、((k)は そ れ ぞ れ e(k)、((k)の 推 定 値 で あ る 。 同 定 誤 差
♂(k) = {( ‑((k)}Tc(k ‑d)を 用 い て パ ラ メ ー タ 調 整 側 は 次 式 の よ う に なる。
((k)
=
((k‑1)+r(k‑1)と(k‑1)♂(k) (3.14)r ‑
1(k) = 入1(k)r‑1(k‑1) +入2(k)ご(k‑d) cT (k ‑d)こ こ で、入1こん =1と す る こ と に よ り 、 上 式 は 最 少 二 乗 法 の ア ノ レ ゴ リ ズ ム と な る 。
航 行 中 の 船 体 に は 波 、 風 等 が 作 用 し 、 そ の 影 響 に よ っ て 船 体 横 揺 等 の 運 動 を 生 ず る が 、 本 節 で は 、 こ れ ら の 影 響 は シ ス テ ム に 対 す る 外 乱 と し て 取 り 扱 う 。 本 来 の モ デ ノ レ 規 範 形 適 応 制 御 は 、シ ス テ ム に 対 し て 外 乱 が 存 在 し な い と し て 構 築 さ れ て い る が 、外 乱 が 存 在 す る 場 合 に も 本 制 御 を 適 用 す る た め に 、い く つ か の 方 法 が 提 案 さ れ て い る [101][102]0こ こ で は 、確 定 的 外 乱 を 含 め た 拡 大 シ ス テ ム を 考 え て 外 乱 を 打 ち 消 す 方 法 を 用 い る [102]0即 ち 、規 則 波 に よ る 確 定 的 外 乱ω(k) が 存 在 す る 場 合 の 、シ ス テ ム の 入 出 力 の 関 係 を 次 式 の よ う に 表 す 。
こ こ で 、確 定 的 外 乱 ω
( k )
は 次 の よ う に 表 さ れ る も の と す る 。 ω(k)+
Cl叫k‑1)+...+いu(k‑p)=Oま た 、 上 式 は 次 の よ う に 置 け る 。
C(q‑l)ω(k) = 0 (3.16) C(q‑l) ‑ 1
+
Clq‑l ‑1‑... + 匂q‑PC(q‑l )は 安 定 な 多 項 式 で 次 数pは 既 知 と す る 。 (3.16)式 は 外 乱 の モ デ ノ レ を 表 し 、 多 項 式 C(q‑l)で ス テ ッ プ 状 、正 弦 波 状 等 の 外 乱 の 形 を 記 述 す る 。 式 (3.15)の 両 辺 に C(q‑l)を か け る こ と に よ っ て 得 ら れ る 式 は (3.9)式 の 拡 大 系 と な り 、 制 御 系 内 に 陰 に 外 乱 の モ デ ノ レ C(q‑l)を 含 ん だ 形 に な る 。 従 っ て 、 外 乱 の モ デ ノ レ も 制 御 対 象 と 同 時 に 推 定 さ れ る た め 、 外 乱ω
( k )
が 有 界 で あ る 場 合 に は 、 外 乱 の な い 場 合 と 同 様 の 力 法 に よ っ て 操 作 入 力 を 求 め る こ と が 出 来 る 。適 応 制 御 の 有 効 性 を 確 認 す る た め に 、3.3に お い て 述 べ た PID制 御 を 用 い た シ ミ ュ レ ー シ ョ ン と 比 較 す る 。 フ ィ ー ド バ ッ ク ゲ イ ン は 過 渡 応 答 シ ミュ レ ー シ ョ ン に よ り 決 定 す る 。
3 . 4 . 2 適 応 制 御 方 式 に よ る 横 揺 制 御 シ ス テ ム の 性 能 評 価
第 2章 で 述 べ た 計 算 法 を 用 い て 、 静 水 中 な ら び に 波 浪 中 に お け る 船 体 の 横 揺 運 動 の 数 値 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 実 施 し 、 適 応 制 御 に よ る 能 動 型 滅 揺 タ ン ク シ ス テ ム の 有 効 性 を 検 証 し た 。
計 算 に は、前 節 の 数 値 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に 用 い た の と 同 じ 模 型 船 と タ ン ク の 寸 法 を 用 い て い る 。
SOLA ‑ SURF
ス キ ー ム に よ る タ ン ク 内 部流 体 運 動 の 計 算 に お い て は 、 セ ノ レ 分 割 数 は 40x 24と し 、 時 間 刻 み は ムt= 0.005(sec)を 基 本 と し た 。
Fig. 3.35に は 、 静 水 中 に お い て 船 体 が 横 揺 角 。 =0.2 (rad)の 静 止 状 態 か ら 横 揺 を 開 始 し た 時 の 、 減 揺 タ ン ク を 装 備 し て い な い 場 合 、タ ン ク を 装 備 し て 制 御 し な い 場 合 、 制 御 す る 場 合 の 3種 類 の ケ ー ス に つ い て 、 船 体 横 揺 角 の 時 刻 歴 を 示 し て い る 。 シ ス テ ム の モ デ ノ レ パ ラ メ ー タ 次 数 は 、船 体 と タ ン ク の 連 成 運 動 を 2次 振 動 系 で 表 し て 、 式 (3.9)に お い てn1= 3ぅ η=4と し 、 タ ン ク の 過 渡 応 答 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 繰 り 返 し 同 定 モ デ ノ レ の 応 答 が 真 の 応 答 と 良 く 一 致 す る 遅 れ 次 数 d=4を 採 用 し た 。 ま た 、 サ ン プ リ ン グ 周 期 は Tm = 0.2 (sec)と し て 計 算 を 行 っ た 。 制 御 を 行 っ た 場 合 に は 短 時 間 で 横 揺 が 減 少 し て お り 、
MRAC
に よ る 船 体 横 揺 の 制 御 が 効 果 的 に 行 わ れ て い る こ と が わ か る 。 こ の と き の 、 シ ス テ ム の モ デ ノ レ パ ラ メ ー タ 推 定 状 況 を Fig.3.36 に 示 す 。 各 パ ラ メ ー タ と も 短 時 間 で 一 定 値 に 収 束 し 、良 好 な 推 定 が 行 わ れ て い る 。Fig. 3.37に、波 浪 中 に お い て 波 に よ る 外 力 を 受 け る 場 合 の 船 体 償 揺 角 の 時 刻 歴 を 示 す 。 波 は、波 高 0.05(m)、 円 周 波 数ω =2.56 (l/sec)の 正 弦 波 状 の 規 則 波 で あ る 。 正 弦 波 状 の 外 乱 は 、 数 値 モ デ ル (3.16)式 に お いて 2次 の 多 項 式 C(q‑l) で 表 さ れ る 。 こ こ で は 、外 乱 の 形 と し て 2 種 類 の 正 弦 波 の 和 で 表 さ れ る も の ま で 考 え る こ と と し m
=
7, n=
8、 遅 れ 次 数 d=4、サ ン プ リ ン グ 周 期 Tm = 0.2 (sec)と し て 計 算 を 行 っ た 。 規 則 波 に よ る 外 乱 が 作 用 す る 場 合 に も 、横 揺 角 は 能 動 型 減 揺 タ ン ク に よ る 制 御 に よ り 比 較 的 短 時 間 で 減 少 し て い る 。 ま た 、 シ ス テ ム の モデノレパラメ ー タ 推 定 状 況 お よ び 操 作 入 力 nJdの 時 刻 歴 を Fig.3.38と Fig. 3.39に 示 す 。 イ ン ベ ラ の 回 転 数 nldは 有 限 で あ る の で 、計 算 で は‑1か ら 十1の 範 囲 と な る よ う に 正 規 化 し て 与 え る こ と と し 、 こ の 範
囲 を 超 え る よ う な 操 作 入 力 が 発 生 す る 場 合 に は 範 囲 内 の 最 大 お よ び 最 小 値 、 す な わ ち 土lを 与 え て い る 。 初 期 の 過 渡 状 態 に お い て は 、 シ ス テ ム の モ デ ノ レ パ ラ メ ー タ の 推 定 値 が 収 束 し て い な い た め に nldが 激 し く 変 化 す る が 、 推 定 値 が 収 束 す る に つ れ て nldの 振 幅 も 滅 少 す る。 Fig.3.40に 、 タ ン ク 内 部 流 体 運 動 に よ っ て 発 生 す る 船 体 重 心 周 り の モ ー メ ン ト お よ び 規 則 波 に よ る 横 揺 強 制 モ ー メ ン ト の 時 刻 歴 を 示 す 。 パ ラ メ ー タ 推 定 値 が 収 束 し た 後 は タ ン ク 内 部 流 体 の 運 動 に よ っ て 、 規 則 波 に よ る 横 揺 モ ー メ ン ト を 打 ち 消 す よ う な モ ー メ ン ト が 発 生 し て い る 。 Fig.3.41にSOLA‑SURFス キ ー ム に よ っ て 計 算 さ れ た 、 時 刻 t= 3.0 secに お け る タ ン ク 内 部 流 体 領 域 の 流 速 ベ ク ト ノ レ 図 の 一 例
を示す。
次 に 、 規 則 波 の 周 波 数 を 変 化 さ せ て シ リ ー ズ 計 算 を 実 施 し た 。 横 揺角。の振 IIJ~ を周波数応答としてまとめたものが Fig. 3.42で あ る 。 横 軸 は e=ω/ksで あ り 、 縦 軸 に は 8/θω を と っ て い る 。 こ こ で 、 ん は 船 体 横 揺 の 固 有 振 動 数 、 。ω は 最 大 波 面 傾 斜 角 で あ る 。 図 に は 適 応 制 御 に よ っ て 制 御 し た 場 合 の 結 果 の ほ か に 、 タ ン ク を 船 体 に 搭 載 す る が 制 御 し な い 場 合 と PID制 御 を 行 っ た 場 合 に つ い て の 周 波 数 応 答 も あ わ せ て 示 し 、 参 考 と し て 計 算 値 を ス プ ラ イ ン カ ー ブ で 補 間 し た 曲 線 を 併 記 し て い る 。 適 応 制 御 と PID制 御 を 行 っ た 場 合 は と も に 横 揺 角 が 広 い 周 波 数 範 囲 に お い て 有 効 に 軽 減 さ れ て い る 。 PID制 御 の フ ィ ー ド バ ッ ク ゲ イ ン が 最 適 値 で あ る と は 断 言 で き な い が 、 適 応 制 御 方 式 に よ る 結 果 が PID制 御 と 同 等 の 制 御 性 能 を 有 す る こ と が 分 か る 。
次 に 、 船 体 の 横 揺 運 動 方 程 式 の パ ラ メ ー タ を 変 化 さ せ て 計 算 を 行 い 、 適 応 制 御 シ ス テ ム が 船 体 運 動 の 特 性 が 変 化 す る 場 合 に も 有 効 に 機 能 す る か に つ い て 検 討 す る 。 制 御 対 象 に 生 じ る 変 化 の 一 例 と し て 、 船 体 の 積 み 付 け 状 態 が 変 化 し た 場 合 を 想 定 し 、
σM
が 増 大 し てGiVJ二 0.021(ln)と な っ た 場 合 の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 、 先 に 設 計 し た 適 応 制 御 シ ス テ ム に 対 し て 行 っ た。ま た 、 適 応 制 御 に よ る 結 果 を 評 価 す る た め に 、同 様 な 状 態 に 対 す る シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を PID制 御 に よ る シ ス テ ム に 対 し で も 行 っ た。こ の と き 、 フ ィ ー ド バ ッ ク ゲ イ ン は GjVJを 変 化 さ せ る 前 の 状 態 で 決 定 し た 値Ko= 2.0を 用 い て い る 。Fig.3.43に 横 揺 角 の 振 幅 の 周 波 数 応 答 を 示 す 。 適 応 制 御 シ ス テ ム で は 、GiVJが 変 化す る 前 と 同 様 に 横 揺 角 が 軽 減 さ れ て い る が 、PID制 御 に よ る 場 合 に は 、船 体 の 運 動 方 程 式 が シ ス テ ム の 設 計 時 の 状 態 と 異 な る た め 、 ε= 1.2付 近 で の 横 揺 角 が 、 制 御 し な い 場 合 よ り も 増 大 し て い る 。以 上 の 結 果 よ り、設 計 し た 適 応 制 御 シ ス テ ム は 、制 御 対 象 の 特 性 が 変 化 し て も 有 効 な 制 御 性 能 を 維 持 で き る こ と が 確 認 で き た 。
3 . 5 結 言
従 来 の
u ‑
字 管 理 論 に 基 づ く 減 揺 タ ン ク の 能 動 化 方 法 で あ る 桑 野 の 理 論 を 導 入 し 、本 研 究 で 開 発 し た 性 能 解 析 法 の 、 従 来 の タ ン ク シ ス テ ム の 最 適 化 に 対 す る 一 応 用 法 を 提 示 し た 。 実 験 値 と の 比 較 に より 、 数 値 計 算 に よ る 性 能 解 析 法 の み を 用 い て 、桑 野 の 理 論 に 基 づ く 能 動 型 減 揺 タ ン ク シ ス テ ム の 設 計 が 可 能 で あ る こ と が 確 認 さ れ た 。 次 に 、微 分 動 作 の フ ィ ー ド バ ッ ク 制 御 方 式 に よ る 能 動 型 減 揺 タ ン ク シ ス テ ム の 設 計 例 を 示 し た 。 数 値 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン の 結 果 、 提 示 し た 有 限 差 分 法 に 基 づ く 減 揺 タ ン ク の 解 析 コ ー ド に よ り、能 動 型 減 揺 タ ン ク の 性 能 を 自 在 に 解 析 す る こ と が 出 来 、 設 計 し た タ ン ク シ ス テ ム は、規 則 波 中 に お け る 船 体 の 横 揺 の 軽 減 に 対 し て 有 効 で あ る こ と を 確 認 し た 。 タ ン ク シ ス テ ム の 設 計 に 伴 い 、タ ン ク の 寸 法 、 形 状 が 内 部 流 体 運 動 の 特 性 に 与 え る 影 響 を シ リ ー ズ 数 値 計 算 に よ り 明 ら か に
した。
次 に 、船 体 運 動 に お け る 制 御 対 象 の 特 性 変化 に も 対 応 で き る 船 体 横 揺制御 シ ス テ ム を 得 る た め に 、適 応 制 御 方 式 に よ る 減 帰 タ ン ク シ ス テ ム の 設 計 法 を 提 示 し た 。 モ デ ノ レ 規 範 形 適 応 制 御 に よ る 滅 揺 タ ン ク シ ス テ ム の 有 効 性 を 確 認 す る た め に 、 数 値 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を 実 施 し、規 則 波 中 に お い て 広い周 波 数 範 囲 の 波 に 対 し て 有 効 な 横 揺 軽 減 効 果 が 得 ら れ 、船体 の 運 動 特 性 が 変化 し た 場 合 に も 安 定 し た 減 揺 効 果 が 維 持 で き る こ と を 確 認 し た 。
一一一一一一 ‑ C F M
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Fig. 3.1 Co‑ordinate systeln for a U‑tube tank
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and bt2.0
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之
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1.0Fig. 3.4 Cornparison of calculated resule ts wi七hthe experimental results on
! *
Inlpeller
+
Tank G1GtFig. 3.5 Block diagram of a feed back control system
0.140 m I 0.130 m
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Fig. 3.6 Model tanks
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Fig. 3.7 Moment induced by constant impeller velocity flow
1.Om/s ト一一→
t
=8
,6 ( s e c )
Fig.3.8Calculated velocity vector3and pressure distribution in No.l tank forced by sinusoidal impeller velocity fiow (Af = 0.5 m/sec, Tf =
4.0 sec)
..‑‑‑., ‑T‑I 1 I ITT‑T T 1 1 1 I I I I
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(sec)Fig. 3.9 Moment induced by sinusoidal impeller velocity flow ( Afニ 0.5mjsec )