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京川 他 後の埋立地 : 中町 ( 弁天, 入船など ), 新町 ( 日の出, 高洲など ) に分かれており, この内, 顕著な液状化は臨海部の埋立地において発生した 浦安市の液状化被害については, 地震発生から多くの報告がなされているが, ここでは著者らの調査結果に基づき, その概要を述べる 2.

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Academic year: 2021

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(1)

東北地方太平洋沖地震による浦安市埋立地盤の液状化被害調査

京川 裕之

1

,清田 隆

1

,近藤 康人

2

,小長井一男

1 1 東京大学生産技術研究所 2 東京大学工学系研究科社会基盤学専攻

東北地方太平洋沖地震による浦安市埋立地盤の液状化被害調査

京川裕之

1

,清田隆

1

,近藤康人

2

,小長井一男

1 1 東京大学生産技術研究所 2 東京大学工学系研究科社会基盤学専攻

概   要

東北地方太平洋沖地震によって埋立地の大部分が液状化した千葉県浦安市において,著者らは地震発生直 後から航空レーザ測量,粒度分析,SWS 試験などを行い,液状化による地盤の変動を継続的にかつ定量的 に把握してきた。これらの調査より,(1)浦安市の埋立地では地盤沈下が広範囲に生じており,その沈下量 の分布は家屋・ライフラインの被害と対応している。(2)同時期の埋立地(未改良地区)で,被害程度が大 きく異なる場所がある。(3)広範囲に採取した噴砂の粒度およびSPT 試料の粒度は,大量の噴砂と再液状化 が確認されているニュージーランド・クライストチャーチのケースと非常に似通っている。(4)液状化によ り地盤の貫入抵抗は大きく低下し,その後2 ヶ月程度で強度は回復・安定するが依然として低い値を示し ている。本稿では以上の知見より,同地区の再液状化の可能性についても検討する。 キーワード:地震,液状化,現地調査,粒度分布,サウンディング 1. は じ め に 2011年3月11日午後2時46分,三陸沖の海底深さ24kmを 震源として発生した東北地方太平洋沖地震(Mw 9.0)は, 甚大な津波被害や原子力発電所の被害をはじめ,様々な被 害・影響を我が国に及ぼした。そのうち,平野部や臨海部 で発生した液状化現象は,直接的な人命損失は出ていない ものの,非常に多くの構造物や道路・上下水などのライフ ラインに大きな打撃を与えた。国土交通省1)によると,液 状化の被害を受けた建物数は,約2万3千件とも見積もられ ている。また,特に深刻な液状化被害を受けた地域は,東 京湾沿岸と利根川下流域の住宅地であった。 今回の地震によって発生した液状化は,大量の噴砂を伴 う非常に大規模なものであり,個別の箇所の液状化の程度 は,2011年2月に発生し深刻な液状化被害を引き起こした Christchurch地震(ニュージーランド)2)のそれに匹敵する ものであった。液状化の程度が大きくなった原因としては, 締固めの不十分な砂質土系の埋立地盤に液状化対策がな されていない住宅やライフラインが多く存在していたこ と,および東北から関東にかけて比較的強い地震動が2~3 分程度観測され,これまでの地震と比較して非常にその継 続時間が長かったことなどが挙げられている3)。 本報告では,今回の地震により最も顕著な液状化が発生 した地区の一つである千葉県浦安市の埋立地において,著 者らが実施した被害調査結果を示す。広域的に採取した噴 砂を用いて実施した粒度分析結果より,浦安市埋立地の液 状化層の特徴を示すとともに,地震前後に同一箇所で実施 したスウェーデン式サウンディング試験(以下,SWS試験 と表記)結果より,地震後の液状化地盤の貫入抵抗の変化 を示す。また,ニュージーランド・クライストチャーチで は2010年から2011年にかけて一連の地震(Canterbury地震) により深刻な液状化被害と再液状化が何度も発生してい るが,その調査結果と比較することで浦安市の再液状化の 可能性についても言及する。 2. 浦安市の液状化被害 浦安市は図1に示すように,従来からの陸域:元町と戦 1 浦安市の調査地域 1980 1979 Taksu Meikai Hinode 1968 1975 1971 1978 1 2 34 5 6 7 5 8 1 2 3 4 Imagawa Tomioka Chidori Irifune Mihama Kairaku Benten Tekko-dori Maihama Minato Motomachi Higashino

Sampling location of boiled sand Photo locaction 1968~1980 : Completion of reclamation

(2)

後の埋立地:中町(弁天,入船など),新町(日の出,高 洲など)に分かれており,この内,顕著な液状化は臨海部 の埋立地において発生した。浦安市の液状化被害について は,地震発生から多くの報告がなされているが,ここでは 著者らの調査結果に基づき,その概要を述べる。 2.1 液状化被害の様子と分布 浦安市では1960年代以降に海岸を埋め立てた地域にお いて顕著な液状化が発生した。これにより,多くのライフ ラインが寸断され,応急復旧までに約1ヶ月を要した。市 内全域で一部損壊以上と診断された建物被害数は,8,776 棟となった(新基準適用後)。一方,幹線道路や橋梁,杭 基礎で支持されていると思われる比較的大規模な構造物 の沈下や傾斜などの被害は,浦安市に限らず液状化の被災 地全体を通じてほとんど報告されていない。しかし,周辺 地盤の沈下により構造物周辺に数十cmの段差が生じ,交 通の障害や埋設管の破断を引き起こしたケースは多く発 生した4)。 写真1~5に浦安市内の液状化による典型的な被害の様 子を示す。なお,これらの撮影箇所は図1に示される。 写真1はJR京葉線新浦安駅前においてエレベーター施設 と周辺地盤の間に生じた段差の様子である。液状化に伴い 大量の噴砂が発生し,周辺地盤が大きく沈下したが,堅固 な基礎構造に支持されていたと考えられるエレベーター 施設には変状が見られない。従って,この段差(約55cm) が周辺地盤の沈下量そのものであったと理解できる。 写真2は境川堤防の背後地盤が沈下している様子である。 埋立地を流れる境川の両岸では顕著な液状化が発生して いたが,堤防自体には大きな変状はほとんど見受けられな かった。 一方,埋立地の東側の日の出地区では護岸の変状が生じ ていた(写真3)。護岸から数十m陸側に離れた位置でも 護岸に平行なクラックが連続しており,液状化に伴う側方 流動が発生したと考えられる。朝倉ら5)は航空レーザ測量 結果を分析し,この流動による護岸の水平変位は約2~3m と見積もっている。なお,この護岸の背後地盤は緑地であ ったことから,流動による被害の拡大はなかったと考えら れる。 写真4は,高洲中央公園に埋設されていた貯水槽であり, 撮影当時3月19日には大量の水が噴き出していた。この施 設は災害用に建設されたものであったが,周辺地盤の液状 化により地表面から2m程度浮き上がった。また,写真5は 今回の液状化により最も高く浮き上がったマンホールの 一つである。 マンホールの浮き上がりは液状化による典型的な被災 例として知られている。一方,浦安市内をはじめ,深刻な 液状化が広範囲に発生した地域では,上記のような大きな マンホールの浮き上がりは比較的少なかった。この傾向は, 2010-2011年の一連のCanterbury地震(ニュージーランド) において液状化が広範囲に発生したクライストチャーチ 写真1 新浦安駅前のエレベーター施設周辺の沈下 写真2 境川堤防の背後地盤の沈下(富岡) 写真3 護岸の隆起および側方流動(日の出) 写真4 埋設貯水槽の浮き上がり(高洲中央公園)

Subsidence

55cm

Subsidence

60cm

2m

(3)

写真5 マンホールの浮き上がり(明海) (撮影:東京大学 後藤氏) の事例と似通っている6)。またTanaka et al.7)は,2004 年新 潟県中越地震の際に,マンホール直下の埋め戻し土のみが 液状化した場合に比べて,その周辺地盤も同時に液状化し た場合には,マンホールの浮き上がり量が減少することを 確認している。この知見は,広範囲にわたって液状化が発 生したため,マンホールの浮き上がりが比較的少なかった 浦安市やクライストチャーチの事例と局所的な液状化に よるマンホールの浮き上がりが多数確認された中越地震 の事例の違いを適切に表しているといえる。 図2は,浦安市の液状化による沈下量を航空レーザ測量 により計測した結果である8)9)。地震前(2006-2007)と地 震後(2011年4月20日)の標高の差分をとったものであり, 液状化による沈下が生じなかったと考えられる杭基礎構 造物を不動点と仮定して正確な沈下量を見積もっている。 また,地震後の測量を行った2011年4月20日には,道路な どにおける噴砂はほとんど除去されていたため,計測結果 に噴砂高さの影響はない。この結果によると,顕著な液状 化が発生した埋立地では約30~50cm程度の地盤沈下が生 じていることが分かる。また,浦安市が公表している戸建 て住宅の被害が集中しているエリア4)も重ねて示している が,それらは大きな沈下量を示すエリアに概ね対応してい る(ただし,特に濃い青色が示されている地域は,駐車場 や更地であることに注意されたい)。しかし,大規模な沈 下は埋立地全域に拡がっており,現地調査を踏まえても, 埋立年の違いによる被害の差は少ないと考えられる。 図3は図2に示した測線の地層想定断面図3)である。地表 面から約7~9mまで埋立層が分布し,その下位に原地盤で ある沖積砂層が約GL-13m付近まで分布しており,これら の地層が液状化対象層として考えられる。一方,安田ら3) は,沖積砂層が地表に現れる元町地区では液状化の痕跡が ほとんど見受けられないことから,今回の液状化は埋立層 のみで生じた可能性があると指摘している。Ishihara10)の示 した液状化に伴う最大地盤沈下量は,液状化層厚の5%程 度と考えられている。図3の断面図に対応する埋立層厚か ら沈下量を見積もると地表面沈下量は約35~45cmとなり, 上記の値と概ね一致している。 図2 液状化による地盤沈下分布図(文献 8) 9)に加筆)   図3 地層断面図(文献 3)に加筆)   図4 1968 年完成埋立地拡大図(文献 8) 9)に加筆)  2.2 局所的な液状化被害 前節で述べたように,浦安市では埋立年の違いによる液状 化被害の差はほとんど確認されなかった。しかしながら, 同じ年代に埋め立てられた地域の中で,液状化の程度に明 らかな違いが生じていた地域もある。 図4 に 1968 年に埋立が完成した地域の拡大図を示す。 1979 1980 1978 1971 1968 1975 Shin-Urayasu station

Seriously damaged houses

Subsidence [m] 0.0 -0.1 -0.2 -0.3 -0.4 -0.5

Geological profile (Fig. 3)

500m 標高TP(m) 標高TP(m) B As(Y) Ac(Y) As (Y) As (Y) Ac (N) As (N) Dc Ds 1945 1966 液状化 非液状化 500m Elevation TP(m) Liquefied area 20.0 10.0 0.0 -10.0 -20.0 -30.0 -40.0 -50.0 -60.0 Benten Fujimi 3-chome Tomioka

3-chome Minato Tkasu Tkasu N-value 0 20 40 0 20 40N-value N-value0 20 40 N-value 0 20 40 N-value0 20 40 Benten Photo Location 6 7 8

(4)

写真6 弁天地区の家屋の傾斜 写真7 弁天地区道路(最大で約 40cm の噴砂)  写真8 見明川小学校で確認された噴砂の帯   この地域に位置する弁天町では,ほぼ全域で液状化が発 生したが,特に赤い帯の範囲(長さ600m,幅 20m)にお いて顕著な被害が集中していた。この範囲の代表的な被害 の様子を写真6~8 に示す。この範囲に分布する家屋の被害 は範囲外のものと比較して明らかにその程度が大きく,写 真6 の家屋の傾斜は 60/1000 となっていた。また,噴砂量 についても範囲外と比較して多い傾向が確認されている (写真7)。写真 8 は見明川小学校のグラウンドの様子で あるが,グラウンド内の赤実線で示す範囲内において噴砂 痕が集中していた。この範囲は,図4 中の赤実線で囲われ た帯に対応しており,同範囲内では周辺の被害と比べて, 道路の沈下や電柱の傾斜が大きかったり,道路の埋設管が 図5 1968 年完成の埋立地の航空写真 1966 年 11 月 4 日撮影:文献11)に加筆) 損傷を受けたりするなど,隣接地域との被害のコントラス トが非常に明瞭であった。なお,このような埋立年代とは 無関係な被害の差は,舞浜3 丁目でも確認されており,そ の他にも多数潜在している可能性がある。  液状化の被害の程度がある位置を境に大きく異なる原 因としては,例えば地盤改良の有無が考えられる。実際, 浦安市内でもサンドコンパクションパイルなどによる地 盤改良が効果を発揮し,周辺地域と比較して液状化の程度 に明らかな差が生じている箇所も見受けられる12)。しかし ながら,図4 に示される赤い帯の範囲内および周辺地域で は造成時に地盤改良は成されていない。また,帯の範囲に 含まれる家屋だけ,液状化対策をしていなかったというこ とは考え難い。一方,千葉県我孫子市の布佐地区でも液状 化被害が帯状に集中する箇所があったが,旧地形の影響で あることが指摘されており13),浦安のように地盤全体が同 時期に造成された埋立地とは条件が異なる。 そこで,同じ時期の埋立地盤に液状化被害の差が生じる 可能性がある要因の一つに,埋立時の浚渫方法の影響が考 えられる。一般的に浚渫時には護岸を施工後,浚渫土を配 砂管を通して内側に投入し,当該箇所が所定の高さまで埋 め立てられたら別の場所に移動して再度投入を繰り返す。 従って,完成した埋立地の地盤は一様とは言えず,その構 造は浚渫土の投入箇所や順番に依存する。さらに,埋立完 了後の地盤には高低差があり,図5 の埋立時の航空写真に も示されるように埋立地盤が外側から完成してくると必 然的に内部の水は低地に集まる(図内の濃い部分)。そし て,そこから澪筋を介して外部へ余剰水が排出されるよう になる。最終的にはこれらの池や澪筋は埋め立てられるが, 浚渫土の種類によってはヘドロ状の土砂が堆積していた りするため,締固めは非常に難しいと考えられる。また, 工学的基盤上の沖積層厚(特に沖積粘土層厚)が同じ埋立

60/1000

(5)

地盤内でも場所によって大きく異なる4)ことから,地震動 の増幅特性によって被害の差が生じたとも考えられる。現 時点において,弁天町で確認された液状化被害の地域的な 差を検証することは困難であるが,上述のような埋立方 法・地盤層厚に起因する可能性は十分考えられる。  2.3 既往事例との比較 浦安市をはじめとする千葉県内では,1987年千葉県東方 沖地震でも大きな地震動が観測されている。この地震によ り,浦安市では震度4の中震を記録しており,1971年に造 成された埋立地(美浜三丁目)では,噴砂・湧水が確認さ れた14)。なお,今回の東北地方太平洋沖地震による浦安市 の震度は5強であったが,上述したように同地区では顕著 な液状化が生じた。 今回の地震の他に,近年深刻な液状化被害が生じた例と しては,2010年9月から現在まで連続的に発生している一 連のCanterbury地震(ニュージーランド)があり,Canterbury 地震は,その本震である2010年9月のDarfield地震(Mw 7.1) 以降,数多くの余震も発生し,震源近くのクライストチャ ーチをはじめ周辺地域に地震動と液状化による深刻な被 害を与えている。特にこれまでの最大余震である2011年2 月のChristchurch地震(Mw 6.1)は,市街地の構造物倒壊な どにより邦人を含む181名の犠牲者を出しており,更に住 宅地には深刻な液状化被害を発生させた。なお,本震の 2010年Darfield地震でも顕著な液状化が発生したが,2011 年Christchurch地震の震源はクライストチャーチにより近 接していたことから,同市内の地震被害は後者の方がより 深刻であった。 地盤工学会調査団による報告2)では,2011年Christchurch 地震後に確認された噴砂の最大層厚は50cm以上であるが, 浦安市をはじめ今回の地震で発生した噴砂の最大層厚は, 浦安市内の40cmであり,任意の場所の液状化の程度とし てはChristchurch地震の方が顕著であった可能性が高い。し かしながら,液状化の被害を受けた地域の面積としては, Christchurch地震では約34km2 2),今回の地震では東京湾岸 だけで約42km2 3)となっている。このことからも,今回の 液状化範囲は世界的に見ても規模が大きいものであった。 なお,今回の地震による液状化の被害が拡大した原因の 一つとして,地震動の継続時間が非常に長かったこと(浦 安市で2分以上)が挙げられている。同じ振幅の地震動で あれば,その継続時間が長いほど地盤は液状化に至りやす いことは感覚的にも理解でき,それは模型実験などでも検 証されている15)。しかしながら,震度4の中震であったに もかかわらず浦安市内で液状化が発生した1987年千葉県 東方沖地震や,浦安市よりも顕著な液状化が発生した2011Christchurch地震の地震動継続時間は,それぞれ1分弱14), 約10~20秒16)と比較的短い。また,橋梁が落橋,マンショ ンの傾き,今回の被害で見られないくらい大きな噴砂口が 確認されたなど,その被害が今回の地震よりも遙かに深刻 であった1964年新潟地震17)でも,地震動の継続時間は約 10~15秒程度18)であった。 確かに地震動の継続時間が長かったことは浦安市の液 状化被害を拡大させた要因の一つと考えられる。しかし, 1987年千葉県東方沖地震の震度4でも顕著な液状化が発生 するほど地盤の締固め度が低かったことも今回の地震で 液状化の被害が大きくなった原因であろう。なお,浦安市 の地震前の地盤の強度については後述する。  3. 噴砂と原地盤の粒度特性 ここでは著者らが実施した現地調査時に採取した噴砂, および標準貫入試験試料(図1 噴砂採取箇所 2 の宅地内で 実施)の粒度試験結果を示す。粒度分析は粉体測定機器(島 津製作所SALD-3100:名古屋工業大学所有)を用いて実施 した。粒子にレーザービームを照射した際,その回折・散 乱光の強さの空間パターンは粒子の大きさによって様々 な形に変化する。同計測器はこの特性を利用して,実際に 試料にレーザービームを照射して得られた回折・散乱光の 強さの空間パターンを検出して解析することにより,デー タの不連続が発生せず,試験者によらず常に正確な粒度分 布を短時間で測定することができる。 図6 に浦安市内で採取した噴砂の粒度分布を示す(各試 料の採取箇所は図1 に対応している)。なお,噴砂は分級 する19)ため,採取箇所によって粒度が異なること知られて いるが,本報告における試料採取時には特別な配慮は行っ ていない。試験結果より,粒度分布の試料採取箇所や埋立 年代の違いの影響はほとんど見受けられない。噴砂の粒度 は砂分40~70%,0.075mm 未満の細粒分は 30~60%程度と なっており,非常に細かい粒子が多く含まれている。また, 細粒分の塑性指数はNP であり非塑性を示した。  図7,8 は,前章で示した浦安市弁天町の顕著な液状化 被害が集中した地区において実施された標準貫入試験結 果および貫入試験試料の粒度分析結果である。なお,図8 には同一箇所で採取された噴砂の粒度分布も示している。 標準貫入試験より,地表面からGL-8m 付近まで N < 5 の砂 質土層が連続しており,この部分で液状化が発生したと考 えられる。また,図8 に示すように,原地盤の粒度分布は 6 浦安市内各地区で発生した噴砂の粒度分布 0 20 40 60 80 100 10-3 10-2 10-1 100 101 A m ou nt of g ra in (in te gra tio n) [ % ] Grain size [mm]

Clay Silt Sand Gravel

Pe rc en ta ge of fin er by w ei gh t[ % ] 1 Benten 3 Benten 4 South-Benten 5 Irifune 6 Chidori 2 Benten 7 Takasu 8 Meikai

(6)

7 浦安市弁天地区で行われた標準貫入試験結果 8 標準貫入試験試料と噴砂の粒度分布 地表面で採取された噴砂の粒度よりも同程度もしくは若 干細かい粒子が多かった。 図 9 は浦安市以外の液状化被害が確認された地域の噴 砂の粒度分布である。噴砂の採取場所は,東京都・千葉県 の海岸部,および茨城県利根川下流域において水場を埋め 立てた地域であり,今回の地震ではそのような埋立地に液 状化被害が集中していた。また,いずれの地域でも側方流 動,浦安に匹敵する厚さの噴砂,家屋やライフラインに被 害などが確認された。これらの地域の噴砂は,図6 の浦安 のものと比較すると砂分が主体となっており,粒径が均一 である。今回の粒度試験数は限られており,かつ噴砂の粒 度は採取方法に依存することが知られているため一概に は言えないが,今回の地震では非塑性細粒分を多く含む地 盤から均質な砂質土まで,様々な粒度分布を示す地盤で顕 著な液状化が生じた可能性を示している。  また,前章でも述べたように,今回の東北地方太平洋 沖地震の他に近年深刻な液状化被害が生じた例としては, 2010 年 9 月の Darfield 地震,2011 年 2 月の Christchurch 地 図9 浦安市以外の地区で発生した噴砂の粒度分布 10 2010 年 Darfield 地震時に発生した噴砂の粒度分布 震などの一連のCanterbury 地震がある。Darfield 地震によ る液状化の程度はChristchurch 地震よりも小さかったが, その被害の程度は今回の浦安などの被害に匹敵するもの であった。図10 は,Darfield 地震時に発生した噴砂の粒度 分布(図6,8,9 とは異なり,一般的な“ふるい分析”) であるが,東北地方太平洋沖地震のケースと同様,ここで も細粒分を多く含むものから均質な砂質土まで様々な粒 度分布を示す地盤が液状化したと考えられる。 4. 液状化地盤の貫入抵抗の時間変化 図11に弁天町同一宅地(図1に示す噴砂採取場所 2)内 の二カ所(Point A,B)で実施されたSWS試験結果を示す。 地震前の結果として2002年9月,地震後の結果として20113月18日,4月13日,5月16日,および7月27日の結果が示 されている。いずれも同一宅地内で実施された結果である が,3月18日の試験のみ,他の試験より10m ~ 15m程度離れ た場所で実施された。なお,縦軸の深度は,地震前の地盤 高をゼロとしており,地震後の結果に関しては,図4の液 状化に地盤沈下図(地震前後の標高差)から算出した該当 宅地での沈下量40cmを差し引いた値を表示する。  全体的な傾向として,地震発生1週間後(3 月 18 日) に計測された貫入抵抗(換算N 値)は,地震前の値(20029 月)と比較して大きく低下しており,特に GL-4m 以 浅については,その低下の程度は大きい。地震から1 週間 経っても過剰間隙水圧が完全に消散していないこと,上向 0 5 10 15 20 25 30 35 40 0 5 10 15 20 2011/3/31 1.25m Soil classification Fill soil (sand) Fine sand Sandy-silt Silty-fine sand Silt Sandy-silt Silt Sandy-silt Sandy-silt Sandy-silt Fine sand Fill soil Silt N-value Columnar section Depth (m) 0.75 8.35 10.70 12.75 14.60 24.80 30.10 32.60 34.35 34.80 37.85 38.30 39.85 42.33 0 20 40 60 80 100 10-3 10-2 10-1 100 101 A m ou nt of g ra in (in te gra tio n) [ % ] Grain size [mm]

Clay Silt Sand Gravel

Boiled sand Pe rc en ta ge of fin er by w ei gh t[ % ] 2.15-2.47m 4.15-4.5m 6.15-6.46m 8.15-8.47m 0 20 40 60 80 100 10-3 10-2 10-1 100 101 A m ou nt of g ra in (in te gra tio n) [ % ] Grain size [mm]

Clay Silt Sand Gravel

Pe rc en ta ge of fin er by w ei gh t[ % ] Shin-Kiba 1 Funabashi Kamisu, Ibaraki 1 Kamisu, Ibaraki 2 Kamisu water plant

Shin-Kiba 2

Kamisu port park

Itako, Ibaraki 0 20 40 60 80 100 10-3 10-2 10-1 100 101 Am ou nt o f g ra in (in te gra tio n) [% ] Grain size [mm] Pe rc en ta ge of fin er by w ei gh t[ % ]

(7)

11 地震前後で行われた SWS 試験結果(弁天地区) き浸透流に起因する土の攪拌の影響などが原因として考 えられる。  4 月 13 日の結果より,全体的に貫入抵抗は時間と共に 若干増加していることが伺える。特に調査点 Point A の GL-2m 付近に分布する局所的に高い貫入抵抗を示す部分 では,4 月 13 日の時点で地震前の値まで回復している。 しかし,GL-6m~8m 付近については,3 月 18 日と比較し て変化は小さいようである。一方,5 月 16 日の結果は, Point B の表層部分を除き地震前の貫入抵抗と同程度,も しくは若干増加するまでに回復しており,その後(7 月 27 日)の結果とあまり変わらない値が得られた。このことか ら,当該地盤は3 月 11 日の地震発生から約 1~2 ヶ月で概 ね安定に至ったと考えられる。 参考までに,ニュージーランドで発生している一連の Canterbury地震について,2010年9月のDarfield地震後と, 2011年6月13日の余震後に実施したSWS試験結果20)を図12 に示す。なお,二つの試験箇所は約3m離れている。試験 実施箇所(ニュージーランド・エイボンサイド)では, Darfield地震から既に4回の液状化が発生21)しており,6月 13日の後の余震でも再液状化が発生している。Darfield地 震後の結果より,N < 7の非常に緩い砂質土が約7m程度連 続しており,この部分が液状化したものと推定された。一 方,Darfield地震後の再液状化を経た6月13日の結果では, 砂礫層の出現深度が,Darfield地震後と比較して数十cm浅 くなっていることが興味深い。これは,それまでの液状化 と再液状化により地表面が沈下したことを示している。ま た,それぞれの結果を比較すると約GL-3m以深ではN値の 値は上昇しているが,それ以浅のN値はほとんど変化して いない。これは,再液状化の度に地盤が密になっていくが, その増加量は僅かずつであることを示していると言える。  東北地方太平洋沖地震の後に浦安市で採取された噴 砂(図6)は,本震後の余震で何度も再液状化しているク 12 液状化後に行われた SWS 試験結果(文献 20)) [ニュージーランド・エイボンサイド, 左:Darfield 地震後,右:2011 年 6 月 13 日の余震後] ライストチャーチの噴砂(図10)と同様に細粒分を多く含 むものから均質な砂質土まで広い範囲の粒度分布を示す。 さらには,SWS試験より調査を実施した浦安市弁天での地 盤強度(図11)は液状化後1~2カ月で概ね回復・安定して いるが,依然として当該地盤ではN < 10が地表面から8m以 上連続しており,この点に関してクライストチャーチの結 果と対応させても,浦安市臨海部の埋立地では将来的に再 液状化の発生する可能性は高いと言えよう。 5. まとめ  2011 年 3 月 11 日に発生した東北地方太平洋沖地震にお いて,浦安市では震度5 強,震動継続時間が 2 分以上の揺 れが観測された。これにより,1965 年から形成されたほ とんどの埋立地帯で地盤の液状化が確認され,浦安市を含 む東京湾岸全域における液状化範囲が42km2,地盤沈下が 最大で約 55cm,堆積した噴砂の厚さは 40cm と 2011 年 Christchurch 地震と並ぶ深刻な液状化被害が生じた。また 同時期に形成された埋立地内でも,浦安市弁天地区などの ように隣接する地区と比べて局所的に液状化被害が大き く,被害のコントラストが明瞭な箇所が確認された。この ような被害の差に関しては,埋立地盤の形成過程を含めた 過去の地盤状況や地盤層厚・種類を適切に評価する必要が ある。  弁天地区で行われた標準貫入試験より,地表面から GL-8m 付近まで N < 5 の砂質土層が連続していることから, この範囲で液状化が発生したと考えられた。貫入試験試料 および噴砂の粒度分析より,原地盤の粒度分布は地表面で 採取された噴砂の粒度(砂分40~70%,細粒分は 30 ~ 60% 程度であり,細粒分の塑性指数はNP であり非塑性)より も同程度もしくは若干細かい粒子が多かった。 C olu m na r sec tio n Soil cla ssi fic atio n Fill soil Fill soil (sand) Fine sand 0 2 4 6 8 10 0 5 10 15 20 25 30 D epth [m] Conversion N-value 0 2 4 6 8 10 0 5 10 15 20 25 30 D epth [m] Conversion N-value Point B Point A Sep. 2002 Mar. 18. 2011 Apr. 13. 2011 May. 16. 2011 Jul. 27. 2011 0 2 4 6 8 10 0 5 10 15 20 25 30 Dep th [m ] Conversion N-value 0 2 4 6 8 10 0 5 10 15 20 25 30 Dep th [m ] Conversion N-value

after Darfield EQ after "after EQ (13th, June, 2011)" Grabel bed

(8)

 地震発生直後から継続して行っている弁天地区内での SWS 試験結果から,液状化直後に著しく低下した貫入抵 抗は,1~2 カ月後には地震前と同等かそれ以上まで回復し ているものの,依然として N 値が低いこと,一連の Canterbury 地震の本震後の余震で再液状化が頻発している クライストチャーチと同様の傾向を示していることを鑑 みると,浦安市臨海部の埋立地も同様に再液状化の可能性 が高いと考えられる。 謝辞  貫入試験試料は住友林業株式会社住宅事業本部の田代 郁夫様に,SWS試験結果の一部は浦安市在住の鈴木浩之様, 小林昌之様にご提供いただいた。粒度分析機器は名古屋工 業大学中井照夫教授・菊本統助教のご厚意により使用させ ていただいた。愛知県企業庁三河港工事事務所の村田卓則 様より埋立地盤の浚渫方法について有益なコメントをい ただいた。また,SWS試験の実施にあたり,東京大学土質 /地盤工学研究室の内村太郎准教授と学生の皆様,東京大 学生産技術研究所小長井研究室の皆様のご協力をいただ いた。ここに感謝の意を表します。 最後に,このたびの震災で犠牲となったすべての方に哀 悼の意を捧げます。 参 考 文 献 1) 国土交通省: 平成23年8月23日 第177回通常国会 災害対策特別 委員会資料 (http://www.shiokawa-tetsuya.jp/torikumi/2011nen/t-11177.htm) 2) 安田 進,Cubrinovski Misko,時松 孝次,Orense Rolando,渦岡 良

介,清田 隆,細野 康代,山田 卓: 2011年ニュージーランド Christchurch 地震による被害に対する災害緊急調査団報告,地盤 工学会誌,Vol.59, No.6, pp.48-49, 2011. 3) 安田 進,原田 健二: 東京湾岸における液状化被害,地盤工学会 誌,Vol.59, No. 7, pp.38-41, 2011. 4) 浦安市液状化対策技術検討委員会: 第1回資料 東日本大震災へ の対応 (http://www.city.urayasu.chiba.jp/menu11324.html) 5) 朝倉 徹,須山 翔太,江藤 稚佳子,渋谷 研一,小長井 一男: 航 空レーザ測量を用いた液状化による標高変位の測量とキャリブ レーション手法の検討, 生産研究(東京大学生産技術研究所), Vol.63, No. 5, 2011.

6) Kiyota, T., Okamura, M., Toyota, H., Cubrinoski, M. and Orense, R.

P.: Liquefaction-induced damage in Christchurch city caused by the 2010 Darfield Earthquake, New Zealand, Proceeding of 8th Conference

on Urban Earthquake Engineering, CD-ROM, 2011.

7) Tanaka, T., Yasuda, S., Ohtsuka, T. and Kanemaru, Y.: Uplift of sewage pipes during the 2007 Niigataken-chuetsu-oki Earthquake, Prodeeding of 5th International Conference on Earthquake

Geotechnical Engineering, 2011.

8) Konagai, K., Shibuya, K., Eto, C. and Kiyota, T.: Map of soil subsidence in Urayasu, Chiba, caused by the March 11th 2011 East

Japan Earthquake, Bulletin of ERS, No. 44, pp.45-47, 2011. 9) Konagai, K., Asakura, T., Suyama, S., Kyokawa, H., Kiyota, T., Eto, C.

and Shibuya, K.: Soil subsidence map of the Tokyo bay area liquefied in the March 11th Great East Japan Earthquake, Proceeding of

International Symposium on Engineering Lessons Learned from the Giant Earthquake (One Year after 2011 Great East Japan Earthquake), pp. 855-864, 2011.

10) Kenji Ishihara: Liquefaction and flow failure during earthquakes, Geotechnique, Vol.43, No.3, pp.351-415, 1993.

11) 国土変遷アーカイブ空中写真閲覧 (http://archive.gsi.go.jp/airphoto/)

12) Towhata, I., Goto, H., Kazama, M., Kiyota, T., Nakamura, S., Wakamatsu, K., Wakai, A., Yasuda, S. and Yoshida, N.: Earthquake News On Gigantic Tohoku Pacific Earthquake, ISSMGE Bulletin, Vol.5, No. 2, pp.46-66, 2011. (http://www.geonet.org.nz/resources/basic-data/strong-motion-data/). 13) 千葉県環境研究センター: 東北地方太平洋沖地震による東京湾 岸埋立地での液状化-流動化被害 (http://www.wit.pref.chiba.lg.jp /_sui_chi/chishitu/touhoku/touhoku.html), 2011. 14) 古藤田喜久夫,若松加寿江: 千葉県東方沖地震による液状化現象 とその被害,土と基礎,Vol.36, No.12, pp.19-24, 1988. 15) 金田 一広,山崎 裕之,永野 賢次: 地震動継続時間の違いによ る砂地盤の液状化に関する振動台実験, 港湾空港技術研究所資 料,No.1167, 2007.

16) GeoNet Strong Motion Data, New Zealand

(http://www.geonet.org.nz/resources/basic-data/strong-motion-data/). 17) 山口 林造: 新潟地震調査報告,東京大学地震研究所研究速報, Vol. 8, pp. 36-45, 1964. 18) 有賀 世治,高橋 博,高橋 末雄: 新潟地震概報,防災科学技術 (防災科学技術研究所), Vol.2, pp.8-12, 1964. 19) 沼田 淳紀,森 伸一郎,陶野 郁雄,遠藤 邦彦: 液状化で生じた 砂脈と噴砂に関する一考察,土木学会論文集,No.638/III-49, pp.311-324, 1999.

20) Kiyota, T., Yamada, S. and Hosono, Y.: Repeated liquefaction observed during the 2010-2011 Canterbury earthquakes, Bulletin of Earthquake Resistant Structure Research Center, Institute of Industrial Science, University of Tokyo, No. 45, 2012. (in print)

21) 山田 卓,細野 康代,清田 隆: Canterbury 地震(New Zealand) による再液状化について: 地盤工学会誌,Vol. 60, No. 1, pp.40, 2012.

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浦安市の液状化被害

Survey report on Liquefaction-induced damage in Urayasu city caused by

The 2011 of the Pacific coast of Tohoku Earthquake

Hiroyuki KYOKAWA

1

, Takashi KIYOTA

1

, Yasuto KONDO

2

and Kazuo KONAGAI

1 1 Institute of Industrial Science, University of Tokyo

2 Graduate School, Department of Civil Engineering, University of Tokyo

9

Survey report on Liquefaction-induced damage in Urayasu city caused by

The 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake

Hiroyuki KYOKAWA

1

Takashi KIYOTA

1

Yasuto KONDO

2

and Kazuo KONAGAI

1

1 Institute of Industrial Science, University of Tokyo

2 Graduate School, Department of Civil Engineering, University of Tokyo

Abstract

On March 11th, 2011, the Pacific coast of Tohoku Earthquake hit east Japan. The earthquake-induced liquefaction

caused severe damage to residences and buried lifelines in Tokyo bay area. This report summarizes result from field investigation including SWS test in Urayasu city, Chiba prefecture. Grading analysis was also conducted on in situ samples and boiled sands which were retrieved at liquefaction sites. From these investigations, this report shows the liquefaction characteristic causing the wide range of serious subsidence in reclaimed area in Urayasu city. Comparing with the result of investigations in Christchurch city, New Zealand which has suffered the damage of re-liquefactions by the 2010-2011 Canterbury Earthquake, the possibility of re-liquefaction in Urayasu is discussed in this report. Key words: Earthquake, Liquefaction, Site investigation, Grain size distribution and Sounding

図 11 地震前後で行われた SWS 試験結果(弁天地区)  き浸透流に起因する土の攪拌の影響などが原因として考 えられる。  4 月 13 日の結果より,全体的に貫入抵抗は時間と共に 若干増加していることが伺える。特に調査点 Point A の GL-2m 付近に分布する局所的に高い貫入抵抗を示す部分 では, 4 月 13 日の時点で地震前の値まで回復している。 しかし, GL-6m~8m 付近については,3 月 18 日と比較し て変化は小さいようである。一方, 5 月 16 日の結果は, Point

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