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ガスクロマトグラフ質量分析計による各種製品の異臭分析

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Academic year: 2021

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キーワード:異臭、GC/MS、スタティックヘッドスペース法、加熱脱着・コールドトラップ法、におい寄与率

はじめに

各種製品のにおいが普段と異なる、あるい は普段よりにおいが強いなど、いわゆる異臭 問題が発生した場合、その原因を突き止め、

対策を講じる必要があります。各種製品のに おいは、製品表面から空気中に揮発したにお いを有する化学物質(におい物質)が、人の 嗅覚を刺激することにより検知されます。一 般に、におい物質は、揮発性が高く、分子量 が小さい(17(アンモニア)〜約 300)化合 物であるため、その分析にはガスクロマトグ ラフ質量分析計(GC/MS)が主として用いられ ています。ここでは、各種製品の異臭分析に 関して、1)製品表面から揮発するにおい物質 の濃縮方法、2)GC/MS への導入方法、3)異 臭分析の事例について紹介します。

におい物質の濃縮方法

通常、製品表面から揮発するにおい物質は、

ごく微量であるため、製品周辺の空気を直接、

GC/MS に導入しても、におい物質を検出する ことは困難です。そのため、揮発したにおい 物質を濃縮して GC/MS に導入する必要があり ます。その方法として、当所では、まず、サ ンプリングバッグやバイアル瓶等の容器に、

製品と清浄空気を入れて密封後、容器を加熱 するスタティックヘッドスペース法により、

製品表面からにおい物質を揮発させ、容器中 に拡散させます。次に、吸着剤(TENAX:有機 系多孔性ポリマー)を詰めた捕集管に、にお い物質を含む容器中の空気を通過させ、にお い物質を吸着剤に吸着させることにより濃縮 します。

GC/MS への導入方法

捕集管内の吸着剤により濃縮されたにおい 物質を分析するには、吸着剤から脱着させて GC/MS へ導入する必要があります。その方法 としては、捕集管にキャリアガスを通気しつ つ、捕集管を電気炉で加熱(200〜300℃)す ることにより脱着させる加熱脱着法と、有機 溶媒により吸着剤から脱着させる溶媒抽出法 があります1,2)。当所では、有害な有機溶剤を 必要とせず、かつ吸着剤を再利用できる加熱 脱着法を採用しています。さらに、図 1 に示 すように、捕集管の加熱脱着部と、ガスクロ マトグラフのキャピラリーカラムとの間に、

液体窒素冷却によるコールドトラップ部を設 け、加熱脱着部で脱着されたにおい物質を約 -90℃で再濃縮します。その後、コールドトラ ップ部を約 300℃に加熱して、再濃縮された におい物質を一気にキャピラリーカラムへ送 り出します。この方法は、加熱脱着・コール ドトラップ法と呼ばれ、この操作により、ピ

図 1  加熱脱着・コールドトラップ法の 模式図1)

No.10007

ガスクロマトグラフ質量分析計による各種製品の異臭分析

Technical Sheet 

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大阪府立産業技術総合研究所     

〒594-1157

和泉市あゆみ野

2 丁目 7 番 1 号

http://tri-osaka.jp/   Phone:0725-51-2525 

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ークの形状が鋭いクロマトグラムを得ること ができ、分析の精度が向上します。

異臭分析の事例

表 1 に、最近 5 年間で異臭分析を行った製 品例を示します。また、表 2 には、表 1 に示 した製品例のうち、異臭の原因物質と、その 発生原因が特定できた事例の一部を示します。

表 2 に示すように、検出されたにおい物質が 単一の場合は、その物質を製品の異臭の原因 としていますが、多数のにおい物質が検出さ れた場合は、個々のにおい物質がどの程度、

におい全体に寄与しているかについて検討し ます。その方法は、まず、検出されたにおい 物質の濃度を、その嗅覚閾値(におい物質の においを感じることができる最小濃度)で除 することによってにおい単位を求めます。次 に、求めたにおい単位を合計して総におい単 位を求めます。最後に、におい単位を、総に おい単位で除して、そのにおい物質のにおい 寄与率を求めます。この方法により得られた におい寄与率が、におい全体に対する個々の におい物質の寄与の程度を示す指標となりま

す。図 2 には、カーペットから揮発した多数の におい物質を、官能基によって分類し、その 濃度構成比と、におい寄与率を求めた結果を 示します。におい寄与率で表すと、アルデヒ ド類と脂肪酸類が、濃度としては割合が少な いにもかかわらず、嗅覚閾値が他の成分より 小さいために、このカーペットのにおいの主 成分となっていることがわかります。

表 1  異臭分析を行った製品例

表 2  異臭の原因物質と、その発生原因

おわりに

当所では GC/MS を、製品の異臭分析に限ら ず、ノネナールとイソ吉草酸に対する消臭・

脱臭性能評価にも用いています。また、JIS A  1901 小形チャンバー法による製品表面から の揮発性有機化合物の放散速度測定にも用い ています。各種分析方法や依頼試験の詳細に つきましてはお気軽にご相談ください。

参考文献

1)堀内哲嗣郎:フレグランスジャーナル社、

においかおり 実践的な知識と技術(2006)

2)矢内雅人:技術情報協会、においの分析・

評価と最新脱臭/消臭技術実務集(2008)

製品例

繊維製品 カーペット、カーペットカバー、毛布、マット、

カーシート、綿糸、布地 金属製品 鉄板、金属粒子 プラスチック

製品

ゴム、シートカバー、枕スポンジ、サドル、ラ テックス、マットレス、掃除機ホース、サンダ ル、ピック

包装材 包装袋・箱、ガラス容器、ダンボール、ベニヤ 電化製品 ポット、液晶テレビ、あんか

雑貨 造花、リース、フィルター、ポーチ

その他 石膏ボード、インク、ペットフード、切削油、

鉱物油、めっき液

製品例 異臭の質 原因物質 発生原因 サンダル シンナー臭 トルエン 接着剤

ペットフード 酸臭 酢酸 酢酸ナトリウム

(保存剤)の分解 マットレス 刺激臭 スチレン モノマーの残留 切削油 腐敗臭 トリエチ

ルアミン 添加物の腐敗

図 2  カーペットから揮発したにおい物質 の濃度構成比と、におい寄与率

作成者 化学環境部 繊維応用系 喜多 幸司 Phone: 0725-51-2641

発行日  2010 年 10 月 26 日

参照

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